説明

液晶表示装置および電子時計

【課題】薄肉化が可能でコントラストが高い液晶表示装置10および電子時計1を提供する。
【解決手段】表側に情報を表示する液晶パネル30と、液晶パネル30の裏側に配置され、表側から液晶パネル30に入射した外光70を表側に向かって反射する反射板32と、液晶パネル30の裏側に配置され、照明光80を出射するバックライト34と、を備え、外光70を利用した情報表示と照明光80を利用した情報表示とが可能な液晶表示装置10であって、バックライト34は少なくとも反射板32の周囲に配置され、バックライト34から出射した照明光80を反射板32に向かって反射する反射部19を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子時計では、時刻等の情報の表示手段として液晶表示装置が利用されている。液晶表示装置として、半透過反射型の液晶表示装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。半透過反射型の液晶表示装置では、昼間はバックライトを消灯し、外光を利用して情報表示を行う。一方、夜間はバックライト(照明手段)を点灯し、その照明光を利用して情報表示を行う。
【0003】
図7は、従来技術に係る液晶表示装置の情報表示作用の説明図である。図7(a)に示す液晶表示装置210は、半透過反射型の液晶表示装置であって、液晶パネル230の裏面側に、入射光の略半分を透過し略半分を反射する半透過反射板33が配置されている。その半透過反射板33の裏面側に、エレクトロルミネッセンス装置(以下「EL装置」という。)からなるバックライト34が配置されている。
バックライト34が消灯の時、液晶パネル230の表側から入射した外光70は、液晶パネルの透過部(ノーマリーホワイトの時のOFF部)を透過し、その略半分が半透過反射板33で反射され、表側に出射して白表示が行われる。バックライト34の点灯時、バックライト34から出射した照明光80は、その略半分が半透過反射板33を透過し、表側に出射して白表示が行われる。
【0004】
また、図7(b)に示す液晶表示装置310では、液晶パネル330の裏面側にバックライト34が配置されている。このバックライト34は、導光板38の側面に光源であるLED36を配置し構成したものである。そのバックライト34の裏面側に、入射光の略全部を反射する反射板32が配置されている。
バックライト34の消灯時、液晶パネル330の表側から入射した外光70は、液晶パネルの透過部(ノーマリーホワイトの時のOFF部)を透過し、その略全部が反射板32で反射され、表側に出射して白表示が行われる。バックライト34の点灯時、バックライト34から出射した照明光80は、その略全部が液晶パネル330の表側に出射して白表示が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4083785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7(a)に示す液晶表示装置210は、バックライト34としてEL装置を利用するので、液晶表示装置210を薄肉化できる。しかしながら、半透過反射板33を使用するため、外光70および照明光80の略半分しか白表示に利用されないので、表示領域全体の明るさが低下し視認性が劣るという問題がある。
これに対して、図7(b)に示す液晶表示装置310は、反射板32と導光板38を含むバックライト34を使用するため、外光70および照明光80の略全部が白表示に利用されるので、表示領域が明るく視認性は良好である。しかしながら、バックライト34として導光板38を利用するので、液晶表示装置310が厚肉化するという問題がある。
【0007】
近時、ポリマーネットワーク型液晶を備えた液晶表示装置が開発されている。ポリマーネットワーク型液晶は、表示電圧印加部分では入射光を透過して反射板表面を視認させ、それ以外の部分では入射光を散乱させて白濁表示を行うものである。光の散乱は光が入射する際と反射板で反射された際の二度にわたり散乱され白濁感をより強めてコントラストを維持している。この液晶表示装置は、偏光板が不要であるため光の利用効率が高く、明るい表示を行うことができる。
しかしながら、夜間など外部からの入射光が無い場合でも視認できるように、バックライトを搭載した図7(a)に示す液晶表示装置210の液晶パネルとしてポリマーネットワーク型液晶を採用した場合には、バックライト34であるEL装置から出射した照明光80が、直ちに液晶パネル230の透過部と白濁部分に入射し、視認されるため、白濁部分に入射した光は液晶層を1度通過するだけのため外部からの入射光と比較して散乱が小さく、過度に明るくなり、透過部とのコントラストが低くなり、表示領域は明るいものの情報は視認できない状態になる。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、薄肉化が可能で表示領域が明るく視認性の高い液晶表示装置および電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、表側に情報を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルの裏側に配置され、前記表側から前記液晶パネルに入射した外光を前記表側に向かって反射する反射板と、前記液晶パネルの裏側に配置され、照明光を出射する照明手段と、を備え、前記外光を利用した情報表示と前記照明光を利用した情報表示とが可能な液晶表示装置であって、前記照明手段は、少なくとも前記反射板の周囲に配置され、前記照明手段から出射した照明光を前記反射板に向かって反射する反射部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、反射板として半透過反射板を採用する必要がなく、入射光の略全部を反射する反射板を採用することができる。そのため、照明手段の消灯時に液晶パネルの表側から入射した外光は、その略全部が反射板で反射され、表側に出射するため、表示領域全体が明るくなり表示情報の視認性が高くなる。
また、照明手段が反射板の周囲に配置されているので、照明手段から出射した照明光は反射板の表側に回りこみ、反射部および反射板で反射されて、その多くが表示領域内に利用される。したがって、表示領域全体が明るくなり視認性が向上する。
さらに、入射光の略全部を反射する反射板を採用しつつも、照明手段として導光板を採用する必要がないので、液晶表示装置を薄肉化することができる。
【0011】
また前記照明手段は、エレクトロルミネッセンス装置であることが望ましい。
この発明によれば、照明手段として薄肉のエレクトロルミネッセンス装置を採用するので、液晶表示装置を極めて薄肉化することができる。
【0012】
また前記液晶パネルは、ポリマーネットワーク型(以下「PN型」という。)液晶パネルであってもよい。
ツイステッドネマチック型(以下「TN型」という。)液晶パネルとPN型液晶パネルの違いをノーマリーホワイト(背景が白で文字部が黒の表示形態)とノーマリーブラック(背景が黒で文字部が白の表示形態)で説明する。ノーマリーホワイトのTN型液晶パネルとPN型液晶パネルを比較すると表示電圧印加部ではTN型液晶パネルは光を遮断し、PN型液晶パネルは光を透過する。表示電圧非印加部はTN型液晶では光を透過し、PN型液晶パネルでは光を散乱させる。ノーマリーブラックのTN型液晶パネルとPN型液晶パネルを比較すると表示電圧印加部は両タイプとも光は透過し、表示電圧非印加部はノーマリーブラックのTN型液晶パネルは光を遮断し、PN型液晶パネルは光を散乱する。
このような特性を有する液晶パネルに対して照明手段から出射した照明光は、直ちに液晶パネルに入射することなく、反射部により反射されて入射し、さらに反射板で反射された後に液晶パネルに入射する。そのため、PN型液晶を採用した場合でも、表示電圧非印加部(白濁部)が過度に明るくなるのを抑制できるので、光透過部と光散乱部とのコントラストを確保することができる。
【0013】
また、前記液晶パネルの周囲に配置されたケースを備え、前記反射部は、前記ケースの内面であってもよい。
この発明によれば、新たに反射部を設ける必要がないので、液晶表示装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0014】
また、前記液晶パネルの周囲に配置されたケースを備え、前記ケースの内面に、光反射処理が施され、前記反射部は、前記光反射処理が施された前記ケースの内面であってもよい。
この発明によれば、ケース内面の光反射率が高まり、照明光の多くを反射板に向かって反射させるので、表示領域が明るくなる。また、PN型液晶パネルを採用した場合には光の散乱効果もあり、透過表示部と白濁表示部とのコントラストを照明手段が非点灯の場合と同様に維持しながら表示領域を明るくすることができる。
【0015】
また、前記液晶パネルの周囲に配置された電磁シールド部材を備え、前記反射部は、前記電磁シールド部材の内面であってもよい。
この発明によれば、電磁シールド部材は金属材料からなるため光反射率が高く、照明光の多くを反射板に向かって反射させるので、表示領域がより明るくなり視認性が向上するとともに、電磁シールド部材を反射部としても利用するので、液晶表示装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0016】
一方、本発明の電子時計は、上述した液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、薄肉の液晶表示装置を備えているので、電子時計を薄肉化することができる。また表示領域が明るい液晶表示装置を備えているので、電子時計の表示部を明るく視認性の高いものにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液晶表示装置によれば、反射板として半透過反射板を採用する必要がなく、入射光の略全部を反射する反射板を採用することができる。そのため、照明手段の消灯時に液晶パネルの表側から入射した外光は、その略全部が反射板で反射され、表側に出射して表示が行われる。したがって、表示部は明るく視認性の高いものとなる。
また、照明手段が反射板の周囲に配置されているので、照明手段から出射した照明光は反射板の表側に回りこみ、反射部および反射板で反射されて出射される。PN型液晶パネルを採用した場合には光の散乱効果を高める効果もあり、透過表示部と白濁表示部とのコントラストを照明手段が非点灯の場合と同様にすることができる。さらに、入射光の略全部を反射する反射板を採用しつつも、照明手段として導光板を採用する必要がないので、液晶表示装置を薄肉化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る電子時計の側面断面図である。
【図2】実施形態に係る液晶パネルの平面図である。
【図3】図2のA−A線における側面断面図である。
【図4】(a)はバックライト消灯時の情報表示作用の説明図であり、(b)はバックライト点灯時の情報表示作用の説明図である。
【図5】第1変形例に係る液晶パネルの説明図であり、図2のA−A線に相当する部分における側面断面図である。
【図6】(a)は第2変形例に係る電子時計の側面断面図であり、(b)は第3変形例に係る電子時計の側面断面図である。
【図7】従来技術に係る液晶表示装置の情報表示作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
(電子時計)
図1は、実施形態に係る電子時計の側面断面図である。なお、電子時計1および液晶パネル30の時刻表示面側を表側とし、その反対側を裏側とする。
図1に示すように、電子時計1は、金属や樹脂材料等からなるケース12を備えている。ケース12の表側には表示窓13が開口され、表示窓13を覆うようにカバーガラス14が配置されている。一方、ケース12の裏側には凹部15が形成され、凹部15の開口が裏蓋16で閉塞されている。
【0020】
凹部15の深さ方向の略中央部には、メイン基板20が配置されている。メイン基板20の裏側には電池ホルダ26が配置され、電池ホルダ26の内側に電池28が配置されている。電池28の表側の極は、電池ホルダ26を介してメイン基板20に電気的接続されている。電池28の裏側の極は、裏蓋16の配線(不図示)および電池ホルダ26を介して、メイン基板20に電気的接続されている。
一方、メイン基板20の表側の中央部にはICチップ22が実装されている。
【0021】
(液晶表示装置)
本実施形態の電子時計1は、液晶表示装置10を備えている。液晶表示装置10は、液晶パネル30と、液晶パネル30の裏側に配置された反射板32と、反射板32の周囲に配置されたバックライト34とを備えている。
メイン基板20の表側に、メイン基板20から離間して、バックライト34が配置されている。バックライト34は、導電ゴムにより形成された第1コネクタ23を介してメイン基板20に実装されている。本実施形態では、バックライト34としてエレクトロルミネッセンス装置(以下「EL装置」という。)が採用されている。
【0022】
バックライト34の表側には反射板32が配置されている。反射板32は、光反射率の高いアルミニウム等の金属箔で形成されている。反射板32の表側には液晶パネル30が配置されている。液晶パネル30は、導電層および絶縁層を並べ一体成型した第2コネクタ24を介してメイン基板20に実装されている。メイン基板20および液晶パネル30は、支持部材25を介して、ケース12の凹部15の底面に支持されている。
【0023】
(液晶パネル)
図2は、液晶パネルの平面図である。なお本実施形態では、PN型液晶パネル30について説明する。
図2に示すように、液晶パネル30の中央部には、時刻情報を数字のセグメントで表示する表示部31が設けられている。なお、ケースの表示窓13は矩形状に形成され、表示窓13の内側に表示部31が配置されている。また、表示窓13より大きく反射板32の外形が形成され、反射板32の外形より大きくバックライト34の外形が形成されている。すなわちバックライト34は、反射板32の裏側だけでなく反射板32の周囲にも配置されている。
【0024】
図3は、図2のA−A線における側面断面図である。
図3に示すように、液晶パネル30は、液晶層60を挟む一対の基板(表側基板40および裏側基板50)を備えている。一対の基板40,50は、それぞれガラス基板41,51を備えている。一対のガラス基板41,51の外側には、それぞれ紫外線フィルタ42,52が配置されている。紫外線フィルタ42,52は、紫外線の入射により液晶層60が劣化するのを防止している。一対のガラス基板41,51の内側には、それぞれ透明導電性材料からなる電極44,54が形成されている。一対の電極44,54のうち少なくとも一方は、上述したセグメントの形状に形成されている。
【0025】
一対の基板40,50の間には、PN型液晶層60が配置されている。この液晶層60の内部には網目状形成された高分子材62が配置され、前記高分子材62に沿って液晶分子61が不規則に並んでいる。この状態の液晶層60は入射光を散乱させる。すなわち外光71は、液晶パネル30の表側から入射し反射板32で反射され表側に出射する過程で、液晶層60において散乱される。そのため、出射光は白濁状態のように視認される。
【0026】
一方、一対の電極44,54の間に表示電圧を印加すると、液晶分子61が表示電圧方向に沿って整列する。この状態の液晶層60は入射光を透過させる。すなわち外光72は、液晶パネル30の表側から入射し反射板32で反射され表側に出射する過程で、液晶層60を直進し液晶層60を透過する。そのため、出射光は散乱すること無く透過し反射板表面が見えるようになる。
【0027】
図4(a)はバックライト消灯時の情報表示作用の説明図であり、図4(b)はバックライト点灯時の情報表示作用の説明図である。
図4(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置10は、昼間はバックライト34を消灯し、上記のように外光70を利用して情報表示を行う。すなわち、表示窓13を通過した外光70は、表側から液晶パネル30に入射し、反射板32で反射され、再び液晶パネル30の表側に出射する。そして、表示電圧印加部分では外光70が液晶層を透過し反射光72(図3参照)のように直進成分のまま表側に反射される。それ以外の部分では外光70が液晶層で散乱されて散乱光71(図3参照)のように直進成分は減少し散乱成分となり白濁状態となる。これらの透過と白濁とを組み合わせて情報表示が行われる。
【0028】
本実施形態では、反射板として半透過反射板を採用することなく、入射光の略全部を反射する反射板を採用している。そのため、バックライト34の消灯時、液晶パネル30の表側から表示電圧印加部分に入射した外光70は、その略全部が反射板32で反射され、表側に出射して表示が行われる。したがって、半透過型反射板を使用した場合と比較し、表示領域全体が明るくなり、良好な視認性を確保することができる。
【0029】
一方、本実施形態の液晶表示装置10は、図4(b)に示すように、夜間はバックライト34を点灯し、その照明光80を利用して情報表示を行う。すなわち、反射板32の周囲のバックライト34から出射した照明光80は、液晶パネル30を透過して、表示窓13の周囲の見切り部におけるケース12の内面に入射する。このケース12の内面は、照明光80を反射板32に向かって反射する反射部19として機能する。反射部19で反射された照明光80は、上記のように表側から液晶パネル30に入射し、反射板32で反射され、再び液晶パネル30の表側に出射する。そして、ノーマリーホワイトのTN型液晶パネルの場合は表示電圧印加部分では照明光80が液晶層により遮断され黒表示が行われ、それ以外の部分では照明光80が液晶層を透過して白表示が行われ、これらの白表示と黒表示とを組み合わせて情報表示が行われる。また、PN型液晶パネルの場合は表示電圧印加部分では照明光80が液晶層を透過し透過表示が行われ、それ以外の部分では照明光80が液晶で散乱して白濁表示が行われ、これらの透過表示と白濁表示とを組み合わせて情報表示が行われる。
【0030】
本実施形態の液晶表示装置10は、バックライト34が少なくとも反射板32の周囲に配置され、バックライト34から出射した照明光80を反射板32に向かって反射する反射部19を備える構成としている。そのため、バックライト34から出射した照明光80は、反射板32の表側に回りこみ、反射部19および反射板32で反射されて、視認される。
また、反射板32を採用しつつも、バックライト34に厚肉の導光板を採用する必要がなく、薄肉のEL装置を採用することができる。したがって、液晶表示装置10を薄肉化することができる。
【0031】
しかも、PN型液晶パネル30を採用しつつ、バックライト34にEL装置を採用した場合でも、バックライト34であるEL装置から出射した照明光80は、直ちに液晶パネル30に入射することなく、反射部19で反射して液晶層に入射し、散乱した後、反射板32で反射されて再度液晶層に入射し散乱して出射され視認されるので、光の散乱により白濁状に見える効果は大きくなり白濁部が過度に明るくなるのを抑制でき、透過表示部と白濁表示部とのコントラストを外部からの入射光による情報表示と同様のコントラストを確保することができる。
【0032】
(第1変形例)
図5は、第1変形例に係る液晶パネルの説明図であり、図2のA−A線に相当する部分における側面断面図である。上述した実施形態ではPN型液晶パネルを採用したが、実施形態の第1変形例では、図5に示すTN型液晶パネル130を採用する点で異なっている。なお、実施形態と同様の構成となる部分については、詳細な説明を省略する。
【0033】
図5に示す液晶パネル130において、一対のガラス基板41,51の外側には、それぞれ偏光板48,58が配置されている。一対のガラス基板41,51の内側には、それぞれ電極44,54が形成されている。また一対の電極44,54を覆うように、それぞれ配向膜46,56が形成されている。一対の配向膜46,56の間には、TN型液晶層160が配置されている。なおTN型液晶に代えて、スーパーツイステッドネマチック型液晶を採用してもよい。
【0034】
第1変形例の液晶パネル130は、ノーマリーホワイトモードに設定され、表示電圧を印加しない状態で入射光を透過する。この状態で、液晶パネル130の表側から入射した外光71は、液晶パネル130を透過して反射板32で反射され、再び液晶パネルを透過して表側に出射する。これにより、白表示が行われる。
一方、液晶パネル130は、一対の電極44,54の間に表示電圧を印加した状態で入射光を遮断する。この状態で、液晶パネル130の表側から入射した外光72は、液晶パネル130を透過せず、再び表側に出射しない。これにより、表示電圧印加部分において黒表示が行われる。
【0035】
第1変形例の液晶パネル130においても、バックライト消灯時には図4(a)のように情報表示が行われ、バックライト点灯時には図4(b)のように情報表示が行われる。
バックライト点灯時、バックライト34から出射した照明光80は、反射板32の表側に回りこみ、反射部19および反射板32で反射されて表示に利用される。ここで、第1変形例に係る液晶パネル130はノーマリーホワイトモードに設定されている。そのため、バックライト34から出射した照明光80は、液晶パネル130に遮断されることなく液晶パネル130を透過し、反射部19で反射し液晶パネル130を透過し、反射板32で反射し、液晶パネル130を透過して視認される。
【0036】
(第2変形例)
図6(a)は、第2変形例に係る電子時計の側面断面図である。上述した実施形態では、ケース12の内面がそのまま反射部として機能したが、実施形態の第2変形例では、ケース12の内面に光反射処理が施されている点で異なっている。なお、実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
【0037】
表示窓13の周囲の見切り部におけるケース12の内面に、光反射処理として反射シート90が貼り付けられている。反射シート90は、光反射率の高いアルミニウム等の金属材料で形成されている。なお、光反射処理として白色印刷を施してもよい。
バックライト34の点灯時、バックライト34から出射した照明光80は、液晶パネル30を透過して反射シート90に入射する。この反射シート90は、照明光80を反射板32に向かって反射する反射部19として機能する。反射部19で反射された照明光80は、反射板32で反射されて液晶パネル30の表側に出射し、白表示が行われる。
【0038】
第2変形例では、反射シート90を備えているので、照明光80の多くを反射板32に向かって反射させることができる。したがって、光量が大きくなり表示部を明るくすることができる。
【0039】
(第3変形例)
図6(b)は、第3変形例に係る電子時計の側面断面図である。上述した実施形態では、ケース12の内面がそのまま反射部として機能したが、実施形態の第3変形例では、電磁シールド部材95の内面が反射部19として機能する点で異なっている。なお、実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
【0040】
表示窓13の周囲の見切り部におけるケース12の内面には、ステンレス等の金属材料からなる電磁シールド部材95が設けられている。電磁シールド部材95はケースの内面にアルミなどの金属を蒸着することでも良い。電磁シールド部材95は、ケース12の凹部15の底面のうち、表示窓13を除く全領域に形成されている。なお、電磁シールド部材95の外周からケース12の開口に向かって端子97が伸び、裏蓋16に接続されている。このように、ICチップ22および液晶パネル30の周囲に配置された電磁シールド部材95は、電子時計の表側から入射する電磁波が、ICチップ22および液晶パネル30に入射するのを防ぐ機能を有している。
【0041】
バックライト34の点灯時、バックライト34から出射した照明光80は、液晶パネル30を透過して電磁シールド部材95の内面に入射する。この電磁シールド部材95の内面は、照明光80を反射板32に向かって反射する反射部19として機能する。反射部19で反射された照明光80は、反射板32で反射されて液晶パネル30の表側に出射し、白表示が行われる。なお、電磁シールド部材95を液晶パネルの表面側だけでなく側面側にも形成すれば、バックライト34から液晶パネル30の表面側に出射した照明光80だけでなく、側面側に出射した照明光も反射板32に向かって反射させることができる。
【0042】
電磁シールド部材95は金属材料からなるため光反射率が高く、照明光の多くを反射板に向かって反射させるので、表示が明るくなる。したがって、視認性を高めることができる。また、電磁シールド部材95を反射部19として流用するので、液晶表示装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0044】
例えば、実施形態では本発明の液晶表示装置を電子時計に適用する場合を例にして説明したが、電子時計以外の電子機器に本発明の液晶表示装置を適用することも可能である。
また、実施形態ではPN型液晶パネルを、第1変形例ではTN型液晶パネルを例にして説明したが、他の方式の液晶パネルを採用することも可能である。
【0045】
また、実施形態では反射板の周囲だけでなく反射板の裏側にもバックライトを配置したが、バックライトは少なくとも反射板の周囲にあればよく、反射板の周囲のみにバックライトを配置することも可能である。また、実施形態では反射板の周囲の裏側にバックライトを配置したが、反射板の周囲の表側にバックライトを配置してもよい。
また、実施形態では液晶パネルの外形を反射板の外形より大きく形成したが、液晶パネルの外形を反射板の外形と同等に形成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…電子時計 10…液晶表示装置 12…ケース 19…反射部 30…液晶パネル 32…反射板 34…バックライト(照明手段) 70…外光 80…照明光 95…電磁シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側に情報を表示する液晶パネルと、
前記液晶パネルの裏側に配置され、前記表側から前記液晶パネルに入射した外光を前記表側に向かって反射する反射板と、
前記液晶パネルの裏側に配置され、照明光を出射する照明手段と、を備え、
前記外光を利用した情報表示と前記照明光を利用した情報表示とが可能な液晶表示装置であって、
前記照明手段は、少なくとも前記反射板の周囲に配置され、
前記照明手段から出射した照明光を前記反射板に向かって反射する反射部を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記照明手段は、エレクトロルミネッセンス装置であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルは、ポリマーネットワーク型液晶パネルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶パネルの周囲に配置されたケースを備え、
前記反射部は、前記ケースの内面であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルの周囲に配置されたケースを備え、
前記ケースの内面に、光反射処理が施され、
前記反射部は、前記光反射処理が施された前記ケースの内面であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶パネルの周囲に配置された電磁シールド部材を備え、
前記反射部は、前記電磁シールド部材の内面であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202932(P2012−202932A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70044(P2011−70044)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】