説明

液晶表示装置及びテレビジョン受信機

【課題】液晶表示装置において、光源のLEDを駆動する電源の電圧変換の効率が好適となる出力電圧は、当該電源が高電圧から降圧する方式であるか、低電圧から昇圧する方式であるかによって相違する。
【解決手段】LED基板60の導電パターンは、LEDストリング82a,82bそれぞれのアノード側と正極端子86とをつなぐ正極経路90a,90bと、それぞれのカソード側と負極端子88a,88bとをつなぐ負極経路92a,92bと、LEDストリング82a,82b間をつなぐストリング間経路96とを有する。負極経路92a、正極経路90b及びストリング間経路96にはジャンパー導電部材で架橋される開路部94a,94b,94cが設けられる。LEDストリング82a,82bは開路部94cを架橋した直列接続と、開路部94a,94bを架橋した並列接続とのいずれかに構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置及びテレビジョン受信機に関し、特に、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を液晶パネルの照明光源として備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置はパソコン等のディスプレイや液晶テレビに用いられている。液晶表示装置にて画像を形成する液晶パネルの各画素は自ら発光しないため、液晶表示装置は液晶パネルに光を照射する光源を備え、液晶パネルからの透過光や反射光によって液晶パネルが形成する画像を目に見える表示とする。例えば、当該光源として液晶パネルの背後に配置されたバックライト装置と呼ばれる面光源が用いられ、この場合、液晶パネルからの透過光により画像が表示される。
【0003】
LEDを用いた当該光源においては、表示画面が大きくなるにつれLED基板上に実装されるLEDの個数が増大する。多数のLEDは特許文献1,2に記載されるようにLEDを直列接続したストリング単位で駆動される。すなわち、LED基板には複数のLEDを直列に接続する導体パターンが形成される。ストリングは表示画面が大きい場合にはLED基板上に複数本形成される。LEDを点灯させる際には、ストリングを構成するLEDの個数に応じた駆動電圧を電源から当該ストリングの両端に印加する。
【0004】
図7は、従来の液晶表示装置又は液晶テレビの電源部のブロック図である。電源部2は、整流回路4にて商用交流電源を整流し、その出力を力率改善(Power Factor Correction:PFC)回路6で約390V に昇圧する。そして、DC−DCコンバータ8がPFC回路6の出力電圧を変換して、液晶表示装置で使用される主な直流電圧を生成する。LED駆動回路10は、電源部2にてDC−DCコンバータ8が生成する24Vを電源として用い、ストリングの駆動に必要な直流電圧を生成し出力する。ここで、LEDの順方向降下電圧VFは一般のシリコンダイオードに比べて高く、3V程度である。そのため大抵のストリング長では当該ストリングの駆動に必要な電圧は24Vより高くなり、一般にLED駆動回路10は入力電圧を昇圧してLED基板12へ出力する。
【0005】
例えば、液晶テレビの製造メーカーにおいて液晶表示装置を外部調達する場合などは、メーカーや仕様が異なる複数種類の液晶表示装置が用いられることがある。このような場合に、LED駆動回路10をテレビセットの電源部2と別体にする上述の構成は、液晶表示装置に好適なLED駆動回路10を採用できる。その一方で当該構成は、DC−DCコンバータ8でのPFC回路6の出力電圧からの降圧、及びLED駆動回路10での昇圧という2回の電圧変換を行うため電力損失が大きくなる。
【0006】
これに対し、DC−DCコンバータがストリングの駆動に必要な電圧に応じてPFC回路の出力電圧を降圧してLED駆動回路に供給する構成とすれば、無駄な昇圧を回避して電力損失を低減することが可能である。図8は当該構成の電源部20のブロック図である。この構成では、ストリングの駆動に必要な出力電圧に応じて、DC−DCコンバータ22からLED駆動回路24への入力電圧と併せてLED駆動回路24の回路構成が設計されるので、LED駆動回路24を電源部20の基板上に一体に構成することができる。DC−DCコンバータ22はストリングの駆動電圧より高い電圧をLED駆動回路24への入力電圧として生成し、LED駆動回路24は当該入力電圧により動作してLED基板12への出力電圧を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−186668号公報
【特許文献2】特開2008−270713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようにLED駆動回路には基本的にPFC回路の出力電圧からの降圧によりストリングの駆動電圧を生成する方式と、DC−DCコンバータが生成した低電圧からの昇圧によりストリングの駆動電圧を生成する方式とが存在する。基本的に電圧変換効率は入力電圧と出力電圧との変換比に依存するので、所定のストリング駆動電圧を降圧で生成する場合と昇圧で生成する場合とでは一般に変換効率は相違する。そのため、従来の液晶表示装置は、光源を駆動する際の電力効率を駆動電圧生成の上述の両方式に対して共に好適とすることが難しいという問題を有していた。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、電圧変換によりLEDストリングの駆動電圧を生成する回路をその変換効率が高い状態で動作させ、省電力化が図れる液晶表示装置及びそれを用いたテレビジョン受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、直線に沿って配列された2n個のLEDからなるLED列を実装し、外部から正極端子及び負極端子に供給される電源により前記LEDを発光させるLED基板を含んでなる光源と、前記光源から光を照射されて表示を行う液晶パネルと、を備え、前記LED基板に形成された導電パターンは、前記LED列のうちのn個のLEDを直列に接続して第1LEDストリングを形成する導電経路、及び残りのn個のLEDを直列に接続して第2LEDストリングを形成する導電経路と、前記第1LEDストリングのアノード側の端部と前記正極端子とをつなぐ第1正極経路と、ジャンパー導電部材で架橋される第1の開路部を介して前記第1LEDストリングのカソード側の端部と前記負極端子とをつなぐ第1負極経路と、ジャンパー導電部材で架橋される第2の開路部を介して前記第2LEDストリングのアノード側の端部と前記正極端子とをつなぐ第2正極経路と、前記第2LEDストリングのカソード側の端部と前記負極端子とをつなぐ第2負極経路と、ジャンパー導電部材で架橋される第3の開路部を介して前記第1LEDストリングのカソード側の端部と前記第2LEDストリングのアノード側の端部とをつなぐストリング間経路と、を備え、前記第1及び第2LEDストリングは前記3つの開路部のうち前記第3の開路部のみを架橋した直列接続と、前記第1及び第2の開路部のみを架橋した並列接続とのいずれかに構成される。
【0011】
他の本発明に係る液晶表示装置においては、前記第1LEDストリングを構成するn個のLEDは、前記LED列をその長手方向に関して二等分して得られる2つの部分列の一方であり、前記第2LEDストリングを構成するn個のLEDは、前記部分列の他方である。
【0012】
別の本発明に係る液晶表示装置においては、前記正極端子及び前記負極端子の少なくとも一方は、複数の前記正極経路ごと又は複数の前記負極経路ごとに別々に設けられる。
【0013】
本発明に係るテレビジョン受信機は、上記本発明に係る液晶表示装置を用いたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る液晶表示装置及びそれを用いたテレビジョン受信機によれば、電圧変換によりLEDストリングの駆動電圧を生成するLED駆動回路をその変換効率が高い出力電圧で使用することが可能となる。例えば、LED駆動回路が降圧方式及び昇圧方式のいずれであっても変換効率が好適な状態で使用できる。これにより、液晶表示装置やテレビジョン受信機の省電力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態である液晶表示装置の構成を表す模式図である。
【図2】液晶表示装置の垂直断面の一部を示す模式的な断面図である。
【図3】バックライトユニットの模式的な平面図である。
【図4】本発明の実施形態の液晶表示装置で用いられるLED基板の模式的な平面図及び正面図である。
【図5】2つのLEDストリングを直列接続とした場合のLED基板及び電源部の構成を示す模式図である。
【図6】2つのLEDストリングを並列接続とした場合のLED基板及び電源部の構成を示す模式図である。
【図7】PFC回路の出力に対し降圧及び昇圧の二段階の電圧変換を行い液晶表示装置のLED基板への駆動電圧を生成する電源構成のブロック図である。
【図8】PFC回路の出力から直接、降圧によって液晶表示装置のLED基板への駆動電圧を生成する電源構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態である液晶表示装置30の構成を表す模式図である。
【0017】
図1に示すように、液晶表示装置30は、液晶パネル40、バックライトユニット42、液晶パネル駆動回路44、バックライト駆動回路46及び制御装置48を備える。液晶パネル駆動回路44は走査線駆動回路50と映像線駆動回路52とを含んでいる。
【0018】
液晶パネル40は、透明な一対のガラス基板と、その間に挟まれた液晶と、液晶を挟んだ一対のガラス基板の表示面側及びバックライトユニット側それぞれの表面に貼り付けられた偏光板とを含んだ積層体であり、略矩形の平板形状を有する。
【0019】
バックライトユニット側のガラス基板(TFT基板と呼ぶ)の液晶側の面には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)が画素配列に対応してマトリクス状に配置される。また、TFT基板には複数の映像信号線Xと複数の走査信号線Yとが互いに直交して形成される。走査信号線YはTFTの水平列ごとに設けられ、当該水平列の複数のTFTのゲートに共通に接続される。映像信号線XはTFTの垂直列ごとに設けられ、当該垂直列の複数のTFTのソースに共通に接続される。また、各TFTのドレインには当該TFTに対応する画素領域に配置された画素電極が接続される。
【0020】
各TFTは走査信号線Yに印加される走査信号に応じて水平列単位でオン/オフを制御され、オン状態とされた水平列の各TFTが画素電極を、映像信号線Xに印加される映像信号に応じた電位に設定する。液晶パネル40は各画素電極に設定された電位により画素毎に液晶の配向を制御して、バックライトユニット42から入射した光に対する透過率を変えることにより表示面に画像を形成する。
【0021】
なお、表示面側のガラス基板にはカラーフィルタが形成され、画像のカラー表示を可能としている。
【0022】
バックライトユニット42は液晶パネル40の裏面側に配置されている。バックライトユニット42も矩形であり、その大きさは液晶パネル40に相応している。図2は、液晶表示装置30の垂直断面の一部を示す模式的な断面図である。バックライトユニット42は、LED基板60及びその表面に実装されたLED62と、導光板64、光学シート群66及び反射シート68からなる積層体70と、それらを中に収納する矩形の枠であるモールドフレーム72とを含んで構成される。
【0023】
導光板64は例えば、アクリルで形成され、側部からLED62の光を入射される。入射した光は導光板64内で全反射を繰り返して面状に広がり、液晶パネル40の裏面に一様に照射される。反射シート68は、導光板64の裏面から漏れ出る光を反射して導光板64へ戻し、バックライトユニット42の発光効率を向上させる。光学シート群66は、導光板64の表面から出射される光を拡散し、発光面内での光強度の均一性を向上させる拡散シートや、拡散シートから前面の様々な方向へ出射される光を面に垂直な方向を中心として集光させ、発光面正面における輝度を向上させるプリズムシートを含む。
【0024】
バックライトユニット42はさらに、底面とその周を囲む側壁とを有する箱形の下フレーム74を備え、この下フレーム74の凹部内の底面上に上述のモールドフレーム72とその収納物とが配置される。
【0025】
走査線駆動回路50はTFT基板に形成された複数の走査信号線Yに接続されている。走査線駆動回路50は制御装置48から入力されるタイミング信号に応じて走査信号線Yを順番に選択し、選択した走査信号線YにTFTをオンする電圧を印加する。
【0026】
映像線駆動回路52はTFT基板に形成された複数の映像信号線Xに接続されている。映像線駆動回路52は走査線駆動回路50による走査信号線Yの選択に合わせて、当該選択された走査信号線Yに接続されるTFTのそれぞれに、各画素の階調値を表す映像信号に応じた電圧を印加する。これにより、選択された走査信号線Yに対応する画素に映像信号が書き込まれる。これはラスター画像の水平走査に相当する。ちなみに、上述の走査線駆動回路50の動作は垂直走査に相当する。
【0027】
バックライト駆動回路46は、制御装置48から入力される発光制御信号に応じたタイミングや輝度でLED62を発光させる。バックライト駆動回路46は、LED基板60にLED62の駆動電圧を供給する上述したLED駆動回路10,24の他、LED62に供給される電流が発光制御信号で指示された輝度に応じた大きさであるかをモニタしフィードバック制御する回路も含む。
【0028】
制御装置48は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理回路、及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリを備えている。制御装置48は映像データを入力される。映像データは、液晶表示装置30がテレビジョン受信機を構成する場合には、不図示のアンテナやチューナで受信される。また、映像データは映像再生装置など別の装置からも入力され得る。制御装置48はCPUがメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種の処理を実行する。具体的には、制御装置48は当該映像データに対して色調整などの各種の画像信号処理を行って各画素の階調値を示す映像信号を生成し、当該映像信号を映像線駆動回路52へ出力する。また、制御装置48は入力された映像データに基づいて、映像線駆動回路52、走査線駆動回路50及びバックライト駆動回路46が同期を取るためのタイミング信号を生成し、各駆動回路に向けて出力する。また、制御装置48はバックライト駆動回路46への発光制御信号としてタイミング信号の他、入力された映像データに基づいてLED62の輝度を制御するための信号を生成する。
【0029】
図3はバックライトユニット42の模式的な平面図である。下フレーム74は、液晶パネル40の大きさ、形状に相応した凹部を備え、この凹部内に積層体70とLED基板60とが配置される。なお、図3ではモールドフレーム72は図示を省略している。積層体70は凹部の全面積のほとんどを占め、LED基板60は積層体70の周囲に残される隙間に配置される。例えば、LED基板60は画面上で下端に当たる縁に沿って配置される。本実施形態の液晶表示装置30は比較的に大画面を有し、横長の画面の下縁に2つのLED基板60を左右に並べて配置している。
【0030】
図4は、左側のLED基板60の模式的な平面図及び正面図であり、図4(a)が平面図であり、LED基板60の基板面に垂直な方向から見た基板の形状及び基板上に形成される導電パターンを回路図の形式に簡略化して表している。また、図4(b)が正面図であり、基板の長手方向の側面80と基板上に長手方向に配列された複数のLED62とが示されている。LED基板60は、LED62が光を出射する上面が導光板64の側面に向くように配置される。
【0031】
図4(a)に示すように、LED基板60は細長い形状を有し、その上に多数のLED62が実装される。LED62はLED基板60の長手方向の直線に沿って列をなす。LED列は偶数個(自然数nを用いて2n個と表す)のLED62からなり、2n個のLED62のうち右半分のn個は、LED基板60に形成された導電パターンによりLED列における並び順に直列に接続されたLEDストリング82a(第1LEDストリング)を形成し、左半分のn個は、同じく導電パターンによりLED列における並び順に直列に接続されたLEDストリング82b(第2LEDストリング)を形成する。図4(a)に示す例では、両LEDストリング82共に右側端部がアノード側、左側端部がカソード側になるようにn個のLED62が直列接続されている。
【0032】
LED基板60にはバックライト駆動回路46からの配線を接続される電源端子84が設けられる。電源端子84はLED列のアノード側に接続される正極端子86とカソード側に接続される負極端子88とからなり、本実施形態では負極端子88はLEDストリング82の数に対応して2つ設けられている。
【0033】
LED基板60には電源端子84とLEDストリング82とを接続するための導電パターンが形成される。当該導電パターンは、LEDストリング82aのアノード側の端部と正極端子86とをつなぐ第1正極経路90a、LEDストリング82aのカソード側の端部と負極端子88aとをつなぐ第1負極経路92a、LEDストリング82bのアノード側の端部と正極端子86とをつなぐ第2正極経路90b、及びLEDストリング82bのカソード側の端部と負極端子88bとをつなぐ第2負極経路92bを含む。ここで、第1負極経路92aにはジャンパー導電部材で架橋される第1の開路部94aが形成され、第2正極経路90bにはジャンパー導電部材で架橋される第2の開路部94bが形成される。
【0034】
さらにLED基板60にはLEDストリング82aのカソード側の端部とLEDストリング82bのアノード側の端部とをつなぐための導電パターンとしてストリング間経路96が形成される。ストリング間経路96にはジャンパー導電部材で架橋される第3の開路部94cが形成される。
【0035】
各開路部94はそれが設けられる経路92a,90b,96の導電パターンに形成された間隙であり、そのままの状態では当該経路は導通せず、当該間隙の両端の導電パターンをジャンパー導電部材で橋渡しすることで導通させることができる。ちなみに図4(a)では各開路部94の点線は、ジャンパー導電部材で接続されていないことを表している。
【0036】
ジャンパー導電部材としてジャンパー抵抗、ジャンパー線、ハンダが用いられ、開路部94はそれを架橋するジャンパー導電部材の種類に応じて好適な間隙幅に形成される。例えば、ジャンパー抵抗用の開路部94は抵抗の長さに応じて間隙を広げることができるのに対し、ハンダジャンパー用の開路部94の間隙幅は狭く形成される。また、開路部94の両側には導電パターンとしてパッドを設け、ジャンパー抵抗やジャンパー線の端子をハンダ付けしやすくしたり、ハンダジャンパーの際のハンダが載りやすくしたりすることが好適である。
【0037】
3つの開路部94のうち開路部94cのみを架橋すると、LEDストリング82a,82bは直列接続される。一方、3つの開路部94のうち開路部94a,94bのみを架橋すると、LEDストリング82a,82bは電源端子84間に並列接続される。LED62の順方向降下電圧をVFと表すと、直列接続状態のLEDストリング82を駆動するには、バックライト駆動回路46は正極端子86と負極端子88bとの間に(2n・VF)の電圧を印加する必要がある。一方、並列接続状態のLEDストリング82を駆動するには、正極端子86と負極端子88a,88bとの間に(n・VF)の電圧を印加する必要がある。
【0038】
バックライト駆動回路46からLED基板60に供給するLED駆動電圧を生成する電源の構成として例えば、上述した2つの方式がある。すなわち、PFC回路6の出力の比較的高い直流電圧を降圧し、これにより生成された共用の低電圧を昇圧してLED駆動電圧を生成する二段変換方式と、PFC回路6の出力電圧から降圧のみでLED駆動電圧を生成する直接変換方式とがある。
【0039】
これらにおける電圧変換はスイッチングコンバータにより行うことができる。スイッチングコンバータは入力電圧と出力電圧との間に2〜3倍程度の相違がある状態にて良好な効率を得ることできる。例えば、直接変換方式の降圧元となる基準電圧VHとしてPFC回路6の出力電圧390Vを用い、一方、二段変換方式の昇圧元となる基準電圧VLが24Vである場合には、VHとVLとは約16倍相違する。そのため、スイッチングコンバータにより変換を行う場合、直接変換方式で効率が好適となる出力電圧Vαと二段変換方式で効率が好適となる出力電圧VβとはVα>Vβであり、また2〜3倍程度の違いを有する。よって、LEDストリング82a,82bの直列接続の駆動電圧(2n・VF)を直接変換方式で変換効率が好適となる電圧範囲内に設定し、かつ並列接続の駆動電圧(n・VF)を二段変換方式で変換効率が好適となる電圧範囲内に設定することが可能である。
【0040】
図5は、2つのLEDストリング82を直列接続とした場合のLED基板60及び電源部の構成を示す模式図である。一方、図6は、2つのLEDストリング82を並列接続とした場合のLED基板60及び電源部の構成を示す模式図である。図5の構成では、図8に示した直接変換方式の電源部20が駆動電圧(2n・VF)を生成し、これが直列接続状態のLEDストリング82に印加される。一方、図6の構成では、図7に示した二段変換方式の電源構成が用いられ、電源部2にて降圧により生成した24VをLED駆動回路10が昇圧して駆動電圧(n・VF)を生成し、これが並列接続状態のLEDストリング82に印加される。
【0041】
図5の構成において、DC−DCコンバータ22がPFC回路6の出力電圧390Vから140Vを生成してLED駆動回路24に入力し、LED駆動回路24がおおよそ100〜130Vの範囲の出力電圧を生成する際の変換効率を測定したところ、約87〜88%となり、約110Vにピークが得られた。一方、図6の構成においてLED駆動回路10が入力電圧24Vから昇圧しておおよそ40〜80Vの範囲の出力電圧を生成する際の変換効率を測定したところ、約84〜87%となり、約54Vにピークが得られた。よって、測定した回路構成では、(n・VF)が54〜55Vに近い値となるようなLEDストリング82がいずれの駆動電圧生成方式においても変換効率を特に好適にする。例えば、VFが3VのLED62を用いた場合には、LEDストリング82の好適なストリング長nは18個となる。
【0042】
上述の測定例では、2つの駆動電圧生成方式での変換効率がピークとなる電圧の比が、LEDストリング82の直列接続と並列接続とでの駆動電圧の比である2にほぼ一致したため、直列接続と並列接続との切り替えによりいずれの駆動電圧生成方式でもほぼピークの変換効率でバックライトユニット42を駆動することができる。しかしながら、本発明は、2つの駆動電圧生成方式の変換効率のピーク電圧の比が好適に2倍であることを適用要件とするものではない。具体的には、上述の測定例にも示されるように各駆動電圧生成方式においてピークを中心として数十V程度の範囲では十分に変換効率が高く、ピークとなる電圧の比が2倍から或る程度ずれても、駆動電圧(2n・VF)及び(n・VF)を共に変換効率が高い電圧範囲内に設定することが可能である。ここで、上述したPFC回路の出力電圧を390Vとしたり、それを降圧して生成した24Vから昇圧して他の回路の駆動電圧を生成したりする構成は、電子機器の設計においてよく用いられる構成である。当該構成では上述したようにVαとVβとの比が2〜3倍程度となり、この程度のピーク位置の相違は上述した理由から許容範囲である。
【0043】
また、上述の例では、直接変換方式のLED駆動回路24と二段変換方式のLED駆動回路10とを取り上げ、それらの好適な出力電圧が互いに相違する場合における本願発明の有用性を説明した。しかし、本願発明の有用性は当該例に限定して解釈されるべきではない。つまり、直接変換方式の電源構成ではLEDストリング82を直列接続とし、二段変換方式の電源構成では並列接続とするということや、それら異なる電源構成の変換効率がピークとなる電圧の比が所定範囲内であるということは本発明が特にその有用性を発揮する場合ではあるが、それが有用性を発揮する全ての場合ではない。
【0044】
本発明の有用性の一つの側面は、従来のストリング長が固定のLED基板では、好適な変換効率を与える出力電圧範囲が重複しない複数のLED駆動回路の全てに対しては変換効率を好適にすることは不可能であったのに対し、ストリング長の切り替えによりLED駆動回路ごとに変換効率が好適となる出力電圧を選択できる点にある。すなわち、液晶表示装置30に採用する電源の構成に応じて、LED基板60に供給すべき駆動電圧を切り替え、当該電源を好適な変換効率で動作させることができる。
【0045】
例えば、同じ直接変換方式の電源部であっても、VHが上述の例のように高い場合にはLEDストリング82を直列接続として駆動電圧(2n・VF)を生成することを選択でき、一方、VHが低い場合には変換効率を考慮してLEDストリング82を並列接続として駆動電圧(n・VF)を生成することを選択できる。
【0046】
本発明の当該側面に関しては、ストリング長の切り替え倍率を2倍以外にする構成も考えられる。例えば、液晶表示装置30に採用する可能性がある直接変換方式の電源構成と二段変換方式の電源構成とで変換効率がピークとなる電圧の比が3倍程度になる場合には、LED基板60上にLEDストリング82を3本形成して、それらを直列接続するか並列接続するかで、3倍のストリング長と1倍のストリング長とを切り替えられる構成とすることが好適である。
【0047】
また、ストリング長の切り替えをより多段階にすることも好適である。例えば、LED基板60上にLEDストリング82を4本形成して、それらを全て直列接続する構成、2本の直列接続を2つ並列接続する構成、及び4本を並列接続する構成をジャンパー導電部材による架橋位置を変えることで切り替えるようにして、ストリング長を4倍、2倍及び1倍の3段階に変更可能とすることができる。このように多段階の切り替えを可能とした構成は、液晶表示装置30にて好適な変換効率で動作させることができる電源の種類を増やすことができる。
【0048】
その一方で、ストリング長の切り替え倍率を3倍以上とする構成や、3段階以上に切り替えられる構成は、LED基板60上の導電パターンが複雑化する。すなわち、各LEDストリング82と電源端子84とをつなぐ配線パターンの本数や、開路部94の数が増加する。この点で本発明の有用性の他の側面として、ストリング長の切り替えを2倍することによりLED基板60の導電パターンが単純で、また、開路部94の架橋によるLEDストリング82の接続の切り替えが容易となる点、そして、単純・容易であるにもかかわらず、上述したように、390V前後を出力電圧とするPFC回路や24Vからの昇圧といった一般によく採用される構成において好適に適用できる点が挙げられる。
【0049】
なお、図4〜図6では、図3に示す画面下縁に左右に並んで配置される2つのLED基板60のうち左側のものを例示した。右側のLED基板60も基本的には左側のものと変わらないが、例えば、右側のLED基板60は図4に示した左側のLED基板60を左右反転したレイアウトとすることができる。このレイアウトでは、右側のLED基板60の電源入力端子(正極端子及び負極端子)は左側のLED基板60の電源入力端子と同様に画面下縁の中央部に位置し、両LED基板60の電源入力端子が画面下縁の1箇所に集まる。これによりLED基板60への駆動電圧を供給する配線が容易となる。具体的には、バックライト駆動回路46から伸ばした1本のフラットケーブルやフレキシブルプリント基板で配線を行うことができる。また、その際、コネクタも両LED基板60に跨がって設けることで、コネクタ接続を1箇所とすることができる。また、右側のLED基板60として左側のレイアウトを左右反転したものではなく、左側と同じレイアウトのLED基板60を用いることもできる。
【0050】
また、画面下縁に配置するLED基板60の数は2つには限られず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。上述の複数のLED基板60上に形成した構成を1つの基板上に一体に形成してもよい。LED基板60は画面下縁以外に配置してもよい。例えば、画面の他の辺や、複数の辺に配置することができる。さらに、液晶パネル40全面の直下にマトリクス配置されたLED群に対しても本発明を適用することができる。例えば、当該LED群内にて直列接続されたn個のLEDからなるLEDストリングを2本ずつ1組として、各組内でストリングを直列接続とするか並列接続とするかを切り替え可能にすることができる。ここで、LEDストリングとはn個のLEDが直列接続であることを意味し、LEDストリング自体の形状は線状であってもブロック状であってもよい。
【0051】
上述の実施形態では、LED基板60上に直線に沿って配置された2n個のLED62からなるLED列をその長手方向に関して二等分してLEDストリング82a,82bとして構成した。別の構成では、2n個のLED62からなるLED列を交互に2つのLEDストリングに振り分けてもよい。すなわち、例えば、奇数番目のLED62を直列接続して第1のLEDストリングを構成し、偶数番目のLED62を直列接続して第2のLEDストリングを構成してもよい。
【0052】
上述の実施形態では、負極端子88を2つ設け、LEDストリング82の並列接続の状態では、LEDストリング82a,82bのカソード側の端部が別々の負極端子88に接続される。これは、既に述べたようにバックライト駆動回路46がLEDストリング82に流れる電流をモニタする回路を備えているためである。すなわち、バックライト駆動回路46は負極端子88の電流をモニタすることで、当該負極端子88にカソード側を接続されるLEDストリング82の電流を把握し、これが制御装置48からの発光制御信号で指示された輝度に応じた値となるようにフィードバック制御をしている。LEDストリング82の並列接続時には、LEDストリング82a,82bそれぞれについて当該フィードバック制御を行うため、負極端子88を分けている。当該フィードバック制御は、正極端子86に流れる電流をモニタして行うこともできる。この場合は、正極端子86をLEDストリング82a,82bに対して別々に設け、負極端子88を1つにすることができる。また、正極端子86、負極端子88を共に2つずつ設けてもよい。
【0053】
上述のようにバックライト駆動回路46はLEDストリング82の電流をモニタしフィードバック制御する回路を備える。上述した実施形態では当該回路を1つのLED基板60に対して2つ備える。ここで、当該回路をLED基板60に対して1つにすればバックライト駆動回路46の構成を簡素化できる。その一方で、並列接続時には両LEDストリング82の合計電流で制御することになり、2つのLEDストリング82間で電流に差が生じ輝度が異なり得る。しかし例えば、上述した奇数番目のLED62と偶数番目のLED62とを別々のLEDストリングにする構成のように当該輝度の差が比較的目立たなくなる場合には当該簡素化を検討してもよい。その場合には、LED基板60の正極端子86、負極端子88は1つずつで足りる。
【0054】
電圧変換はスイッチングコンバータを用いて行うものに限られず、他の方式、例えば、シリーズレギュレータにより降圧を行ってもよい。
【0055】
なお、図4(a)に示したLED基板60の配線のレイアウトは交差を生じないので、LED基板60表面だけの導電パターンだけで配線が可能である。レイアウトの自由度を高めるために、LED基板60の両面に導電パターンを設けたり多層基板を採用したり、またジャンパー導電部材として抵抗素子やリード線などを用いる場合には、或る配線上の開路部94の間隙に他の配線を通したりしてもよい。一方、LED基板60のLED62が載置される面の導電パターンやジャンパー導電部材は、LED62から導光板64へ光が好適に入射するように、又は当該入射を妨げないように構成される。
【0056】
上述した液晶表示装置30は、外部機器と接続されて使用されるように構成される他、例えば、テレビジョン受信機やパソコンに組み込まれて使用される。テレビジョン受信機は画像表示部として液晶表示装置30を備え、その他、チューナー、外部機器インターフェース回路、各種信号処理回路、スピーカーなどを備える。
【符号の説明】
【0057】
30 液晶表示装置、40 液晶パネル、42 バックライトユニット、44 液晶パネル駆動回路、46 バックライト駆動回路、48 制御装置、50 走査線駆動回路、52 映像線駆動回路、60 LED基板、62 LED、64 導光板、66 光学シート群、68 反射シート、70 積層体、72 モールドフレーム、74 下フレーム、82,82a,82b LEDストリング、84 電源端子、86 正極端子、88 負極端子、90a,90b 正極経路、92a,92b 負極経路、94,94a,94b,94c 開路部、96 ストリング間経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線に沿って配列された2n個のLEDからなるLED列を実装し、外部から正極端子及び負極端子に供給される電源により前記LEDを発光させるLED基板を含んでなる光源と、
前記光源から光を照射されて表示を行う液晶パネルと、
を備え、
前記LED基板に形成された導電パターンは、
前記LED列のうちのn個のLEDを直列に接続して第1LEDストリングを形成する導電経路、及び残りのn個のLEDを直列に接続して第2LEDストリングを形成する導電経路と、
前記第1LEDストリングのアノード側の端部と前記正極端子とをつなぐ第1正極経路と、
ジャンパー導電部材で架橋される第1の開路部を介して前記第1LEDストリングのカソード側の端部と前記負極端子とをつなぐ第1負極経路と、
ジャンパー導電部材で架橋される第2の開路部を介して前記第2LEDストリングのアノード側の端部と前記正極端子とをつなぐ第2正極経路と、
前記第2LEDストリングのカソード側の端部と前記負極端子とをつなぐ第2負極経路と、
ジャンパー導電部材で架橋される第3の開路部を介して前記第1LEDストリングのカソード側の端部と前記第2LEDストリングのアノード側の端部とをつなぐストリング間経路と、
を備え、
前記第1及び第2LEDストリングは前記3つの開路部のうち前記第3の開路部のみを架橋した直列接続と、前記第1及び第2の開路部のみを架橋した並列接続とのいずれかに構成されること、
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記第1LEDストリングを構成するn個のLEDは、前記LED列をその長手方向に関して二等分して得られる2つの部分列の一方であり、
前記第2LEDストリングを構成するn個のLEDは、前記部分列の他方であること、
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記正極端子及び前記負極端子の少なくとも一方は、複数の前記正極経路ごと又は複数の前記負極経路ごとに別々に設けられること、を特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置を用いたテレビジョン受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168471(P2012−168471A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31266(P2011−31266)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】