説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】ラビング処理に起因する問題を防止し、ラビング処理を行わなくても優れた配向制御性を有するIPSモード液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、互いに対向して配置されたアレイ基板及び対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に狭持され、正の誘電異方性を有する液晶を含む液晶層と、前記アレイ基板上に設けられ、基板面に対して平行な電界を前記液晶層に印加する電極と、前記アレイ基板及び前記対向基板の前記液晶層と接触する面に設けられた下地膜とを備えた液晶表示装置であって、前記液晶層は、0.1〜5重量%の光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成されたポリマーを含有することを特徴とする液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に、各種機器の表示パネルなどに使用される液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低駆動電圧、低消費電力及び軽量などの特性を有していることから、時計の表示パネルや、携帯電話、コンピュータ及びテレビのディスプレイなどにおける用途が拡大している。
このような液晶表示装置では、液晶分子を基板面に対して所定の方向に並べる(すなわち、配向させる)ことが一般的に必要とされているが、従来の配向技術としては、基板上にポリイミドなどから成る配向膜を形成した後にラビング処理を施すこと(ラビング配向膜の形成)により液晶分子を配向させる方法が知られている。ラビング処理は、レーヨンや綿などの布を巻いたローラーを、回転数及びローラーと基板との距離を一定に保った状態で回転させ、配向膜の表面を一方向に擦ることにより行われる。
【0003】
しかしながら、ラビング処理による配向技術には、以下に挙げるように様々な問題がある。
(1)ラビング処理は、配向膜に大きなキズを生じさせることがあり、そのキズが液晶表示装置の黒表示時において光漏れの原因となり、液晶表示装置のコントラストを低下させる。
(2)ラビング処理によって、配向膜が剥がれたり、ローラーに巻いた布から毛が脱落する結果、均一なセル厚が得られず、液晶表示装置の表示ムラが発生する。
(3)基板上に形成したTFT素子などによる段差により、ラビングされない部分が生じたり、配向膜が剥がれることがある。
(4)ラビング処理は、ラビングの定量化が難しく、管理が難しい。
【0004】
(5)液晶セルを形成する際に基板の貼り合わせ位置がずれると、上下基板の配向方向がずれてしまい(すなわち、配向軸のずれが生じ)、液晶表示装置のコントラストが低下する。
(6)基板とローラーとの間の摩擦によって生じる静電気により、基板上に形成したTFT素子が壊れる。
(7)基板サイズが大きくなると、基板やローラーのたわみの影響が大きくなり、均一なラビング処理が困難になって歩留まりが低下すると共に、ラビング処理のための装置を大きくする必要があるため、投資コストが増大する。
【0005】
ところで、液晶表示装置の駆動方式には、TN(twisted nematic)モード、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モードなどがある。その中でも、IPSモード液晶表示装置は、一対の電極を同一基板上に配置し、液晶分子を基板に平行な方向でスイッチングするものであり、横電界方式の液晶表示装置とも言われている。このIPSモード液晶表示装置は、TNモードやVAモードなどの縦電界方式の液晶表示装置に比べて視野角が広いなどの利点がある。
IPSモード液晶表示装置においては、原理上、基板上に数μm程度の幅を持つ細長い電極(櫛歯電極)を多数配設する必要があり、基板上に微細な段差構造が形成される。そのため、IPSモード液晶表示装置においては、この段差構造に伴い、上記のようなラビング処理に起因した問題が数多く見られる。
【0006】
ラビング処理を必要としない(ラビングレス)配向技術としては、例えば、液晶層中にポリマーを含有させることにより、液晶分子を配向させる技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3520376号公報
【特許文献2】特許第4175826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献に記載の配向技術は、縦電界方式の液晶表示装置を主な対象とし、液晶分子にプレチルト角を与えることで液晶分子の配向を制御しており、プレチルト角を与えることが要求されない(すなわち、プレチルト角が0度である)横電界方式の液晶表示装置において、ラビング処理を行わずに液晶分子の良好な配向制御を達成したものは依然としてない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、ラビング処理に起因する問題を防止し、ラビング処理を行わなくても優れた配向制御性を有するIPSモード液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、IPSモード液晶表示装置において、アレイ基板及び対向基板の液晶層と接する面に下地膜を設けると共に、液晶層に、0.1〜5重量%の光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成したポリマーを含有させることで、ラビング処理を行わなくても液晶の配向制御が容易になることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、互いに対向して配置されたアレイ基板及び対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に狭持され、正の誘電異方性を有する液晶を含む液晶層と、前記アレイ基板上に設けられ、基板面に対して平行な電界を前記液晶層に印加する電極と、前記アレイ基板及び前記対向基板の前記液晶層と接触する面に設けられた下地膜とを備えた液晶表示装置であって、前記液晶層は、0.1〜5重量%の光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成されたポリマーを含有することを特徴とする液晶表示装置である。
また、本発明は、アレイ基板上に、基板面に対して平行な電界を液晶層に印加する電極を形成する工程と、前記電極を形成したアレイ基板及び対向基板上に下地膜を形成する工程と、0.1〜5重量%の光重合性モノマー及び正の誘電異方性を有する液晶を含む液晶材料を前記アレイ基板と前記対向基板との間に封入する工程と、前記液晶が等方相を示す温度以上に加熱した後、前記アレイ基板面及び前記対向基板面に対して平行に磁場を印加しながら冷却する工程と、光照射により光重合性モノマーを重合させる工程とを含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アレイ基板及び対向基板の液晶層と接する面に下地膜を設けると共に、液晶層に、0.1〜5重量%の光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成したポリマーを含有させることにより、ラビング処理を行わなくても優れた配向制御性を有するIPSモード液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の液晶表示装置の断面図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図及び上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の液晶表示装置及びその製造方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は本発明の液晶表示装置の断面図、図2は本発明の液晶表示装置の製造方法を説明するための断面図及び上面図である。
図1において、液晶表示装置は、互いに対向して配置されたアレイ基板1及び対向基板2と、アレイ基板1と対向基板2との間に狭持された液晶層5と、アレイ基板1上に設けられ、アレイ基板1面及び対向基板2面に対して平行な電界を液晶層5に印加する電極3と、アレイ基板1及び対向基板2の液晶層5と接触する面に設けられた下地膜4とを備えている。また、液晶層5は、液晶6と共にポリマー7を含有しており、このポリマー7の存在によって液晶6が配向制御されている。
【0014】
アレイ基板1としては、特に限定されることはなく、液晶表示装置で一般的に公知のものを使用することができる。具体的には、アレイ基板1として、アクティブマトリックスアレイ基板が挙げられる。このアクティブマトリックスアレイ基板は、一般的に、ガラス基板上にゲート配線及びソース配線がマトリックス状に配置されており、その交点部分に、薄層トランジスタ(TFT)などのアクティブ素子が形成され、このアクティブ素子に画素電極が接続されたものである。
【0015】
対向基板2もまた、特に限定されることはなく、液晶表示装置で一般的に公知のものを使用することができる。具体的には、対向基板2として、カラーフィルタ基板が挙げられる。このカラーフィルタ基板は、一般的に、ガラス基板上に、不要な光の漏れを防止するためにブラックマトリックスを形成した後、R(赤)、G(緑)、B(青)の着色層をパターン形成し、必要に応じて保護膜を形成したものである。
【0016】
電極3としては、基板面(アレイ基板1面及び対向基板2面)に対して平行な電界を液晶層に印加する電極であれば特に限定されることはなく、横電界方式の液晶表示装置(IPSモード液晶表示装置)で一般的に公知のものを使用することができる。電極3の例としては、ITO(酸化インジウムスズ)からなる櫛歯電極が挙げられる。
電極3はアレイ基板1上に形成される。電極3の形成方法としては、特に限定されることはなく、公知の方法に準じて形成させればよい。
【0017】
下地膜4は、液晶表示装置において配向膜として一般的に公知のものを使用することができる。具体的には、下地膜4として、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、シロキサンポリイミド、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂類からなる膜;SiO、GeO、Al23、Y25、ZrO2、MgF2、CeF3などの無機材料からなる膜が挙げられる。これらの中でも、耐熱性等に優れるポリイミド膜が好ましい。
下地膜4は、電極3を形成したアレイ基板1及び対向基板2上に形成される。下地膜4の形成方法としては、特に限定されることはなく、公知の方法に準じて形成させればよい。具体的には、スピンコートした後に加熱処理する方法や、樹脂フィルムを貼着する方法、蒸着法を用いる方法などを用いることができる。
下地膜4の厚さは、特に限定されることはなく、使用する材料に応じて適宜設定すればよいが、一般的に0.005〜0.25μm、好ましくは0.01〜0.15μmの範囲である。
【0018】
液晶層5は、正の誘電異方性を有する液晶6を含む層である。正の誘電異方性を有する液晶6としては特に限定されることはなく、液晶表示装置で一般的に公知のものを使用することができる。
液晶層5は、光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成されたポリマー7を含有する。
光重合性モノマーとしては、特に限定されることはなく、一般的に公知のものを使用することができる。また、日本シーベルヘグナー株式会社から販売されているActilane421、Actilane441、Actilane450や、DIC株式会社から販売されているULC−000−K1などの市販の光重合性モノマーを用いてもよい。
【0019】
好ましい光重合性モノマーは、下記一般式(1)で表される化合物である。
1−A1−(Z1−A2n−P2 (1)
上記一般式(1)中、P1及びP2は官能基であり、それぞれ独立してアクリレート、メタクリレート、ビニル、ビニロキシ又はエポキシ基であり;A1及びA2は環構造を有し、それぞれ独立して1,4−フェニレン又はナフタレン−2,6−ジイル基であり;Z1は−COO−若しくは−OCO−基又は単結合であり;nは0、1又は2である。
【0020】
上記一般式(1)において、P1及びP2は好ましくはアクリレート基であり、Z1は好ましくは単結合であり、nは好ましくは0又は1である。
より好ましい光重合性は、次の式(1a)〜(1c)で表される化合物である。
【0021】
【化1】

【0022】
上記式中、P1及びP2は、一般式(1)で定義した通りである。
光重合性モノマーは、液晶層5中で0.1〜5質量%となるように配合される。光重合性モノマーの配合量が0.1質量%未満であると、液晶6の配向制御が十分でない。一方、光重合性モノマーの配合量が5質量%を超えると、未反応の光重合性モノマーが残る可能性があり、液晶6の液晶特性を阻害してしまう。
【0023】
液晶層5は、図2に示すようにして形成される。
まず、上記の光重合性モノマー8及び液晶6を含む液晶材料を、アレイ基板1と対向基板2との間に封入する(工程(a))。
ここで、液晶材料の封入方法としては、特に限定されることはなく、公知の方法に準じて封入すればよい。具体的には、液晶滴下注入法(ODF)により行えばよい。或いは、アレイ基板1と対向基板2とを貼り合わせた後、毛細管現象を利用して液晶材料をアレイ基板1と対向基板2との間に注入してもよい。
【0024】
次に、液晶5が等方相を示す温度以上に加熱した後、アレイ基板1面及び対向基板2面に対して平行に磁場を印加しながら冷却する(工程(b))。この磁場配向処理により、液晶層5において液晶6の分子長軸方向を一方向に揃えることが可能となる。
ここで、加熱条件は、形成した液晶5の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、一般的に加熱温度は60〜150℃、加熱時間は10分〜1時間である。また、磁場の印加条件は、特に限定されることはなく、使用する液晶材料の種類や作製する液晶表示装置の大きさにあわせて適宜調節すればよいが、永久磁石や超伝導磁石を用い、磁束密度が0.5〜10Tの磁場を印加すればよい。さらに、冷却は室温(25℃)まで冷却すればよく、その際の降温速度は1℃/分〜5℃/分であることが好ましい。降温速度が1℃/分未満であると、工程時間が長くなり、実用的でない場合がある。一方、降温速度が5℃/分を超えると、液晶5の配向制御が十分でない場合がある。
【0025】
次に、光照射により光重合性モノマー8を重合させる(工程(c))。この重合により形成されたポリマー7は、アレイ基板1及び対向基板2と、液晶層5との界面に主に存在し、液晶層5において液晶6の分子長軸方向を保持させることが可能となる。
ここで、光照射の条件は、特に限定されることはなく、使用する光重合性モノマーの種類にあわせて適宜調節すればよいが、例えば、300〜400nmの波長を有する紫外線を照射する場合、露光量を0.1〜10J/cm2とすることが好ましい。
【0026】
このようにして製造される本発明の液晶表示装置は、ラビング処理を行わなくても優れた配向制御性を有する。特に、本発明の液晶表示装置は、ラビング処理に起因する様々な問題を防止することができる。また、磁場による配向を行っているので、磁場の印加条件を調整することで配向制御の定量化が可能となり、管理が容易になる。さらに、液晶を注入した後に配向処理を行っているので、ラビング処理で生じる配向軸のずれ(ラビング方向のずれ、重ねずれ)がなく、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
この実施例では、光重合性モノマーとしてULC−001−K1(DIC株式会社製)を用い、光重合性モノマーの配合量と液晶の配向制御性との関係を調べた。
ITOからなる櫛歯電極を形成したガラス基板、及び対向基板としてのガラス基板上にポリイミド膜を形成した後、液晶滴下法を用い、正の誘電異方性を有する液晶と光重合性モノマーとを含む液晶材料を基板間に封入した(図2(a))。次に、得られたパネルを、液晶が等方相を示す温度(75℃)以上の温度(110℃)に加熱した後、ガラス基板に対して平行に磁場(磁束密度:1T)を印加しながら5℃/分の降温速度で室温(25℃)まで冷却した(図2(b))。次に、紫外線(波長:365nm)を照射し(露光量:1J/cm2)、光重合性モノマーを重合させた(図2(c))。このようにして得られた液晶表示装置(サンプルNo.1〜7)の両側に、偏向板をクロスニコルにして設け、黒輝度を測定した。
また、比較のために、光重合性モノマーを配合せず、ラビング処理を施すことによって作製した液晶表示装置(サンプルNo.8)についても黒輝度を測定した。
黒輝度は、輝度計(株式会社トプコン製、BM−5)を用いて測定した(以下の実施例でも、同じ輝度計を用いて測定を行った)。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の結果からわかるように、0.1〜5質量%の光重合性モノマーを配合して重合させたポリマーを含む液晶層を備えた液晶表示装置(サンプルNo.2〜5)は、0.1質量%未満又は5質量%を超える光重合性モノマーを配合して重合させたポリマーを含む液晶層を備えた液晶表示装置(サンプルNo.1、6〜7)や、従来のラビング処理により配向制御した液晶表示装置(サンプルNo.8)に比べて、黒輝度の値が小さく、液晶表示装置のコントラストが高いことがわかった。従って、サンプルNo.2〜5の液晶表示装置は、液晶の配向制御に優れている。
【0030】
(実施例2)
この実施例では、様々な光重合性モノマーを用いて実施例1と同様の評価を行った。
光重合性モノマーとしてActilane421、Actilane441、Actilane450(日本シーベルヘグナー株式会社製)を用いた。また、磁場印加の際に、パネルを液晶が等方相を示す温度(75℃)以上の温度(110℃)に加熱した後、ガラス基板に対して平行に磁場(磁束密度:1T)を印加したこと以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し(サンプルNo.9〜16)、黒輝度を測定した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
表2の結果からわかるように、光重合性モノマーの種類を変えても、0.1〜5質量%の光重合性モノマーを配合して重合させたポリマーを含む液晶層を備えた液晶表示装置(サンプルNo.10〜11、13〜16)は、0.1質量%未満又は5質量%を超える光重合性モノマーを配合して重合させたポリマーを含む液晶層を備えた液晶表示装置(サンプルNo.9、12)に比べて、黒輝度の値が小さく、液晶表示装置のコントラストが高いことがわかった。従って、サンプルNo.10〜11、13〜16の液晶表示装置は、液晶の配向制御に優れている。
【0033】
(実施例3)
この実施例では、磁場印加時の加熱温度を変えて液晶の配向制御性を調べた。なお、磁場印加時の磁束密度(5T)及び加熱温度以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し(サンプルNo.17〜24)、黒輝度を測定した。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
表3の結果からわかるように、パネルを液晶が等方相を示す温度(75℃)以上の温度(110℃)に加熱した後、ガラス基板に対して平行に磁場を印加して作製した液晶表示装置(サンプルNo.17、20、23)は、パネルを液晶が等方相を示す温度未満に加熱した後、ガラス基板に対して平行に磁場を印加して作製した液晶表示装置(サンプルNo.19、22)や、パネルを加熱せずに、ガラス基板に対して平行に磁場を印加して作製した液晶表示装置(サンプルNo.18、21、24)に比べて、黒輝度の値が小さく、液晶表示装置のコントラストが高いことがわかった。従って、サンプルNo.17、20、23の液晶表示装置は、液晶の配向制御に優れている。
【0036】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、ラビング処理に起因する問題を防止し、ラビング処理を行わなくても優れた配向制御性を有するIPSモード液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 アレイ基板、2 対向基板、3 電極、4 下地膜、5 液晶層、6 液晶、7 ポリマー、8 光重合性モノマー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置されたアレイ基板及び対向基板と、
前記アレイ基板と前記対向基板との間に狭持され、正の誘電異方性を有する液晶を含む液晶層と、
前記アレイ基板上に設けられ、基板面に対して平行な電界を前記液晶層に印加する電極と、
前記アレイ基板及び前記対向基板の前記液晶層と接触する面に設けられた下地膜と
を備えた液晶表示装置であって、
前記液晶層は、0.1〜5重量%の光重合性モノマーを配合し、重合させることによって形成されたポリマーを含有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記下地膜は、ポリイミド膜であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
アレイ基板上に、基板面に対して平行な電界を液晶層に印加する電極を形成する工程と、
前記電極を形成したアレイ基板及び対向基板上に下地膜を形成する工程と、
0.1〜5重量%の光重合性モノマー及び正の誘電異方性を有する液晶を含む液晶材料を前記アレイ基板と前記対向基板との間に封入する工程と、
前記液晶が等方相を示す温度以上に加熱した後、前記アレイ基板面及び前記対向基板面に対して平行に磁場を印加しながら冷却する工程と、
光照射により光重合性モノマーを重合させる工程と
を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−81139(P2011−81139A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232518(P2009−232518)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】