説明

液晶表示装置

【課題】本発明が解決しようとする課題は、液晶のプレチルト差によって発生する液晶表示装置の残像を減少させて、表示特性を改善することにある。
【解決手段】本発明は、第1基板、前記第1基板と対向する第2基板、前記第1基板及び前記第2基板のうちの少なくとも1つの上に形成されている一対の電場生成電極、そして前記第1基板及び前記第2基板の間に介在されていて、液晶及び配向補助材を含む液晶層を含み、前記配向補助材は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む、液晶表示装置及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)は、現在最も幅広く使用されている平板表示装置のうちの1つである。液晶表示装置は、電場生成電極が形成されている2枚の表示板及びその間に形成されている液晶層を含み、電場生成電極に電圧を印加して液晶層に電場を生成することによって、液晶層の液晶分子の配向方向を決定して液晶層を通過する光の透過率を調節する。
【0003】
液晶表示装置において、液晶は、光の透過率を調節して所望の画像を表示するために非常に重要である。特に、液晶表示装置の用途が多様化されて、低電圧駆動、高電圧保存率(VHR)、広視野角特性、広動作温度範囲及び高速応答性などの多様な特性が要求されている。
【0004】
液晶層は、このような多様な特性を満たすために、多様な種類の液晶を混合した液晶組成物を含む。
また、液晶は、初期配向が重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶の初期配向を良好にするためには、液晶のプレチルトを均一に制御しなければならない。液晶のプレチルトが均一でない場合、液晶の初期配向が乱れて、液晶層を通過する光の制御が困難である。この場合、明暗比が低下するだけでなく、このようなプレチルト差は外部から残像として視認されて、表示特性が不良になる。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液晶のプレチルト差によって発生する液晶表示装置の残像を減少させて、表示特性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例による液晶表示装置は、第1基板、前記第1基板と対向する第2基板、前記第1基板及び前記第2基板のうちの少なくとも1つの上に形成されている一対の電場生成電極、そして前記第1基板及び前記第2基板の間に介在されていて、液晶及び配向補助材を含む液晶層を含み、前記配向補助材は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含む。
【0008】
前記メソゲンは、ナフタレン、ビフェニル、ビスフェノールA、及びこれらにフッ素原子が結合された化合物から選択される少なくとも1つを含む。
前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む。
前記配向補助材は、前記メソゲン及び前記光重合基の間に位置する炭素数3〜12個の鎖状アルキル基をさらに含む。
前記配向補助材は、[化学式1]〜[化学式4]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む。
【0009】
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

【0010】
前記配向補助材は、前記液晶の含有量に対して0.1〜10重量%で含まれる。
前記一対の電場生成電極のうちの1つは、微細枝形状からなる。
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して5重量%以下で含まれる。
【0011】
本発明の他の実施例による液晶表示装置は、第1基板、前記第1基板と対向する第2基板、前記第1基板及び前記第2基板のうちの少なくとも1つの上に形成されている一対の電場生成電極、そして前記第1基板及び前記第2基板の間に介在されていて、液晶及び配向補助材を含む液晶層を含み、前記配向補助材は、非メソゲン及び前記非メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む第1配向補助材、そしてメソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含む第2配向補助材を含む。
【0012】
前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む。
【0013】
前記第1配向補助材は、[化学式5]〜[化学式10]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む。
[化学式5]

[化学式6]

[化学式7]

[化学式8]

[化学式9]

[化学式10]

【0014】
前記第2配向補助材は、前記[化学式1]〜[化学式4]及び[化学式11]〜[化学式21]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む。
[化学式11]

[化学式12]

[化学式13]

[化学式14]

[化学式15]

【0015】
[化学式16]

[化学式17]

[化学式18]

[化学式19]

【0016】
[化学式20]

[化学式21]

【0017】
前記配向補助材は、前記液晶の含有量に対して約0.1〜10重量%で含まれる。
前記第2配向補助材は、前記配向補助材の含有量に対して約40〜90重量%で含まれる。
前記一対の電場生成電極のうちの1つは、微細枝形状からなる。
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して約5重量%以下で含まれる。
【0018】
本発明の一実施例による液晶表示装置の製造方法は、画素電極が形成されている第1表示板を形成する工程、共通電極が形成されている第2表示板を形成する工程、前記第1表示板及び前記第2表示板を合着する工程、前記第1表示板及び前記第2表示板の間に液晶及び配向補助材を含む液晶層を形成する工程、前記画素電極及び前記共通電極に電圧を印加する工程、前記画素電極及び前記共通電極に電圧を印加した状態で前記液晶層に光を照射する工程、そして前記画素電極及び前記共通電極に電圧をオフする工程を含む。
【0019】
前記配向補助材は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む。
前記メソゲンは、ナフタレン、ビフェニル、ビスフェノールA、及びこれらにフッ素原子が結合された化合物から選択される少なくとも1つを含み、前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む。
【0020】
前記配向補助材は、非メソゲン及び前記非メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む第1配向補助材、そしてメソゲン及び前記メソゲンに結合されている光重合基を含む第2配向補助材を含む。
前記第1表示板を形成する工程は、前記画素電極に微細枝形状の切開部を形成する工程を含む。
【0021】
本発明による液晶表示装置の製造方法は、 前記画素電極及び前記共通電極に電圧をオフする工程を含み、また前記画素電極及び前記共通電極に電圧をオフした状態で前記液晶層に光を照射する工程をさらに含む。
【0022】
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して約5重量%以下で含まれる。
前記液晶表示装置の製造方法は、前記配向補助材を光によって重合する工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の液晶表示装置は、配向補助材を含むことによって、液晶のプレチルトを均一に制御することができ、特定の構造の配向補助材を含むことによって、液晶層内に残る未重合配向補助材の残余量を減少させることができる。それによって、未重合配向補助材によって発生する残像を減少させて、表示特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例による液晶表示装置の1つの画素に対する等価回路図である。
【図2】本発明の一実施例による液晶表示装置の配置図である。
【図3】図2の液晶表示装置の画素電極を示した配置図である。
【図4】図2の液晶表示装置のIV−IV線による断面図である。
【図5】本発明の一実施例による配向補助材によって液晶のプレチルトを形成する方法を示した概略図である。
【図6A】本発明の一実施例による液晶表示装置及び比較例による液晶表示装置の残像評価の結果を示した写真である。
【図6B】本発明の一実施例による液晶表示装置及び比較例による液晶表示装置の残像評価の結果を示した写真である。
【図7A】本発明の他の実施例による液晶表示装置及び比較例による液晶表示装置の残像評価の結果を示した写真である。
【図7B】本発明の他の実施例による液晶表示装置及び比較例による液晶表示装置の残像評価の結果を示した写真である。
【図8】本発明の一実施例による液晶表示装置に配向補助材を重合するための光を照射した場合のエネルギー照射量による残像評価及び未重合配向補助材の残余量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な相異した形態に具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
図面では、多様な層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似した部分には、同一な図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も意味する。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時、これは中間に他の部分がない場合を意味する。
【0026】
図1は本発明の一実施例による液晶表示装置の1つの画素に対する等価回路図であり、図2は本発明の一実施例による液晶表示装置の配置図であり、図3は図2の液晶表示装置の画素電極を示した配置図であり、図4は図2の液晶表示装置のIV−IV線による断面図である。
【0027】
図1を参照すれば、液晶表示装置は、互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100及び共通電極表示板200、そしてその間に介在されている液晶層3を含む。
【0028】
薄膜トランジスタ表示板100には、ゲート信号を伝達する複数のゲート線121及びデータ電圧を伝達する複数のデータ線171が形成されている。ゲート線121は、互いにほぼ平行でほぼ行方向にのびており、データ線171は、互いにほぼ平行でほぼ列方向にのびている。
【0029】
各画素(PX)は、ゲート線121及びデータ線171に連結されたスイッチング素子(Q)、これに連結された液晶キャパシタ(Clc)及びストレージキャパシタ(Cst)を含む。
【0030】
液晶キャパシタ(Clc)は、薄膜トランジスタ表示板100の画素電極191及び共通電極表示板200の共通電極270の間に形成され、2つの電極191、270の間の液晶層3は、誘電体として機能する。
【0031】
ストレージキャパシタ(Cst)は、液晶キャパシタ(Clc)の補助的な役割を果たし、薄膜トランジスタ表示板100に形成された別個の信号線(図示せず)及び画素電極191が絶縁体を間に介在して重畳して構成され、別個の信号線には、共通電圧(Vcom)などの所定の電圧が印加される。しかし、ストレージキャパシタ(Cst)は、必要に応じて省略することもできる。
【0032】
一方、各画素は、色を表示するためのカラーフィルタ230も含む。図面では、カラーフィルタ230が共通電極表示板200に形成されたことを示したが、これに限定されず、薄膜トランジスタ表示板100に形成されてもよい。
【0033】
以下に、図2〜図4を参照して詳細に説明する。
まず、薄膜トランジスタ表示板100について説明する。
絶縁基板110上に上部及び下部に拡張されたゲート電極124及び外部回路と連結するための端部129を含むゲート線121が形成されている。
【0034】
ゲート線121上には、ゲート絶縁膜140が形成されており、ゲート絶縁膜140上には、水素化非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどからなる半導体154が形成されている。
【0035】
半導体154上には、一対の抵抗性接触部材(ohmic contact)163、165が形成されている。抵抗性接触部材163、165は、リン(P)などの不純物が高濃度にドーピングされたn水素化非晶質シリコンなどの物質又はシリサイドから形成される。
抵抗性接触部材163、165及びゲート絶縁膜140上には、データ線171及びドレイン電極175が形成されている。
【0036】
データ線171は、ゲート線121と交差して、ゲート電極124に向かってのびてU字型に曲がったソース電極173、及び外部回路と連結するための端部179を含む。
ドレイン電極175は、ソース電極173で囲まれた部分及びそれからのびた幅の広い部分を含む。
【0037】
ゲート電極124、ソース電極173、及びドレイン電極175は、半導体154と共に薄膜トランジスタ(TFT;Q)を構成し、薄膜トランジスタ(Q)のチャネルは、ソース電極173及びドレイン電極175の間の半導体154に形成される。
【0038】
データ線171、ドレイン電極175、及び露出された半導体154部分上には、保護膜180が形成されている。保護膜180には、ドレイン電極175及びデータ線171の端部179を各々露出する接触孔185、182が形成されており、保護膜180及びゲート絶縁膜140には、ゲート線121の端部129を露出する接触孔181が形成されている。
【0039】
保護膜180上には、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質、アルミニウム、銀、クロム、またはその合金などの反射性金属からなる画素電極191が形成されている。
画素電極191の全体的な形状は四角形であり、縦幹部192、縦幹部192と直交する横幹部193、縦幹部192及び横幹部193から斜線方向にのびた複数の第1〜第4微細枝部194a、194b、194c、194d、及び下端の突出部197を含む。
【0040】
また、画素電極191は、縦幹部192及び横幹部193によって第1副領域(Da)、第2副領域(Db)、第3副領域(Dc)、及び第4副領域(Dd)に分割される。各副領域(Da〜Dd)は、複数の第1、第2、第3、及び第4微細枝部194a、194b、194c、194dを含み、4つの副領域(Da〜Dd)は、光が透過する有効表示部を構成する。
【0041】
第1微細枝部194aは、縦幹部192または横幹部193から左側上方向に斜めにのびており、第2微細枝部194bは、縦幹部192または横幹部193から右側上方向に斜めにのびている。また、第3微細枝部194cは、縦幹部192または横幹部193から左側下方向に斜めにのびており、第4微細枝部194dは、縦幹部192または横幹部193から右側下方向に斜めにのびている。
【0042】
第1〜第4微細枝部194a〜194dは、ゲート線121または横幹部193と約45度または135度の角をなす。また、隣接する2つの副領域(Da〜Dd)の微細枝部194a〜194dは、互いに直交する。
画素電極191は、下端の突出部197で接触孔185を通じてドレイン電極175と連結されて、ドレイン電極175からデータ電圧の印加を受ける。
【0043】
次に、共通電極表示板200について説明する。
絶縁基板210上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220は、画素電極191の間の光漏れを防止して、画素電極191と対向する開口領域を規定する開口部225を含む。
【0044】
基板210及び遮光部材220上には、複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は、遮光部材220に囲まれた領域内に大部分が位置し、画素電極191の列に沿って長くのびている。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色、及び青色の三原色などの基本色(primary color)のうちの1つを表示する。
【0045】
カラーフィルタ230及び遮光部材220上には、蓋膜(overcoat)250が形成されており、蓋膜250上には、ITO、IZOなどの透明な導電体などからなる共通電極270が全面に形成されている。
【0046】
表示板100、200の内側面には、配向膜11、21が各々塗布されており、これらは垂直配向膜である。
表示板100、200の外側面には、偏光子(図示せず)が形成されている。
表示板100、200の間には、液晶層3が介在されている。液晶層3は、複数の液晶310及び配向補助材50を含む。
【0047】
液晶310は、負の誘電率異方性を有し、電場が形成されていない状態で、その長軸が2つの表示板100、200の表面に対してほぼ垂直になるように配向されている。
画素電極191及び共通電極270に電圧が印加されると、液晶310は、画素電極191及び共通電極270の間に形成された電場に応答して、その長軸が電場の方向に垂直な方向に方向を変える。液晶310が傾く程度によって液晶層3に入射する光の偏光の変化程度が変わり、このような偏光の変化は、偏光子によって透過率の変化として現れて、これによって液晶表示装置は映像を表示する。
【0048】
液晶310が傾く方向は、画素電極191の微細枝部194a〜194dによって決定され、液晶310は、微細枝部194a〜194dの長さ方向に平行な方向に傾く。1つの画素電極191は、微細枝部194a〜194dの長さ方向が互いに異なる4つの副領域(Da〜Dd)を含むので、液晶310が傾く方向もほぼ4方向であり、液晶層3には液晶310の配向方向が異なる4つのドメインが形成される。このように、液晶が傾く方向を多様化することによって、液晶表示装置の視野角を改善することができる。
【0049】
配向補助材50は、液晶310の初期配向のためにプレチルトを制御する役割を果たす。
配向補助材50は、液晶と類似した形状からなって、液晶と同様に中心軸をなす中心部(core group)及びこれに連結されている末端基(terminal group)を含む。
【0050】
本発明の実施例による配向補助材50は、中心部としてメソゲンを含み、末端基として3つ以上の光重合基を含む。
メソゲンは、その中心に2つ以上の芳香族または脂肪族環化合物が連結された構造からなり、例えば[化学式A]で示されるナフタレン基、[化学式B]で示されるビフェニル基、[化学式C]で示されるビスフェノールA基、[化学式D]及び[化学式E]で示されるこれらのフッ素含有誘導体から選択される少なくとも1つを含む。
【0051】
[化学式A]

[化学式B]

【0052】
[化学式C]

[化学式D]

[化学式E]

【0053】
光重合基は、光を受けて重合される作用基であれば限定されず、例えば[化学式F]で示されるアクリル基及び[化学式G]で示されるメタクリル基から選択される1つを含む。
【0054】
[化学式F]

[化学式G]

【0055】
また、配向補助材50は、メソゲン及び光重合基の間に位置する炭素数3〜12個の鎖状アルキル基をさらに含むことができる。このような鎖状アルキル基は、メソゲン及び光重合基の間に位置して鎖の長さを調節することによって、配向補助材が光を受けた時の重合性を高める役割を果たす。
【0056】
このような配向補助材50は、[化学式1]〜[化学式4]で示される化合物から選択される少なくとも1つである。
【0057】
[化学式1]

[化学式1]で、メソゲンは中心にビフェニル基を含み、光重合基はメタクリル基である。光重合基は6個である。
【0058】
[化学式2]

[化学式2]で、メソゲンは中心にビフェニル基を含み、光重合基はメタクリル基であり、メソゲン及び光重合基の間に鎖状アルキル基が連結されている(n=3〜12)。光重合基は6個である。
【0059】
[化学式3]

[化学式3]で、メソゲンは中心にナフタレン基を含み、光重合基はメタクリル基である。光重合基は6個である。
【0060】
[化学式4]

[化学式4]で、メソゲンは中心にナフタレン基を含み、光重合基はメタクリル基であり、メソゲン及び光重合基の間に鎖状アルキル基が連結されている(n=3〜12)。光重合基は6個である。
【0061】
[化学式1]で示される化合物は、[反応式1]のような方法で製造される。
[反応式1]

【0062】
[化学式2]で示される化合物は、[反応式2]のような方法で製造される。
[反応式2]

【0063】
[化学式3]で示される化合物は、[反応式3]のような方法で製造される。
[反応式3]

【0064】
[化学式4]で示される化合物は、[反応式4]のような方法で製造される。
[反応式4]

【0065】
前記配向補助材は、液晶の含有量に対して約0.1〜10重量%で含まれる。含有量が約0.1重量%未満である場合には、液晶のプレチルトを制御する役割を果たすことができず、約10重量%を超える場合には、相対的に液晶の含有量が少なくなって、表示特性が低下する。
【0066】
本発明の他の実施例による配向補助材50は、メソゲン化合物及び非メソゲン化合物を共に含む。
メソゲン化合物は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含み、非メソゲン化合物は、非メソゲン及び前記非メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む。
【0067】
非メソゲンは、その中心に芳香族または脂肪族環化合物を含まない構造からなり、メソゲンは、その中心に2つ以上の芳香族または脂肪族環化合物が連結された構造からなる。
非メソゲン化合物は、架橋剤として作用して、反応確率を高めることによって、光を受けて重合性を高める役割を果たす。
【0068】
非メソゲン化合物は、[化学式5]〜[化学式10]で示される化合物から選択される少なくとも1つである。
【0069】
[化学式5]

[化学式6]

【0070】
[化学式7]

[化学式8]

【0071】
[化学式9]

[化学式10]

【0072】
[化学式5]で示される化合物は、[反応式5]のような方法で製造される。
[反応式5]

【0073】
[化学式6]で示される化合物は、[反応式6]のような方法で製造される。
[反応式6]

【0074】
[化学式7]で示される化合物は、[反応式7]のような方法で製造される。
[反応式7]

【0075】
[化学式8]で示される化合物は、[反応式8]のような方法で製造される。
[反応式8]

【0076】
[化学式9]で示される化合物は、[反応式9]のような方法で製造される。
[反応式9]

【0077】
[化学式10]で示される化合物は、[反応式10]のような方法で製造される。
[反応式10]

【0078】
メソゲン化合物は、前記[化学式1]〜[化学式4]で示される化合物及び下記の[化学式11]〜[化学式21]で示される化合物から選択される少なくとも1つである。
【0079】
[化学式11]

[化学式11]で、メソゲンはナフタレン基であり、光重合基はメタクリル基である。光重合基は2個である。
【0080】
[化学式12]

[化学式12]で、メソゲンはビフェニル基であり、光重合基はメタクリル基である。光重合基は2個である。
【0081】
[化学式13]

[化学式13]で、メソゲンはビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0082】
[化学式14]

[化学式14]で、メソゲンはフッ素が2つ結合されているビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0083】
[化学式15]

[化学式15]で、メソゲンはフッ素が2つ結合されているビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0084】
[化学式16]

[化学式16]で、メソゲンはフッ素が3つ結合されているビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0085】
[化学式17]

[化学式17]で、メソゲンはフッ素が3つ結合されているビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0086】
[化学式18]

[化学式18]で、メソゲンはフッ素が2つ結合されているビフェニル基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0087】
[化学式19]

[化学式19]で、メソゲンはビスフェノールA基であり、光重合基はメタクリル基である。光重合基は2個である。
【0088】
[化学式20]

[化学式20]で、メソゲンはビスフェノールA基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0089】
[化学式21]

[化学式21]で、メソゲンはフッ素が6つ結合されているビスフェノールA基であり、光重合基はアクリル基である。光重合基は2個である。
【0090】
メソゲン化合物は、配向補助材の総含有量に対して約40〜90重量%で含まれるのが好ましい。
前記配向補助材は、液晶の含有量に対して約0.1〜10重量%で含まれる。この範囲にすることにより、液晶のプレチルトを制御することが可能となり、液晶の必要な含有量を確保することができ表示特性を向上させることができる。
【0091】
前記配向補助材は、光によって重合される。
これについて、図5を図2〜図4と共に参照して説明する。
【0092】
図5は本発明の一実施例による配向補助材によって液晶のプレチルトを形成する方法を示した概略図である。
まず、薄膜トランジスタ表示板100及び共通電極表示板200を各々製造する。
薄膜トランジスタ表示板100は、下記のような方法で製造する。
基板110上に複数の薄膜を積層して、ゲート電極124及び端部129を含むゲート線121、ゲート絶縁膜140、半導体154、ソース電極173及び端部179を含むデータ線171、ドレイン電極175、及び保護膜180を順次に積層する。
【0093】
次に、保護膜180上にITOまたはIZOなどの導電層を積層してパターニングして、図2及び図3に示したように縦幹部192横幹部193、及びこれらからのびた複数の微細枝部194a〜194dを含む画素電極191を形成する。
【0094】
次に、画素電極191上に配向膜11を塗布する。
共通電極表示板200は、下記のような方法で製造する。
基板210上に複数の遮光部材220を形成した後、基板210及び遮光部材220上にカラーフィルタ230を形成する。カラーフィルタ230及び遮光部材220を含む基板全面に蓋膜250を形成し、蓋膜250上に共通電極270を形成する。次に、共通電極270上に配向膜21を塗布する。
【0095】
次に、このような方法で製造された薄膜トランジスタ表示板100及び共通電極表示板200を組み立て、その間に液晶310及び前記配向補助材50の混合物を注入して、液晶層3を形成する。しかし、液晶層3は、薄膜トランジスタ表示板100または共通電極表示板200上に液晶310及び配向補助材50の混合物を滴下する方式で形成することもできる。
【0096】
次に、図5の(a)及び図3のように、画素電極191及び共通電極270に電圧を印加する。電圧の印加によって、液晶310及び配向補助材50は、画素電極191の微細枝部194a〜194dの長さ方向に平行な方向に傾く。配向膜11付近に位置する液晶310は、配向膜11aによって垂直配向を維持する。
【0097】
このように画素電極191及び共通電極270の間に電圧が印加された状態で光を照射する。それによって、隣接した位置に集まっている配向補助材50が光によって重合されて、重合体50aを形成する。このような重合体50aは、液晶310のプレチルトを制御する。
【0098】
次に、図5の(b)のように、画素電極191及び共通電極270の間の電圧をオフする。
画素電極及び前記共通電極に電圧をオフした状態で液晶層3に光を照射して、重合率を高めることができる。
液晶層3は、光によって重合された重合体50a及び未重合された配向補助材50を共に含むが、本発明の実施例による配向補助材50は、前記のように2つ以上の光重合基を含むので、重合率を高めることができ、それによって光によって重合されない配向補助材の残余量を減少させることができる。
本発明の実施例による液晶表示装置において、未重合された配向補助材の残余量は、配向補助材の総含有量に対して約5重量%以下で含まれる。
【0099】
未重合された配向補助材の残余量が多い場合には、残像評価時にブラック/ホワイト表示部でプレチルト差を誘発し、このような差が外部から残像として視認される。
【0100】
図8はこのような結果を示す。
図8は本発明の一実施例による液晶表示装置に配向補助材を重合するための光を照射した場合のエネルギー照射量による残像評価及び未重合配向補助材の残余量を示したグラフである。図8の液晶表示装置としては後述する図6Aの試験用表示板が使用される。
【0101】
図8を参照すれば、光の照射量が増加することによって、未重合配向補助材の残余量が減少し、エネルギー照射量が約40J/cmである場合には、未重合配向補助材の残余量が約3.3重量%ほど減少することがわかる。したがって、未重合配向補助材によって発生する残像を減少させ、それによって表示特性を改善することができる。
【0102】
また、図6A〜図7Bを参照して、残像の発生有無について説明する。
図6A〜図7Bは本発明の一実施例による液晶表示装置及び比較例による液晶表示装置の残像評価の結果を各々示した写真である。
残像評価は下記のような方法で行うことができる。
まず、電場生成電極が形成されている2枚の基板及びその間に介在されている液晶層を含む試験用表示板を準備する。試験用表示板には、複数の画素が配置されている。複数の画素のうちの横及び縦に交互に配置された一部の画素にはブラックを表示し、残りの画素にはホワイトを表示して、格子形状のブラック/ホワイトパターンを表示しておく。次に、特定の時間後にブラック/ホワイトパターンの表示を除去して、試験用表示板全体をブラックからホワイトまで均一な階調に変えていって、各画素の境界に線形態の染みが視認されるか否かを確認する。
【0103】
図6A及び図6Bは約24時間後の残像の有無を示した写真であり、図7A及び図7Bは約168時間後の残像の有無を示した写真である。図6Aの試験用表示板は図2に図示されている画素構造を有する液晶表示装置であって、液晶層に上記化学式1で示される化合物を配向補助材として含んでいる。図6Bの試験用表示板は配向補助材を含んでいないことを除いては図6Aの試験用表示板と同一である。
【0104】
図6Aは約90階調、図6Bは約220階調、図7Aは約180階調、図7Bは約245階調を表示することが確認され、これから本発明の実施例による液晶表示装置(図6A、図7A)が比較例による液晶表示装置(図6B、図7B)より残像が少ないことがわかり、図6A〜図7Bの写真から、本発明の実施例による液晶表示装置は、比較例による液晶表示装置に比べて、残像が顕著に改善されたことが明確である。
【0105】
前記のように、本発明の実施例による液晶表示装置は、配向補助材を含むことによって、液晶のプレチルトを均一に制御することができ、特定の構造の配向補助材を含むことによって、液晶層内に残る未重合配向補助材の残余量を減少させることができる。それによって、未重合配向補助材によって発生する残像を減少させて、表示特性を改善することができる。
【0106】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0107】
100 薄膜トランジスタ表示板
11、21 配向膜
121 ゲート線
124 ゲート電極
129 ゲート線の端部
140 ゲート絶縁膜
163、165 抵抗性接触部材
164 半導体
171 データ線
173 ソース電極
175 ドレイン電極
179 データ線の端部
180 保護膜
181、182、185 接触孔
191 画素電極
192 縦幹部
193 横幹部
194 微細枝部
197 突出部
200 表通電極表示板
220 遮光部材
225 開口部
230 カラーフィルタ
250 蓋膜
270 共通電極
3 液晶層
310 液晶
50 配向補助材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板、
前記第1基板と対向する第2基板、
前記第1基板及び前記第2基板のうちの少なくとも1つの上に形成されている一対の電場生成電極及び
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在され、液晶及び配向補助材を含む液晶層を含み、
前記配向補助材は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含む液晶表示装置。
【請求項2】
前記メソゲンは、ナフタレン、ビフェニル、ビスフェノールA及びこれらにフッ素原子が結合された化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記配向補助材は、前記メソゲン及び前記光重合基の間に位置する炭素数3〜12個の鎖状アルキル基をさらに含む請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記配向補助材は、[化学式1]〜[化学式4]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む請求項4に記載の液晶表示装置。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

【請求項6】
前記配向補助材は、前記液晶の含有量に対して0.1〜10重量%で含まれる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記一対の電場生成電極のうちの1つは、微細枝形状からなる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して5重量%以下で含まれる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
第1基板、
前記第1基板と対向する第2基板、
前記第1基板及び前記第2基板のうちの少なくとも1つの上に形成されている一対の電場生成電極及び
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在され、液晶及び配向補助材を含む液晶層を含み、
前記配向補助材は、非メソゲン及び前記非メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む第1配向補助材ならびにメソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含む第2配向補助材を含む液晶表示装置。
【請求項10】
前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1配向補助材は、[化学式5]〜[化学式10]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む請求項10に記載の液晶表示装置。
[化学式5]

[化学式6]

[化学式7]

[化学式8]

[化学式9]

[化学式10]

【請求項12】
前記第2配向補助材は、[化学式1]〜[化学式4]及び[化学式11]〜[化学式21]で示される化合物から選択される少なくとも1つを含む請求項10に記載の液晶表示装置。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

[化学式11]

[化学式12]

[化学式13]

[化学式14]

[化学式15]

[化学式16]

[化学式17]

[化学式18]

[化学式19]

[化学式20]

[化学式21]

【請求項13】
前記配向補助材は、前記液晶の含有量に対して0.1〜10重量%で含まれる請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第2配向補助材は、前記配向補助材の含有量に対して40〜90重量%で含まれる請求項13に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記一対の電場生成電極のうちの1つは、微細枝形状からなる請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して5重量%以下で含まれる請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
画素電極が形成されている第1表示板を形成する工程、
共通電極が形成されている第2表示板を形成する工程、
前記第1表示板及び前記第2表示板を合着する工程、
前記第1表示板及び前記第2表示板の間に液晶及び配向補助材を含む液晶層を形成する工程、
前記画素電極及び前記共通電極に電圧を印加する工程及び
前記画素電極及び前記共通電極に電圧を印加した状態で前記液晶層に光を照射する工程を含む液晶表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記配向補助材は、メソゲン及び前記メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記メソゲンは、ナフタレン、ビフェニル、ビスフェノールA、及びこれらにフッ素原子が結合された化合物から選択される少なくとも1つを含み、前記光重合基は、アクリル基及びメタクリル基から選択される少なくとも1つを含む請求項18に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記配向補助材は、非メソゲン及び前記非メソゲンに結合されている3つ以上の光重合基を含む第1配向補助材ならびにメソゲン及び前記メソゲンに結合されている2つ以上の光重合基を含む第2配向補助材を含む請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記第1表示板を形成する工程は、前記画素電極に微細枝形状の切開部を形成する工程を含む請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項22】
前記画素電極及び前記共通電極に電圧をオフする工程を含み、さらに前記画素電極及び前記共通電極に電圧をオフした状態で前記液晶層に光を照射する工程を含む請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項23】
前記配向補助材は、光によって重合された重合体及び未重合された単量体を含み、前記未重合された単量体は、前記配向補助材の含有量に対して5重量%以下で含まれる請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項24】
前記配向補助材を光によって重合する工程をさらに含む請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−39470(P2010−39470A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105028(P2009−105028)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】