説明

液晶表示パネルおよび液晶表示装置

【課題】 薄型化、軽量化され、防水性等に優れた液晶表示パネルを簡便な工程で組み立てる。
【解決手段】 アレイ・セル10、光学系シート類8、導光体6、ランプレフレクタ4、ランプ等の複数の液晶表示パネル部材からなる液晶表示パネル部材類と、これらをラミネートするフィルム16からなる液晶表示パネルに関する。このフィルムは部材類全体を覆うように設けられていてもよく、また、開口を有していてもよい。位置合せのために、液晶表示パネル部材には位置合せのための凹凸が設けられていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネルおよび液晶表示装置の構造およびその製造方法に係り、特にノート型パーソナル・コンピュータ等の携帯可能な電子機器に搭載される液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示パネルの一般的な構造は、図1に示すように、フレーム2の上に、ランプリフレクタ4、導光板6、プリズムシート、集光シートまたは拡散シート等の光学系シート類8、アレイ・セル10等の液晶表示パネル部材を順次重ね、また、ランプ12を取り付けて構成されており、これらを一体化するために、金属またはプラスチックのフロントベゼル14で全体を固定する構成となっている。フロントベゼル14は、フレーム2にねじ止めやフランジの曲げ込み等により固着することで、全体が一体として固定される。フレーム2のフロントベゼルとは反対側にリアベゼル(図示せず)をはめ込んで、フロントベゼル14とリアベゼルの間に、フレーム2からアレイ・セル10までの部材を挟止することにより、全体を固定することもできる。
【0003】特開平7−159779号公報は、発光ダイオードを使ったバックライトの上面にフィルム基板間の液晶表示パネルを載置し、バックライトの四隅とフィルム基板を使った液晶表示パネルの四隅を両者の溶融温度以上に加熱するとともに加圧して、両者を溶融固定する液晶表示パネルの実装方法を開示している。固定部材を特に必要としないので、全体を軽量化、薄型化および省部品化することができる。
【0004】特開平4−246620号公報は、液晶シートの両面に接着用シートを介して透明プレートを積層し、この積層体をエアバッグに入れて空気を吸引除去しながら接着シートの軟化点もしくは融点以上に加熱する調光液晶パネルの製造方法を開示する。低温、短時間、低加圧で液晶シートと透明プレートを圧着一体化できるので、液晶層の樹脂マトリックスの劣化や透明プレートの反り、歪み等を防ぎ、また、真空加熱の際に水分が除去されるので発泡のおそれがほとんどなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、オフィス外でのパソコン使用や省スペースの観点からノート型パソコン等の需要が大きく増加してきており、その高性能化、モジュールの小型化の進行に伴い、表示装置である液晶表示パネルの薄型化、軽量化への要求が増大している。
【0006】しかし、前述のフロントベゼル(および場合によってはさらにリアベゼル)を用いて液晶表示パネル用の部材を所定の強度以上で固定するためには、ある程度の厚みと重量をもったフレームやフロントベゼル等を使用する必要があり、また、プラスチックの成型加工性や金属の板金加工性を考慮するとフレームやフロントベゼルの厚みは最低でも約0.5mm〜1mmとなり、液晶表示パネル全体とすると、部材の固定だけのために最低でも約1mm〜2mmの厚みが余分に必要となっている。液晶表示パネルは、フロント側からフロントベゼル14、アレイ・セル10、光学系シート類8、導光板6、ランプリフレクタ4、フレーム2、場合によってさらにリアベゼル等が積層され、全体としては相当の厚みになる。現在製品化されている液晶表示パネルの厚みは10mm未満のものも多く、単に液晶表示パネル部材の固定のためだけに全体が1mm〜2mm厚くなる点は改良して極力薄膜化することが必要となっている。また、金属性のフロントベゼルは数十グラムの重量があるため、軽量化に対する妨げともなっている。
【0007】また、フロントベゼルによる固定の工程は、多数の箇所のネジ止めやフランジ折り曲げ等を必要とするので、組立工程における機械的作業が複雑となりやすく、非常に多数の人手と工程数が必要となり、製造ラインの自動化も困難であるので、いわゆるアセンブリ性の観点からも好ましいものではない。
【0008】さらに、携帯用の電子機器は様々な環境下で使用されることが予定されており、屋外や日常生活環境での使用も頻繁に行われている。屋外では空気中に塵、埃が非常に多く存在する場所もあり、液晶表示パネルの構成部材が塵、埃を静電気等の影響で吸着し、装置が誤作動を起こしたり表示不良となり、液晶画面中に白点(常時点灯)または黒点(常時非点灯)が生じてしまうこともある。日常生活環境での使用では、飲食しながらのパソコン使用により、パソコンの表示画面に高温のコーヒー等をこぼしてしまい、水や熱の影響で表示性能が劣化してしまうこともある。また、これらの機器が使用時にさまざまな環境下におかれるだけではなく、製造工程の過程においても周囲環境を考慮することが必要とされる場合もある。すなわち、すべての製造工程が同一の国の工場で行われるとは限らず、特定の製造工程だけを別の国の工場で行うこともあるので、輸送に船便が使用される場合には船中の空気に含まれる塩分の影響も考慮する必要がある。日本国内で製造した液晶表示パネル部材を海外の工場で組み立てて出荷するという場合、輸送の際には塩分対策が十分に施されていることが必要になる。
【0009】したがって、本発明は、フロントベゼル等を用いることなく液晶表示パネル部材を一体化することにより、必要な固定強度を確保しつつ、薄型化、軽量化された液晶表示パネルを提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、フロントベゼル等を用いることなく液晶表示パネル部材を簡便な工程で一体化することにより、アセンブリ工程を大幅に簡素化する方法を提供することを目的とする。
【0011】さらに、本発明は、防水性、防塵性、防塩性等に優れた液晶表示パネルを提供することを目的とする。
【0012】さらに、本発明は、液晶表示パネル部材を一体化する際の、各構成部材間の位置決めを簡便に行う方法を提供することを目的とする。
【0013】さらに、本発明は、一体化された液晶表示パネル部材を液晶表示装置の本体カバーに装着する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明は、複数の液晶表示パネル部材からなる液晶表示パネル部材類と、前記液晶表示パネル部材類をラミネートするフィルムからなる液晶表示パネルに関する。また、本願発明は、前記の複数の液晶表示パネル部材が、アレイ・セル、光学系シート類、導光体、ランプレフレクタ、ランプからなる群から選択される、少なくとも2種類以上の液晶表示パネル部材であることを特徴とする液晶表示パネルに関する。
【0015】また、本願発明は、前記フィルムが開口を有する液晶表示パネルに関する。
【0016】さらに、本願発明は、前記液晶表示パネル部材類が、さらに保護板を有することを特徴とする液晶表示パネルに関する。
【0017】さらに、本願発明は、前記液晶表示パネルが、貫通孔を有することを特徴とする液晶表示パネルに関する。
【0018】さらに、本願発明は、前記の複数の液晶表示パネル部材のうち少なくとも2以上の部材が、位置決め用部位を有することを特徴とする液晶表示パネルに関する。
【0019】さらに、本願発明は、複数の液晶表示パネル部材からなる液晶表示パネル部材類と、前記液晶表示パネル部材類をラミネートするフィルムと、本体カバーとから液晶表示装置に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の内容を、図2に沿って説明する。液晶表示パネル部材は、ランプリフレクタ4、導光板6、および光学系シート類8およびランプ12からなるバックライトユニットの上に、ガラスのアレイ・セル10を載せた構成からなる。これらの部材同士を所定の位置関係となるように位置決めをした複数の液晶表示パネル部材の全体(以下、「液晶表示パネル部材類」という)を上側と下側から2枚のプラスチックフィルム16で覆い隠すようにして、液晶表示パネル部材類全体をプラスチックフィルムで包みこみ、プラスチックフィルムの接着力を利用することにより液晶表示パネル部材類全体を固定する。
【0021】ラミネートを行うと、液晶表示パネルの画像表示部もプラスチックフィルムで覆われるので、プラスチックフィルムとしては透明なものが望ましく、さらにそれ以外に要求される物性として、耐熱性、耐水性、平滑性、強靱性、難燃性、無毒性などがある。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの基材を用いることができる。基材の厚みとしては、好ましくは30μm〜500μm、より好ましくは30μm〜300μm、さらに好ましくは30μm〜180μmであることが望ましい。
【0022】プラスチックフィルムに接着性を付与する第1の方法としては、プラスチックフィルムの一方の面に室温で粘着性の材料をあらかじめ塗布した粘着フィルムのようなものを用いることができる。粘着性材料の例としては、セルロース系、アルキド、アクリルエステル、ポリアミド、ポリスチレン、合成ゴム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、シアノアクリレートなどが挙げられる。
【0023】プラスチックフィルムに接着性を付与する第2の方法としては、プラスチックフィルムの一方の面に室温では粘着性を示さないが高温に加熱すると溶融して粘着性を示す材料をあらかじめ塗布した高温接着フィルムのようなものを用いることができる。加熱により、プラスチックフィルムの接着面同士や、プラスチックフィルムの接着面と液晶表示パネル部材類とが接触する部分が溶融接着し、その後室温に戻ることにより接着面が強固に密着して、液晶表示パネル部材類全体を固定させることができる。高温接着材料の例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ワックスなどが挙げられる。
【0024】以上のような粘着性材料、高温接着材料をプラスチックフィルムに塗布させる方法は、グラビアコーティング、押し出しコーティング、スクリーン印刷、ロールコーティング、その他のどのような方法であってもよい。粘着性材料の塗布厚みは十分な接着強度が得られる厚みであればよく、たとえば、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜50μmである。
【0025】加熱手段としては、ある一定の時間継続的に高温に維持できる手段であるならばどのような手段でもよく、プラスチックフィルムと液晶表示パネル部材類との間が十分に密着するように加熱中に圧力がかかるようになっていてもよい。圧力をかけることでプラスチックフィルムと液晶表示パネル部材類との間の空気を追い出すことができるので、加熱後の接着力を十分に高めることができ、また、気泡が残留して接着不足や外観不良が生じるという不具合の発生を回避することができる。圧力をかけながら加熱する方法としては、加熱ロール、加熱スタンパ等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0026】加熱条件は粘着性材料の種類にもよるが、液晶表示パネル部材類、特にカラーフィルタに悪影響を与えない範囲であることが必要であり、加熱温度としては70℃〜200℃であることが望ましい。
【0027】プラスチックフィルムの基材自体が高温で溶融し、接着性を示すものであってもよい。このように基材自体が接着性を示す材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、塩化ビニルなどが挙げられる。また、加熱により収縮するフィルム、いわゆるシュリンクラップフィルムを用いて液晶表示パネル部材類にフィルムをラミネートすることもできる。
【0028】本願において「ラミネート」とは、複数の液晶表示パネル部材を位置合わせして組み合わせ、組み合わせた液晶表示パネル部材類の外側から、液晶表示パネル部材類の一部または全体をプラスチックフィルムで覆うかまたは包みこみ、液晶表示パネル部材類を固定することをいう。固定するにはプラスチックフィルムの有する種々の機能を利用することができ、たとえば、プラスチックフィルム自体またはその表面に塗布した材料が有する常温もしくは高温での粘着性や、プラスチックフィルム自体の高温環境下等での収縮性、ゴム系のプラスチックフィルムが常温で有する弾性等、プラスチックフィルムが液晶表示パネル部材類を固定することのできる機能であればどのような機能であっても利用することができる。
【0029】以上のような加熱加圧手段の一例として、いわゆるパウチによるラミネート手段が挙げられる。広くパウチとして使用されている材料や加工装置等は本願発明の目的を達成するために用いることができる可能性がある。例えばパウチシート用の加工装置としては、富士テック(株)のラミパッカーシリーズや日本ジー・ビー・シー(株)のMIDI−LAMIシリーズ、ラミ・プロシリーズなどが市販されており、これらの加工装置に適合した種々のパウチシートも入手することができる。
【0030】プラスチックフィルムと液晶表示パネル部材類との密着性を高めるために、上述のように加圧する方法の他に、周囲の環境を大気圧よりも低圧にする等により、プラスチックフィルムと液晶表示パネル部材類との間の空気を吸引してもよい。たとえば、袋状のプラスチックフィルムの中に液晶表示パネル部材類を入れ、一箇所の口となる部分を除いて袋を閉じた状態にし、その口から外部に空気を吸い出すこと等の方法で、密着性の高い状態で液晶表示パネル部材類をプラスチックフィルムで包み込むことができる。加熱オーブン中で空気を吸引したり、もしくは吸引が終了してからプラスチックフィルムで包み込まれた液晶表示パネル部材類を加熱オーブンに入れることにより、プラスチックフィルムの密着性をさらに高めることもできる。前述の加熱ロールを用いる方法では、加熱ロールを通す部材の厚みが10mmを超えると温度・圧力のばらつき・不足により十分な接着力が得られないこともあることから、総厚が10mm以上の液晶表示パネル部材類をプラスチックフィルムでラミネートしようとする場合には、このような吸引方法を用いることも効果的である。
【0031】一方の面に高温接着材料を塗布したプラスチックフィルムを用いた場合を例にとって、ラミネートの種々の態様を以下に説明する。液晶表示パネル部材類をプラスチックフィルムで包み込む第1の方法としては、図2のように液晶表示パネル部材類よりも一回り以上大きいプラスチックフィルム16を2枚用意して、部材類の上側と下側に重ねた2枚のプラスチックフィルムで部材類を挟みこむようにするという方法が挙げられる。液晶表示部材類の上側に置いたプラスチックフィルムの下側面と、下側に置いたプラスチックフィルムの上側面とが接着剤塗布面となるようにすることはいうまでもない。2本のプラスチックフィルムロールを用意して、ロールから順次プラスチックフィルムを送り出してラミネートしてからプラスチックフィルムを切断する、というプロセスをとることにより、連続的にラミネートを行うこともできる。また、あらかじめ、2枚のプラスチックフィルムを接着面同士が接するように重ねてから一辺のみを数mm〜2cm程度加熱圧着により貼り合わせることにより、2枚のプラスチックフィルムが一対になったラミネート用フィルムセットを用意しておくことができる。このラミネート用フィルムセットの2枚のフィルムの間に液晶表示パネル部材類を挟み込み、全体を加熱圧着するようにすることで、ラミネート作業効率を大幅に向上させることができる。
【0032】第2の方法として、液晶表示パネル部材類の2倍以上の大きさの1枚のプラスチックフィルムを接着面同士が向かい合うようにして二つ折りにし、その間に部材類を挟みこむようにしても良い。第1の方法、第2の方法のいずれの場合でも、プラスチックフィルムで部材類を包みこみそのまま加熱等してもよく、または、プラスチックフィルムで包みこんでから上下のプラスチックフィルムの外周部を加熱等により接着し、口の開いた袋または口の閉じた袋の中に部材類が包装されたような形態を経てから、全体を加熱等してプラスチックフィルムと液晶表示パネル部材類を強固に接着固定することもできる。
【0033】プラスチックフィルム同士を貼り合わせてシート端部を固着する場合、シート端部同士の貼り合わせ方法としては、シートの接着剤塗布面同士を貼り合わせてもよいし、一方のシート端部の接着剤塗布面ともう一方のシート端部の接着剤非塗布面とを貼り合わせてもよい。図2のように2枚のプラスチックフィルムを用いるラミネート方法の場合、接着剤塗布面同士を貼り合わせるのであれば2枚のプラスチックフィルムは2枚とも部材類よりも一回り以上大きくなければならないが、一方のフィルムの接着剤塗布面と他方のフィルムの接着剤非塗布面とを貼り合わせるのであれば、一方のプラスチックフィルムさえ十分に大きければ、他方のプラスチックフィルムは部材類よりも小さくとも貼り合せをすることは可能である。
【0034】以上のようなプラスチックフィルム同士の接着処理の方法を適宜選択することにより、液晶表示パネル部材類の端辺部分には、プラスチックフィルムのノリしろにあたる部分ができるようにもできるし、ノリしろができないようにもできる。図3は2枚のプラスチックフィルムを十分に大きくしてノリしろ20ができるようにラミネートしたものである。液晶表示画面サイズを極力大きくするのであれば、できるだけノリしろがでないようにフィルムを接着させればよい。接着後にノリしろ20が適当な大きさになるように切断することもできる。
【0035】従来技術であるフロントベゼルを用いる組立方法においては、セルや導光板等の大きさをフレームに対して丁度納まるようにしておけば、アレイ・セルと導光板等との位置決めを容易に行うことも可能であったが、本願発明ではフレームやフロントベゼルを用いないので位置決めについても工夫が必要である。簡便に、かつプラスチックフィルムでのラミネート工程における加熱加圧プロセス等にも悪影響を及ぼさない位置決め方法の一つとして、液晶表示パネル部材に位置決め用部位として凸部や凹部を設ける方法が挙げられる。図4に示すように、導光板の一辺に凸部30をあらかじめ設けておき、ランプリフレクタ4、光学系シート8等にはあらかじめ凹部32を設けておき、導光板6の凸部30にランプリフレクタ4等の凹部を引っ掛けるようにして位置合せを行うことができる。本願発明のようにプラスチックフィルムをラミネートする場合は、単に位置合せをして重ね合わせただけでは、加熱加圧中に位置ずれが生じやすく、なかでも加熱ロールのように水平方向の力も加わる加工方法では特に位置ずれが顕著であるので、このような突起を設ける位置合せ方法は加工中の位置ずれ防止の点でも非常に効果的である。
【0036】どの部材に凸部を設け、どの部材に凹部を設けるかはいずれでもよいが、凹部は単に該当部分を切り落とせば済むのに対して、凸部は突起状の位置決め部位を形成することが必要であり、その凸部も一定以上の強度を有する必要もあるので、材質の強度およびその加工性の点から、導光板が凸部を有し他の部材が凹部を有するようにすることが最も望ましいが、必ずしもこれに限定される訳ではない。別法として、図5のように、すべての部材に凹部を設け、位置決め用部品34を別途用意し、位置決め用部品34を凹部にはめ込んで全体を固定することもできる。このように位置決め用部品を別に用意する場合でも、前述のように導光板等に凸部が形成されている場合でも、位置決め用部品または凸部は液晶表示パネル部材類を一体化したときに厚み方向に極力突出しないように必要最小限の大きさであることが望ましい。図3は位置決め用部品34、図6は位置決め用部位30が、厚み方向に突出しないような大きさになっている状態を示している。以上のような位置決め手段は液晶表示パネル部材類同士がはめ込み等により容易に位置決め可能であるようにさえつくられてあればよく、凸部・凹部の形状や位置決め部品の形状も図面に示すような形状のものだけに限定されず、例えば、直方体、立方体、平板、棒状、円錐、円錐台、多角錐、球状、円盤、リング状、毛羽状(マジックテープなど)、鍵状、U字状、馬蹄形、コの字状、クリップ状、スリット等どのような形状のものでもよく、これらの形状にさらに種々の微細加工がなされたような形状でもよい。
【0037】ラミネートするプラスチックフィルムは部分的にフィルムのない開口部分、いわゆる「窓」を開けておくことができる。または、プラスチックフィルムの端部同士を貼り合わせるときにフィルム端同士が届かないような箇所を作っておいて、液晶パネル表示部材の一部がプラスチックフィルムで覆わないようにしてもよい。さらに、フィルム端同士は触れ合っているものの加熱はしないで未接着の部分を残しておいてもよい。このような窓等を作っておくことで、外部と液晶表示パネル部材の必要な部品に信号や電源をやり取りするための部品類を通すことができる。たとえば、TABに対する信号、電源、グラウンド用のケーブルや、バックライト用の電源のためのケーブルや、TAB自体をこの窓等を通してプラスチックフィルムから外に取り出すことができる。未接着の部分を残して窓を作った場合には、窓からケーブル等を取り出し、さらに加熱して当該未接着部分を接着させてもよい。
【0038】窓の開けかたとしては、図7のように液晶表示パネルの表示部分に対応する部分に開口40を設けてもよい。これにより、プラスチックフィルムによる光の透過・反射の影響を受けず、液晶パネル表示色の劣化を防止することができる。表示部分が開口となっていることから、プラスチックフィルムの透明性・色彩等はどのようなものであってもよく、表面光沢を有するフィルムであっても表面マット形状を有するフィルムであってもよい。また、フィルムはプラスチックでなくとも、金属箔や紙、合成紙等でもよい。さらには、画像表示部分が開口となっているフィルムを、図8のように遮光性シート42とすることもできる。従来より導光板の端部からの光が漏れることにより、液晶表示パネルの画像の外縁部分が必要以上に明度が高くなることがあり、これを防止するためにパネルの外周部分に遮光性のテープを貼りつけることが行われていた。本願発明のフィルムを表示部分が開口となるような遮光性シートとすることにより、液晶表示パネル部材類固定用のシートが遮光性シートを兼ねるという複数の機能を付与することが可能となる。遮光性シートとしてはアルミ箔等の金属箔やプラスチックフィルム・紙・合成紙等を黒色顔料等で着色したものが使用できる。
【0039】以上のようにプラスチックフィルムの開口は、液晶表示パネルの表側にあっても、裏側にあっても、両側にあってもよく、また、液晶パネル部材類の端面にあたる部分にあってもよい。両側に大きな開口が開いている形状のラミネートを行うには、以上に述べたような2枚のプラスチックフィルムを表裏から貼り合わせる方法によってもよく、別法として、液晶表示パネル部材類端面の外周を一周するようにテープ状のプラスチックフィルムを貼るという方法によってもよい。テープ状のプラスチックフィルムは遮光性のものを用いてもよい。
【0040】次に、図9を用いて、保護板を用いる本願発明について説明する。プラスチックフィルムをラミネートする際には液晶表示パネル部材の種々の箇所に高温高圧がかかることになるので、必要に応じてその対策をとることも望ましい。例えば、TAB48には多数の部品・配線等が設けられており、局所的に過大な圧力や高温がかかることも避けられないので、図9のような保護板50を設けておくことができる。保護板を介在させることで熱伝導のためにTABが高温になることを回避し、また、平らな保護板全体に分散して圧力がかかるようになることで局所的な圧力がかからないようにし、かつ、プラスチックフィルムが十分な接着性をもって良好なラミネートを行うことができる。保護板50は以上のような機能を発現できるものであれば、金属、セラミック、耐熱性プラスチックフィルム等どのような材質のものでもよい。また、TABの凹凸の影響を避ける等のために、保護板のTAB側の表面は、凹凸の形状が設けられていたり各種のコーティング処理等が施されていてもよい。
【0041】ここまでの説明においては、液晶表示パネル部材として、ランプ、ランプリフレクタ、導光板、光学系シート類、アレイ・セルのすべてをラミネートする場合を例にとっているが、これらのすべての部材をラミネートする場合のみならず、これらの一部の組み合わせのみをラミネートしてもよい。たとえば、ランプ、ランプリフレクタ、導光板、光学系シートをラミネートしてこれらをバックライトユニットとして取り扱うこともできるし、導光板とリフレクタを組み合わせたセットとすることもできるし、その他どのような組み合わせでラミネートしてもよい。また、本明細書では触れなかった他の部材をも含めてラミネートしてもよい。
【0042】以上のようにして製造した液晶表示パネル部材類をラミネートした液晶表示パネルを液晶表示装置、例えばノートブック型コンピュータであれば上蓋の内側面に装着する方法を説明する。従来のようにフレームとフロントベゼルで固定する方法の場合には、たとえばフレームの外周部の複数箇所にネジ穴を有する突出部をあらかじめ設けておいて、ネジにより液晶表示装置本体に固定する等の方法がとられていた。本願発明はフレームを構成要素から取り除き、また全体がフィルムによりラミネートされているのでこのような方法はとることは難しい。ノリしろができるようにプラスチックフィルムが接着されている場合には、図10のようにプラスチックフィルム16のノリしろの部分にビア孔60を開けてビア62を打ち込み、図11のようにネジ70で液晶表示本体にネジ止めすることができる。ビア孔60をプラスチックフィルム16に開けるのはラミネートの前でも後でもよいので、ネジ止め箇所およびその個数の自由度が高く、有用である。なお、このビアはグラウンディング等の手段として用いることもできる。別法として液晶表示本体にノリしろ部分を挟むことができるようなスリットを設け、スリットでノリしろ部分を挟みこんで液晶表示本体に固定することもできる。一方、ノリしろができないようにプラスチックフィルムが接着する場合には、液晶表示パネル部材類を一体化したときに貫通穴となるようにあらかじめ各液晶表示パネル部材にネジ穴を開けておくか、または、たとえば導光板の外周部にネジ穴を有する突出部を設けておき、フィルムをラミネート後、液晶表示パネルを液晶表示装置本体にネジ止めすることができる。この場合も、プラスチックフィルムにあらかじめネジ穴用の穴を開けておいてもよく、ラミネート後にプラスチックフィルムに穴を開けてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明は、フロントベゼル等を用いることなく液晶表示パネル部材類を一体化することにより、必要な固定強度を確保しつつ、液晶表示パネルを薄型化、軽量化することができる。
【0044】また、本発明は、フロントベゼル等を用いることなく液晶表示パネルを簡便な工程で一体化することにより、アセンブリ工程を大幅に簡素化することができる。
【0045】さらに、本発明は、液晶表示パネルの防水性、防塵性、防塩性等を向上させることができる。
【0046】さらに、本発明は、液晶表示パネル部材類を一体化する際の、各構成部材間の位置決めを簡便に行うことができる。
【0047】さらに、本発明は、一体化された液晶表示パネル部材類を液晶表示装置の本体カバーに容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図2】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図3】ラミネートされた液晶表示パネルを示す断面図である。
【図4】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図5】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図6】ラミネートされた液晶表示パネルを示す断面図である。
【図7】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図8】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図9】ラミネートされた液晶表示パネルを示す断面図である。
【図10】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【図11】本願発明の液晶表示パネル部材の組み立てを示す斜視図である。
【符号の説明】
2 フレーム
4 ランプリフレクタ
6 導光板
8 光学系シート類
10 アレイ・セル
12 ランプ
14 フロントベゼル14
16 プラスチックフィルム
20 ノリしろ
30 凸部
32 凹部
34 位置決め用部品
40 開口
42 遮光性シート
48 TAB
50 保護板
52 X−Yカード
54 アレイ・セル止め
60 ビア孔
62 ビア
70 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の液晶表示パネル部材からなる液晶表示パネル部材類と、前記液晶表示パネル部材類をラミネートするフィルムからなる液晶表示パネル。
【請求項2】前記の複数の液晶表示パネル部材が、アレイ・セル、光学系シート類、導光体、ランプリフレクタ、ランプからなる群から選択される、少なくとも2種類以上の液晶表示パネル部材であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】前記フィルムが、常温でまたは加熱溶融下で、粘着性を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】前記フィルムが、前記液晶表示パネル部材類全体をラミネートしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】前記フィルムが、開口を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】前記開口が、前記液晶表示パネルの画像表示部該当箇所に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】前記フィルムが、遮光性フィルムであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示パネル。
【請求項8】前記開口が、液晶表示パネル部材類と外部の間で、電源、グラウンド、または電気信号を供給するための開口であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示パネル。
【請求項9】前記液晶表示パネル部材類が、さらに保護板を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項10】前記液晶表示パネルが、貫通孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項11】前記貫通孔が、前記液晶表示パネル部材類の周辺部のフィルムに設けられていることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示パネル。
【請求項12】前記の複数の液晶表示パネル部材のうち少なくとも2以上の部材が、位置決め用部位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネル。
【請求項13】さらに位置決め部品を含むことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示パネル。
【請求項14】前記フィルムが、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1ないし13に記載の液晶表示パネル。
【請求項15】複数の液晶表示パネル部材からなる液晶表示パネル部材類と、前記液晶表示パネル部材類をラミネートするフィルムと、本体カバーとからなる液晶表示装置。
【請求項16】前記フィルムが前記本体カバーにネジ止めされていることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開平11−259021
【公開日】平成11年(1999)9月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−34674
【出願日】平成10年(1998)2月17日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION