説明

液晶表示装置

【課題】静電破壊を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【解決手段】絶縁基板と、絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出しゲート配線及びソース配線から離間したガードリング配線と、ソース配線とガードリング配線との間においてガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、ソース配線と第1配線との間において第1配線に最も近く第2方向に沿って延出した第2配線と、を備えた第1基板と、第1基板に対向した第2基板と、第1基板と第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、第1配線は、ガードリング配線及び第2配線から離間し、第1配線とガードリング配線との最短距離が第1配線と第2配線との最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、各種分野に適用されている。
【0003】
このような液晶表示装置において、製造過程あるいは製造後に帯電した静電気による静電破壊を防ぐために、基板周縁にガードリングを配置することが行われている。外部の静電気によって基板上に誘導された電荷はガードリングに集中し、他の配線に電荷が誘導されにくくなる。このため、液晶表示装置の故障の原因となる静電破壊が起こりにくくなる。しかしながら、ガードリングに誘導された電荷によって基板上の別の配線に電荷が誘導され、両者間に高電界が生じて放電が生じ、配線に接続されたスイッチング素子などが静電破壊されることがある。
【0004】
例えば、特許文献1によれば、基板端部に他の配線と電気的に絶縁されて配置されたガードリングを有する液晶表示装置用基板及びその製造方法が開示されている。特に、このガードリングは、第1の抵抗率を有する導電膜で形成された下層部と、この下層部の上に第1の抵抗率より低い第2の抵抗率を有する導電膜で形成され所定の間隔で内周部と外周部とに分離された上層部とを備えている。このような構成により、ガードリングに高電位の静電気が帯電すると、内周部と外周部との間でアーク放電が生じ、ガードリングに帯電した電位が低下し、カードリングと他の配線との間にはアーク放電が生じないようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−287159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、静電破壊を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記ソース配線と前記第1配線との間において前記第1配線に最も近く第2方向に沿って延出した第2配線と、を備えた第1基板と、前記第1基板に対向した第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配線は、前記ガードリング配線及び前記第2配線から離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記第1配線と前記第2配線との最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
この発明の他の態様によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記絶縁基板の端辺と前記ガードリング配線との間に配置され電気的にフローティング状態の金属パターンと、を備えた第1基板と、前記第1基板に対向した第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配線は、前記ガードリング配線及び前記金属パターンから離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記ガードリング配線と前記金属パターンとの最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0009】
この発明の他の態様によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記ソース配線と前記第1配線との間において前記第1配線に最も近く第2方向に沿って延出した第2配線と、前記絶縁基板の端辺と前記ガードリング配線との間に配置され電気的にフローティング状態の金属パターンと、を備えた第1基板と、前記第1基板に対向した第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配線は、前記ガードリング配線、前記第2配線、及び、前記金属パターンから離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記第1配線と前記第2配線との最短距離より長く、且つ、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記ガードリング配線と前記金属パターンとの最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、静電破壊を抑制することが可能な液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルを構成するアレイ基板の断面構造を概略的に示す図である。
【図4】図4は、図2に示した液晶表示パネルを構成するアレイ基板を概略的に示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示したガードリング配線と第1配線及び第2配線とを含む領域Aを拡大した図である。
【図6】図6は、図4に示したガードリング配線と金属パターンとを含む領域Bを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を模式的に示す図である。
【0014】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3などを備えている。
【0015】
液晶表示パネルLPNは、アレイ基板(第1基板)ARと、アレイ基板ARに対向して配置された対向基板(第2基板)CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えて構成されている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数)。
【0016】
駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3は、アレイ基板ARに実装され、画素PXの駆動に必要な信号を供給する信号供給源として機能する。
【0017】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0018】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。各画素PXは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、スイッチング素子SWに電気的に接続された画素電極PE、液晶層LQを介して画素電極PEと対向するコモン電位の共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。
【0019】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲート配線駆動回路GDに接続されている。このようなゲート配線駆動回路GDは、アクティブエリアACTを挟んで両側に形成されても良いが、図示した例では、一方の側にのみ形成されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソース配線駆動回路SDに接続されている。図示した例では、各補助容量線Cは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、アクティブエリアACTを挟んでゲート配線駆動回路GDとは反対側に形成された補助容量線駆動回路CDに接続されている。これらのゲート配線駆動回路GD、ソース配線駆動回路SD、及び、補助容量線駆動回路CDは、例えば、アレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と接続されている。
【0020】
図示した例では、駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側に実装されている。また、液晶表示パネルLPNには、フレキシブル配線基板を接続するための端子TA、TB、TCが形成されている。複数の端子TAは、端子TBと端子TCとの間に配置されており、各種配線を介して駆動ICチップ2に接続されている。端子TB及びTCは、液晶表示パネルLPNの周縁に配置されたガードリング配線GRに接続されている。ガードリング配線GRは、例えばコモン配線として機能し、共通電極CEと電気的に接続されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、横電界モードを適用した構成であっても良いし、縦電界モードを適用した構成であっても良い。横電界モードを適用した液晶表示パネルLPNは、アレイ基板ARが画素電極PE及び共通電極CEを備え、これらの間に形成される横電界(すなわち、基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。また、縦電界モードを適用した液晶表示パネルLPNは、アレイ基板ARが画素電極PEを備え、対向基板CTが共通電極CEを備え、これらの間に形成される縦電界(すなわち基板の主面に略垂直な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。
【0022】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの断面構造を概略的に示す図である。
【0023】
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス板などの光透過性を有する絶縁基板20を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、絶縁基板20の上面にスイッチング素子SWを備えている。ここに示したスイッチング素子SWは、トップゲート型の薄膜トランジスタ(TFT)である。このスイッチング素子SWは、半導体層SCを備えている。
【0024】
この半導体層SCは、例えば、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどによって形成可能であり、ここではポリシリコンによって形成されている。このような半導体層SCは、絶縁基板20の上に配置され、ゲート絶縁膜21によって覆われている。このゲート絶縁膜21は、絶縁基板20の上にも配置されている。
【0025】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、ゲート絶縁膜21の上に配置され、半導体層SCの直上に位置している。ゲート電極WGは、ゲート配線Gに電気的に接続されている。図示した例では、ゲート電極WGは、ゲート配線Gと一体的に形成されている。また、補助容量線Cは、ゲート電極WGと同層であるゲート絶縁膜21の上に配置されている。
【0026】
また、アクティブエリアACTの外側において、ガードリング配線GRは、ゲート電極WGと同層であるゲート絶縁膜21の上に配置されている。
【0027】
このようなゲート電極WG、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ガードリング配線GRは、第1層間絶縁膜22によって覆われている。この第1層間絶縁膜22は、ゲート絶縁膜21の上にも配置されている。これらのゲート絶縁膜21及び第1層間絶縁膜22は、例えば窒化シリコン(SiN)などの無機系材料によって形成されている。
【0028】
スイッチング素子SWのソース電極WS及びドレイン電極WDは、第1層間絶縁膜22の上に配置されている。これらのソース電極WS及びドレイン電極WDは、ゲート絶縁膜21及び第1層間絶縁膜22を貫通するコンタクトホールを介して半導体層SCにコンタクトしている。ソース電極WSは、ソース配線Sに電気的に接続されている。図示した例では、ソース電極WSは、ソース配線Sと一体的に形成されている。
【0029】
これらのゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDは、例えば、モリブデン、アルミニウム、タングステン、チタンなどの導電材料によって形成されている。ゲート電極WG、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ガードリング配線GRは、同一材料を用いて同一工程で形成される。ソース配線S、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDは、同一材料を用いて同一工程で形成される。
【0030】
ソース配線S、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDは、第2層間絶縁膜23によって覆われている。また、この第2層間絶縁膜23は、第1層間絶縁膜22の上にも配置されている。この第2層間絶縁膜23は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの各種有機材料によって形成されている。
【0031】
画素電極PEは、第2層間絶縁膜23の上に配置さている。この画素電極PEは、第2層間絶縁膜23を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極WDに接続されている。また、画素電極PEは、補助容量線Cの直上にも位置している。このような画素電極PEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されている。画素電極PE及び第2層間絶縁膜23は、第1配向膜24によって覆われている。
【0032】
なお、共通電極CEは図示されていないが、横電界モードを適用した構成では、アレイ基板ARが画素電極PEと電気的に絶縁された共通電極CEを備え、縦電界モードを適用した構成では、図示しない対向基板が共通電極CEを備えている。
【0033】
図4は、図2に示した液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARを概略的に示す平面図である。なお、この図4においては、アクティブエリアACTの詳細については図示を省略する。
【0034】
アレイ基板ARを構成する絶縁基板20は、略長方形状であり、第1方向Xに略平行な第1端辺20A及び第2端辺20B、第2方向Yに略平行な第3端辺20C及び第4端辺20Dを有している。このような絶縁基板20の上方には、ゲート配線G、補助容量線C、ソース配線S、ガードリング配線GR、ゲート配線駆動回路GD、ソース配線駆動回路SD、補助容量線駆動回路CD、端子TA、TB、TC、金属パターンMPなどが形成されている。
【0035】
ゲート配線G及び補助容量線Cは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線Sは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って延出している。ガードリング配線GRは、アクティブエリアACTの外側に配置され、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sから離間している。
【0036】
端子TA、TB、及び、TCは、絶縁基板20の第1端辺20Aの近傍に並んで配置されている。アレイ基板ARにおいて、第1端辺20AとアクティブエリアACTとの間には、駆動ICチップ2が実装されている。複数の端子TAと駆動ICチップ2との間には、両者を電気的に接続する配線W1が形成されている。
【0037】
ガードリング配線GRは、途切れていない一連のリングとして形成される場合もあるが、ここに示した例では、その一端が端子TBに接続されるとともにその他端が端子TCに接続されており、端子TBと端子TCとの間で途切れている。なお、ガードリング配線GRのパターンについては、図示した例に限らない。
【0038】
このガードリング配線GRは、絶縁基板20の各端辺の近傍に相当する周縁部に配置されている。すなわち、ガードリング配線GRは、第1端辺20Aの近傍の端子TBから駆動ICチップ2の外側を通り、第3端辺20Cの近傍において第2方向Yに沿って延出し、第2端辺20Bと第3端辺20Cとが交差する角部近傍を経由して、第2端辺20Bの近傍において第1方向Xに沿って延出し、第2端辺20Bと第4端辺20Dとが交差する角部近傍を経由して、第4端辺20Dの近傍において第2方向Yに沿って延出し、さらに、駆動ICチップ2の外側を通り、第1端辺20Aの近傍の端子TCまで連続的に形成されている。
【0039】
このようなガードリング配線GRの一部、たとえば、第2端辺20Bと第4端辺20Dとが交差する角部近傍には、図示しない対向基板CTに形成された共通電極CEと電気的に接続される給電部SPが形成される。この給電部SPは、共通電極CEと図示しない導電部材を介して電気的に接続される。
【0040】
ソース配線駆動回路SDは、アクティブエリアACTと第1端辺20Aとの間に形成され、ここでは、特に、アクティブエリアACTと駆動ICチップ2との間に形成されている。このソース配線駆動回路SDは、概ね第1方向Xに沿って延在している。このようなソース配線駆動回路SDには、アクティブエリアACTの外側に引き出されたソース配線Sが接続されている。ソース配線駆動回路SDと駆動ICチップ2との間には、両者を電気的に接続する配線W2が形成されている。
【0041】
ゲート配線駆動回路GDは、アクティブエリアACTと第3端辺20Cに沿ったガードリング配線GRとの間に形成されている。このゲート配線駆動回路GDは、概ね第2方向Yに沿って延在している。つまり、ガードリング配線GRは、ゲート配線駆動回路GDと第3端辺20Cとの間に形成されている。このようなゲート配線駆動回路GDには、アクティブエリアACTの外側に引き出されたゲート配線Gが接続されている。
【0042】
ゲート配線駆動回路GDと駆動ICチップ2との間には、両者を電気的に接続する配線W3が形成されている。このような配線W3は、ガードリング配線GRから離間し、しかもガードリング配線GRよりも内側、つまりアクティブエリアACT側に形成されている。
【0043】
配線W3には、アクティブエリアACTのソース配線Sとアクティブエリア外のガードリング配線GRとの間において第2方向Yに沿って延出した第1配線W31及び第2配線W32が含まれる。第1配線W31は、ガードリング配線GRから離間しているが、ガードリング配線GRに最も近い配線である。第2配線W32は、ソース配線Sと第1配線W31との間において第1配線W31に最も近い配線である。つまり、絶縁基板20の第3端辺20Cからゲート配線駆動回路GDに向かって、ガードリング配線GR、第1配線W31、第2配線W32の順に並んでいる。
【0044】
補助容量線駆動回路CDは、アクティブエリアACTと第4端辺20Dに沿ったガードリング配線GRとの間に形成されている。この補助容量線駆動回路CDは、概ね第2方向Yに沿って延在している。つまり、ガードリング配線GRは、補助容量線駆動回路CDと第4端辺20Dとの間に形成されている。このような補助容量線駆動回路CDには、アクティブエリアACTの外側に引き出された補助容量線Cが接続されている。
【0045】
補助容量線駆動回路CDと駆動ICチップ2との間には、両者を電気的に接続する配線W4が形成されている。このような配線W4も配線W3と同様に、ガードリング配線GRから離間し、しかもガードリング配線GRよりも内側、つまりアクティブエリアACT側に形成されている。
【0046】
配線W4にも、アクティブエリアACTのソース配線Sとアクティブエリア外のガードリング配線GRとの間において第2方向Yに沿って延出した第1配線W41及び第2配線W42が含まれる。この第1配線W41は先に説明した第1配線W31と同等であり、ガードリング配線GRから離間しているが、ガードリング配線GRに最も近い配線である。第2配線W42は先に説明した第2配線W32と同等であり、ソース配線Sと第1配線W41との間において第1配線W41に最も近い配線である。つまり、絶縁基板20の第4端辺20Dから補助容量線駆動回路CDに向かって、ガードリング配線GR、第1配線W41、第2配線W42の順に並んでいる。
【0047】
金属パターンMPは、絶縁基板20のいずれかの端辺とガードリング配線GRとの間に配置されている。このような金属パターンMPは、例えば、製造番号などが刻印されたマーク、アライメントに必要なマークなどであり、いずれの配線や回路にも接続されていない。つまり、金属パターンMPは、電気的にフローティング状態にある。図示した例では、金属パターンMPは、概略四角形状に形成され、第1端辺20Aと第3端辺20Cとが交差する角部近傍に配置されている。なお、金属パターンMPが配置される位置については、図示した例に限らない。
【0048】
次に、ガードリング配線GRとその内側の配線との位置関係について説明する。
【0049】
図5は、図4に示したガードリング配線GRと第1配線W31及び第2配線W32とを含む領域Aを拡大した図である。
【0050】
第1配線W31とガードリング配線GRとの最短距離dAは、第1配線W31と第2配線W32との最短距離dBよりも長い(dA>dB)。なお、ガードリング配線GR、第1配線W31、及び、第2配線W32は、同一層に配置されている場合(つまり、ゲート配線Gなどと同一層であるゲート絶縁膜21の上に配置されている場合)もあるし、異なる層に配置されている場合(つまり、いずれかの配線がゲート配線Gなどと同一層であり、別の配線がソース配線Sなどと同一層である場合)もある。いずれの場合においても、本実施形態において最短距離とは、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面内における配線間の間隔に相当する。
【0051】
図示した例では、最短距離dAは、ガードリング配線GRの第1配線W31と向かい合う端辺から、第1配線W31のガードリング配線GRと向かい合う端辺までの第1方向Xに沿った距離に相当し、また、最短距離dBは、第1配線W31の第2配線W32と向かい合う端辺から、第2配線W32の第1配線W31と向かい合う端辺までの第1方向Xに沿った距離に相当する。一例として、dAが約100μm程度であるのに対して、dBは約10μm程度である。
【0052】
なお、ここでは、ガードリング配線GRと第1配線W31及び第2配線W32との位置関係について図5を参照しながら説明したが、第4端辺20D側のガードリング配線GRと第1配線W41及び第2配線W42との位置関係についても同様であり、詳細な説明を省略する。
【0053】
次に、ガードリング配線GRとその外側の金属パターンMPとの位置関係について説明する。
【0054】
図6は、図4に示したガードリング配線GRと金属パターンMPとを含む領域Bを拡大した図である。
【0055】
ガードリング配線GRと金属パターンMPとの最短距離dCは、先に説明した第1配線W31とガードリング配線GRとの最短距離dAよりも短い(dA>dC)。なお、ガードリング配線GR、及び、金属パターンMPは、同一層に配置されている場合もあるし、異なる層に配置されている場合もある。いずれの場合においても、本実施形態において最短距離とは、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面内における間隔に相当する。
【0056】
図示した例では、最短距離dCは、ガードリング配線GRの金属パターンMPと向かい合う端辺から、金属パターンMPのガードリング配線GRと向かい合う端辺までの第1方向Xに沿った距離に相当する。一例として、dAが約100μm程度であるのに対して、dCは約20μm程度である。
【0057】
上述した構成のアレイ基板ARを適用した場合、外部の静電気によってアレイ基板AR上に誘導される電荷は、アレイ基板ARの周縁部に配置されたガードリング配線GRに集中する。
【0058】
本実施形態によれば、アレイ基板ARは、ガードリング配線GR、ガードリング配線GRの内側に隣接する配線、例えば第1配線W31、第1配線W31の内側に隣接する第2配線W32を備え、第1配線W31とガードリング配線GRとの間の最短距離dAは、第1配線W31と第2配線W32との間の最短距離dBよりも長い。つまり、第2配線W32は、第1配線W31から距離dAよりも小さい最短距離dBを隔てた位置に形成されている。
【0059】
これにより、ガードリング配線GRに誘導された電荷がガードリング配線GRの内側に誘導されたとしても、その電荷量を分散させることができる。つまり、第1配線W31や第2配線W32に電荷が誘導されるとしても、ガードリング配線GRから第1配線W31までの距離が長く、また、誘導された電荷は第1配線W31と第2配線W32とで分散されるため、結果として、第1配線W31や第2配線W32に誘導される電荷量が少なくなる。このため、ガードリング配線GRとその内側の配線との間に高電界が生じにくくなり、両者の間の放電が抑制され、第1配線W31や第2配線W32などの各種配線に接続された薄膜トランジスタなどを含む各種回路の静電破壊を抑制することが可能となる。
【0060】
同様に、ガードリング配線GRと第1配線W41との最短距離dAは、第1配線W41と第2配線W42との最短距離dBよりも長い。このため、第1配線W41及び第2配線W42に誘導される電荷量が少なくなり、同様の効果が得られる。
【0061】
また、本実施形態によれば、アレイ基板ARは、ガードリング配線GR、ガードリング配線GRの内側に隣接する配線、例えば第1配線W31、ガードリング配線GRの外側に隣接する金属パターンMPを備え、第1配線W31とガードリング配線GRとの間の最短距離dAは、ガードリング配線GRと金属パターンMPとの間の最短距離dCよりも長い。
【0062】
これにより、ガードリング配線GRに誘導された電荷は、その内側の第1配線W31よりもその外側の金属パターンMPに誘導されやすくなる。このため、ガードリング配線GRに誘導された電荷によって第1配線W31に誘導される電荷量を低減することができ、その一方で、ガードリング配線GRと金属パターンMPとの間での放電が発生しやすくなる。したがって、第1配線W31や第2配線W32などのガードリング配線GRよりも内側に配置された各種配線と、ガードリング配線GRとの間の放電が抑制され、第1配線W31や第2配線W32などの各種配線に接続された薄膜トランジスタなどを含む各種回路の静電破壊を抑制することが可能となる。
【0063】
同様に、ガードリング配線GRと第1配線W41との最短距離dAは、ガードリング配線GRと金属パターンMPとの最短距離dCよりも長い。このため、第1配線W41に誘導される電荷量を低減することができ、その一方で、ガードリング配線GRと金属パターンMPとの放電が発生しやすくなり、同様の効果が得られる。
【0064】
なお、ガードリング配線GRと金属パターンMPとの間の放電を誘起するために、ガードリング配線GRと金属パターンMPとが最短距離dCで並走する距離が長いことが望ましい。
【0065】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…液晶表示装置
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
ACT…アクティブエリア PX…画素
G…ゲート配線 C…補助容量線 S…ソース配線
GD…ゲート配線駆動回路 SD…ソース配線駆動回路 CD…補助容量線駆動回路
TA…端子 TB…端子 TC…端子
GR…ガードリング配線
MP…金属パターン
W31…第1配線 W32…第2配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記ソース配線と前記第1配線との間において前記第1配線に最も近く第2方向に沿って延出した第2配線と、を備えた第1基板と、
前記第1基板に対向した第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1配線は、前記ガードリング配線及び前記第2配線から離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記第1配線と前記第2配線との最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記絶縁基板の端辺と前記ガードリング配線との間に配置され電気的にフローティング状態の金属パターンと、を備えた第1基板と、
前記第1基板に対向した第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1配線は、前記ガードリング配線及び前記金属パターンから離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記ガードリング配線と前記金属パターンとの最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において第1方向に沿って延出したゲート配線と、前記絶縁基板の上方において第1方向に交差する第2方向に沿って延出したソース配線と、少なくとも第2方向に沿って延出し前記ゲート配線及び前記ソース配線から離間したガードリング配線と、前記ソース配線と前記ガードリング配線との間において前記ガードリング配線に最も近く第2方向に沿って延出した第1配線と、前記ソース配線と前記第1配線との間において前記第1配線に最も近く第2方向に沿って延出した第2配線と、前記絶縁基板の端辺と前記ガードリング配線との間に配置され電気的にフローティング状態の金属パターンと、を備えた第1基板と、
前記第1基板に対向した第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1配線は、前記ガードリング配線、前記第2配線、及び、前記金属パターンから離間し、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記第1配線と前記第2配線との最短距離より長く、且つ、前記第1配線と前記ガードリング配線との最短距離が前記ガードリング配線と前記金属パターンとの最短距離より長いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2基板は、前記ガードリング配線と電気的に接続された共通電極を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1基板は、さらに、第2方向に沿って延在した駆動回路を備え、
前記ガードリング配線は、前記駆動回路と第2方向に沿った前記絶縁基板の端辺との間に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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