説明

液晶表示装置

【課題】
実機のファンなどの風が液晶表示装置裏面から吹き付けられた場合でも、液晶表示装置内部に塵埃が侵入することを防止し、表示品質の低下を抑制した液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】
液晶パネルLCPと、該液晶パネルを照明するバックライトとを、該液晶パネルの表面の周縁部から該バックライトの側面に掛けて被せた上フレームUFRで一体化した液晶表示装置において、該バックライトの内部に配置された光源に給電するケーブルCAは、該バックライトの側面(サイドモールド,SMD)と該上フレームUFRとの間から引き出され、該ケーブルCAの引き出し部をカバーシートCSで覆ったことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に、液晶パネルと、該液晶パネルを照明するバックライトとを、該液晶パネルの表面の周縁部から該バックライトの側面に掛けて被せた上フレームで一体化した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、パソコンやテレビのモニタだけでなく、医療用の表示装置など、各種の用途に幅広く利用されている。液晶表示装置は、液晶パネルとバックライトとを、上フレームを被せて一体化しており、該上フレームを実機のフレームやボディの所定位置にネジ等で取付け・固定している。
【0003】
液晶表示装置においては、バックライトの内部空間や、液晶パネルとバックライトとの隙間などに塵や埃が入り易い。特に、顧客実機に実装されているファンの影響により、液晶表示装置裏面(バックライト裏面)から塵埃が侵入し、表示品質を低下させる問題があった。
【0004】
一方、特許文献1に示すように、液晶パネルとバックライトとの間に出来る僅かの隙間から塵埃が侵入するのを防止するため、液晶パネルの表示面の周縁部からバックライトの側面を覆うように防塵テープを貼り付けることが行われている。
【0005】
しかしながら、バックライトの内部には光源が配置され、光源への給電ケーブルをバックライトの外部へ導出する必要がある。しかも、冷陰極蛍光管(CCFL)などのように高電圧を利用する光源では、光源と外部の回路基板とを接続するケーブルの太さも大きくなり、蛍光管の数に応じてケーブル数も増加する。このため、防塵テープによる封止では十分な防塵対策を施すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−171877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、実機のファンなどの風が液晶表示装置裏面から吹き付けられた場合でも、液晶表示装置内部に塵埃が侵入することを防止し、表示品質の低下を抑制した液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者が、液晶表示装置における塵埃の侵入経路を鋭意調査し分析を行った結果、液晶表示装置に使用しているCCFL直下型バックライトでは、CCFLのケーブルの引き出し部に空間が開いており、この部分にファンの風が吹き込むと風と共に塵埃が侵入する場合があることが分かった。また、インバータ回路は放熱性を考慮し、セルスペーサ等を使用して下フレームと間隔を空けて実装しているためにこのすき間からも、ファンの風と共に塵埃が侵入する場合があることが分かった。
【0009】
このような塵埃の侵入経路を塞ぐため、本発明では以下のような手段が利用可能である。
(1) 液晶パネルと、該液晶パネルを照明するバックライトとを、該液晶パネルの表面の周縁部から該バックライトの側面に掛けて被せた上フレームで一体化した液晶表示装置において、該バックライトの内部に配置された光源に給電するケーブルは、該バックライトの側面と該上フレームとの間から引き出され、該ケーブルの引き出し部をカバーシートで覆ったことを特徴とする。
【0010】
(2) 上記(1)に記載の液晶表示装置において、該光源は冷陰極蛍光管であり、該バックライトの裏面には、インバータ基板又は接地基板が配置されていることを特徴とする。
【0011】
(3) 上記(2)に記載の液晶表示装置において、該ケーブルが接続されるコネクタが該インバータ基板又は該接地基板に設けられ、該カバーシートは、該ケーブルの引き出し部から該コネクタまでを少なくとも覆うように配置されていることを特徴とする。
【0012】
(4) 上記(3)に記載の液晶表示装置において、該インバータ基板は外部の電気回路に接続されるインターフェース用コネクタを有し、該カバーシートは、該インターフェース用コネクタの差し込み口を除いて該インバータ基板全体を覆うように配置されていることを特徴とする。
【0013】
(5) 上記(2)乃至(4)のいずれかに記載の液晶表示装置において、該インバータ基板は該バックライトの裏面から離間して配置され、該インバータ基板と該バックライトとの間には、クッションスペーサが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のように、バックライトの内部に配置された光源に給電するケーブルは、該バックライトの側面と上フレームとの間から引き出され、該ケーブルの引き出し部をカバーシートで覆うため、引き出し部に出来た隙間(空間)を通じて液晶表示装置内部に塵埃が侵入することを防止することができる。しかも、ケーブルが接続されるコネクタがインバータ基板又は該接地基板に設けられ、該カバーシートは、該ケーブルの引き出し部から該コネクタまでを少なくとも覆うよう構成することで、引き出し部に至る塵埃の侵入経路を確実に遮断することが可能となる。
【0015】
また、インバータ基板とバックライトとの間には、クッションスペーサを配置することにより、これらの隙間から引き出し部に至る塵埃の侵入経路も確実に遮断することができ、画像の表示品質の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液晶表示装置の裏側(バックライト側)から見た平面図である。
【図2】図1における一点鎖線A−A’における断面図である。
【図3】インバータ基板に対するカバーシートの貼り付け仕様1を説明する図である。
【図4】インバータ基板に対するカバーシートの貼り付け仕様2を説明する図である。
【図5】インバータ基板に対するカバーシートの貼り付け仕様3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の液晶表示装置について、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置を裏側(バックライト側)から見た平面図であり、図2は、図1の一点鎖線A−A’における断面図を示す概略図である。
【0018】
本発明の液晶表示装置は、図1及び2に示すように、液晶パネルLCPと、該液晶パネルを照明するバックライトとを、該液晶パネルの表面の周縁部から該バックライトの側面に掛けて被せた上フレームUFRで一体化した液晶表示装置において、該バックライトの内部に配置された光源に給電するケーブルCAは、該バックライトの側面(サイドモールド,SMD)と該上フレームUFRとの間から引き出され、該ケーブルCAの引き出し部をカバーシートCSで覆ったことを特徴とする。
【0019】
液晶表示装置は、図2に示すように、液晶パネルLCPとバックライトとを一体化したものである。バックライトは、下フレームSFRとサイドモールドSMDで構成される枠体の内部に、光源となる冷陰極蛍光管(不図示)が複数本へ並列に配置される。光源は冷陰極蛍光管に限らず、外部電極蛍光管や発光ダイオードなど各種の光源が利用可能である。また、光源の配置も、液晶パネルの直下に限らず、液晶パネルの裏側の側辺部であっても良い。ただし、冷陰極蛍光管を直下型で配置する場合には、高電圧を給電するケーブルを複数本、バックライトのサイドモールドSMDと上フレームUFRとの間から引き出す必要があり、本発明を適用することがより好ましい。
【0020】
光源として蛍光管を使用する場合には、下フレームSFRから所定距離離間した位置(図2のSFRから下方向に離れた場所)に蛍光管を図2の横方向に配置している。蛍光管と下フレームSFRとの間には、反射シートが配置され、さらに蛍光管と液晶パネルとの間には、光源からの放射光を拡散・収束して均一な照明光を得るための光学シートOSが配置されている。
【0021】
光源に給電するケーブルCAは、サイドモールドの外側側面からバックライトの外側に導出され、バックライトの下フレームSFRの裏面に固定された接地基板GCBに設けられたコネクタCACや、インバータ基板ICBに設けられたコネクタCACに接続される。インバータ基板ICBは放熱効果を高めるため、セルスペーサSPを用いて下フレームSFRから離間して配置されている。
【0022】
液晶パネルLCPとバックライトとの一体化は、液晶パネルLCPをモールドMLと上フレームUFRとで液晶パネルLCPの周縁部を挟持し、さらに、モールドML及び上フレームUFRをバックライトに被さるように配置・固定することで両者の一体化を行う。
【0023】
液晶表示装置の裏面には、インバータ基板ICBを覆うようにインバータカバーICRが配置されている。
【0024】
ケーブルCAがバックライトのサイドモールドSMDと上フレームUFRとの間から引き出される場合には、サイドモールドSMDと上フレームUFRとの間に隙間が形成される。今、矢印AやBの方向に空気が移動する場合には、塵埃は、サイドモールドSMDと上フレームUFR(モールドML)との間を通過し、点線矢印aやbのように、サイドモールドSMDと光学シートOSとの間からバックライトの内部へと移動する。また、光学シートOSとモールドMLとの隙間、あるいは、モールドMLと上フレームUFRとの隙間などを経て、液晶パネルLCPと光学シートOSとの間に、塵埃が入り込む。
【0025】
また、矢印Cのように空気が移動すると、下フレームSFRとインバータ基板ICBとの間を通過して塵埃が移動し、矢印Aの場合と同様に、バックライトの内部等に塵埃が入り込む。
【0026】
このような不具合を解消するため、本発明の液晶表示装置は、図1又は2に示すように、カバーシートCSを配置し、ケーブルCAの引き出し部をカバーシートCSで覆うよう構成している。さらに、インバータ基板ICBと下フレームUFRとの間には、クッションスペーサを配置し、矢印Cで示す空気が、ケーブルの引き出し部に入り込まないように設定している。
【0027】
カバーシートCSとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートなど電気的絶縁性があり、耐熱性に優れた材料が好適に使用可能である。例えば、0.1mm以下の厚みのPETシートを用いることで、インバータ基板や接地基板、あるいは上フレームUFRやモールドMLに沿ってカバーシートを曲げて密着させるなど、加工性も良好となる。カバーシートCSは、両面テープを使用してインバータ基板や上フレームなどに接着される。
【0028】
インバータ基板上には電子部品が配置されているため、これらの電子部品の数や配置により、図3乃至6に示すように、カバーシートの貼り付け仕様1〜3を選択することができる。
【0029】
図3は、ケーブルCAが接続されるコネクタCACがインバータ基板ICB又は接地基板GCBに設けられ、カバーシートCSは、ケーブルCAの引き出し部から該コネクタCACまでを覆うように配置されている。接地基板GCB側はコネクタCAC以外の実装部品が殆ど無いため、ケーブル接続用コネクタCACを包み込むように、カバーシートCSを接地基板GCBに貼り付けることが可能である。
【0030】
しかし、インバータ基板ICBにはトランス他の回路部品が高密度で実装されており、カバーシートCSをインバータ基板ICBに貼り付けるスペースが無いために、ケーブル接続用コネクタCACに貼り付けている。このためコネクタとコネクタの間に僅かであるが塵埃侵入の隙間が残ってしまう。
【0031】
図4はカバーシートの貼り付け仕様2を示す図であり、ケーブル接続用コネクタCAC間の隙間を塞ぐために、カバーシートCSに凹凸を設けた仕様である。凸部は基板に接着されるため、コネクタCAC間に入り込み隙間を塞ぐことが可能となる。さらに、この仕様を実現できないほどインバータ基板の部品実装が高密度となった場合には、図5に示すようにインバータ基板ICB全体をカバーシートで覆うことも可能である。ただし、インバータ基板ICBは外部の電気回路に接続されるインターフェース用コネクタIFCを有しているため、インターフェース用コネクタIFCの差し込み口を除いて、カバーシートCSがインバータ基板ICB全体を覆うように配置されている。なお、図5(a)の一点鎖線A−A’における断面の概略図を図5(b)に示す。
【0032】
本発明の液晶表示装置では、図2や図5(b)の符号CSPで示すように、インバータ基板ICBと下フレームUFRとの間の隙間を塞ぐために、クッションスペーサを配置している。クッションスペーサの材料は、電気的絶縁性があり、耐熱性が優れており、さらに弾性変形して隙間を塞ぐことができ、塵埃を通過させないような材料であれば、特に制限されない。
【0033】
以上では、本発明の構成について、液晶表示装置を中心に説明したが、本発明は、液晶表示装置以外であっても、製品内部と外付け基板をケーブル接続するような仕様において塵埃侵入を防止する際に、その構成を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明によれば、実機のファンなどの風が液晶表示装置裏面から吹き付けられた場合でも、液晶表示装置内部に塵埃が侵入することを防止し、表示品質の低下を抑制した液晶表示装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
CA ケーブル
CAC コネクタ
CS カバーシート
CSP クッションスペーサ
ICB インバータ基板
ICR インバータカバー
LCP 液晶パネル
ML モールド
OS 光学シート
SFR 下フレーム
SMD サイドモールド
SP スペーサ
UFR 上フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、該液晶パネルを照明するバックライトとを、該液晶パネルの表面の周縁部から該バックライトの側面に掛けて被せた上フレームで一体化した液晶表示装置において、
該バックライトの内部に配置された光源に給電するケーブルは、該バックライトの側面と該上フレームとの間から引き出され、
該ケーブルの引き出し部をカバーシートで覆ったことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、該光源は冷陰極蛍光管であり、該バックライトの裏面には、インバータ基板又は接地基板が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶表示装置において、該ケーブルが接続されるコネクタが該インバータ基板又は該接地基板に設けられ、該カバーシートは、該ケーブルの引き出し部から該コネクタまでを少なくとも覆うように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液晶表示装置において、該インバータ基板は外部の電気回路に接続されるインターフェース用コネクタを有し、該カバーシートは、該インターフェース用コネクタの差し込み口を除いて該インバータ基板全体を覆うように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の液晶表示装置において、該インバータ基板は該バックライトの裏面から離間して配置され、該インバータ基板と該バックライトとの間には、クッションスペーサが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93659(P2012−93659A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242940(P2010−242940)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】