説明

液晶表示装置及びその制御方法

【課題】1つの画面に複数の画像を含むフレームを表示したときに、各画像に対して液晶素子のダイナミックレンジを最大限に利用することができ、且つ、各画像を正確に表示することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する液晶表示装置であって、1フレーム分の画像信号を入力する入力手段と、1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する分割手段と、サブフレーム期間毎に、複数の画像を切り替えて表示する表示手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置が大型化、高精細化し、1つの画面に複数の画像を同時に表示する機会が増えてきている。また、バックライトの発光輝度値を領域毎に調整することのできる液晶表示装置がある。
明るさが互いに異なる複数の画像を1つの画面に同時に表示する方法として、例えば、画像の領域毎に液晶素子の透過率を制御する方法と、画像の領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する方法がある。
画像の領域毎に液晶素子の透過率を制御する方法では、例えば、明るい画像と暗い画像の2つを同時に表示する場合に、バックライトの(全体の)発光輝度値が明るい画像に基づいて決定される。そして、決定された発光輝度値に基づいて暗い画像の透過率の上限値が低くされる。
画像の領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する方法では、例えば、明るい画像と暗い画像の2つを同時に表示する場合に、明るい画像の領域で高く、暗い画像の領域で低くなるように、バックライトの発光輝度値が決定される。
また、液晶素子の透過率やバックライトの発光輝度値の制御方法は、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−9396号公報
【特許文献2】特開2008−20549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像の領域毎に液晶素子の透過率を制御する方法では、液晶素子のダイナミックレンジを最大限に使えなくなってしまう。例えば、上述したように、バックライトの発光輝度値を明るい画像に基づいて決定し、暗い画像の透過率の上限値を低くすると、暗い画像に対しては、液晶素子のダイナミックレンジを最大限に使えなくなってしまう。また、画像の領域毎にバックライトの発光輝度値を制御する方法では、バックライトからの光の拡散により、画像間の境界部分で、各画像の領域のバックライトからの光が干渉し、表示が不正確になってしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、1つの画面に複数の画像を含むフレームを表示したときに、各画像に対して液晶素子のダイナミックレンジを最大限に利用することができ、且つ、各画像を正確に表示することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、
画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する液晶表示装置であって、
1フレーム分の画像信号を入力する入力手段と、
前記1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する分割手段と、
サブフレーム期間毎に、前記複数の画像を切り替えて表示する表示手段と、
を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置の制御方法は、
画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する液晶表示装置の制御方法であって、
1フレーム分の画像信号を入力する入力ステップと、
前記1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する分割ステップと、
サブフレーム期間毎に、前記複数の画像を切り替えて表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの画面に複数の画像を含むフレームを表示したときに、各画像に対して液晶素子のダイナミックレンジを最大限に利用することができ、且つ、各画像を正確に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る液晶表示装置の概略構成の一例を示すブロック図
【図2】画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報の一例を示す図
【図3】実施例1に係る液晶表示装置の表示画像の一例を示す図
【図4】実施例1に係る液晶表示装置の動作の一例を示すタイムチャート
【図5】実施例1に係る液晶表示装置の動作の一例を示すフローチャート
【図6】実施例2に係る液晶表示装置の概略構成の一例を示すブロック図
【図7】画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報の一例を示す図
【図8】実施例2に係る液晶表示装置の表示画像の一例を示す図
【図9】実施例2に係る液晶表示装置の動作の一例を示すタイムチャート
【図10】実施例2に係る液晶表示装置の動作の一例を示すフローチャート
【図11】実施例3に係る画像信号の一例を示す図
【図12】実施例3に係る画像群の区分方法の一例を示す図
【図13】実施例3に係る画像群の区分方法の一例を示す図
【図14】実施例3に係る画像群の区分方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る液晶表示装置及びその制御方法について図面を用いて説明する。本実施例に係る液晶表示装置は、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する。
【0011】
図1は、実施例1に係る液晶表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、液晶表示装置200は、画像出力装置100に接続されている。液晶表示装置200は、画像入力部201、輝度比較部202、時分割制御部203、表示制御部204、バックライト制御部205、液晶制御部206、バックライト207、液晶パネル208などを有する。
画像出力装置100は、画像信号ラインを介して、液晶表示装置200内の画像入力部201に画像信号(1フレーム分の画像信号)を送る。また、画像出力装置100は、データラインを介して、液晶表示装置200内の画像入力部201に表示輝度設定値と表示エリア情報を送る。
【0012】
表示輝度設定値は、画像の明るさを表す値である。上記1フレーム分の画像信号が、複数の画像を含むフレームの信号である場合には、画像毎に、その画像の明るさを表す値が
、表示輝度設定値として、画像出力装置100から画像入力部201へ送られる。表示輝度設定値は、例えば、バックライトの発光輝度値などである。
表示エリア情報は、画像の領域(表示領域)を表す情報である。上記1フレーム分の画像信号が、複数の画像を含むフレームの信号である場合には、画像毎に、その画像の表示領域を表す情報が、表示エリア情報として、画像出力装置100から画像入力部201へ送られる。表示エリア情報は、例えば、画像の各頂点(画像の左上、右上、左下、右下)の画素の位置座標(x,y)である。x座標の値は画面の水平方向の位置、y座標の値は画面の垂直方向の位置を示す。
【0013】
次に、液晶表示装置200の各機能ブロックの動作(処理)を説明する。
画像入力部201は、1フレーム分の画像信号を入力する。具体的には、画像入力部201は、画像出力装置100から、画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を受け取る。画像入力部201は、輝度比較部202に、受け取った表示輝度設定値を送る。画像入力部201は、表示制御部204に、受け取った画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を送る。
【0014】
輝度比較部202は、画像入力部201から表示輝度設定値を受け取る。そして、輝度比較部202は、受け取った表示輝度設定値から、互いに異なる表示輝度設定値の数(入力された画像信号に含まれる画像の明るさの数)を算出する。
以下に、輝度比較部202による、互いに異なる表示輝度設定値の数nの算出方法を説明する。
まず、輝度比較部202は、受け取った表示輝度設定値の数a(入力されたフレームに含まれる画像の数)を判断する。
次に、輝度比較部202は、比較のために、受け取った表示輝度設置値から2つの表示輝度設定値を選択する。
そして、輝度比較部202は、選択した2つの表示輝度設定値の差を算出する。2つの表示輝度設定値に差がある場合(算出された差が0でない場合)は、輝度比較部202は、それら2つの表示輝度設定値の2つの画像の明るさが異なると判断する。そして、輝度比較部202は、他の画像の表示輝度設定値と同じ表示輝度設定値の数b(他の画像の明るさと同じ明るさの画像の数)に0を加える。2つの表示輝度設定値に差がない場合(算出された差が0の場合)は、輝度比較部202は、それら2つの表示輝度設定値の2つの画像の明るさが同じであると判断する。そして、輝度比較部202は、数bに1を加える。なお、数bの初期値は0である。
輝度比較部202は、2つの表示輝度設定値の全ての組み合わせについて、上記差の算出及び数bの更新を行う。例えば、数a=4の場合、輝度比較部202は、(4−1)!通り、即ち6通りの組み合わせについて、上記差の算出及び数bの更新を行う。
全ての組合せについて上記差の算出及び数bの更新が終了した後、輝度比較部202は、(a−b)の値を互いに異なる表示輝度設定値の数n(入力されたフレームに含まれる画像の明るさの数)として算出する。輝度比較部202は、数nを時分割制御部203に送る。
なお、本実施例では、画像間の表示輝度設定値の差が0の場合に、それらの画像の明るさが同じであると判断されるものとしたが、これに限らない。例えば、画像間の表示輝度設定値の差が所定値未満の場合に、それらの画像の明るさが同じであると判断されてもよい。
【0015】
時分割制御部203は、入力された1フレームの画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含む(複数の明るさの画像を含む)フレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数(明るさの数)のサブフレーム期間に分割する。具体的には、時分割制御部203は、輝度比較部202から、互いに異なる表示輝度設定値の数nを受け取る。時分割制御部203は、1フレーム期間をn個のサブフレーム期間に分割する時分割同期信号を
生成する。時分割制御部203は、時分割同期信号を表示制御部204へ送る。
【0016】
表示制御部204、バックライト制御部205、及び、液晶制御部206により、サブフレーム期間毎に、上記明るさが互いに異なる複数の画像が切り替えられて表示される。入力されたフレームが、明るさが互いに等しい(複数の)画像を含む場合には、該明るさが互いに等しい画像は、1つのサブフレーム期間に表示される。また、本実施例では、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトの全領域を発光させることにより、該画像が表示される。
【0017】
具体的には、表示制御部204は、画像入力部201から、画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を受け取る。また、表示制御部204は、時分割制御部203から、時分割同期信号を受け取る。表示制御部204は、時分割同期信号によって分割されたn個のサブフレーム期間(第1サブフレーム期間から第nサブフレーム期間)に、それぞれ、n個の表示輝度設定値(受け取った表示輝度設定値のうち互いに異なるn個の表示輝度設定値)を割り当てる。表示制御部204は、サブフレーム期間に、そのサブフレーム期間に割り当てられた表示輝度設定値に対応する画像を、該画像に対応する表示エリア情報で指定された領域に表示させ、その他の領域では黒表示を行わせる表示画像信号を生成する。そして、表示制御部204は、サブフレーム期間に、上記生成した表示画像信号を液晶制御部206に送り、該表示画像信号で表示させる画像に対応する表示輝度設定値をバックライト制御部205に送る。
【0018】
バックライト制御部205は、サブフレーム期間に、表示制御部204から表示輝度設定値を受け取る。バックライト制御部205は、受け取った表示輝度設定値に応じた発光輝度値でバックライト207の全領域(全面)を発光させる。
液晶制御部206は、サブフレーム期間に、表示制御部204から表示画像信号を受け取る。液晶制御部206は、表示画像信号に応じて液晶パネル208を駆動する(液晶パネル208の各液晶素子の透過率を制御する)。
バックライト207からの光が液晶パネル208を透過することにより、画像が表示される。
【0019】
図2は入力された画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報の一例を示す図である。図2の例では、画像信号は、左右(画面の水平方向)に並んだ2つの画像A1,B1を含むフレームの信号である。画像A1は画面の左半分の領域RA1に表示される画像であり、画像B1は画面の右半分の領域RB1に表示される画像である。図2の例では、画像A1の表示輝度設定値は100[cd/m]であり、画像B1の表示輝度設定値は200[cd/m]である。また、画像A1の表示エリア情報は、領域RA1の四隅の座標(0,0)、(50,0)、(0,100)、(50,100)である。画像B1の表示エリア情報は、領域RB1の四隅の座標(50,0)、(100,0)、(50,100)、(100,100)である。
【0020】
図2の画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報が入力された場合、互いに異なる表示輝度設定値の数n=2となり、図3,4に示すように、1フレーム期間は第1サブフレーム期間と第2サブフレーム期間の2つに分割される。本実施例では、表示部(バックライト207と液晶パネル208)のリフレッシュレート(1秒あたりの画像(フレーム)表示回数)は60Hzであり、1フレーム期間の長さは16.66msであるものとする。そのため、第1サブフレーム期間、第2サブフレーム期間の長さは、いずれも8.33msとなる。
そして、第1サブフレーム期間では領域RA1に画像A1が表示され、領域RB1が黒表示される。このとき、バックライトの発光輝度値は、表示されている画像A1の表示輝度設定値100[cd/m]とされる。
また、第2サブフレーム期間では領域RA1が黒表示され、領域RB1に画像B1が表示される。このとき、バックライトの発光輝度値は、表示されている画像B1の表示輝度設定値200[cd/m]とされる。
【0021】
図2の画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報が入力された場合の液晶表示装置200の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
S101において、画像入力部201は、画像出力装置100から、画像信号ラインを介して画像信号を受け取り、データラインを介して表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取る。画像入力部201は、輝度比較部202に、受け取った表示輝度設定値を送り、表示制御部204に、受け取った画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を送る。
【0022】
S102において、輝度比較部202は、画像入力部201から、表示輝度設定値を受け取る。そして、輝度比較部は、受け取った表示輝度設定値から、互いに異なる表示輝度設定値の数nを算出し、算出結果(数n)を時分割制御部203へ送る。
S102の処理について詳しく説明する。
まず、輝度比較部202は、表示輝度設定値として画像A1の表示輝度設定値と画像B1の表示輝度設定値を受け取り、受け取った表示輝度設定値の数a=2を判断する。
次に、輝度比較部202は、a=2であるため、2つの表示輝度設定値の組み合わせが1通り(画像A1の表示輝度設定値と画像B1の表示輝度設定値の組み合わせ)であると判断する。そして、輝度比較部202は、当該1通りの組み合わせについて、その組み合わせの2つの表示輝度設定値間の差を算出する。即ち、画像A1の表示輝度設定値と画像B1の表示輝度設定値の差が算出される。ここで、画像A1の表示輝度設定値と画像B1の表示輝度設定値の差は100[cd/m](または−100[cd/m])≠0となる。そのため、輝度比較部202は、他の画像の表示輝度設定値と同じ表示輝度設定値の数bに0を加える。
そして、輝度比較部202は、(a−b)=2−0より、互いに異なる表示輝度設定値の数n=2を算出し、算出結果(互いに異なる表示輝度設定値の数n=2)を時分割制御部203へ送る。
【0023】
S103において、時分割制御部203は、輝度比較部202から、互いに異なる表示輝度設定値の数n=2を受け取る。時分割制御部203は、1フレーム期間を2つのサブフレーム期間に分割する時分割同期信号を生成する。具体的には、1フレーム期間を、長さがそれぞれ該フレーム期間の長さの1/2である第1サブフレーム期間と第2サブフレーム期間に分割する時分割同期信号が生成される。ここでは、第1サブフレーム期間が、分割前のフレーム期間の起点を起点とする、該分割前のフレーム期間の長さの1/2の長さの期間であるものとする。そして、第2フレーム期間が、第1サブフレーム期間の終点を起点とし、分割前のフレーム期間の終点を終点とする期間であるものとする。時分割制御部203は、時分割同期信号を表示制御部204へ送る。
【0024】
S104において、表示制御部204は、画像入力部201から、画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報を受け取る。また、表示制御部204は、時分割制御部203から、時分割同期信号を受け取る。そして、表示制御部204は、表示輝度設定値100[cd/m]を第1サブフレーム期間、表示輝度設定値200[cd/m]を第2サブフレーム期間に割り当てる。即ち、表示輝度設定値100[cd/m]の画像A1の表示期間が第1サブフレーム期間、表示輝度設定値200[cd/m]の画像B1の表示期間が第2サブフレーム期間とされる。
【0025】
S105において、表示制御部204は、第1サブフレーム期間に、画像A1を、該画像A1に対応する表示エリア情報で指定された領域(画面の左半分)に表示させ、その他
の領域では黒表示を行わせる表示画像信号を生成する。そして、表示制御部204が、第1サブフレーム期間に、上記生成した表示画像信号を液晶制御部206に送り、画像A1に対応する表示輝度設定値100[cd/m]をバックライト制御部205に送る。
なお、第2サブフレーム期間では、画像B1を、該画像B1に対応する表示エリア情報で指定された領域(画面の右半分)に表示させ、その他の領域では黒表示を行わせる表示画像信号が生成される。そして、第2サブフレーム期間では、上記生成した表示画像信号が液晶制御部206に送られ、画像B1に対応する表示輝度設定値200[cd/m]がバックライト制御部205に送られる。
【0026】
S106では、バックライト制御部205は、表示制御部204から送られた表示輝度設定値に応じた発光輝度値でバックライトの全領域を発光させる。例えば、表示輝度設定値100[cd/m]が送られた場合、バックライトの全領域の発光輝度値は100[cd/m]とされる。
そして、液晶制御部206は、表示制御部204から送られた表示画像信号に従って液晶パネルを駆動する。
それにより、第1サブフレーム期間では、画像A1が画面の左半分に表示され、その他の領域では黒表示が行われる。第2サブフレーム期間では、画像B1が画面の右半分に表示され、その他の領域では黒表示が行われる。
【0027】
以上述べたように、本実施例によれば、画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間が複数のサブフレーム期間に分割され、サブフレーム期間毎に複数の画像が切り替えられて表示される。それにより、1フレーム期間に明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームが表示される。また、本実施例によれば、液晶素子の透過率の制限は行わずに、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像が表示される。それにより、画像を表示する際に、液晶素子のダイナミックレンジを最大限に利用することができる。また、本実施例によれば、1つのサブフレーム期間では同じ明るさの画像しか表示されない。そのため、一の画像に対するバックライトの発光が明るさの異なる他の画像に影響を与えることはなく、各画像を正確に表示することができる。
即ち、本実施例によれば、1つの画面に複数の画像を含むフレームを表示したときに、各画像に対して液晶素子のダイナミックレンジを最大限に利用することができ、且つ、各画像を正確に表示することができる。
【0028】
なお、本実施例では、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトの全領域を発光させる構成としたが、これに限らない。画像の表示領域を含む一部の領域のみを画像の明るさに応じた発光輝度値で発光させ、他の領域を発光させなくてもよい。但し、画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトの全領域を発光させれば、画像の周囲のバックライトの明るさ(暗さ)が該画像へ与える影響を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施例では、表示輝度設定値がバックライトの発光輝度値であり、入力される画像信号はバックライトの表示輝度設定値で発光することを前提に作成されている場合を例に説明したが、表示輝度設定値や入力される画像信号はこれに限らない。入力される画像信号は、バックライトを発光輝度が固定であるという前提で作成された画像であってもよい。その場合には、表示輝度設定値は、画像の明るさを表す値であればよく、画像の画素値(輝度値;階調値)の最大値、最小値、平均値、最頻値などであってもよい。そして、表示輝度設定値に基づいてバックライトの発光輝度値が決定され(例えば、平均輝度が高いほど高くなるように発光輝度値が決定され)、決定された発光輝度値のデフォルト値からの変化分を補うように、各画素値が補正されてもよい。
【0030】
なお、本実施例では、表示エリア情報が画像の各頂点(画像の左上、右上、左下、右下
)の画素の位置座標である場合を例に説明したが表示エリア情報はこれに限らない。表示エリア情報は、画像の表示領域を表す情報であればよく、例えば、画像の位置(例えば1つの頂点の位置や中心位置)と画像のサイズ(画像の水平方向と垂直方向のサイズ;画像の幅と高さ)とを含む情報であってもよい。表示エリア情報は、画像の互いに対角の位置関係にある2つの頂点の位置を示す座標データであってもよい。
【0031】
なお、本実施例では、表示輝度設定値と表示エリア情報が外部から入力されるものとしたが、それらの情報は、入力された画像信号を解析することにより決定(生成)されてもよい。例えば、画像信号から矩形のエッジが検出され、該矩形のエッジ内の領域が1つの画像の領域として決定(検出)されてもよい。そして、検出された1つの画像の領域内の画素値の最大値、最小値、平均値、最頻値などが表示輝度設定値とされてもよい。
【0032】
なお、本実施例では、入力されるフレームが2つの画像を含む場合を例に説明したが、フレームはこれに限らない。フレームは、3つ以上の画像を含んでいてもよい。そのような場合であっても、上述した処理と同様の処理を行えばよい。例えば、フレームが4つの画像Im1〜Im4を含み、4つの画像Im1〜Im4の明るさが互いに異なる場合には、1フレーム期間が4つのサブフレーム期間に分割される。そして、サブフレーム期間毎に、4つの画像Im1〜Im4が順番に切り替えられて表示される。また、フレームが4つの画像Im1〜Im4を含み、画像Im1と画像Im3の明るさが同じであり、画像Im2,Im4の明るさが他の画像の明るさと異なる場合には、1フレーム期間が3つのサブフレーム期間に分割される。そして、サブフレーム期間毎に、画像Im1と画像Im3、画像Im2、画像Im4が順番に切り替えられて表示される。即ち、画像Im1と画像Im3は1つのサブフレーム期間に表示される。
【0033】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る液晶表示装置及びその制御方法について図面を用いて説明する。なお、以下では実施例1と異なる点について説明する。
実施例1の構成では、画像の明るさ毎に表示する画像が切り替えられる、即ち、明るさが同じ画像のみが1サブフレーム期間に同時に表示される。そのため、フレームに含まれる画像の数が多い場合に1サブフレーム期間の長さが短くなってしまう虞がある。本実施例では、実施例1よりも1サブフレーム期間の長さを長くすることのできる構成について説明する。なお、本実施例では、画像の明るさに応じた発光輝度値で、該画像の表示領域を含む領域(一部の領域)のバックライトを発光させることにより、該画像が表示されるものとする。
【0034】
図6は、実施例2に係る液晶表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、液晶表示装置400は、画像出力装置300に接続されている。液晶表示装置400は、画像入力部401、輝度比較部402、バックライト対応領域判定部403、時分割制御部404、表示制御部405、バックライト制御部406、液晶制御部407、バックライト408、液晶パネル409などを有する。
画像出力装置300は、実施例1の画像出力装置100と同様のため、その説明は省略する。
【0035】
次に液晶表示装置400の各機能ブロックの動作(処理)を説明する。
画像入力部401は、1フレーム分の画像信号を入力する。具体的には、画像入力部401は、画像出力装置300から、画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を受け取る。画像入力部401は、輝度比較部402に、受け取った表示輝度設定値を送る。画像入力部401は、バックライト対応領域判定部403に、受け取った表示輝度設定値及び表示エリア情報を送る。画像入力部401は、表示制御部405に、受け取った画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を送る。
【0036】
輝度比較部402は、画像入力部401から表示輝度設定値を受け取る。そして、輝度比較部402は、受け取った表示輝度設定値から、互いに異なる表示輝度設定値の数nを算出し、算出結果(数n)をバックライト対応領域判定部403に送る。
【0037】
バックライト対応領域判定部403は、入力された1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、複数の画像を、バックライトの発光が影響を及ぼしあうことなく同時に表示可能な画像群に区分する。本実施例では、画像間の明るさの差、及び、画像間の距離から、上記複数の画像が画像群に区分される。
【0038】
具体的には、バックライト対応領域判定部403は、画像入力部401から、表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取り、輝度比較部402から、互いに異なる表示輝度設定値の数nを受け取る。
バックライト対応領域判定部403は、各画像の表示輝度設定値と表示エリア情報から、各画像間の表示輝度設定値の差と距離を算出する。
バックライト対応領域判定部403は、画像間の表示輝度設定値の差と距離、及び、予め用意されたテーブルを用いて、それらの画像を同時に表示できるか否か(それらの画像を同時に表示した場合に、それらの画像が正確に表示されるか否か)を判定する。具体的には、それらの画像を、それぞれ対応する発光輝度値でバックライトを発光させて同時に表示させた場合に、一方の画像に対するバックライトの発光が他方の画像に影響を及ぼすか否かが判定される。
バックライト対応領域判定部403は、上記の判定結果から、同一のサブフレーム期間中に表示可能な画像群を判断する。本実施例では、フレームに含まれる全ての画像の明るさが互いに異なる場合には、それらの画像のうち、同時に表示可能な画像が同じ画像群とされる。フレームが、明るさが互いに等しい(複数の)画像を含む場合には、同じ明るさの全ての画像が同じ画像群とされる。そして、第1の明るさの全ての画像と、第1の明るさとは異なる第2の明るさの全ての画像とが、バックライトの発光が影響を及ぼしあうことなく同時に表示可能な場合には、それらの画像が同じ画像群とされる。
バックライト対応領域判定部403は、画像群毎に、(画像群に含まれる画像の明るさ(表示輝度設定値)の数−1)の値を算出し、その合計値を、他の表示輝度設定値の画像と同時に表示可能な画像の表示輝度設定値の数mとして算出する。
バックライト対応領域判定部403は、数nから数mを減算することにより画像群の数(n−m)を算出し、時分割制御部404へ送る。また、バックライト対応領域判定部403は、1つの画像群に含まれる画像の表示輝度設定値を表す情報(組み合わせ情報)を表示制御部405へ送る。
【0039】
時分割制御部404は、バックライト対応領域判定部403から画像群の数(n−m)を受け取る。時分割制御部404は、1フレーム期間を画像群の数(n−m)のサブフレーム期間に分割する時分割同期信号を生成する。時分割制御部404は、時分割同期信号を表示制御部405へ送る。
【0040】
表示制御部405、バックライト制御部406、及び、液晶制御部407は、サブフレーム期間毎に、画像群を切り替えて表示する。
【0041】
具体的には、表示制御部405は、画像入力部401から、画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を受け取る。表示制御部405は、時分割制御部404から、時分割同期信号を受け取る。表示制御部405は、バックライト対応領域判定部403から、組み合わせ情報を受け取る。表示制御部405は、時分割同期信号によって分割された(n−m)個のサブフレーム期間に、それぞれ、表示する画像の表示輝度設定値を割り当
てる。このとき、表示制御部405は、組み合わせ情報から、同一の画像群に含まれる画像の表示輝度設定値を、1つのサブフレーム期間に割り当てる。表示制御部405は、サブフレーム期間に、そのサブフレーム期間に割り当てられた表示輝度設定値に対応する画像を、該画像に対応する表示エリア情報で指定された領域に表示させ、その他の領域では黒表示を行わせる表示画像信号を生成する。そして、表示制御部405は、サブフレーム期間に、上記生成した表示画像信号を液晶制御部407に送り、該表示画像信号で表示させる画像に対応する表示輝度設定値と表示エリア情報をバックライト制御部406に送る。
【0042】
バックライト制御部406は、サブフレーム期間に、表示制御部405から表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取る。バックライト制御部406は、画像毎に、その画像の表示エリア情報から、その画像を表示するために発光させるバックライト408の領域を発光領域として判断する。そして、バックライト制御部406は、画像毎に、その画像の発光領域のバックライトを、該画像に対応する表示輝度設定値に応じた発光輝度で発光させる。なお、発光領域以外の領域のバックライトは発光させない。
液晶制御部407は、サブフレーム期間に、表示制御部405から表示画像信号を受け取る。液晶制御部407は、表示画像信号に応じて液晶パネル409を駆動する。
【0043】
図7は入力された画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報の一例を示す図である。図7の例では、画像信号は、左右(画面の水平方向)に並んだ3つの画像(画像A2〜C2)を含むフレームの信号である。画像A2は、画面の左側の領域RA2に表示される画像であり、画像B2は、画面の右側の領域RB2に表示される画像であり、画像C2は、画面の中央の領域RC2に表示される画像である。図7の例では、画像A2の表示輝度設定値は100[cd/m]であり、画像B2の表示輝度設定値は150[cd/m]であり、画像C2の表示輝度設定値は200[cd/m]である。また、画像A2の表示エリア情報は、領域RA2の四隅の座標(0,0)、(33,0)、(0,100)、(33,100)である。画像B2の表示エリア情報は、領域RB2の四隅の座標(66,0)、(100,0)、(66,100)、(100,100)である。画像C2の表示エリア情報は、領域RC2の四隅の座標(33,0)、(66,0)、(33,100)、(66,100)である。
【0044】
図7の画像信号、表示輝度情報、表示エリア情報が入力された場合、互いに異なる表示輝度設定値の数n=3となる。しかし、画像A2と画像B2は、互いに離れており、バックライトの発光が互いに干渉せずに同時に(同じサブフィールド期間に)表示可能である。そのため、画像A2と画像B2が1つの画像群、画像C2が1つの画像群とされる。そして、他の表示輝度設定値の画像と同時に表示可能な画像の表示輝度設定値の数m=1、画像群の数(n−m)=2となる。その結果、図8,9に示すように、1フレーム期間は第1サブフレーム期間と第2サブフレーム期間の2つに分割される。本実施例では、表示部(バックライト408と液晶パネル409)のリフレッシュレート(1秒あたりの画像(フレーム)表示回数)は60Hzであり、1フレーム期間の長さは16.66msであるものとする。そのため、第1サブフレーム期間、第2サブフレーム期間の長さは、いずれも8.33msとなる。
そして、第1サブフレーム期間では領域RA2に画像A2が表示され、領域RB2に画像B2が表示され、領域RC2が黒表示される。このとき、画像A2に対する発光領域LAでのバックライトの発光輝度は100[cd/m]とされ、画像B2に対する発光領域LBでのバックライトの発光輝度は150[cd/m]とされる。他の領域でのバックライトの発光輝度は0[cd/m]とされる(消灯される)。発光領域LAは、該領域LAでのバックライトの光が領域RB2に影響を与えない程度に領域RB2から離れている。同様に、発光領域LBは、該領域LBでのバックライトの光が領域RA2に影響を与えない程度に領域RA2から離れている。そのため、画像A2と画像B2は正確に表示
される。
また、第2サブフレーム期間では領域RA2,RB2が黒表示され、領域RC2に画像C2が表示される。このとき、画像Cに対する発光領域LCでのバックライトの発光輝度は200[cd/m]とされる。他の領域でのバックライトの発光輝度は0[cd/m]とされる(消灯される)。
【0045】
図7の画像信号、表示輝度設定値、表示エリア情報が入力された場合の液晶表示装置400の動作を図10のフローチャートを用いて説明する。
S201において、画像入力部401は、画像出力装置300から、画像信号ラインを介して画像信号を受け取り、データラインを介して表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取る。画像入力部401は、輝度比較部402に、受け取った表示輝度設定値を送り、表示制御部405に、受け取った画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を送り、バックライト対応領域判定部403に、受け取った表示輝度設定値と表示エリア情報を送る。
【0046】
S202において、輝度比較部402は、画像入力部401から、表示輝度設定値を受け取る。そして、輝度比較部402は、受け取った表示輝度設定値から、互いに異なる表示輝度設定値の数nを算出し、算出結果(数n)をバックライト対応領域判定部403へ送る。
S202の処理について詳しく説明する。
まず、輝度比較部402は、表示輝度設定値として画像A2の表示輝度設定値、画像B2の表示輝度設定値、及び、画像C2の表示輝度設定値を受け取り、受け取った表示輝度設定値の数a=3を判断する。
次に、輝度比較部402は、a=3であるため、2つの表示輝度設定値の組み合わせが3通りであると判断する。そして、輝度比較部402は、当該3通りの組み合わせのそれぞれについて、その組み合わせの2つの表示輝度設定値間の差の算出及び他の画像の表示輝度設定値と同じ表示輝度設定の数bの更新を行う。まず、画像A2の表示輝度設定値と画像B2の表示輝度設定値の差50[cd/m](または−50[cd/m])≠0が算出され、bに0が加えられる。次に、画像A2の表示輝度設定値と画像C2の表示輝度設定値の差100[cd/m](または−100[cd/m])≠0が算出され、bに0が加えられる。最後に、画像B2の表示輝度設定値と画像C2の表示輝度設定値の差50[cd/m](または−50[cd/m])≠0が算出され、bに0が加えられる。それにより、最終的なbの値は0となる。
そして、輝度比較部402は、(a−b)=3−0より、互いに異なる表示輝度設定値の数n=3を算出し、算出結果(互いに異なる表示輝度設定値の数n=3)をバックライト対応領域判定部403へ送る。
【0047】
S203において、バックライト対応領域判定部403は、画像入力部401から、表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取り、輝度比較部402から、互いに異なる表示輝度設定値の数n=3を受け取る。そして、バックライト対応領域判定部403は、表示エリア情報から画像間の距離を算出する。本実施例では、画像間の距離として、最も近い画素間の距離が算出される。
以下、画像間の算出方法の例を説明する。
まず、バックライト対応領域判定部403は、画像毎に、その画像の表示エリア情報から、その画像の表示領域のx座標の最小値と最大値及びy座標の最小値と最大値を求める。ここでは、画像A2のx座標の最小値(x座標最小値)xmin=0、画像A2のx座標の最大値(x座標最大値)xmax=33、画像A2のy座標の最小値(y座標最小値)ymin=0、画像A2のy座標の最大値(y座標最大値)ymax=100となる。画像B2のx座標最小値xmin=66、画像B2のx座標最大値xmax=100、画像B2のy座標最小値ymin=0、画像B2のy座標最大値ymax=100となる。
画像C2のx座標最小値xmin=33、画像C2のx座標最大値xmax=66、画像C2のy座標最小値ymin=0、画像C2のy座標最大値ymax=100となる。
次に、バックライト対応領域判定部403は、各画像のx座標最小値、x座標最大値、y座標最小値、y座標最大値を用いて、画像間の距離を算出する。
具体的には、バックライト対応領域判定部403は、距離算出の対象とする2つの画像のうち、x座標最小値が大きい方の画像のx座標最小値からx座標最小値が小さい方の画像のx座標最大値を減算し、それら2つの画像間のx座標方向の距離を求める。ここで、バックライト対応領域判定部403は、それら2つの画像のx座標最小値が同じ値だった場合には、x座標方向の距離を0とする。また、上記x座標方向の距離の値が負になった場合は該距離の値を0に置き換える。
また、バックライト対応領域判定部403は、距離算出の対象とする2つの画像のうち、y座標最小値が大きい方の画像のy座標最小値からy座標最小値が小さい方の画像のy座標最大値を減算し、それら2つの画像間のy座標方向の距離を求める。ここで、バックライト対応領域判定部403は、それら2つの画像のy座標最小値が同じ値だった場合には、上記y座標方向の距離を0とする。また、上記y座標方向の距離の値が負になった場合は該距離の値を0に置き換える。
そして、バックライト対応領域判定部403は、x座標方向の距離の二乗とy座標方向の距離の二乗の和の平方根を画像間の距離として算出する。
上述した算出方法より、画像A2,C2間のx座標方向の距離は0、y座標方向の距離は0となり、画像A2,C2間の距離は0となる。
画像B2,C2間のx座標方向の距離は0、y座標方向の距離は0となり、画像B2,C2間の距離は0となる。
画像A2,B2間のx座標方向の距離は33、y座標方向の距離は0となり、画像A2,B2間の距離は33となる。
【0048】
S204において、バックライト対応領域判定部403は、距離が0でない画像間の明るさの差(表示輝度設定値の差)を算出する。ここでは、画像A2の表示輝度設定値100[cd/m]と画像B2の表示輝度設定値150[cd/m]の差(50[cd/m]または−50[cd/m])が算出される。
【0049】
S205において、バックライト対応領域判定部403は、画像間の距離、画像間の表示輝度設定値の差、及び、予め用意されたテーブルを用いて、それらの画像が同時に表示可能か否かを判定する。テーブルは、例えば、画像間の距離(または距離の範囲)と表示輝度設定値の差(または表示輝度設定値の差の範囲)の組み合わせ毎に、その組み合わせの画像を同時に表示できるか否かを表す。なお、バックライト対応領域判定部403は、距離が0である2つの画像は、同時に表示不可能であると判定する。
本実施例では、画像A2と画像B2が同時に表示可能と判定され、画像A2と画像C2及び画像B2と画像C2は同時に表示不可能と判定されるものとする。
【0050】
S206において、バックライト対応領域判定部403は、画像群の数を算出し、時分割制御部404に送る。また、バックライト対応領域判定部403は、組み合わせ情報を表示制御部405へ送る。
具体的には、バックライト対応領域判定部403は、S205での判定結果から、同一のサブフレーム期間中に表示可能な画像群を判断する。ここでは、上述したように、表示輝度設定値100[cd/m]の画像A2と表示輝度設定値150[cd/m]の画像B2とが同時に表示可能である。そのため、画像A2と画像B2が1つの画像群と判断され、画像C2が1つの画像群と判断される。そして、画像A2と画像B2を含む画像群について、画像群に含まれる画像の明るさの数−1=2−1=1が算出される。また、画像C2を含む画像群について、画像群に含まれる画像の明るさの数−1=1−1=0が算出される。そして、算出されたそれらの値の総和(1+0=1)が、他の表示輝度設定値
の画像と同時に表示可能な画像の表示輝度設定値の数mとして算出される。
なお、画像A2〜C2が全て他の画像と同時に表示できないと判定された場合には、画像A2〜C2がそれぞれ異なる画像群と判断され、各画像群の(画像群に含まれる画像の明るさの数−1)の値は全て0となる。そのため、m=0が算出される。
そして、バックライト対応領域判定部403は、数n=3から数m=1を減算することにより、画像群の数n−m=3−1=2を算出し、時分割制御部404に送る。
また、バックライト対応領域判定部403は、画像A2,B2を含む画像群の組み合わせ情報として、表示輝度設定値100[cd/m]と表示輝度設定値150[cd/m]を表す情報を表示制御部405へ送る。バックライト対応領域判定部403は、画像C2を含む画像群の組み合わせ情報として、表示輝度設定値200[cd/m]を表す情報を表示制御部405へ送る。
【0051】
S207において、時分割制御部404は、バックライト対応領域判定部403から、画像群の数n−m=2を受け取る。そして、時分割制御部404は、1フレーム期間を画像群の数n−m=2のサブフレーム期間に分割する時分割同期信号を生成する。時分割制御部404は、時分割同期信号を表示制御部405へ送る。
【0052】
S208において、表示制御部405は、画像入力部401から、画像信号、表示輝度設定値、及び、表示エリア情報を受け取る。表示制御部405は、バックライト対応領域判定部403から、組み合わせ情報を受け取る。表示制御部405は、時分割制御部404から、時分割同期信号を受け取る。そして、表示制御部405は、表示輝度設定値100[cd/m]と表示輝度設定値150[cd/m]を第1サブフレーム期間、表示輝度設定値200[cd/m]を第2フレーム期間に割り当てる。即ち、表示輝度設定値100[cd/m]の画像A2と表示輝度設定値150[cd/m]の画像B2との表示期間が第1サブフレーム期間、表示輝度設定値200[cd/m]の画像B2の表示期間が第2フレーム期間とされる。
【0053】
S209において、表示制御部405は、第1サブフレーム期間に、画像A2,B2を、該画像A2,B2に対応する表示エリア情報で指定された領域に表示させ、その他の領域では黒表示を行わせる表示画像信号を生成する。そして、表示制御部405は、第1サブフレーム期間に、上記生成した表示画像信号を液晶制御部407に送り、画像A2,B2に対応する表示輝度設定値と表示エリア情報をバックライト制御部406に送る。
なお、第2サブフレーム期間では、画像C2を、該画像C2に対応する表示エリア情報で指定された領域に表示させ、その他の領域では黒表示を行わせる表示画像信号が生成される。そして、第2サブフレーム期間では、上記生成した表示画像信号が液晶制御部407に送られ、画像C2に対応する表示輝度設定値と表示エリア情報がバックライト制御部406に送られる。
【0054】
S210において、バックライト制御部406は、表示制御部405から、表示輝度設定値と表示エリア情報を受け取る。バックライト制御部406は、画像毎に、その画像の表示エリア情報から、発光領域を判断する。具体的には、第1サブフレーム期間では、画像A2の領域を含む領域が画像A2の発光領域LAとされ、画像B2の領域を含む領域が画像B2の発光領域LBとされる。そして、バックライト制御部406は、画像毎に、その画像の発光領域のバックライトを、該画像に対応する表示輝度設定値に応じた発光輝度で発光させる。具体的には、第1サブフレーム期間では、発光領域LAが100[cd/m]で発光され、発光領域LBが150[cd/m]で発光される。そして、発光領域LAと発光領域LB以外の領域は発光されない。
そして、液晶制御部407は、表示制御部405から送られた表示画像信号に従って液晶パネルを駆動する。
それにより、第1サブフレーム期間では、画像A2が領域RA2に表示され、画像B2
が領域RB2に表示され、他の領域では黒表示が行われる。第2サブフレーム期間では、画像C2が領域RC2に表示され、他の領域では黒表示が行われる。
【0055】
以上述べたように、本実施例によれば、明るさの異なる複数の画像が、バックライトの発光が互いに影響を及ぼしあうことなく同時に表示可能な画像群に区分される。そして、1フレーム期間が画像群の数のサブフレーム期間に区分され、サブフレーム期間毎に、画像群が切り替えられて表示される。即ち、本実施例よれば、画像間で明るさが異なっていても、それらの画像が互いに影響を及ぼしあわない程度に離れているのであれば、それらの画像は1つのサブフレーム期間に表示する1つの画像群とされる。そのため、実施例1に比べ、サブフレーム期間の数を少なくすることができ、1つのサブフレーム期間の長さを長くすることができる。
また、上述したように、1つの画像群に含まれる複数の画像は、互いに影響を及ぼしあわない程度に離れているため、該複数の画像は全て正確に表示することができる。そのため、本実施例の構成であっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、発光領域は、画像の領域と同じ大きさの領域であってもよいし、画像の領域より大きい領域であってもよい。例えば、発光領域は、画像の領域より水平方向及び垂直方向に所定画素数分(例えば5,10,15画素)分大きい領域であってもよい。図7の例では、画像Aの領域に対して右側にのみ大きい領域が設定可能であるため、画像Aの領域と該領域の右側5画素幅の領域とを合わせた領域が発光領域LAとされている。また、画像Cの領域に対して右側及び左側にのみ大きい領域が設定可能であるため、画像Cの領域、該領域の右側5画素幅の領域、及び、該領域の左側5画素幅の領域を合わせた領域が発光領域LCとされている。発光領域として画像の領域より大きい領域を設定することにより、画像の周囲のバックライトの明るさ(暗さ)が該画像へ与える影響を抑制することができる。
【0057】
また、画像の領域の大きさに対する発光領域の大きさの割合は、画像毎に異なっていてもよい。例えば、画像が暗いほど、画像の領域の大きさに対する発光領域の大きさの割合が大きくなるように、発光領域の大きさが決定されてもよい。予め用意されたテーブル(画像の明るさと発光領域の大きさの対応関係を表すテーブル)を用いて、画像毎に、その画像の発光領域のサイズが決定されてもよい。暗い画像(バックライトの発光輝度値を低くして表示する画像)は、明るい画像よりも周囲のバックライトの明るさ(暗さ)の影響を受けやすいと考えられる。そのため、上記構成にすることにより、画像の周囲のバックライトの明るさ(暗さ)が該画像へ与える影響を効果的に抑制することができる。
【0058】
なお、本実施例では、画像間の明るさの差、及び、画像間の距離から、複数の画像を画像群に区分するものとしたが、この構成に限らない。画像間の距離がある程度離れていれば、画像間の明るさの差に依らず、それらの画像を、互いに影響を及ぼしあうことなく同時に表示することができる。そのため、画像間の距離のみから、複数の画像が画像群に区分されてもよい。但し、画像の明るさを考慮すれば、複数の画像を、より高精度に画像群に区分することができる。
【0059】
なお、本実施例では、表示制御部405に各画像群の組み合わせ情報が送られるものとしたが、画像群に1つの表示輝度設定値の画像しか含まれない場合には、その画像群の組み合わせ情報は送られなくてもよい。その場合には、組み合わせ情報で表されていない明るさ(表示輝度設定値)の画像については、1つの明るさの全画像が1つの画像群として判断されればよい。即ち、組み合わせ情報で表されていない表示輝度設定値毎に、その表示輝度設定値の全画像が1つの画像群として判断されればよい。
【0060】
なお、本実施例では、2つの画像の全ての組み合わせについて、同時に表示可能か否か
を判定するものとしたが、この構成に限らない。第1の明るさの全画像と第2の明るさの全画像のうち、最も近い第1の明るさの画像と第2の明るさの画像が同時に表示可能か否かを判定する構成であってもよい。その場合には、最も近い第1の明るさの画像と第2の明るさの画像が同時に表示可能である場合に、第1の明るさの全画像と第2の明るさの全画像を同じ画像群とすればよい。
【0061】
なお、本実施例では、入力されるフレームが各明るさの画像を1つずつ含む場合を例に説明したが、フレームはこれに限らない。フレームは、1つの明るさの画像を複数含んでいてもよい。そのような場合であっても、上述した処理と同様の処理を行えばよい。例えば、フレームが4つの画像Im1〜Im4を含み、画像Im1と画像Im3の明るさが同じであり、画像Im2,Im4の明るさが他の画像の明るさと異なる場合を考える。ここで、画像Im1、画像Im3、及び、画像Im2が同時に表示可能な場合には、画像Im1〜Im3が1つの画像群とされ、画像Im4が1つの画像群とされる。そして、サブフレーム期間毎に、画像Im1〜Im3、画像Im4が順番に切り替えられて表示される。即ち、画像Im1〜Im3は1つのサブフレーム期間に表示される。
【0062】
<実施例3>
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
本実施例では、実施例2の液晶表示装置に図7よりも多くの画像を含むフレームの信号が入力された場合の例について説明する。
本実施例に係る液晶表示装置の各機能は実施例2と同様のため、説明は省略する。以下では、画像信号の具体例と画像群の区分結果について説明する。
【0063】
図11は、入力された画像信号の一例を示す図である。
図11の例では、画像信号は、2×3=6つの画像(画像A〜F)を含むフレームの信号である。具体的には、図11の例では、1行目に左から順に画像A〜Cが並んでおり、2行目に左から順に画像D〜Fが並んでいる。ここで、各画像はそれぞれ明るさが異なる。更に、各画像は、隣接する画像にのみ影響を及ぼすものとする。即ち、1つの画像を挟む2つの画像は十分離れており、バックライトの発光は影響を及ぼしあわない(干渉しない)ものとする。
図11の例の場合、図12(A),(B)に示すように、画像A〜Fが4つの画像群に区分される。図12(A),(B)において、各画像に割り振られている数値は画像群の番号を示す。即ち、各画像に割り振られている数値が同じ画像は同じ画像群に含まれる。図12(A)の例では、画像A〜Fは、画像A,Cを含む画像群、画像D,Fを含む画像群、画像Bを含む画像群、画像Eを含む画像群の4つに区分されている。図12(B)の例では、画像A〜Fは、画像A,Fを含む画像群、画像C,Dを含む画像群、画像Bを含む画像群、画像Eを含む画像群の4つに区分されている。
【0064】
また、画像信号が3×3=9つの画像を含むフレームの信号である場合には、9つの画像は、例えば、図13(A),(B)に示すように、4つの画像群に区分される。具体的には、図11の6つの画像の上側に画像が増える場合には、増えた画像は、その増える方向(上方向)とは逆方向(下方向)に2つ先の画像と同じ画像群とされる。即ち、図11の6つの画像の上側に画像が増える場合には、増えた画像は、その画像の2つ下側に位置する画像と同じ画像群とされる。
また、画像信号が2×4=8つの画像を含むフレームの信号である場合には、8つの画像は、例えば、図14(A),(B)に示すように、4つの画像群に区分される。具体的には、図11の6つの画像の右側に画像が増える場合には、増えた画像は、その増える方向(右方向)とは逆方向(左方向)に2つ先の画像と同じ画像群とされる。即ち、図11の6つの画像の右側に画像が増える場合には、増えた画像は、その画像の2つ左側に位置する画像と同じ画像群とされる。
【0065】
以上述べたように、本実施例によれば、画像群の数を4以下に抑えることができる。そのため、実施例1の構成に比べ1つのサブフレーム期間の長さを長くすることができる。
【符号の説明】
【0066】
200,400・・・液晶表示装置 201,401・・・画像入力部 202,402・・・輝度比較部 203,404・・・時分割制御部 204,405・・・表示制御部 205,406・・・バックライト制御部 206,407・・・液晶制御部 207,408・・・バックライト 208,409・・・液晶パネル 403・・・バックライト対応領域判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する液晶表示装置であって、
1フレーム分の画像信号を入力する入力手段と、
前記1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する分割手段と、
サブフレーム期間毎に、前記複数の画像を切り替えて表示する表示手段と、
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、画像を表示する際に、該画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトの全領域を発光させる
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記フレームが、明るさが互いに等しい画像を含む場合に、前記表示手段は、該明るさが互いに等しい画像を1つのサブフレーム期間に表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶表示装置は、画像の明るさに応じた発光輝度値で、該画像の表示領域を含む領域のバックライトを発光させることにより、該画像を表示するものであり、
前記分割手段は、前記1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、画像間の距離から、前記複数の画像を、バックライトの発光が影響を及ぼしあうことなく同時に表示可能な画像群に区分し、1フレーム期間を、前記画像群の数のサブフレーム期間に分割し、
前記表示手段は、サブフレーム期間毎に、画像群を切り替えて表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記分割手段は、
前記フレームが、明るさが互いに等しい画像を含む場合には、同じ明るさの全ての画像を同じ画像群とし、
前記フレームが、明るさが互いに等しい画像を含み、且つ、第1の明るさの全ての画像と、第1の明るさとは異なる第2の明るさの全ての画像とが、バックライトの発光が影響を及ぼしあうことなく同時に表示可能な場合には、それらの画像を同じ画像群とする
ことを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記分割手段は、画像間の明るさの差、及び、画像間の距離から、前記複数の画像を前記画像群に区分する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、画像を表示する際に、該画像の明るさに応じた発光輝度値で、該画像の領域よりも大きい領域のバックライトを発光させる
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
画像の明るさに応じた発光輝度値でバックライトを発光させることにより、該画像を表示する液晶表示装置の制御方法であって、
1フレーム分の画像信号を入力する入力ステップと、
前記1フレーム分の画像信号が、明るさが互いに異なる複数の画像を含むフレームの信号である場合に、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する分割ステップと、
サブフレーム期間毎に、前記複数の画像を切り替えて表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする液晶表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−44841(P2013−44841A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181198(P2011−181198)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】