説明

液晶表示装置および電子情報機器

【課題】EMIを確実に低減することが可能な液晶表示装置を得る。
【解決手段】画像表示を行う液晶パネル204と、該液晶パネルのデータ線を駆動するソースドライバ102と、該液晶パネルの走査線を走査信号により駆動する走査ドライバ203と、該ソースドライバおよび該走査ドライバを制御するタイミングコントローラ101とを備え、映像信号に基づいて画像表示を行う液晶表示装置100において、該タイミングコントローラ101は、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調する変調部を有し、該ソースドライバ102は、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調する復調部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子情報機器に関し、特に、映像信号の伝送方式として、EMI(Electro Magnetic Interference)ノイズを低減させる信号伝送方式を使用した液晶表示装置およびこのような液晶表示装置を搭載した電子情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から各種映像表示装置では映像信号を伝送するために様々な映像信号伝送方式が使用されている。
【0003】
例えば、従来は、映像信号の送受信には信号毎に信号線を設置するのが一般的であったが、この手法では信号線の増大により、コストと物理的な設置領域の面で問題であった。
【0004】
これを解決するため、複数の映像信号やクロック信号を多重化して信号線の数を減らすという手法がいくつか知られている。
【0005】
図9は、このような手法を用いた従来の液晶表示装置を説明する図である。
【0006】
この液晶表示装置200は、映像信号Vsを受け、タイミング信号CLとデータ信号Dを出力するととに、走査信号Csを出力するタイミングコントローラ201と、画像を表示する液晶パネル204と、タイミング信号CLとデータ信号Dとに基づいて液晶パネルの信号ラインを駆動するソースドライバ202と、走査信号Csに基づいて液晶パネル204の走査ラインを駆動する走査ドライバ203とを有している。
【0007】
図10は、タイミングコントローラ201およびソースドライバ202の具体的構成を示すブロック図である。
【0008】
タイミングコントローラ201は、デジタル映像信号Vsを受け、該デジタル映像信号に含まれるデータ信号およびクロック信号を分離してそれぞれ8ビットコード化信号に変換するコマンドエンコーダ11と、このデータ信号から変換された8ビットコード化信号を10ビットコード化信号に変換する8b/10bエンコーダと、10ビットコード化信号をシリアル信号に変換するとともに、データ信号としての8ビットコード化信号をシリアル信号に変換して、一対のシリアルデータ信号Dと一対のクロック信号CLとを伝送路Lに出力するシリアライザ14とを有している。
【0009】
ソースドライバ202は、シリアライザ14から出力された一対のシリアルデータ信号Dと一対のクロック信号CLとを伝送路Lを介して受信し、これらの信号をデータ信号としての10ビットコード化信号とクロック信号としての8ビットコード化信号に変換するデシリアライザ21と、データ信号としての10ビットコード化信号を8ビットコード化信号に変換する8b/10bデコーダ22と、データ信号としての8ビットコード化信号およびクロック信号としての8ビットコード化信号を液晶パネルの駆動信号Dsに変換して、液晶パネル204のデータラインに印加するコマンドデコーダ24とを有している。
【0010】
次に動作について説明する。
【0011】
このような構成の液晶表示装置200では、デジタル映像信号Vsが入力されると、タイミングコントローラ201が、この信号に基づいてデータ信号Dとクロック信号CLとをソースドライバ202に出力するとともに、走査信号Csを走査ドライバ203に出力する。ソースドライバ202にデータ信号Dとクロック信号CLとが入力され、走査ドライバ203に走査信号Csが入力されると、ソースドライバ202は、液晶パネル204のデータラインにデータ線駆動信号を出力し、走査ドライバ203は液晶パネル204の走査ラインに走査線駆動信号を出力する。これにより、液晶パネル204では、入力された映像信号Vsに応じた画像表示が行われる。
【0012】
また、このときタイミングコントローラ201では、コマンドエンコーダ11により入力された映像信号Vsに含まれるデータ信号およびクロック信号それぞれは分離されて8ビットコード化信号に変換され、このデータ信号としての8ビットコード化信号は8b/10bエンコーダ13により10ビットコード化信号に変換される。さらにこのデータ信号としての10ビットコード化信号およびクロック信号としての8ビットコード化信号は、シリアライザ14により、一対のクロック信号CLと一対のデータ信号Dに変化されて伝送路Lに出力される。
【0013】
ソースドライバ202では、タイミングコントローラ109からの一対のクロック信号CLと一対のデータ信号Dはデシリアライザ21により、それぞれデータ信号としての10ビットコード化信号およびクロック信号としての8ビットコード化信号に変換され、さらにこの10ビットコード化信号は8b/10bデコーダ22により、8ビットコード化信号に変換される。そして、さらにクロック信号としての8ビットコード化信号およびデータ信号としての8ビットコード化信号はコマンドデコーダ24により、液晶パネルのデータ線を駆動する駆動信号Dsに変換されて液晶パネル204に出力される。
【0014】
また、特許文献1には、信号の伝送方式としてLVDS(Low Voltage Differential Signaling)という方式が開示されており、この方式においては、7ビットのデータをパラレル-シリアル変換で多重化して1対の差動信号とし、データとは別にパラレルデータのクロックを伝送する1対の差動信号を設けて信号の伝送を行っている。
【0015】
また、この特許文献1では、伝送すべき複数ビットのパラレルデータをシリアルデータに変換し、シリアルデータにおけるデータの区切りを示すワードクロックを、1ビットの情報として加えた複数ビットの情報を1シンボルで表す多値論理信号を生成して1本の伝送路で伝送する方式が提案されている。
【0016】
ところで、デジタル回路を多く使用する昨今の電子機器では、信号伝送の際、回路基板上のパターンやケーブル等を通して不要電磁波として空中に放射され、この電磁波が他の電子機器や自身に影響を及ぼす場合がある。
【0017】
特に、液晶表示装置の高精細化などによる回路規模の大規模化や、大型化に伴うアンテナ部位の大型化に伴い、電磁波障害(EMI,Electro Magnetic Interference)のレベルも大きくなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−142872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、前述のLVDS方式や特許文献1の技術は、コストも含め信号伝送の効率化を図るものであり、EMIの低減に関しては考慮されていなかった。特に、液晶テレビでは全面単色表示時の信号など、特定の表示パターンの画像信号を伝送する際、その表示パターンに依存して、EMIノイズが増加することがある。
【0020】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、EMIを確実に低減することが可能な液晶表示装置、およびこのような液晶表示装置を搭載した電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る液晶表示装置は、画像表示を行う液晶パネルと、該液晶パネルのデータ線を駆動するソースドライバと、該液晶パネルの走査線を走査信号により駆動する走査ドライバと、該ソースドライバおよび該走査ドライバを制御するタイミングコントローラとを備え、映像信号に基づいて画像表示を行う液晶表示装置であって、該タイミングコントローラは、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調する変調部を有し、該ソースドライバは、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調する復調部を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0022】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記変調部は、前記ソースドライバに供給するデータ信号およびクロック信号を、それぞれその位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、前記復調部は、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号および変調されたクロック信号を復調するものであることが好ましい。
【0023】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記変調部は、乱数表情報を有し、この乱数表情報に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、前記復調部は、前記変調部における乱数表情報と同一の乱数表情報を有し、該乱数表情報に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものであることが好ましい。
【0024】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記変調部は、前記ソースドライバに供給するデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングが各パルス毎にランダムに変化するよう変調するものであり、前記復調部は、前記タイミングコントローラからの変調されたデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングを調整して復調するものであることが好ましい。
【0025】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記変調部は、前記乱数表情報における0あるいは1の配列に基づいて、前記ソースドライバに供給するデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングがずれるよう変調するものであり、前記復調部は、前記乱数表情報における0あるいは1の配列に基づいて、前記タイミングコントローラからの変調されたデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングを調整して復調するものであることが好ましい。
【0026】
本発明は、上記液晶表示装置において、ノイズ信号を生成するノイズ源を有し、前記変調部は、該ノイズ信号に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、前記復調部は、該ノイズ信号に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものであることが好ましい。
【0027】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記変調部は、ノコギリ波を生成する変調側ノコギリ波生成部と、該ノコギリ波と前記ノイズ信号とを比較する変調側比較部とを有し、該比較部の比較出力に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、前記復調部は、前記変調部のノコギリ波生成部で生成されるノコギリ波と同じノコギリ波を生成する復調側ノコギリ波生成部と、該ノコギリ波と前記ノイズ信号とを比較する復調側比較部とを備え、該復調側比較部での比較結果に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものであることが好ましい。
【0028】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記タイミングコントローラは、前記映像信号を8ビットコード化信号に変換するコマンドエンコーダと、該8ビットコード化信号を変調する変調部と、変調された8ビットコード化信号を10ビットコード化信号に変換する8b/10bエンコーダと、該10ビットコード化信号をシリアル信号に変換して、一対のシリアルデータ信号と一対のクロック信号CLとを伝送路に出力するシリアライザとを有していることが好ましい。
【0029】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記ソースドライバは、前記シリアライザから出力された一対のシリアルデータ信号と一対のクロック信号とを伝送路を介して受信し、これらの信号を10ビットコード化信号であるパラレル信号に変換するデシリアライザと、該10ビットコード化信号を8ビットコード化信号に変換する8b/10bデコーダと、該8ビットコード化信号を復調する復調部と、復調された8ビットコード化信号を前記液晶パネルの駆動信号に変換して、前記液晶パネルのデータに印加するコマンドデコーダとを有していることが好ましい。
【0030】
本発明は、上記液晶表示装置において、前記タイミングコントローラは、前記走査ドライバに供給する走査信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調する変調部を有し、該走査ドライバは、該タイミングコントローラからの変調された走査信号を復調する復調部を有することが好ましい。
【0031】
本発明に係る電子情報機器は、表示部を有する電子情報機器において、該表示部は、上述した本発明に係る液晶表示装置を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0032】
次に本発明の作用について説明する。
【0033】
本発明においては、送信信号の突出した周波数ピークの発生を抑止することが可能となる。すなわち、規則性も再現性も有しない手法で、映像信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを順次変調して、タイミングコントローラからソースドライバに伝送しているため、周期性のない変調を行うことが出来、突出した周波数ピークを分散させることが可能となる。その結果、送信信号のピークが小さくなり、EMIの主要なスペクトラム成分となる突出したピークが現れないため、効果的にEMIを低減することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、液晶表示装置において、タイミングコントローラからソースドライバに送信される送信信号の周波数ピークを抑えることにより、EMIを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による液晶表示装置を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による液晶表示装置におけるタイミングコントローラおよびソースドライバの具体的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による液晶表示装置の動作を説明する図であり、変調された映像信号のタイミング(図(b))を、変調されていない映像信号のタイミング(図(a))と比較して示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態1による液晶表示装置の動作を説明する図であり、映像信号を変調する処理を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2による液晶表示装置を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2による液晶表示装置におけるタイミングコントローラおよびソースドライバの具体的構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態2による液晶表示装置におけるタイミングコントローラの変調部およびソースドライバの復調部を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態2による液晶表示装置の動作を説明する図であり、映像信号を変調する処理を説明する図である。
【図9】図9は、従来の液晶表示装置を説明する図である。
【図10】図10は、従来の液晶表示装置におけるタイミングコントローラ201およびソースドライバ202の具体的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による液晶表示装置を説明する図である。
【0038】
この液晶表示装置100は、従来の液晶表示装置200におけるタイミングコントローラ201およびソースドライバ202に代えて、タイミングコントローラからソースドライバに送信される映像信号としてのパルス信号によるEMIノイズを低減することができるタイミングコントローラ101およびソースドライバ102を備えたものであり、その他の構成は従来の液晶表示装置200と同一である。
【0039】
つまり、この液晶表示装置100は、画像エンジンより出力された映像信号Vsを受け、タイミング信号(クロック信号)CLと変調されたデータ信号Drを出力するとともに、走査信号Csを出力するタイミングコントローラ101と、画像を表示する液晶パネル204と、タイミング信号CLと変調されたデータ信号Dとに基づいて液晶パネルの信号ラインを駆動するソースドライバ102と、走査信号Csに基づいて液晶パネル204の走査ラインを駆動する走査ドライバ203とを有している。
【0040】
図2は、本実施形態1の液晶表示装置100におけるタイミングコントローラ101およびソースドライバ102の具体的構成を示している。
【0041】
タイミングコントローラ101は、デジタル映像信号Vsに含まれるデータ信号およびクロック信号を分離してそれぞれ8ビットコード化信号に変換するコマンドエンコーダ11と、このデータ信号としての8ビットコード化信号を変調する変調部12と、変調された8ビットコード化信号を10ビットコード化信号に変換する8b/10bエンコーダ13と、この10ビットコード化信号およびクロック信号としての8ビットコード化信号をシリアル信号に変換して、一対のシリアルデータ信号Dと一対のクロック信号CLとを伝送路Lに出力するシリアライザ14とを有している。
【0042】
ソースドライバ102は、シリアライザ14から出力された一対のシリアルデータ信号Dと一対のクロック信号CLとを伝送路Lを介して受信し、これらの信号をデータ信号としての10ビットコード化信号とクロック信号としての8ビットコード化信号とに変換するデシリアライザ21と、データ信号としての10ビットコード化信号を8ビットコード化信号に変換する8b/10bデコーダ22と、データ信号としての8ビットコード化信号を復調する復調部23と、復調された8ビットコード化信号、およびデシリアライザ21からのクロック信号としての8ビットコード化信号を液晶パネル204の駆動信号Dsに変換して、液晶パネルのデータに印加するコマンドデコーダ24とを有している。
【0043】
ここで、タイミングコントローラ101を構成するコマンドエンコーダ11、8b/10bエンコーダ13、およびシリアライザ14は、従来の液晶表示装置200におけるものと同一であり、また、ソースドライバ102を構成するデシリアライザ21、8b/10bデコーダ23、およびコマンドデコーダ24は、従来の液晶表示装置200におけるものと同一である。
【0044】
また、タイミングコントローラ101とソースドライバ102との間の信号伝送路は、プリント基板の配線や各種ケーブルにより構成されている。
【0045】
そして、この実施形態1では、タイミングコントローラ101を構成する変調部12は、コマンドエンコーダ11から出力されたデータ信号としてのパルス信号に対して、例えばパルスの1周期毎にパルスの立ち上がりタイミングをランダムにずらせる変調処理を施すものである。
【0046】
図3(a)は、変調されていないデータ信号(変調部の入力)としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを示し、図3(b)は、変調されたデータ信号(変調部の出力)としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを示している。
【0047】
ここで、変調されていないデータ信号(変調部の入力)としてのパルス信号Pvと、変調されたデータ信号(変調部の出力)としてのパルス信号MPvとを比較すると、変調されていないデータ信号としてのパルス信号Pvでは、パルスの立ち上がりが一定周期で生じているのに対し、変調されたデータ信号としてのパルス信号MPvでは、パルスの立ち上がりがランダムにずれている。
【0048】
図4は、変調部12にてパルスの立ち上がりタイミングをランダムにずらせる処理について説明する図であり、乱数情報(図(a))、および乱数情報を用いる方法(図(b))を示している。
【0049】
例えば、変調部12は、0と1のとランダムな配列を含む乱数情報R(図4(a))を格納した記憶部(図示せず)と、入力されたパルス信号を遅延する直列接続の複数の遅延素子と、これらの各遅延素子と並列に接続された複数のスイッチ素子とを有し、パルス信号が入力される度に、4つの連続した0および1の配列に応じて、スイッチ素子のオンオフを切り替えて、遅延量を調整するものである。
【0050】
具体的には、例えば先頭パルスに対しては、乱数配列R1を用い、この乱数配列R1の最初の値『0』Sdは、パルスの立ち上がりをどちらの方向にずらすかを示し、2つ目から4つ目の値『100』はパルスの立ち上がりをずらせる量を示している。
【0051】
このような規則に従って、先頭パルスに続く2番目以降のパルスの立ち上がりタイミングを、それぞれ乱数配列R2〜Rnに従ってずらせることで、入力されたパルス信号Pvを、その立ち上がりタイミングをランダムにずらせた変調パルス信号MPvが得られる。
【0052】
また、復調部23は、上記変調部12と同様に、0と1のとランダムな配列を含む乱数情報R(図4(a))を格納した記憶部(図示せず)と、入力されたパルス信号を遅延する直列接続の複数の遅延素子と、これらの各遅延素子と並列に接続された複数のスイッチ素子とを有しており、パルス信号が入力される度に、4つの連続した0および1の配列に応じて、スイッチ素子のオンオフを切り替えて、遅延量を調整するものである。ただし、この復調部23では、変調部12でずらせた立ち上がりタイミングが、ずらせる前のタイミングに戻るよう、スイッチ素子のオンオフ切り替える。
【0053】
次に動作について説明する。
【0054】
このような構成の本実施形態1の液晶表示装置100では、画像エンジンより出力されたデジタル映像信号Vsが入力されると、タイミングコントローラ101が、この信号に基づいてデータ信号Dとクロック信号CLとをソースドライバ102に出力するとともに、走査信号Csを走査ドライバ203に出力する。
【0055】
ソースドライバ102にデータ信号Dとクロック信号CLとが入力され、走査ドライバ203に走査信号Csが入力されると、ソースドライバ102は、液晶パネル204のデータラインにデータ線駆動信号を出力し、走査ドライバ203は液晶パネル204の走査ラインに走査線駆動信号を出力する。これにより、液晶パネル204では、入力された映像信号Vsに応じた画像表示が行われる。
【0056】
このような動作は従来の液晶表示装置200におけるものと同一である。
【0057】
そしてこの実施形態1の液晶表示装置100のタイミングコントローラ101では、コマンドエンコーダ11により入力された映像信号Vsに含まれるデータ信号およびクロック信号それぞれは分離されて8ビットコード化信号に変換された後、このデータ信号としての8ビットコード化信号は変調部12により変調される。これにより、パルス信号としての8ビットコード化信号は、その立ち上がりタイミングがパルス周期に一致した基準立ち上がりタイミングに対して、ランダムにずれた位置で立ち上がることとなる。
【0058】
このように変調された8ビットコード化信号は8b/10bエンコーダ13により10ビットコード化信号に変換される。さらにこの10ビットコード化信号およびコマンドエンコーダ11からのクロック信号としての8ビットコード化信号は、シリアライザ14により、一対のクロック信号CLと一対のデータ信号Dに変化されて伝送路Lに出力される。
【0059】
ソースドライバ102では、タイミングコントローラ101からの一対のクロック信号CLと一対のデータ信号Dはデシリアライザ21によりデータ信号としての10ビットコード化信号およびクロック信号としての8ビットコード化信号に変換され、さらにこの10ビットコード化信号は8b/10bデコーダ22により、8ビットコード化信号に変換された後、このデータ信号としての8ビットコード化信号は復調部23により復調される。
【0060】
そして、復調された8ビットコード化信号、およびデシリアライザ21からのクロック信号としての8ビットコード化信号はコマンドデコーダ24により、液晶パネルのデータ線を駆動する駆動信号Dsに変換されて液晶パネル204に出力される。
【0061】
このような構成の実施形態1の液晶表示装置100では、タイミングコントローラ内の変調部にて、映像信号として送信するデータ信号(パルス信号)の変調により、該パルス信号の立ち上がりタイミングをランダムにずらせているため、EMIの主要なスペクトラム成分となる突出した周波数のピークが現れるのを回避でき、このため、効果的にEMIを低減することが可能となる。
【0062】
つまり、本実施形態では、送信側であるタイミングコントローラ内に変調部を、また信号受信側であるソースドライバ内に復調部を設置し、相互間で送信されるデータ信号のパルスをランダムに変調させるので、送信されるデータ信号の突出した周波数ピークの発生を抑止することが可能となる。また、規則性も再現性も有しない手法で、データ信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを順次変調して、タイミングコントローラからソースドライバに伝送しているため、周期性のない変調を行うことができ、突出した周波数ピークを分散させることが可能となる。その結果、送信されるデータ信号のピークが小さくなり、EMIの主要なスペクトラム成分となる突出したピークが現れないため、効果的にEMIを低減することができる
また、本実施形態では、データ信号としての8ビットコード化信号は8b/10bエンコーダ13により10ビットコード化信号に変換されるので、シリアライザからシリアル出力されるデータ信号としてのパルス信号における『0』あるいは『1』レベルが偏在するのを抑制することができ、パルス信号の波形なまりを抑制することができる。
【0063】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による液晶表示装置を説明する図である。
【0064】
この液晶表示装置100aは、実施形態1の液晶表示装置100におけるタイミングコントローラ101およびソースドライバ102に代えて、ノイズ源110と、該ノイズ源110から発生されるノイズ信号Nsに基づいて、タイミングコントローラからソースドライバに送信されるデータ信号としてのパルス信号によるEMIノイズを低減することができるタイミングコントローラ101aおよびソースドライバ102aを備えたものである。この実施形態2のその他の構成は、実施形態1の液晶表示装置100と同一であるので、以下、本実施形態2の液晶表示装置100aにおけるタイミングコントローラ101aおよびソースドライバ102aについて説明する。
【0065】
図6は、本実施形態2の液晶表示装置100におけるタイミングコントローラ101aおよびソースドライバ102aの具体的構成を示している。
【0066】
このタイミングコントローラ101aは、実施形態1のタイミングコントローラ101における変調部12に代えて、上記ノイズ源110からのノイズ信号Nsに基づいてコマンドエンコーダ11からの8ビットコード化信号を変調する変調部12aを有しており、その他の構成は、実施形態1のタイミングコントローラ101におけるものと同一である。
【0067】
また、ソースドライバ102aは、実施形態1のソースドライバ102における変調部12に代えて、上記ノイズ源110からのノイズ信号Nsに基づいて、8b/10bデコーダ22からの8ビットコード化信号を復調する復調部23aを備えたものであり、その他の構成は、実施形態2のソースドライバ102におけるものと同一である。
【0068】
そして、この実施形態2では、タイミングコントローラ101aを構成する変調部12aは、コマンドエンコーダ11から出力されたデータ信号としてのパルス信号に対して、例えばパルスの1周期毎にパルスの立ち上がりタイミングをランダムにずらせる変調処理を施すものである。
【0069】
以下、この実施形態2の変調部12aおよび復調部23aについて説明する。
【0070】
図7は、変調部12aおよび復調部23aを説明する図であり、変調部12aおよび復調部23aの構成(図(a)および図(b))を対比して示している。
【0071】
図8は、変調部12aでパルス信号の立ち上がりタイミングをランダムにずらせる処理を説明する図であり、ランプ波形(図(a))および変調に用いるパルス波形(図(b))を示している。
【0072】
ここで、変調部12aは、ノコギリ波RAMPを生成するノコギリ波生成部121と、このノコギリ波RAMPとノイズ源110からのノイズ信号Nsとを比較する電圧比較部122と、この比較結果に基づいて、ノコギリ波RAMPの振幅がノイズ信号Nsの振幅より大きい期間をパルス幅とする調整パルスPrを生成する遅延量発生部123と、該遅延量発生部123からの調整パルスPrのパルス幅に基づいて、コマンドエンコーダ11からのデータ信号としてのパルス信号Pvの立ち上がりタイミングをずらせて、変調されたパルス信号MPbを出力するパルス位相変更回路124とを有している。
【0073】
また、復調部23aは、ノコギリ波生成部121で生成されるノコギリ波RAMPと同じノコギリ波を生成するノコギリ波生成部231と、このノコギリ波RAMPとノイズ源110からのノイズ信号Nsとを比較する電圧比較部232と、この比較結果に基づいて、ノコギリ波RAMPの振幅がノイズ信号Nsの振幅より大きい期間をパルス幅とする調整パルスPrを生成する遅延量発生部233と、該遅延量発生部233からの調整パルスPrのパルス幅に基づいて、8b/10bデーコーダ22からのデータ信号としての変調パルス信号MPvの立ち上がりタイミングをずらせて、復調されたパルス信号RPvを出力するパルス位相復調回路234とを有している。
【0074】
このような構成の実施形態2の液晶表示装置100aにおいても、実施形態1の液晶表示装置100と同様に、タイミングコントローラ内の変調部12aにて、映像信号として送信するデータ信号(パルス信号)の変調により、該パルス信号の立ち上がりタイミングをランダムにずらせているため、EMIの主要なスペクトラム成分となる突出した周波数のピークが現れるのを回避でき、このため、効果的にEMIを低減することが可能となる。
【0075】
なお、上記実施形態1および2では、タイミングコントローラからソースドライバに供給するデータ信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを変調する例を示したが、タイミングコントローラからソースドライバに供給するクロック信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを変調するようにしてもよく、さらにタイミングコントローラからソースドライバに送信する映像信号に含まれるデータ信号およびクロック信号に対してともに、パルス信号の立ち上がりタイミングに対する変調を施すようにしてもよい。
【0076】
例えば、タイミングコントローラからソースドライバに供給するクロック信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを変調する場合、上記実施形態1および2において、コマンドエンコーダから出力されるデータ信号に代えて、クロック信号を変調部および8b/10bエンコーダを介してシリアライザに供給し、デシリアライザから出力されるデータ信号に代えてクロック信号を8b/10bデコーダおよび変調部を介してコマンドデコーダ24に供給するようにすればよい。
【0077】
また、タイミングコントローラからソースドライバに供給するデータ信号およびクロック信号に対してともに、パルス信号の立ち上がりタイミングの変調を施す場合、上記実施形態1および2において、コマンドエンコーダから出力されるデータ信号およびクロック信号をともに変調部および8b/10bエンコーダを介してシリアライザに供給し、デシリアライザから出力されるデータ信号およびクロック信号をともに8b/10bデコーダおよび変調部を介してコマンドデコーダ24に供給するようにすればよい。
【0078】
さらに、タイミングコントローラは、走査ドライバに供給する走査信号としてのパルス信号の立ち上がりタイミングを変調する、上記実施形態と同様の変調部を有し、走査ドライバは、変調された走査信号としてのパルス信号を復調する、上記実施形態と同様の復調部を有していてもよい。
【0079】
つまり、本発明は、液晶表示装置において、データ信号としてのパルス信号、クロック信号としてのパルス信号、走査信号としてのパルス信号の少なくとも1つを、そのパルス立ち上がりタイミングがランダムにずれたものとなるよう変調することにより、EMIの低減という効果が得られるものである。
【0080】
また、上記実施形態1および2の説明では特に言及していないが、上述した実施形態の液晶表示装置は、携帯電話などのモバイル機器、さらには据え置き型の液晶テレビなどの電子情報機器の画像表示部として用いることができる。
【0081】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、液晶表示装置の分野において、タイミングコントローラからソースドライバに送信される送信信号の周波数ピークを抑えることにより、EMIを低減することが可能となり、EMIを確実に低減することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
11 コマンドエンコーダ
12、12a 変調部
13、22 8b/10bエンコーダ、
14 シリアライザ、
21 デシリアライザ、
23、23a 復調部
24 コマンドデコーダ、
100、100a 液晶表示装置
101、101a タイミングコントローラ
102、102a ソースドライバ
121、131 ノコギリ波生成部
122、232 電圧比較部
123、233 遅延量発生部
124 パルス位相変更回路
110 ノイズ源
203 走査ドライバ
204 液晶パネル
234 パルス位相復元回路
L 伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示を行う液晶パネルと、該液晶パネルのデータ線を駆動するソースドライバと、該液晶パネルの走査線を走査信号により駆動する走査ドライバと、該ソースドライバおよび該走査ドライバを制御するタイミングコントローラとを備え、映像信号に基づいて画像表示を行う液晶表示装置であって、
該タイミングコントローラは、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調する変調部を有し、
該ソースドライバは、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調する復調部を有する、液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記変調部は、前記ソースドライバに供給するデータ信号およびクロック信号を、それぞれその位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、
前記復調部は、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号および変調されたクロック信号を復調するものである、液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記変調部は、乱数表情報を有し、この乱数表情報に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、
前記復調部は、前記変調部における乱数表情報と同一の乱数表情報を有し、該乱数表情報に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものである、液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液晶表示装置において、
前記変調部は、前記ソースドライバに供給するデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングが各パルス毎にランダムに変化するよう変調するものであり、
前記復調部は、前記タイミングコントローラからの変調されたデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングを調整して復調するものである、液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置において、
前記変調部は、前記乱数表情報における0あるいは1の配列に基づいて、前記ソースドライバに供給するデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングがずれるよう変調するものであり、
前記復調部は、前記乱数表情報における0あるいは1の配列に基づいて、前記タイミングコントローラからの変調されたデータ信号としてのパルス信号を、その立ち上がりタイミングを調整して復調するものである、液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
ノイズ信号を生成するノイズ源を有し、
前記変調部は、該ノイズ信号に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、
前記復調部は、該ノイズ信号に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものである、液晶表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示装置において、
前記変調部は、
ノコギリ波を生成する変調側ノコギリ波生成部と、
該ノコギリ波と前記ノイズ信号とを比較する変調側比較部とを有し、
該比較部の比較出力に基づいて、該ソースドライバに供給するデータ信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調するものであり、
前記復調部は、
前記変調部のノコギリ波生成部で生成されるノコギリ波と同じノコギリ波を生成する復調側ノコギリ波生成部と、
該ノコギリ波と前記ノイズ信号とを比較する復調側比較部とを備え、
該復調側比較部での比較結果に基づいて、該タイミングコントローラからの変調されたデータ信号を復調するものである、液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記タイミングコントローラは、
前記映像信号を8ビットコード化信号に変換するコマンドエンコーダと、
該8ビットコード化信号を変調する変調部と、
変調された8ビットコード化信号を10ビットコード化信号に変換する8b/10bエンコーダと、
該10ビットコード化信号をシリアル信号に変換して、一対のシリアルデータ信号と一対のクロック信号CLとを伝送路に出力するシリアライザとを有している、液晶表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶表示装置において、
前記ソースドライバは、前記シリアライザから出力された一対のシリアルデータ信号と一対のクロック信号とを伝送路を介して受信し、これらの信号を10ビットコード化信号であるパラレル信号に変換するデシリアライザと、
該10ビットコード化信号を8ビットコード化信号に変換する8b/10bデコーダと、
該8ビットコード化信号を復調する復調部と、
復調された8ビットコード化信号を前記液晶パネルの駆動信号に変換して、前記液晶パネルのデータに印加するコマンドデコーダとを有している、液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記タイミングコントローラは、前記走査ドライバに供給する走査信号を、その位相が一定周期でランダムに変化するよう変調する変調部を有し、
該走査ドライバは、該タイミングコントローラからの変調された走査信号を復調する復調部を有する、液晶表示装置。
【請求項11】
表示部を有する電子情報機器において、
該表示部は、請求項1に記載の液晶表示装置を有する、電子情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−2961(P2012−2961A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136642(P2010−136642)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】