液晶装置、その駆動方法、及び電子機器
【課題】重み付けサブフィールド駆動で直流成分の残留を回避する。
【解決手段】液晶装置100は、信号線12と走査線11との交差に対応して各々設けられた画素回路PIXを含む。画素回路PIXは、選択スイッチTSLを介して信号線12に接続される画素電極41を含む。また液晶装置100は、各書込期間にて、VdataH又はVdataHを信号線12に供給する信号線駆動回路22と、書込期間H毎に走査線11を順次選択して選択スイッチTSLをオン状態にする走査線駆動回路21と、容量電位線駆動回路23とを含む。容量電位線駆動回路23は、VcomL又はVcomHを容量電位Vcom[m]とし、各サブフィールドSFでは、書込期間H[m]が終了するとVcom[m]の極性を反転し、最後のサブフィールドSF4では、書込期間H[m-1]の開始時にVcom[m]の極性を再度反転する。
【解決手段】液晶装置100は、信号線12と走査線11との交差に対応して各々設けられた画素回路PIXを含む。画素回路PIXは、選択スイッチTSLを介して信号線12に接続される画素電極41を含む。また液晶装置100は、各書込期間にて、VdataH又はVdataHを信号線12に供給する信号線駆動回路22と、書込期間H毎に走査線11を順次選択して選択スイッチTSLをオン状態にする走査線駆動回路21と、容量電位線駆動回路23とを含む。容量電位線駆動回路23は、VcomL又はVcomHを容量電位Vcom[m]とし、各サブフィールドSFでは、書込期間H[m]が終了するとVcom[m]の極性を反転し、最後のサブフィールドSF4では、書込期間H[m-1]の開始時にVcom[m]の極性を再度反転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置の駆動では、直流成分の残留による液晶素子の劣化を抑制するために液晶素子の印加電圧の極性を繰り返し反転させる交流駆動が一般的である。この交流駆動の方法として、特許文献1には、信号線に信号を供給して液晶素子の画素電極に電位を書き込む信号線駆動回路の出力レンジを縮小し、消費電力を抑制するために、画素電極に書き込んだ電位を容量結合によって変動させて液晶素子の印加電圧を所望の電圧とする駆動方法が記載されている。以降、この駆動方法を「容量線駆動」と呼ぶ。特許文献1に記載の容量線駆動では、液晶素子の印加電圧の極性は、画素電極への電位の書き込み毎に反転する。
【0003】
一方、液晶装置の駆動方法として、1フレームを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドでは二つの電圧(絶対値)のうちの何れか一方を液晶素子に印加することにより、液晶素子に多階調を表示させるサブフィールド駆動が知られている。特許文献2には、このサブフィールド駆動の一種であり、サブフィールドの数を減らすために、1フレームに含まれる複数のサブフィールドの長さが互いに異なるようにした駆動方法が記載されている。以降、この駆動方法を、「重み付けサブフィールド駆動」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−196358号公報
【特許文献2】特開2003−114661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の容量線駆動の利点と重み付けサブフィールド駆動の利点との両方を得るために、両駆動を組み合わせることを想定する。この場合、1フレームあたりのサブフィールド数が偶数の場合に問題が生じる。この問題について、図28を参照して説明する。この説明では、両駆動を組み合わせた液晶装置を「従来の液晶装置」と呼ぶ。
【0006】
図28には、従来の液晶装置において、1フレームあたりのサブフィールド数が4の場合、かつ、第0階調から第15階調までの計16階調を表示する場合の、ノーマリーブラックの液晶素子に対する電圧印加パターンが、第kフレームと第k+1フレームとにわたって示されている。各階調に対応する式は、その階調を第kフレーム及び第k+1フレームにわたって表示させる場合に当該液晶素子40に印加される正電圧の時間積分値(絶対値)と負電圧の時間積分値(絶対値)との比較式である。
【0007】
特許文献1に記載の容量線駆動では、液晶素子の印加電圧の極性は、画素電極への電位の書き込み毎に反転する。一方、サブフィールド駆動では、画素電極への電位の書き込みはサブフィールド毎に行われる。よって、従来の液晶装置では、図28に示すように、液晶素子の印加電圧の極性がサブフィールド毎に反転することになる。つまり、液晶素子の印加電圧の極性が正極性(+)のサブフィールドと液晶素子の印加電圧の極性が負極性(−)のサブフィールドとが交互に並ぶことになる。
【0008】
したがって、第kフレーム内のあるサブフィールドに係る極性と、当該サブフィールドと同じ長さの、第k+1フレーム内のサブフィールドに係る極性は、1フレームあたりのサブフィールド数が奇数の場合には反転の関係になるが、偶数の場合には反転の関係にならない。例えば、第7階調に注目した場合、サブフィールドSF1に係る印加電圧は第kフレームでも第k+1フレームでも+5Vである。したがって、1フレームあたりのサブフィールド数が偶数の場合には、図28に示すように、第0階調を除き、比較式が不等式となってしまう。
【0009】
これは、第0階調を除き、直流成分が残留することを意味する。直流成分の残留は液晶素子の劣化を速める要因となる。
そこで、本発明は、容量線駆動と重み付けサブフィールド駆動との両方を採用しつつ、単位期間あたりのサブフィールド数が偶数であっても、直流成分の残留を回避することができる液晶装置、その駆動方法、及び電子機器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶装置の駆動方法は、信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転することを特徴とする。
この駆動方法によれば、単位期間を構成する各サブフィールド期間では、書込期間が終了すると容量電位の極性を反転し、単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、容量電位の極性を再度反転する処理(第1処理)が行われるから、単位期間に含まれるサブフィールド期間の数をq(偶数)とした場合、容量電位の極性は、各単位期間においてq+1(奇数)回ずつ反転する。つまり、隣り合う二つの単位期間の間で、長さが等しい対応するサブフィールド期間における容量電位の反転方向が逆向きとなる。よって、隣り合う二つの単位期間では、液晶素子への印加電圧の直流成分が打ち消される。すなわち、この駆動方法によれば、直流成分の残留を回避することができる。
なお、「極性反転」とは、容量電位が2値の電位を取る場合に、両方の電位の平均電位を基準として高電位を正極性、低電位を負極性としたとき、容量電位を、正極性から負極性へあるいは負極性から正極性に遷移させることをいう。
【0011】
本発明に係る別の液晶装置の駆動方法は、信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しないことを特徴とする。
この駆動方法によれば、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない処理(第2処理)が行われるから、単位期間に含まれるサブフィールド期間の数をq(偶数)とした場合、容量電位の極性は、各単位期間において2×q−1(奇数)回ずつ反転する。つまり、隣り合う二つの単位期間の間で、長さが等しい対応するサブフィールド期間における容量電位の反転方向が逆向きとなる。よって、隣り合う二つの単位期間では、液晶素子への印加電圧の直流成分が打ち消される。すなわち、この駆動方法によれば、直流成分の残留を回避することができる。
【0012】
本発明に係る液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、低位側電位と高位側電位とのうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線に各々供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する容量電位線駆動回路とを備えることを特徴とする。
この液晶装置では、第1処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。
また、書込期間が終了すると行われる容量電位の極性の反転の方向(プッシュ方向)がサブフィールド期間毎に異なる場合、各サブフィールド期間において、隣り合う行間で画素電極の電位が大きく異なる箇所(図14参照)が表示領域を走査することになり、コントラスト低下等の表示品位の低下を招くが、第1処理では、プッシュ方向が、ある単位期間の最後のサブフィールド期間と、次の単位期間の最初のサブフィールド期間との間で一致するから、上記の箇所による走査の回数が減る。つまり、この液晶装置によれば、表示品位を向上させることができる。
ところで、この液晶装置であっても、一つのフレームに注目すれば、直流成分が残留する。しかし、第1処理では、プッシュ方向が原則としてサブフィールド期間毎に反転するから、一つの単位期間に注目した場合でも、残留する直流成分の最大値(絶対値)を小さく抑制することができる。これは、液晶素子の劣化の抑制に寄与する。
【0013】
本発明に係る別の液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない容量電位線駆動回路とを備えることを特徴とする。
この液晶装置では、第2処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。また、第2処理では、プッシュ方向が単位期間内で共通となるから、隣り合う行間で画素電極の電位が大きく異なる箇所(図14参照)による走査の回数が大幅に減る。したがって、この液晶装置によれば、表示品位を大幅に向上させることができる。
【0014】
本発明に係るさらに別の液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路とを備え、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給する第1処理と第2処理とのうち一方を選択的に実行する容量電位線駆動回路とを備え、前記第1処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転し、前記第2処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しないことを特徴とする。
この液晶装置では、第1処理又は第2処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。また、この液晶装置には、容量電位線駆動回路に実行される処理が、表示する画像の種類に基づいて選択される液晶装置も含まれる。そのような液晶装置としては、焼きつきが生じ難い動画像を表示する場合には第2処理を実行し、焼きつきが生じ易い静止画像を表示する場合には第1処理を実行する液晶装置や、焼きつきが生じ難い自然画像(例えば写真)を表示する場合には第2処理を実行し、焼きつきが生じ易いコンピュータグラフィックス(例えばメニュー画像)を表示する場合には第1処理を実行する液晶装置を例示可能である。
【0015】
ところで、第1処理としては、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転した後の時点であって、当該最後のサブフィールド期間の終了から前記書込期間の長さだけ前の時点から、当該最後のサブフィールド期間の終了までの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する処理が好ましい。この処理によれば、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することができる。また、第2処理としては、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転した後の時点であって、当該サブフィールド期間の終了から前記書込期間の長さだけ前の時点から、当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する処理が好ましい。この処理によれば、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することができる。
【0016】
上記の各液晶装置において、第1の極性信号と第2の極性信号とを生成する極性信号生成回路を備え、前記容量電位線駆動回路は、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第1の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択し、当該行の書込期間においては、直前の容量電位を保持し、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第2の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択するようにしてもよい。この液晶装置によれば、第1の極性信号と第2の極性信号とを適切に定めるだけで、容量電位を適切に変動させることができる。
【0017】
この液晶装置の構成としては、前記容量電位線駆動回路が、前記複数の容量電位線の各々に設けられたサンプリング回路と、前記サンプリング回路の出力信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位との一方を選択する選択回路とを備え、前記サンプリング回路は、前記第1の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が第1ノードと接続される第1スイッチと、前記第1ノードが一方の端子に接続される第2スイッチと、前記第2の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が前記第1ノードに接続される第3スイッチと、前記第1ノードに入力端子が接続され出力端子に第2ノードが接続されるバッファ回路と、前記第2ノードと一方の端子が接続され他方の端子が前記第2スイッチの他方の端子と接続される第4スイッチとを備え、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第1スイッチと前記第2スイッチとは排他的にオン状態となり、前記第3スイッチと前記第4スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第3スイッチと前記第4スイッチとは排他的にオン状態となるものが挙げられる。
【0018】
この構成によれば、複数の走査線の選択方向が切り換わっても、第1の極性信号と第2の極性信号とを入れ替えるだけで容量電位を適切に変動させることができる。したがって、この構成の液晶装置に、前記複数の走査線の選択方向に同期して前記第1の極性信号及び前記第2の極性信号を入れ替える極性信号供給回路を設ければ、容量電位線駆動回路は、複数の走査線の選択方向を示す信号の供給を受けずとも、複数の走査線の選択方向に同期して容量電位を変動させることができる。
【0019】
上記の各液晶装置は各種の電子機器に利用される。電子機器の典型例は、液晶装置を表示装置として利用した機器である。具体的には携帯電話機や携帯情報端末が本発明の電子機器として例示される。また、光源からの出射光を変調する光変調体として以上の各態様の液晶装置を利用した投写型表示装置も本発明の電子機器の概念に包含される。投写型表示装置は、光線を出射する光源と、光源からの出射光を変調する以上の各態様の液晶装置と、液晶装置による変調光を投射面に投射する光学系とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】液晶装置100内の画素回路PIXの構成を示す回路図である。
【図3】画素回路PIXの動作(書込)を説明するための図である。
【図4】画素回路PIXの動作(極性反転)を説明するための図である。
【図5】液晶装置100内の信号線駆動回路22の構成を示すブロック図である
【図6】液晶装置100内の単位回路R[m]の構成を示すブロック図である。
【図7】単位回路R[m]の動作(第m−1行選択時)を説明するための図である。
【図8】単位回路R[m]の動作(第m行選択時)を説明するための図である。
【図9】単位回路R[m]の動作(第m+1行選択時)を説明するための図である。
【図10】単位回路R[m]の動作(第m+1行の次の行選択時)を説明するための図である。
【図11】単位回路R[m]の入出力特性を示す図である。
【図12】液晶装置100の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図13】液晶装置100の利点を示す概念図である。
【図14】液晶装置100の他の利点を示す概念図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る液晶装置200の構成を示すブロック図である。
【図16】液晶装置200の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図17】液晶装置200の他の利点を示す概念図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る液晶装置300の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る液晶装置400の構成を示すブロック図である。
【図20】液晶装置400内の走査線駆動回路71の構成を示すブロック図である
【図21】液晶装置400内の極性信号供給回路72の構成を示す回路図である
【図22】液晶装置400の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図23】本発明の第5実施形態に係る液晶装置500の構成を示すブロック図である。
【図24】液晶装置500の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図25】本発明に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る別の電子機器の外観を示す斜視図である。
【図27】本発明に係る更に別の電子機器の外観を示す斜視図である。
【図28】従来の液晶装置の欠点を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<1:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の構成を示すブロック図である。液晶装置100は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、複数の画素回路PIXが平面状に配列された素子部(表示領域)10と、各画素回路PIXを交流駆動する駆動回路20と、駆動回路20を制御する制御回路30とを備える。駆動回路20は、走査線駆動回路21と信号線駆動回路22と容量電位線駆動回路23とを備える。後に詳述するが、上記の交流駆動では、各画素回路PIXに含まれる液晶素子の印加電圧の極性(正極性/負極性)がサブフィールド単位で反転し得る。
【0022】
素子部10には、X方向に延在するM本の走査線11と、X方向に交差するY方向に延在するN本の信号線12とが形成される(MおよびNは2以上の自然数)。複数の画素回路PIXは、各走査線11と各信号線12との交差に対応して配置されて縦M行×横N列の行列状に配列する。また、素子部10には、各走査線11に対応してX方向に延在するM本の容量電位線13とが形成される。
【0023】
制御回路30は、液晶装置100の動作を規定する各種の信号や電位を生成して駆動回路20に供給する。具体的には、制御回路30は、第1クロック信号CLK1と、第1開始パルスSP1とを生成して走査線駆動回路21に供給し、画像信号DATAと、第2開始パルスSP2と、第2クロック信号CLK2と、ラッチパルスLPとを生成し、信号線駆動回路22に供給し、高位側電位VcomH(1.25V)及び低位側電位VcomL(−1.25V)を生成して容量電位線駆動回路23に供給し、共通電位LCCOM(0V)を生成して共通電極42に供給する。
【0024】
第1開始パルスSP1は、一定周期のパルスであり、その電位は、各周期において、先頭の一定長の期間ではアクティブレベル(オン電位Von)を維持し、他の期間では非アクティブレベル(オフ電位Voff)を維持する。第1開始パルスSP1の周期は、各画素回路PIXが画素の階調を表示する単位期間(フレーム)の長さと一致する。画像信号DATAでは、各画素回路PIXの液晶素子の階調(白階調/黒階調)を指定する階調データが、行毎に昇順に並び、各行においては列毎に昇順に並ぶ。
【0025】
また、制御回路30は極性信号生成回路31を備える。極性信号生成回路31は、液晶素子40の印加電圧の極性を指定する第1の極性信号POL1及び第2の極性信号POL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。極性信号POL1及び極性信号POL2は電圧信号であり、各信号の電位は、正電位であるVHとVHの極性を反転したVLとの間で遷移する。この例では、極性信号POL1の電位と極性信号POL2の電位は、常に極性が逆である。つまり、極性信号POL1の電位がVHのときには、極性信号POL2の電位はVLであり、極性信号POL1の電位がVLのときには、極性信号POL2の電位はVHである。
【0026】
走査線駆動回路21は、M本の走査線11を、第1行から第M行への方向(順方向)へ、所定の期間(以下「書込期間」という)毎に順次に選択する。走査線駆動回路21は、例えばM+2段のシフトレジスタであり、第1開始パルスSP1を第1クロック信号CLK1で指定されるタイミングで次段へ転送することによって走査信号G[0]〜G[M+1]を生成し、そのうちの走査信号G[1]〜G[M]を各走査線11に出力することにより、上記の選択を行う。
【0027】
なお、走査信号G[0]及びG[M+1]は、走査線11に出力されることのないダミー信号であり、容量電位線駆動回路23に供給される。以降、走査信号G[0]〜G[M+1]のうち、走査信号G[0]のみがオン電位Vonの期間を「書込期間H[0]」と呼び、走査信号G[M+1]のみがオン電位Vonの期間を「書込期間H[M+1]」と呼ぶ。
【0028】
信号線駆動回路22は、走査線駆動回路21による各走査線11の選択に同期して、N本の信号線12の電位を制御する。具体的には、画像信号DATAと第2開始パルスSP2と第2クロック信号CLK2とラッチパルスLPとに基づいて、書込期間H[m]にて、第m行の各画素回路PIXの液晶素子の階調(白階調/黒階調)を指定する階調信号S[1]〜S[N]を、各信号線12に供給する。階調信号S[n]の電位Vdataは、第1電位VdataH(2.5V)と第2電位VdataL(−2.5V)との何れか一方である。
【0029】
容量電位線駆動回路23は、走査線駆動回路21による各走査線11の選択に同期して、M本の容量電位線13の電位(以下「容量電位」という)Vcom[1]〜Vcom[M]を制御する。具体的には、走査信号G[0]〜G[M+1]と極性信号POL1と極性信号POL2とに基づいて、容量電位線13毎に高位側電位VcomH及び低位側電位VcomLのうち一方を選択し、選択した電位を対応する容量電位線13へ供給する。
【0030】
図2は、各画素回路PIXの構成を示す回路図である。図2においては、第m行(m=1〜M)第n列(n〜1〜N)に位置する1個の画素回路PIXが代表的に図示されている。図2に示すように、画素回路PIXは、液晶素子40と選択スイッチTSLと蓄積容量CSとを備える。選択スイッチTSLは、例えば素子基板の面上に形成された任意の導電型の薄膜トランジスタで構成される。第m行の各画素回路PIXにおける選択スイッチTSLのゲートは、第m行に対応する走査線11に共通に接続される。
【0031】
液晶素子40は、画素電極41と共通電極(対向電極)42と両電極間の液晶43とで構成される液晶素子である。画素電極41は、素子基板(図示略)の面上に画素回路PIX毎に独立に形成され、共通電極42は、素子基板に対向する対向基板(図示略)の面上に複数の画素回路PIXにわたって共通に形成される(図1参照)。共通電極42には、固定の共通電位LCCOM(0V)が供給される。画素電極41と共通電極42との間の液晶43は、両電極間の電圧に応じて階調(透過率や反射率)が変化する。液晶43は、垂直配向型(VA(Vertical Alignment))に設定され、画素電極41と共通電極42との間の電圧が0Vである場合に最低階調(黒階調)となるノーマリーブラックモードで動作する。
【0032】
第n列の各画素回路PIXの選択スイッチTSLは、画素電極41と第n列の信号線12との間に介在して両者の電気的な接続(導通/非導通)を制御する。第m行の各画素回路PIXの蓄積容量CSは、画素電極41と第m行に対応する容量電位線13の間に介在する容量素子である。具体的には、蓄積容量CSは、画素電極41に接続された電極EA1と容量電位線13に接続された電極EA2と両電極間の誘電体とで構成される。蓄積容量CSは、画素電極41の電位(液晶素子40の印加電圧)を保持する機能と、容量電位Vcom[m]に応じて画素電極41の電位を変動させる結合容量の機能とを兼備する。
【0033】
詳しくは後述するが、容量電位Vcom[m]は、正電位である高位側電位VcomHと高位側電位VcomHの極性を反転した電位である低位側電位VcomLとの間で遷移し、走査線11から供給される走査信号G[m]の電位は、選択スイッチTSLをオン状態とするオン電位Vonと選択スイッチTSLをオフ状態とするオフ電位Voffとの間で遷移する。図3に示すように、第m行第n列の画素回路PIXでは、走査信号G[m]の電位がVonの期間(第m行の書込期間H[m])において、選択スイッチTSLがオン状態となり、階調信号S[n]が画素電極41へ供給される。よって、この画素電極41の電位Vpは、階調信号S[n]の電位Vdataへ遷移する。
【0034】
そして、走査信号G[m]の電位がVonからVoffへ遷移し、書込期間H[m]が終了した後に、容量電位Vcom[m]の極性が反転する。これにより、図4に示すように、第m行の各画素回路PIXでは、電極EA2の電位が、VcomLからVcomHへ、又はVcomHからVcomLへ変化し、これに伴って、電極EA1の電位がVdataからVcomH−VcomLだけ上下する。よって、画素電極41の電位Vpは、Vdata+(VcomH−VcomL)又はVdata−(VcomH−VcomL)となり、これが、液晶素子40の印加電圧となる。なお実際には蓄積容量CSと液晶容量、及び画素電極41に寄生する容量間で電荷の再分配が行われるために、単純にVcomH−VcomLが画素電極電位の変動量になるものではない。本発明では説明の簡便化のために上記電荷再分配の点は単純化している。この単純化は本発明の本質を損なうものではない。
【0035】
VcomH−VcomL=1.25V+1.25V=5V>0Vであるから、結局、液晶素子40の印加電圧は、Vdata=VdataHかつVp=Vdata+(VcomH−VcomL)の場合には、VdataHよりも高くなり、Vdata=VdataLかつVp=Vdata−(VcomH−VcomL)の場合には、VdataLよりも低くなる。つまり、画素回路PIXは、液晶素子40が交流駆動されることを前提としており、適切に駆動されることにより、Vdataの振れ幅(絶対値)を狭くしつつ(VdataHとしつつ)、液晶素子40の印加電圧の振れ幅(絶対値)を広くすること(VdataH+(VcomH−VcomL)とすること)、すなわち駆動回路20にかかる負担を軽減しつつコントラストを上げることができる。
【0036】
図5は、信号線駆動回路22の構成を示すブロック図である。図5に示すように、信号線駆動回路22は、N段のシフトレジスタ211と第1ラッチ回路212と第2ラッチ回路213とを備える。シフトレジスタ211は、第2開始パルスSP2を第2クロック信号CLK2で指定されるタイミングで次段に転送することにより、書込期間H[m]内において、N系統の選択信号SEL[1]〜SEL[N]を順次にアクティブに設定する。第1ラッチ回路212は、選択信号SEL[n]がアクティブに設定された時点で制御回路30から供給されている画像信号DATAを取り込んで保持し、保持しているデータを階調データD[n]として出力する。すなわち、階調データD[1]〜D[N]が点順次で第1ラッチ回路212から並列に出力される。第2ラッチ回路213は、第1ラッチ回路212から出力された階調データD[1]〜D[N]を取り込んで保持し、ラッチパルスLPで指定されたタイミング(各書込期間H[m]の始点)にて、階調信号S[1]〜S[N]として一斉に出力(線順次出力)する。
【0037】
書込期間H[m]にて第n列の信号線12に供給される階調信号S[n]は、第m行第n列の画素回路PIXにおける液晶素子40について階調(黒階調/白階調)を指定する電圧信号である。階調信号S[n]の電位は、正極性の場合の白階調を指定する電位(第1電位VdataH)、負極性の場合の白階調を指定する電位(第2電位VdataL)、正極性の場合の黒階調を指定する電位(第2電位VdataL)、負極性の場合の黒階調を指定する電位(具体的には第1電位VdataH)の何れかに設定される。
【0038】
図1の容量電位線駆動回路23は、M本の容量電位線13にそれぞれ対応する単位回路R[1]〜R[M]を備える。単位回路R[m]は、走査信号G[m-1]及びG[m+1]と、極性信号POL1と、極性信号POL2とに基づいて、高位側電位VcomH及び低位側電位VcomLのうち一方を選択し、選択した電位を第m行に対応する容量電位線13へ供給する。
【0039】
図6は、単位回路R[m]のブロック図である。図6に示すように、単位回路R[m]は、走査信号G[m-1]及びG[m+1]で定まるタイミングで、極性信号POL1と極性信号POL2との一方をサンプリングし、このサンプリングで得られた電位を保持し、保持中の電位の信号を出力するサンプリング回路Aと、サンプリング回路Aの出力信号に基づいて、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHとの一方を選択する選択回路Bとを備える。
【0040】
サンプリング回路Aは、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、バッファ回路BF1及びBF2を備え、第1ノードN1、第2ノードN2及び出力端子を有する。第1スイッチSW1の一方の端子には極性信号POL1が供給され、第3スイッチSW3の一方の端子には極性信号POL2が供給される。第1ノードN1には、第1スイッチSW1の他方の端子と、第2スイッチSW2の一方の端子と、第3スイッチSW3の他方の端子と、バッファ回路BF1の入力端子とが接続されている。第2ノードN2には、第4スイッチSW4の一方の端子と、バッファ回路BF1の出力端子と、バッファ回路BF2の入力端子とが接続されている。第2スイッチSW2の他方の端子は、第4スイッチSW4の他方の端子と接続されている。バッファ回路BF2の出力端子は、サンプリング回路Aの出力端子と接続されている。
【0041】
単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との制御端子には走査信号G[m-1]が供給され、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との制御端子には走査信号G[m+1]が供給される。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とは排他的にオン状態となり、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4とは排他的にオン状態となる。具体的には、走査信号G[m-1]がオン電位Vonの場合には、第1スイッチSW1がオン状態となる一方、第2スイッチSW1がオフ状態となり、走査信号G[m-1]がオフ電位Voffの場合には、第1スイッチSW1がオフ状態となる一方、第2スイッチSW2がオン状態となり、走査信号G[m+1]がオン電位Vonの場合には、第3スイッチSW3がオン状態となる一方、第4スイッチSW4がオフ状態となり、走査信号G[m+1]がオフ電位Voffの場合には、第3スイッチSW3がオフ状態となる一方、第4スイッチSW4がオン状態となる。
【0042】
選択回路Bは、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を備え、入力端子及び出力端子を備える。第5スイッチSW5の一方の端子には高位側電位VcomHが供給され、第6スイッチSW6の一方の端子には低位側電位VcomLが供給される。選択回路Bの出力端子には、第5スイッチSW5の他方の端子と、第6スイッチSW6の他方の端子とが接続されている。選択回路Bの入力端子は、サンプリング回路Aの出力端子と接続されている。選択回路Bから入力された信号の電位がVLの場合、第5スイッチSW5はオン状態となり、第6スイッチSW6はオフ状態となる。選択回路Bから入力された信号の電位がVHの場合、第5スイッチSW5はオフ状態となり、第6スイッチSW6はオン状態となる。
【0043】
ここで、極性信号POL1の電位がVH(極性信号POL2の電位がVL)であるものとして、単位回路R[m]の動作を説明する。
第m−1行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]がオン電位Vonとなり、走査信号G[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、極性信号POL1が第1スイッチSW1及びノードN1を介してバッファ回路BF1へ供給される。バッファ回路BF1は供給された信号の電位を保持し、保持している電位を出力する。バッファ回路BF1から出力された電位は、バッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。
ここでは、極性信号POL1の電位がVHであるから、単位回路R[m]においてサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される電位はVHとなる。したがって、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5はオフ状態となり、第6スイッチSW6はオン状態となる。よって、この選択回路Bの出力端子から低位側電位VcomLが出力される。すなわち、第m行に対応する容量電位線13には、低位側電位VcomLが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0044】
次に第m行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]及びG[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図8に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、バッファ回路BF1に保持されている電位VHがバッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。よって、第m行に対応する容量電位線13には、低位側電位VcomLがVcom[m]として出力される。
【0045】
次に第m+1行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]がオフ電位Voffとなり、走査信号G[m+1]がオン電位Vonとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態となる。したがって、極性信号POL2が第3スイッチSW3及びノードN1を介してバッファ回路BF1へ供給される。バッファ回路BF1は供給された信号の電位を保持し、保持している電位を出力する。バッファ回路BF1から出力された電位は、バッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。
ここでは、第2極性信号POL1の電位がVLであるから、単位回路R[m]においてサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される電位はVLとなる。したがって、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5はオン状態となり、第6スイッチSW6はオフ状態となる。よって、この選択回路Bの出力端子から高位側電位VcomHが出力される。すなわち、第m行に対応する容量電位線13には、高位側電位VcomHが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0046】
次に第m+1行の次の行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]及びG[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、バッファ回路BF1に保持されている電位VLがバッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。よって、第m行に対応する容量電位線13には、高位側電位VcomHが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0047】
このように、極性信号POL1の電位がVH(極性信号POL2の電位がVL)の場合、Vcom[m]は、書込期間H[m-1]の開始から書込期間H[m+1]の開始までの期間では低位側電位VcomLとなり、書込期間H[m+1]の開始から次回の書込期間H[m-1]の開始までの期間では高位側電位VcomHとなる。一方、極性信号POL1の電位がVL(極性信号POL2の電位がVH)の場合、Vcom[m]は、書込期間H[m-1]の開始から書込期間H[m-1]の開始までの期間では高位側電位VcomHとなり、書込期間H[m+1]の開始から次回の書込期間H[m-1]の開始までの期間では低位側電位VcomLとなる。よって、単位回路R[m]の入出力特性は、図11に示す通りとなる。
【0048】
以上の説明から理解されるように、単位回路R[m]は、書込期間H[m-1]においては、極性信号POL1に基づいて低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として選択し、書込期間H[m]においては、直前の容量電位Vcom[m]を保持し、書込期間H[m+1]においては、極性信号POL2に基づいて低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として選択する回路である。
【0049】
図12は、液晶装置100の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。この図に示すように、図1の駆動回路20による各画素回路PIXの駆動にはサブフィールド駆動が採用される。具体的には、駆動回路20は、各画素回路PIXについて、その各フレームを互いに異なる長さの4個のサブフィールド(サブフィールド期間)SFで構成し、当該画素回路PIXの各フレームにおいて、当該フレームの各サブフィールドSFにて後述の3種類の電圧の何れかを液晶素子40に印加する。
【0050】
第m行の一つの画素回路PIXに注目すると、サブフィールドSF1,SF2,SF3,SF4の各々において、書込期間H[m]の終了から当該サブフィールドSFの終了までの間に、3種類の電圧の何れかを液晶素子40に印加する。3種類の電圧は、液晶素子40の階調を、後述の正極性のサブフィールドSFにおいて白階調とするための正電圧(5V)と、後述の負極性のサブフィールドSFにおいて白階調とするための負電圧(−5V)と、黒階調とするための零電圧(0V)である。
【0051】
また、駆動回路20は、極性信号POL1及びPOL2に基づいて、第m行の画素回路PIXの各々について、当該画素回路PIXの各サブフィールドSFにおいて、書込期間H[m]が終了すると、容量電位線13の電位の極性を反転させることにより、液晶素子40の画素電極41の電位を上下させる。以降、この反転によって画素電極41の電位が上がるサブフィールドSFを「正極性のサブフィールドSF」と呼び、この反転によって画素電極41の電位が下がるサブフィールドSFを「負極性のサブフィールドSF」と呼ぶ。
【0052】
正極性のサブフィールドSFを「+」、負極性のサブフィールドSFを「−」、フレームの境界を「|」で表すとき、液晶装置100では、サブフィールドSF1〜SF4は、…−+|+−+−|−+−+|+−…という並びとなる。つまり、液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)は、原則としてサブフィールドSF毎に反転するが、フレームの境界では反転しない。
【0053】
また、フレーム内の各サブフィールドSFの時間長は2進加重の関係(SF1:SF2:SF3:SF4=1:2:4:8)に設定される。すなわち、各サブフィールドSFは重み付けされている。また、各液晶素子40は、各フレームにおいて、第0階調(最も暗い黒)から第15階調(最も明るい白)までの計16階調のうち何れか一つを表示可能である。これら16階調の各々と液晶素子40への電圧印加パターンとの関係は、図13に示す通りである。図13には、第0階調から第15階調までの計16階調の各々について、当該階調を連続して同一の液晶素子40に表示させる場合の、第kフレームにおける電圧印加パターンと、第k+1フレームにおける電圧印加パターンとが示されている。
【0054】
書込期間H[m]では、図3に示すように第m行の各画素回路PIXの選択スイッチTSLがオン状態となり、図4に示すように他の行の各画素回路PIXの選択スイッチTSLがオフ状態となる。一方、N本の信号線12には、書込期間H[m]において、第m行のN個の画素回路PIXの液晶素子40の階調(白階調/黒階調)をそれぞれ指定する階調信号S[1]〜S[N]が供給される。したがって、書込期間H[m]では、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。
【0055】
前述のように、第n列の信号線12に供給される階調信号S[n]の電位Vdataは、第1電位VdataH又は第2電位VdataLである。第1電位VdataHは、正極性のサブフィールドSFでは白階調を指定し、負極性のサブフィールドSFでは黒階調を指定する電位である。第2電位VdataLは、負極性のサブフィールドSFにおいては白階調を指定し、正極性のサブフィールドSFにおいては黒階調を指定する電位である。
【0056】
極性信号POL1及びPOL2の電位の極性は、原則として、書込期間H[0]の開始時にそれぞれ反転する。例えば、極性信号POL1の電位は、第kフレームのサブフィールドSF2における書込期間H[0]の開始時に、VHからVLに遷移し、第kフレームのサブフィールドSF3における書込期間H[0]の開始時に、VLからVHに遷移する。ただし、各フレームの最初のサブフィールドSFでは、上記の反転は行われない。例えば、極性信号POL1は、第k+1フレームのサブフィールドSF1における書込期間H[0]の開始時にはVLを維持する。
【0057】
以降、上記の波形の極性信号POL1及びPOL2に基づく液晶装置100の動作について、第1行第n列の画素回路PIXに注目して説明する。この説明では、直流成分の残留を回避可能であることを分かり易く示すために、第1行第n列の画素回路PIXには、同一階調(具体的には第7階調)を表示させるための階調信号S[n]が供給され続けるものとする。図13から明らかなように、第7階調を表示させるための階調信号S[n]の電位Vdataは、サブフィールドSF1、SF3及びSF4では第1電位VdataH(2.5V)となり、サブフィールドSF2では第2電位VdataL(−2.5V)となる。
【0058】
(1)第kフレーム
(1−1)サブフィールドSF1
(1−1−1)書込期間H[1]
第kフレームはサブフィールドSF1から始まり、このサブフィールドSF1は書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。この階調信号S[n]の電位VdataはVdataHであるから、この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataH(2.5V)に維持される。
【0059】
また、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。詳しくは後述するが、このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0060】
(1−1−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
【0061】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図12に示すように、2.5Vから、2.5V+(1.25V+1.25V)=5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0062】
(1−1−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給される。この選択回路Bでは、図10に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0063】
(1−1−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVHからVLへ遷移する。また、この期間では、走査信号G[0]の電位がオン電位Vonであり、走査信号G[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL1の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この書込期間H[0]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0064】
(1−2)サブフィールドSF2
(1−2−1)書込期間H[1]
続くサブフィールドSF2も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。この階調信号S[n]の電位VdataはVdataLであるから、この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataL(−2.5V)に維持される。
【0065】
また、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給され、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
(1−2−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VHがバッファ回路BF1に保持され、このVHがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0066】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が高位側電位VcomHから低位側電位VcomLへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataLからVdataL−(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図12に示すように、−2.5Vから、−2.5V−(1.25V+1.25V)=−5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
【0067】
(1−2−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。ただし、単位回路R[1]のバッファ回路BF1に保持されている電位はVHであるから、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
【0068】
(1−2−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、この書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVLからVHへ遷移する。したがって、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にはVHが保持され、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
(1−3)サブフィールドSF3
続くサブフィールドSF3では、第kフレームのサブフィールドSF1と同様の動作が行われる。すなわち、画素電極41の電位Vpは、書込期間H[1]ではVdataH(2.5V)、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の終了時までの期間ではVdataH+(VcomH−VcomL)=5Vに維持され、容量電位Vcom[1]は、書込期間H[1]では低位側電位VcomL(−1.25V)、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の終了時までの期間では高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
(1−4)サブフィールドSF4
(1−4−1)書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続くサブフィールドSF4も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[1]における階調信号S[n]の電位VdataはVdataHであるから、画素電極41の電位Vpは、このサブフィールドSF4において、書込期間H[1]ではVdataH(2.5V)に維持され、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間ではVdataH−(VcomH−VcomL)=0Vに維持される。一方、容量電位Vcom[1]は、このサブフィールドSF4において、書込期間H[1]では高位側電位VcomHを維持し、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では低位側電位VcomLを維持する。
【0069】
(1−4−2)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVLからVHへ遷移するのに対して、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]の開始時には、そのような遷移は行われない。つまり、極性信号POL1の電位は、第kフレームのサブフィールドSF4を通じてVLを維持する。このため、このサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVLが保持され、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomHを維持する。すなわち、この書込期間H[0]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。
【0070】
(2)第k+1フレーム
続く第k+1フレームでは、第kフレームと同様の動作が行われる。ただし、極性信号POL1及び第1極性信号POL2の電位の極性は、各フレームに3回ずつ反転するから、第kフレームと第k+1フレームとの間では、対応するサブフィールドSFの極性が反転している。例えば、第kフレームのサブフィールドSFが正極性であるのに対して、第k+1フレームのサブフィールドSFは負極性である。このため、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpは、第kフレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpの極性をそれぞれ反転させた電位となる。したがって、第k+1フレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持される。これが、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[1]において単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持されている理由である。
【0071】
以上の説明では第1行第n列の画素回路PIXに注目したが、第m行第n列の画素回路PIXについても上述と同様の動作が行われる。もちろん、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41の電位Vpは、走査信号G[m-1]及び走査信号G[m+1]に基づいて単位回路R[m]が生成した容量電位Vcom[m]に応じて変動することになる。また、第m行第n列の画素回路PIXの各フレームは書込期間H[m]から開始する。
【0072】
このように、液晶装置100の容量電位線駆動回路23は、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として第m行に対応する容量電位線13に供給する処理であって、フレームを構成する各サブフィールドSFでは、第m行の書込期間H[m]が終了すると容量電位Vcom[m]の極性を反転し、フレームを構成する最後のサブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する第1処理を行う。したがって、液晶装置100には、図13に示す利点がある。
【0073】
図13には、第0階調から第15階調までの計16階調の各々について、第kフレームの開始時から第k+1フレームの終了時までに当該液晶素子40に印加される正電圧の時間積分値(絶対値)と負電圧の時間積分値(絶対値)との比較式とが示されている。図13に示されるように、液晶装置100では、同一階調を連続して同一の液晶素子40に表示させる場合、隣り合う二つのフレーム間で、長さが等しい対応するサブフィールドSFにおける印加電圧の極性が逆になるから、これらのフレームにおいて、正電圧の時間積分値(絶対値)と、これらのフレームにわたる負電圧の時間積分値(絶対値)とが等しくなり、直流成分が打ち消される。つまり、液晶装置100によれば、直流成分の残留が回避される。
【0074】
ところで、液晶装置100であっても、一つのフレームに注目すれば、直流成分が残留する。ただし、液晶装置100では、書込期間が終了すると行われる容量電位の極性の反転の方向が、原則としてサブフィールド毎に反転するから、一つのフレームに注目した場合でも、残留する直流成分の最大値(絶対値)を小さく抑制することができる。これは、各液晶素子40の劣化の抑制に寄与する利点である。
【0075】
図14は、液晶装置100の他の利点を示す概念図である。この図には、液晶装置100の総ての画素電極41の電位Vpの極性の変遷が書込期間毎に示されている。ただし、図14では、図面の繁雑化を避けるために、液晶装置100が備える画素電極41の数を、4行×4列=16個としてある。液晶装置100では、原則として、液晶素子40の印加電圧の極性がサブフィールドSF毎に反転される。したがって、各サブフィールドSFでは、原則として、隣り合う行間で画素電極41の電位が大きく異なる箇所(図14の太線)が表示領域を走査することになる。
【0076】
この箇所では、予期しない強い電界が列方向(図1のY方向)に発生する虞がある。つまり、この箇所が表示領域を走査することによって、コントラスト低下等の表示品位の低下が生じる虞がある。したがって、この箇所による表示領域の走査回数は少ない方がよい。液晶素子40の印加電圧の極性がサブフィールドSF毎に必ず反転する場合、上記の箇所による走査は1フレームあたり4回となるが、液晶装置100では、各フレームの最後のサブフィールドSFでは上記の反転が行われないから、図14に示すように、上記の箇所による走査は1フレームあたり3回となる。つまり、本実施形態によれば、画像の表示品位が向上する。
【0077】
<2:第2実施形態>
図15は、本発明の第2実施形態に係る液晶装置200の構成を示すブロック図である。液晶装置200は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図1の液晶装置100と同様の構成を有する。ただし、液晶装置200では、駆動回路20による交流駆動において、各液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)が、サブフィールド単位ではなく、フレーム単位で反転する。このため、液晶装置200は、制御回路30に代えて制御回路50を備える。
【0078】
制御回路50が制御回路30と異なる点は、極性信号生成回路31に代えて極性信号生成回路51を備える点のみである。極性信号生成回路51は、極性信号生成回路31と同様に、液晶素子40の印加電圧の極性を指定する極性信号POL1及びPOL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。ただし、極性信号生成回路51が生成する極性信号POL1及びPOL2と、極性信号生成回路31が生成する極性信号POL1及びPOL2とでは、電位の極性が反転するタイミングが異なる。
【0079】
図16は、液晶装置200の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。この図に示すように、駆動回路20は、液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)をフレーム毎に反転する。つまり、サブフィールドSF1〜SF4は、…−−|++++|−−−−|++…という並びになっている。このような並びとするために、極性信号POL1及びPOL2の電位の極性は、各フレームの最初の書込期間H[0]の開始時にそれぞれ反転する。例えば、極性信号POL1の電位は、第kフレームの最初の書込期間H[0]の開始時に、VLからVHに遷移し、第k+1フレームの最初の書込期間H[0]の開始時に、VHからVLに遷移する。
【0080】
以降、上記の波形の極性信号POL1及びPOL2に基づく液晶装置200の動作について、第1行第n列の画素回路PIXに注目して説明する。この説明では、第1実施形態と同様に、第1行第n列の画素回路PIXには、第7階調を表示させるための階調信号S[n]が供給され続けるものとする。なお、第1行第n列の画素回路PIXの画素電極41に電位が書き込まれるタイミングや書き込まれる電位については、液晶装置100と同様であるから、簡略化した説明に留める。
【0081】
(1)第kフレーム
(1−1)サブフィールドSF1
(1−1−1)書込期間H[1]
第kフレームはサブフィールドSF1から始まり、このサブフィールドSF1は書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataH(2.5V)に維持される。一方、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、図10に示すように、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。詳しくは後述するが、このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0082】
(1−1−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
【0083】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位VpがVdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図16に示すように、2.5Vから、2.5V+(1.25V+1.25V)=5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0084】
(1−1−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給される。この選択回路Bでは、図10に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0085】
(1−1−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]の電位がオン電位Vonであり、走査信号G[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL1の電位VHがバッファ回路BF1に保持され、このVHがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0086】
このように、この書込期間H[0]の開始時には、容量電位Vcom[1]が高位側電位VcomHから低位側電位VcomLへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataHからVdataH−(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図16に示すように、5Vから、5V−(1.25V+1.25V)=2.5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[0]では、画素電極41の電位Vpが2.5Vに維持される。
【0087】
(1−2)サブフィールドSF2及びSF3
続くサブフィールドSF2及びSF3では、極性信号POL1(極性信号POL2)が電位VH(VL)を維持する。また、画素電極41に書き込まれる階調信号S[n]の電位は、これらのサブフィールドSF2及びSF3の何れにおいてもVdataH(2.5V)である。したがって、図16に示すように、これらのサブフィールドSF2及びSF3の各々における、画素電極41の電位Vpの変動は、第kフレームのサブフィールドSF1における当該電位Vpの変動と同様となる。
【0088】
(1−3)サブフィールドSF4
(1−3−1)書込期間H[1]
続くサブフィールドSF4も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataL(−2.5V)に維持される。一方、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、図10に示すように、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0089】
(1−3−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、画素回路PIXの選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、容量電位Vcom[1]は、この書込期間H[2]の開始時に低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移し、この書込期間H[2]において高位側電位VcomH(1.25V)を維持する。したがって、図4に示すように、画素電極41の電位Vpは、VdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)=−2.5V+(1.25V+1.25V)=0Vへ遷移し、0Vに維持される。
【0090】
(1−3−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。したがって、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomH(1.25V)に維持され、画素電極41の電位Vpは0Vに維持される。
【0091】
(1−3−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVHからVLへ遷移する。したがって、この書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にはVLが保持され、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。画素電極41の電位Vpは0Vに維持される。
【0092】
(2)第k+1フレーム
続く第k+1フレームでは、第kフレームと同様の動作が行われる。ただし、極性信号POL1及び第1極性信号POL2の電位の極性は、各フレームに1回ずつ反転するから、第kフレームの各サブフィールドSFが正極性であるのに対し、第k+1フレームの各サブフィールドSFは負極性となる。このため、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpは、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpの極性をそれぞれ反転させた電位となる。したがって、第k+1フレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持される。これが、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[1]において単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持されている理由である。
【0093】
以上の説明では第1行第n列の画素回路PIXに注目したが、第m行第n列の画素回路PIXについても上述と同様の動作が行われる。もちろん、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41の電位Vpは、走査信号G[m-1]及び走査信号G[m+1]に基づいて単位回路R[m]が生成した容量電位Vcom[m]に応じて変動することになる。また、第m行第n列の画素回路PIXの各フレームは書込期間H[m]から開始する。
【0094】
このように、液晶装置200の容量電位線駆動回路23は、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として第m行に対応する容量電位線13に供給する処理であって、フレームを構成する各サブフィールドSFでは、書込期間H[m]が終了すると容量電位Vcom[m]の極性を反転し、フレームを構成するサブフィールドSFのうち最後のサブフィールドSF4を除くサブフィールドSF(SF1,SF2,SF3)では、容量電位Vcom[m]の極性を反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転し、上記のサブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性を反転してから当該サブフィールドSF4が終了するまでの期間において容量電位Vcom[m]の極性を反転しない第2処理を行う。したがって、液晶装置200では、各液晶素子40の印加電圧の極性が、サブフィールドSF単位ではなく、フレーム単位で反転する。したがって、液晶装置200によれば、隣り合う二つのフレームにおいて、正電圧の時間積分値(絶対値)と、これらのフレームにわたる負電圧の時間積分値(絶対値)とが等しくなり、直流成分が打ち消される。よって、液晶装置200によれば、直流成分の残留を回避することができる。
【0095】
また、液晶装置200によれば、各液晶素子40の印加電圧の極性がフレーム単位で反転するから、画像の表示品位が大幅に向上する。この点について、図17を参照して説明する。図17には、液晶装置200の総ての画素電極41の電位Vpの極性の変遷が示されている。ただし、図17では、図面の繁雑化を避けるために、液晶装置200が備える画素電極41の数を、4行×4列=16個としてある。液晶装置200では、液晶素子40の印加電圧の極性の反転がフレーム毎であるから、隣り合う行間で画素電極41の電位が大きく異なる箇所(図17の太線)が表示領域を走査する回数が、1フレームあたり1回となる。これは1フレームあたり4回よりも大幅に少ないから、液晶装置200によれば画像の表示品位が大幅に向上するのである。
【0096】
<3:第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置300の構成を示すブロック図である。液晶装置300は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、液晶装置100と液晶装置200とを組み合わせて構成され、容量電位線駆動回路23が、表示する画像の種類(動画/静止画)に基づいて、液晶装置100が行う第1処理と液晶装置200が行う第2処理とのうち一方を選択的に実行する点を特徴としている。
【0097】
液晶装置300が、液晶装置100又は200と異なる点は、制御回路30又は50に代えて制御回路60を備える点のみである。制御回路60が制御回路30又は50と異なる点は、極性信号生成回路31又は51に代えて極性信号生成回路61を備える点と、画像判別回路62を新たに備える点のみである。画像判別回路62には、制御回路60外の上位装置(例えばコンピュータ)から画像データがフレーム毎に順次供給される。1フレーム分の画像データは、M行N列の画素の各々の階調(第0階調〜第15階調)を示すデータである。
【0098】
画像判別回路62は、複数フレーム分の画像データを記憶可能なフレームバッファを備え、このフレームバッファを用いて、隣り合うフレーム間で対応する画素毎に階調を比較し、この比較結果に応じた種類指定信号Zを極性信号生成回路61に供給する。種類指定信号Zは、画像の種類を指定する信号であり、隣り合うフレーム間で総ての画素について階調が一致した場合には静止画を、その他の場合には動画を指定する。
【0099】
極性信号生成回路61は、供給された種類指定信号Zに基づいて、極性信号POL1及びPOL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。具体的には、極性信号生成回路61は、動画を指定する種類指定信号Zが供給された場合には、図12に示す波形の極性信号POL1及びPOL2を生成し、静止画を指定する種類指定信号Zが供給された場合には、図16に示す波形の極性信号POL1及びPOL2を生成する。なお、極性信号生成回路61の構成は任意である。例えば、極性信号生成回路31及び51を含み、これらの回路のうち、供給された種類指定信号Zに応じた回路のみをアクティブとする構成であってもよい。
【0100】
液晶装置300によれば、焼きつきが生じ易い静止画を表示する場合には、一時的に残留する直流成分の最大値(絶対値)の抑制に好適な第1処理が行われ、焼きつきが生じ難い動画を表示する場合には、表示品位の向上に好適な第2処理が行われるから、液晶装置200と同等の表示品位を達成しつつ、液晶装置200よりも各液晶素子40の劣化を抑制することができる。
【0101】
<4:第4実施形態>
図19は、本発明の第4実施形態に係る液晶装置400の構成を示すブロック図である。液晶装置400は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図1の液晶装置100と同様の構成を有する。ただし、液晶装置400では、M本の走査線11の選択方向を、液晶装置100における選択方向である順方向と、順方向とは逆向きの逆方向との間で切り換えることができる。
【0102】
このため、液晶装置400は、走査線駆動回路21及び制御回路30に代えて、選択方向(順方向/逆方向)を指定する選択方向信号DRに基づいて選択方向を切り換える走査線駆動回路71と、走査線駆動回路71に選択方向信号DRを供給する制御回路70とを備える。なお、選択方向信号DRは、制御回路70内で生成されてもよいし、制御回路70外の上位装置(例えばコンピュータ)から制御回路70に供給されてもよい。
【0103】
図20は、走査線駆動回路71の構成を示すブロック図である。この図に示すように、走査線駆動回路71は、スイッチSW7及びSW8と、スイッチSW7を介して開始パルスSP1が供給されるM+2段の第1シフトレジスタ711と、スイッチSW8を介して開始パルスSP1が供給されるM+2段の第2シフトレジスタ712とを備える。第1シフトレジスタ711は、供給された開始パルスSP1をクロック信号CLK1で指定されるタイミングで順方向の次段に転送する。第2シフトレジスタ712は、供給された開始パルスSP1をクロック信号CLK1で指定されるタイミングで逆方向の次段に転送する。
【0104】
スイッチSW7は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合にはオン状態となり、逆方向を示す場合にはオフ状態となる。スイッチSW8は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合にはオフ状態となり、逆方向を示す場合にはオン状態となる。したがって、開始パルスSP1は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合には第1シフトレジスタ711においてシフトされ、選択方向信号DRが逆方向を指定する場合には第2シフトレジスタ712においてシフトされる。そして、開始パルスSP1をシフトするシフトレジスタの各段の電位が、走査信号G[0]〜G[M+1]の電位となる。
【0105】
よって、液晶装置400では、M本の走査線11の選択方向は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合には順方向となり、選択方向信号DRが逆方向を指定する場合には逆方向となる。一方、制御回路70が制御回路30と異なる点としては、走査線駆動回路71に選択方向信号DRをも供給する点の他に、M本の走査線11の選択方向が逆方向の場合には画像信号DATAにおける階調データの並びを列毎に降順とする点と、極性信号供給回路72を新たに備える点がある。
【0106】
極性信号供給回路72は、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるものであり、極性信号生成回路31で生成された極性信号POL1及びPOL2は、極性信号供給回路72を介して容量電位線駆動回路23に供給される。
【0107】
図21は、極性信号供給回路72の構成を示す回路図である。この図に示すように、極性信号供給回路72は、スイッチSW9〜SW12を備え、ノードN3〜N6を有する。ノードN3とノードN5とはスイッチSW9を介して接続され、ノードN4とノードN6とはスイッチSW11を介して接続される。また、ノードN3は、スイッチSW12を介してノードN6と接続され、ノードN4とノードN5とは、スイッチSW10を介して接続される。
【0108】
ノードN3には極性信号生成回路31から極性信号POL1が供給され、ノードN4には極性信号生成回路31から極性信号POL2が供給される。また、極性信号供給回路72は、ノードN5に供給される信号を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給し、ノードN6に供給される信号を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0109】
また、極性信号供給回路72には、極性信号生成回路31が供給される。スイッチSW9及びSW11は、供給された選択方向信号DRが順方向を示す場合にはオン状態となり、逆方向を示す場合にはオフ状態となる。一方、スイッチSW10及びSW12は、供給された選択方向信号DRが順方向を示す場合にはオフ状態となり、逆方向を示す場合にはオン状態となる。
【0110】
つまり、順方向を示す選択方向信号DRが供給されると、スイッチSW9〜SW12のうち、スイッチSW9及びSW11のみがオン状態となり、ノードN3とノードN5とが導通するとともにノードN4とノードN6とが導通するから、極性信号供給回路72は、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL1を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給し、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL2を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0111】
一方、逆方向を示す選択方向信号DRが供給されると、スイッチSW9〜SW12のうち、スイッチSW10及びSW12のみがオン状態となり、ノードN3とノードN6とが導通するとともにノードN4とノードN5とが導通するから、極性信号供給回路72は、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL1を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給し、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL2を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0112】
つまり、容量電位線駆動回路23では、M本の走査線11が順方向に選択される場合と、逆方向に選択される場合とで、極性信号POL1と極性信号POL2とが入れ替わる。すなわち、容量電位線駆動回路23に供給される極性信号POL1及びPOL2の波形は、M本の走査線11が順方向に選択される場合には図12に示す通りとなり、逆方向に選択される場合には図22に示す通りとなる。
【0113】
容量電位線駆動回路23内の単位回路R[m]の構成は図6に示す通りであるから、M本の走査線11の選択方向が逆方向となっても、極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで、図22に示すように、M本の走査線11の選択方向に適合した容量電位Vcom[m]が得られる。これが、M本の走査線11の選択方向が逆方向の場合に極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替える理由である。
【0114】
以上の説明から明らかなように、液晶装置400には、液晶装置100の利点を損なうことなく、M本の走査線11の選択方向を順方向と逆方向との間で切り換えることができるという利点がある。また、この利点が、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで得られるというものも、液晶装置400の利点である。
【0115】
<5:第5実施形態>
図23は、本発明の第5実施形態に係る液晶装置500の構成を示すブロック図である。液晶装置500は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図19の液晶装置400と同様の構成を有する。ただし、液晶装置500では、液晶装置200と同様に、駆動回路20による交流駆動において、各液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)が、サブフィールド単位ではなく、フレーム単位で反転する。このため、液晶装置500は、制御回路70に代えて制御回路80を備える。制御回路80が制御回路70と異なる点は、極性信号生成回路31に代えて極性信号生成回路51を備える点のみである。
【0116】
このような構成であることから、液晶装置500の容量電位線駆動回路23に供給される極性信号POL1及びPOL2の波形は、M本の走査線11が順方向に選択される場合には図16に示す通りとなり、逆方向に選択される場合には図24に示す通りとなる。
【0117】
よって、液晶装置500には、液晶装置200の利点を損なうことなく、M本の走査線11の選択方向を順方向と逆方向との間で切り換えることができるという利点がある。また、この利点が、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで得られるというものも、液晶装置500の利点である。
【0118】
<6:変形例>
以上の各実施形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
【0119】
(1)変形例1
上述した第3実施形態を変形し、M本の走査線11の選択方向と同期して、極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるようにしてもよい。すなわち、第3及び第4実施形態を組み合わせてもよいし、上述した第3及び第5実施形態を組み合わせてもよい。
【0120】
(2)変形例2
上述した第3実施形態を変形し、表示する画像の種類(動画/静止画)を指定する種類指定信号Zが、制御回路60外の上位装置(例えばコンピュータ)から供給されるようにしてもよい。また、種類指定信号Zが指定する種類を、動画/静止画以外のものとしてもよい。つまり、種類指定信号Zを、メニュー画像のようなコンピュータグラフィックスと写真のような自然画像との一方を指定する信号としてもよい。この場合、焼きつきが生じ易いのは自然画像よりもコンピュータグラフィックスの方であるから、コンピュータグラフィックスを表示する場合には、一時的に残留する直流成分の最大値(絶対値)の抑制に好適な第1処理を行い、自然画像を表示する場合には、表示品位の向上に好適な第2処理を行うことが好ましい。
【0121】
(3)変形例3
上述した各実施形態では、フレーム内のサブフィールドSFの数を4とし、フレームにて表示可能な階調数を16とし、一つのフレーム内の各サブフィールドSFの時間長を2進加重の関係としたが、これに限るものではない。ただし、フレーム内のサブフィールドSFの数は偶数でなければならず、フレーム内のサブフィールドの長さ(重み)は異なっているものを含まなければならない。フレーム内のサブフィールドSFの数が奇数の場合や、フレーム内のサブフィールドの長さが互いに等しい場合には、第1処理や第2処理を行わなくとも、直流成分の残留を回避可能だからである。なお、フレーム内のサブフィールドSFの数をq(偶数)とした場合、容量電位Vcom[m]の極性は、第1処理では、各フレームにq+1(奇数)回ずつ反転し、第2処理では、各フレームに2×q−1(奇数)回ずつ反転することになる。また、フレーム以外の期間を単位期間としてもよい。
【0122】
(4)変形例4
画素回路PIXの構成を適宜に変更してもよい。例えば、容量素子やスイッチ等の回路要素を画素回路PIXに追加してもよいし、液晶素子40として、印加電圧が0Vの場合に階調が最高(白色)となるノーマリーホワイトモードの液晶素子を採用してもよい。また、上述した各実施形態では、共通電位LCCOM=0V、VdataH=2.5V、VdataL=−2.5Vとしたが、これに限るものではない。例えば、LCCOM=2.5V、VdataH=5V、VdataL=0Vとしてもよい。
【0123】
(5)変形例5
上述した各実施形態では、高位側電位VcomH=1.25V、低位側電位VcomL=−1.25Vとしたが、これに限るものではない。
【0124】
(6)変形例6
上述した各実施形態では、極性信号POL1及びPOL2は電位について反転の関係にあるが、液晶装置の構成によっては、反転以外の関係としてもよい。裏を返せば、容量電位線駆動回路23は、極性信号POL1及びPOL2を適宜に定めることにより、様々な構成の液晶装置(例えば各行に対応する走査線が複数本の液晶装置)に適用可能である。
【0125】
(7)変形例7
第1、第3及び第4実施形態の各々において容量電位線駆動回路23が行う第1処理は、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理であるから、再度の反転を次の書込期間H[m]の開始前に確実に完了することと、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することとを両立することができる。しかし、第1処理の内容は、これに限るものではない。
【0126】
例えば、完了の確実性よりも精度低下の抑制を重視し、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、精度低下の抑制よりも完了の確実性を重視し、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから書込期間H[m-1]の開始までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、完了の確実性も精度低下の抑制も考慮せず、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから当該サブフィールドSF4の終了までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。
【0127】
また、第2、第3及び第5実施形態の各々において容量電位線駆動回路23が行う第2処理は、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性を反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理であるから、再度の反転を次の書込期間H[m]の開始前に確実に完了することと、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することとを両立することができる。しかし、第2処理の内容は、これに限るものではない。
【0128】
例えば、完了の確実性よりも精度低下の抑制を重視し、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、精度低下の抑制よりも完了の確実性を重視し、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから書込期間H[m-1]の開始までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、完了の確実性も精度低下の抑制も考慮せず、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから当該サブフィールドSFの終了までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。
【0129】
なお、書込期間H[0]〜H[M+1]の各々の長さは共通であり、書込期間H[m-1]が終了すると書込期間H[m]が開始するから、書込期間H[0]〜H[M+1]の各々の長さをWとしたとき、サブフィールドSFにおける書込期間H[m-1]の開始時は、当該サブフィールドSFの終了からWだけ前の時点でもあり、当該書込期間H[m-1]の終了時は、当該サブフィールドSFの終了時点でもある。また、以上の説明は、M本の走査線11の選択方向が順方向の場合の説明である。この選択方向が逆方向の場合には、以上の説明において「H[m-1]」を「H[m+1]」と読み変えればよい。
【0130】
<7:応用例>
次に、以上の各態様に係る液晶装置を利用した電子機器について説明する。図25ないし図27には、液晶装置を表示装置600として採用した電子機器の形態が図示されている。
【0131】
図25は、表示装置600を採用した可搬型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置600と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0132】
図26は、表示装置600を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置600とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置600に表示される表示領域がスクロールされる。
【0133】
図27は、表示装置600を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置600とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置600に表示される。
【0134】
なお、本発明に係る液晶装置が適用される電子機器としては、図25から図27に例示した機器のほか、プロジェクタ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0135】
100,200,300,400,500……液晶装置、10……素子部、11……走査線、12……信号線、13……容量電位線、20……駆動回路、21,71……走査線駆動回路、22……信号線駆動回路、23……容量線駆動回路、30,50,60,70,80……制御回路、31,51,61……極性信号生成回路、41……画素電極、42……共通電極、40……液晶素子、62……画像判別回路、72……極性信号供給回路、A……サンプリング回路、B……選択回路、BF1,BF2……バッファ回路、CS……蓄積容量、N1……第1ノード、N2……第2ノード、PIX……画素回路、POL1……第1の極性信号、POL2……第2の極性信号、R[1]〜R[M]……単位回路、SW1……第1スイッチ、SW2……第2スイッチ、SW3……第3スイッチ、SW4……第4スイッチ、TSL……選択スイッチ、600……表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置の駆動では、直流成分の残留による液晶素子の劣化を抑制するために液晶素子の印加電圧の極性を繰り返し反転させる交流駆動が一般的である。この交流駆動の方法として、特許文献1には、信号線に信号を供給して液晶素子の画素電極に電位を書き込む信号線駆動回路の出力レンジを縮小し、消費電力を抑制するために、画素電極に書き込んだ電位を容量結合によって変動させて液晶素子の印加電圧を所望の電圧とする駆動方法が記載されている。以降、この駆動方法を「容量線駆動」と呼ぶ。特許文献1に記載の容量線駆動では、液晶素子の印加電圧の極性は、画素電極への電位の書き込み毎に反転する。
【0003】
一方、液晶装置の駆動方法として、1フレームを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドでは二つの電圧(絶対値)のうちの何れか一方を液晶素子に印加することにより、液晶素子に多階調を表示させるサブフィールド駆動が知られている。特許文献2には、このサブフィールド駆動の一種であり、サブフィールドの数を減らすために、1フレームに含まれる複数のサブフィールドの長さが互いに異なるようにした駆動方法が記載されている。以降、この駆動方法を、「重み付けサブフィールド駆動」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−196358号公報
【特許文献2】特開2003−114661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の容量線駆動の利点と重み付けサブフィールド駆動の利点との両方を得るために、両駆動を組み合わせることを想定する。この場合、1フレームあたりのサブフィールド数が偶数の場合に問題が生じる。この問題について、図28を参照して説明する。この説明では、両駆動を組み合わせた液晶装置を「従来の液晶装置」と呼ぶ。
【0006】
図28には、従来の液晶装置において、1フレームあたりのサブフィールド数が4の場合、かつ、第0階調から第15階調までの計16階調を表示する場合の、ノーマリーブラックの液晶素子に対する電圧印加パターンが、第kフレームと第k+1フレームとにわたって示されている。各階調に対応する式は、その階調を第kフレーム及び第k+1フレームにわたって表示させる場合に当該液晶素子40に印加される正電圧の時間積分値(絶対値)と負電圧の時間積分値(絶対値)との比較式である。
【0007】
特許文献1に記載の容量線駆動では、液晶素子の印加電圧の極性は、画素電極への電位の書き込み毎に反転する。一方、サブフィールド駆動では、画素電極への電位の書き込みはサブフィールド毎に行われる。よって、従来の液晶装置では、図28に示すように、液晶素子の印加電圧の極性がサブフィールド毎に反転することになる。つまり、液晶素子の印加電圧の極性が正極性(+)のサブフィールドと液晶素子の印加電圧の極性が負極性(−)のサブフィールドとが交互に並ぶことになる。
【0008】
したがって、第kフレーム内のあるサブフィールドに係る極性と、当該サブフィールドと同じ長さの、第k+1フレーム内のサブフィールドに係る極性は、1フレームあたりのサブフィールド数が奇数の場合には反転の関係になるが、偶数の場合には反転の関係にならない。例えば、第7階調に注目した場合、サブフィールドSF1に係る印加電圧は第kフレームでも第k+1フレームでも+5Vである。したがって、1フレームあたりのサブフィールド数が偶数の場合には、図28に示すように、第0階調を除き、比較式が不等式となってしまう。
【0009】
これは、第0階調を除き、直流成分が残留することを意味する。直流成分の残留は液晶素子の劣化を速める要因となる。
そこで、本発明は、容量線駆動と重み付けサブフィールド駆動との両方を採用しつつ、単位期間あたりのサブフィールド数が偶数であっても、直流成分の残留を回避することができる液晶装置、その駆動方法、及び電子機器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶装置の駆動方法は、信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転することを特徴とする。
この駆動方法によれば、単位期間を構成する各サブフィールド期間では、書込期間が終了すると容量電位の極性を反転し、単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、容量電位の極性を再度反転する処理(第1処理)が行われるから、単位期間に含まれるサブフィールド期間の数をq(偶数)とした場合、容量電位の極性は、各単位期間においてq+1(奇数)回ずつ反転する。つまり、隣り合う二つの単位期間の間で、長さが等しい対応するサブフィールド期間における容量電位の反転方向が逆向きとなる。よって、隣り合う二つの単位期間では、液晶素子への印加電圧の直流成分が打ち消される。すなわち、この駆動方法によれば、直流成分の残留を回避することができる。
なお、「極性反転」とは、容量電位が2値の電位を取る場合に、両方の電位の平均電位を基準として高電位を正極性、低電位を負極性としたとき、容量電位を、正極性から負極性へあるいは負極性から正極性に遷移させることをいう。
【0011】
本発明に係る別の液晶装置の駆動方法は、信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しないことを特徴とする。
この駆動方法によれば、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない処理(第2処理)が行われるから、単位期間に含まれるサブフィールド期間の数をq(偶数)とした場合、容量電位の極性は、各単位期間において2×q−1(奇数)回ずつ反転する。つまり、隣り合う二つの単位期間の間で、長さが等しい対応するサブフィールド期間における容量電位の反転方向が逆向きとなる。よって、隣り合う二つの単位期間では、液晶素子への印加電圧の直流成分が打ち消される。すなわち、この駆動方法によれば、直流成分の残留を回避することができる。
【0012】
本発明に係る液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、低位側電位と高位側電位とのうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線に各々供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する容量電位線駆動回路とを備えることを特徴とする。
この液晶装置では、第1処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。
また、書込期間が終了すると行われる容量電位の極性の反転の方向(プッシュ方向)がサブフィールド期間毎に異なる場合、各サブフィールド期間において、隣り合う行間で画素電極の電位が大きく異なる箇所(図14参照)が表示領域を走査することになり、コントラスト低下等の表示品位の低下を招くが、第1処理では、プッシュ方向が、ある単位期間の最後のサブフィールド期間と、次の単位期間の最初のサブフィールド期間との間で一致するから、上記の箇所による走査の回数が減る。つまり、この液晶装置によれば、表示品位を向上させることができる。
ところで、この液晶装置であっても、一つのフレームに注目すれば、直流成分が残留する。しかし、第1処理では、プッシュ方向が原則としてサブフィールド期間毎に反転するから、一つの単位期間に注目した場合でも、残留する直流成分の最大値(絶対値)を小さく抑制することができる。これは、液晶素子の劣化の抑制に寄与する。
【0013】
本発明に係る別の液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない容量電位線駆動回路とを備えることを特徴とする。
この液晶装置では、第2処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。また、第2処理では、プッシュ方向が単位期間内で共通となるから、隣り合う行間で画素電極の電位が大きく異なる箇所(図14参照)による走査の回数が大幅に減る。したがって、この液晶装置によれば、表示品位を大幅に向上させることができる。
【0014】
本発明に係るさらに別の液晶装置は、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、フレーム等の単位期間を互いに異なる長さのものを含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路とを備え、低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給する第1処理と第2処理とのうち一方を選択的に実行する容量電位線駆動回路とを備え、前記第1処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転し、前記第2処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しないことを特徴とする。
この液晶装置では、第1処理又は第2処理が行われるから、直流成分の残留を回避することができる。また、この液晶装置には、容量電位線駆動回路に実行される処理が、表示する画像の種類に基づいて選択される液晶装置も含まれる。そのような液晶装置としては、焼きつきが生じ難い動画像を表示する場合には第2処理を実行し、焼きつきが生じ易い静止画像を表示する場合には第1処理を実行する液晶装置や、焼きつきが生じ難い自然画像(例えば写真)を表示する場合には第2処理を実行し、焼きつきが生じ易いコンピュータグラフィックス(例えばメニュー画像)を表示する場合には第1処理を実行する液晶装置を例示可能である。
【0015】
ところで、第1処理としては、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転した後の時点であって、当該最後のサブフィールド期間の終了から前記書込期間の長さだけ前の時点から、当該最後のサブフィールド期間の終了までの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する処理が好ましい。この処理によれば、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することができる。また、第2処理としては、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転した後の時点であって、当該サブフィールド期間の終了から前記書込期間の長さだけ前の時点から、当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する処理が好ましい。この処理によれば、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することができる。
【0016】
上記の各液晶装置において、第1の極性信号と第2の極性信号とを生成する極性信号生成回路を備え、前記容量電位線駆動回路は、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第1の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択し、当該行の書込期間においては、直前の容量電位を保持し、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第2の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択するようにしてもよい。この液晶装置によれば、第1の極性信号と第2の極性信号とを適切に定めるだけで、容量電位を適切に変動させることができる。
【0017】
この液晶装置の構成としては、前記容量電位線駆動回路が、前記複数の容量電位線の各々に設けられたサンプリング回路と、前記サンプリング回路の出力信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位との一方を選択する選択回路とを備え、前記サンプリング回路は、前記第1の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が第1ノードと接続される第1スイッチと、前記第1ノードが一方の端子に接続される第2スイッチと、前記第2の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が前記第1ノードに接続される第3スイッチと、前記第1ノードに入力端子が接続され出力端子に第2ノードが接続されるバッファ回路と、前記第2ノードと一方の端子が接続され他方の端子が前記第2スイッチの他方の端子と接続される第4スイッチとを備え、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第1スイッチと前記第2スイッチとは排他的にオン状態となり、前記第3スイッチと前記第4スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第3スイッチと前記第4スイッチとは排他的にオン状態となるものが挙げられる。
【0018】
この構成によれば、複数の走査線の選択方向が切り換わっても、第1の極性信号と第2の極性信号とを入れ替えるだけで容量電位を適切に変動させることができる。したがって、この構成の液晶装置に、前記複数の走査線の選択方向に同期して前記第1の極性信号及び前記第2の極性信号を入れ替える極性信号供給回路を設ければ、容量電位線駆動回路は、複数の走査線の選択方向を示す信号の供給を受けずとも、複数の走査線の選択方向に同期して容量電位を変動させることができる。
【0019】
上記の各液晶装置は各種の電子機器に利用される。電子機器の典型例は、液晶装置を表示装置として利用した機器である。具体的には携帯電話機や携帯情報端末が本発明の電子機器として例示される。また、光源からの出射光を変調する光変調体として以上の各態様の液晶装置を利用した投写型表示装置も本発明の電子機器の概念に包含される。投写型表示装置は、光線を出射する光源と、光源からの出射光を変調する以上の各態様の液晶装置と、液晶装置による変調光を投射面に投射する光学系とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】液晶装置100内の画素回路PIXの構成を示す回路図である。
【図3】画素回路PIXの動作(書込)を説明するための図である。
【図4】画素回路PIXの動作(極性反転)を説明するための図である。
【図5】液晶装置100内の信号線駆動回路22の構成を示すブロック図である
【図6】液晶装置100内の単位回路R[m]の構成を示すブロック図である。
【図7】単位回路R[m]の動作(第m−1行選択時)を説明するための図である。
【図8】単位回路R[m]の動作(第m行選択時)を説明するための図である。
【図9】単位回路R[m]の動作(第m+1行選択時)を説明するための図である。
【図10】単位回路R[m]の動作(第m+1行の次の行選択時)を説明するための図である。
【図11】単位回路R[m]の入出力特性を示す図である。
【図12】液晶装置100の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図13】液晶装置100の利点を示す概念図である。
【図14】液晶装置100の他の利点を示す概念図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る液晶装置200の構成を示すブロック図である。
【図16】液晶装置200の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図17】液晶装置200の他の利点を示す概念図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る液晶装置300の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る液晶装置400の構成を示すブロック図である。
【図20】液晶装置400内の走査線駆動回路71の構成を示すブロック図である
【図21】液晶装置400内の極性信号供給回路72の構成を示す回路図である
【図22】液晶装置400の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図23】本発明の第5実施形態に係る液晶装置500の構成を示すブロック図である。
【図24】液晶装置500の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。
【図25】本発明に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る別の電子機器の外観を示す斜視図である。
【図27】本発明に係る更に別の電子機器の外観を示す斜視図である。
【図28】従来の液晶装置の欠点を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<1:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置100の構成を示すブロック図である。液晶装置100は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、複数の画素回路PIXが平面状に配列された素子部(表示領域)10と、各画素回路PIXを交流駆動する駆動回路20と、駆動回路20を制御する制御回路30とを備える。駆動回路20は、走査線駆動回路21と信号線駆動回路22と容量電位線駆動回路23とを備える。後に詳述するが、上記の交流駆動では、各画素回路PIXに含まれる液晶素子の印加電圧の極性(正極性/負極性)がサブフィールド単位で反転し得る。
【0022】
素子部10には、X方向に延在するM本の走査線11と、X方向に交差するY方向に延在するN本の信号線12とが形成される(MおよびNは2以上の自然数)。複数の画素回路PIXは、各走査線11と各信号線12との交差に対応して配置されて縦M行×横N列の行列状に配列する。また、素子部10には、各走査線11に対応してX方向に延在するM本の容量電位線13とが形成される。
【0023】
制御回路30は、液晶装置100の動作を規定する各種の信号や電位を生成して駆動回路20に供給する。具体的には、制御回路30は、第1クロック信号CLK1と、第1開始パルスSP1とを生成して走査線駆動回路21に供給し、画像信号DATAと、第2開始パルスSP2と、第2クロック信号CLK2と、ラッチパルスLPとを生成し、信号線駆動回路22に供給し、高位側電位VcomH(1.25V)及び低位側電位VcomL(−1.25V)を生成して容量電位線駆動回路23に供給し、共通電位LCCOM(0V)を生成して共通電極42に供給する。
【0024】
第1開始パルスSP1は、一定周期のパルスであり、その電位は、各周期において、先頭の一定長の期間ではアクティブレベル(オン電位Von)を維持し、他の期間では非アクティブレベル(オフ電位Voff)を維持する。第1開始パルスSP1の周期は、各画素回路PIXが画素の階調を表示する単位期間(フレーム)の長さと一致する。画像信号DATAでは、各画素回路PIXの液晶素子の階調(白階調/黒階調)を指定する階調データが、行毎に昇順に並び、各行においては列毎に昇順に並ぶ。
【0025】
また、制御回路30は極性信号生成回路31を備える。極性信号生成回路31は、液晶素子40の印加電圧の極性を指定する第1の極性信号POL1及び第2の極性信号POL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。極性信号POL1及び極性信号POL2は電圧信号であり、各信号の電位は、正電位であるVHとVHの極性を反転したVLとの間で遷移する。この例では、極性信号POL1の電位と極性信号POL2の電位は、常に極性が逆である。つまり、極性信号POL1の電位がVHのときには、極性信号POL2の電位はVLであり、極性信号POL1の電位がVLのときには、極性信号POL2の電位はVHである。
【0026】
走査線駆動回路21は、M本の走査線11を、第1行から第M行への方向(順方向)へ、所定の期間(以下「書込期間」という)毎に順次に選択する。走査線駆動回路21は、例えばM+2段のシフトレジスタであり、第1開始パルスSP1を第1クロック信号CLK1で指定されるタイミングで次段へ転送することによって走査信号G[0]〜G[M+1]を生成し、そのうちの走査信号G[1]〜G[M]を各走査線11に出力することにより、上記の選択を行う。
【0027】
なお、走査信号G[0]及びG[M+1]は、走査線11に出力されることのないダミー信号であり、容量電位線駆動回路23に供給される。以降、走査信号G[0]〜G[M+1]のうち、走査信号G[0]のみがオン電位Vonの期間を「書込期間H[0]」と呼び、走査信号G[M+1]のみがオン電位Vonの期間を「書込期間H[M+1]」と呼ぶ。
【0028】
信号線駆動回路22は、走査線駆動回路21による各走査線11の選択に同期して、N本の信号線12の電位を制御する。具体的には、画像信号DATAと第2開始パルスSP2と第2クロック信号CLK2とラッチパルスLPとに基づいて、書込期間H[m]にて、第m行の各画素回路PIXの液晶素子の階調(白階調/黒階調)を指定する階調信号S[1]〜S[N]を、各信号線12に供給する。階調信号S[n]の電位Vdataは、第1電位VdataH(2.5V)と第2電位VdataL(−2.5V)との何れか一方である。
【0029】
容量電位線駆動回路23は、走査線駆動回路21による各走査線11の選択に同期して、M本の容量電位線13の電位(以下「容量電位」という)Vcom[1]〜Vcom[M]を制御する。具体的には、走査信号G[0]〜G[M+1]と極性信号POL1と極性信号POL2とに基づいて、容量電位線13毎に高位側電位VcomH及び低位側電位VcomLのうち一方を選択し、選択した電位を対応する容量電位線13へ供給する。
【0030】
図2は、各画素回路PIXの構成を示す回路図である。図2においては、第m行(m=1〜M)第n列(n〜1〜N)に位置する1個の画素回路PIXが代表的に図示されている。図2に示すように、画素回路PIXは、液晶素子40と選択スイッチTSLと蓄積容量CSとを備える。選択スイッチTSLは、例えば素子基板の面上に形成された任意の導電型の薄膜トランジスタで構成される。第m行の各画素回路PIXにおける選択スイッチTSLのゲートは、第m行に対応する走査線11に共通に接続される。
【0031】
液晶素子40は、画素電極41と共通電極(対向電極)42と両電極間の液晶43とで構成される液晶素子である。画素電極41は、素子基板(図示略)の面上に画素回路PIX毎に独立に形成され、共通電極42は、素子基板に対向する対向基板(図示略)の面上に複数の画素回路PIXにわたって共通に形成される(図1参照)。共通電極42には、固定の共通電位LCCOM(0V)が供給される。画素電極41と共通電極42との間の液晶43は、両電極間の電圧に応じて階調(透過率や反射率)が変化する。液晶43は、垂直配向型(VA(Vertical Alignment))に設定され、画素電極41と共通電極42との間の電圧が0Vである場合に最低階調(黒階調)となるノーマリーブラックモードで動作する。
【0032】
第n列の各画素回路PIXの選択スイッチTSLは、画素電極41と第n列の信号線12との間に介在して両者の電気的な接続(導通/非導通)を制御する。第m行の各画素回路PIXの蓄積容量CSは、画素電極41と第m行に対応する容量電位線13の間に介在する容量素子である。具体的には、蓄積容量CSは、画素電極41に接続された電極EA1と容量電位線13に接続された電極EA2と両電極間の誘電体とで構成される。蓄積容量CSは、画素電極41の電位(液晶素子40の印加電圧)を保持する機能と、容量電位Vcom[m]に応じて画素電極41の電位を変動させる結合容量の機能とを兼備する。
【0033】
詳しくは後述するが、容量電位Vcom[m]は、正電位である高位側電位VcomHと高位側電位VcomHの極性を反転した電位である低位側電位VcomLとの間で遷移し、走査線11から供給される走査信号G[m]の電位は、選択スイッチTSLをオン状態とするオン電位Vonと選択スイッチTSLをオフ状態とするオフ電位Voffとの間で遷移する。図3に示すように、第m行第n列の画素回路PIXでは、走査信号G[m]の電位がVonの期間(第m行の書込期間H[m])において、選択スイッチTSLがオン状態となり、階調信号S[n]が画素電極41へ供給される。よって、この画素電極41の電位Vpは、階調信号S[n]の電位Vdataへ遷移する。
【0034】
そして、走査信号G[m]の電位がVonからVoffへ遷移し、書込期間H[m]が終了した後に、容量電位Vcom[m]の極性が反転する。これにより、図4に示すように、第m行の各画素回路PIXでは、電極EA2の電位が、VcomLからVcomHへ、又はVcomHからVcomLへ変化し、これに伴って、電極EA1の電位がVdataからVcomH−VcomLだけ上下する。よって、画素電極41の電位Vpは、Vdata+(VcomH−VcomL)又はVdata−(VcomH−VcomL)となり、これが、液晶素子40の印加電圧となる。なお実際には蓄積容量CSと液晶容量、及び画素電極41に寄生する容量間で電荷の再分配が行われるために、単純にVcomH−VcomLが画素電極電位の変動量になるものではない。本発明では説明の簡便化のために上記電荷再分配の点は単純化している。この単純化は本発明の本質を損なうものではない。
【0035】
VcomH−VcomL=1.25V+1.25V=5V>0Vであるから、結局、液晶素子40の印加電圧は、Vdata=VdataHかつVp=Vdata+(VcomH−VcomL)の場合には、VdataHよりも高くなり、Vdata=VdataLかつVp=Vdata−(VcomH−VcomL)の場合には、VdataLよりも低くなる。つまり、画素回路PIXは、液晶素子40が交流駆動されることを前提としており、適切に駆動されることにより、Vdataの振れ幅(絶対値)を狭くしつつ(VdataHとしつつ)、液晶素子40の印加電圧の振れ幅(絶対値)を広くすること(VdataH+(VcomH−VcomL)とすること)、すなわち駆動回路20にかかる負担を軽減しつつコントラストを上げることができる。
【0036】
図5は、信号線駆動回路22の構成を示すブロック図である。図5に示すように、信号線駆動回路22は、N段のシフトレジスタ211と第1ラッチ回路212と第2ラッチ回路213とを備える。シフトレジスタ211は、第2開始パルスSP2を第2クロック信号CLK2で指定されるタイミングで次段に転送することにより、書込期間H[m]内において、N系統の選択信号SEL[1]〜SEL[N]を順次にアクティブに設定する。第1ラッチ回路212は、選択信号SEL[n]がアクティブに設定された時点で制御回路30から供給されている画像信号DATAを取り込んで保持し、保持しているデータを階調データD[n]として出力する。すなわち、階調データD[1]〜D[N]が点順次で第1ラッチ回路212から並列に出力される。第2ラッチ回路213は、第1ラッチ回路212から出力された階調データD[1]〜D[N]を取り込んで保持し、ラッチパルスLPで指定されたタイミング(各書込期間H[m]の始点)にて、階調信号S[1]〜S[N]として一斉に出力(線順次出力)する。
【0037】
書込期間H[m]にて第n列の信号線12に供給される階調信号S[n]は、第m行第n列の画素回路PIXにおける液晶素子40について階調(黒階調/白階調)を指定する電圧信号である。階調信号S[n]の電位は、正極性の場合の白階調を指定する電位(第1電位VdataH)、負極性の場合の白階調を指定する電位(第2電位VdataL)、正極性の場合の黒階調を指定する電位(第2電位VdataL)、負極性の場合の黒階調を指定する電位(具体的には第1電位VdataH)の何れかに設定される。
【0038】
図1の容量電位線駆動回路23は、M本の容量電位線13にそれぞれ対応する単位回路R[1]〜R[M]を備える。単位回路R[m]は、走査信号G[m-1]及びG[m+1]と、極性信号POL1と、極性信号POL2とに基づいて、高位側電位VcomH及び低位側電位VcomLのうち一方を選択し、選択した電位を第m行に対応する容量電位線13へ供給する。
【0039】
図6は、単位回路R[m]のブロック図である。図6に示すように、単位回路R[m]は、走査信号G[m-1]及びG[m+1]で定まるタイミングで、極性信号POL1と極性信号POL2との一方をサンプリングし、このサンプリングで得られた電位を保持し、保持中の電位の信号を出力するサンプリング回路Aと、サンプリング回路Aの出力信号に基づいて、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHとの一方を選択する選択回路Bとを備える。
【0040】
サンプリング回路Aは、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、バッファ回路BF1及びBF2を備え、第1ノードN1、第2ノードN2及び出力端子を有する。第1スイッチSW1の一方の端子には極性信号POL1が供給され、第3スイッチSW3の一方の端子には極性信号POL2が供給される。第1ノードN1には、第1スイッチSW1の他方の端子と、第2スイッチSW2の一方の端子と、第3スイッチSW3の他方の端子と、バッファ回路BF1の入力端子とが接続されている。第2ノードN2には、第4スイッチSW4の一方の端子と、バッファ回路BF1の出力端子と、バッファ回路BF2の入力端子とが接続されている。第2スイッチSW2の他方の端子は、第4スイッチSW4の他方の端子と接続されている。バッファ回路BF2の出力端子は、サンプリング回路Aの出力端子と接続されている。
【0041】
単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との制御端子には走査信号G[m-1]が供給され、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4との制御端子には走査信号G[m+1]が供給される。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とは排他的にオン状態となり、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4とは排他的にオン状態となる。具体的には、走査信号G[m-1]がオン電位Vonの場合には、第1スイッチSW1がオン状態となる一方、第2スイッチSW1がオフ状態となり、走査信号G[m-1]がオフ電位Voffの場合には、第1スイッチSW1がオフ状態となる一方、第2スイッチSW2がオン状態となり、走査信号G[m+1]がオン電位Vonの場合には、第3スイッチSW3がオン状態となる一方、第4スイッチSW4がオフ状態となり、走査信号G[m+1]がオフ電位Voffの場合には、第3スイッチSW3がオフ状態となる一方、第4スイッチSW4がオン状態となる。
【0042】
選択回路Bは、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6を備え、入力端子及び出力端子を備える。第5スイッチSW5の一方の端子には高位側電位VcomHが供給され、第6スイッチSW6の一方の端子には低位側電位VcomLが供給される。選択回路Bの出力端子には、第5スイッチSW5の他方の端子と、第6スイッチSW6の他方の端子とが接続されている。選択回路Bの入力端子は、サンプリング回路Aの出力端子と接続されている。選択回路Bから入力された信号の電位がVLの場合、第5スイッチSW5はオン状態となり、第6スイッチSW6はオフ状態となる。選択回路Bから入力された信号の電位がVHの場合、第5スイッチSW5はオフ状態となり、第6スイッチSW6はオン状態となる。
【0043】
ここで、極性信号POL1の電位がVH(極性信号POL2の電位がVL)であるものとして、単位回路R[m]の動作を説明する。
第m−1行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]がオン電位Vonとなり、走査信号G[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、極性信号POL1が第1スイッチSW1及びノードN1を介してバッファ回路BF1へ供給される。バッファ回路BF1は供給された信号の電位を保持し、保持している電位を出力する。バッファ回路BF1から出力された電位は、バッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。
ここでは、極性信号POL1の電位がVHであるから、単位回路R[m]においてサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される電位はVHとなる。したがって、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5はオフ状態となり、第6スイッチSW6はオン状態となる。よって、この選択回路Bの出力端子から低位側電位VcomLが出力される。すなわち、第m行に対応する容量電位線13には、低位側電位VcomLが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0044】
次に第m行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]及びG[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図8に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、バッファ回路BF1に保持されている電位VHがバッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。よって、第m行に対応する容量電位線13には、低位側電位VcomLがVcom[m]として出力される。
【0045】
次に第m+1行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]がオフ電位Voffとなり、走査信号G[m+1]がオン電位Vonとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態となる。したがって、極性信号POL2が第3スイッチSW3及びノードN1を介してバッファ回路BF1へ供給される。バッファ回路BF1は供給された信号の電位を保持し、保持している電位を出力する。バッファ回路BF1から出力された電位は、バッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。
ここでは、第2極性信号POL1の電位がVLであるから、単位回路R[m]においてサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される電位はVLとなる。したがって、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5はオン状態となり、第6スイッチSW6はオフ状態となる。よって、この選択回路Bの出力端子から高位側電位VcomHが出力される。すなわち、第m行に対応する容量電位線13には、高位側電位VcomHが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0046】
次に第m+1行の次の行に対応する走査線11が選択されると、走査信号G[m-1]及びG[m+1]がオフ電位Voffとなるから、単位回路R[m]のサンプリング回路Aでは、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態となり、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態となる。したがって、バッファ回路BF1に保持されている電位VLがバッファ回路BF2を介して単位回路R[m]の選択回路Bに供給される。よって、第m行に対応する容量電位線13には、高位側電位VcomHが容量電位Vcom[m]として出力される。
【0047】
このように、極性信号POL1の電位がVH(極性信号POL2の電位がVL)の場合、Vcom[m]は、書込期間H[m-1]の開始から書込期間H[m+1]の開始までの期間では低位側電位VcomLとなり、書込期間H[m+1]の開始から次回の書込期間H[m-1]の開始までの期間では高位側電位VcomHとなる。一方、極性信号POL1の電位がVL(極性信号POL2の電位がVH)の場合、Vcom[m]は、書込期間H[m-1]の開始から書込期間H[m-1]の開始までの期間では高位側電位VcomHとなり、書込期間H[m+1]の開始から次回の書込期間H[m-1]の開始までの期間では低位側電位VcomLとなる。よって、単位回路R[m]の入出力特性は、図11に示す通りとなる。
【0048】
以上の説明から理解されるように、単位回路R[m]は、書込期間H[m-1]においては、極性信号POL1に基づいて低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として選択し、書込期間H[m]においては、直前の容量電位Vcom[m]を保持し、書込期間H[m+1]においては、極性信号POL2に基づいて低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として選択する回路である。
【0049】
図12は、液晶装置100の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。この図に示すように、図1の駆動回路20による各画素回路PIXの駆動にはサブフィールド駆動が採用される。具体的には、駆動回路20は、各画素回路PIXについて、その各フレームを互いに異なる長さの4個のサブフィールド(サブフィールド期間)SFで構成し、当該画素回路PIXの各フレームにおいて、当該フレームの各サブフィールドSFにて後述の3種類の電圧の何れかを液晶素子40に印加する。
【0050】
第m行の一つの画素回路PIXに注目すると、サブフィールドSF1,SF2,SF3,SF4の各々において、書込期間H[m]の終了から当該サブフィールドSFの終了までの間に、3種類の電圧の何れかを液晶素子40に印加する。3種類の電圧は、液晶素子40の階調を、後述の正極性のサブフィールドSFにおいて白階調とするための正電圧(5V)と、後述の負極性のサブフィールドSFにおいて白階調とするための負電圧(−5V)と、黒階調とするための零電圧(0V)である。
【0051】
また、駆動回路20は、極性信号POL1及びPOL2に基づいて、第m行の画素回路PIXの各々について、当該画素回路PIXの各サブフィールドSFにおいて、書込期間H[m]が終了すると、容量電位線13の電位の極性を反転させることにより、液晶素子40の画素電極41の電位を上下させる。以降、この反転によって画素電極41の電位が上がるサブフィールドSFを「正極性のサブフィールドSF」と呼び、この反転によって画素電極41の電位が下がるサブフィールドSFを「負極性のサブフィールドSF」と呼ぶ。
【0052】
正極性のサブフィールドSFを「+」、負極性のサブフィールドSFを「−」、フレームの境界を「|」で表すとき、液晶装置100では、サブフィールドSF1〜SF4は、…−+|+−+−|−+−+|+−…という並びとなる。つまり、液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)は、原則としてサブフィールドSF毎に反転するが、フレームの境界では反転しない。
【0053】
また、フレーム内の各サブフィールドSFの時間長は2進加重の関係(SF1:SF2:SF3:SF4=1:2:4:8)に設定される。すなわち、各サブフィールドSFは重み付けされている。また、各液晶素子40は、各フレームにおいて、第0階調(最も暗い黒)から第15階調(最も明るい白)までの計16階調のうち何れか一つを表示可能である。これら16階調の各々と液晶素子40への電圧印加パターンとの関係は、図13に示す通りである。図13には、第0階調から第15階調までの計16階調の各々について、当該階調を連続して同一の液晶素子40に表示させる場合の、第kフレームにおける電圧印加パターンと、第k+1フレームにおける電圧印加パターンとが示されている。
【0054】
書込期間H[m]では、図3に示すように第m行の各画素回路PIXの選択スイッチTSLがオン状態となり、図4に示すように他の行の各画素回路PIXの選択スイッチTSLがオフ状態となる。一方、N本の信号線12には、書込期間H[m]において、第m行のN個の画素回路PIXの液晶素子40の階調(白階調/黒階調)をそれぞれ指定する階調信号S[1]〜S[N]が供給される。したがって、書込期間H[m]では、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。
【0055】
前述のように、第n列の信号線12に供給される階調信号S[n]の電位Vdataは、第1電位VdataH又は第2電位VdataLである。第1電位VdataHは、正極性のサブフィールドSFでは白階調を指定し、負極性のサブフィールドSFでは黒階調を指定する電位である。第2電位VdataLは、負極性のサブフィールドSFにおいては白階調を指定し、正極性のサブフィールドSFにおいては黒階調を指定する電位である。
【0056】
極性信号POL1及びPOL2の電位の極性は、原則として、書込期間H[0]の開始時にそれぞれ反転する。例えば、極性信号POL1の電位は、第kフレームのサブフィールドSF2における書込期間H[0]の開始時に、VHからVLに遷移し、第kフレームのサブフィールドSF3における書込期間H[0]の開始時に、VLからVHに遷移する。ただし、各フレームの最初のサブフィールドSFでは、上記の反転は行われない。例えば、極性信号POL1は、第k+1フレームのサブフィールドSF1における書込期間H[0]の開始時にはVLを維持する。
【0057】
以降、上記の波形の極性信号POL1及びPOL2に基づく液晶装置100の動作について、第1行第n列の画素回路PIXに注目して説明する。この説明では、直流成分の残留を回避可能であることを分かり易く示すために、第1行第n列の画素回路PIXには、同一階調(具体的には第7階調)を表示させるための階調信号S[n]が供給され続けるものとする。図13から明らかなように、第7階調を表示させるための階調信号S[n]の電位Vdataは、サブフィールドSF1、SF3及びSF4では第1電位VdataH(2.5V)となり、サブフィールドSF2では第2電位VdataL(−2.5V)となる。
【0058】
(1)第kフレーム
(1−1)サブフィールドSF1
(1−1−1)書込期間H[1]
第kフレームはサブフィールドSF1から始まり、このサブフィールドSF1は書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。この階調信号S[n]の電位VdataはVdataHであるから、この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataH(2.5V)に維持される。
【0059】
また、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。詳しくは後述するが、このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0060】
(1−1−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
【0061】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図12に示すように、2.5Vから、2.5V+(1.25V+1.25V)=5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0062】
(1−1−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給される。この選択回路Bでは、図10に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0063】
(1−1−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVHからVLへ遷移する。また、この期間では、走査信号G[0]の電位がオン電位Vonであり、走査信号G[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL1の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この書込期間H[0]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0064】
(1−2)サブフィールドSF2
(1−2−1)書込期間H[1]
続くサブフィールドSF2も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41に階調信号S[n]の電位Vdataが書き込まれる。この階調信号S[n]の電位VdataはVdataLであるから、この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataL(−2.5V)に維持される。
【0065】
また、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給され、この選択回路Bでは、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
(1−2−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VHがバッファ回路BF1に保持され、このVHがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0066】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が高位側電位VcomHから低位側電位VcomLへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataLからVdataL−(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図12に示すように、−2.5Vから、−2.5V−(1.25V+1.25V)=−5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
【0067】
(1−2−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。ただし、単位回路R[1]のバッファ回路BF1に保持されている電位はVHであるから、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
【0068】
(1−2−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、この書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVLからVHへ遷移する。したがって、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にはVHが保持され、容量電位Vcom[1]は、低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが−5Vに維持される。
(1−3)サブフィールドSF3
続くサブフィールドSF3では、第kフレームのサブフィールドSF1と同様の動作が行われる。すなわち、画素電極41の電位Vpは、書込期間H[1]ではVdataH(2.5V)、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の終了時までの期間ではVdataH+(VcomH−VcomL)=5Vに維持され、容量電位Vcom[1]は、書込期間H[1]では低位側電位VcomL(−1.25V)、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の終了時までの期間では高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
(1−4)サブフィールドSF4
(1−4−1)書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続くサブフィールドSF4も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[1]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[1]における階調信号S[n]の電位VdataはVdataHであるから、画素電極41の電位Vpは、このサブフィールドSF4において、書込期間H[1]ではVdataH(2.5V)に維持され、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間ではVdataH−(VcomH−VcomL)=0Vに維持される。一方、容量電位Vcom[1]は、このサブフィールドSF4において、書込期間H[1]では高位側電位VcomHを維持し、書込期間H[2]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では低位側電位VcomLを維持する。
【0069】
(1−4−2)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF2の書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVLからVHへ遷移するのに対して、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]の開始時には、そのような遷移は行われない。つまり、極性信号POL1の電位は、第kフレームのサブフィールドSF4を通じてVLを維持する。このため、このサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVLが保持され、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomHを維持する。すなわち、この書込期間H[0]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。
【0070】
(2)第k+1フレーム
続く第k+1フレームでは、第kフレームと同様の動作が行われる。ただし、極性信号POL1及び第1極性信号POL2の電位の極性は、各フレームに3回ずつ反転するから、第kフレームと第k+1フレームとの間では、対応するサブフィールドSFの極性が反転している。例えば、第kフレームのサブフィールドSFが正極性であるのに対して、第k+1フレームのサブフィールドSFは負極性である。このため、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpは、第kフレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpの極性をそれぞれ反転させた電位となる。したがって、第k+1フレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持される。これが、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[1]において単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持されている理由である。
【0071】
以上の説明では第1行第n列の画素回路PIXに注目したが、第m行第n列の画素回路PIXについても上述と同様の動作が行われる。もちろん、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41の電位Vpは、走査信号G[m-1]及び走査信号G[m+1]に基づいて単位回路R[m]が生成した容量電位Vcom[m]に応じて変動することになる。また、第m行第n列の画素回路PIXの各フレームは書込期間H[m]から開始する。
【0072】
このように、液晶装置100の容量電位線駆動回路23は、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として第m行に対応する容量電位線13に供給する処理であって、フレームを構成する各サブフィールドSFでは、第m行の書込期間H[m]が終了すると容量電位Vcom[m]の極性を反転し、フレームを構成する最後のサブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する第1処理を行う。したがって、液晶装置100には、図13に示す利点がある。
【0073】
図13には、第0階調から第15階調までの計16階調の各々について、第kフレームの開始時から第k+1フレームの終了時までに当該液晶素子40に印加される正電圧の時間積分値(絶対値)と負電圧の時間積分値(絶対値)との比較式とが示されている。図13に示されるように、液晶装置100では、同一階調を連続して同一の液晶素子40に表示させる場合、隣り合う二つのフレーム間で、長さが等しい対応するサブフィールドSFにおける印加電圧の極性が逆になるから、これらのフレームにおいて、正電圧の時間積分値(絶対値)と、これらのフレームにわたる負電圧の時間積分値(絶対値)とが等しくなり、直流成分が打ち消される。つまり、液晶装置100によれば、直流成分の残留が回避される。
【0074】
ところで、液晶装置100であっても、一つのフレームに注目すれば、直流成分が残留する。ただし、液晶装置100では、書込期間が終了すると行われる容量電位の極性の反転の方向が、原則としてサブフィールド毎に反転するから、一つのフレームに注目した場合でも、残留する直流成分の最大値(絶対値)を小さく抑制することができる。これは、各液晶素子40の劣化の抑制に寄与する利点である。
【0075】
図14は、液晶装置100の他の利点を示す概念図である。この図には、液晶装置100の総ての画素電極41の電位Vpの極性の変遷が書込期間毎に示されている。ただし、図14では、図面の繁雑化を避けるために、液晶装置100が備える画素電極41の数を、4行×4列=16個としてある。液晶装置100では、原則として、液晶素子40の印加電圧の極性がサブフィールドSF毎に反転される。したがって、各サブフィールドSFでは、原則として、隣り合う行間で画素電極41の電位が大きく異なる箇所(図14の太線)が表示領域を走査することになる。
【0076】
この箇所では、予期しない強い電界が列方向(図1のY方向)に発生する虞がある。つまり、この箇所が表示領域を走査することによって、コントラスト低下等の表示品位の低下が生じる虞がある。したがって、この箇所による表示領域の走査回数は少ない方がよい。液晶素子40の印加電圧の極性がサブフィールドSF毎に必ず反転する場合、上記の箇所による走査は1フレームあたり4回となるが、液晶装置100では、各フレームの最後のサブフィールドSFでは上記の反転が行われないから、図14に示すように、上記の箇所による走査は1フレームあたり3回となる。つまり、本実施形態によれば、画像の表示品位が向上する。
【0077】
<2:第2実施形態>
図15は、本発明の第2実施形態に係る液晶装置200の構成を示すブロック図である。液晶装置200は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図1の液晶装置100と同様の構成を有する。ただし、液晶装置200では、駆動回路20による交流駆動において、各液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)が、サブフィールド単位ではなく、フレーム単位で反転する。このため、液晶装置200は、制御回路30に代えて制御回路50を備える。
【0078】
制御回路50が制御回路30と異なる点は、極性信号生成回路31に代えて極性信号生成回路51を備える点のみである。極性信号生成回路51は、極性信号生成回路31と同様に、液晶素子40の印加電圧の極性を指定する極性信号POL1及びPOL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。ただし、極性信号生成回路51が生成する極性信号POL1及びPOL2と、極性信号生成回路31が生成する極性信号POL1及びPOL2とでは、電位の極性が反転するタイミングが異なる。
【0079】
図16は、液晶装置200の各部の電位の変動を示すタイミングチャートである。この図に示すように、駆動回路20は、液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)をフレーム毎に反転する。つまり、サブフィールドSF1〜SF4は、…−−|++++|−−−−|++…という並びになっている。このような並びとするために、極性信号POL1及びPOL2の電位の極性は、各フレームの最初の書込期間H[0]の開始時にそれぞれ反転する。例えば、極性信号POL1の電位は、第kフレームの最初の書込期間H[0]の開始時に、VLからVHに遷移し、第k+1フレームの最初の書込期間H[0]の開始時に、VHからVLに遷移する。
【0080】
以降、上記の波形の極性信号POL1及びPOL2に基づく液晶装置200の動作について、第1行第n列の画素回路PIXに注目して説明する。この説明では、第1実施形態と同様に、第1行第n列の画素回路PIXには、第7階調を表示させるための階調信号S[n]が供給され続けるものとする。なお、第1行第n列の画素回路PIXの画素電極41に電位が書き込まれるタイミングや書き込まれる電位については、液晶装置100と同様であるから、簡略化した説明に留める。
【0081】
(1)第kフレーム
(1−1)サブフィールドSF1
(1−1−1)書込期間H[1]
第kフレームはサブフィールドSF1から始まり、このサブフィールドSF1は書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataH(2.5V)に維持される。一方、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、図10に示すように、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。詳しくは後述するが、このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0082】
(1−1−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この書込期間H[2]では、走査信号G[0]の電位がオフ電位Voffであり、走査信号G[2]の電位がオン電位Vonであるから、単位回路R[1]では、図9に示すように、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL2の電位VLがバッファ回路BF1に保持され、このVLがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図9に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。
【0083】
このように、この書込期間H[2]の開始時には、容量電位Vcom[1]が低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位VpがVdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図16に示すように、2.5Vから、2.5V+(1.25V+1.25V)=5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[2]では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0084】
(1−1−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図10に示すように、第2スイッチSW2及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位VLが供給される。この選択回路Bでは、図10に示すように、第5スイッチSW5がオン状態を維持し、第6スイッチSW6がオフ状態を維持するから、容量電位Vcom[1]は、高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。したがって、この期間では、画素電極41の電位Vpが5Vに維持される。
【0085】
(1−1−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、図4に示すように、選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、この期間では、走査信号G[0]の電位がオン電位Vonであり、走査信号G[2]の電位がオフ電位Voffであるから、単位回路R[1]では、図7に示すように、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態を維持し、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオフ状態を維持する。したがって、単位回路R[1]では、極性信号POL1の電位VHがバッファ回路BF1に保持され、このVHがサンプリング回路Aから選択回路Bに供給される。この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0086】
このように、この書込期間H[0]の開始時には、容量電位Vcom[1]が高位側電位VcomHから低位側電位VcomLへ遷移する。これにより、図4に示すように、画素電極41の電位Vpが、VdataHからVdataH−(VcomH−VcomL)へ遷移する。具体的には、図16に示すように、5Vから、5V−(1.25V+1.25V)=2.5Vへ遷移する。したがって、この書込期間H[0]では、画素電極41の電位Vpが2.5Vに維持される。
【0087】
(1−2)サブフィールドSF2及びSF3
続くサブフィールドSF2及びSF3では、極性信号POL1(極性信号POL2)が電位VH(VL)を維持する。また、画素電極41に書き込まれる階調信号S[n]の電位は、これらのサブフィールドSF2及びSF3の何れにおいてもVdataH(2.5V)である。したがって、図16に示すように、これらのサブフィールドSF2及びSF3の各々における、画素電極41の電位Vpの変動は、第kフレームのサブフィールドSF1における当該電位Vpの変動と同様となる。
【0088】
(1−3)サブフィールドSF4
(1−3−1)書込期間H[1]
続くサブフィールドSF4も書込期間H[1]から始まる。この書込期間H[1]では、画素電極41の電位VpがVdataL(−2.5V)に維持される。一方、この書込期間H[1]では、走査信号G[0]及びG[2]の電位がオフ電位Voffであるから、図10に示すように、単位回路R[1]では、サンプリング回路Aから選択回路Bに、バッファ回路BF1に保持されている電位が供給される。このとき、バッファ回路BF1にはVHが保持されている。したがって、この選択回路Bでは、図8に示すように、第5スイッチSW5がオフ状態を維持し、第6スイッチSW6がオン状態を維持する。よって、容量電位Vcom[1]は低位側電位VcomL(−1.25V)に維持される。
【0089】
(1−3−2)書込期間H[2]
続く書込期間H[2]では、図4に示すように、画素回路PIXの選択スイッチTSLがオフ状態を維持する。また、容量電位Vcom[1]は、この書込期間H[2]の開始時に低位側電位VcomLから高位側電位VcomHへ遷移し、この書込期間H[2]において高位側電位VcomH(1.25V)を維持する。したがって、図4に示すように、画素電極41の電位Vpは、VdataHからVdataH+(VcomH−VcomL)=−2.5V+(1.25V+1.25V)=0Vへ遷移し、0Vに維持される。
【0090】
(1−3−3)書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間
続く書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[3]の開始時から書込期間H[0]の開始時までの期間と同様の動作が行われる。したがって、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomH(1.25V)に維持され、画素電極41の電位Vpは0Vに維持される。
【0091】
(1−3−4)書込期間H[0]
続く書込期間H[0]では、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[0]と同様の動作が行われる。ただし、第kフレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]の開始時には、極性信号POL1の電位がVHからVLへ遷移する。したがって、この書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にはVLが保持され、容量電位Vcom[1]は高位側電位VcomH(1.25V)に維持される。画素電極41の電位Vpは0Vに維持される。
【0092】
(2)第k+1フレーム
続く第k+1フレームでは、第kフレームと同様の動作が行われる。ただし、極性信号POL1及び第1極性信号POL2の電位の極性は、各フレームに1回ずつ反転するから、第kフレームの各サブフィールドSFが正極性であるのに対し、第k+1フレームの各サブフィールドSFは負極性となる。このため、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpは、第k+1フレームにおける容量電位Vcom[1]及び画素電極41の電位Vpの極性をそれぞれ反転させた電位となる。したがって、第k+1フレームのサブフィールドSF4の書込期間H[0]では、単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持される。これが、第kフレームのサブフィールドSF1の書込期間H[1]において単位回路R[1]のバッファ回路BF1にVHが保持されている理由である。
【0093】
以上の説明では第1行第n列の画素回路PIXに注目したが、第m行第n列の画素回路PIXについても上述と同様の動作が行われる。もちろん、第m行第n列の画素回路PIXの画素電極41の電位Vpは、走査信号G[m-1]及び走査信号G[m+1]に基づいて単位回路R[m]が生成した容量電位Vcom[m]に応じて変動することになる。また、第m行第n列の画素回路PIXの各フレームは書込期間H[m]から開始する。
【0094】
このように、液晶装置200の容量電位線駆動回路23は、低位側電位VcomLと高位側電位VcomHのうち一方の電位を容量電位Vcom[m]として第m行に対応する容量電位線13に供給する処理であって、フレームを構成する各サブフィールドSFでは、書込期間H[m]が終了すると容量電位Vcom[m]の極性を反転し、フレームを構成するサブフィールドSFのうち最後のサブフィールドSF4を除くサブフィールドSF(SF1,SF2,SF3)では、容量電位Vcom[m]の極性を反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転し、上記のサブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性を反転してから当該サブフィールドSF4が終了するまでの期間において容量電位Vcom[m]の極性を反転しない第2処理を行う。したがって、液晶装置200では、各液晶素子40の印加電圧の極性が、サブフィールドSF単位ではなく、フレーム単位で反転する。したがって、液晶装置200によれば、隣り合う二つのフレームにおいて、正電圧の時間積分値(絶対値)と、これらのフレームにわたる負電圧の時間積分値(絶対値)とが等しくなり、直流成分が打ち消される。よって、液晶装置200によれば、直流成分の残留を回避することができる。
【0095】
また、液晶装置200によれば、各液晶素子40の印加電圧の極性がフレーム単位で反転するから、画像の表示品位が大幅に向上する。この点について、図17を参照して説明する。図17には、液晶装置200の総ての画素電極41の電位Vpの極性の変遷が示されている。ただし、図17では、図面の繁雑化を避けるために、液晶装置200が備える画素電極41の数を、4行×4列=16個としてある。液晶装置200では、液晶素子40の印加電圧の極性の反転がフレーム毎であるから、隣り合う行間で画素電極41の電位が大きく異なる箇所(図17の太線)が表示領域を走査する回数が、1フレームあたり1回となる。これは1フレームあたり4回よりも大幅に少ないから、液晶装置200によれば画像の表示品位が大幅に向上するのである。
【0096】
<3:第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置300の構成を示すブロック図である。液晶装置300は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、液晶装置100と液晶装置200とを組み合わせて構成され、容量電位線駆動回路23が、表示する画像の種類(動画/静止画)に基づいて、液晶装置100が行う第1処理と液晶装置200が行う第2処理とのうち一方を選択的に実行する点を特徴としている。
【0097】
液晶装置300が、液晶装置100又は200と異なる点は、制御回路30又は50に代えて制御回路60を備える点のみである。制御回路60が制御回路30又は50と異なる点は、極性信号生成回路31又は51に代えて極性信号生成回路61を備える点と、画像判別回路62を新たに備える点のみである。画像判別回路62には、制御回路60外の上位装置(例えばコンピュータ)から画像データがフレーム毎に順次供給される。1フレーム分の画像データは、M行N列の画素の各々の階調(第0階調〜第15階調)を示すデータである。
【0098】
画像判別回路62は、複数フレーム分の画像データを記憶可能なフレームバッファを備え、このフレームバッファを用いて、隣り合うフレーム間で対応する画素毎に階調を比較し、この比較結果に応じた種類指定信号Zを極性信号生成回路61に供給する。種類指定信号Zは、画像の種類を指定する信号であり、隣り合うフレーム間で総ての画素について階調が一致した場合には静止画を、その他の場合には動画を指定する。
【0099】
極性信号生成回路61は、供給された種類指定信号Zに基づいて、極性信号POL1及びPOL2を生成し、容量電位線駆動回路23に供給する。具体的には、極性信号生成回路61は、動画を指定する種類指定信号Zが供給された場合には、図12に示す波形の極性信号POL1及びPOL2を生成し、静止画を指定する種類指定信号Zが供給された場合には、図16に示す波形の極性信号POL1及びPOL2を生成する。なお、極性信号生成回路61の構成は任意である。例えば、極性信号生成回路31及び51を含み、これらの回路のうち、供給された種類指定信号Zに応じた回路のみをアクティブとする構成であってもよい。
【0100】
液晶装置300によれば、焼きつきが生じ易い静止画を表示する場合には、一時的に残留する直流成分の最大値(絶対値)の抑制に好適な第1処理が行われ、焼きつきが生じ難い動画を表示する場合には、表示品位の向上に好適な第2処理が行われるから、液晶装置200と同等の表示品位を達成しつつ、液晶装置200よりも各液晶素子40の劣化を抑制することができる。
【0101】
<4:第4実施形態>
図19は、本発明の第4実施形態に係る液晶装置400の構成を示すブロック図である。液晶装置400は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図1の液晶装置100と同様の構成を有する。ただし、液晶装置400では、M本の走査線11の選択方向を、液晶装置100における選択方向である順方向と、順方向とは逆向きの逆方向との間で切り換えることができる。
【0102】
このため、液晶装置400は、走査線駆動回路21及び制御回路30に代えて、選択方向(順方向/逆方向)を指定する選択方向信号DRに基づいて選択方向を切り換える走査線駆動回路71と、走査線駆動回路71に選択方向信号DRを供給する制御回路70とを備える。なお、選択方向信号DRは、制御回路70内で生成されてもよいし、制御回路70外の上位装置(例えばコンピュータ)から制御回路70に供給されてもよい。
【0103】
図20は、走査線駆動回路71の構成を示すブロック図である。この図に示すように、走査線駆動回路71は、スイッチSW7及びSW8と、スイッチSW7を介して開始パルスSP1が供給されるM+2段の第1シフトレジスタ711と、スイッチSW8を介して開始パルスSP1が供給されるM+2段の第2シフトレジスタ712とを備える。第1シフトレジスタ711は、供給された開始パルスSP1をクロック信号CLK1で指定されるタイミングで順方向の次段に転送する。第2シフトレジスタ712は、供給された開始パルスSP1をクロック信号CLK1で指定されるタイミングで逆方向の次段に転送する。
【0104】
スイッチSW7は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合にはオン状態となり、逆方向を示す場合にはオフ状態となる。スイッチSW8は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合にはオフ状態となり、逆方向を示す場合にはオン状態となる。したがって、開始パルスSP1は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合には第1シフトレジスタ711においてシフトされ、選択方向信号DRが逆方向を指定する場合には第2シフトレジスタ712においてシフトされる。そして、開始パルスSP1をシフトするシフトレジスタの各段の電位が、走査信号G[0]〜G[M+1]の電位となる。
【0105】
よって、液晶装置400では、M本の走査線11の選択方向は、選択方向信号DRが順方向を指定する場合には順方向となり、選択方向信号DRが逆方向を指定する場合には逆方向となる。一方、制御回路70が制御回路30と異なる点としては、走査線駆動回路71に選択方向信号DRをも供給する点の他に、M本の走査線11の選択方向が逆方向の場合には画像信号DATAにおける階調データの並びを列毎に降順とする点と、極性信号供給回路72を新たに備える点がある。
【0106】
極性信号供給回路72は、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるものであり、極性信号生成回路31で生成された極性信号POL1及びPOL2は、極性信号供給回路72を介して容量電位線駆動回路23に供給される。
【0107】
図21は、極性信号供給回路72の構成を示す回路図である。この図に示すように、極性信号供給回路72は、スイッチSW9〜SW12を備え、ノードN3〜N6を有する。ノードN3とノードN5とはスイッチSW9を介して接続され、ノードN4とノードN6とはスイッチSW11を介して接続される。また、ノードN3は、スイッチSW12を介してノードN6と接続され、ノードN4とノードN5とは、スイッチSW10を介して接続される。
【0108】
ノードN3には極性信号生成回路31から極性信号POL1が供給され、ノードN4には極性信号生成回路31から極性信号POL2が供給される。また、極性信号供給回路72は、ノードN5に供給される信号を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給し、ノードN6に供給される信号を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0109】
また、極性信号供給回路72には、極性信号生成回路31が供給される。スイッチSW9及びSW11は、供給された選択方向信号DRが順方向を示す場合にはオン状態となり、逆方向を示す場合にはオフ状態となる。一方、スイッチSW10及びSW12は、供給された選択方向信号DRが順方向を示す場合にはオフ状態となり、逆方向を示す場合にはオン状態となる。
【0110】
つまり、順方向を示す選択方向信号DRが供給されると、スイッチSW9〜SW12のうち、スイッチSW9及びSW11のみがオン状態となり、ノードN3とノードN5とが導通するとともにノードN4とノードN6とが導通するから、極性信号供給回路72は、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL1を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給し、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL2を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0111】
一方、逆方向を示す選択方向信号DRが供給されると、スイッチSW9〜SW12のうち、スイッチSW10及びSW12のみがオン状態となり、ノードN3とノードN6とが導通するとともにノードN4とノードN5とが導通するから、極性信号供給回路72は、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL1を極性信号POL2として容量電位線駆動回路23に供給し、極性信号生成回路31から供給された極性信号POL2を極性信号POL1として容量電位線駆動回路23に供給する。
【0112】
つまり、容量電位線駆動回路23では、M本の走査線11が順方向に選択される場合と、逆方向に選択される場合とで、極性信号POL1と極性信号POL2とが入れ替わる。すなわち、容量電位線駆動回路23に供給される極性信号POL1及びPOL2の波形は、M本の走査線11が順方向に選択される場合には図12に示す通りとなり、逆方向に選択される場合には図22に示す通りとなる。
【0113】
容量電位線駆動回路23内の単位回路R[m]の構成は図6に示す通りであるから、M本の走査線11の選択方向が逆方向となっても、極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで、図22に示すように、M本の走査線11の選択方向に適合した容量電位Vcom[m]が得られる。これが、M本の走査線11の選択方向が逆方向の場合に極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替える理由である。
【0114】
以上の説明から明らかなように、液晶装置400には、液晶装置100の利点を損なうことなく、M本の走査線11の選択方向を順方向と逆方向との間で切り換えることができるという利点がある。また、この利点が、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで得られるというものも、液晶装置400の利点である。
【0115】
<5:第5実施形態>
図23は、本発明の第5実施形態に係る液晶装置500の構成を示すブロック図である。液晶装置500は、画像を表示する表示体として様々な電子機器に採用される液晶装置であり、図19の液晶装置400と同様の構成を有する。ただし、液晶装置500では、液晶装置200と同様に、駆動回路20による交流駆動において、各液晶素子40の印加電圧の極性(正極性/負極性)が、サブフィールド単位ではなく、フレーム単位で反転する。このため、液晶装置500は、制御回路70に代えて制御回路80を備える。制御回路80が制御回路70と異なる点は、極性信号生成回路31に代えて極性信号生成回路51を備える点のみである。
【0116】
このような構成であることから、液晶装置500の容量電位線駆動回路23に供給される極性信号POL1及びPOL2の波形は、M本の走査線11が順方向に選択される場合には図16に示す通りとなり、逆方向に選択される場合には図24に示す通りとなる。
【0117】
よって、液晶装置500には、液晶装置200の利点を損なうことなく、M本の走査線11の選択方向を順方向と逆方向との間で切り換えることができるという利点がある。また、この利点が、M本の走査線11の選択方向に同期して極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるだけで得られるというものも、液晶装置500の利点である。
【0118】
<6:変形例>
以上の各実施形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
【0119】
(1)変形例1
上述した第3実施形態を変形し、M本の走査線11の選択方向と同期して、極性信号POL1と極性信号POL2とを入れ替えるようにしてもよい。すなわち、第3及び第4実施形態を組み合わせてもよいし、上述した第3及び第5実施形態を組み合わせてもよい。
【0120】
(2)変形例2
上述した第3実施形態を変形し、表示する画像の種類(動画/静止画)を指定する種類指定信号Zが、制御回路60外の上位装置(例えばコンピュータ)から供給されるようにしてもよい。また、種類指定信号Zが指定する種類を、動画/静止画以外のものとしてもよい。つまり、種類指定信号Zを、メニュー画像のようなコンピュータグラフィックスと写真のような自然画像との一方を指定する信号としてもよい。この場合、焼きつきが生じ易いのは自然画像よりもコンピュータグラフィックスの方であるから、コンピュータグラフィックスを表示する場合には、一時的に残留する直流成分の最大値(絶対値)の抑制に好適な第1処理を行い、自然画像を表示する場合には、表示品位の向上に好適な第2処理を行うことが好ましい。
【0121】
(3)変形例3
上述した各実施形態では、フレーム内のサブフィールドSFの数を4とし、フレームにて表示可能な階調数を16とし、一つのフレーム内の各サブフィールドSFの時間長を2進加重の関係としたが、これに限るものではない。ただし、フレーム内のサブフィールドSFの数は偶数でなければならず、フレーム内のサブフィールドの長さ(重み)は異なっているものを含まなければならない。フレーム内のサブフィールドSFの数が奇数の場合や、フレーム内のサブフィールドの長さが互いに等しい場合には、第1処理や第2処理を行わなくとも、直流成分の残留を回避可能だからである。なお、フレーム内のサブフィールドSFの数をq(偶数)とした場合、容量電位Vcom[m]の極性は、第1処理では、各フレームにq+1(奇数)回ずつ反転し、第2処理では、各フレームに2×q−1(奇数)回ずつ反転することになる。また、フレーム以外の期間を単位期間としてもよい。
【0122】
(4)変形例4
画素回路PIXの構成を適宜に変更してもよい。例えば、容量素子やスイッチ等の回路要素を画素回路PIXに追加してもよいし、液晶素子40として、印加電圧が0Vの場合に階調が最高(白色)となるノーマリーホワイトモードの液晶素子を採用してもよい。また、上述した各実施形態では、共通電位LCCOM=0V、VdataH=2.5V、VdataL=−2.5Vとしたが、これに限るものではない。例えば、LCCOM=2.5V、VdataH=5V、VdataL=0Vとしてもよい。
【0123】
(5)変形例5
上述した各実施形態では、高位側電位VcomH=1.25V、低位側電位VcomL=−1.25Vとしたが、これに限るものではない。
【0124】
(6)変形例6
上述した各実施形態では、極性信号POL1及びPOL2は電位について反転の関係にあるが、液晶装置の構成によっては、反転以外の関係としてもよい。裏を返せば、容量電位線駆動回路23は、極性信号POL1及びPOL2を適宜に定めることにより、様々な構成の液晶装置(例えば各行に対応する走査線が複数本の液晶装置)に適用可能である。
【0125】
(7)変形例7
第1、第3及び第4実施形態の各々において容量電位線駆動回路23が行う第1処理は、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理であるから、再度の反転を次の書込期間H[m]の開始前に確実に完了することと、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することとを両立することができる。しかし、第1処理の内容は、これに限るものではない。
【0126】
例えば、完了の確実性よりも精度低下の抑制を重視し、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、精度低下の抑制よりも完了の確実性を重視し、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから書込期間H[m-1]の開始までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、完了の確実性も精度低下の抑制も考慮せず、サブフィールドSF4では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから当該サブフィールドSF4の終了までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。
【0127】
また、第2、第3及び第5実施形態の各々において容量電位線駆動回路23が行う第2処理は、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性を反転した後の書込期間H[m-1]の開始時に容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理であるから、再度の反転を次の書込期間H[m]の開始前に確実に完了することと、再度の反転による階調表示の精度の低下を十分に抑制することとを両立することができる。しかし、第2処理の内容は、これに限るものではない。
【0128】
例えば、完了の確実性よりも精度低下の抑制を重視し、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転した後の書込期間H[m-1]において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、精度低下の抑制よりも完了の確実性を重視し、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから書込期間H[m-1]の開始までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。また例えば、完了の確実性も精度低下の抑制も考慮せず、サブフィールドSF1,SF2及びSF3の各々では、容量電位Vcom[m]の極性が反転してから当該サブフィールドSFの終了までの期間において容量電位Vcom[m]の極性を再度反転する、という処理としてもよい。
【0129】
なお、書込期間H[0]〜H[M+1]の各々の長さは共通であり、書込期間H[m-1]が終了すると書込期間H[m]が開始するから、書込期間H[0]〜H[M+1]の各々の長さをWとしたとき、サブフィールドSFにおける書込期間H[m-1]の開始時は、当該サブフィールドSFの終了からWだけ前の時点でもあり、当該書込期間H[m-1]の終了時は、当該サブフィールドSFの終了時点でもある。また、以上の説明は、M本の走査線11の選択方向が順方向の場合の説明である。この選択方向が逆方向の場合には、以上の説明において「H[m-1]」を「H[m+1]」と読み変えればよい。
【0130】
<7:応用例>
次に、以上の各態様に係る液晶装置を利用した電子機器について説明する。図25ないし図27には、液晶装置を表示装置600として採用した電子機器の形態が図示されている。
【0131】
図25は、表示装置600を採用した可搬型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置600と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0132】
図26は、表示装置600を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置600とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置600に表示される表示領域がスクロールされる。
【0133】
図27は、表示装置600を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置600とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置600に表示される。
【0134】
なお、本発明に係る液晶装置が適用される電子機器としては、図25から図27に例示した機器のほか、プロジェクタ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0135】
100,200,300,400,500……液晶装置、10……素子部、11……走査線、12……信号線、13……容量電位線、20……駆動回路、21,71……走査線駆動回路、22……信号線駆動回路、23……容量線駆動回路、30,50,60,70,80……制御回路、31,51,61……極性信号生成回路、41……画素電極、42……共通電極、40……液晶素子、62……画像判別回路、72……極性信号供給回路、A……サンプリング回路、B……選択回路、BF1,BF2……バッファ回路、CS……蓄積容量、N1……第1ノード、N2……第2ノード、PIX……画素回路、POL1……第1の極性信号、POL2……第2の極性信号、R[1]〜R[M]……単位回路、SW1……第1スイッチ、SW2……第2スイッチ、SW3……第3スイッチ、SW4……第4スイッチ、TSL……選択スイッチ、600……表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、
前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する、
ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項2】
信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、
前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない、
ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項3】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、
低位側電位と高位側電位とのうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線に各々供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する容量電位線駆動回路と、
を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない容量電位線駆動回路と、
を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路とを備え、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給する第1処理と第2処理とのうち一方を選択的に実行する容量電位線駆動回路とを備え、
前記第1処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転し、
前記第2処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない、
ことを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
第1の極性信号と第2の極性信号とを生成する極性信号生成回路を備え、
前記容量電位線駆動回路は、
当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第1の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択し、
当該行の書込期間においては、直前の容量電位を保持し、
当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第2の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記容量電位線駆動回路は、
前記複数の容量電位線の各々に設けられたサンプリング回路と、前記サンプリング回路の出力信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位との一方を選択する選択回路とを備え、
前記サンプリング回路は、
前記第1の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が第1ノードと接続される第1スイッチと、
前記第1ノードが一方の端子に接続される第2スイッチと、
前記第2の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が前記第1ノードに接続される第3スイッチと、
前記第1ノードに入力端子が接続され出力端子に第2ノードが接続されるバッファ回路と、
前記第2ノードと一方の端子が接続され他方の端子が前記第2スイッチの他方の端子と接続される第4スイッチとを備え、
前記第1スイッチと前記第2スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第1スイッチと前記第2スイッチとは排他的にオン状態となり、
前記第3スイッチと前記第1スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第3スイッチと前記第4スイッチとは排他的にオン状態となる、
ことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記複数の走査線の選択方向に同期して前記第1の極性信号及び前記第2の極性信号を入れ替える極性信号供給回路を備えることを特徴とする請求項7に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項3乃至8のうちいずれか1項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、
前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する、
ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項2】
信号線と、容量電位線と、画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備えた液晶装置の駆動方法であって、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給し、
前記書込期間において前記選択スイッチがオン状態となるように制御して、前記画素電極に前記信号線の電位を書き込み、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記容量電位線に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない、
ことを特徴とする液晶装置の駆動方法。
【請求項3】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、
低位側電位と高位側電位とのうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線に各々供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転する容量電位線駆動回路と、
を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路と、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給し、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない容量電位線駆動回路と、
を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
複数の信号線と、複数の走査線と、複数の容量電位線と、前記複数の信号線と前記複数の走査線との交差に対応して各々設けられた画素回路とを備えた液晶装置であって、
前記複数の画素回路の各々は、
画素電極と共通電位が供給される共通電極とを含む液晶素子と、
前記画素電極と前記容量電位線との間に介在する蓄積容量と、
前記信号線と前記画素電極との間に設けられた選択スイッチとを備え、
単位期間を、互いに異なる長さのサブフィールド期間を含む偶数のサブフィールド期間で構成し、前記偶数のサブフィールド期間の各々に含まれる書込期間にて、第1電位と第2電位との何れかを前記信号線に供給する信号線駆動回路と、
前記書込期間ごとに、前記複数の走査線を順次選択して前記選択スイッチをオン状態にする走査信号を供給する走査線駆動回路とを備え、
低位側電位と高位側電位のうち一方の電位を容量電位として前記複数の容量電位線の各々に供給する第1処理と第2処理とのうち一方を選択的に実行する容量電位線駆動回路とを備え、
前記第1処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、当該容量電位線に対応する行の前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成する最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該最後のサブフィールド期間が終了するまでの期間において、前記容量電位の極性を再度反転し、
前記第2処理は、前記単位期間を構成する各サブフィールド期間では、前記書込期間が終了すると前記容量電位の極性を反転し、前記単位期間を構成するサブフィールド期間のうち最後のサブフィールド期間を除くサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を再度反転し、前記最後のサブフィールド期間では、前記容量電位の極性を反転してから当該サブフィールド期間が終了するまでの期間において前記容量電位の極性を反転しない、
ことを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
第1の極性信号と第2の極性信号とを生成する極性信号生成回路を備え、
前記容量電位線駆動回路は、
当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第1の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択し、
当該行の書込期間においては、直前の容量電位を保持し、
当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号で指定される書込期間においては、第2の極性信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位のうち一方の電位を前記容量電位として選択する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記容量電位線駆動回路は、
前記複数の容量電位線の各々に設けられたサンプリング回路と、前記サンプリング回路の出力信号に基づいて前記低位側電位と前記高位側電位との一方を選択する選択回路とを備え、
前記サンプリング回路は、
前記第1の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が第1ノードと接続される第1スイッチと、
前記第1ノードが一方の端子に接続される第2スイッチと、
前記第2の極性信号が一方の端子に供給され他方の端子が前記第1ノードに接続される第3スイッチと、
前記第1ノードに入力端子が接続され出力端子に第2ノードが接続されるバッファ回路と、
前記第2ノードと一方の端子が接続され他方の端子が前記第2スイッチの他方の端子と接続される第4スイッチとを備え、
前記第1スイッチと前記第2スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行前の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第1スイッチと前記第2スイッチとは排他的にオン状態となり、
前記第3スイッチと前記第1スイッチとの制御端子には、当該容量電位線の行より一行後の行に対応する前記走査信号が供給され、前記第3スイッチと前記第4スイッチとは排他的にオン状態となる、
ことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記複数の走査線の選択方向に同期して前記第1の極性信号及び前記第2の極性信号を入れ替える極性信号供給回路を備えることを特徴とする請求項7に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項3乃至8のうちいずれか1項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−107498(P2011−107498A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263670(P2009−263670)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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