説明

液晶表示装置用反射フィルム

【課題】フィルム表面による鏡面反射を抑え拡散反射させることにより、液晶表示装置のバックライト方式のバックライトユニットに反射板として用いたときに高い輝度を得ることのできるとともに、加工性に優れた液晶表示装置用反射フィルムを提供する。
【解決手段】白色フィルムおよび該白色フィルムの表面を被覆する透明粒子からなる液晶表示装置用反射フィルムであって、フィルムの表面において5〜100%の露出率の透明粒子が50〜100%の被覆率で白色フィルム表面を被覆し、透明粒子は塗膜によってフィルムの表面に支持され、該透明粒子は体積50%粒径D50が3〜50μmであり、体積10%粒径D10と体積90%粒径D90との比D10/D90が0.30〜0.98であることを特徴とする、液晶表示装置用反射フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライトユニットにおいて光源の反射フィルムとして用いられる液晶表示装置用反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトユニットには、大きく分けてディスプレイの背面に光源を置くバックライト方式と、側面に光源を置くサイドライト方式があり、いずれの方式においても、通常、光源からの光が画面の背面へ逃げるのを防ぐために、背面には反射フィルムが設置されている。この反射フィルムには、薄くかつ高い反射率を備えることが要求される。反射フィルムとして、フィルムの内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムが知られており、広く利用されている。
【0003】
近年、液晶テレビなどの普及にともない、特にディスプレイの背面に光源を置くバックライト方式において、高輝度のバックライトが求められるが、反射フィルムの反射率を向上することだけでは限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【特許文献2】特公平8−16175号公報
【特許文献3】特開2000−37835号公報
【特許文献4】特開2005−125700号公報
【特許文献5】特開2004−50479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バックライト方式においては、反射フィルムの鏡面反射が強いと、反射フィルムのうえに位置する光源自体に光が返り、その光は表示面には到達しないため光ロスが生じて輝度低下の原因になる。本発明は、フィルム表面による鏡面反射を抑え拡散反射させることにより、液晶表示装置のバックライト方式のバックライトユニットに反射フィルムとして用いたときに高い輝度を得ることのできるとともに、加工性に優れた液晶表示装置用反射フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、白色フィルムおよび該白色フィルムの表面を被覆する透明粒子からなる液晶表示装置用反射フィルムであって、フィルムの表面において5〜100%の露出率の透明粒子が50〜100%の被覆率で白色フィルム表面を被覆し、透明粒子は塗膜によってフィルムの表面に支持され、該透明粒子は体積50%粒径D50が3〜50μmであり、体積10%粒径D10と体積90%粒径D90との比D10/D90が0.30〜0.98であることを特徴とする、液晶表示装置用反射フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液晶表示装置のバックライト方式のバックライトユニットに反射フィルムとして用いたときに高い輝度を得ることのできるとともに、加工性に優れた液晶表示装置用反射フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】被覆率の測定においてミクロトームを用いて切断したフィルムの切断面のうち各測定方向の測定領域の長さ3mmの範囲の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色フィルム]
本発明における白色フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、白色の着色剤またはボイド形成物質をフィルム中に含有させることによって白色を呈するようにしたフィルムである。着色剤またはボイド形成物質としては、例えば、無機粒子、有機粒子を用いることができる。
【0010】
白色フィルムの光線反射率は、波長550nmにおける反射率として、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。白色フィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。高い光線反射率と機械的強度を得る観点から、比較的多くのボイドを含有する層と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層とから構成される積層フィルムが好ましい。フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンを挙げることができ、機械的特性および熱安定性に優れる白色フィルムを得る観点からポリエステルが好ましい。
【0011】
[ポリエステル]
白色フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。
【0012】
これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、共重合ポリマーが好ましい。特に、白色フィルムとして、比較的多くのボイドを含有する層と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層とから構成される積層フィルムを用いる場合、比較的多くのボイドを含有する層に用いるポリエステルは共重合ポリマーであることが好ましい。この場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分を基準として例えば3〜20モル%、好ましくは4〜15モル%、さらに好ましくは5〜13モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、ボイドを比較的多く含有する層についても優れた製膜性を得ることができ、熱寸法安定性に優れた積層フィルムを得ることできる。
【0013】
無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さら好ましくは0.4〜2.0μmである。この範囲の無機粒子を用いることで、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こりずらく、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が粗れすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
【0014】
有機粒子を用いる場合、有機粒子としては、ポリエステルに非相溶な樹脂の粒子を用いる。この有機粒子としては、シリコーン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子が好ましい。有機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.3〜8.0μm、さらに好ましくは0.4〜6.0μmである。この範囲の有機粒子を用いることで、ポリエステル中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こりずらく、粗大突起のないフィルムを得ることができる。
【0015】
[透明粒子]
本発明の液晶表示装置用反射フィルムは、白色フィルムおよび該白色フィルムの表面を被覆する透明粒子からなる。
本発明の液晶表示装置用反射フィルムにおいては、透明粒子が白色フィルム表面を被覆している。この被覆は、後に定義する被覆率で50〜100%、好ましくは60〜100%、さらに好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%の被覆率で白色フィルム表面を被覆していることをいう。被覆率が50%未満であると光の指向性が損なわれ輝度上昇が期待できない。
【0016】
本発明において、白色フィルムの透明粒子による被覆率は、フィルム面内の直交する二方向のそれぞれ長さ3mmの測定領域の合計長さ6mmの測定領域について観察を行い、測定領域において白色フィルム表面を透明粒子が被覆している割合として定義される。
【0017】
具体的には、ミクロトームを用いて、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向が切断面となるように切片サンプル1を切り出し、切片サンプル1で選んだ無作為な一方向と直交する方向と厚み方向が切断面となるように切片サンプル2を切り出し、切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察し、切片サンプルの切断面内における測定領域において、透明粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さを積算して、下記式で求める(図1参照)。
透明粒子による被覆率
=(6mm−(透明粒子に被覆されていない部分の積算長さ(mm)))
/6mm × 100(%)
【0018】
なお、切断面において透明粒子の最大径部分が塗膜表面より外側に出ている場合には、透明粒子の最大径で覆われる部分を透明粒子に被覆されているとみなし、透明粒子の最大径部分が塗膜表面より内側にある場合、すなわち塗膜中に沈みこんでいる場合には、透明粒子のうち塗膜より外に出ている部分が作るドーム状突起の最大径を、粒子に被覆されているとみなす。
【0019】
本発明における被覆率の算出において、白色フィルム表面を被覆しているとして扱う透明粒子は、反射フィルムの表面に透明粒子の一部分または全部が露出しているものである。この露出は、本発明で定義する露出率で5〜100%、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは20〜100%の露出率での露出をいう。このように、露出率5%未満の透明粒子を被覆している粒子として扱わないのは、露出率が5%未満であると本発明の目的とする、露出粒子による集光効果を得ることができないからである。
【0020】
透明粒子は、透明粒子を白色フィルムの表面に支持するために白色フィルムの表面に設けられたバインダーの塗膜に支持されている。このため、透明粒子の一部は、バインダーの塗膜に接するか、沈み込んでいる。なお、露出率100%は、白色フィルム表面と透明粒子表面が接する形でバインダーによって白色フィルムの表面に支えられている状況にあたり、露出率0%は、白色フィルム表面に設けられたバインダーの塗膜の中に透明粒子が完全に沈み込んでいる状態であり、露出率50%は、白色フィルム表面に設けられたバインダーの塗膜の中に透明粒子の半分が埋まり、残りの半分が塗膜の外に突出している状態である。
【0021】
より正確に露出率を定義すると、露出率は、切片サンプルの切断面内における透明粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直な直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において透明粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がバインダーの塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される。
【0022】
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率
=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における透明粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
【0023】
透明粒子は、バインダーの塗膜で白色ポリエステルフィルム上に支持される。このバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、これらの共重合体やブレンド物を用いることができる。
塗膜は、上述のバインダーの他に、さらにイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系の架橋剤を配合して架橋されていてもよい。
【0024】
透明粒子としては、無機透明粒子、有機透明粒子のいずれも用いることができる。これらは複数の粒子を併用していもよい。透明粒子は、それを構成する素材自体の光線透過率が50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であるものがよく、可視領域において光の吸収がないものが好ましい。
【0025】
有機透明粒子として、例えば、アクリル粒子、シリコーン粒子、スチレン粒子を用いることができる。可視光領域における光の吸収が殆ど無いことから、アクリル粒子、スチレン粒子が好ましい。また、無機透明粒子としては、例えばガラス粒子を用いることができる。
【0026】
透明粒子は、光を集光するために曲面で構成されるか、曲面と平面で構成される形状のものを用いる。この形状として、例えば、球状、ラグビーボール状、凸レンズ状のものを用いることができる。効果的に輝度を向上するために、アスペクト比が3以下のものが好ましく、さらにアスペクト比が1.2以下のものが好ましい。得に好ましい形状は球状粒子である。なお、アスペクト比は長径/短径である。そして、透明粒子の粒子径は、透明粒子が球状でない場合には、長径と短径の平均をとった値である。
【0027】
本発明における透明粒子は、体積50%粒径D50が3〜50μmであり、体積10%粒径D10と体積90%粒径D90との比であるD10/D90が0.30〜0.98、好ましくは0.30〜0.70である。比D10/D90が、0.30未満であると粒径の小さい粒子がバインダー中に埋没してしまい、輝度上昇への寄与がほとんどなくなってしまうほか、粒度分布が広いため、粒径の大きい粒子の脱落が顕著となる。比D10/D90は大きいほど粒度分布がシャープとなるが、単一の粒径の粒子を得ることは分級が困難であることから、比D10/D90の上限は0.98である。なお、比D10/D90が0.98を超える粒度分布の粒子を用いても大きな輝度上昇は認められない。
【0028】
本発明において、輝度を効果的に向上しながら粒子の脱落のない反射フィルムを得るために、フィルム上の透明粒子とバインダーとの割合は、透明粒子30〜70重量部に対してバインダー70〜30重量部であることが好ましい。なお、ここでのバインダーの量は揮発性の溶剤を除いたバインダー固形分の重量である。
本発明の液晶表示装置用反射フィルムの光線反射率は、好ましくは96%以上である。反射率が96%以上であることによって高い輝度を得ることができる。
【0029】
[製造方法]
以下、本発明の反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。この例では白色フィルムとして積層フィルムを用いる。なお、この白色フィルムとしては、例えば、テイジンテトロンUX02−225(帝人デュポンフィルム製)の名称で市販されているフィルムを用いることができる。
【0030】
積層白色フィルムに用いるポリエステルは、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ない積層フィルムを得ることができる。
【0031】
濾過したポリエステルの組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから多層に状態で押出し、積層未延伸シートを製造する。
ダイより押出された積層未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。この積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して積層縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度で行うことが好ましい。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0032】
縦延伸後の積層フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して積層二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始める。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。以下、融点をTmと略す。
【0033】
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm〜100℃)の温度で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−20℃)より高いとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0034】
このようにして作成された積層フィルムの表面に、塗膜の形成するための塗液として、透明粒子、バインダーおよび架橋剤を、溶媒に分散または溶解させた塗液をコーティング装置を用いて、所定量塗工し、120℃まで段階的に温度設定したオーブンにより乾燥させることによって、本発明の液晶表示装置用反射フィルムを得ることができる。コーティング装置として、例えばダイコーティング装置やグラビアロールコーティング装置を用いることができる。なお、アスペクト比が1.0以外の粒子を塗布する場合、せん断力のかかる塗工方式を用いることにより、粒子の配向を制御することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。
【0036】
(2)相対輝度
液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL−32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわり評価対象のフィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。相対輝度は、透明粒子の塗布層を設けていない比較例1の反射フィルムの輝度を基準として算出した、輝度の相対値である。
相対輝度=(反射フィルムの輝度)/(比較例1の反射フィルムの輝度)×100(%)
なお、相対輝度が101.0%以上あれば、バックライトとして優れた輝度上昇効果を得たといえる。
【0037】
(3)透明粒子のD50
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、透明粒子の粒度分布を求め、通過分積算パーセンテージが50重量%となる粒子径をD50とした。
【0038】
(4)透明粒子の露出率
ミクロトームを用いて、フィルムから切片サンプル1と切片サンプル2を切り出した。切片サンプル1は、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルであり、切片サンプル2は、切片サンプル1で選んだ無作為な一方向と直交する方向と厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルである。
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
露出率は、切片サンプルの切断面内における透明粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直な直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において透明粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がバインダーの塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される。
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率
=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における透明粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
【0039】
(5)透明粒子によるフィルム表面の被覆率
上記(4)で得た切片サンプル1および2について評価を行った。
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
被覆率は、切片サンプルの切断面内における測定領域において、透明粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さを積算して、下記式で求めた(図1参照)。
被覆率
=(6mm−(透明粒子に被覆されていない部分の積算長さ(mm)))
/6mm × 100(%)
【0040】
(6)透明粒子のD10/D90
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて透明粒子の粒度分布を求め、通過分積算パーセンテージが10重量%となる粒子径をD10とし、通過分積算パーセンテージが90重量%となる粒子径をD90とし、D10/D90を算出した。
【0041】
(7)塗膜厚み
フィルムサンプルの断面をデジタルマイクロスコープ(HIROX Co.Ltd.,
HI−SCOPE Advanced KH−3000)にて倍率5倍にて観察撮影し、写真からバインダーの厚みを判定し、任意に10点測定してそれらの平均値を求めた。
【0042】
(8)粒子脱落
厚さ2mm、幅20mmの直角な辺を持つアクリル板を、反射フィルムの反射面に荷重300gで垂直に押し付け、30mmの距離を10往復した。このときのアクリル板への粉体の付着状況を目視にて確認し、次の基準で評価した。
○:ほとんど粉体の発生が確認できない。
×:粉体の発生が確認できる。
【0043】
(9)塗液の成分
塗液に配合した成分は、以下のとおりである。表中、「重量%」を「wt%」と表記することがある。また、表1の塗液組成のバインダー量はバインダーとして用いたS2740に含有される揮発性の有機溶剤を含む重量であり、架橋剤量は架橋剤として用いたコロネートHLに含有される揮発性の有機溶剤を含む重量である。
【0044】
<透明粒子・突起形成物質>
MBX−20:
積水化成品工業社製 平均粒径20μmの透明アクリル粒子
MBX−15:
積水化成品工業社製 平均粒径15μmの透明アクリル粒子
MBX−12:
積水化成品工業社製 平均粒径12μmの透明アクリル粒子
MR−20G:
綜研化学社製 平均粒径20μmの透明架橋アクリル粒子
MR−10G:
綜研化学社製 平均粒径10μmの透明架橋アクリル粒子
【0045】
<バインダー>
S2740: 日本触媒社製 ユーダブルS2740
固形分のアクリル樹脂50重量%と揮発性の有機溶剤50重量%からなるアクリルバインダー
A807BA: DIC社製 アクリディックA807BA
固形分のアクリル樹脂50重量%と揮発性の有機溶剤50重量%からなるアクリルバインダー
【0046】
<架橋剤>
HL: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL
固形分の架橋剤75重量%と揮発性の有機溶剤25重量%からなる架橋剤
【0047】
[実施例1]
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02−225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、ダイコーティング装置にて、下記の調液レシピに示す組成からなる塗液を、乾燥後のバインダー厚みが8μmとなるように塗布した後、オーブン内にて乾燥して反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ1)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−12 (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (21重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0048】
[実施例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが10μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ2)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35重量%)
・アクリルバインダー: DIC アクリディックA807BA (21重量%)
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: メチルエチルケトン (40重量%)
【0049】
[実施例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが14μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ3)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−20 (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (21重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0050】
[比較例1]
白色フィルム上に塗液をコートせずにフィルムを評価した。フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
【0051】
[比較例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが6μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ4)
・透明粒子: 綜研化学 MR−10G (35重量%)
・アクリルバインダー: DIC アクリディックA807BA (21重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: メチルエチルケトン (40重量%)
【0052】
[比較例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが6μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ5)
・透明粒子: 綜研化学 MR−10G (15重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (37重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (8重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0053】
[比較例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが14μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ6)
・透明粒子: 綜研化学 MR−20G (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (21重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0054】
[比較例5]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更し、乾燥後のバインダー厚みが14μmとなるように塗布する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの物性は表1に記載のとおりであった。
調液レシピ7)
・透明粒子: 綜研化学 MR−20G (15重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (37重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (8重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0055】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の液晶表示装置用反射フィルムは、液晶表示装置の反射フィルムとして、特に、液晶テレビなどの表示装置の背面に光源を置くバックライト方式の液晶表示装置の反射フィルムとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色フィルムおよび該白色フィルムの表面を被覆する透明粒子からなる液晶表示装置用反射フィルムであって、フィルムの表面において5〜100%の露出率の透明粒子が50〜100%の被覆率で白色フィルム表面を被覆し、透明粒子は塗膜によってフィルムの表面に支持され、該透明粒子は体積50%粒径D50が3〜50μmであり、体積10%粒径D10と体積90%粒径D90との比D10/D90が0.30〜0.98であることを特徴とする、液晶表示装置用反射フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−66758(P2010−66758A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187126(P2009−187126)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】