液晶表示装置
【課題】低消費電力で、ホワイトバランスの良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】一対の基板と、一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、観察者に対して液晶パネルの背面に設けられた光源とで構成される液晶表示装置であって、光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、光源の色を補償する液晶表示装置。
【解決手段】一対の基板と、一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、観察者に対して液晶パネルの背面に設けられた光源とで構成される液晶表示装置であって、光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、光源の色を補償する液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクティブマトリクス型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶に印加する電界の方向を基板表面にほぼ平行にする方式として櫛歯電極対を用いた方式が、例えば、特公昭63−21907号,USP4345249号,WO91/10936号,特開平6−222397 号等により提案されている。しかしながら、アクティブ素子を用いて液晶に印加する電界の方向を基板表面にほぼ平行な方向にする表示方式(以下、横電界方式と称する)において、液晶表示装置全体の消費電力を低減するために必要である光源の特性については、言及されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】横電界方式においては、基板表面にほぼ平行に電界を印加するため、表示画素部に不透明な電極を有する。そのため、従来の透明電極を用いた電界を基板表面にほぼ垂直な方向に印加する方式(以下、縦電界方式と称する)と比較すると、開口率が低下し、明状態での明るさが低下してしまうため、高輝度の光源が必要となる。
【0004】一方、横電界型液晶表示装置における有効な表示モードは複屈折モードであるため、透過率Tは一般に
【0005】
【数1】
【0006】で表される。ここで、T0 は主として偏光板の透過率で決まり、θは液晶層の実効的な光軸と偏光透過軸のなす角度、dは液晶層の厚み、Δnは液晶の屈折率異方性、λは光の波長を表す。従って、液晶表示素子の透過率は、必ずある波長において最大値をとるため、呈色した液晶表示素子となる。零次のリタデーションで、ピーク波長を視感度最大波長である555nmとする、すなわち(πd・Δn/555)=π/2となる条件を満たすことが一つの解である。但し、このとき、透過率は図2に示すように、ピーク波長の短波長側では急落し、長波長側では緩やかに減少するため、液晶表示素子は黄色く着色する。以上から、光源として、黄色の補色である寒色系、すなわち色温度が高い特性が要求される。
【0007】一般に、液晶表示装置用光源として蛍光管が用いられている。蛍光体の特性として、短波長領域の発光効率は長波長領域のそれに比べて劣るために、色温度の高い蛍光管は、輝度が低下してしまい、高輝度を得ようとすると、消費電力が増大してしまうという問題がある。特にノートブック型パソコンや携帯型情報機器においては、バッテリーによる長時間使用を可能とするために、消費電力増大は回避されなければならない問題である。
【0008】本発明の目的は、低消費電力で、かつ良好な表示特性を両立する液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、観察者に対して液晶パネルの背面に設けられた光源とで構成され、光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、光源の色を補償するものである。
【0010】ここで、暖色系とは、標準のC光源の「白」に対して、黄色やオレンジ色等の赤みを感じさせる色相であるものを指し、寒色系とは、標準のC光源の「白」に対して、青みを感じさせる色相であるものを指す。暖色系の光源は短波長側の透過率が低く、寒色系の液晶パネルは長波長側の透過率が低いので、これらを組み合わせることにより、可視光領域の光をほぼ均一に透過させるようにし、液晶表示装置全体の表示が標準のC光源の「白」に近づくようにする。
【0011】本発明により低消費電力化が可能となるが、以下にその理由を説明する。暖色系の蛍光ランプは、寒色系の蛍光ランプに比べ同じ輝度を得るのに低消費電力で良い。一般に、色温度6000Kの蛍光ランプの消費電力を1とすると、同じ輝度を得るために必要な消費電力は、8000Kの蛍光ランプでは5%,10000Kでは10%増加し、4000Kでは逆に5%低減する。例えば、黄色く着色した液晶表示素子には、少なくとも標準の光であるC光源(白色)の色温度6770Kよりも色温度が高いもので、色を補償するには、望ましくは10000K以上の光源とする必要がある。例えば、縦電界方式液晶表示装置において、8700Kの蛍光ランプを用いて2Wの消費電力が光源として必要であるとき、色温度10000Kの蛍光ランプを用いた横電界方式液晶表示装置の構成では、光源に必要な消費電力は2.06Wであり、C光源(白色)の色温度よりも低い6000Kの蛍光ランプの場合1.87Wで良く、4000Kでは1.79Wの消費電力で良い。
【0012】暖色系の光源は蛍光体の種類と混合比を変えることで得られる。蛍光ランプは、狭帯域発光体型蛍光ランプの場合、450〜490nmに発光ピークを有する、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+ ,Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+,(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+ ,(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2・nB2O3:Eu2+,(Ba,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+,Sr2P2O7:Sn2+,Ba2P2O7:Ti4+ ,2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+ ,MgWO4,BaAl8O13:Eu2+,BaMg2Al16O27:Eu2+,BaMg2Al16O27:Eu2+Mn2+,SrMgAl10O17:Eu2+等の蛍光体と、540〜550nmに発光ピークを有する、LaPO4:Ce3+ ,Tb3+,LaO3・0.2SiO2・0.9P2O5:Ce3+,Tb3+,Y2SiO5:Ce3+,Tb3+,CeMgAl11O19:Tb3+ ,GdMgB5O10:Ce3+,Tb3+等の蛍光体と、610nm付近に発光ピークを有する、(Sr,Mg)3(PO4)2:Sn2+,CaSiO3:Pb2+,Mn2+ ,Y2O3:Eu3+ ,Y(P,V)O4:Eu3+等の蛍光体を混合して作られる。これらの混合比を変えることで各発光領域における相対強度を制御し種々の色温度を有する蛍光ランプが実現可能である。色温度が低い暖色系の蛍光ランプを得るためには、610nm付近に発光ピークを有する蛍光体の混合比率を増大すれば良い。
【0013】寒色系の液晶表示パネルを実現するには、以下の3つの方法がある。
(1)寒色系の特性とするには、短波長領域に透過率の最大値を有するようにする。緑に対応する蛍光体の発光波長が540〜550nmであり、青に対応する発光波長が450〜490nmであることから、透過率が最大となる波長が520nm以下であれば、青の色調を強くでき、寒色系の液晶表示素子を得ることができる。そのためには、式(1)よりd・Δnを0.26 以下とすれば良い。なお、このとき、dは電圧を印加した際に配向方向を変える液晶層の厚み(deff)を指す。液晶層の界面近傍の液晶分子は、界面のアンカリングの影響により、電圧が印加されても配向方向を変えない。基板によって挾持された液晶層をdLC,電圧印加時に配向方向を変化させる液晶層をdeff とすると、deff<dLCであり、その差はほぼ300〜400nmと考えられる。
(2)液晶表示パネルに複屈折性フィルムを備える。複屈折性フィルムは、液晶表示パネルの光透過スペクトルのピーク波長が、可視光の短波長領域の400〜520nm、望ましくは440〜490nmの範囲となるように設定される。
(3)カラーフィルタの赤の表示をする部位の液晶層の厚みを青,緑の部位のdLCよりも薄くする。
【0014】横電界型液晶表示装置のしきい値電圧Ecは、
【0015】
【数2】
【0016】で表される。ここで、dLCは液晶層の厚み,K2 は液晶のツイストの弾性定数,Δεは液晶の誘電率異方性,ε0 は真空の誘電率である。従って、dLCが薄くなると、しきい値電圧は高電圧側にシフトする。そこで、赤の表示を行う画素部分について、その部位のみ液晶層の厚みを薄く設定することにより、赤、すなわち長波長領域における電圧−透過率特性を高電圧側にシフトさせることができる。このため、各電圧における透過率は長波長領域の透過率が抑制され、短波長領域の透過率が大きい液晶表示素子とすることができる。長波長領域の透過率を十分に抑制し、かつ色バランスを崩し過ぎないためには、液晶層の厚みの変化は0.1〜1μmの範囲であることが好ましい。例えば、カラーフィルタの赤の部分の膜厚を厚く作製することによって、dLCを薄くすることができる。また、カラーフィルタの青の表示をする部位の液晶層の厚みを赤,緑の部位のdLCよりも厚くしてもよい。この場合においても、液晶層の厚みの変化は0.1〜1μm の範囲であることが好ましい。
【0017】なお、従来型の基板に垂直方向に電界を印加する方式(縦電界方式)におけるTN(ツイステッド ネマティック)方式の液晶表示装置の場合は、着色度が低く液晶パネルを積極的に着色することができない。
【0018】
【発明の実施の形態】電界方向に対する、偏光板の偏光透過軸のなす角Φp,界面近傍での液晶分子長軸(光学軸)方向のなす角ΦLCの定義を図3に示す。偏光板及び液晶界面はそれぞれ上下に一対あるので、必要に応じてΦp1,Φp2,ΦLC1,ΦLC2と表記する。
【0019】図4(a),(b)は横電界方式液晶表示素子の1画素内での液晶の動作を示す側断面図を、図4(c),(d)はその正面図を表す。電圧無印加時の素子側断面図を図4(a)に、その時の正面図を図4(c)に示す。透明な一対の基板の内側に線状の電極1,3,4が形成され、その上に配向制御膜5が塗布及び配向処理されている。間には液晶組成物が挟持されている。液晶分子6は、電解無印加時には45度<|ΦLC|≦90度を持つように配向されている。上下界面上での液晶分子配向はここでは平行、即ち、ΦLC1=ΦLC2を例に説明する。また、液晶組成物の誘電率異方性は正を想定している。電界9を印加すると、図4(b),(d)に示したように電界方向に液晶分子がその向きを変える。偏光板8を偏光板透過軸11に配置することで、電界印加によって光透過率を変化させることが可能となる。なお、液晶組成物の誘電率異方性は負であっても問題ない。その場合には初期配向状態を0度<|ΦLC|≦45度となるように配向させる。
【0020】基板として厚みが1.1mm のガラス基板を2枚用いる。これらの基板のうち、一方の基板の上に薄膜トランジスタを形成し、更にその表面に絶縁膜、及び配向膜を形成する。本実施例では、配向膜としてポリイミドを用い、液晶を配向させるためのラビング処理を行う。他方の基板上にも同様に配向膜を形成し、ラビング処理する。上下界面上でのラビング方向は互いにほぼ平行で、かつ印加電界方向とのなす角度を75度(ΦLC1=ΦLC2=75度)とする。これらの基板間に誘電率異方性が正でその値が12.0であり、屈折率異方性が0.079(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で、3.54μm とする。よって、dLC・Δnは0.28μmであり、deff・Δnは0.24μm である。2枚の偏光板で一対の基板を挾み、一方の偏光板の偏光軸をΦp1 =75度に設定し、他方をΦp2=−15 度とする。
【0021】図1に本発明の液晶表示装置の概略を示す。上記液晶表示パネルに、光源として、図8(a)に示す発光特性を有する色温度5885Kである光源30,導光体32,拡散板33,プリズムシート34から構成されるエッジライト型バックライトユニットを用いて、液晶表示装置を作成する。
【0022】液晶表示装置を駆動する際、光源部に必要な消費電力は1.8W であり、この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の分光透過率を図9(a)に示し、この光源を用いたときのスペクトルを図9(b)に示す。これらの色度座標を図10に示す。液晶表示パネルは寒色系であるが、これに色温度が低い光源を組み合わせることにより、良好なホワイトバランスを得ることができる。
【0023】基板間に誘電率異方性が正でその値が9.0であり、屈折率異方性が0.082(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは3.8μmとする。よって、dLC・Δnは0.31μmであり、deff・Δn は0.28μm である。図8(b)に示す発光特性を有する色温度11000Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として液晶表示装置を作成する。この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の分光透過率を図11(a)に示し、この光源を用いたときのスペクトルを図11(b)に示す。これらの色度座標を図12に示す。黄色みがかった液晶表示パネルと寒色系の光源との組み合わせになる場合、光源部に必要な消費電力は2Wである。
【0024】光源を色温度5885Kのエッジライト型バックライトユニットに取り替える。このとき、光源部に必要な消費電力は1.8W である。この光源を用いたときのスペクトルを図13(a)に示し、色度座標を図13(b)に示す。目視でも黄色の色を呈していると感じる液晶表示装置となる。
【0025】トランジスタ素子を有する基板に相対向する基板上に、図6に示すように、カラーフィルタ24を設ける。基板間に、誘電率異方性が正でその値が7.3 であり、屈折率異方性が0.074(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で3.2μmとする。よって、d・Δnは0.24μmである。この液晶表示素子の電圧印加時の分光透過率特性を図14(a)に、光源を含む液晶表示装置の色度座標を図14(b)に示す。駆動電圧印加の色度座標は、ほぼ標準光源Cのところに位置する。光源部に必要な消費電力は1.8W であり、カラー表示が良好である横電界型液晶表示装置を得られる。
【0026】基板間に、誘電率異方性が正でその値が9.0であり、屈折率異方性が0.082(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で、3.7μm とする。よって、dLC・Δnは0.30μmであり、deff・Δnは概ね0.27μm である。上側基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが595nm(550nm)である位相差フィルムを、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と平行、すなわちΦF1=Φp1=75 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、図8(a)に示す発光特性を有する色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置の電圧をオフからオンにしたときの色度座標上の軌跡を図15に示す。色度座標の軌跡はC光源に近づき、光源部に必要な消費電力は1.7W である。
【0027】トランジスタ素子を有する基板に相対向する基板7上に、図6に示すように、ストライプ状のR,G,B、3色のカラーフィルタ24を備え、カラーフィルタの上には表面を平坦化する保護膜25を積層し、その上に配向膜5を形成する。基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが349nm(550nm)である位相差フィルムを、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と直交、すなわちΦF1=Φp2=−15 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、図7(b)に示す発光特性を有する色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置における駆動電圧印加時の色度座標はC光源に近く、光源部に必要な消費電力は1.75Wである。
【0028】カラーフィルタの膜厚は、B,G画素部分については概ね2μmであり、R画素部分については概ね2.5μm である。この差は平坦化膜をスピンコートにより塗布した後も0.3μm 程度の段差として残り、液晶層の厚みの差となる。この液晶表示パネルに、色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図16に示す。R画素における透過率特性が、高電圧側にシフトしていることがわかる。従って、この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の透過率においては、赤が抑制された特性となる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.75Wである。
【0029】カラーフィルタの膜厚を、G,R画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm とする。液晶層の厚みとしては、G,R画素部分が概ね3.8μm,B画素部分が概ね4.1μmである。この液晶表示素子に、色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示素子の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図17に示す。B画素における透過率特性が、低電圧側にシフトしていることがわかる。従って、上記液晶表示素子の駆動電圧印加時の透過率においては、青が増幅された特性となる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.75W であった。
【0030】カラーフィルタの膜厚を、G画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm,R画素部分が概ね2.5μmとする。液晶層の厚みとしては、G画素部分が概ね4.2μm,R画素部分が概ね3.9μm,B画素部分が概ね3.9μm である。この液晶表示パネルに、色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示素子の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図18に示す。B画素における透過率特性は低電圧側に、R画素における透過率特性は高電圧側にシフトしていることがわかる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.7W である。
【0031】カラーフィルタの膜厚を、G,R画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm とする。液晶層の厚みとしては、G,R画素部分が概ね4.5μm,B画素部分が概ね4.2μmである。位相差フィルムとしては、上側基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが997nm(550nm)であるものを用い、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と平行、すなわちΦF1=Φp1=75 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。電圧印加に伴う色度座標上の軌跡を図19に示す。電圧印加に伴いC光源に近づいて行くことがわかる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.70Wである。
【0032】
【発明の効果】低消費電力でホワイトバランスの良好な液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成を表す概略図。
【図2】横電界方式の液晶表示パネルの分光透過率特性を示す図。
【図3】ラビング方向,偏光板の軸方向の定義を示す図。
【図4】横電界方式の液晶表示装置の動作を示す図。
【図5】UCS色度座標における色温度と色度座標を示す図。
【図6】カラーフィルタ基板の構成を示す図。
【図7】光源の発光特性を示す図。
【図8】光源の発光特性を示す図。
【図9】液晶表示パネルの分光透過率特性と液晶表示装置の分光特性。
【図10】液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置としたときの色度座標。
【図11】液晶表示パネルの分光透過率特性と液晶表示装置の分光特性。
【図12】液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図13】液晶表示パネルの分光特性,液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図14】液晶表示パネルの分光透過率特性と、液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図15】液晶表示装置の電圧印加に伴う色度図上の軌跡。
【図16】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図17】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図18】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図19】液晶表示装置の電圧印加に伴う色度図上の軌跡を示す図。
【符号の説明】
1…共通電極、2…ゲート絶縁膜、3…信号電極、4…画素電極、5…配向膜、6…液晶分子、7…基板、8…偏光板、9…電界、10…ラビング方向、11…偏光板の透過軸、23…アクティブマトリクス型液晶表示素子、24…カラーフィルタ、25…保護膜、27…絶縁膜、30…光源、31…ライトカバー、32…導光体、33…拡散板、34…プリズムシート。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクティブマトリクス型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶に印加する電界の方向を基板表面にほぼ平行にする方式として櫛歯電極対を用いた方式が、例えば、特公昭63−21907号,USP4345249号,WO91/10936号,特開平6−222397 号等により提案されている。しかしながら、アクティブ素子を用いて液晶に印加する電界の方向を基板表面にほぼ平行な方向にする表示方式(以下、横電界方式と称する)において、液晶表示装置全体の消費電力を低減するために必要である光源の特性については、言及されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】横電界方式においては、基板表面にほぼ平行に電界を印加するため、表示画素部に不透明な電極を有する。そのため、従来の透明電極を用いた電界を基板表面にほぼ垂直な方向に印加する方式(以下、縦電界方式と称する)と比較すると、開口率が低下し、明状態での明るさが低下してしまうため、高輝度の光源が必要となる。
【0004】一方、横電界型液晶表示装置における有効な表示モードは複屈折モードであるため、透過率Tは一般に
【0005】
【数1】
【0006】で表される。ここで、T0 は主として偏光板の透過率で決まり、θは液晶層の実効的な光軸と偏光透過軸のなす角度、dは液晶層の厚み、Δnは液晶の屈折率異方性、λは光の波長を表す。従って、液晶表示素子の透過率は、必ずある波長において最大値をとるため、呈色した液晶表示素子となる。零次のリタデーションで、ピーク波長を視感度最大波長である555nmとする、すなわち(πd・Δn/555)=π/2となる条件を満たすことが一つの解である。但し、このとき、透過率は図2に示すように、ピーク波長の短波長側では急落し、長波長側では緩やかに減少するため、液晶表示素子は黄色く着色する。以上から、光源として、黄色の補色である寒色系、すなわち色温度が高い特性が要求される。
【0007】一般に、液晶表示装置用光源として蛍光管が用いられている。蛍光体の特性として、短波長領域の発光効率は長波長領域のそれに比べて劣るために、色温度の高い蛍光管は、輝度が低下してしまい、高輝度を得ようとすると、消費電力が増大してしまうという問題がある。特にノートブック型パソコンや携帯型情報機器においては、バッテリーによる長時間使用を可能とするために、消費電力増大は回避されなければならない問題である。
【0008】本発明の目的は、低消費電力で、かつ良好な表示特性を両立する液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、観察者に対して液晶パネルの背面に設けられた光源とで構成され、光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、光源の色を補償するものである。
【0010】ここで、暖色系とは、標準のC光源の「白」に対して、黄色やオレンジ色等の赤みを感じさせる色相であるものを指し、寒色系とは、標準のC光源の「白」に対して、青みを感じさせる色相であるものを指す。暖色系の光源は短波長側の透過率が低く、寒色系の液晶パネルは長波長側の透過率が低いので、これらを組み合わせることにより、可視光領域の光をほぼ均一に透過させるようにし、液晶表示装置全体の表示が標準のC光源の「白」に近づくようにする。
【0011】本発明により低消費電力化が可能となるが、以下にその理由を説明する。暖色系の蛍光ランプは、寒色系の蛍光ランプに比べ同じ輝度を得るのに低消費電力で良い。一般に、色温度6000Kの蛍光ランプの消費電力を1とすると、同じ輝度を得るために必要な消費電力は、8000Kの蛍光ランプでは5%,10000Kでは10%増加し、4000Kでは逆に5%低減する。例えば、黄色く着色した液晶表示素子には、少なくとも標準の光であるC光源(白色)の色温度6770Kよりも色温度が高いもので、色を補償するには、望ましくは10000K以上の光源とする必要がある。例えば、縦電界方式液晶表示装置において、8700Kの蛍光ランプを用いて2Wの消費電力が光源として必要であるとき、色温度10000Kの蛍光ランプを用いた横電界方式液晶表示装置の構成では、光源に必要な消費電力は2.06Wであり、C光源(白色)の色温度よりも低い6000Kの蛍光ランプの場合1.87Wで良く、4000Kでは1.79Wの消費電力で良い。
【0012】暖色系の光源は蛍光体の種類と混合比を変えることで得られる。蛍光ランプは、狭帯域発光体型蛍光ランプの場合、450〜490nmに発光ピークを有する、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+ ,Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+,(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+ ,(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2・nB2O3:Eu2+,(Ba,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+,Sr2P2O7:Sn2+,Ba2P2O7:Ti4+ ,2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+ ,MgWO4,BaAl8O13:Eu2+,BaMg2Al16O27:Eu2+,BaMg2Al16O27:Eu2+Mn2+,SrMgAl10O17:Eu2+等の蛍光体と、540〜550nmに発光ピークを有する、LaPO4:Ce3+ ,Tb3+,LaO3・0.2SiO2・0.9P2O5:Ce3+,Tb3+,Y2SiO5:Ce3+,Tb3+,CeMgAl11O19:Tb3+ ,GdMgB5O10:Ce3+,Tb3+等の蛍光体と、610nm付近に発光ピークを有する、(Sr,Mg)3(PO4)2:Sn2+,CaSiO3:Pb2+,Mn2+ ,Y2O3:Eu3+ ,Y(P,V)O4:Eu3+等の蛍光体を混合して作られる。これらの混合比を変えることで各発光領域における相対強度を制御し種々の色温度を有する蛍光ランプが実現可能である。色温度が低い暖色系の蛍光ランプを得るためには、610nm付近に発光ピークを有する蛍光体の混合比率を増大すれば良い。
【0013】寒色系の液晶表示パネルを実現するには、以下の3つの方法がある。
(1)寒色系の特性とするには、短波長領域に透過率の最大値を有するようにする。緑に対応する蛍光体の発光波長が540〜550nmであり、青に対応する発光波長が450〜490nmであることから、透過率が最大となる波長が520nm以下であれば、青の色調を強くでき、寒色系の液晶表示素子を得ることができる。そのためには、式(1)よりd・Δnを0.26 以下とすれば良い。なお、このとき、dは電圧を印加した際に配向方向を変える液晶層の厚み(deff)を指す。液晶層の界面近傍の液晶分子は、界面のアンカリングの影響により、電圧が印加されても配向方向を変えない。基板によって挾持された液晶層をdLC,電圧印加時に配向方向を変化させる液晶層をdeff とすると、deff<dLCであり、その差はほぼ300〜400nmと考えられる。
(2)液晶表示パネルに複屈折性フィルムを備える。複屈折性フィルムは、液晶表示パネルの光透過スペクトルのピーク波長が、可視光の短波長領域の400〜520nm、望ましくは440〜490nmの範囲となるように設定される。
(3)カラーフィルタの赤の表示をする部位の液晶層の厚みを青,緑の部位のdLCよりも薄くする。
【0014】横電界型液晶表示装置のしきい値電圧Ecは、
【0015】
【数2】
【0016】で表される。ここで、dLCは液晶層の厚み,K2 は液晶のツイストの弾性定数,Δεは液晶の誘電率異方性,ε0 は真空の誘電率である。従って、dLCが薄くなると、しきい値電圧は高電圧側にシフトする。そこで、赤の表示を行う画素部分について、その部位のみ液晶層の厚みを薄く設定することにより、赤、すなわち長波長領域における電圧−透過率特性を高電圧側にシフトさせることができる。このため、各電圧における透過率は長波長領域の透過率が抑制され、短波長領域の透過率が大きい液晶表示素子とすることができる。長波長領域の透過率を十分に抑制し、かつ色バランスを崩し過ぎないためには、液晶層の厚みの変化は0.1〜1μmの範囲であることが好ましい。例えば、カラーフィルタの赤の部分の膜厚を厚く作製することによって、dLCを薄くすることができる。また、カラーフィルタの青の表示をする部位の液晶層の厚みを赤,緑の部位のdLCよりも厚くしてもよい。この場合においても、液晶層の厚みの変化は0.1〜1μm の範囲であることが好ましい。
【0017】なお、従来型の基板に垂直方向に電界を印加する方式(縦電界方式)におけるTN(ツイステッド ネマティック)方式の液晶表示装置の場合は、着色度が低く液晶パネルを積極的に着色することができない。
【0018】
【発明の実施の形態】電界方向に対する、偏光板の偏光透過軸のなす角Φp,界面近傍での液晶分子長軸(光学軸)方向のなす角ΦLCの定義を図3に示す。偏光板及び液晶界面はそれぞれ上下に一対あるので、必要に応じてΦp1,Φp2,ΦLC1,ΦLC2と表記する。
【0019】図4(a),(b)は横電界方式液晶表示素子の1画素内での液晶の動作を示す側断面図を、図4(c),(d)はその正面図を表す。電圧無印加時の素子側断面図を図4(a)に、その時の正面図を図4(c)に示す。透明な一対の基板の内側に線状の電極1,3,4が形成され、その上に配向制御膜5が塗布及び配向処理されている。間には液晶組成物が挟持されている。液晶分子6は、電解無印加時には45度<|ΦLC|≦90度を持つように配向されている。上下界面上での液晶分子配向はここでは平行、即ち、ΦLC1=ΦLC2を例に説明する。また、液晶組成物の誘電率異方性は正を想定している。電界9を印加すると、図4(b),(d)に示したように電界方向に液晶分子がその向きを変える。偏光板8を偏光板透過軸11に配置することで、電界印加によって光透過率を変化させることが可能となる。なお、液晶組成物の誘電率異方性は負であっても問題ない。その場合には初期配向状態を0度<|ΦLC|≦45度となるように配向させる。
【0020】基板として厚みが1.1mm のガラス基板を2枚用いる。これらの基板のうち、一方の基板の上に薄膜トランジスタを形成し、更にその表面に絶縁膜、及び配向膜を形成する。本実施例では、配向膜としてポリイミドを用い、液晶を配向させるためのラビング処理を行う。他方の基板上にも同様に配向膜を形成し、ラビング処理する。上下界面上でのラビング方向は互いにほぼ平行で、かつ印加電界方向とのなす角度を75度(ΦLC1=ΦLC2=75度)とする。これらの基板間に誘電率異方性が正でその値が12.0であり、屈折率異方性が0.079(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で、3.54μm とする。よって、dLC・Δnは0.28μmであり、deff・Δnは0.24μm である。2枚の偏光板で一対の基板を挾み、一方の偏光板の偏光軸をΦp1 =75度に設定し、他方をΦp2=−15 度とする。
【0021】図1に本発明の液晶表示装置の概略を示す。上記液晶表示パネルに、光源として、図8(a)に示す発光特性を有する色温度5885Kである光源30,導光体32,拡散板33,プリズムシート34から構成されるエッジライト型バックライトユニットを用いて、液晶表示装置を作成する。
【0022】液晶表示装置を駆動する際、光源部に必要な消費電力は1.8W であり、この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の分光透過率を図9(a)に示し、この光源を用いたときのスペクトルを図9(b)に示す。これらの色度座標を図10に示す。液晶表示パネルは寒色系であるが、これに色温度が低い光源を組み合わせることにより、良好なホワイトバランスを得ることができる。
【0023】基板間に誘電率異方性が正でその値が9.0であり、屈折率異方性が0.082(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは3.8μmとする。よって、dLC・Δnは0.31μmであり、deff・Δn は0.28μm である。図8(b)に示す発光特性を有する色温度11000Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として液晶表示装置を作成する。この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の分光透過率を図11(a)に示し、この光源を用いたときのスペクトルを図11(b)に示す。これらの色度座標を図12に示す。黄色みがかった液晶表示パネルと寒色系の光源との組み合わせになる場合、光源部に必要な消費電力は2Wである。
【0024】光源を色温度5885Kのエッジライト型バックライトユニットに取り替える。このとき、光源部に必要な消費電力は1.8W である。この光源を用いたときのスペクトルを図13(a)に示し、色度座標を図13(b)に示す。目視でも黄色の色を呈していると感じる液晶表示装置となる。
【0025】トランジスタ素子を有する基板に相対向する基板上に、図6に示すように、カラーフィルタ24を設ける。基板間に、誘電率異方性が正でその値が7.3 であり、屈折率異方性が0.074(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で3.2μmとする。よって、d・Δnは0.24μmである。この液晶表示素子の電圧印加時の分光透過率特性を図14(a)に、光源を含む液晶表示装置の色度座標を図14(b)に示す。駆動電圧印加の色度座標は、ほぼ標準光源Cのところに位置する。光源部に必要な消費電力は1.8W であり、カラー表示が良好である横電界型液晶表示装置を得られる。
【0026】基板間に、誘電率異方性が正でその値が9.0であり、屈折率異方性が0.082(589nm,20℃)のネマティック液晶組成物を封入する。セルギャップdは球形のポリマービーズを基板間に分散して挟持し、液晶を封入した状態で、3.7μm とする。よって、dLC・Δnは0.30μmであり、deff・Δnは概ね0.27μm である。上側基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが595nm(550nm)である位相差フィルムを、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と平行、すなわちΦF1=Φp1=75 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、図8(a)に示す発光特性を有する色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置の電圧をオフからオンにしたときの色度座標上の軌跡を図15に示す。色度座標の軌跡はC光源に近づき、光源部に必要な消費電力は1.7W である。
【0027】トランジスタ素子を有する基板に相対向する基板7上に、図6に示すように、ストライプ状のR,G,B、3色のカラーフィルタ24を備え、カラーフィルタの上には表面を平坦化する保護膜25を積層し、その上に配向膜5を形成する。基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが349nm(550nm)である位相差フィルムを、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と直交、すなわちΦF1=Φp2=−15 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、図7(b)に示す発光特性を有する色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置における駆動電圧印加時の色度座標はC光源に近く、光源部に必要な消費電力は1.75Wである。
【0028】カラーフィルタの膜厚は、B,G画素部分については概ね2μmであり、R画素部分については概ね2.5μm である。この差は平坦化膜をスピンコートにより塗布した後も0.3μm 程度の段差として残り、液晶層の厚みの差となる。この液晶表示パネルに、色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示装置の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図16に示す。R画素における透過率特性が、高電圧側にシフトしていることがわかる。従って、この液晶表示パネルの駆動電圧印加時の透過率においては、赤が抑制された特性となる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.75Wである。
【0029】カラーフィルタの膜厚を、G,R画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm とする。液晶層の厚みとしては、G,R画素部分が概ね3.8μm,B画素部分が概ね4.1μmである。この液晶表示素子に、色温度4703Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示素子の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図17に示す。B画素における透過率特性が、低電圧側にシフトしていることがわかる。従って、上記液晶表示素子の駆動電圧印加時の透過率においては、青が増幅された特性となる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.75W であった。
【0030】カラーフィルタの膜厚を、G画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm,R画素部分が概ね2.5μmとする。液晶層の厚みとしては、G画素部分が概ね4.2μm,R画素部分が概ね3.9μm,B画素部分が概ね3.9μm である。この液晶表示パネルに、色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。この液晶表示素子の波長615nm,545nm,465nmにおける電圧−透過率特性、すなわちR,G,B各画素に対応する電圧−透過率特性を図18に示す。B画素における透過率特性は低電圧側に、R画素における透過率特性は高電圧側にシフトしていることがわかる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.7W である。
【0031】カラーフィルタの膜厚を、G,R画素部分については概ね2μmであり、B画素部分については概ね1.5μm とする。液晶層の厚みとしては、G,R画素部分が概ね4.5μm,B画素部分が概ね4.2μmである。位相差フィルムとしては、上側基板と偏光板の間に、ポリカーボーネートで作製され、リタデーションが997nm(550nm)であるものを用い、その遅相軸の角度ΦF1が上側偏光板と平行、すなわちΦF1=Φp1=75 度であるように貼付ける。この液晶表示パネルに、色温度4348Kである冷陰極管蛍光ランプを用いたエッジライト型バックライトユニットを光源として用いる。電圧印加に伴う色度座標上の軌跡を図19に示す。電圧印加に伴いC光源に近づいて行くことがわかる。駆動電圧印加時におけるホワイトバランスは良好であり、光源部に必要な消費電力は1.70Wである。
【0032】
【発明の効果】低消費電力でホワイトバランスの良好な液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成を表す概略図。
【図2】横電界方式の液晶表示パネルの分光透過率特性を示す図。
【図3】ラビング方向,偏光板の軸方向の定義を示す図。
【図4】横電界方式の液晶表示装置の動作を示す図。
【図5】UCS色度座標における色温度と色度座標を示す図。
【図6】カラーフィルタ基板の構成を示す図。
【図7】光源の発光特性を示す図。
【図8】光源の発光特性を示す図。
【図9】液晶表示パネルの分光透過率特性と液晶表示装置の分光特性。
【図10】液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置としたときの色度座標。
【図11】液晶表示パネルの分光透過率特性と液晶表示装置の分光特性。
【図12】液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図13】液晶表示パネルの分光特性,液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図14】液晶表示パネルの分光透過率特性と、液晶表示パネルのC光源,光源,液晶表示装置の色度座標。
【図15】液晶表示装置の電圧印加に伴う色度図上の軌跡。
【図16】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図17】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図18】液晶表示装置の3波長における電圧−透過率特性を示す図。
【図19】液晶表示装置の電圧印加に伴う色度図上の軌跡を示す図。
【符号の説明】
1…共通電極、2…ゲート絶縁膜、3…信号電極、4…画素電極、5…配向膜、6…液晶分子、7…基板、8…偏光板、9…電界、10…ラビング方向、11…偏光板の透過軸、23…アクティブマトリクス型液晶表示素子、24…カラーフィルタ、25…保護膜、27…絶縁膜、30…光源、31…ライトカバー、32…導光体、33…拡散板、34…プリズムシート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、前記液晶パネルの一方の面に設けられた光源とを有する液晶表示装置であって、前記光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、前記液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、前記光源の色を補償することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネルの光透過スペクトルの最大値が、400〜520nmの波長範囲内にあることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネルに電圧を印加した際の配向方向を変える液晶層の厚み(deff)と液晶の屈折率異方性(Δn)との積deff・Δnが0.26μm以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】請求項1または2に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネル内に前記一対の基板を挟むようにして配置した一対の偏光板と、前記偏光板と前記基板の間に配置した複屈折フィルムとを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記一対の基板上の少なくとも一方にカラーフィルタを具備し、赤の光を透過させる部位の液晶層の厚みを緑の光を透過させる部位の液晶層の厚みより薄くしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記一対の基板上の少なくとも一方にカラーフィルタを具備し、青の光を透過させる部位の液晶層の厚みを緑の光を透過させる部位の液晶層の厚みより厚くしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、前記複数の電極により前記液晶層に形成される電界は、前記一対の基板とほぼ平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方に形成された複数の電極と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶パネルと、前記液晶パネルの一方の面に設けられた光源とを有する液晶表示装置であって、前記光源は、暖色系の色度となる発光特性を有しており、前記液晶パネルは、寒色系の色度となる分光透過率特性を有し、前記光源の色を補償することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネルの光透過スペクトルの最大値が、400〜520nmの波長範囲内にあることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネルに電圧を印加した際の配向方向を変える液晶層の厚み(deff)と液晶の屈折率異方性(Δn)との積deff・Δnが0.26μm以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】請求項1または2に記載の液晶表示装置において、前記液晶パネル内に前記一対の基板を挟むようにして配置した一対の偏光板と、前記偏光板と前記基板の間に配置した複屈折フィルムとを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記一対の基板上の少なくとも一方にカラーフィルタを具備し、赤の光を透過させる部位の液晶層の厚みを緑の光を透過させる部位の液晶層の厚みより薄くしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記一対の基板上の少なくとも一方にカラーフィルタを具備し、青の光を透過させる部位の液晶層の厚みを緑の光を透過させる部位の液晶層の厚みより厚くしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、前記複数の電極により前記液晶層に形成される電界は、前記一対の基板とほぼ平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図10】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図5】
【図10】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2001−183665(P2001−183665A)
【公開日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−328398(P2000−328398)
【分割の表示】特願平7−273921の分割
【出願日】平成7年10月23日(1995.10.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【国際特許分類】
【分割の表示】特願平7−273921の分割
【出願日】平成7年10月23日(1995.10.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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