説明

液晶表示装置及びその制御方法

【課題】多原色光源バックライトを備え、各色光源の発光強度を独立に制御可能な液晶表示装置において、各色光源の発光強度を変化させて同一色を表示させた場合の液晶透過光のスペクトルの変化を抑制する。
【解決手段】発光スペクトルのピーク波長が互いに隣接する2つ色の光源が異なるグループに属するように複数の色の光源を2つのグループに分ける。1フレームの表示期間を2つのサブフレーム期間に分割し、第1サブフレーム期間は、第1グループに属する光源を点灯し、点灯光源に対応する色のサブピクセルを透過させ、第2グループに属する光源を消灯し、消灯光源に対応する色のサブピクセルを遮光する。第2サブフレーム期間は、第1グループに属する光源を消灯し、消灯光源に対応する色のサブピクセルを遮光し、第2グループに属する光源を点灯し、点灯光源に対応する色のサブピクセルを透過制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトに多原色光源を用いた液晶表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED光源を用いた液晶表示装置において、コントラスト比の拡大及び消費電力低減を目的に、バックライトを複数のブロックに分割し、ブロック毎に調光するローカルディミングと呼ばれる局所輝度制御が実用化されている。バックライトに多原色光源を用いた液晶表示装置においては、各色光源を独立してローカルディミングを行うことが考えられる。代表的な多原色バックライトとしては、光の3原色である赤色、緑色及び青色(以降、RGBと略記)の光源を独立して持つRGBバックライトがある。
【0003】
RGBバックライトを用いた場合、液晶面で画素(ピクセル)を構成するRGBの各色のサブピクセルから透過する光は、サブピクセル色に対応する色光源の透過光と、隣接色光源から漏れる光(クロストーク)の透過光を加算したものである。そのため各色光源に対し独立してローカルディミングを行うと、RGB各色の光源の光量比の変化に伴い、前記2つの透過光のバランスが変化することになる。その結果、サブピクセルから透過する光のスペクトルが変動するため、ピクセル表示色が変化し、色度点がずれてしまう。なお、デジタル画像を構成する単位であるピクセル(画素)をさらに細分化したものをサブピクセルと呼ぶ。例えば、R(赤)・G(緑)・B(青)の3つの色の点が集まって構成されるピクセル(画素)の各単色RGBの点がサブピクセルに該当する。
【0004】
従来、クロストークの発生によるピクセル表示色の変化を補正する方法として、RGBバックライトの各色光源の光量の関係に基づくクロストーク補正係数をもとに、各サブピクセルの透過率を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、クロストークの発生自体を防ぐため、RGBの各色光源が独立して順次発光し、混色表示にて画像を表示する、フィールドシーケンシャル表示を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−32313号公報
【特許文献2】特開2008−20549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クロストークによるバックライトの発光スペクトルの変化に合わせてサブピクセルの透過率を補正する従来技術では、ピクセル表示色の色度点を一致させることができたとしても、ピクセル透過光のスペクトルを一致させることはできない。人間の目の波長感度特性には個人差があるため、色度関数を用いて算出した色度点が一致していても、スペクトルが異なれば、人間に認識される色は一致しない場合がある。
【0008】
また、RGBの各色光源を独立して順次発光させて混色表示することによりクロストークの発生自体を防ぐ従来技術では、1フレームを少なくとも3つのサブフレームに分割する必要がある。そのため、バックライト光源及び液晶をフレームレートに対し少なくとも3倍の駆動周波数で動作させる必要がある。これに対応する液晶パネルは従来よりも高価
なものとなる。
【0009】
そこで本発明は、多原色光源バックライトを備え、各色光源の発光強度を独立に制御可能な液晶表示装置において、各色光源の発光強度を変化させて同一色を表示させた場合の液晶透過光のスペクトルの変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、異なる複数の色の光源を有するバックライトと、
前記光源の各色に対応する複数の色のサブピクセルからなる画素の集合である液晶パネルと、
各色の光源の発光を独立に制御する光源制御手段と、
入力する映像信号に応じて前記サブピクセルの透過率を制御する液晶制御手段と、
を備える液晶表示装置であって、
前記複数の色の光源は、発光スペクトルのピーク波長が互いに隣接する2つ色の光源が異なるグループに属するように2つのグループに分けられ、
前記光源制御手段は、1フレームの表示期間を、少なくとも、
第1のグループに属する光源を点灯し、第2のグループに属する光源を消灯する第1のサブフレーム期間と、
第1のグループに属する光源を消灯し、第2のグループに属する光源を点灯する第2のサブフレーム期間と、
を含む複数のサブフレーム期間に分割して光源の制御を行い、
前記液晶制御手段は、
前記第1のサブフレーム期間において、第2のグループに属する光源の色に対応するサブピクセルを遮光状態に制御し、
前記第2のサブフレーム期間において、第1のグループに属する光源の色に対応するサブピクセルを遮光状態に制御する
ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0011】
本発明は、異なる複数の色の光源を有するバックライトと、
前記光源の各色に対応する複数の色のサブピクセルからなる画素の集合である液晶パネルと、
を備え、前記複数の色の光源は、発光スペクトルのピーク波長が互いに隣接する2つの光源が異なるグループに属するように2つのグループに分けられた液晶表示装置の制御方法であって、
各色の光源の発光を独立に制御する光源制御ステップと、
入力する映像信号に応じて前記サブピクセルの透過率を制御する液晶制御ステップと、を有し、
前記光源制御ステップは、1フレームの表示期間を、少なくとも、
第1のグループに属する光源を点灯し、第2のグループに属する光源を消灯する第1のサブフレーム期間と、
第1のグループに属する光源を消灯し、第2のグループに属する光源を点灯する第2のサブフレーム期間と、
を含む複数のサブフレーム期間に分割して光源の制御を行い、
前記液晶制御ステップは、
前記第1のサブフレーム期間において、第2のグループに属する光源の色に対応する色のサブピクセルを遮光状態に制御し、
前記第2のサブフレーム期間において、第1のグループに属する光源の色に対応する色のサブピクセルを遮光状態に制御する
ことを特徴とする液晶表示装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多原色光源バックライトを備え、各色光源の発光強度を独立に制御可能な液晶表示装置において、各色光源の発光強度を変化させて同じ色を表示させた場合の液晶透過光のスペクトルの変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の液晶表示装置の構成を示すブロック図
【図2】実施例1のパネルモジュールの構成を示す図
【図3】実施例1の各サブフレーム期間の光源及びサブピクセルの動作を示す図
【図4】実施例1の液晶表示装置の動作を表すフローチャート
【図5】従来技術のローカルディミングを行った場合の表示特性の一例
【図6】実施例1に基づくローカルディミングを行った場合の表示特性の一例
【図7】実施例1に基づくローカルディミングを行った場合の表示特性の一例
【図8】実施例2の液晶表示装置の構成を示すブロック図
【図9】実施例2のパネルモジュールの構成を示す構造図
【図10】実施例2の各サブフレーム期間の光源及びサブピクセルの動作を示す図
【図11】実施例2の液晶表示装置の動作を表すフローチャート
【図12】実施例2に基づくローカルディミングを行った場合の表示特性の一例
【図13】実施例2に基づくローカルディミングを行った場合の表示特性の一例
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について説明する。図1は、本実施例に係る液晶表示装置100の構成を示したブロック図である。液晶表示装置100は、異なる複数の色の光源を有するバックライトである光源部110と、光源の各色に対応する複数の色のサブピクセルからなる画素の集合により構成される液晶パネルである液晶部113と、を有する。光源部110は、独立して発光を制御可能な複数の制御ブロックに分割され、各制御ブロックは、異なる複数の色の光源を1組又は複数組有する。
映像データ変換部101は、外部より入力される映像信号を、液晶部113の表示解像度に合わせたピクセル単位のデジタル映像信号に変換するデータ変換部である。映像データ変換部101は、変換後のデジタル映像信号を、映像解析部102へ出力する。映像データ変換部101は、必要に応じて、スケーリング処理やI/P変換処理を行う。映像解析部102は、映像データ変換部101からのデジタル映像信号に対し、ローカルディミングの制御ブロック単位にフレーム画像を分割し解析する。それによって、映像解析部102は、ローカルディミングの制御動作を決定するのに必要となる画像解析データを取得する。画像解析データは、例えば制御ブロック毎の平均輝度や最大輝度などの統計量である。映像解析部102は、取得した画像解析データをCPU103へ送信する。なお、映像解析部102は、入力されるデジタル映像信号をそのままサブフレーム分割部106へ出力する。
【0015】
CPU103は、映像解析部102からの画像解析データをもとに、光源部110の各光源の発光強度を決定し、発光強度信号として光源制御信号生成部108に出力する。CPU103は、サブピクセル補正部107における、サブピクセル補正に必要なサブピクセル補正テーブルを生成し、サブピクセル補正部107に送信する。CPU103は、光源部110と液晶部113の動作の同期をとるため、光源制御部109及び液晶制御部112の同期制御を行う。CPU103は、サブフレーム分割部106においてフレーム画像を2つのサブフレームに分割する分割方法を決定し、サブフレーム分割部106に送信する。
【0016】
ROM104は、CPU103の動作プログラム及びブロック補正係数一式を記憶する
ための不揮発性メモリである。RAM105は、CPU103の動作メモリとして機能する。また、RAM105は、画像解析データ及びブロック補正係数一式を一時保存する揮発性メモリである。
【0017】
サブフレーム分割部106は、CPU103の決定した分割方法に従い、映像解析部102から入力されるデジタル映像信号のフレーム画像を、2つのサブフレーム画像に分割し、サブフレーム分割信号を生成する信号処理部である。サブフレーム分割部106は、生成したサブフレーム分割信号をサブピクセル補正部107へ出力する。サブピクセル補正部107は、CPU103からのサブフレーム補正テーブルを用いて、サブフレーム分割部106より入力されるサブフレーム分割信号をサブピクセル単位で補正する信号補正部である。サブピクセル補正部107は、補正したサブフレーム分割信号を、サブピクセル補正信号として液晶制御信号生成部111へ出力する。
【0018】
光源制御信号生成部108は、CPU103からの発光強度信号をもとに、光源制御信号を生成し、光源制御部109に出力する信号生成部である。光源制御部109は、光源制御信号生成部108からの光源制御信号をもとに、光源部110の光源発光制御を行う制御部である。光源部110は、光源制御部109からの制御に従って発光する複数の光源により構成されるバックライトである。
【0019】
液晶制御信号生成部111は、サブピクセル補正部107からのサブピクセル補正信号をもとに、液晶制御信号を生成し、液晶制御部112に出力する信号生成部である。液晶制御部112は、液晶制御信号生成部111からの液晶制御信号をもとに、液晶部113の各サブピクセルにあたる液晶素子の配向制御を行う制御部である。液晶部113は、液晶制御部112からの制御に従って配向角が変化することによりサブピクセル毎に透過率が変化する複数の液晶素子の集合である液晶パネルである。
【0020】
次に、図2を用いてパネルモジュール200の構成について説明する。パネルモジュール200は光源部110と液晶部113を張り合わせた構造をとる。詳細の構造については説明を省略する。
【0021】
ここでは、液晶部113の総画素数を1920×1080ピクセル、ローカルディミングの各制御ブロックに対応する液晶部113上の領域211の画素数を120×120ピクセルとする。この場合、制御ブロック数は横16個×縦9個の計144個となる。光源部110は、制御ブロック毎に光源が配置され、制御ブロック単位で光源の発光を制御可能である。各制御ブロックに配置された光源は、赤色光源203、第1の緑色光源204、第2の緑色光源205及び青色光源206からなるRGGB構成の光源群202である。光源部110は、制御ブロック数分の光源群202からなるRGBバックライトである。液晶部113は、赤色サブピクセル208、緑色サブピクセル209及び青色サブピクセル210からなるピクセル207が格子状に配列されて構成される。なお、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205は同一特性の光源であるものとする。
【0022】
図2では光源部110を直下型バックライト方式としているが、ローカルディミングが実現可能なパネルモジュール200の構造であれば、エッジライト方式など他の方式を用いた構成でも構わない。
続いて、光源部110の光源発光制御、及び液晶部113の透過制御の方法について、図3を用いて説明する。
【0023】
緑色光を発光する第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205の発光スペクトルのピーク波長は、赤色光源203の発光スペクトルのピーク波長と青色光源206の発光スペクトルのピーク波長の間に位置する。そこで、本実施例では、赤色光源203及び青色
光源206と、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205と、を交互に発光させる。つまり、赤色光源203、緑色光源204、緑色光源205、及び青色光源206を、発光スペクトルのピーク波長が隣接する2つの光源が異なるグループに属するように2つのグループに分け、異なるグループに属する光源を同時に点灯させないようにする。ここでは、赤色光源203及び青色光源206を第1のグループに属する光源とし、緑色光源204及び緑色光源205を第2のグループに属する光源とする。これにより、隣接色光源によるクロストークが抑えられる。この光源発光制御に同期して、赤色サブピクセル208、緑色サブピクセル209及び青色サブピクセル210の透過制御を行う。
【0024】
図3に基づき詳しく説明すると、1フレームの画像の表示期間を2つのサブフレーム期間に分割し、第1のサブフレーム及び第2のサブフレームからなるフィールドシーケンシャル制御により混色表示する。本実施例では、第1のサブフレーム期間では、赤色光源203及び青色光源206を発光させ、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を消灯させる。これに同期して、赤色サブピクセル208及び青色サブピクセル210を透過させ、緑色サブピクセル209は遮光状態とする。ここで、サブピクセルを遮光状態とするとは、そのサブピクセルからのバックライトの光の透過量を所定レベル以下にすることであり、理想的にはサブピクセルの透過率を最小値とする。所定レベルの透過量とは、隣接色光源の光のクロストークの影響によるピクセル透過光のスペクトルの変動が許容範囲に収まるような透過量であり、実験的、経験的に決められる。つまり、第1のサブフレーム期間では、赤色サブピクセル208及び青色サブピクセル210を用いた、赤色と青色のサブピクセル表示だけが有効となる。第1のサブフレーム期間では、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205が発光しないため、これらの光源からの光の一部が赤色サブピクセル208や青色サブピクセル210から漏れることはない。また、緑色サブピクセル209が遮光していることで、赤色光源203及び青色光源206からの光が、緑色サブピクセル209から漏れることはない。その結果、第1のサブフレーム期間において、隣接色光源からのクロストークの発生を抑制することが可能となる。
【0025】
同様の考え方で、本実施例では、第2のサブフレーム期間では、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を発光させ、赤色光源203及び青色光源206を消灯する。これに同期して、緑色サブピクセル209を透過させ、赤色サブピクセル208及び青色サブピクセル210は遮光する。つまり、第2のサブフレーム期間では、緑色サブピクセル209を用いた、緑色のサブピクセル表示だけが有効となる。第2のサブフレーム期間では、赤色光源203及び青色光源206が発光しないため、これらの光源からの光の一部が緑色サブピクセル209から漏れることはない。また、赤色サブピクセル208及び青色サブピクセル210が遮光していることで、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205からの光が、赤色サブピクセル208及び青色サブピクセル210から漏れることはない。その結果、第2のサブフレーム期間においても、隣接色光源からのクロストークの発生を抑制することが可能となる。本実施例のフィールドシーケンシャル制御は、1フレームを2つのサブフレームに分割するため、フレームレートの2倍の周波数で液晶駆動が可能であれば良い。従って、1フレームを少なくとも3つのサブフレームに分割する必要がある従来技術に対しコスト面で有利である。また、サブフレームの切り換え頻度がフレームレートの2倍で済むため、従来技術よりフリッカを抑制できる。
【0026】
次に、図4のフローチャートを用いて、各色光源に対し独立してローカルディミングを行う方法について説明する。
【0027】
ステップS401では、映像データ変換部101が、外部より入力される映像信号を、液晶部113の表示解像度に合わせたピクセル単位のデジタル映像信号に変換する。そして、ステップS402に進む。なお、デジタル映像信号のフォーマットは特に限定されないが、後段の映像解析部102及びサブフレーム分割部106での信号処理を考慮すると
、RGBフォーマットが望ましい。
【0028】
ステップS402では、映像解析部102が、映像データ変換部101からのデジタル映像信号に対し、ローカルディミングの制御ブロック単位にフレーム画像を分割解析する。そして、映像解析部102が、ローカルディミングの制御動作を決定するのに必要となる画像解析データを取得する。映像解析部102は、取得したデータを、画像解析データとしてCPU103に送信する。そして、ステップS403に進む。
【0029】
例えば、各制御ブロックに対応する領域の画像のピーク輝度をもとにローカルディミングを行う場合、映像解析部102は、制御ブロック毎にRGBそれぞれのピーク輝度を取得する。映像解析部102は、取得した制御ブロック毎のピーク輝度情報を画像解析データとしてCPU103に送信する。
【0030】
ステップS403では、サブフレーム分割部106が、CPU103から分割方法の情報を取得する。ここでは、元のフレーム画像を、赤色(R)及び青色(B)成分で構成される第1のサブフレーム画像と、緑色(G)成分で構成される第2のサブフレーム画像と、に分割することを示す分割方法の情報が取得される。この分割方法に従い、サブフレーム分割部106が、元のフレーム画像からR及びBの色成分を抽出し、第1のサブフレーム画像を生成する。また、サブフレーム分割部106が、元のフレーム画像からGの色成分を抽出し、第2のサブフレーム画像を生成する。サブフレーム分割部106は、生成した2つのサブフレーム画像を時間軸方向に交互に並べることで、サブフレーム分割信号を生成する。そして、ステップS404に進む。
【0031】
ステップS404では、ステップS402で取得した画像解析データをもとに、CPU103が制御ブロック毎に、サブフレーム期間毎の赤色光源203、第1の緑色光源204、第2の緑色光源205及び青色光源206の発光強度を決定する。CPU103は、その決定した発光強度の情報を発光強度信号として光源制御信号生成部108に出力する。そして、ステップS405及びステップS407に進む。
【0032】
各色の発光強度は、例えば、制御ブロック単位の色別のピーク輝度に応じて決定する。この場合、ある制御ブロックのある色の光源の発光強度は、その色のサブピクセルの透過率を最大とした時に、その色の表示輝度がその制御ブロックのその色成分のピーク輝度となるために必要な発光強度とする。なお、隣接ブロックとの発光強度バランスや、各光源色の発光強度バランスなどの情報を用いて発光強度を決定するようにしてもよい。表示映像にローカルディミングによる違和感が生じないように制御ブロック毎の光源の発光強度を調整してもよい。
【0033】
ステップS405では、光源制御信号生成部108が、ステップS404で得られる発光強度信号をもとに、光源部110の発光制御を行うための光源制御信号を生成する。光源制御信号生成部108は、第1のサブフレーム期間の光源制御信号として、制御ブロック毎にステップS404で決定された発光強度で赤色光源203及び青色光源206を発光させる光源制御信号を生成する。光源制御信号生成部108は、第2のサブフレーム期間の光源制御信号として、制御ブロック毎にステップS404で決定された発光強度で第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を発光させる光源制御信号を生成する。
【0034】
ステップS406では、光源制御部109が、光源制御信号生成部108から入力される光源制御信号をもとに、各サブフレーム期間中に発光させる光源とその発光強度を確定する。そして、CPU103からの同期制御に従い、液晶部113の制御タイミングと同期させて、光源部110を発光制御する。この制御に従い、光源部110の指定の光源が、所望の発光強度で発光する。そして、ステップS401に戻り、本フローチャートの処
理を繰り返す。
【0035】
ステップS407では、CPU103が、各制御ブロックに対し、RGBの色成分毎に、ブロック補正係数を決定する。ブロック補正係数は、ある発光強度で制御ブロックの光源を発光させた場合に液晶部113に表示される映像の輝度及び色を入力する映像信号の輝度及び色と精度良く一致させるために行う画像補正処理に係るマトリックス変換係数である。ブロック補正係数は、ROM104に記憶されており、CPU103は、液晶表示装置の起動時にROM104に記憶されているブロック補正係数一式を、RAM105に一時的に展開し、すぐに呼び出せる状態にする。CPU103は、ステップS404で決定したその制御ブロックの光源の発光強度、及びその周囲の制御ブロックの光源の発光強度との関係を解析する。そして、CPU103は、その解析結果から補正対象の制御ブロックに適用するブロック補正係数を決定する。この処理は、すべての制御ブロックに対し、RGB別に行われる。CPU103は、前記処理で得られた制御ブロック毎のブロック補正係数を組み合わせて、サブフレーム画像に適用するサブピクセル補正テーブルを生成し、サブピクセル補正部107に送信する。そして、ステップS408に進む。
【0036】
ステップS408では、サブピクセル補正部107が、サブフレーム分割信号に対し、CPU103から受信するサブピクセル補正テーブルを用いて、各サブピクセルに対し輝度補正を行う。サブピクセル補正部107は、補正後のサブフレーム分割信号をサブピクセル補正信号として、液晶制御信号生成部111へ出力する。そして、ステップS409に進む。
【0037】
ステップS409では、液晶制御信号生成部111がサブピクセル補正部107から入力されるサブピクセル補正信号をもとに、各サブピクセルが指定の透過率となるよう、液晶配向角を制御するための液晶制御信号を生成する。そして、液晶制御部112が、CPU103からの同期制御に従い、光源制御部109による光源部110の制御タイミングと同期して、液晶部113の各サブピクセルの液晶配向角を、液晶制御信号生成部111から入力される液晶制御信号に基づき制御する。これにより、液晶部113のサブピクセルの透過率が変化する。そして、ステップS401に戻り、本フローチャートの処理を繰り返す。
本フローチャートで示す処理によって、2つのサブフレームからなるフィールドシーケンシャル制御による混色表示、及びローカルディミングが実現可能となる。
【0038】
続いて、3原色光源バックライトを備える液晶表示装置において、ローカルディミングにより各色光源の発光強度及びサブピクセル透過率を独立して変更した場合の表示結果の例について、本実施例と従来技術とを比較しながら説明する。
【0039】
図5は、従来技術で、各色光源を独立してローカルディミングを行った場合を想定して、輝度50%の白色光504を3通りの光源及びサブピクセルの制御パターンで表示した場合の結果の一例を示したものである。
【0040】
図5(A)に示す制御パターンでは、赤色光501の表示輝度を50%にするために、赤色光源203を輝度50%で発光させ、赤色サブピクセル208の透過率を100%とする。緑色光502の表示輝度を50%にするために、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を輝度70.7%で発光させ、緑色サブピクセル209の透過率を70.7%とする。青色光503の表示輝度を50%にするために、青色光源206を輝度100%で発光させ、青色サブピクセル210の透過率を50%とする。それぞれ輝度50%の赤色光501、緑色光502及び青色光503による混色表示によって、輝度50%の白色光504を得る。図5(A)には、この制御パターンにおける、光源発光スペクトル、サブピクセル透過スペクトル、及びピクセル表示色スペクトルを示している。
【0041】
図5(B)及び図5(C)は、図5(A)に示す制御パターンに対し各色光源の発光強度と各色サブピクセルの透過率を変えて輝度50%の白色表示をさせた場合の光源発光スペクトル、サブピクセル透過スペクトル、及びピクセル表示色スペクトルを示している。
【0042】
図5(B)の制御パターンでは、赤色光501の表示輝度を50%にするために、赤色光源203を輝度70.7%で発光させ、赤色サブピクセル208の透過率を70.7%とする。緑色光502の表示輝度を50%にするために、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を輝度70.7%で発光させ、緑色サブピクセル209の透過率を70.7%とする。青色光503の表示輝度を50%にするために、青色光源206を輝度70.7%で発光させ、青色サブピクセル210の透過率を70.7%とする。
【0043】
図5(C)の制御パターンでは、赤色光501の表示輝度を50%にするために、赤色光源203を輝度100%で発光させ、赤色サブピクセル208の透過率を50%とする。緑色光502の表示輝度を50%にするために、第1の緑色光源204及び第2の緑色光源205を輝度70.7%で発光させ、緑色サブピクセル209の透過率を70.7%とする。青色光503の表示輝度を50%にするために、青色光源206を輝度50%で発光させ、青色サブピクセル210の透過率を100%とする。
【0044】
図5(D)は、上記3通りの制御パターン(A)〜(C)で得られるピクセル表示色スペクトルのグラフを重ねて示したものである。グラフ504が制御パターン(A)によるピクセル表示色のスペクトルを示し、グラフ505が制御パターン(B)によるピクセル表示色のスペクトルを示し、グラフ506が制御パターン(C)によるピクセル表示色のスペクトルを示す。3つのピクセル表示色スペクトルにばらつきがあることが確認できる。これは隣接色光源からのクロストークの影響が制御パターンによって変動したことによるものと考えられる。
【0045】
また図5の(E)は、前記3通りの制御パターンで得られる赤色光501、緑色光502及び青色光503の色度点を頂点とする三角形で示される表示色域範囲と、白色の色度点を示したものである。制御パターン(A)による表示色域領域を三角形507で示し、白色の色度点を色度点510で示す。制御パターン(B)による表示色域領域を三角形508で示し、白色の色度点を色度点511で示す。制御パターン(C)による表示色域領域を三角形509で示し、白色の色度点を色度点512で示す。
【0046】
これらの結果より、従来技術で各色光源に対し独立してローカルディミングすると、隣接色光源からのクロストークの発生により、各光源の発光強度及びサブピクセルの透過率のバランスの違いによって表示可能な色域領域及び白色色度が変化することが確認できる。
【0047】
図6は、本実施例のローカルディミングの手法を用いて、上記の制御パターン(A)〜(C)により光源の発光強度とサブピクセルの透過率を制御して輝度50%の白色表示をした場合の表示結果の一例である。図6は、光源発光スペクトル、サブピクセル透過スペクトル、及びピクセル表示色スペクトルを示す。
【0048】
なお、本実施例では、2つのサブフレームを用いた混色表示となることから、光源発光スペクトル及びサブピクセル透過スペクトルを示すグラフは、第1のサブフレーム分と第2のサブフレーム分とに分かれている。第1のサブフレームでは、赤色光601及び青色光603を混色して得られる混色光604が得られる。また、第2のサブフレームでは、緑色光602が得られる。この時分割混色表示によって、輝度50%の白色光を得ている。
【0049】
図7(A)は、上記制御パターン(A)〜(C)による光源及びサブピクセル制御で輝度50%の白色表示を行った場合のピクセル表示色スペクトルのグラフを重ねて示したものである。破線604は第1のサブフレーム期間における赤色光601及び青色光603の混色光604のスペクトルを示すグラフである。実線602は第2のサブフレーム期間における緑色光602のスペクトルを示すグラフである。制御パターンが変化してもピクセル表示色スペクトルのばらつきは好適に抑制されていることが確認できる。これはクロストークの発生が抑制されたためと考えられる。
【0050】
また、図7(B)は、上記制御パターン(A)〜(C)での赤色光601、緑色光602及び青色光603の色度点を頂点とする三角形で示される表示色域範囲701と、白色光の色度点702を示したものである。図7(B)に示すように、本実施例によれば、隣接色光源からのクロストークの発生が抑制され、各色光源の発光強度及びサブピクセルの透過率のバランスの変化に伴う表示可能な色域領域及び色度点のばらつきが好適に抑制されることが確認できる。
【0051】
さらには、隣接色光源からのクロストークの発生が抑制されることにより、赤色光601、緑色光602及び青色光603の色純度が図5(D)に示す従来技術の場合よりも高いことが確認できる。これによって、図7(C)で示す通り、本実施例の赤色光601、緑色光602及び青色光603により表示可能な色域領域703は、従来技術の赤色光501、緑色光502及び青色光503により表示可能な色域領域704よりも広くすることが可能となる。
【0052】
以上の構成及び制御によれば、バックライトのRGB原色光源を用いた液晶表示装置において、隣接色光源間のクロストークが抑制される。従って、各色光源に対し独立してローカルディミングを行うことにより各色光源の発光強度のバランスが変化しても、表示可能色域や同一表示色のスペクトルにばらつきが生じることを抑制することができる。
【0053】
本実施例では、多原色光源をピーク波長が隣接しない光源の組み合わせにより2つのグループに分割し、各グループに属する光源を交互に発光させてフィールドシーケンシャル表示を行う。これにより、ピーク波長が隣接する光源が同時に点灯することによるクロストークの発生を抑制できる。従って、多原色光源バックライトを用いた液晶表示装置において、各色光源に対し独立にローカルディミングを行うことによって各色光源の発光バランスが変化しても、ピクセル表示色のスペクトルの変動が抑制される。よって、安定した表示色度及び表示色域を実現することが可能となる。
【0054】
(実施例2)
以下、本発明の第2の実施例について説明する。
第1の実施例は、RGB3原色の光源及びサブピクセルの構成をとる液晶表示装置に本発明を適用した例を説明した。第2の実施例は、RGBに黄色(Y)を加えた、RYGB4原色の光源及びサブピクセルの構成をとる液晶表示装置に本発明を適用した例を説明する。
【0055】
図8は、第2の実施例を実現するための液晶表示装置800の構成を示したブロック図である。第1の実施例との違いは、カラーマトリックス変換部801が追加されている点である。
【0056】
カラーマトリックス変換部801は、映像データ変換部101からのRGB3原色のデジタル映像信号に対しカラーマトリックス変換を行うことでRYGBの4原色のデジタル映像信号を生成する映像信号変換部である。カラーマトリックス変換部801は、生成し
たRYGB4原色デジタル映像信号を映像解析部102へ出力する。その他のブロックに関しては、RGB3原色のところをRYGB4原色に読み代える他は第1の実施例と共通のため、説明を省略する。なお、入力する映像信号から映像データ変換部101において直接4原色デジタル映像信号に変換するようにしても良い。その場合、実施例1と同様の構成でよく、カラーマトリックス変換部801は必要ない。
【0057】
次に、図9を用いてパネルモジュール900の構成について説明する。第1の実施例と比較すると、光源部110の光源群901の構成、及び液晶部113のピクセル906の構成が異なる。
RYGBバックライトを実現するために、光源群901は、赤色光源902、黄色光源903、緑色光源904及び青色光源905の構成をとる。ピクセル906は赤色サブピクセル907、黄色サブピクセル908、緑色サブピクセル909及び青色サブピクセル910の構成をとる。その他は、第1の実施例のパネルモジュール200と共通のため、説明を省略する。
【0058】
光源部110の光源発光制御及び液晶部113の透過制御について、図10を用いて説明する。
本実施例では、発光スペクトルのピーク波長が隣接しない赤色光源902及び緑色光源904を第1のグループとし、発光スペクトルのピーク波長が隣接しない黄色光源903及び青色光源905を第2のグループとしてグループ分けする。そして、第1のグループに属する光源の発光と、第2のグループに属する光源の発光と、を交互に切り換える。また、本実施例では、この光源発光制御に同期させて、赤色サブピクセル907、黄色サブピクセル908、緑色サブピクセル909及び青色サブピクセル910の透過制御を行う。これにより、隣接色光源からのクロストークを抑える。
【0059】
第1のサブフレーム期間では、赤色光源902及び緑色光源904を発光させ、黄色光源903及び青色光源905を消灯させる。これに同期して、赤色サブピクセル907及び緑色サブピクセル909を透過させ、黄色サブピクセル908及び青色サブピクセル910は遮光する。つまり、第1のサブフレーム期間では、赤色サブピクセル907及び緑色サブピクセル909を用いた、赤色と緑色のサブピクセル表示だけが有効となる。
【0060】
第2のサブフレーム期間では、黄色光源903及び青色光源905を発光させ、赤色光源902及び緑色光源904を消灯させる。これに同期して、黄色サブピクセル908及び青色サブピクセル910を透過させ、赤色サブピクセル907及び緑色サブピクセル909は遮光する。つまり、第2のサブフレーム期間では、黄色サブピクセル908及び青色サブピクセル910を用いた、黄色と青色のサブピクセル表示だけが有効となる。
これにより、ピーク波長が隣接する光源が同時に点灯しないので、隣接色光源の影響によるクロストークの発生を抑制することが可能となる。
【0061】
次に、図11のフローチャートを用いて、各色光源を独立してローカルディミングを行う方法について説明する。
【0062】
ステップS1101の処理は、第1の実施例のステップS401の処理と共通である。ステップS1102では、カラーマトリックス変換部801が、映像データ変換部101から入力される、RGB3原色のデジタル映像信号に対しカラーマトリックス変換を行ってRYGB4原色のデジタル映像信号を生成する。カラーマトリックス変換部801は、生成したRYGB4原色デジタル映像信号を映像解析部102へ出力する。そして、ステップS1103に進む。
【0063】
第1の実施例のステップS402では、映像解析部102が、RGB別の画像解析デー
タを取得していたのに対し、ステップS1103では、映像解析部102が、RYGB別の画像解析データを取得する。映像解析部102は、取得した画像解析データをCPU103へ送信する。そして、ステップS1104に進む。
【0064】
ステップS1104では、サブフレーム分割部106がサブフレーム分割信号を生成する。サブフレーム分割部106は、まず、CPU103から、赤色(R)及び緑色(G)成分で第1のサブフレーム画像を構成するとともに、黄色(Y)及び青色(B)成分で第2のサブフレーム画像を構成することを示す分割方法の情報を取得する。なお、分割方法の情報は、サブフレーム分割部106自身の記憶部に記憶されていても良い。この分割方法に従い、サブフレーム分割部106は、RYGB映像信号のフレーム画像からR及びGの成分を抽出して、第1のサブフレーム画像を生成する。また、サブフレーム分割部106は、RYGB映像信号のフレーム画像からY及びBの成分を抽出して、第2のサブフレーム画像を生成する。サブフレーム分割部106は、生成した2種類のサブフレーム画像を時間軸方向に交互に並べ、サブフレーム分割信号を生成する。そしてステップS1105に進む。
【0065】
ステップS1105での処理は、第1の実施例のステップS404の処理に準じる。すなわち、CPU103が、サブフレーム期間毎に、赤色光源902、黄色光源903、緑色光源904及び青色光源905の発光強度を決定する。CPU103は、決定した発光強度の情報を発光強度信号として光源制御信号生成部108へ出力する。そして、ステップS1106及びステップS1108に進む。
【0066】
ステップS1106及びステップS1107の処理は、第1の実施例のステップS405及びステップS406の処理に準じる。これにより、第1のサブフレーム期間では赤色光源902及び緑色光源904が所望の発光強度で発光し、第2のサブフレーム期間では黄色光源903及び青色光源905が所望の発光強度で発光する。そして、ステップS1101に戻り、本フローチャートの処理を繰り返す。
【0067】
ステップS1108は、第1の実施例のステップS407の処理に準じる。すなわち、CPU103が、制御ブロック毎、及びRYGB毎に、適用するブロック補正係数を決定し、サブピクセル補正テーブルを生成し、サブピクセル補正部107へ送信する。そして、ステップS1109に進む。
【0068】
ステップS1109及びステップS1110の処理は、第1の実施例ステップS408及びステップS409の処理に準じる。すなわち、サブピクセル補正部107が、サブピクセル補正テーブルに基づき各サブピクセルに対し輝度補正を行ってサブピクセル補正信号を生成し、液晶制御信号生成部111がサブピクセル補正信号をもとに液晶制御信号を生成する。そして、液晶制御部112が液晶制御信号に基づき、光源部110の制御タイミングと同期させて、液晶部113の各サブピクセルの液晶配向角を制御する。これにより、液晶部113のサブピクセルが所望の透過率に変化する。そして、ステップS1101に戻り、本フローチャートの処理を繰り返す。
【0069】
本フローチャートで示す処理によって、RYGB4原色の光源及びサブピクセルの構成をとる液晶表示装置において、2つのサブフレームからなるフィールドシーケンシャル制御による混色表示及びローカルディミングが実現可能となる。
【0070】
さらに、図12及び図13を用いて、第2の実施例に基づくローカルディミングによる表示結果の例を説明する。図12(A)〜(C)は、第2の実施例のローカルディミングの手法を用いて、各色光源の発光強度及びサブピクセルの透過率の3通りの組み合わせで、輝度50%の白色を表示させた場合の表示結果の一例である。図12は、光源発光スペ
クトル、サブピクセル透過スペクトル、及びピクセル表示色スペクトルを示す。
【0071】
制御パターン(A)では、赤色光1201の表示輝度を50%にするために、赤色光源902を輝度50%で発光させ、赤色サブピクセル907の透過率を100%とする。黄色光1202の表示輝度を50%にするために、黄色光源903を輝度100%で発光させ、黄色サブピクセル908の透過率を50%とする。緑色光1203の表示輝度を50%にするために、緑色光源904を輝度70.7%で発光させ、緑色サブピクセル909の透過率を70.7%とする。青色光1204の表示輝度を50%にするために、青色光源905を輝度50%で発光させ、青色サブピクセル910の透過率を100%とする。
【0072】
制御パターン(B)では、赤色光1201の表示輝度を50%にするために、赤色光源902を輝度70.7%で発光させ、赤色サブピクセル907の透過率を70.7%とする。黄色光1202の表示輝度を50%にするために、黄色光源903を輝度70.7%で発光させ、黄色サブピクセル908の透過率を70.7%とする。緑色光1203の表示輝度を50%にするために、緑色光源904を輝度70.7%で発光させ、緑色サブピクセル909の透過率を70.7%とする。青色光1204の表示輝度を50%にするために、青色光源905を輝度70.7%で発光させ、青色サブピクセル910の透過率を70.7%とする。
【0073】
制御パターン(C)では、赤色光1201の表示輝度を50%にするために、赤色光源902を輝度100%で発光させ、赤色サブピクセル907の透過率を50%とする。黄色光1202の表示輝度を50%にするために、黄色光源903を輝度50%で発光させ、黄色サブピクセル908の透過率を100%とする。緑色光1203の表示輝度を50%にするために、緑色光源904を輝度50%で発光させ、緑色サブピクセル909の透過率を100%とする。青色光1204の表示輝度を50%にするために、青色光源905を輝度70.7%で発光させ、青色サブピクセル910の透過率を70.7%とする。
【0074】
第1のサブフレーム期間において、赤色光1201及び緑色光1203による第1の混色光1301(図13(A)の破線)が得られる。また、第2のサブフレーム期間において、黄色光1202及び青色光1204による第2の混色光1302(図13(A)の実線)が得られる。この第1の混色光1301と第2の混色光1302とでの時分割混色表示によって、輝度50%の白色表示がなされる。
図13(A)は、上記制御パターン(A)〜(C)の光源及びサブピクセル制御による輝度50%の白色表示のスペクトルのグラフを重ねて示したものである。ローカルディミングにより各色光源の発光強度を3通りの変化させた場合のピクセル表示色スペクトルのばらつきが好適に抑制されていることが確認できる。これはクロストークの発生が抑制されたためと考えられる。
【0075】
また、図13(B)は、上記制御パターン(A)〜(C)での赤色光1201、黄色光1202、緑色光1203及び青色光1204の色度点を頂点とする四角形で示される表示色域領域範囲1303と、白色光の色度点1304を示したものである。図13(B)に示すように、本実施例によれば、隣接色光源からのクロストークの発生が抑制され、各光源の発光強度及びサブピクセルの透過率が変化しても、表示可能な色域領域及び色度点にばらつきが生じることが好適に抑制されることが確認できる。また、各色光の色純度を従来技術より高くできることも実施例1と同様である。
【0076】
以上の構成及び制御によれば、バックライトにRYGB原色光源を用いた液晶表示装置において、2つのサブフレームによるフィールドシーケンシャル表示により、隣接色光源間のクロストークが抑制される。従って、各色光源に対し独立してローカルディミングを行うことにより各色光源の発光強度のバランスが変動しても、表示可能色域や同一色の表
示スペクトルにばらつきが生じることを抑制することができる。以上説明した実施例では、バックライトを複数の制御ブロックに分割して制御ブロック毎に光源の発光強度及びサブピクセル透過率を独立に制御するローカルディミングを例示したが、制御ブロックの分割を行わなくても良い。その場合、分割数1のローカルディミングということになるが、入力する映像信号に応じて多原色光源バックライトの各色光源の発光強度及び各色サブピクセルの透過率を可変制御することは共通である。そのような可変制御を行っても、同一色の表示スペクトルにばらつきが生じないので、好適な表示画質を実現できる。また、上記実施例では3原色光源及び4原色光源の場合を例に説明したが、5原色以上の多原色光源バックライトにも本発明は適用可能である。その場合も、発光スペクトルにおけるピーク波長が隣り合う光源同士が同じグループに属しないように2つのグループに光源をグループ分けして、2つのサブフレームによるフィールドシーケンシャルにより各グループの光源を交互に点灯する。これにより、上記と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0077】
100:液晶表示装置、109:光源制御部、110:光源部、112:液晶制御部、113:液晶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の色の光源を有するバックライトと、
前記光源の各色に対応する複数の色のサブピクセルからなる画素の集合である液晶パネルと、
各色の光源の発光を独立に制御する光源制御手段と、
入力する映像信号に応じて前記サブピクセルの透過率を制御する液晶制御手段と、
を備える液晶表示装置であって、
前記複数の色の光源は、発光スペクトルのピーク波長が互いに隣接する2つ色の光源が異なるグループに属するように2つのグループに分けられ、
前記光源制御手段は、1フレームの表示期間を、少なくとも、
第1のグループに属する光源を点灯し、第2のグループに属する光源を消灯する第1のサブフレーム期間と、
第1のグループに属する光源を消灯し、第2のグループに属する光源を点灯する第2のサブフレーム期間と、
を含む複数のサブフレーム期間に分割して光源の制御を行い、
前記液晶制御手段は、
前記第1のサブフレーム期間において、第2のグループに属する光源の色に対応するサブピクセルを遮光状態に制御し、
前記第2のサブフレーム期間において、第1のグループに属する光源の色に対応するサブピクセルを遮光状態に制御する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶制御手段は、
前記第1のサブフレーム期間において、第1のグループに属する各光源の色に対応するサブピクセルの透過率を、その色の成分の映像信号に応じて制御し、
前記第2のサブフレーム期間において、第2のグループに属する各光源の色に対応するサブピクセルの透過率を、その色の成分の映像信号に応じて制御する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光源制御手段は、前記異なる複数の色の各々の成分の映像信号に応じて、各色の光源の発光強度を決定する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライトは独立して発光を制御可能な複数のブロックに分割され、各ブロックは前記異なる複数の色の光源を1又は複数組有し、
前記光源制御手段は、各ブロックに対応する領域において、前記異なる複数の色の各々の映像信号に応じて、各ブロックの各色の光源の発光強度を決定する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックライトは、赤色、緑色、及び青色の光源を有し、
前記液晶パネルは、赤色、緑色、及び青色のサブピクセルからなる画素の集合であり、
前記光源制御手段は、赤色の光源及び青色の光源を第1のグループに属する光源とし、緑色の光源を第2のグループに属する光源とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記バックライトは、赤色、黄色、緑色、及び青色の光源を有し、
前記液晶パネルは、赤色、黄色、緑色、及び青色のサブピクセルからなる画素の集合であり、
前記光源制御手段は、赤色の光源及び緑色の光源を第1のグループに属する光源とし、黄色の光源及び青色の光源を第2のグループに属する光源とする請求項1〜4のいずれか
1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
異なる複数の色の光源を有するバックライトと、
前記光源の各色に対応する複数の色のサブピクセルからなる画素の集合である液晶パネルと、
を備え、前記複数の色の光源は、発光スペクトルのピーク波長が互いに隣接する2つの光源が異なるグループに属するように2つのグループに分けられた液晶表示装置の制御方法であって、
各色の光源の発光を独立に制御する光源制御ステップと、
入力する映像信号に応じて前記サブピクセルの透過率を制御する液晶制御ステップと、を有し、
前記光源制御ステップは、1フレームの表示期間を、少なくとも、
第1のグループに属する光源を点灯し、第2のグループに属する光源を消灯する第1のサブフレーム期間と、
第1のグループに属する光源を消灯し、第2のグループに属する光源を点灯する第2のサブフレーム期間と、
を含む複数のサブフレーム期間に分割して光源の制御を行い、
前記液晶制御ステップは、
前記第1のサブフレーム期間において、第2のグループに属する光源の色に対応する色のサブピクセルを遮光状態に制御し、
前記第2のサブフレーム期間において、第1のグループに属する光源の色に対応する色のサブピクセルを遮光状態に制御する
ことを特徴とする液晶表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−242682(P2012−242682A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113962(P2011−113962)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】