説明

液晶表示装置、電子機器、及びデータ信号生成方法。

【課題】リバースチルトドメインが結合した横線の発生を抑止する
【解決手段】液晶装置1は、複数の画素Pxを備える表示パネル10と、映像処理回路70を備える制御回路50とを有する。映像信号VIDEOが規定する階調に対応するデータ信号Vidが第1電圧Vcよりも小さな暗画素Pxbの明視方向Lと逆側に、映像信号VIDEOが規定する階調に対応するデータ信号Vidが第2電圧Vsat以上の明画素Pxwが隣り合う場合、映像処理回路70は、映像信号VIDEOを補正して、当該暗画素Pxbの液晶232に印加される印加電圧が第1電圧Vcとなるようにデータ信号Vidを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置における表示上の不具合を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、一定の間隔を有する1対の基板を有し、複数の画素がマトリクス状に設けられる。具体的には、一方の基板上に画素の各々に対応するように複数の画素電極が形成され、他方の基板であって一方の基板と向かい合う面に複数の画素に共通な共通電極が形成される。そして、共通電極と複数の画素電極との間に、液晶が設けられる。
VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式において、液晶の配向状態、すなわち液晶を構成する液晶分子の傾きは、共通電極と画素電極との間に生じる、1対の基板に対して垂直な方向の成分を有する縦電界により規定される。そして、この縦電界により制御される液晶分子の配向状態により、画素の透過率または反射率が定まる。
【0003】
ところで、近年、液晶装置の小型化、高精細化が進み、画素ピッチが狭くなっている。画素ピッチが狭くなると、液晶の配向状態を制御する縦電界の他に、互いに隣り合う画素間で横電界が生じる。縦電界によって配向状態が制御される液晶分子に対して横電界が加わる場合、液晶分子が本来傾くべき方向とは異なる方向に傾く配向不良(リバースチルトドメイン)が発生し、表示上の不具合が生じるという問題があった。
【0004】
このような、リバースチルトドメインの問題に対応するために、遮光層及び開口部の形状を工夫してリバースチルトドメインの発生領域を視認できないようにする技術(特許文献1)や、映像信号から算出した平均輝度値が一定値以下の場合にリバースチルトドメインが発生すると判断することで設定以上の映像信号をクリップする技術(特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−34965号公報
【特許文献2】特開2009−69608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、遮光層及び開口部の形状等の液晶パネルの構造によりリバースチルトドメインの影響を低減する方法では、開口率が低下するため、十分な輝度を得ることが出来ないという問題が生じる。
一方、映像信号をクリップする技術の場合、高階調値の映像信号を液晶パネルに表示できないため、画像の明るさが制限され、画像のコントラストが低下する等の表示品質の低下を招くという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて、表示品質の劣化を招くことなく、リバースチルトドメインによる表示不具合の発生を防止・低減させることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る液晶表示装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数の走査線との交差に対応して設けられた複数の画素と、映像信号に基づいて、表示すべき階調となるように前記複数の画素の各々の透過率を規定するデータ信号を生成する映像処理回路と、前記複数のデータ線に前記データ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数の走査線を駆動する走査線駆動回路とを備え、表示面に垂直な方向から見て前記データ信号に基づいて液晶分子が変位する方向を明視方向とした場合、前記映像処理回路は、前記複数の画素のうち一の画素の液晶に印加される印加電圧が第1電圧より小さく、かつ、当該一の画素に対して明視方向と逆方向に位置する画素の液晶に印加される印加電圧が前記第1電圧より大きい第2電圧以上となる場合に、前記一の画素の液晶に印加される電圧が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、液晶に印加される印加電圧が第1電圧よりも小さな画素(暗画素)と、液晶に印加される印加電圧が第1電圧よりも大きい第2電圧以上となる画素(明画素)とが隣り合う場合に、当該暗画素の液晶に印加される印加電圧を第1電圧となるように補正を行う。このような補正を行うことにより、補正をしない場合に比べて、これら2つの画素の間に生じる横電界を小さくすることができると共に、当該暗画素に生じる縦電界を大きくすることができる。
画素の透過率は、当該画素に供給されるデータ信号に基づいて当該画素の液晶に印加される電圧により生ずる縦電界が、当該画素の液晶分子を明視方向側に傾けることによって制御される。しかし、ある画素の液晶に印加される電圧と、当該ある画素に隣り合う画素の液晶に印加される電圧との電位差が大きくなる場合、これらの2つの画素の間に発生する横電界により、液晶分子が、本来縦電界により傾くべき明視方向側とは逆側に傾き、配向の乱れた状態となることがある。そして、このような配向の乱れた状態の液晶分子により形成されるリバースチルトドメインが、その領域を拡大する場合には、表示上の不具合としてユーザに視認される。このリバースチルトドメインは、2つの画素の間の横電界が大きい場合に、発生しやすくなる。
一方、液晶分子に対して縦電界が作用する場合、縦電界による規制力により、液晶分子は安定な状態となる。この場合、液晶分子は横電界による影響を受けにくくなり、その結果として、リバースチルトドメインは発生しにくくなる。
この発明によれば、補正により、暗画素及び明画素の間に生ずる横電界を小さくすると共に、当該暗画素に生ずる縦電界を大きくするため、リバースチルトドメインが発生する可能性を低く抑えることが可能となる。
【0010】
また、この発明によれば、液晶に印加される印加電圧が第1電圧よりも小さな画素(暗画素)と、液晶に印加される印加電圧が第1電圧よりも大きい第2電圧以上となる画素(明画素)とが隣り合う場合で、且つ、暗画素の明視方向と逆側に明画素が位置する場合に、当該暗画素に対して補正を行う。
液晶分子が横電界の影響を受けて明視方向とは逆側に傾いて配向の乱れた状態となった場合、当該液晶分子は、本来の状態、すなわち、明視方向側に傾く状態には戻りにくくなる。このような、液晶分子を明視方向とは逆側に傾かせる横電界は、暗画素と、暗画素の明視方向と逆側に位置する明画素との間において生じる。従って、リバースチルトドメインは、暗画素から見て明視方向と逆側に明画素が隣り合う場合に、これら2つの画素の境界近傍において発生する可能性が高くなる。
この発明によれば、暗画素と明画素とが隣り合う場合のうち、暗画素の明視方向と逆側に明画素が位置する場合に、当該暗画素に対して補正を行う。つまり、補正は、リバースチルトドメインが発生する可能性の高い画素に対して行うものであり、補正を行う画素数を少なくできる。補正により、暗画素の液晶には、映像信号が規定する階調に対応する電圧とは異なる第1電圧が印加されるため、補正がされた暗画素は、映像信号が規定する階調とは異なる階調を表示する。よって、補正を多くの画素に対して行う場合、補正による輝度変化が、ユーザにより視認される可能性が高くなる。
従って、この発明のように、補正を行う画素数を少なくすることで、補正による輝度変化をユーザに視認される可能性を低くすることができ、映像に濃淡がある場合にも、その輪郭部分がぼやけることを防止して鮮明な映像を表示できる。
【0011】
なお、ある1つの画素で発生したリバースチルトドメインは、数フレーム後には消滅することが多い。このような短期間で消滅するリバースチルトドメインは、ユーザに視認されず、表示品質の大きな劣化をもたらすものではない。
しかし、ある画素で発生したリバースチルトドメインが、当該ある画素に隣り合う画素で発生したリバースチルトドメインと結合し、この結合したリバースチルトドメインがさらに隣りの画素で発生したリバースチルトドメインと結合を繰り返す場合、リバースチルトドメインが横方向に一直線に連なった「横線」に発達し、長期間にわたり存在する場合がある。このような横線は、暗画素と、暗画素の明視方向と逆側に隣り合う明画素とが、1フレームに1画素ずつ右側にスクロールする場合に、暗画素の明視方向と逆側に尾を引くように発生する。
この発明によれば、暗画素の明視方向と逆側に明画素が隣り合う場合に、当該暗画素に対して補正を行う。暗画素に対して補正を行う場合、仮に当該補正のなされた画素でリバースチルトドメインが発生しても、その大きさを小さくすることができる。従って、補正により、補正のなされた画素で発生したリバースチルトドメインと、他の画素で発生したリバースチルトドメインとの結合を防ぐことが可能となり、横線の発生する可能性を低く抑えることができる。
【0012】
また、上述した液晶表示装置において、前記データ信号の最大値に対応する前記画素の透過率を100%とし、前記データ信号の最小値に対応する前記画素の透過率を0%としたときに、前記第1電圧は、前記画素の透過率を0%より大きく0.1%以下とする電圧であることが好ましい。
【0013】
この発明では、ある画素の液晶に印加される電圧を第1電圧となるように補正する場合、第1電圧の値を、画素の相対透過率を基準に定める。
画素の相対透過率と液晶に印加される電圧の関係を示すVT特性は、個々の表示パネルにより異なる。仮に、第1電圧をある固定値にすると、異なる複数の表示パネルの液晶に対して第1電圧を印加した場合に、複数の表示パネル間で画素の相対透過率は異なる値となり、複数の表示パネルの各々で表示品質にバラつきが生じる。さらには、第1電圧を固定値にした場合には、このような表示品質のばらつきにより、一部の表示パネルで補正による輝度変化がユーザに視認される程度に大きくなる可能性も存在する。
この発明によれば、第1電圧の値を画素の相対透過率を基準に定めることにより、個々の表示パネルの間でVT特性にバラつきが存在する場合であっても、補正を行った場合の輝度変化を一定の範囲内に収めることが可能となる。つまり、個々の表示パネル毎に、補正を行う場合の輝度変化に対する影響を均一化できるため、表示パネルの表示品質を一定に保つことができる。
【0014】
また、VT特性を示す曲線VTの形状は、液晶に印加する電圧が一定の大きさ以下(例えば、約1.5V以下)のときは、画素の相対透過率もほぼ0%を保ったまま推移する一方、液晶に印加する電圧が一定の大きさを超える付近で、画素の相対透過率も急激に立ち上がる。
この発明によれば、第1電圧を、画素の相対透過率が0%よりも大きく0.1%以下となる電圧とすることで、第1電圧の値を十分に大きな値とすることが可能となる。つまり、この発明によれば、補正による輝度変化を最小限に抑えつつ、大きな電圧(第1電圧)を液晶に印加することができるため、表示品質を低下させること無く、効果的にリバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0015】
また、上述した液晶表示装置において、第1画素と明視方向と逆方向に隣り合う画素を第2画素としたとき、前記映像処理回路は、前記映像信号にガンマ補正を施して第1信号を生成するガンマ補正手段と、前記第1画素に対応する前記第1信号を遅延させて、前記第2画素に対応する第2信号を生成する遅延手段と、前記第1信号の示す値が前記第1電圧よりも小さく、且つ、前記第2信号の示す値が第2電圧以上であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果が肯定を示す場合、前記第1信号を前記第1電圧とする補正を施して前記データ信号を生成する補正手段と、を備えることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、映像処理回路は、第1画素と第2画素との間でリバースチルトドメインが発生する可能性がある場合に、映像処理回路に入力される映像信号のうち、第1画素の階調を規定する値を、第1電圧に対応する値となるように補正して、データ信号を生成する。これにより、第1画素と第2画素との間でリバースチルトドメインの発生を抑制することができる。
また、映像処理回路は、画素の表示すべき階調を規定する映像信号を、画素の表示すべき階調に対応した電圧の値を規定するデータ信号に変換する。この変換は、例えば、画素の透過率と画素に印加する電圧とを対応付けるルックアップテーブルを参照して行われる。従って、第1電圧の値を、画素の透過率を基準に定める場合であっても、当該ルックアップテーブルを利用することで、画素の透過率に対応する電圧の値を容易に算出することができる。
つまり、この発明によれば、映像信号に対する補正を容易に行うことができると共に、画素の透過率の値の設定及び設定変更を容易に行うことができる。
【0017】
また、上述した液晶表示装置において、前記映像処理回路は、前記一の画素に対して明視方向側に位置する所定数の画素の各々について、前記データ信号が前記第1電圧よりも小さな値である場合、当該画素のデータ信号が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成する、ことが好ましい。
【0018】
この発明によれば、暗画素の明視方向と逆側に明画素が隣り合う場合、当該暗画素を含む当該暗画素から見て明視方向側に位置する複数の画素に対してそれぞれ補正を行う。従って、当該暗画素の明視方向側に複数個の暗画素が存在し、これらの複数の暗画素の各々においてリバースチルトドメインが発生する可能性がある場合であっても、補正を行うことにより、これら複数の暗画素の各々において発生するリバースチルトドメインの規模を小さく抑えることができる。これにより、複数の暗画素の各々において発生したリバースチルトドメインが互いに結合して横線を形成することを予防できる。
【0019】
次に、本発明に係る電子機器は、上記のうちいずれかの液晶表示装置を備えることを特徴とする。このような電子機器として、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、および携帯電話などが該当する。
【0020】
次に、本発明に係るデータ信号の生成方法は、液晶分子を含む液晶と、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数の走査線との交差に対応して設けられた複数の画素と、前記複数のデータ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数の走査線を駆動する走査線駆動回路とを備えた液晶表示装置に供給する前記データ信号を生成するデータ信号生成方法であって、表示面に垂直な方向から見て前記データ信号に基づいて前記液晶分子が変位する方向を明視方向とした場合、前記複数の画素のうち一の画素の液晶に印加される印加電圧が第1電圧より小さく、かつ、当該一の画素に対して明視方向と逆方向に位置する画素の液晶に印加される印加電圧が前記第1電圧より大きい第2電圧以上となるか否かを判定し、判定結果が肯定である場合、前記一の画素の液晶に印加される電圧が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成し、判定結果が否定である場合、前記映像信号が示す階調となるように前記一の画素の液晶に印加される電圧を指定するデータ信号を生成する、ことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、暗画素の明視方向と逆側に明画素が隣り合う場合であっても、暗画素に印加する電圧を第1電圧となるように補正を行うため、これら2つの画素の境界近傍でリバースチルトドメインの発生を抑えることが可能となる。また、このような補正は、リバースチルトドメインが発生する可能性の高い画素に限定して行われ、また、補正前後での画素の透過率の変化を小さく抑えるものであるため、補正による輝度の変化をユーザに視認される可能性を小さく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の構成を示すブロック図である。
【図2】液晶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】画素の等価回路図である。
【図4】表示パネルのVT特性を示す図である。
【図5】リバースチルトドメインの発生箇所、及びリバースチルトドメインの発生時の液晶分子の配向を示す説明図である。
【図6】リバースチルトドメインの発生後の変化を説明する図である。
【図7】補正電圧と液晶の相対透過率との関係を説明する図である。
【図8】補正を行った場合に発生するリバースチルトドメインについて説明する図である。
【図9】補正を行った場合に発生するリバースチルトドメインの発生後の変化を説明する図である。
【図10】映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図11】映像信号とデータ信号との関係を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態に係る映像信号とデータ信号との関係を示す図である。
【図14】補正を行った場合に発生するリバースチルトドメインの発生後の変化を説明する図である。
【図15】第3実施形態に係る映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態に係る映像信号とデータ信号との関係を示す図である。
【図17】第4実施形態に係る映像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図18】第4実施形態に係る映像信号とデータ信号との関係を示す図である。
【図19】補正を行った場合に発生するリバースチルトドメインの発生後の変化を説明する図である。
【図20】変形例4に係る表示パネルのVT特性を示す図である。
【図21】変形例5に係る液晶装置の明視方向及びリバースチルトドメインの発生箇所を説明する図である。
【図22】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図23】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図24】電子機器(プロジェクタ)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<A:第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置1のブロック図である。液晶装置1は、画像を表示する表示体として、電子機器に搭載することができる。図1に示すように、液晶装置1は、画像を表示する表示パネル10と、これを制御する制御回路50と、を備える。
表示パネル10は、複数の画素Pxを有する表示領域20(表示面)と、複数の画素Pxを駆動するための駆動回路30とを備える。駆動回路30は、M本の走査線21と接続する走査線駆動回路31と、N本のデータ線22と接続するデータ線駆動回路32とを備える。制御回路50は、表示パネル10を制御するための各種の信号を供給する走査制御回路60と、映像信号VIDEOに基づいてデータ信号Vidを生成する映像処理回路70とを備える。
【0025】
走査制御回路60は、図示はしない外部上位装置から供給される同期信号Syncに基づいて、Y転送開始パルスDyとYクロック信号Clyとを生成して走査線駆動回路31に出力すると共に、X転送開始パルスDxとドットクロック信号Dclkとを生成してデータ線駆動回路32と映像処理回路70とに出力する。ここで、Y転送開始パルスDyは、図2に示すように、1フレームFの周期でハイレベルに立ち上がるパルス信号であり、X転送開始パルスDxは、1水平走査期間Hの周期でハイレベルに立ち上がるパルス信号である。
映像処理回路70には、上位装置より、表示領域20の有する複数の画素Pxの階調を規定する映像信号VIDEOが供給される。そして、映像処理回路70は、走査制御回路60からの制御に従い、映像信号VIDEOを一旦映像処理回路70の内部メモリに記憶の後、表示パネル10の駆動に同期して読み出して、アナログのデータ信号Vidを生成し、データ線駆動回路32に出力する。
【0026】
表示領域20は、X方向に延在するM本(Mは1以上の自然数)の走査線21と、X方向に交差するY方向に延在するN本(Nは1以上の自然数)のデータ線22と、各走査線21と各データ線22との交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配置された複数の画素Pxとを備える。
走査線駆動回路31は、複数の走査線21を行単位で順次に走査(選択)する手段である。走査線駆動回路31には、走査制御回路60より、Y転送開始パルスDyとYクロック信号Clyとが供給される。そして、走査線駆動回路31は、図2に示すように、Y転送開始パルスDyをYクロック信号Clyに従って順次シフトさせることで、選択信号G[1]〜G[M]を生成し、これらをM本の各走査線21に対して順次出力する。
データ線駆動回路32は、映像処理回路70より供給されるデータ信号Vidと、走査制御回路60より供給されるX転送開始パルスDx及びドットクロック信号Dclkとに基づいて、図2に示すような各画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[1]〜VD[N]を生成し、1水平走査期間Hのうち水平有効期間Haにおいて、N本のデータ線22に対して順次出力する。なお、データ信号Vidは、データ電圧VD[1]〜VD[N]を時分割多重したアナログ信号である。
【0027】
図3は、画素Pxの等価回路図である。ここでは、第i行(iは、1≦i≦Mを満たす自然数)第j列(jは、1≦j≦Nを満たす自然数)に位置する画素Pxを代表的に図示している。画素Pxは、選択トランジスタ(スイッチング素子)235と、透明な画素電極231と透明な共通電極233との間に設けられた液晶232とを備える液晶素子230と、保持容量COとを有する。選択トランジスタ235のゲートはi行目の走査線21に接続され、ソース及びドレインの一方はj列目のデータ線22に接続され、ソース及びドレインの他方は画素電極231に接続される。また、保持容量COは、一端が画素電極231に接続され、他端が一定の電圧たとえば接地電位GNDに保たれた容量線24に接続されている。
【0028】
走査線21に供給される選択信号G[i]がハイレベルになると、選択トランジスタ235はオン状態となり、データ信号Vid(具体的には、データ電圧VD[j])がデータ線22より選択トランジスタ235を介して画素電極231に供給される。画素電極231に供給されたデータ電圧VD[j]は、液晶素子230の容量及び保持容量COにより保持される。また、走査線21に供給される選択信号G[i]がローレベルの期間では、選択トランジスタ235はオフ状態となり、データ線22と画素電極231とは非導通の状態となる。
【0029】
なお、図示は省略するが、表示パネル10は、一定の間隔を保って貼り合わされた素子基板と対向基板とを備える。液晶232は、素子基板と対向基板との間隙に封止されている。本実施形態では、素子基板上に、走査線駆動回路31、データ線駆動回路32、走査線21、データ線22、選択トランジスタ235、及び画素電極231が形成され、対向基板上には共通電極233が複数の画素電極231に共通するように形成される。共通電極233には共通電位Vcomが供給される。
【0030】
本実施形態は、液晶232はVA方式であり、液晶素子230に対して電圧が印加されない状態において画素Pxが黒表示(画素の相対透過率が0%)となるノーマリーブラックモードを想定する。以下では、図4を参照しつつ、液晶素子230に印加する電圧と画素の相対透過率との関係、及び、液晶素子230に電圧を印加した場合の液晶分子mの動きについて、説明する。
【0031】
図4(A)は、液晶素子230に印加される電圧と、画素Pxの相対透過率との関係であるVT特性を示すグラフである。ここで、画素の相対透過率とは、表示パネル10において、液晶素子230に電圧を印加しない場合の画素の透過率を0%とし、液晶素子230に最大電圧を印加した場合の画素の透過率を100%として、画素の透過率をスケーリングしたものである。
以下では、画素の相対透過率を0%とする電圧を、黒表示電圧Vbkと表現し、画素の相対透過率を100%とする電圧を、白表示電圧Vwtと表現する。なお、本実施形態では、黒表示電圧Vbkは0Vであり、白表示電圧Vwtは5Vであり、共通電位Vcomは0Vに設定される。
【0032】
図4(B)は、液晶素子230に対して、黒表示電圧Vbkを印加した場合、及び白表示電圧Vwtを印加した場合のそれぞれについて、液晶232を構成する複数の液晶分子mの配向状態を示した模式図である。本実施形態はVA方式であるため、液晶素子230に対して黒表示電圧Vbkを印加した場合には、液晶分子mは、その長軸が共通電極233に対して直交に近い向きとなるように配向する。一方、液晶素子230に対して、白表示電圧Vwtを印加した場合には、液晶分子mの長軸が明視方向Lに向かって傾き、共通電極233と平行に近い向きに配向する。
【0033】
ここで、明視方向Lとは、液晶素子230に対して電圧を印加した場合に液晶分子mが傾く方向のうち、表示パネル10と平行な成分を表す方向であり、表示パネル10を明視方向L側から見たときに、表示パネル10に表示される画像のコントラストが最も高くなるという性質を示す。明視方向Lは、一対の基板において液晶に面する側に形成された配向膜のラビング方向、あるいは蒸着方向に沿って特定される。本実施形態では、明視方向Lは、表示パネル10と垂直な方向から見た場合に、表示パネル10の左下から右上へと向かう方向を想定する。
【0034】
前述の通り、ある画素Pxに対して、データ信号Vidとしてデータ電圧VD[j]を供給した場合に画素電極231と共通電極233との間に生じる縦電界によって、当該画素Pxの液晶232を構成する液晶分子mは駆動制御される。
しかし、近年の液晶装置の小型化、高精度化に伴い、画素Pxの間隔が狭くなっているため、隣り合う2つの画素Pxに対して供給されるデータ電圧VD[j]の間の電位差が大きな場合には、これら2つの画素Pxの画素電極231の間に、共通電極233に対して平行な向きの横電界が生じる場合がある。
【0035】
液晶分子mは、縦電界によって明視方向L側に傾くように制御されるが、横電界の影響により明視方向Lとは逆の向きに傾く場合がある。このような配向の乱れた状態の液晶分子mに対しては、縦電界による配向状態の制御が困難となる。この配向不良となった領域がリバースチルトドメインである。リバースチルトドメインが形成された画素Pxは、液晶分子mがデータ電圧[j]が規定するような配向状態とはならないため、表示すべき階調とは異なる階調が表示される。その結果、表示パネル10の表示品質は低下する。
【0036】
ある画素Pxの画素電極231に印加される電圧が黒表示電圧Vbk等の小さな電圧である場合、当該画素Px液晶分子mは、縦電界による規制力が及ばない不安定な状態となり、横電界による影響を受けやすくなる。さらにこの場合、ある画素Pxの画素電極231に印加される電圧と、当該画素の隣りの画素Pxの画素電極231に印加される電圧との電位差が大きくなるため、これらの2つの画素Pxの間に生じる横電界も大きくなる。
従って、ある画素Pxの液晶素子230に印加される電圧が黒表示電圧Vbk等の小さな電圧であり、且つ、当該画素Pxの隣りの画素Pxの液晶素子230に光学的飽和電圧(第2電圧)Vsat以上の電圧が印加される場合、これら2つの画素Pxの間に生ずる横電界の影響により、液晶分子mの配向が乱され、リバースチルトドメインが生じやすくなる。
なお、(社)電子情報技術産業協会が制定した「液晶表示パネル及びその構成材料の測定方法」に関する規格JEITA ED-2521Bによれば、光学的飽和電圧Vsatとは、画素の相対透過率が90%となるときの印加電圧である。
【0037】
図5を参照しながら、リバースチルトドメインが発生する箇所、及びリバースチルトドメインが発生した場合の液晶分子mの動きについての詳細を説明する。
図5(A)は、縦4行×横4列の16個の画素Pxがある1フレームにおいて表示する階調と、これら16個の画素Pxにおいて発生するリバースチルトドメインについて示した図である。ここで、白く表示された画素Pxは、液晶素子230に白表示電圧Vwtが印加された明画素Pxwであり、黒く表示された画素Pxは、液晶素子230に黒表示電圧Vbkが印加された暗画素Pxbである。前述の通り、明画素Pxwの液晶分子mは明視方向L側に配向し、暗画素Pxbの液晶分子mは図面に垂直な方向に配向している。
なお、以下では、液晶素子230に光学的飽和電圧(第2電位)Vsat以上の電圧が印加される画素Pxを明画素Pxwと称し、液晶素子230に後述する補正電圧(第1電圧)Vcよりも小さな電圧が印加される画素Pxを暗画素Pxbと称する。
【0038】
図5(B)は、図5(A)に示された16個の画素Pxを、4個の画素Px1〜Px4の対角線を通る直線α〜βで切断した断面を描いた模式図である。ここで、画素Px1、Px2、及びPx4は白表示電圧Vwtが印加された明画素Pxwであり、画素Px3は黒表示電圧Vbkが印加された暗画素Pxbである。
図5(B)に示す通り、暗画素Px3の画素電極231と、明画素Px4の画素電極231との間には横電界が存在する。この横電界の影響により、画素Px3及びPx4の間に存在する液晶分子mは、明視方向Lとは逆向きに傾き配向が乱れた状態となり、リバースチルトドメインが形成される。そして、液晶分子mが配向不良となった場合、当該液晶分子mが本来の明視方向L側に傾く状態に戻るまでは一定の時間を要するため、リバースチルトドメインは一定の期間存続することになる。
【0039】
なお、リバースチルトドメインは、暗画素Pxbから見て明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合に、これら2つの画素Pxの境界付近で発生する。
図5(B)に示すように、画素Px3の画素電極231と画素Px2の画素電極231との間においても、横電界が存在している。この横電界は、液晶分子mを明視方向L側に傾けようとする横電界である。液晶分子mは、本来、縦電界により明視方向L側に傾くように制御されるものであるため、横電界の影響により明視方向L側に傾かされた場合は、当該横電界が消滅すれば速やかに本来の(横電界が存在しない場合の)傾きに戻ることが可能である。従って、この場合にはリバースチルトドメインは形成されにくい。
【0040】
このように、リバースチルトドメインは、画素Px3と画素Px4との境界近傍、すなわち、暗画素Pxbから見て明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合の当該2つの画素Pxの境界において、発生する。
【0041】
リバースチルトドメインが発生した後、長期間に渡って存続する場合には、表示上の不具合がユーザに視認される。リバースチルトドメインが存続する期間は、リバースチルトドメインの発生箇所の近傍に存在する複数の画素Pxが、リバースチルトドメイン発生後にどのような階調の画像を表示するかに依存する。以下、図6を参照しつつ、リバースチルトドメインが発生箇所の近傍に存在する複数の画素Pxの表示すべき階調と、リバースチルトドメインの存続期間との関係について説明する。
【0042】
図6(A)及び(B)は、第Kフレーム(Kは1以上の自然数)に発生したリバースチルトドメインが、その後第K+3フレームまでの4フレームの間にどのように変化するかを説明する図である。なお、図6では、暗画素Pxbを黒色で表示し、明画素Pxwを白色で表示し、リバースチルトドメインを斜線で表示している。
図6(A)のように画像が連続的に変化する場合、すなわち、暗画素Pxbが1フレームに1画素ずつ右にスクロールし、当該暗画素Pxbに隣り合う明画素Pxwも1フレームに1画素ずつ右にスクロールする場合、リバースチルトドメインは、徐々に拡大し、長期にわたり残存する。
【0043】
具体的には、第Kフレームにおいて、画素Px1の左辺及び下辺の近傍でリバースチルトドメインが発生し、次に、第K+1フレームにおいて、画素Px2の左辺及び下辺近傍でリバースチルトドメインが発生する。そして、第Kフレームで発生したリバースチルトドメインと、第K+1で発生したリバースチルトドメインとが結合して、一つの領域を形成する。同様に、第K+2フレーム及び第K+3フレームにおいて、リバースチルトドメインが新たに発生し、これらが、第Kフレーム及び第K+1フレームにおいて発生したリバースチルトドメインと結合する。その結果、リバースチルトドメインが横方向に拡大し、本来白が表示されるべき画素Pxに横一列の黒線が表示される「横線」が形成される。
【0044】
リバースチルトドメインが形成される領域に存在する液晶分子mは、配向の乱れた状態を保つように互いに支え合う。この、配向の乱れた液晶分子mが互いに支え合う力は、複数のリバースチルトドメインが結合しその領域が広がるにつれて強力になる。従って、複数のリバースチルトドメインが結合して形成される横線は、長期間にわたって残存することになる。
【0045】
一方、図6(B)に示すように、画像の変化が連続的ではない場合、すなわち、暗画素Pxbが1フレームに1画素ずつ移動しない場合には、リバースチルトドメインは比較的短期間に消滅する。
図6(B)に示す事例では、第Kフレームにおいて、暗画素Pxbである画素Px1の下辺及び左辺の近傍にリバースチルトドメインが発生する。そして、第K+1フレームでは、10個の画素Pxが全て明画素Pxwとなり、画素Px1の左辺及び下辺近傍で存在していた横電界が消滅する。横電界が消滅した場合、リバースチルトドメインの領域内にある液晶分子mは、明視方向L側に傾くことが可能となる。また、リバースチルトドメインを構成する液晶分子mの周辺に存在する液晶分子mは、縦電界により駆動され明視方向L側に傾くため、リバースチルトドメインの領域内に存在する液晶分子mもその影響を受けて、徐々に明視方向L側に傾くことになる。その結果、リバースチルトドメインの領域は徐々に縮小する。同様に、第K+2フレーム及び第K+3フレームにおいても、10個の画素Pxが全て明画素Pxwとなり、10個の画素Pxの中に横電界が存在しない状態が継続されるため、画素Px1に存在するリバースチルトドメインは徐々に縮小し、やがて消滅する。このように、リバースチルトドメインが比較的短期間のうちに消滅する場合は、リバースチルトドメインに起因する表示上の不具合はユーザにより視認される可能性は低い。
【0046】
リバースチルトドメインに起因する表示上の不具合のうち、ユーザに視認される可能性の高い表示上の不具合の発生を抑止するためには、図6(A)に示したような横線の発生を防止することが必要となる。
横線は、複数の暗画素Pxbで発生したリバースチルトドメインが結合した場合で、且つ、これら複数の暗画素Pxbが明画素Pxwに変化して白表示をしようとする場合に発生する。従って、図6(A)のように画像が1画素ずつスクロールする場合、暗画素Pxbと明画素Pxwとの境界において、リバースチルトドメインを消滅または縮小させることができれば、複数のリバースチルトドメインが結合した領域が、白表示をする複数の明画素Pxwからなる領域に突出して横線となることを防止できる。より具体的には、同一の行に位置する2つの画素Pxに着目し、暗画素Pxbと明画素Pxwが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbにおいてリバースチルトドメインの発生を抑止すればよい。
【0047】
なお、リバースチルトドメインは、暗画素Pxbのうち、明視方向Lと逆側に近い部分で発生する。従って、同一の行に位置する2つの画素Pxのうち、暗画素Pxbから見て左側に明画素Pxwが位置する場合に、当該暗画素Pxbにおいてリバースチルトドメインの発生を抑止すれば、より効果的に横線の発生を防止できる。
例えば、図6(A)に示した事例の場合には、第Kフレームにおける画素Px1、第K+1フレームにおける画素Px2、第K+2フレームにおける画素Px3、及び第K+3フレームにおける画素Px4で、それぞれリバースチルトドメインの発生を抑止することで、横線の発生を抑止することが可能となる。
【0048】
図7を参照しつつ、リバースチルトドメインの発生を抑止する方法について説明する。
図7は、表示パネル10のVT特性を表す曲線VTと、その一部分を拡大した図である。なお、VT特性は、個々の表示パネル10によって異なるため、図7では、個々の表示パネル10におけるVT特性のばらつきを考慮し、VT曲線の取り得る範囲を、曲線VT1(画素Pxの液晶素子230に印加される電圧に比べて画素Pxの相対透過率の立ち上がりが早い場合)と、曲線VT2(立ち上がりが遅い場合)とについても表現している。
【0049】
前述の通り、暗画素Pxbは、液晶素子230に対して印加される電圧が小さいため、縦電界による規制力が弱く、液晶分子mが不安定な状態にある。そして、暗画素Pxbと明画素Pxwとが隣り合う場合、暗画素Pxbと明画素Pxwとの間に生じる横電界により、2つの画素Pxの境界に位置する液晶分子mの配向が乱され、リバースチルトドメインが発生する。
従って、暗画素Pxbの液晶素子230に印加される電圧を一定程度大きくすれば、縦電界による規制力を大きくして暗画素Pxbの液晶分子mを安定させることが可能となると共に、液晶分子mに作用する横電界を小さくすること可能となるため、リバースチルトドメインの発生を最小限に抑止することができる。
【0050】
但し、暗画素Pxbの液晶素子230に印加する電圧を大きくする場合には、当該暗画素Pxbは、映像信号VIDEOが指定する階調とは異なる階調を表示することになるため、表示品質が劣化するという問題が発生する。
そこで、本実施形態では、映像信号VIDEOが規定する階調に対応する相対透過率が0.1%より小さな暗画素Pxbに対して、相対透過率が0.1%となるような補正電圧(第1電圧)Vcを印加するように補正を行う。
【0051】
図7に示すように、VT特性を示す曲線VTの形状は、液晶素子に印加する電圧が一定の大きさ以下(例えば、約1.5V以下)のときは、画素の相対透過率もほぼ0%を保ったまま推移する一方、液晶素子に印加する電圧が一定の大きさを超える付近で、画素の相対透過率も急激に立ち上がる。従って、補正電圧Vcを、画素の相対透過率が0.1%に対応する電圧とすることで、補正電圧Vcの値を十分に大きな値とすることが可能となる。例えば、図7に示すように、黒表示電圧Vbkに対応する階調(相対透過率0%)が指定された暗画素Pxbに対して補正を行う場合、当該暗画素Pxbの相対透過率は補正前の0%から補正後の0.1%へと変化し、その変化量はわずかであるのに対して、液晶素子230に印加する電圧は補正前の0Vから補正後の1.1V〜1.3V程度へと大きく変化する。すなわち本実施形態の補正によれば、暗画素Pxbの輝度変化を最小限に抑えつつ、大きな電圧を液晶素子230に印加できるため、効果的にリバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0052】
なお、暗画素Pxbに対して補正を行う場合であっても、暗画素Pxbと隣り合う明画素Pxwの液晶素子230に大きな電圧(例えば、白表示電圧Vwt相当の電圧)が印加される場合には、これら2つの画素間には大きな横電界が発生することになるため、リバースチルトドメインの発生を完全に抑止することはできない場合がある。
例えば、図8(A)に示すように、明画素Pxwと隣り合う暗画素Pxb(画素Px3、Px5、及びPx6)に対して補正を行う場合に、当該補正の行われた画素Pxにおいてもリバースチルトドメインが生じることがある。
【0053】
しかし、補正の行われた画素Pxにおいて発生するリバースチルトドメインは、例えば図5(A)のように補正がなされない場合に発生するリバースチルトドメインと比較して、小さな規模に抑えられる。すなわち、補正を行うことで、リバースチルトドメインの発生する可能性を小さくすることができると共に、仮にリバースチルトドメインが発生しても、その影響を最小限に留めることができる。図8(B)に示すように、暗画素Pxb(画素Px3)の画素電極231に補正電圧Vcが印加されるため、画素Px3には縦電界が生じると共に、当該画素Px3と隣りあう明画素Pxw(Px2)との間に生じる横電界の大きさも小さく抑えることが可能になるためである。
【0054】
また、補正がなされた画素Pxにおいてリバースチルトドメインは規模が小さいため、その後、他の画素Pxで発生するリバースチルトドメインと結合する可能性は低く、横線に発達する可能性も低い。
図9は、補正がなされた画素Pxにおいて発生したリバースチルトドメインの、発生後の変化を示した図である。第Kフレームにおいて補正のなされた暗画素Px1及びPx2で発生したリバースチルトドメインは、第K+1フレームにおいて画素Px3及びPx4で発生するリバースチルトドメインとは結合せずに、その領域を縮小させる。そして、画素Px1及びPx2で発生したリバースチルトドメインは、第K+2フレーム及び第K+3フレームにおいてさらにその領域を縮小させ最終的には消失する。このように、本実施形態の補正によれば、仮にリバースチルトドメインが発生しても、その規模は小さく抑えられるため、リバースチルトドメインが結合して横線が形成されることを防止できる。
【0055】
図10は、映像処理回路70の構成を示すブロック図である。映像処理回路70は、映像信号VIDEOに対して、補正電圧Vcに基づいた補正を行ったうえで、アナログのデータ信号Vidを生成する。
映像処理回路70は、映像信号VIDEOに基づいて第1信号V1を出力するγ補正部71と、第1信号V1に基づいて第2信号V2を出力する遅延回路72と、第1信号V1及び第2信号V2とに基づいて判定値Qを出力する判定部73と、判定値Qと第1信号V1とに基づいて出力信号Voutを出力する補正部74と、出力信号Voutに基づいてデータ信号Vidに変換するD/A変換部75とを備える。
【0056】
γ補正部71は、上位装置から映像信号VIDEOが入力されると、表示パネル10のVT特性を示すルックアップテーブルを参照して映像信号VIDEOに対するガンマ補正を行い、映像信号VIDEOが指定する各々の画素の階調に対応する電圧の値を第1信号V1として出力する。なお、VT特性を示すルックアップテーブルは、例えば、γ補正部71に予め設定される。
遅延回路72は、γ補正部71から供給される第1信号V1を、走査制御回路60から供給されるドットクロック信号Dclk等の制御信号に従って1画素分(ドットクロック信号Dclkの1周期分)遅延させ、第2信号V2を出力する。
【0057】
判定部73は、γ補正部71から供給される第1信号V1の示す値が、補正電圧Vc未満であり、且つ、遅延回路72から供給される第2信号V2が示す値が、光学的飽和電圧Vsat以上であることを判定する。次に、判定部73は、当該判定条件が満たされる場合には、判定値Qに判定条件を満たす旨を示す値、例えば「1」を設定し、判定条件を満たさない場合には、判定値Qに判定条件を満たさない旨を示す値、例えば「0」を設定し、判定値Qを出力する。なお、光学的飽和電圧Vsat及び補正電圧Vcの値は、例えば、判定部73にあらかじめ設定されるか、または上位装置より提供される。
【0058】
補正部74は、判定部73から入力される判定値Qが「1」である場合には、出力信号Voutを補正電圧Vcと等しい値に設定して出力する一方、判定値Qが「0」である場合には、出力信号Voutを第1信号V1と等しい値に設定して出力する。
D/A変換部75は、デジタル信号である出力信号Voutを、アナログ信号であるデータ信号Vidに変換したうえで、データ信号Vidをデータ線駆動回路32に対して出力する。
【0059】
図11に、映像処理回路70に入力される映像信号VIDEOと、映像処理回路70から出力されるデータ信号Vidとの関係を示す。ここでは図11(A)に示すように、映像信号VIDEOが、第i行第j列の画素Pxの階調を白表示電圧Vwtに対応する値となるように規定し、第i行第j+1列の画素Pxの階調を黒表示電圧Vbkに対応する値となるように規定する場合を想定する(ここでは、jは1≦j≦N−1を満たす自然数とする)。
この場合、図11(B)に示すように、映像処理回路70は、映像信号VIDEOの示す値に対して補正を行ったうえで、データ電圧VD[1]〜VD[N]のそれぞれの値を指定するデータ信号Vidを出力する。具体的には、映像処理回路70は、データ信号Vidのうち、第i行第j+1列の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j+1]に対応する値を、補正電圧Vcと等しい値に設定する。一方、映像処理回路70は、データ信号Vidのうち、第i行の画素Pxの第j+1列以外の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j]に対応する値を、映像信号VIDEOの規定する階調に対応する電圧の示す値にそれぞれ設定する。このようなデータ信号Vidにより値が指定されたデータ電圧VD[1]〜VD[N]が各画素Pxに供給されることにより、第i行第j列の明画素Pxwと、第i行第j+1列の暗画素Pxbとの間で、リバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0060】
このように、本実施形態に係る液晶装置1では、暗画素Pxbに対して、相対透過率が0.1%となるような補正電圧Vcが印加されるように補正を行う。表示パネル10のVT特性は、液晶素子230に印加する電圧が一定の大きさ以下の場合には、画素Pxの相対透過率もほぼ0%を保ったまま推移する。従って、補正電圧Vcを、画素の相対透過率が0.1%となるような電圧とすることで、補正による画素Pxの相対透過率の変化を最小限に抑えつつ、液晶素子230に大きな電圧を印加することが可能となる。
すなわち、本実施形態に係る液晶装置1は、補正による輝度変化を最小限に留めることでユーザに輝度変化を視認される可能性を最小化しつつ、効果的にリバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となるという利点を有する。
【0061】
また、本実施形態に係る液晶装置1では、補正電圧Vcが、画素Pxの相対透過率を基準として定められる。つまり、画素Pxの相対透過率がある定数(0.1%)となるように、液晶素子230に対して印加される補正電圧Vcが定められる。
画素Pxの相対透過率と液晶素子230に印加される電圧の関係を示すVT特性は、個々の表示パネル10により異なる。仮に、補正電圧がある一定の値となるようにした場合には、異なる複数の表示パネルの液晶素子に対して当該補正電圧を印加しても、複数の表示パネル間で画素の相対透過率は一定の値とならず、個々の表示パネル毎に表示品質のバラつきが生じることになる。そして、この場合には、一部の表示パネルでは補正による輝度変化が、ユーザにより視認される程度に大きくなる可能性も存在する。
これに対して本実施形態に係る液晶装置1のように、補正電圧Vcの値を画素Pxの相対透過率を基準に定めることにより、個々の表示パネル10の間でVT特性にバラつきが存在する場合であっても、補正を行った場合の輝度変化を一定の範囲内に収めることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る補正は、個々の表示パネル10毎に、補正を行う場合の輝度変化に対する影響を均一化できるため、表示品質を液晶装置1の検査を含む生産工程の簡略化が可能になるという利点を有する。
【0062】
また、本実施形態に係る液晶装置1では、同一の行に位置する2つの画素Pxのうち、暗画素Pxbから見て明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbに対して補正を行う。リバースチルトドメインは、暗画素Pxbから見て明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合に生じる場合が多いため、このような暗画素Pxbに対して補正を行うことで、リバースチルトドメインの発生を効果的に抑制することが可能になると共に、仮にリバースチルトドメインが発生してもそれが拡大して横線に発達することを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る液晶装置1では、同一の行に位置する2つの画素Pxのうち、暗画素Pxbから見て明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbに限定して補正を行うため、明画素Pxwと隣り合う全ての暗画素Pxbに対して補正を行う場合に比べて、補正を行う画素数を最小限に留めることができる。従って、本実施形態に係る液晶装置1は、映像に濃淡がある場合にも、その輪郭部分がぼやけることを防止し、鮮明な映像を表示できるという利点を有すると共に、リバースチルトドメインに起因した表示上の不具合を効果的に抑止することができるという利点を有する。
【0064】
<B:第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係る、映像処理回路70aのブロック図である。第2実施形態の液晶装置は、映像処理回路70の代わりに映像処理回路70aを備える点を除き、第1実施形態の液晶装置1と同様に構成されている。
【0065】
図12に示す通り、映像処理回路70aは、補正部74a、及びカウンタ76を備える点を除き、映像処理回路70と同様に構成される。この映像処理回路70aは、暗画素Pxbの明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合、当該暗画素Pxbを含み、明視方向L側に連続する所定数D(所定数Dは、1以上の自然数)個の画素Pxの各々に対して補正を行うようなデータ信号Vidを出力する。
以下において、映像処理回路70aの具体的な構成を説明する。
【0066】
カウンタ76は、判定部73から供給される判定値Q、及び走査制御回路60から供給されるドットクロック信号Dclkに基づいてカウント値Qcを生成し、これを補正部74aに対して出力する。具体的には、カウンタ77は、判定値Qが「1」となるタイミングにおいてカウント値Qcを「0」にリセットする。また、カウンタ77は、判定値Qが「0」である場合には、ドットクロック信号Dclkに1周期に相当する間隔毎にカウント値Qcを1ずつカウントアップする。
【0067】
補正部74aは、γ補正部71より供給される第1信号V1、及びカウンタ76から供給されるカウント値Qcに基づいて、出力信号Voutを生成し、D/A変換部75に対して出力する。具体的には、補正部74aは、まず、カウント値Qcが所定数D未満の値であり、且つ、第1信号V1が補正電圧Vc未満の値であることを判定する。次に、補正部74aは、判定条件が肯定された場合には、出力信号Voutの値を補正電圧Vcと等しい値に設定し、判定条件が否定された場合には、出力信号Voutの値を第1信号V1と等しい値に設定したうえで、出力信号VoutをD/A変換部75に対して出力する。
【0068】
図13に、映像処理回路70aに入力される映像信号VIDEOと、映像処理回路70aから出力されるデータ信号Vidとの関係を示す。なお、図13では、所定数Dが「3」に設定されている場合を示している。
図13(A)に示すように、映像信号VIDEOは、第i行第j+1列〜第i行第j+3列(ここでは、jは1≦j≦N−3を満たす自然数とする)の3つの画素Pxの階調を黒表示電圧Vbkに対応する値に規定し、第i行第j列の画素Pxの階調を白表示電圧Vwtに対応する値に規定する。
【0069】
この場合、図13(B)に示すように、映像処理回路70aは、データ信号Vidのうち、第i行第j+1列〜第i行第j+3列の3つの画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j+1]〜VD[j+3]に対応する値を、補正電圧Vcと等しい値にそれぞれ設定する。一方、映像処理回路70aは、データ信号Vidのうち、第i行の画素Pxのうち第i行第j+1列〜第i行第j+3列の3つの画素Px以外の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j]に対応する値を、映像信号VIDEOが規定する階調に対応する電圧の示す値にそれぞれ設定する。
これにより、第i行第j列の明画素Pxwと、第i行第j+1列の暗画素Pxbとの間で、リバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0070】
図14(A)は、第2実施形態に係る映像処理回路70aによって、映像信号VIDEOに対する補正を行った場合における、リバースチルトドメインの発生と、その後の変化を説明するための図である。
図14(A)に示した事例では、第Kフレームにおいて、第i+1行の複数の明画素Pxwと第i行の画素Px2〜Px6との間、及び、画素Px2と画素Px1との間にリバースチルトドメインが存在する。そして、第Kフレームにおいて、画素Px2〜Px6に位置する暗画素Pxb(黒表示)が、第Kフレーム以降、1フレームに1画素ずつ右側にスクロールする場合を示している。なお、この図に示す事例においては、所定数Dが「3」に設定され、明画素Pxwと隣り合う3つの暗画素Pxbについて補正がなされる。
【0071】
図14(A)に示すように、第Kフレームでは、画素Px2〜Px4について補正がなされているので、これら3つの画素Pxで発生するリバースチルトドメインは、補正のなされていない画素Px5及びPx6で発生するリバースチルトドメインに比べて小さい。そして、第K+1フレームでは、画素Px2は明画素Pxwとなり、画素Px3〜Px5は補正がなされるため、これら4つの画素Pxにおいて存在するリバースチルトドメインは、その領域を縮小させる。その後これらの画素Pxにおいて存在するリバースチルトドメインはさらに縮小し、第K+3フレームには、画素Px2においてリバースチルトドメインが消滅する。
このように、暗画素Pxbで発生したリバースチルトドメインは、当該暗画素Pxbが明画素Pxwに変化する直前の3フレームに相当する期間、つまり、当該暗画素Pxbが補正されている期間において、徐々にその領域を縮小させる。従って、当該暗画素Pxbが明画素Pxwに変化したときには、リバースチルトドメインは十分な小さくなっており、その後速やかに消滅する。
【0072】
一方、図14(B)には、比較のため、所定数Dが「1」に設定され、1画素のみ補正を行う場合を示す。
例えば、第Kフレームで暗画素Pxbである画素Px3は、第K+1フレームにおいて補正がなされた後に、第K+2フレームで明画素Pxwとなる。この場合、第Kフレームにおいて画素Px3で発生したリバースチルトドメインは、第K+1フレームに当該画素Pxが補正されるためその領域を縮小させる。しかし、当該画素Px3が、第K+2フレームで明画素Pxwとなったときも、リバースチルトドメインは十分に小さくならないまま残る。このように、1画素のみを補正する場合には、リバースチルトドメインが比較的大きな領域を有する状態のままで、明画素Pxw上に残存する。
【0073】
このように、第2本実施形態に係る液晶装置では、暗画素Pxbの明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合、当該暗画素Pxbを含む所定数D個の画素Pxに対して補正を行うため、リバースチルトドメインをより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る液晶装置は、明画素Pxwと隣り合う全ての暗画素Pxbに対して補正を行うのではなく、暗画素Pxbの明視方向Lと逆側に明画素Pxwが隣り合う場合にのみ、画素の相対透過率が0.1%となるような補正電圧Vcにより補正を行うため、映像に濃淡がある場合にも、その輪郭部分がぼやけることを防止し、鮮明な映像を表示できるという利点を有する。
【0074】
<C:第3実施形態>
図15は、第3実施形態に係る、映像処理回路70bのブロック図である。第3実施形態の液晶装置は、映像処理回路70の代わりに映像処理回路70bを備え、表示パネルに垂直な方向から見て左上に向かう明視方向Lを有する液晶を備える点を除き、第1実施形態の液晶装置1と同様に構成されている。
第3実施形態に係る液晶は、明視方向Lが、表示パネルに垂直な方向から見て左上に向かう方向であるため、映像処理回路70bは、同一の行に位置する2つの画素Pxについて、暗画素Pxbの右側に明画素Pxwが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbに対して補正を行うようなデータ信号Vidを出力する。
【0075】
図15に示す映像処理回路70bは、判定部73の代わりに判定部73bを備え、補正部74の代わりに補正部74bを備える以外は、映像処理回路70と同様に構成される。なお、映像処理回路70bでは、γ補正部71が出力する第1信号V1は、遅延回路72及び判定部73bに対して供給される。また、遅延回路72が出力する第2信号V2は、判定部73b及び補正部74bに対して供給される。
判定部73bは、γ補正部71から供給される第1信号V1の示す値が、光学的飽和電圧Vsat以上であり、且つ、遅延回路72から供給される第2信号V2が示す値が、補正電圧Vc未満であることを判定する。次に、判定部73bは、当該判定条件が満たされる場合には、判定値Q2に判定条件を満たす旨を示す値、例えば「1」を設定し、判定条件を満たさない場合には、判定値Q2に判定条件を満たさない旨を示す値、例えば「0」を設定し、判定値Q2を出力する。補正部74bは、判定部73bから入力される判定値Q2が「1」である場合には、出力信号Voutを補正電圧Vcと等しい値に設定して出力する一方、判定値Q2が「0」である場合には、出力信号Voutを第2信号V2と等しい値に設定して出力する。
【0076】
このような映像処理回路70bより出力されるデータ信号Vidと映像信号VIDEOとの関係を図16に示す。映像処理回路70bは、図16(A)に示す映像信号VIDEOの示す値に対して補正を行ったうえで、図16(B)に示すような、データ電圧VD[1]〜VD[N]のそれぞれの値を指定するデータ信号Vidを生成する。具体的には、映像処理回路70bは、データ信号Vidのうち、第i行第j−1列の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j−1]に対応する値を、補正電圧Vcと等しい値に設定する一方、第i行の画素Pxのうち第j−1列以外の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j]に対応する値を、映像信号VIDEOが規定する階調に対応する電圧の示す値にそれぞれ設定する(ここでは、jは2≦j≦Nを満たす自然数とする)。
これにより、第i行第j列の明画素Pxwと、明画素Pxwの左隣りにある第i行第j−1列の暗画素Pxbとの間におけるリバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0077】
<D:第4実施形態>
図17は、第4実施形態に係る、映像処理回路70cのブロック図である。第4実施形態の液晶装置は、映像処理回路70の代わりに映像処理回路70cを備える点を除き、第1実施形態の液晶装置1と同様に構成されている。
【0078】
図17に示す通り、第4実施形態に係る映像処理回路70cは、判定部73c、補正部74c、カウンタ76c、及び第2遅延回路77を備える点を除き、映像処理回路70と同様に構成される。
なお、補正部74cは、第1信号V1の代わりに第3信号V3が供給される点を除いて、第2実施形態に係る映像処理回路70aの補正部74aと同様に構成される。また、カウンタ76cは、判定値Qの代わりに判定値Qjが供給される点を除いて、第2実施形態に係る映像処理回路70aのカウンタ76と同様に構成される。
映像処理回路70cは、同一の行に位置する複数の画素Pxについて、暗画素Pxbの明視方向L側に明画素Pxwが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbを含む明視方向Lとは逆側に連続する所定数D個の画素Pxに対して補正を行うと共に、明画素Pxwの明視方向L側に暗画素Pxbが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbを含む明視方向L側に連続する所定数D個の画素Pxに対して補正の行うデータ信号Vidを出力する。
【0079】
判定部73cは、γ補正部71から供給される第1信号V1の示す値、遅延回路72から供給される第2信号V2の示す値、及びドットクロック信号Dclkに基づいて、判定値Qjをカウンタ77に対して出力する。
ここで、第1信号V1の示す値が光学的飽和電圧Vsat以上であり、且つ、第2信号V2の示す値が補正電圧Vc未満であることを「第1条件」とする。また、第1信号V1の示す値が補正電圧Vc未満であり、且つ、第2信号V2の示す値が光学的飽和電圧Vsat以上であることを「第2条件」とする。第1条件は、暗画素Pxbの右側に明画素Pxwが隣り合うことを示す条件であり、第2条件は、暗画素Pxbの左側に明画素Pxwが隣り合うことを示す条件である。
【0080】
第1条件が満たされる場合、判定部73cは、判定値Qjとして判定条件を満たす旨を示す値、例えば「1」を設定のうえ出力する。一方、第2条件が満たされる場合、判定部73cは、判定値Qjとして、判定条件を満たす旨を示す値「1」を設定のうえ、ドットクロック信号Dclkの所定数Dに相当する周期だけ遅延させたうえで出力する。
また、第1条件及び第2条件のいずれも満たされない場合には、判定値Qjとして、判定条件を満たさない旨を示す値、例えば「0」を出力する。但し、判定値Qjとして「0」が出力される場合と、判定値Qjとして「1」が出力される場合とが競合したときは、判定値Qjとして「1」が出力される。すなわち、ドットクロック信号Dclkの所定数D個分の周期前に第2条件を満たしている場合には、判定値Qjとして「1」を出力する。
第2遅延回路77は、γ補正部71から入力される第1信号V1を、走査制御回路60から供給されるドットクロック信号Dclkの所定数Dに相当する周期分だけ遅延させて、第3信号V3を出力する。なお、所定数Dは、例えば、第2遅延回路76または上位装置に予め設定される。
【0081】
このような映像処理回路70cより出力されるデータ信号Vidと映像信号VIDEOとの関係を図18に示す。映像処理回路70cは、図18(A)に示される映像信号VIDEOの示す値に対して補正を行ったうえで、図18(B)に示すような、データ電圧VD[1]〜VD[N]のそれぞれの値を指定するデータ信号Vidを生成する。具体的には、映像処理回路70cは、データ信号Vidのうち、第i行の第u−3列〜u−1列(uは、4≦u≦Nを満たす自然数)、及び第v+1列〜v+3列(vは、1≦v≦N−3を満たす自然数)の6つの画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[u−3]〜VD[u−1]及びVD[v+1]〜VD[v+3]に対応する値を、補正電圧Vcと等しい値にそれぞれ設定する。一方、映像処理回路70cは、データ信号Vidのうち、第i行のN個の画素Pxの中で上記6つの画素以外の画素Pxの階調を規定するデータ電圧VD[j]に対応する値を、映像信号VIDEOの規定する階調に対応する電圧の示す値にそれぞれ設定する。
これにより、第i行において、第u列の明画素Pxwと第u−1列の暗画素Pxbとの間、及び第v列の明画素Pxwと第v+1列の暗画素Pxbとの間でリバースチルトドメインの発生を抑止することが可能となる。
【0082】
図19は、第4実施形態に係る映像処理回路70cによって、映像信号VIDEOに対する補正を行った場合における、リバースチルトドメインの発生と、その後の変化を説明するための図である。図19(A)及び(B)は、第i+1行に明画素Pxwが複数存在し、第i行に暗画素Pxbが4画素連続するように存在する場合を例示している。なお、第i行に存在する暗画素Pxbは、1フレームに1画素ずつ左側にスクロールする。
図19(A)は、第i行の4つの暗画素Pxbのうち、明画素Pxwに接する2つの暗画素Pxbに対して補正を行う場合を示している(すなわち、所定数Dを「1」とする)。この場合、第Kフレームにおいて画素Px3〜Px5の下辺でリバースチルトドメインが発生するが、画素Px5に対して補正を行っているため、画素Px5におけるリバースチルトドメインの領域は小さい。このPx5で発生したリバースチルトドメインは、第K+1フレームにおいて画素Px5が明画素Pxwに変化した後にその領域を縮小させ、第K+3フレームにおいて消滅する。
一方、図19(B)は、第i行の4つの暗画素Pxbのうち、左端の画素Px2に対してのみ補正を行い、右端の画素Px5には補正を行っていない。この場合、第Kフレームにおいて画素Px3〜Px5の上辺で発生するリバースチルトドメインは縮小せず、互いに結合し、横線が発生する。
【0083】
このように、暗画素Pxbの右側に明画素Pxwが隣り合う場合(第1条件に相当する場合)と、暗画素Pxbの左側に明画素Pxwが隣り合う場合(第2条件に相当する場合)の双方に対して、暗画素Pxbに対する補正を行うことにより、図19のような複数の暗画素Pxbの下側に明画素Pxwが隣り合い、かつ、複数の暗画素Pxbが左側に1画素ずつスクロールする場合に生じる横線の発生を抑止することが可能となる。
【0084】
なお、上述した映像処理回路70cは、第1条件を満たす場合と、第2条件を満たす場合の双方を考慮することで、連続して存在する複数の暗画素Pxbのうち、右端及び左端に位置する所定数D個の暗画素Pxbに対してそれぞれ補正を行っているが、第1条件または第2条件のうち、いずれか一方の条件のみを考慮して補正を行うようにしても良い。第1条件のみを考慮する場合、連続して存在する複数の暗画素Pxbのうち、右端に位置する所定数D個の暗画素Pxbに対してのみ補正を行うことになる。また、第2条件のみを考慮する場合、連続して存在する複数の暗画素Pxbのうち、左端に位置する所定数D個の暗画素Pxbに対してのみ補正を行うことになる。
【0085】
<E:変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態に対して以下に述べる変形を加えても良い。
(1)変形例1
上述した第1乃至第4実施形態では、明視方向Lを、表示パネルに垂直な方向から見て右上に向かう方向または、左上に向かう方向としていたが、明視方向Lは、これら以外の方向であっても良い。明視方向Lがどのような方向であっても、明視方向Lのうち走査線21に平行な成分に着目し、当該成分が右側を向く場合には、暗画素Pxbの左側に明画素Pxwが隣り合う場合に当該暗画素Pxbに対して補正をかけ、当該成分が左側を向く場合には、暗画素Pxbの右側に明画素Pxwが隣り合う場合に当該暗画素Pxbに対して補正をかけることで、リバースチルトドメインの発生を効果的に抑止できる。
【0086】
(2)変形例2
上述した実施形態では、画素Pxの相対透過率が0.1%となるような電圧を補正電圧Vcとしていたが、画素の相対透過率が0.1%以外の値となるように補正電圧Vcを定めても良い。例えば、画素の相対透過率が0%よりも大きく0.1%よりも小さな値となるように補正電圧Vcを定めても良い。この場合、補正による輝度の変化量をより小さくでき、表示品質に対する影響をより小さくすることができる。一方、画素Pxの相対透過率が0.1%よりも大きな値となるように補正電圧Vcを定めても良い。この場合、リバースチルトドメインの発生をより効果的に抑制することが可能となる。なお、補正電圧Vcは、表示パネル10のVT特性を考慮し、VT曲線が急激に立ち上がる電圧よりも小さな電圧とすることが好ましい。
【0087】
(3)変形例3
上述した実施形態では、画素Pxの相対透過率が90%となる光学的飽和電圧Vsat以上の電圧が印加される明画素Pxwと暗画素Pxbとが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbに対して補正を行っていたが、画素の相対透過率が90%よりも小さな値となるような電圧が印加される画素Pxと暗画素Pxbとが隣り合う場合に、当該暗画素Pxbに対して補正を行うようにしても良い。この場合、リバースチルトドメインの発生する可能性をより小さくすることが可能となる。
【0088】
(4)変形例4
上述した実施形態では、液晶素子230はノーマリーブラックモードであったが、ノーマリーホワイトモードであっても良い。ノーマリーホワイトモードの場合、図20に示すように、液晶素子に印加される電圧が最小値(0V)の時の画素の相対透過率を100%とし、最大値(例えば、5V)の時の画素の相対透過率を0%とする。そして、補正電圧Vc2は、画素の相対透過率が100%から急激に立ち下がる電圧よりも小さい値となるように定めれば良い。また、画素の相対透過率がある一定の値となるように補正電圧Vc2を定めても良い。例えば、画素の相対透過率が99.9%に対応する電圧を補正電圧Vc2としても良い。
なお、図20に示す場合における補正は、補正電圧Vc2未満の電圧が印加される明画素Pxwと、相対透過率が10%となる電圧Vth以上の電圧が印加される暗画素Pxbとが隣り合う場合に、当該明画素Pxwに対して行えば良い。
【0089】
(5)変形例5
上述した実施形態では、VA方式の液晶232を用いているが、TN方式の液晶を用いても良い。
なお、液晶がTN方式の場合は、液晶の明視方向、及びリバースチルトドメインの発生箇所は、上述した第1乃至第4実施形態におけるVA方式とは異なる。例えば、ノーマリーホワイトモードの液晶素子を採用する場合を想定する。この時、図21に示すように、対向基板に走査線方向に沿って図中右側から左側にラビング処理がなされ、素子基板にデータ線方向に沿って図中下側から上側にラビング処理がなされた場合、液晶の明視方向Lは、図中左下αから右上βへと向かう方向となり、リバースチルトドメインの発生領域は、明画素Pxwの中で、明視方向側の領域に発生する。従って、暗画素Pxbから見て明視方向と逆側に隣り合う明画素Pxwに対して補正をかけることで、リバースチルトドメインの発生を効果的に抑止することができる。
【0090】
<F:応用例>
次に、以上の各態様に係る液晶装置1を利用した電子機器について説明する。図22乃至図24には、液晶装置1を表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
図22は、液晶装置1を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する液晶装置1と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0091】
図23は、液晶装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する液晶装置1とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、液晶装置1に表示される画面がスクロールされる。
【0092】
図24は、投写型表示装置(プロジェクタ)4000を電子機器として例示する模式図である。投射型表示装置4000は、照明装置4020と分離光学系4040と以上の各形態に係る3個の表示パネル10(10r、10g、10b)と投射光学系4060と図示せぬ制御回路とを具備する。
制御回路は、走査制御回路60、および3つの映像処理回路70(70r、70g、70b)を備える。3つの映像処理回路70は、それぞれ、外部上位装置より供給される赤色、緑色、青色を表す映像信号VIDEO(VIDEO_r、VIDEO_g、VIDEO_b)に基づき、赤色、緑色、青色に対応するデータ信号Vid(Vid_r、Vid_g、Vid_b)を生成する。
各表示パネル10には、制御回路より共通の信号が供給される。また、各表示パネル10には、3つの映像処理回路70より、それぞれ、赤色、緑色、青色に対応するデータ信号Vidが供給される。このように、制御回路は、各表示パネル10の間で画像表示の同期を取りつつ、各種の信号を生成する。
分離光学系4040は、照明装置4020から出射した照明光を複数の単色光(赤色光、緑色光、青色光)に分離して各表示パネル10に照射する。具体的には、照明光のうちの赤色光rは、ダイクロイックミラー4041およびミラー4042による反射後に表示パネル10rに入射する。ダイクロイックミラー4041を透過した緑色光gは、ダイクロイックミラー4043にて反射されて表示パネル10gに入射する。ダイクロイックミラー4043を透過した青色光bは、ミラー4044およびミラー4045を介して表示パネル10bに入射する。
各表示パネル10は、入射光を変調して画像を形成する光変調器(ライトバルブ)として利用される。表示パネル10rは、ミラー4042から到来する赤色光rを変調して赤色の画像を形成する。同様に、表示パネル10gは緑色の画像を形成し、表示パネル10bは青色の画像を形成する。投射光学系4060は、各表示パネル10からの出射光を表示面4080に投射する。投射光学系4060は、各表示パネル10からの出射光(赤色光,緑色光,青色光)を合成するダイクロイックプリズム4061と、ダイクロイックプリズム4061からの出射光を表示面4080に投射する投射レンズ4062とを含んで構成される。したがって、表示面4080にはカラー画像が表示される。
【0093】
なお、本発明に係る液晶装置が適用される電子機器としては、図22から図24に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0094】
1…液晶装置、10…表示パネル、20…表示領域、21…走査線、22…データ線、31…走査線駆動回路、32…データ線駆動回路、50…制御回路、60…走査制御回路、70…映像処理回路、230…液晶素子、232…液晶、L…明視方向、Px…画素、Pxb…暗画素、Pxw…明画素、Q…判定値、VD…データ電圧、VIDEO…映像信号、Vid…データ信号、Vc…補正電圧(第1電圧)、Vsat…光学的飽和電圧(第2電圧)、Vbk…黒表示電圧、Vwt…白表示電圧、m…液晶分子。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、
複数のデータ線と、
前記複数の走査線と前記複数の走査線との交差に対応して設けられた複数の画素と、
映像信号に基づいて、表示すべき階調となるように前記複数の画素の各々の透過率を規定するデータ信号を生成する映像処理回路と、
前記複数のデータ線に前記データ信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記複数の走査線を駆動する走査線駆動回路とを備え、
表示面に垂直な方向から見て前記データ信号に基づいて液晶分子が変位する方向を明視方向とした場合、
前記映像処理回路は、前記複数の画素のうち一の画素の液晶に印加される印加電圧が第1電圧より小さく、かつ、当該一の画素に対して明視方向と逆方向に位置する画素の液晶に印加される印加電圧が前記第1電圧より大きい第2電圧以上となる場合に、前記一の画素の液晶に印加される電圧が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記データ信号の最大値に対応する前記画素の透過率を100%とし、
前記データ信号の最小値に対応する前記画素の透過率を0%としたときに、
前記第1電圧は、前記画素の透過率を0%より大きく0.1%以下とする電圧であることを特徴とする、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
第1画素と明視方向と逆方向に隣り合う画素を第2画素としたとき、
前記映像処理回路は、
前記映像信号にガンマ補正を施して第1信号を生成するガンマ補正手段と、
前記第1画素に対応する前記第1信号を遅延させて、前記第2画素に対応する第2信号を生成する遅延手段と、
前記第1信号の示す値が前記第1電圧よりも小さく、且つ、前記第2信号の示す値が第2電圧以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果が肯定を示す場合、前記第1信号を前記第1電圧とする補正を施して前記データ信号を生成する補正手段と、
を備える、
請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記映像処理回路は、前記一の画素に対して明視方向側に位置する所定数の画素の各々について、前記データ信号が前記第1電圧よりも小さな値である場合、当該画素のデータ信号が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成する、
ことを特徴とする、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載した液晶表示装置を備えた電子機器。
【請求項6】
液晶分子を含む液晶と、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数の走査線との交差に対応して設けられた複数の画素と、前記複数のデータ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路と、前記複数の走査線を駆動する走査線駆動回路とを備えた液晶表示装置に供給する前記データ信号を生成するデータ信号生成方法であって、
表示面に垂直な方向から見て前記データ信号に基づいて前記液晶分子が変位する方向を明視方向とした場合、
前記複数の画素のうち一の画素の液晶に印加される印加電圧が第1電圧より小さく、かつ、当該一の画素に対して明視方向と逆方向に位置する画素の液晶に印加される印加電圧が前記第1電圧より大きい第2電圧以上となるか否かを判定し、
判定結果が肯定である場合、前記一の画素の液晶に印加される電圧が前記第1電圧となるように補正して前記データ信号を生成し、
判定結果が否定である場合、前記映像信号が示す階調となるように前記一の画素の液晶に印加される電圧を指定するデータ信号を生成する、
ことを特徴とするデータ信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−208292(P2012−208292A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73543(P2011−73543)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】