説明

液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法

【課題】複数の異なる画像を分離して表示可能なカラー液晶表示装置の製造をより容易とする技術を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、第1の画像光LB1を第1の位置XM1の方向に射出し、第2の画像光LB2を第2の位置XM2の方向に射出して、第1と第2の画像IMG1,IMG2を表示する。この液晶表示装置は、液晶層220と、液晶層220を通過する光を2つの位置XM1,XM2のそれぞれに導くためのバリア234と、液晶層とバリアとの間に設けられたスペーサ層236と、液晶層220とバリア234とを挟み込む第1と第2の液晶基板210,232と、を有する液晶積層体を有している。液晶表示装置のカラーフィルタ244は、液晶積層体の外部に設けられ、第1と第2の画像光LB1,LB2の光路上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の異なる画像を分離して表示可能な液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの外部にバリアを配置することにより、単一の液晶パネルにより2つの観察位置のそれぞれに互いに異なるカラー画像を表示することが行われている。しかしながら、2つの観察位置間の距離や観察位置と液晶パネルと距離等の観察位置と液晶パネルと位置関係は、液晶パネルの液晶層とバリアとの距離、および、画素電極や薄膜トランジスタ(TFT)の配列ピッチによって決定される。そのため、液晶パネルの厚みによっては、液晶層とバリアとの距離が離れ、2つの観察位置と液晶パネルとの位置関係を所望の状態に設定することが困難となる場合があった。そこで、画素電極やTFTが設けられたTFT基板と、バリアとカラーフィルタとが設けられた対向基板との間に、液晶層を形成し、液晶層とバリアとの距離を低減することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−78094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常、バリアとカラーフィルタとは、いずれもパターニングにより形成される。このようにパターニングで形成される層は、一般に段差を有している。そのため、バリアとカラーフィルタとを対向基板上に形成する場合、これらの層を形成することは必ずしも容易ではない。また、TFT基板上にカラーフィルタを設ける場合、画素電極やTFT(以下、併せて「画素電極等」とも呼ぶ)はカラーフィルタ上に形成されることとなり、画素電極などの形成が困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、複数の異なる画像を分離して表示可能なカラー液晶表示装置の製造をより容易とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
第1の画像を表示する第1の画像光を第1の位置の方向に射出し、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示する第2の画像光を第2の位置の方向に射出する液晶表示装置であって、液晶層と、前記液晶層を通過する光を前記第1と第2の位置のそれぞれに導くためのバリアと、前記液晶層と前記バリアとの間に設けられたスペーサ層と、前記液晶層と前記バリアとを挟み込む第1と第2の液晶基板と、を有する液晶積層体と、前記液晶積層体の外部に設けられ、前記第1と前記第2の画像光の光路上に配置されたカラーフィルタと、を有する、液晶表示装置。
【0008】
適用例1によれば、カラーフィルタが液晶積層体の外部に設けられている。そのため、バリアや画素電極等はパターニングが行われていない液晶基板上に形成することができる。そのため、バリアや画素電極等の形成がより容易となり、液晶表示装置の製造がより容易となる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の液晶表示装置であって、前記カラーフィルタは、前記第1と第2の液晶基板とは別個のフィルタ用基板上に形成されており、前記フィルタ用基板は、前記カラーフィルタ側の面が前記液晶積層体側に位置するように配置されている、液晶表示装置。
【0010】
適用例2によれば、カラーフィルタは液晶基板とは別個のフィルタ用基板上に形成されている。そのため、バリアや画素電極等が設けられる液晶基板をパターニングが行われていない面で保持することが可能となるので、液晶基板の取扱がより容易となり、液晶表示装置の製造がより容易となる。
【0011】
[適用例3]
適用例1記載の液晶表示装置であって、さらに、偏光板を備えており、前記カラーフィルタは、前記第1の液晶基板上に形成されており、前記偏光板は前記カラーフィルタの前記液晶積層体とは反対側に設けられている、液晶表示装置。
【0012】
この適用例によれば、偏光板によりカラーフィルタが保護される。そのため、カラーフィルタを保護する保護部材を省略することができる。また、バリアや画素電極等はカラーフィルタが形成されていない面に形成される。そのため、バリアや画素電極等の形成がより容易となり、液晶表示装置の製造がより容易となる。
【0013】
[適用例5]
第1の画像を表示する第1の画像光を第1の位置の方向に射出し、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示する第2の画像光を第2の位置の方向に射出する液晶表示装置の製造方法であって、液晶層と、前記液晶層を通過する光を前記第1と第2の位置のそれぞれに導くためのバリアと、前記液晶層と前記バリアとの間に設けられたスペーサ層と、前記液晶層と前記バリアとを挟み込む第1と第2の液晶基板と、を積層することにより液晶積層体を形成する工程と、前記第1と第2の液晶基板とは別個のフィルタ用基板上にカラーフィルタを形成する工程と、前記カラーフィルタを前記液晶積層体に貼り付ける工程と、を備える、液晶表示装置の製造方法。
【0014】
この適用例によれば、カラーフィルタは液晶基板とは別個のフィルタ用基板上に形成される。そのため、バリアや画素電極等が設けられる液晶基板をパターニングが行われていない面で保持することが可能となるので、液晶基板の取扱がより容易となり、液晶表示装置をより容易に製造することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、液晶表示装置、その液晶表示装置を使用したコンピュータディスプレイ、テレビジョン装置、ナビゲーションシステム、その他の表示装置等の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.全体構成:
A2.液晶パネルの構成:
A3.液晶パネルの形成工程:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0017】
A.第1実施例:
A1.全体構成:
図1は、本発明の一実施例としての画像表示装置10の概略構成を示す説明図である。画像表示装置10は、白色光源としてのバックライト100と、液晶パネル200と、液晶パネル200を制御するコントローラ500と、を備えている。なお、図1において、液晶パネル200およびバックライト100は、液晶パネル200を紙面上方(+z方向)から見た様子を示している。
【0018】
コントローラ500には、第1の画像IMG1を表す画像データと第2の画像IMG2を表す画像データとが入力される。コントローラ500は、入力された2つの画像データから液晶パネル200を駆動する駆動信号を生成し、液晶パネル200に供給する。
【0019】
液晶パネル200は、コントローラ500から供給される制御信号に応じて、バックライト100から入射した光を変調する。変調された光は、液晶パネル200に設けられたバリア(図示しない)により、その射出方向が制御される。具体的には、一点鎖線で示す第1の画像IMG1を表示する第1の画像光LB1は、破線で示す液晶パネルの正面方向よりも左方向(−x方向)に射出される。同様に、二点鎖線で示す第2の画像IMG2を表示する第2の画像光LB2は、液晶パネルの正面方向よりも右方向(+x方向)に射出される。
【0020】
このように、第1実施例の画像表示装置10においては、液晶パネル200から射出される画像光LB1,LB2の射出方向がバリアによって制御されることにより、第1の画像IMG1と第2の画像IMG2とが横方向(x軸方向)に分離して表示される。そして、液晶パネル200から適視距離にある観察面PO上の第1の適視位置XM1に位置する観察者OBS1は、第1の画像IMG1を観察することができる。同様に、第2の適視位置XM2に位置する観察者OBS2は、第2の画像IMG2を観察することができる。なお、適視距離や適視位置は、設計上、2つの画像IMG1,IMG2のうちの一方の画像を観察するのに最適な距離や位置を意味しており、適視位置と異なる位置においても2つの画像IMG1,IMG2のうちの一方の画像を観察することが可能である。
【0021】
A2.液晶パネルの構成:
図2は、第1実施例における液晶パネル200の構成を示す説明図である。液晶パネル200は、第1の偏光板250と、第1のガラス基板(制御基板)210と、液晶層220と、対向基板230と、フィルタ基板240と、第2の偏光板260と、を+y方向に向かってこの順に積層することにより形成されている。なお、図2は、液晶パネル200の中心部を+z方向から見た様子を示している。矢印で示すバックライト100(図1)からの白色光は、液晶パネル200の第1の偏光板250から入射し、液晶パネル200を通った後、観察面PO側に射出される。
【0022】
駆動基板210の液晶層220側には、図示しない画素電極が、横方向(x軸方向)および縦方向(z軸方向)にマトリックス状に配列されている。液晶層220の個々の画素電極に対応する領域(液晶セル)PX1,PX2では、コントローラ500(図1)から画素電極に供給される駆動信号に応じて、液晶分子の配列が変化し、液晶セルPX1,PX2における偏光面の回転量が変化する。液晶セルPX1,PX2を透過した光は、第1の偏光板250と第2の偏光板260とを透過することにより、液晶セルPX1,PX2での偏光面の回転量に応じてその強度が変調される。コントローラ500は、液晶セルPX1に対して、第1の画像IMG1に基づいて生成した駆動信号を供給し、液晶セルPX2に対しては、第2の画像IMG2に基づいて生成した駆動信号を供給する。そのため、第1の画像IMG1は、液晶セルPX1により変調された第1の画像光LB1により表示され、第2の画像IMG2は、液晶セルPX2により変調された第2の画像光LB2により表示される。
【0023】
対向基板230は、第2のガラス基板232の液晶層220側の面に、バリア234と、樹脂スペーサ層236と、をこの順に積層することにより形成されている。バリア234は、光を透過しない遮光膜310をガラス基板232上に設けることにより形成されている。なお、以下では、バリア234において、遮光膜310が設けられた領域を「遮光部」とも呼び、遮光膜310が設けられていない領域を「開口部」とも呼ぶ。第1実施例では、バリア234として、その開口部が縦方向(z軸方向)のストライブ状に形成されたストライプバリアを使用している。但し、矩形の開口部がx−z平面中で斜め方向に形成されたステップバリアを使用するものとしても良い。
【0024】
図2に示すように、偏光板250から入射し、液晶セルPX1を透過した光は、バリア234の開口部を通って液晶パネル200の正面方向(破線で示す)よりも左方向(−x方向)に射出される。同様に、液晶セルPX2を透過した光は、バリア234の開口部を通って液晶パネル200の正面方向よりも右方向(+x方向)に射出される。そのため、上述のように、第1の観察者OBS1は、第1の画像IMG1を観察することができ、第2の観察者OBS2は、第2の画像を観察することができる。
【0025】
なお、バリア234の開口部の間隔(バリアピッチ)と樹脂スペーサ層236の厚さは、適視距離、適視位置XM1,XM2の間隔、および、液晶セルPX1,PX2の間隔(セルピッチ)に応じて、適宜設定される。このように、樹脂スペーサ層236をバリア234と液晶層220との間に配置して、バリア234と液晶層220との間を離間させることにより、所望の適視位置に2つの画像を表示することができる。また、ガラス基板232の厚さは、カラーフィルタ層244を好ましい位置に配置するように設定される。
【0026】
図2から判るように、液晶層220は、駆動基板210と、対向基板230を構成する第2のガラス基板232との間で保持される。そのため、以下では、駆動基板210から第2のガラス基板232までの積層体、すなわち、駆動基板210と液晶層220と対向基板230と、を併せて「液晶積層体」とも呼ぶ。また、駆動基板210と第2のガラス基板232は、それぞれ液晶積層体を形成する基板であるので、「液晶基板」とも呼ぶことができる。
【0027】
フィルタ基板240は、第3のガラス基板242の対向基板230側の面に、カラーフィルタ層244を積層することにより形成されている。カラーフィルタ層244は、RGBの3色のカラーフィルタを有している。なお、カラーフィルタ層244におけるカラーフィルタの配置は、バリア234の形態に応じて適宜決定される。カラーフィルタ層244では、液晶パネル200の第1の偏光板250から入射し、液晶層220とバリア234の開口部を通過した白色光がRGBの3色の画像光に変換される。
【0028】
カラーフィルタ層244は、液晶セルPX1の中心とバリア234の開口部の中心とを通る線と、液晶セルPX2の中心とバリア234の開口部の中心と通る線と、の交点の位置に配置されるのが好ましい。そして、カラーフィルタ層244の個々のカラーフィルタは、その中心がこれらの交点と一致するように配置される。そのため、カラーフィルタの間隔(フィルタピッチ)は、セルピッチの2倍よりもやや短く設定される。
【0029】
なお、図2に示すように、第1実施例の液晶パネル200においては、カラーフィルタ層244の個々のカラーフィルタには、2つの液晶セルPX1,PX2を透過した光が通過する。そのため、カラーフィルタは、2つの液晶セルPX1,PX2に対して1つ設ければよく、液晶セルPX1,PX2に近接してカラーフィルタを配置する場合よりもカラーフィルタの数を低減することができる。このように、第1実施例では、カラーフィルタ層244を液晶積層体の外部に設けることにより、カラーフィルタ層244をより適切な位置に配置することができ、カラーフィルタの数を低減することができる。
【0030】
A3.液晶パネルの形成工程:
図3は、第1実施例の液晶パネル200(図2)を形成する工程を示す工程図である。図3(a)ないし図3(g)は、液晶パネル200を形成する工程のうち、偏光板250,260の取り付けが行われる前までの工程を示している。
【0031】
図3(a)ないし図3(c)は、対向基板230が形成される工程を示している。対向基板230の形成では、まず、図3(a)に示すように、対向基板230を形成するためのガラス基板232が準備される。次いで、図3(b)に示す工程において、バリア234が形成される。バリア234は、例えば、遮光性の膜をガラス基板232上に形成し、形成された膜をパターニングすることにより形成することができる。図3(c)に示す工程では、図3(b)で形成されたバリア234上に透光性の樹脂スペーサ層236が形成される。樹脂スペーサ層236は、例えば、ポリイミド等の樹脂をスピンコーティングすることにより形成することができる。
【0032】
図3(d)に示す工程では、図3(a)ないし図3(c)に示す工程で形成された対向基板230と、別途準備された駆動基板210とから液晶積層体が形成される。具体的には、対向基板230の樹脂スペーサ層236側と、駆動基板210の画素電極(図示しない)側とが、所定の間隔で向き合うように配置される。そして、対向基板230と駆動基板210との間に、液晶材料を注入することにより液晶層220が形成され、液晶積層体が形成される。
【0033】
図3(e)および図3(f)は、フィルタ基板240が形成される工程を示している。フィルタ基板240の形成では、まず、図3(e)に示すように、フィルタ基板240を形成するためのガラス基板242が準備される。次いで、図3(f)に示す工程において、ガラス基板242上にカラーフィルタ層244が形成される。カラーフィルタ層244は、例えば、RGBの各色のフィルタを順次パターニングすることにより形成することができる。
【0034】
図3(g)に示す工程では、図3(e)および図3(f)に示す工程で形成されてフィルタ基板240が、図3(d)に示す工程で形成された液晶積層体に取り付けられる。具体的には、フィルタ基板240のカラーフィルタ層244と、対向基板230のガラス基板232とが貼り付けられる。カラーフィルタ層244とガラス基板232とは、例えば、紫外線(UV)硬化型の接着剤や熱硬化型の接着剤を使用して貼り付けることができる。フィルタ基板240の液晶積層体への貼り付けの後、2枚の偏光板をガラス基板210,242に貼り付けることにより、第1実施例の液晶パネル200が形成される。
【0035】
このように、第1実施例の液晶パネル200の形成工程では、液晶積層体にガラス基板242上に別途カラーフィルタを形成したフィルタ基板240を取り付けることにより、液晶パネル200が形成される。そのため、対向基板230を形成する際、ガラス基板232の一方の面には、カラーフィルタ層244の形成などの膜形成処理が施されない。このように、対向基板230を構成するガラス基板232の一方の面には膜形成処理が施されないため、対向基板230を形成する際のガラス基板232の保持が容易となる。
【0036】
また、第1実施例の液晶パネル200では、パターニングにより形成されるバリア234は、ほぼ平坦なガラス基板232上に直接形成される。また、パターニングにより形成されるカラーフィルタ層244も、ほぼ平坦なガラス基板242上に直接形成される。そのため、バリア234とカラーフィルタ層244との形成をより容易に行うことが可能となる。
【0037】
B.第2実施例:
図4は、第2実施例における液晶パネル200aの構成を示す説明図である。第2実施例の液晶パネル200aは、カラーフィルタ層238が対向基板230aのガラス基板232上に形成されている点と、ガラス基板242が省略されている点とで、図2に示す第1実施例の液晶パネル200と異なっている。他の点は、第1実施例の液晶パネル200と同様である。
【0038】
図4に示すように、第2実施例の液晶パネル200aにおいて、第1の画像光LB1と第2の画像光LB2との光路は、図2に示す第1実施例の液晶パネル200におけるこれらの画像光LB1,LB2の光路と同様である。そのため、第2実施例においても、第1実施例と同様に、カラーフィルタ層238が有するカラーフィルタの数を低減することができる。
【0039】
第2実施例の液晶パネル200aでは、バリア234とカラーフィルタ層238とは、それぞれ、ガラス基板232の液晶層220側の面と、その反対側の面に形成される。このように、バリア234とカラーフィルタ層238とのいずれもが、ほぼ平坦なガラス基板232上に直接形成されるので、第1実施例と同様に、バリア234とカラーフィルタ層238との形成をより容易に行うことが可能となる。
【0040】
なお、第2実施例の液晶パネル200aでは、ガラス基板232に直接カラーフィルタ層238が形成されており、カラーフィルタ層238に偏光板260が取り付けられている。そのため、ガラス基板242を省略しても、カラーフィルタ層238は偏光板260により保護される。第2実施例は、このように、ガラス基板242を省略することができるので、液晶パネルの厚さおよび重量をより低減できる点で、第1実施例よりも好ましい。一方、第1実施例は、対向基板230とフィルタ基板240とを別個に形成することができ、対向基板230の形成がより容易とすることが可能になる点で、第2実施例よりも好ましい。
【0041】
C.第3実施例:
図5は、第3実施例における液晶パネル200bの構成を示す説明図である。第3実施例の液晶パネル200bは、対向基板230の観察面PO側に設けられているフィルタ基板240に替えて、駆動基板210bと偏光板250との間にフィルタ基板270が設けられている点で、第1実施例の液晶パネル200と異なっている。他の点は、第1実施例の液晶パネル200と同様である。
【0042】
フィルタ基板270は、ガラス基板272の駆動基板210b側の面に、カラーフィルタ層274を積層することにより形成されている。カラーフィルタ層274は、第1実施例のカラーフィルタ層244と同様に、RGBの3色のカラーフィルタを有しており、バックライト100(図1)から入射した白色光を3色の色光に分離する。
【0043】
カラーフィルタ層274は、液晶セルPX1の中心とバリア234の開口部の中心とを通る線と、液晶セルPX2の中心とバリア234の開口部の中心と通る線と、の交点の位置に配置されるのが好ましい。そして、カラーフィルタ層244の個々のカラーフィルタは、その中心がこれらの交点と一致するように配置される。そのため、フィルタピッチは、セルピッチの2倍よりもやや長く設定される。
【0044】
なお、カラーフィルタ層274は、液晶セルPX1の中心とバリア234の開口部の中心とを通る線と、液晶セルPX2の中心とバリア234の開口部の中心と通る線と、の交点のうち、2番目の交点上に配置されるのが好ましい。カラーフィルタ層274を2番目の交点上に配置することにより、第1の適視位置XM1よりも左方向(−x方向)に表示される第2の画像IMG2と、第2の適視位置XM2よりも右方向(+x方向)に表示される第1の画像IMG1の色が、適視位置にXM1,XM2に表示されるこれらの画像IMG1,IMG2と同一になる。
【0045】
カラーフィルタによりRGBの3色に分離された色光は、それぞれ液晶層220に形成された液晶セルPX1,PX2とを通ることにより変調される。変調された第1の画像光LB1と第2の画像光LB2とは、それぞれバリア234の開口部を通って、観察面POの方向に射出される。これにより、第3実施例においても、第1の観察者OBS1は第1の画像IMG1を観察することができ、第2の観察者OBS2は第2の画像IMG2を観察することができる。なお、図5から判るように、カラーフィルタは画像光LB1,LB2の光路の延長線上にある。そのため、カラーフィルタは、画像光LB1,LB2の光路上にあるとも言える。
【0046】
第3実施例の液晶パネル200bにおいても、第1実施例と同様に、カラーフィルタは、2つの液晶セルPX1,PX2に対して1つ設ければよい。そのため、液晶セルPX1,PX2に近接してカラーフィルタを配置する場合よりもカラーフィルタの数を低減することができる。
【0047】
また、第3実施例の液晶パネル200bでは、画素電極(図示しない)は、ほぼ平坦なガラス基板である駆動基板210b上に形成される。また、カラーフィルタ層274も、ほぼ平坦なガラス基板272上に形成される。そのため、画素電極とカラーフィルタ層274との形成をより容易に行うことが可能となる。
【0048】
なお、第3実施例は、カラーフィルタ層274のフィルタピッチが、第1および第2実施例のカラーフィルタ層244,238よりも長くなるので、カラーフィルタ層274の形成がより容易になる点で第1および第2実施例よりも好ましい。一方、第1および第2実施例は、カラーフィルタ層244,238の大きさを第3実施例のカラーフィルタ層274よりも小さくできる点で、第3実施例よりも好ましい。
【0049】
D.第4実施例:
図6は、第4実施例における液晶パネル200cの構成を示す説明図である。第4実施例の液晶パネル200cは、カラーフィルタ層212が駆動基板210b上に形成されている点と、ガラス基板272が省略されている点とで、図5に示す第3実施例の液晶パネル200bと異なっている。他の点は、第3実施例の液晶パネル200bと同様である。
【0050】
図6に示すように、第4実施例の液晶パネル200cにおいて、画像光LB1,LB2と、RGBの3色の色光の光路は、図5に示す第3実施例の液晶パネル200bにおけるこれらの画像光LB1,LB2および色光と同様である。そのため、第4実施例においても、第3実施例と同様に、カラーフィルタ層212が有するカラーフィルタの数を低減することができる。
【0051】
第4実施例の液晶パネル200cでは、画素電極(図示しない)とカラーフィルタ層212とは、それぞれ、駆動基板210bの液晶層220側の面と、その反対側の面に形成される。このように、画素電極とカラーフィルタ層212とのいずれもが、ほぼ平坦なガラス基板210b上に直接形成されので、第3実施例と同様に、画素電極とカラーフィルタ層212との形成をより容易に行うことが可能となる。
【0052】
なお、第4実施例の液晶パネル200cでは、駆動基板210bに直接カラーフィルタ層212が形成されており、カラーフィルタ層212に偏光板250が取り付けられている。そのため、ガラス基板272を省略しても、カラーフィルタ層212は偏光板250により保護される。第4実施例は、このように、ガラス基板272を省略することができるので、液晶パネルの厚さおよび重量をより低減できる点で、第3実施例よりも好ましい。一方、第3実施例は、駆動基板210bとフィルタ基板270とを別個に形成することができ、駆動基板210bの形成がより容易とすることが可能になる点で、第4実施例よりも好ましい。
【0053】
E.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0054】
E1.変形例1:
上記各実施例では、液晶層220とバリア234とを離間させるために樹脂スペーサ層236を用いているが、他の方法で液晶層220とバリア234とを離間させることも可能である。例えば、樹脂スペーサ層236に替えてガラスでスペーサ層を形成することも可能である。この場合、ガラスのスペーサ層は、例えば、バリア234上にスピンオングラス(SOG)をスピンコーティングすることにより形成することができる。
【0055】
E2.変形例2:
上記各実施例では、液晶積層体は、第1のガラス基板210,210bと、液晶層220と、樹脂スペーサ層236と、バリア234と、第2のガラス基板232と、により形成されているが、液晶積層体は、第1のガラス基板210,210b、液晶層220、バリア234、および、第2のガラス基板232がこの順に積層されていればよく、これらの各層の間に他の層を追加することも可能である。
【0056】
E3.変形例3:
上記第1および第3実施例では、液晶積層体に、カラーフィルタ層244,274が接するように設けられているが、カラーフィルタ層244,274と、液晶積層体とは必ずしも接している必要はない。例えば、カラーフィルタ層244,274と、液晶積層体との間に第2あるいは第1の偏光板を設けるものとしてもよい。
【0057】
E4.変形例4:
上記第2および第4実施例では、カラーフィルタ層238,212に偏光板260,250を直接貼り付けているが、これらの偏光板260,250は、カラーフィルタ層238,212の液晶積層体と反対側に設けられていれば良い。このようにしてもカラーフィルタ層238,212は偏光板260,250により保護される。
【0058】
E5.変形例5:
上記各実施例では、種々の層を形成する基板としてガラス基板を使用しているが、基板としては透明であれば他の材質の基板を使用することも可能である。例えば、ポリカーボネートやその他の透明な樹脂の基板上に種々の層を形成することも可能である。
【0059】
E6.変形例6:
上記各実施例では、画像表示装置10は、2つの画像IMG1,IMG2のそれぞれを液晶パネル200の左右の2つの位置に表示するように構成されているが、画像表示装置は、一般に、N個(Nは、2以上の整数)の画像のそれぞれを、横方向に配置されたN個の位置に表示するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施例としての画像表示装置10の概略構成を示す説明図。
【図2】第1実施例における液晶パネル200の構成を示す説明図。
【図3】第1実施例の液晶パネル200を形成する工程を示す工程図。
【図4】第2実施例における液晶パネル200aの構成を示す説明図。
【図5】第3実施例における液晶パネル200bの構成を示す説明図。
【図6】第4実施例における液晶パネル200cの構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0061】
10…画像表示装置
100…バックライト
200,200a,200b,200c…液晶パネル
210,210b…ガラス基板(駆動基板)
212,238,274…カラーフィルタ層
220…液晶層
230,230a…対向基板
232…ガラス基板
234…バリア
236…樹脂スペーサ層
240,270…フィルタ基板
242,272…ガラス基板
250,260…偏光板
250…バリア
310…遮光膜
500…コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を表示する第1の画像光を第1の位置の方向に射出し、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示する第2の画像光を第2の位置の方向に射出する液晶表示装置であって、
液晶層と、前記液晶層を通過する光を前記第1と第2の位置のそれぞれに導くためのバリアと、前記液晶層と前記バリアとの間に設けられたスペーサ層と、前記液晶層と前記バリアとを挟み込む第1と第2の液晶基板と、を有する液晶積層体と、
前記液晶積層体の外部に設けられ、前記第1と前記第2の画像光の光路上に配置されたカラーフィルタと、
を有する、液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示装置であって、
前記カラーフィルタは、前記第1と第2の液晶基板とは別個のフィルタ用基板上に形成されており、
前記フィルタ用基板は、前記カラーフィルタ側の面が前記液晶積層体側に位置するように配置されている、
液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の液晶表示装置であって、さらに、
偏光板を備えており、
前記カラーフィルタは、前記第1の液晶基板上に形成されており、
前記偏光板は前記カラーフィルタの前記液晶積層体とは反対側に設けられている、液晶表示装置。
【請求項4】
第1の画像を表示する第1の画像光を第1の位置の方向に射出し、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示する第2の画像光を第2の位置の方向に射出する液晶表示装置の製造方法であって、
液晶層と、前記液晶層を通過する光を前記第1と第2の位置のそれぞれに導くためのバリアと、前記液晶層と前記バリアとの間に設けられたスペーサ層と、前記液晶層と前記バリアとを挟み込む第1と第2の液晶基板と、を積層することにより液晶積層体を形成する工程と、
前記第1と第2の液晶基板とは別個のフィルタ用基板上にカラーフィルタを形成する工程と、
前記カラーフィルタを前記液晶積層体に貼り付ける工程と、
を備える、液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−14995(P2009−14995A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176487(P2007−176487)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】