説明

液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、電子機器

【課題】透過率が高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】色材層と、電極層と、前記色材層と前記電極層との間に形成された中間層と、を備え、前記中間層の屈折率が、前記色材層の屈折率よりも高く、かつ、前記電極層の屈折率よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、液晶表示装置の製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置として、カラーフィルター基板と素子基板との間に液晶層が封入されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような液晶表示装置において、素子基板は、液晶層に対して画素領域ごとに電界を印加可能になっており、電界印加の有無により、液晶層の液晶分子の方位角が変化し、液晶層を通る光は電界印加の有無により異なる偏光状態になる。そして、液晶層を通った光は、偏光状態に応じてその一部が偏光板に吸収されて、所望の階調の光になる。一方、カラーフィルター基板は、透過させる光の波長が異なる複数の色材層を含み、色材層は、画素領域と1対1で対応されている。液晶層から射出された光は、色材層を通ることにより所定の波長帯域の成分が吸収され、所望の色光になる。一般的には、赤緑青の3つの画素領域において液晶層が独立して制御され、赤緑青の3つの画素領域から射出される光により、フルカラー画像の1画素が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3261854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の液晶表示装置では、カラーフィルターに光が照射された場合に、各材料間における屈折率の差が大きいため、各材料間の界面において光が反射し、透過率が低下してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液晶表示装置は、色材層と、電極層と、前記色材層と前記電極層との間に形成された中間層と、を備え、前記中間層の屈折率が、前記色材層の屈折率よりも高く、かつ、前記電極層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、色材層と電極層との間には、色材層の屈折率と電極層の屈折率との間の屈折率を有する中間層が形成される。そして、例えば、色材層側から電極層側に向けて光を照射した場合、光は色材層から中間層を介して電極層側に進行するが、この際、光の進行に従って徐々に屈折率が変化する各層内を進行することになる(この場合、光は、屈折率が徐々に高くなる方向に進行する)。このため、光が進行した際、各層の界面における光の反射が低減され、透過率を向上させることができる。なお、電極層側から色材層側に向けて光を照射した場合も同様の作用効果を奏する(なお、この場合、光は、屈折率が徐々に低くなる方向に進行する)。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液晶表示装置では、前記色材層と前記中間層との接触面が、前記色材層側に向けて凸形状を成すことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、透過率を高めるとともに、凸形状を有する接触面が集光レンズ機能を成し、照射された光を集光させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液晶表示装置では、複数の前記色材層のうち、吸収光波長が長い前記色材層に対応する前記接触面の曲率が、吸収光波長が短い前記色材層に対応する前記接触面の曲率よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、接触面の曲率が大きい場合には、透過した光の焦点距離を短くさせることができる。一方、接触面の曲率が小さい場合には、透過した光の焦点距離を長くさせることができる。従って、相対的に吸収光波長が長い色材層を透過した光の焦点距離を短くさせるとともに、吸収光波長が短い色材層を透過した光の焦点距離を長くさせて、各色材層を透過した光の焦点を揃え、色バランスを向上させることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液晶表示装置では、複数の前記色材層のうち、吸収光波長が長い前記色材層と前記中間層との屈折率の差が、吸収光波長が短い前記色材層と前記中間層との屈折率との差よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、屈折率の差が大きい場合には、透過した光の焦点距離を短くさせることができる。一方、屈折率の差が小さい場合には、透過した光の焦点距離を長くさせることができる。従って、相対的に吸収光波長が長い色材層を透過した光の焦点距離を短くさせるとともに、吸収光波長が短い色材層を透過した光の焦点距離を長くさせて、各色材層を透過した光の焦点を揃え、色バランスを向上させることができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる液晶表示装置の製造方法は、基板上に色材層を形成する色材層形成工程と、前記色材層上に、前記色材層の屈折率よりも高い屈折率を有する中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層上に、前記中間層の屈折率よりも高い屈折率を有する電極層を形成する電極層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、色材層と電極層との間には、色材層の屈折率と電極層の屈折率との間の屈折率を有する中間層が形成される。そして、例えば、色材層側から電極層側に向けて光を照射した場合、光は色材層から中間層を介して電極層側に進行するが、この際、光の進行に従って徐々に屈折率が変化する各層内を進行することになる(この場合、光は、屈折率が徐々に高くなる方向に進行する)。このため、光が進行した際、各層の界面における光の反射が低減され、透過率を向上させることができる。なお、電極層側から色材層側に向けて光を照射した場合も同様の作用効果を奏する(なお、この場合、光は、屈折率が徐々に低くなる方向に進行する)。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる電子機器は、上記の液晶表示装置、または、上記の液晶表示装置の製造方法によって製造された液晶表示装置を搭載したことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、高品位の電子機器を提供することができる。この場合、電子機器は、例えば、上記の液晶表示装置を搭載したテレビ受像機、パーソナルコンピューター、携帯型電子機器、その他、各種の電子機器がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液晶表示装置の構成を示し、(a)は斜視図、(b)一部拡大した平面図。
【図2】液晶表示装置の構成を示す要部断面図。
【図3】液晶表示装置の集光状態を示す模式図。
【図4】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図5】液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図6】液晶表示装置の製造方法を示す工程図。
【図7】液晶表示装置の製造方法を示す工程図。
【図8】電子機器の構成を示す斜視図。
【図9】変形例にかかる液晶表示装置の集光状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、説明に用いる図面において、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。また、実施形態において同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0020】
図1は、液晶表示装置の構成を示し、同図(a)は、斜視図であり、同図(b)は、表示領域を拡大した平面図である。図1(a)に示すように、液晶表示装置1aは、概略板状のものであり、一方の面に表示領域A1を有している。表示領域A1内に、複数の画素領域Pが行列状に配置されている。表示領域A1の外側は、額縁A2になっている。液晶表示装置1aの内部には、複数の走査線10aと、複数のデータ線10bが設けられている。複数の走査線10aは互いに略平行になっており、複数のデータ線10bも互いに略平行になっている。走査線10aは、データ線10bと略直交(交差)している。そして、走査線10aとデータ線10bとで囲まれた領域の各々が、画素領域Pになっている。
【0021】
走査線10a及びデータ線10bは、表示領域A1と額縁A2とにわたって設けられている。額縁A2において走査線10aの端部は、走査信号を供給する走査線駆動回路(図示略)と電気的に接続されている。また、額縁A2においてデータ線10bの端部は、画像信号を供給するデータ線駆動回路(図示略)と電気的に接続されている。
【0022】
図1(b)に示すように、表示領域A1には、複数の画素領域Pが含まれている。本実施形態の画素領域Pでは、赤表示の画素領域Pr、緑表示の画素領域Pg、青表示の画素領域Pbが含まれている。そして、画素領域Pr,Pg,Pbから、それぞれ赤色光、緑色光、青色光が表示側に向けて射出されると、赤色光、緑色光、青色光が混じり合って視認されて、フルカラー画像の1画素が表示される。画素領域Pr,Pg,Pbの各間は、遮光領域Dが設けられている。
【0023】
図2は、本実施形態にかかる液晶表示装置の要部断面図である。図2に示すように、液晶表示装置1aは、素子基板11と、素子基板11に対向して配置されたカラーフィルター基板12aと、素子基板11とカラーフィルター基板12aとの間に挟持された液晶層13を備えている。
【0024】
素子基板11は、例えば、アクティブマトリクス型のものであり、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明基板11Aを基体としている。透明基板11A上に素子層111が設けられている。素子層111には、素子としての薄膜トランジスター(TFT)112や、図1(a)に示した走査線10a、データ線10b等の各種配線等が設けられている。なお、TFT112や各種配線は、光が遮光される遮光領域Dに対応する部分に設けられている。
【0025】
素子層111の液晶層13側には、画素領域Pr,Pg,Pbごとに島状の画素電極113が形成されている。画素電極113は、TFT112と1対1で対応しており、対応するTFT112と電気的に接続されている。TFT112は、走査信号に基づいて画像信号をスイッチングし、画像信号を画素電極113に所定のタイミングで供給する。
【0026】
遮光領域Dと重なる部分の素子層111上に、例えば、シリコン酸化物等の無機材料からなるパッシベーション膜114が設けられている。パッシベーション膜114は、画素電極113の周縁部を環状に覆って、また、複数の画素電極113の周縁部にわたって形成されている。画素電極113と液晶層13との間には、第1配向膜115が設けられている。第1配向膜115は、例えば、ポリイミド等からなる膜にラビング処理等の配向処理を施したものであり、後述する第2配向膜126とともに液晶層13の配向状態を制御する。ここでは、液晶層13をネマティックツイスト配向(TN配向)させるように、第1配向膜115、第2配向膜126に配向処理がなされている。また、透明基板11Aにおいて素子層111と反対側には第1偏光板116が設けられている。第1偏光板116は、所定の方向の直線偏光を通す特性を有している。
【0027】
カラーフィルター基板12aは、色材層と、電極層と、色材層と電極層との間に形成された中間層と、を備えている。以下、詳細に説明する。カラーフィルター基板12aは、基板としての透明基板12Aと、透明基板12A上に形成された複数の色材層122r,122g,122bと、各色材層122r,122g,122b上に形成された中間層としての平坦化層124と、平坦化層124上に形成された電極層としての共通電極125と、共通電極125上に形成された第2配向膜126と、を備えている。
【0028】
透明基板12Aは、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明性を有した基板である。透明基板12Aの液晶層13側において遮光領域Dと重なる部分に隔壁121が設けられている。隔壁121には、画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分に開口が設けられている。すなわち、隔壁121は、画素領域Pr,Pg,Pbの各々を環状に囲んでいる。隔壁121は、例えば、黒色顔料等の遮光材料を含有したアクリル樹脂等からなり、ブラックマトリクスとして機能する。
【0029】
透明基板12Aの液晶層13側において画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分に、色材層122r,122g,122bが区画配置されている。色材層122r,122g,122bは、隔壁121に設けられた複数の開口内の各々に配置されており、隔壁121により仕切られている。色材層122r,122g,122bは、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過させ、その他の波長帯域の色光を吸収する特性を有している。
【0030】
色材層122r,122g,122b上には、平坦化層124が設けられている。平坦化層124は、透光性を有する樹脂材料等からなる。平坦化層124の形成により、色材層122上が平坦化される。なお、本実施形態では、平坦化層124の液晶層13側の面が、隔壁121の液晶層13側の面と略同一面を成している。
【0031】
平坦化層124上及び隔壁121上には、共通電極125が設けられている。共通電極125は、例えば、透明電極部材(ITO)等で形成されている。そして、共通電極125上に第2配向膜126が設けられている。また、透明基板12Aの色材層122と反対側に、第2偏光板(偏光層)127が配置されている。第2偏光板127は、直線偏光を通す特性を有している。ここでは、第2偏光板127の透過軸が、第1偏光板116の透過軸に対して略90°の角度をなしている。共通電極125、第2配向膜126、第2偏光板127は、いずれも画素領域Pr,Pg,Pbに対応して通して全面に設けられている。
【0032】
ここで、カラーフィルター基板12aは、色材層122と平坦化層124と共通電極125との積層構造を有している。そして、色材層122と共通電極125との間に形成された平坦化層124の屈折率が、色材層122の屈折率よりも高く、かつ、共通電極125の屈折率よりも低くなっている。具体的には、色材層122の屈折率は約1.5、共通電極125の屈折率は約1.9に設定され、平坦化層124の屈折率は約1.7に設定されている。すなわち、平坦化層124の屈折率が、色材層122の屈折率と共通電極125の屈折率の間になるように設定されている。このように、色材層122と共通電極125との間に、中間屈折率を有する平坦化層124を形成することにより、色材層122と平坦化層124と共通電極125に光を透過させた場合に、各層の界面における光の反射が低減され、透過率を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態では、色材層122と平坦化層124との接触面123が、色材層122側に向けて凸形状を成している。これにより、例えば、色材層122側から共通電極125側に向けて光が照射された場合において、効率よく集光させ、コントラストを向上させることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、複数の色材層122のうち、相対的に吸収光波長が長い色材層122に対応する接触面123の曲率が、相対的に吸収光波長が短い色材層122に対応する接触面123の曲率よりも大きくなるように形成されている。換言すれば、相対的に吸収光波長が長い色材層122に対応する接触面123の曲がりの度合いが、相対的に吸収光波長が短い色材層122に対応する接触面123の曲がりの度合いよりも大きい。具体的には、複数の色材層122r,122g,122bのうち、赤色光を透過させる色材層122rが、最も吸収光波長が長く、次いで、緑色光を透過させる色材層122gが長く、青色光を透過させる色材層122bが最も吸収光波長が短い。従って、吸収光波長が長い色材層122rに対応する接触面123aの曲率が、吸収光波長の短い色材層122g,122bに対応する接触面123b,123cの曲率よりも大きくなるように形成されている。すなわち、色材層122bに対応する接触面123c、色材層122gに対応する接触面123b、色材層122rに対応する接触面123aの順に段々に曲率が大きくなるように形成されている。これにより、吸収光波長が長い色材層122rを透過する光が、他の色材層122g,122bを透過する光よりも大きく屈折され、他の色材層122g,122bに対応する焦点距離よりも短くさせることができる。一方、吸収光波長が短い色材層122bを透過する光の屈折を小さくさせ、焦点距離を長くさせることができる。そして、各色材層122r,122g,122bを透過して集光される距離が、素子基板11から等しくなるように各接触面123a,123b,123cの曲率が形成されている。なお、各色材層122r,122g,122bに対応する接触面123a,123b,123cの曲率の設定方法は、特に限定されないが、例えば、色材層122gに対応する接触面123bの曲率を基準として、接触面123aの曲率は、接触面123bの曲率よりも大きく、接触面123cの曲率は、接触面123bの曲率よりも小さくなるように形成することができる。
【0035】
液晶層13は、複屈折性を有する液晶材料からなっている。ここでは、液晶層13の配向状態がTN配向になっており、液晶層13は電界非印加状態で複屈折性を発現するようになっている。液晶層13に電界が印加されると、液晶分子のディレクター方向が電界方向と略平行になり、液晶層13は複屈折性を発現しなくなる。
【0036】
次に、本実施形態の液晶表示装置1aの集光状態について説明する。図3は、液晶表示装置の集光状態を示す模式図である。液晶表示装置1aにおいて、照射光は、第2偏光板127を通って直線偏光になり、透明基板12Aを透過した光は色材層122に入射する。ここで、画素領域Prに着目すると、色材層122rに入射した光は、赤色光以外の波長帯域の光が吸収され、色材層122rから赤色光が射出される。色材層122rから射出された赤色光は、色材層122rと平坦化層124と接触面123aで屈折し、平坦化層124を透過した光は、共通電極125に入射され、平坦化層124と共通電極との界面において屈折し、液晶層13に入射する。ここで、画素電極113に画像信号が供給されていない状態で、液晶層13は電界非印加状態になっており複屈折性を発現している。電界非印加状態の液晶層13に入射した光は、位相変調されて第1直線偏光から90°回転した第2直線偏光になり、素子基板11に入射し、振動方向が第1偏光板116の透過軸と略一致しており、第1偏光板116を透過して、画素領域Prが明表示(赤)となり、第1偏光板116を透過した光は、集光点CPにおいて集光される。
【0037】
画素領域Pg,Pbの集光状態についても、上記画素領域Prと同様であるが、接触面123a,123b,123cにおいて、接触面123aの曲率が他の接触面123b,123cの曲率よりも大きく設定され、次いで、接触面123bの曲率が大きく設定されている。このため、吸収光波長の長い色材層122rを透過する光は、相対的に大きく屈折され、吸収光波長の短い色材層122bを透過する光は、相対的に屈折が抑えられる。このため、吸収光波長が異なる場合であっても、例えば、素子基板11から各色材層122r,122g,122bを透過した光の集光点までの距離をほぼ等しくさせることができる。
【0038】
また、画素電極113に画像信号が供給された状態では、液晶層13が電界印加状態となり複屈折性を発現しなくなる。第2偏光板127を通って電界印加状態の液晶層13に入射した直線偏光は、振動方向が第1偏光板116の吸収軸と略一致しており、第1偏光板116に吸収される。これにより、画素領域Prが暗表示(黒)になる。画素領域Pg,Pbについても、上記画素領域Prと同様である。
【0039】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、液晶表示装置の製造方法について説明する。なお、液晶表示装置のカラーフィルター基板の製造において、機能液を液滴として吐出してパターンを形成する液滴吐出装置を用いるため、液晶表示装置の製造方法の説明に先立ち、まず、液滴吐出装置について説明する。
【0040】
図4は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1001と、X軸方向駆動軸1004と、Y軸方向ガイド軸1005と、制御装置CONTと、ステージ1007と、クリーニング機構1008と、基台1009と、ヒーター1015を備えている。
【0041】
ステージ1007は、機能液が塗布されるワークWを支持するものであって、ワークWを基準位置に固定する図示は省略の固定機構を備えている。
【0042】
液滴吐出ヘッド1001は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1001の下面に一定間隔で設けられている。そして、液滴吐出ヘッド1001の吐出ノズルからステージ1007に支持されているワークWに向けて、機能液が液滴として吐出され、ワークW上に機能液を塗布するように構成されている。
【0043】
X軸方向駆動軸1004には、X軸方向駆動モーター1002が接続されている。このX軸方向駆動モーター1002は、ステッピングモーター等からなるもので、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸1004を回転させる。X軸方向駆動軸1004が回転すると、液滴吐出ヘッド1001はX軸方向に移動する。
【0044】
Y軸方向ガイド軸1005は、基台1009に対して動かないように固定されている。ステージ1007は、Y軸方向駆動モーター1003を備えている。Y軸方向駆動モーター1003はステッピングモーター等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ1007をY軸方向に移動する。
【0045】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1001に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モーター1002に液滴吐出ヘッド1001のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モーター1003にステージ1007のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0046】
クリーニング機構1008は、液滴吐出ヘッド1001をクリーニングするものである。クリーニング機構1008には、図示は省略のY軸方向の駆動モーターが備えられている。このY軸方向の駆動モーターの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸1005に沿って移動する。クリーニング機構1008の移動も制御装置CONTにより制御される。
【0047】
ヒーター1015は、ここではランプアニールによりワークWを熱処理する手段であり、ワークW上に配置された機能液に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒーター1015の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0048】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1001とワークWを支持するステージ1007とを相対的に走査しつつ、ワークWに対して、液滴吐出ヘッド1001の下面にX軸方向に配列された複数の吐出ノズルから液滴を吐出するようになっている。
【0049】
図5は、ピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明する図である。図5において、機能液を収容する液体室1021に隣接してピエゾ素子1022が設置されている。液体室1021には、機能液を収容する材料タンクを含む液体材料供給系1023を介して機能液が供給される。ピエゾ素子1022は駆動回路1024に接続されており、この駆動回路1024を介してピエゾ素子1022に電圧を印加し、ピエゾ素子1022を変形させることにより、液体室1021が変形し、吐出ノズル1025から機能液が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子1022の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子1022の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0050】
液晶表示装置の製造方法の説明に戻り、図を参照しながら説明する。図6及び図7は、液晶表示装置のカラーフィルター基板の製造方法を示す工程図である。本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、基板上に色材層を形成する色材層形成工程と、色材層上に、色材層の屈折率よりも高い屈折率を有する中間層を形成する中間層形成工程と、中間層上に、中間層の屈折率よりも高い屈折率を有する電極層を形成する電極層形成工程と、を含むものである。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、透明基板12A上に隔壁121を形成する。具体的には、例えば透明基板12A上に樹脂材料を成膜し、この膜において画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分を開口して、隔壁121を形成する。
【0052】
次いで、色材層形成工程では、図6(b)に示すように、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド1001から隔壁121によって区画された領域に向けて各色材層122r,122g,122bの材料を含む機能液を液滴51r,52g,53bとして吐出させ、隔壁121に囲まれる部分に、機能液122r’,122g’,122b’を塗布させる。この際、各機能液122r’,122g’,122b’の塗布量(吐出量)を調整する。本実施形態では、機能液122r’,122g’,122b’の順に塗布量が多くなるように液滴51r,52g,53bを吐出する。
【0053】
その後、塗布された機能液122r’,122g’,122b’を乾燥・焼成等して固化する。これにより、図6(c)に示すように、色材層122r,122g,122bが形成される。ここで、色材層122の表面(接触面123)の曲率が、色材層122b,122g,122rの順に大きくなっている。
【0054】
次いで、中間層形成工程では、図7(a)に示すように、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド1001から各色材層122r,122g,122bに向けて中間層としての平坦化層124の材料を含む機能液を液滴57として吐出させ、各色材層122r,122g,122b上に機能液124’を塗布させる。
【0055】
そして、塗布された機能液124’を乾燥・焼成等して固化させる。これにより、図7(b)に示すように、各色材層122r,122g,122b上に平坦化層124が形成される。なお、平坦化層124の屈折率が、色材層122の屈折率よりも高くなるように材料選定される。
【0056】
次いで、電極層形成工程では、図7(c)に示すように、平坦化層124及び隔壁121上にITO等の透明導電材料を成膜して、電極層としての共通電極125を形成する。そして、共通電極125上に第2配向膜126を形成する。これにより、第2偏光板127を除いたカラーフィルター基板12aが形成される。なお、共通電極125の屈折率が、平坦化層124の屈折率よりも高くなるように材料選定される。
【0057】
そして、上記カラーフィルター基板12aの形成と別に、素子基板11を形成する。具体的には、透明基板11A上にTFT112や各種配線等を形成して、素子層111を形成する。そして、素子層111上に島状の画素電極113を形成する。そして、画素電極113の周縁部と画素電極113の間に連続して、パッシベーション膜114を形成する。例えば、透明基板11A上のほぼ全域に無機材料(例えばシリコン酸化物)を成膜する。そして、この膜をパターニングして、画素電極113において画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分(中央部)を露出させることにより、パッシベーション膜114が得られる。そして、画素電極113とパッシベーション膜114とを覆って、透明基板11A上のほぼ全域に第1配向膜115を形成する。素子基板11は、公知の形成材料や形成方法を適宜用いて形成することができる。
【0058】
次いで、素子基板11と、カラーフィルター基板12aを、画素電極113と共通電極125とを内側にして対向配置させる。そして、素子基板11とカラーフィルター基板12aとを位置合わせしつつ、素子基板11の周縁部とカラーフィルター基板12aの周縁部とを貼り合せるとともに、素子基板11とカラーフィルター基板12aとの間に液晶材料を封入して液晶層13を封止する。また、透明基板11Aの外側に第1偏光板116を貼設し、透明基板12Aの外側に第2偏光板127を貼設すること等により液晶表示装置1aが得られる。
【0059】
(電子機器の構成)
次に、電子機器の構成について説明する。なお、本実施形態では、電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューターの構成について説明する。図8は、電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。モバイル型パーソナルコンピューター1100は、液晶表示装置1aと、キーボード1102を有する本体部1103等を備えている。なお、上記の電子機器は、本発明の電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、液晶表示装置1aは、他の電子機器として、携帯電話、携帯用オーディオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)などにも適用することができる。
【0060】
従って、上記実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0061】
(1)色材層122と共通電極125との間に、色材層122の屈折率と共通電極125の屈折率の間の屈折率を有する平坦化層124を設けた。これにより、各層間の屈折率の差が小さくなり、各層の界面における光の反射が低減されるので、透過率を向上させることができる。
【0062】
(2)また、色材層122と平坦化層124とが接触する接触面123を、色材層122側に向けて凸形状とした。これにより、集光特性が向上され、さらに透過率を高めることができる。
【0063】
(3)複数の色材層122r,122g,122bのうち、吸収光波長が長い色材層122rに対応する接触面123aの曲率が、他の吸収光波長の短い色材層122g,122bに対応する接触面123b,123cの曲率よりも大きくなるように形成した。具体的には、色材層122b、色材層122g、色材層122rの順にそれぞれの色材層122b,122g,122rに対応する接触面123の曲率を大きくした。これにより、吸収光波長が長い色材層122rを透過した光の焦点距離を短くさせ、吸収光波長の短い色材層122bを透過した光の焦点距離を長くさせることが可能となり、例えば、液晶表示装置1aの表示面から各色材層122r,122g,122bを透過した光の集光点CPの高さを揃えることができる。これにより、色バランスを向上させることができる。
【0064】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0065】
(変形例1)上記実施形態では、色材層122と共通電極125との間に中間層としての平坦化層124を一層設けたが、これに限定されず、色材層122と共通電極125との間に中間層を複数設けてもよい。この場合、各中間層における屈折率を異ならせ、例えば、色材層122から共通電極125に向けて、徐々に屈折率が高くなるように配置する。このようにすれば、各層間における屈折率差が、さらに小さくなるので、より光反射を低減させ、透過率を向上させることができる。
【0066】
(変形例2)上記実施形態では、色材層毎に対応した接触面の曲率を調整して、焦点距離を均一化したが、これに限定されない。曲率とともに、各部材間の屈折率差の両方で調整してもよい。このようにしても、上記同様に各色材層122r,122g,122bを透過した光の集光点CPの高さを揃えることができる。
【0067】
(変形例3)上記実施形態では、3種類の色材層122r,122g、122bを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、色材層122が、1または2種類であってもよいし、4種類以上あってもよい。このような場合であっても、色材層122と平坦化層124と共通電極125の積層構造を有するので、上記同様の効果を得ることができる。
【0068】
(変形例4)上記実施形態では、カラーフィルター基板12a側から素子基板11側に光を照射した場合について説明したが、これに限定されず、図9に示すように、素子基板11側からカラーフィルター基板12a側に光を照射してもよい。このようにしても、光は、共通電極125から進入して共通電極125と色材層122との間に中間の屈折率を有する平坦化層124を通過して色材層122へ進行するので、透過率を高めるとともに、照射された光を集光させることができる。
【0069】
(変形例5)上記実施形態における液晶表示装置1aでは、カラーフィルター基板12aの透明基板12A上に色材層122を形成したが、これに限定されない。色材層122を素子基板11側に設けてもよい。この場合、例えば、透明基板11A上にTFT112等を設け、当該TFT112上に色材層122を設け、色材層122上に中間層としての平坦化層124を設け、平坦化層124上に電極層としての画素電極113を設ければよい。すなわち、COA(Color filter On Array)構成を有する液晶表示装置であってもよい。そして、このように構成された液晶表示装置1aの平坦化層の屈折率が、色材層122の屈折率よりも高く、かつ、画素電極113の屈折率よりも低くなるように設定する。このように構成しても、上記同様の効果を得ることができる。
【0070】
(変形例6)上記実施形態において説明した液晶層13は、VA配向等のTN配向以外の配向のものであってもよいし、横電界により駆動されるものでもよい。液晶層の配向性や駆動方法を変更する場合には、電極配置や配向膜の特性、偏光板の特性等も適宜変更すればよい。また、透過型の液晶装置の他にも、反射型、あるいは半透過半反射型の液晶表示装置としてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1a,1b…液晶表示装置、11…素子基板、12a,12b…カラーフィルター基板、13…液晶層、122,122r,122g,122g…色材層、123,123a,123b,123c…接触面、124…中間層としての平坦化層、125…電極層としての共通電極、1100…電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューター、IJ…液滴吐出装置、CP…集光点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材層と、
電極層と、
前記色材層と前記電極層との間に形成された中間層と、を備え、
前記中間層の屈折率が、前記色材層の屈折率よりも高く、かつ、前記電極層の屈折率よりも低いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記色材層と前記中間層との接触面が、前記色材層側に向けて凸形状を成すことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶表示装置において、
複数の前記色材層のうち、
吸収光波長が長い前記色材層に対応する前記接触面の曲率が、吸収光波長が短い前記色材層に対応する前記接触面の曲率よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液晶表示装置において、
複数の前記色材層のうち、
吸収光波長が長い前記色材層と前記中間層との屈折率の差が、吸収光波長が短い前記色材層と前記中間層との屈折率との差よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
基板上に色材層を形成する色材層形成工程と、
前記色材層上に、前記色材層の屈折率よりも高い屈折率を有する中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層上に、前記中間層の屈折率よりも高い屈折率を有する電極層を形成する電極層形成工程と、を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置、または、請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法によって製造された液晶表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−13745(P2012−13745A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147243(P2010−147243)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】