液漏れ防止開閉具を備えるパッケージ
【課題】開閉具で開封、閉塞可能なパッケージの水密性を達成する。
【解決手段】開閉具1は、オリフィス13と対向して配置された孔30が形成され、平面壁15のオリフィス13の縁部19に水密の態様で固定されたプレート20を有する本体部と、パッケージの内部に向かって開口する前記プレート20に連接され、前記孔30を水え密の態様で閉塞できる揚蓋40とを備える。開閉具1は、所定の位置で閉塞手段と協働し、この閉塞手段が揚蓋40を水密の閉塞位置に維持して、揚蓋40が閉塞手段から離れるとパッケージの内部に向かって旋回して揚蓋40を解放するアームを有する。また開閉具1は、本体部2及びアーム50とは別個のカバー80であって、揚蓋40を初めて開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材100、104を備えており、このセキュリティ用蓋材100、104の破損がないことでパッケージの未開封が保証される。
【解決手段】開閉具1は、オリフィス13と対向して配置された孔30が形成され、平面壁15のオリフィス13の縁部19に水密の態様で固定されたプレート20を有する本体部と、パッケージの内部に向かって開口する前記プレート20に連接され、前記孔30を水え密の態様で閉塞できる揚蓋40とを備える。開閉具1は、所定の位置で閉塞手段と協働し、この閉塞手段が揚蓋40を水密の閉塞位置に維持して、揚蓋40が閉塞手段から離れるとパッケージの内部に向かって旋回して揚蓋40を解放するアームを有する。また開閉具1は、本体部2及びアーム50とは別個のカバー80であって、揚蓋40を初めて開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材100、104を備えており、このセキュリティ用蓋材100、104の破損がないことでパッケージの未開封が保証される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に平坦な平面壁を備えオリフィスを設けた消耗品用パッケージに関し、具体的にはこのようなパッケージ用の開閉具に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなパッケージは例えば金属缶であって、殆どの場合、2回圧延のスチール又はアルミニウムで作製され、液体飲料のような消耗品を収容するように構成された、実質的に円筒状の容器である。以下の説明において、「内側」及び「外側」とは、それぞれ、パッケージに向けられた部品の部分又はパッケージ内に位置する部品の部分と、パッケージに向けられた部品の部分又はパッケージ外に位置する部品の部分とを指す。金属缶は従来技術及び本発明におけるパッケージの一例として用いている。また液体飲料は消耗品の一例として用いている。
【0003】
金属缶の下端は閉塞されて、上面はカップとなっている。このカップの平坦部分は、蓋材と、蓋材の近傍に位置する取付位置によってカップに取り付けられている舌片とを備えている。この取付位置に対する梃子の運動を通じて舌片が蓋材を押圧して、事前に切り込みを入れた蓋材周縁のプレカット部分を破断させる。この切り込み部分が破断されると、蓋材がオリフィスを形成し、このオリフィスを通じて金属缶内の液体が、例えば消費のために流出可能となる。次に蓋材は金属缶内へ折り返されるが、カップ周縁の破断されていない部分によってカップに付着した状態で保持されている。
【0004】
このような金属缶の欠点は、金属缶が一旦開封されると再度閉塞できないことである。このため、金属缶が横転すると液体は金属缶から流出してしまう。また異物(虫、埃)がカップのオリフィスを通じて侵入することで液体を汚染させてしまう。さらにまた、液体がガスを含有するものであれば、数時間後には飲料内からガスが抜けてしまう。このような欠点のため、利用者は金属缶を開封したら直ぐに金属缶の内容物を全部使い切らざるを得なくなる。
【0005】
一方でカップのリムに被せる樹脂製カバーが知られている。しかしながら、このようなカバーでは、金属缶からカップとカバー間の隙間へ液体が逃げてしまい、カバーを開けたときに不都合なことになる。またこのようなカバーは、ガス圧がカバーをカップから押し上げてしまうことがあるので、水密性が十分とは言えない。
【0006】
また米国特許出願公開第2009/032531号明細書(特許文献1)に記載されるような回転型のカバーも知られている。この樹脂製カバーは金属缶のリム部分に被さり、カップの上面に対接して平坦にされ、金属缶の中心軸周りで旋回可能であり、蓋材を開封することにより作られたオリフィスを開閉するものである。しかしながら、いずれのカバーも水密性が十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/032531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、開閉具を備え、この開閉具によって開封され容易に再閉塞可能なパッケージであって、完全に水密性を有し、利用者が簡単に取り扱えるパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記目的は、実質的に平坦な平面壁を備え、かつオリフィスが設けられた消耗品用パッケージに開閉具を備えることで達成される。この開閉具は、成型材で作製され前記平面壁に固定された一体成型の本体部であって、前記オリフィスと対向して配置された孔が形成されており、平面壁の前記オリフィスの縁部に水密の態様で固定されたプレートを有する本体部と、パッケージの内部に向かって開口するこのプレートに連接され、前記孔を水密の態様で閉塞できる揚蓋と、を備えている。さらに開閉具は、前記揚蓋に連結されたアームであって、所定の位置で閉塞手段と協働し、この閉塞手段が前記揚蓋を水密の閉塞位置に維持し、前記揚蓋が前記閉塞手段から離れると前記パッケージの内部に向かって旋回して揚蓋を開放するアームを備えることを特徴とする。さらにまた開閉具は、前記本体部(2)及び前記アーム(50)とは別個のカバー(80)であって、前記揚蓋(40)を初回に開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材(100、104)を備えており、このセキュリティ用蓋材が破損していなければ、パッケージが事前に開封されていないことを保証でき、この蓋材は前記閉塞手段の一部を形成するカバーを有することを特徴とする。
【0010】
これらの構成により、本パッケージは開封し、所望の回数だけ開閉できる。閉塞手段によってアームが閉位置に閉塞されたままの状態であることで、揚蓋も水密な態様で閉塞される。
【0011】
好適には、プレートはスナップロックすることによって平面壁におけるオリフィスの縁部に固定される。
【0012】
これにより、開閉具を平面壁に取り付けて固定することが特に容易となり、また密封性も強化される。
【0013】
好適には、プレートは実質的に平面壁の内面に対接して支持される。
【0014】
揚蓋をパッケージの内部に向かって開ける場合は、パッケージ内に僅かなガスが存在しても、揚蓋が閉位置にあるとき、この揚蓋を開閉具の本体部におけるプレートの内面に対してさらに押圧する方向に作用する。これによりガス漏れを防止し、パッケージの密封を確実にすることに貢献する。
【0015】
本発明は、以下の本発明を限定するものでない実施例で示す実施形態に関する詳細な説明から、良く理解でき、また本発明の利点がさらに明確なものとなるであろう。以下の添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るパッケージ(カップ)の一部であって、揚蓋を開位置とした開閉具を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線におけるカップと開閉具を示す断面図である。
【図3】揚蓋を閉位置としたカップと開閉具を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線におけるカップと開閉具を示す断面図である。
【図5】カップに接した開閉具のスナップロック機構(図4のR領域)を示す拡大図である。
【図6】図3のVI−VI線における開閉具の断面であって、プレートに接したカバーのスナップロック機構を示す拡大図である。
【図7】開閉具の本体部を示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における本体部の断面図である。
【図9】開閉具のアームを示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線におけるアームの断面図である。
【図11】本発明の変形例に係る開閉具の本体部を示す斜視図である。
【図12】本発明の変形例に係る、本体部と開閉具のジョイント部を示す斜視図である。
【図13】本発明の変形例に係る開閉具の一部であって、カップに接した本体部と、カバーを有する本体部とのスナップロック機構を示す断面図である。
【図14】本発明の変形例に係るカバーの斜視図である。
【図15】図5と同様の、本発明に係る開閉具の揚蓋と本体部との間の密閉ジョイント部に関する他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、金属缶に適用した例を参照しながら、本発明について説明する。ただ本発明は、実質的に平坦な平面壁を備え、かつオリフィスが設けられたパッケージであれば、他のものにも適用できる。
【0018】
図1〜図4は、本発明に係る開閉具が金属缶(図示せず)のカップ10に載置されている状態を示している。このカップ10は実質的に円形であって、平面壁15は周縁リム12で包囲されている。カップにおける周縁リム12は、例えば金属缶の標準的なカップのリムと同一であり、開閉具1が取り付けられたカップ10は、あらゆる金属缶の製造過程で付加できる。カップ10の平面壁15は、内縁19で画成されたオリフィス13を設けている。このオリフィス13は楕円形とし、カップの中央からリム12近辺に半径方向に延在する。
【0019】
図1及び図2は、開閉具1が部分的に開位置にある状態を示している。開閉具1はプレート20を有する本体部2を備えており、このプレート20はプレート20の縁部25で画成された孔30を中央部に有する。本体部2は、図7及び図8にも示している。また本体部2は揚蓋40も備えており、本体部2と一体成型、すなわち揚蓋40がプレート20との連続体となっている。したがって、本体部2は一体成型で作製でき、これにより揚蓋40をプレート20とは個別に作製するよりも迅速かつ安価に利用できるという商業的な利点が得られる。本体部2は、例えばポリマーで作製される。
【0020】
揚蓋40は可撓性を有するように成型された薄肉部41によってプレート20に連結され、プレート20の周囲に位置する。したがって、この薄肉部41はヒンジとなる。揚蓋40は周縁部47の底部42を備えており、この底部42の中央に円筒壁45が取り付けられる。
【0021】
揚蓋40が開位置にあるとき、この揚蓋40は金属缶内に入り込んでいる。
【0022】
図4は揚蓋40が閉位置にある状態を示している。薄肉部41は完全に折り畳まれている。円筒壁45の半径方向における外面はプレート20の縁部25の半径方向における内面上に亘って閉じているので、円筒壁45は隙間無く実質的に孔30内に嵌入している。したがって、これにより密封性が得られ、金属缶内の液体を流出させないことに寄与している。
【0023】
図5は図4の一部を拡大したものであり、揚蓋40とプレート20の嵌着状態を詳細に示している。このように嵌着しているとき、揚蓋40の周縁部47は孔30を取り囲むプレート20の金属缶の内部側へ指向する下面27に支えられている。これらの図に示すケースでは、実際には周縁部47は下面27の第一溝291内に入り込んだ第一ジョイント部91に支えられている。周縁部47とジョイント部91との間の接触帯域は孔30を完全に取り囲んでいる。これにより揚蓋40とプレート20間の密封性が得られ、金属缶内の液体を流出させないことに寄与している。また金属缶の内容物が発泡性・気泡性の液体である場合、このガスが揚蓋40をプレート20を押圧するのに寄与する。周縁部47によって第一ジョイント部91に印加される圧力が上昇し、このことは揚蓋40とプレート20間の密封性を向上させるのに寄与する。
【0024】
あるいは、プレート20の一部を断面で示した図13に示すように、第一ジョイント部91は、孔30を囲い込むプレート20の縁部25と共に第一溝291も覆っている。第一ジョイント部91は、縁部25の半径方向における内面上に亘って延在し、この半径方向における内面の縁部全体をその高さの一部に亘って覆っている。
【0025】
第一ジョイント部91は第一溝291の底部と側部を埋めているが、この第一溝291の中央領域を完全に埋めているわけではないので、第一ジョイント部91の上面が全周に亘って環状の凹部915を有している。この環状の凹部915は、第一ジョイント部91の外壁916によって半径方向における外側で界接され、その頂部は下面27と実質的に面一となっており、プレート20の縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分によって形成された内壁914によって半径方向における内側で界接されている。
【0026】
したがって、この環状の凹部915はスロートとなり、ここに揚蓋40の周縁部47が入り込んで、揚蓋40とプレート20間の良好な密封を可能にしている。
【0027】
さらに、円筒壁45と周縁部47との間に位置しており、揚蓋40が再閉塞されたときプレート20の縁部25と対向する揚蓋40の環状領域が形成されるので、揚蓋40がプレート20の縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分に亘って閉鎖する。このようにして、縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分は、円筒壁45が孔30に係入するとき、円筒壁45と周縁部47との間に挟まれるので、揚蓋40とプレート20間の密封性が強化される。また揚蓋40が大きな表面に亘って第一ジョイント部91と接触するので、揚蓋40は金属缶内のガスによる圧力の影響を受けても捻れが発生し難い。
【0028】
以下、プレート20をカップ10に固定する構成を説明する。
【0029】
プレート20は、上面26に第一タブ群29を備えており、これらのタブ群29は孔30の周りに位置し、上面26に対して直角に伸びている。第一タブ群29はオリフィス13と同一形状の配置に沿って位置し、オリフィス13よりも僅かに小さな寸法であるので、プレート20がカップ10における平面壁15上に配置されると、第一タブ群29はオリフィス13の中へ入り込む。
【0030】
第一タブ群29の各個は、半径方向における最外面上において、これら第一タブ群29に沿って円周方向に延在するビード295を有している。第一タブ群29の配置とビード295の(半径方向の)厚さは、これら第一タブ群29がオリフィス13の中に強制的に入れ込まれるときに、平面壁15の内縁19がビード295を押し戻すと第一タブ群29がオリフィス13の中心に向かって半径方向に変形する態様で設定される。次にプレート20は、第一タブ群29によってスナップロックするので、カップ20上に固定される。図7に示すように、第一タブ群29はオリフィス13の全周に亘ってプレート20上に分布しているので、このような全周に亘って前述のスナップロックが実質的に均一に分布している。プレート20の(下面27に対向する)上面26とビード295間の距離は平面壁15の厚さに等しいので、前述のスナップロックした後で上面26はビード295によって平面壁15の内面17に支えられた状態で維持される。
【0031】
上面26は全周に亘って、第一タブ群29を取り囲む第二溝292を備えている。
【0032】
上面26における第二溝292に第二ジョイント部92が入れ込まれ、この第二ジョイント部92の部分925が第二溝から突出しているので、部分925は、プレート20がカップ10に固定すると、内面17に接触するようになる。内面17と、この面に対接して支えられるジョイント部92との間の接触帯域は完全にオリフィス13を囲い込む。これにより、平面壁15とプレート20間の密封性が得られ、金属缶内の液体の流出を防止されることに寄与している。さらに、金属缶の内容物がガスを含有する液体である場合、このガスは平面壁15の内面17に向かってプレート20を押圧するのに寄与する。内面17によって第二ジョイント部92に印加された圧力が増大し、これはプレート20と平面壁15との間の密封性が向上するのに寄与する。
【0033】
第二ジョイント部92における部分925は、例えば2つの全周性突出物であって、これらは、図5及び図6に示すように、内面17に対向した第二ジョイント部92の(上)面上に延在する。これらの突出物は、プレート20がカップ10に固定されると、内面17に対して押し付けられ、密封を確実なものとする。
【0034】
あるいは図12に示すように、第二ジョイント部92は横断面を実質的にV字型としたリングであっても良い。このV字における二叉の端部は、それぞれリップ(第一リップ921及び第二リップ922)を形成し、これら2つのリップが第二ジョイント部92の部分925をなし、この部分925が溝292から突出している。この第二ジョイント部92は、図13にも示している。
【0035】
また溝292は、第二ジョイント部92のない状態で図11に示している。
【0036】
プレート20がカップ10に固定されると、リップ921及び922は、互いに離間するにつれて、内面17に押し付けられる。このような押し付けの最中に、第二ジョイント部92の中央部、すなわち第一リップ921と第二リップ922間の空間に存在する空気がこの空間から排出されるので、第二ジョイント部92が内面17に対する吸盤として作用する。このような吸盤効果が、第二ジョイント部92を内壁17に対し一層強く付着させる方向に作用する結果、プレート20と平面壁15間の密封性が強化される。
【0037】
上述のように、V字型の横断面を有する環状のジョイント部が平坦な表面に押し付けられると、2つのリップで吸盤として作用するので、ジョイント部は、後述するカバーを備えずとも、本発明の目的を達成するシステムとは異なる構成の開閉システムにおいて、密封を確実にするものとして利用できる。
【0038】
好適には、本体部2、第一ジョイント部91、第二ジョイント部92で構成される構体は、本体部2を構成する硬質ポリマーと、前記ジョイント部91及び92を構成する可撓性エラストマーを同時に射出成型することで作製できる。
【0039】
この開閉具1は、図1、図2、図3、図4、図9、図10に示すように、アーム50も備える。
【0040】
このアーム50は、一端においてグリップ56で終端し、他端において円形のロッド53を有するバー54を備えている。揚蓋40は、揚蓋40の底部42から直角に延在し、円筒壁45によって取り囲まれたクリップ43を備えている。ロッド53はクリップ43においてスナップロックし、薄肉部41によって形成されるヒンジの旋回軸に平行な軸に沿って旋回連接部を形成する。アーム50のバー54の幅(この中心軸の方向に沿った寸法)はプレート20における孔30の幅に満たないので、バー54は孔30を自在に通過できる。なおグリップ56の幅は孔30の幅よりも大きくしている。
【0041】
アーム50は射出成型により、例えばポリマーで作製されるので、単位当りの製造コストを最小限度に抑えることができる。
【0042】
また開閉具1は、本体部2及びアーム50とは別個の部材として、カバー80を備えている。このカバー80は、凹面85及び凸面86を有する、内側に湾曲した殻の形状である。カバー80はリム87によって界接され、また凹面85に対して実質的に直角で凹面85から延在するタブ88を備えている。カバー80は、カップ10の平面壁15の外面上に位置決めされ、オリフィス13を介してプレート20の上面26から延在する、プレート20における第二タブ28にスナップロックするタブ88を使ってプレート20上に組み立てられる。第二タブ28へのタブ88のスナップロックは、歯形を有するこれらのタブの端部の高さで実行される(図6)。したがってタブ88は、カバー80をプレート20に連結させるための手段となる。
【0043】
図7に示すように、第一タブ群29及び第二タブ群28は、プレート20上で孔30の周囲に交互に分布しており、第二タブ群28のこのような分布により、確実にカバー80とプレート20間のスナップロックが孔30の外縁全体に亘って実質的に均一に分布することになる。
【0044】
タブ群88はリム87の高さよりも低いので、タブ群88と第二タブ群28がスナップロックされると、リム87がカップ10の上面16を押し付け、カバー80と本体部20の組み合わせをロックして安定させる。したがってカップ10における平面壁15の(オリフィス13周囲における)領域がカバー80とプレート20間に挟まれる。
【0045】
カバー80はU字型としている。したがってカバー80の中心部は一方側で開放したU字型の有底・非貫通の穴である。この穴は、凹面85を超えて凸面86から実質的に凹面85と直角に延在する中央スリーブ81によって画成されている。この中央スリーブ81の幅は、プレート20の孔30の幅と実質的に等しく、カバー80とプレート20が組み立てられると、中央スリーブ81は、中央スリーブ81が開放となっている側を例外として、孔30の縁部25と実質的に心合した状態で位置している。この開放側は薄肉部41が位置しているよりも上方の側である。したがって、開閉具1が再閉塞されると、アーム50は揚蓋40の部分と薄肉部41の部分よりも上方で折り返され、次いでカップ10における平面壁15の一部がアーム50と揚蓋40間に位置する。アーム50は、アーム50の上面がカバー80の凸面86と心合し、U字の頂部を例外として(図4に示すように)カバー80の中心部の空間を満たすまで、折り返すことができる。したがって、開閉具1の部分はカップ10のリム12よりも上に突出することが一切ないので、金属缶に対する容積の追加分は最低限度に抑えられる。
【0046】
またカバー80は成型によって例えばポリマーで作製されるので、単位当りの製造コストを最低限度に抑えられる。
【0047】
変形例として、プレート20をカップ10上にまたカバー80をプレート20上にスナップロックして組み立てることは以下に説明するように実施できる。
【0048】
図11及び図12に示すように、プレート20の上面26における第一タブ群29(前述の説明を参照)は、繋がった状態になるよう互いの方向に拡大してスナップロック用のビード129を形成する。カバー80と共にスナップロックする作用を奏するプレート20の第二タブ群28は不要とできる。スナップロック用のビード129は、カバー80の中央スリーブ81が開放されている側を除き、実質的に孔30の全周に亘って円周状に延在している。プレート20がカップ10の平面壁15に配置されると、壁部29はオリフィス13の中に入れ込まれる。
【0049】
スナップロック用のビード129は、半径方向における最外面に、このスナップロック用のビード129全体に沿って円周状に延在する第一ビード295を備えている。スナップロック用のビード129の配置と第一ビード295の(半径方向における)厚さは、スナップロック用のビード129がオリフィス13の中に入れ込まれると平面壁15の内縁19が第一ビード295を押し戻すのでスナップロック用のビード129がオリフィス13の中心部に向かって半径方向に変形するような態様で、設定される。このため、スナップロック用のビード129を介してスナップロックすることによってプレート20はカップ10上に固定される。スナップロック用のビード129が実質的に内縁19の全周に沿って延在していることにより、プレート20をカップ10上に堅固に組み立てることが可能となる。
【0050】
スナップロック用のビード129は、上面26に対して直角に第一ビード295を超えて、第二ビード298を備える延長部の分だけ延在しており、スナップロックのビードは孔30周りにおけるこの延長部の実質的に全長に亘って延在している。この延長部は、スナップロック用のビード129の基部よりも僅かに孔30寄りに位置しているので、スナップロック用のビード129を自在にオリフィス13の中に入れ込むことができる(図13)。
【0051】
カバー80はタブ88を有し、これらのタブ88は、カバー80の凹面85に対して実質的に直角に凹面85から延在している。タブ88の端部は半径方向における内面上に溝888を有しており、カバー80がプレート20に固定されると溝888が第二ビード298とスナップロックとなるので、カバー80がプレート20に連結される(図13及び図14)。タブ88は略繋がった状態になるよう互いの方向へ拡大されているので、カバーがプレート20とさらに堅固に連結する。
【0052】
次に開閉具1の機能に関して、図1、図2、図3、図4を参照して以下に説明する。
【0053】
開閉具1を初めて開ける前に、アーム50は上述のとおり折り畳まれている。カバー80には、初めて開ける前の状態の開閉具1を示す図3及び図4において示される舌片100が付属している。この舌片100は実質的にカバー80の凸面86の延長部内に位置しており、アーム50のバー54を覆い、グリップ56は覆っていない。舌片100は部分的又は全体的に中央スリーブ81(すなわちカバー80における中央のU字型の領域)を覆っている。舌片100はフックシステムでカバー80に連結されている。このフックシステムは、初めて開閉具1を開ける際に破壊されて、元通りに復帰できない構成としている。フックシステムは、舌片100の周縁に亘って分布する4つのリンク104を備えており、それぞれのリンクは舌100の縁部と、舌100の縁部が僅かなスペース分だけ離れている中央スリーブ81との間のブリッジを形成している。
【0054】
舌片100及び4つのリンク104は、カバー80と共に一体成型することにより、例えばポリマーで作製されるので、単位当りの生産コストを最小限度に抑えることができる。
【0055】
舌片100、この舌片とカバー80を連結するリンク104、及びフックシステムはセキュリティ用蓋材を形成しており、この蓋材が破損していない状態であれば、金属缶は事前に開封されていないことが保証される。このセキュリティ用蓋材は閉塞位置におけるアーム50の閉塞手段の一部を形成している。
【0056】
また、セキュリティ用蓋材に関する他の構成も実施可能である。
【0057】
開閉具1を初めて開いて金属缶の内容物を消費するために、アーム50がグリップ56で引き上げられ、これと同時にリンク104が破損されて舌片100が引き上げられ、以降は無効となる。
【0058】
次にアーム50を引き上げる。アーム50のバー54は、このバー54から横方向に延在する2つのピン52(図9に示す)を備えている。これらのピン52は、中央スリーブ81に沿った凸面86から(この面に対して直角に)延在する、本体80の溝82内に入れ込まれる構造である。ピン52が溝82内に入れ込まれると、アーム50のグリップ56が凸面86に対接して支持され、そしてこの時、揚蓋40は開位置のままで閉塞される。したがって溝82及びピン52は、開位置におけるアーム50の閉塞手段を構成している。開位置においてアーム50を閉塞する他の手段も実施可能である。
【0059】
アーム50のグリップ56の幅(薄肉部41で形成されるヒンジの旋回軸方向の寸法)は中央スリーブ81の幅よりも広くしているので、アーム50が金属缶内に落下しないようにし、後で金属缶を閉めやすくしている。溝82は、ピン52が溝82内に入れ込まれるとアーム50がプレート20に対して実質的に直角となる態様で位置しているので、揚蓋40の最大開口が保証される(例えば、溝82はU字(中央スリーブ81の穴)の頂部に最も近い距離の3分の1の箇所に位置している)。このため、スリーブ81を通過する液体の流量は最適なものとなる。
【0060】
孔30は楕円形としており、カップ10におけるオリフィス13の形状と実質的に同一となっているが、これよりも小さめの寸法としている。このような形状のため、アーム50が開位置にあるときにアーム50の前(U字型の中央スリーブ81の頂部の領域、すなわちカップのリム12に最接近した箇所)で中央スリーブ81のうち十分な部分が離れて、利用者が消費するのに好都合な流量で金属缶内の液体が流出できるようになる。
【0061】
開閉具1を再閉塞するために、ピン52は溝82から離され、U字の中央領域において、アーム50はカップ10の平面壁15における外面16に対接するように折り返される。次にカバー80はアーム50を離れたままにしておく。中央スリーブ81は両面(U字の両側)に2つの鋸歯状の切込み812を備えており、これらの切込み812は中央スリーブ81を僅かに超えて互いの方向へ延在している。これらの切込み812は凸面86の近傍に位置している(図2及び図3)ので、上述したように又は最初の開放前にアーム50が折り返されるとき(図3及び図4)、中央スリーブ81の幅よりも僅かに小さな幅であるバー54は切込み812を超えて(下方に)位置して切込み812とスナップロックされる。切込み812は、例えばU字の開放側(薄肉部41の上方)に極力接近して位置しているので、アーム50を切込み812から離すのに必要とされる作用は最高のものとなる。揚蓋40及びアーム50は、カバー80に連結された切込み812によって水密の閉塞位置に閉塞され、これらの切込み812はアーム50を水密の閉塞位置で閉塞する手段を構成している。またこれらの閉塞手段は、開閉具1を最初に開く前(上記を参照)でもセキュリティ用蓋材と共に使用される。
【0062】
カバー80に連結された状態のアーム50を閉位置に閉塞する他の手段も実施可能である。
【0063】
あるいは閉塞手段を本体2及びアーム50にのみ位置させることもできる。
【0064】
プレート20に関する、また図11ないし図14に示しかつ先に説明したカバー80に関する変形の実施形態では、カバー80の中央スリーブ81が開放している側を例外として、スナップロック用のビード129は実質的に孔30の全周に亘って延在しており、アーム50が折り畳まれる(開閉具が閉位置にある)とアーム50のバー54の通過が可能となる。
【0065】
カバー80がプレート20に連結されると、中央スリーブ81によって形成されたU字の二叉(図14)における半径方向の外面は、スナップロック用のビード129の端部を形成する2つの面127(図12)上に静止する。これらの端面127は互いに対向して、すなわち中央スリーブ81の両側かつ外側に位置しているので、中央スリーブ81のU字の二叉を所定の位置に保持するのに寄与している。
【0066】
したがって、アーム50が中央スリーブ81における2つの切込み812内にスナップロックすると、中央スリーブはこのスナップロックに対する強力な耐性を示す。これは、端面127に静止している中央スリーブ81のU字型の二叉が離れるのをスナップロック用のビード129が防止しているからである。このため、本発明に係る開閉具1を閉位置にロックすれば、さらに効果的なものとなる。
【0067】
閉位置における開閉具1の密封は、アーム50におけるこれらの閉塞手段によって保証される。また円筒壁45とプレート20の縁部25における内面と間の密着をなす密封手段並びにジョイント部91及び92によっても保証される(既述)。
【0068】
また密封手段については他の構成も採用できる。
【0069】
例えば、揚蓋40の周縁部47全体は、孔30を取り囲むプレート20における下面27に対接して支持される、可撓性を有する素材(例えばエラストマー)で作製された円周状の舌片で構成される。揚蓋40の残部はより剛性のあるポリマーで作製される。この構成では、第一ジョイント部91及び第一溝291は、可撓性を有する周縁部47が内面27の平坦な部分に接して支持され、揚蓋40とプレート20間のさらに良好な密封性を確実なものとする態様で、省略されている(図15)。
【0070】
本発明に係る開閉具1のために、水密の態様で所望の回数だけ金属缶を開閉できるので、金属缶の内容物の損失を回避し、消費していない間に物性を失うこともなく何度もこの内容物を消費することができる。
【0071】
開閉具1を構成する3つの要素(本体2、アーム50、カバー80)は簡単に連続してスナップロックすることによって組み立てられる。すなわち、本体2のプレート20はカップ10のオリフィス13における内縁19に対してスナップロックする。次いで、本体2の揚蓋40がプレート20の方へ折り返されると、アーム50は、アーム50のバー54をプレート20の孔30に通すことによって揚蓋40に対してスナップロックする。アーム50がカップ10の外面16に対接するように折り返されると、カバー80はプレート20に対してスナップロックし、アーム50はカバー80によってU字型の中央に位置している。
【0072】
開閉具1は容易に、しかも最低限のコストで金属缶に作製され組み立てられ得る。
【0073】
同様に、開閉具1は、本発明に係るパッケージを構成するために、任意のパッケージの平面壁に作製され組み立てられ得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に平坦な平面壁を備えオリフィスを設けた消耗品用パッケージに関し、具体的にはこのようなパッケージ用の開閉具に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなパッケージは例えば金属缶であって、殆どの場合、2回圧延のスチール又はアルミニウムで作製され、液体飲料のような消耗品を収容するように構成された、実質的に円筒状の容器である。以下の説明において、「内側」及び「外側」とは、それぞれ、パッケージに向けられた部品の部分又はパッケージ内に位置する部品の部分と、パッケージに向けられた部品の部分又はパッケージ外に位置する部品の部分とを指す。金属缶は従来技術及び本発明におけるパッケージの一例として用いている。また液体飲料は消耗品の一例として用いている。
【0003】
金属缶の下端は閉塞されて、上面はカップとなっている。このカップの平坦部分は、蓋材と、蓋材の近傍に位置する取付位置によってカップに取り付けられている舌片とを備えている。この取付位置に対する梃子の運動を通じて舌片が蓋材を押圧して、事前に切り込みを入れた蓋材周縁のプレカット部分を破断させる。この切り込み部分が破断されると、蓋材がオリフィスを形成し、このオリフィスを通じて金属缶内の液体が、例えば消費のために流出可能となる。次に蓋材は金属缶内へ折り返されるが、カップ周縁の破断されていない部分によってカップに付着した状態で保持されている。
【0004】
このような金属缶の欠点は、金属缶が一旦開封されると再度閉塞できないことである。このため、金属缶が横転すると液体は金属缶から流出してしまう。また異物(虫、埃)がカップのオリフィスを通じて侵入することで液体を汚染させてしまう。さらにまた、液体がガスを含有するものであれば、数時間後には飲料内からガスが抜けてしまう。このような欠点のため、利用者は金属缶を開封したら直ぐに金属缶の内容物を全部使い切らざるを得なくなる。
【0005】
一方でカップのリムに被せる樹脂製カバーが知られている。しかしながら、このようなカバーでは、金属缶からカップとカバー間の隙間へ液体が逃げてしまい、カバーを開けたときに不都合なことになる。またこのようなカバーは、ガス圧がカバーをカップから押し上げてしまうことがあるので、水密性が十分とは言えない。
【0006】
また米国特許出願公開第2009/032531号明細書(特許文献1)に記載されるような回転型のカバーも知られている。この樹脂製カバーは金属缶のリム部分に被さり、カップの上面に対接して平坦にされ、金属缶の中心軸周りで旋回可能であり、蓋材を開封することにより作られたオリフィスを開閉するものである。しかしながら、いずれのカバーも水密性が十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/032531号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、開閉具を備え、この開閉具によって開封され容易に再閉塞可能なパッケージであって、完全に水密性を有し、利用者が簡単に取り扱えるパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記目的は、実質的に平坦な平面壁を備え、かつオリフィスが設けられた消耗品用パッケージに開閉具を備えることで達成される。この開閉具は、成型材で作製され前記平面壁に固定された一体成型の本体部であって、前記オリフィスと対向して配置された孔が形成されており、平面壁の前記オリフィスの縁部に水密の態様で固定されたプレートを有する本体部と、パッケージの内部に向かって開口するこのプレートに連接され、前記孔を水密の態様で閉塞できる揚蓋と、を備えている。さらに開閉具は、前記揚蓋に連結されたアームであって、所定の位置で閉塞手段と協働し、この閉塞手段が前記揚蓋を水密の閉塞位置に維持し、前記揚蓋が前記閉塞手段から離れると前記パッケージの内部に向かって旋回して揚蓋を開放するアームを備えることを特徴とする。さらにまた開閉具は、前記本体部(2)及び前記アーム(50)とは別個のカバー(80)であって、前記揚蓋(40)を初回に開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材(100、104)を備えており、このセキュリティ用蓋材が破損していなければ、パッケージが事前に開封されていないことを保証でき、この蓋材は前記閉塞手段の一部を形成するカバーを有することを特徴とする。
【0010】
これらの構成により、本パッケージは開封し、所望の回数だけ開閉できる。閉塞手段によってアームが閉位置に閉塞されたままの状態であることで、揚蓋も水密な態様で閉塞される。
【0011】
好適には、プレートはスナップロックすることによって平面壁におけるオリフィスの縁部に固定される。
【0012】
これにより、開閉具を平面壁に取り付けて固定することが特に容易となり、また密封性も強化される。
【0013】
好適には、プレートは実質的に平面壁の内面に対接して支持される。
【0014】
揚蓋をパッケージの内部に向かって開ける場合は、パッケージ内に僅かなガスが存在しても、揚蓋が閉位置にあるとき、この揚蓋を開閉具の本体部におけるプレートの内面に対してさらに押圧する方向に作用する。これによりガス漏れを防止し、パッケージの密封を確実にすることに貢献する。
【0015】
本発明は、以下の本発明を限定するものでない実施例で示す実施形態に関する詳細な説明から、良く理解でき、また本発明の利点がさらに明確なものとなるであろう。以下の添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るパッケージ(カップ)の一部であって、揚蓋を開位置とした開閉具を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線におけるカップと開閉具を示す断面図である。
【図3】揚蓋を閉位置としたカップと開閉具を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線におけるカップと開閉具を示す断面図である。
【図5】カップに接した開閉具のスナップロック機構(図4のR領域)を示す拡大図である。
【図6】図3のVI−VI線における開閉具の断面であって、プレートに接したカバーのスナップロック機構を示す拡大図である。
【図7】開閉具の本体部を示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における本体部の断面図である。
【図9】開閉具のアームを示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線におけるアームの断面図である。
【図11】本発明の変形例に係る開閉具の本体部を示す斜視図である。
【図12】本発明の変形例に係る、本体部と開閉具のジョイント部を示す斜視図である。
【図13】本発明の変形例に係る開閉具の一部であって、カップに接した本体部と、カバーを有する本体部とのスナップロック機構を示す断面図である。
【図14】本発明の変形例に係るカバーの斜視図である。
【図15】図5と同様の、本発明に係る開閉具の揚蓋と本体部との間の密閉ジョイント部に関する他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、金属缶に適用した例を参照しながら、本発明について説明する。ただ本発明は、実質的に平坦な平面壁を備え、かつオリフィスが設けられたパッケージであれば、他のものにも適用できる。
【0018】
図1〜図4は、本発明に係る開閉具が金属缶(図示せず)のカップ10に載置されている状態を示している。このカップ10は実質的に円形であって、平面壁15は周縁リム12で包囲されている。カップにおける周縁リム12は、例えば金属缶の標準的なカップのリムと同一であり、開閉具1が取り付けられたカップ10は、あらゆる金属缶の製造過程で付加できる。カップ10の平面壁15は、内縁19で画成されたオリフィス13を設けている。このオリフィス13は楕円形とし、カップの中央からリム12近辺に半径方向に延在する。
【0019】
図1及び図2は、開閉具1が部分的に開位置にある状態を示している。開閉具1はプレート20を有する本体部2を備えており、このプレート20はプレート20の縁部25で画成された孔30を中央部に有する。本体部2は、図7及び図8にも示している。また本体部2は揚蓋40も備えており、本体部2と一体成型、すなわち揚蓋40がプレート20との連続体となっている。したがって、本体部2は一体成型で作製でき、これにより揚蓋40をプレート20とは個別に作製するよりも迅速かつ安価に利用できるという商業的な利点が得られる。本体部2は、例えばポリマーで作製される。
【0020】
揚蓋40は可撓性を有するように成型された薄肉部41によってプレート20に連結され、プレート20の周囲に位置する。したがって、この薄肉部41はヒンジとなる。揚蓋40は周縁部47の底部42を備えており、この底部42の中央に円筒壁45が取り付けられる。
【0021】
揚蓋40が開位置にあるとき、この揚蓋40は金属缶内に入り込んでいる。
【0022】
図4は揚蓋40が閉位置にある状態を示している。薄肉部41は完全に折り畳まれている。円筒壁45の半径方向における外面はプレート20の縁部25の半径方向における内面上に亘って閉じているので、円筒壁45は隙間無く実質的に孔30内に嵌入している。したがって、これにより密封性が得られ、金属缶内の液体を流出させないことに寄与している。
【0023】
図5は図4の一部を拡大したものであり、揚蓋40とプレート20の嵌着状態を詳細に示している。このように嵌着しているとき、揚蓋40の周縁部47は孔30を取り囲むプレート20の金属缶の内部側へ指向する下面27に支えられている。これらの図に示すケースでは、実際には周縁部47は下面27の第一溝291内に入り込んだ第一ジョイント部91に支えられている。周縁部47とジョイント部91との間の接触帯域は孔30を完全に取り囲んでいる。これにより揚蓋40とプレート20間の密封性が得られ、金属缶内の液体を流出させないことに寄与している。また金属缶の内容物が発泡性・気泡性の液体である場合、このガスが揚蓋40をプレート20を押圧するのに寄与する。周縁部47によって第一ジョイント部91に印加される圧力が上昇し、このことは揚蓋40とプレート20間の密封性を向上させるのに寄与する。
【0024】
あるいは、プレート20の一部を断面で示した図13に示すように、第一ジョイント部91は、孔30を囲い込むプレート20の縁部25と共に第一溝291も覆っている。第一ジョイント部91は、縁部25の半径方向における内面上に亘って延在し、この半径方向における内面の縁部全体をその高さの一部に亘って覆っている。
【0025】
第一ジョイント部91は第一溝291の底部と側部を埋めているが、この第一溝291の中央領域を完全に埋めているわけではないので、第一ジョイント部91の上面が全周に亘って環状の凹部915を有している。この環状の凹部915は、第一ジョイント部91の外壁916によって半径方向における外側で界接され、その頂部は下面27と実質的に面一となっており、プレート20の縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分によって形成された内壁914によって半径方向における内側で界接されている。
【0026】
したがって、この環状の凹部915はスロートとなり、ここに揚蓋40の周縁部47が入り込んで、揚蓋40とプレート20間の良好な密封を可能にしている。
【0027】
さらに、円筒壁45と周縁部47との間に位置しており、揚蓋40が再閉塞されたときプレート20の縁部25と対向する揚蓋40の環状領域が形成されるので、揚蓋40がプレート20の縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分に亘って閉鎖する。このようにして、縁部25を覆う第一ジョイント部91の部分は、円筒壁45が孔30に係入するとき、円筒壁45と周縁部47との間に挟まれるので、揚蓋40とプレート20間の密封性が強化される。また揚蓋40が大きな表面に亘って第一ジョイント部91と接触するので、揚蓋40は金属缶内のガスによる圧力の影響を受けても捻れが発生し難い。
【0028】
以下、プレート20をカップ10に固定する構成を説明する。
【0029】
プレート20は、上面26に第一タブ群29を備えており、これらのタブ群29は孔30の周りに位置し、上面26に対して直角に伸びている。第一タブ群29はオリフィス13と同一形状の配置に沿って位置し、オリフィス13よりも僅かに小さな寸法であるので、プレート20がカップ10における平面壁15上に配置されると、第一タブ群29はオリフィス13の中へ入り込む。
【0030】
第一タブ群29の各個は、半径方向における最外面上において、これら第一タブ群29に沿って円周方向に延在するビード295を有している。第一タブ群29の配置とビード295の(半径方向の)厚さは、これら第一タブ群29がオリフィス13の中に強制的に入れ込まれるときに、平面壁15の内縁19がビード295を押し戻すと第一タブ群29がオリフィス13の中心に向かって半径方向に変形する態様で設定される。次にプレート20は、第一タブ群29によってスナップロックするので、カップ20上に固定される。図7に示すように、第一タブ群29はオリフィス13の全周に亘ってプレート20上に分布しているので、このような全周に亘って前述のスナップロックが実質的に均一に分布している。プレート20の(下面27に対向する)上面26とビード295間の距離は平面壁15の厚さに等しいので、前述のスナップロックした後で上面26はビード295によって平面壁15の内面17に支えられた状態で維持される。
【0031】
上面26は全周に亘って、第一タブ群29を取り囲む第二溝292を備えている。
【0032】
上面26における第二溝292に第二ジョイント部92が入れ込まれ、この第二ジョイント部92の部分925が第二溝から突出しているので、部分925は、プレート20がカップ10に固定すると、内面17に接触するようになる。内面17と、この面に対接して支えられるジョイント部92との間の接触帯域は完全にオリフィス13を囲い込む。これにより、平面壁15とプレート20間の密封性が得られ、金属缶内の液体の流出を防止されることに寄与している。さらに、金属缶の内容物がガスを含有する液体である場合、このガスは平面壁15の内面17に向かってプレート20を押圧するのに寄与する。内面17によって第二ジョイント部92に印加された圧力が増大し、これはプレート20と平面壁15との間の密封性が向上するのに寄与する。
【0033】
第二ジョイント部92における部分925は、例えば2つの全周性突出物であって、これらは、図5及び図6に示すように、内面17に対向した第二ジョイント部92の(上)面上に延在する。これらの突出物は、プレート20がカップ10に固定されると、内面17に対して押し付けられ、密封を確実なものとする。
【0034】
あるいは図12に示すように、第二ジョイント部92は横断面を実質的にV字型としたリングであっても良い。このV字における二叉の端部は、それぞれリップ(第一リップ921及び第二リップ922)を形成し、これら2つのリップが第二ジョイント部92の部分925をなし、この部分925が溝292から突出している。この第二ジョイント部92は、図13にも示している。
【0035】
また溝292は、第二ジョイント部92のない状態で図11に示している。
【0036】
プレート20がカップ10に固定されると、リップ921及び922は、互いに離間するにつれて、内面17に押し付けられる。このような押し付けの最中に、第二ジョイント部92の中央部、すなわち第一リップ921と第二リップ922間の空間に存在する空気がこの空間から排出されるので、第二ジョイント部92が内面17に対する吸盤として作用する。このような吸盤効果が、第二ジョイント部92を内壁17に対し一層強く付着させる方向に作用する結果、プレート20と平面壁15間の密封性が強化される。
【0037】
上述のように、V字型の横断面を有する環状のジョイント部が平坦な表面に押し付けられると、2つのリップで吸盤として作用するので、ジョイント部は、後述するカバーを備えずとも、本発明の目的を達成するシステムとは異なる構成の開閉システムにおいて、密封を確実にするものとして利用できる。
【0038】
好適には、本体部2、第一ジョイント部91、第二ジョイント部92で構成される構体は、本体部2を構成する硬質ポリマーと、前記ジョイント部91及び92を構成する可撓性エラストマーを同時に射出成型することで作製できる。
【0039】
この開閉具1は、図1、図2、図3、図4、図9、図10に示すように、アーム50も備える。
【0040】
このアーム50は、一端においてグリップ56で終端し、他端において円形のロッド53を有するバー54を備えている。揚蓋40は、揚蓋40の底部42から直角に延在し、円筒壁45によって取り囲まれたクリップ43を備えている。ロッド53はクリップ43においてスナップロックし、薄肉部41によって形成されるヒンジの旋回軸に平行な軸に沿って旋回連接部を形成する。アーム50のバー54の幅(この中心軸の方向に沿った寸法)はプレート20における孔30の幅に満たないので、バー54は孔30を自在に通過できる。なおグリップ56の幅は孔30の幅よりも大きくしている。
【0041】
アーム50は射出成型により、例えばポリマーで作製されるので、単位当りの製造コストを最小限度に抑えることができる。
【0042】
また開閉具1は、本体部2及びアーム50とは別個の部材として、カバー80を備えている。このカバー80は、凹面85及び凸面86を有する、内側に湾曲した殻の形状である。カバー80はリム87によって界接され、また凹面85に対して実質的に直角で凹面85から延在するタブ88を備えている。カバー80は、カップ10の平面壁15の外面上に位置決めされ、オリフィス13を介してプレート20の上面26から延在する、プレート20における第二タブ28にスナップロックするタブ88を使ってプレート20上に組み立てられる。第二タブ28へのタブ88のスナップロックは、歯形を有するこれらのタブの端部の高さで実行される(図6)。したがってタブ88は、カバー80をプレート20に連結させるための手段となる。
【0043】
図7に示すように、第一タブ群29及び第二タブ群28は、プレート20上で孔30の周囲に交互に分布しており、第二タブ群28のこのような分布により、確実にカバー80とプレート20間のスナップロックが孔30の外縁全体に亘って実質的に均一に分布することになる。
【0044】
タブ群88はリム87の高さよりも低いので、タブ群88と第二タブ群28がスナップロックされると、リム87がカップ10の上面16を押し付け、カバー80と本体部20の組み合わせをロックして安定させる。したがってカップ10における平面壁15の(オリフィス13周囲における)領域がカバー80とプレート20間に挟まれる。
【0045】
カバー80はU字型としている。したがってカバー80の中心部は一方側で開放したU字型の有底・非貫通の穴である。この穴は、凹面85を超えて凸面86から実質的に凹面85と直角に延在する中央スリーブ81によって画成されている。この中央スリーブ81の幅は、プレート20の孔30の幅と実質的に等しく、カバー80とプレート20が組み立てられると、中央スリーブ81は、中央スリーブ81が開放となっている側を例外として、孔30の縁部25と実質的に心合した状態で位置している。この開放側は薄肉部41が位置しているよりも上方の側である。したがって、開閉具1が再閉塞されると、アーム50は揚蓋40の部分と薄肉部41の部分よりも上方で折り返され、次いでカップ10における平面壁15の一部がアーム50と揚蓋40間に位置する。アーム50は、アーム50の上面がカバー80の凸面86と心合し、U字の頂部を例外として(図4に示すように)カバー80の中心部の空間を満たすまで、折り返すことができる。したがって、開閉具1の部分はカップ10のリム12よりも上に突出することが一切ないので、金属缶に対する容積の追加分は最低限度に抑えられる。
【0046】
またカバー80は成型によって例えばポリマーで作製されるので、単位当りの製造コストを最低限度に抑えられる。
【0047】
変形例として、プレート20をカップ10上にまたカバー80をプレート20上にスナップロックして組み立てることは以下に説明するように実施できる。
【0048】
図11及び図12に示すように、プレート20の上面26における第一タブ群29(前述の説明を参照)は、繋がった状態になるよう互いの方向に拡大してスナップロック用のビード129を形成する。カバー80と共にスナップロックする作用を奏するプレート20の第二タブ群28は不要とできる。スナップロック用のビード129は、カバー80の中央スリーブ81が開放されている側を除き、実質的に孔30の全周に亘って円周状に延在している。プレート20がカップ10の平面壁15に配置されると、壁部29はオリフィス13の中に入れ込まれる。
【0049】
スナップロック用のビード129は、半径方向における最外面に、このスナップロック用のビード129全体に沿って円周状に延在する第一ビード295を備えている。スナップロック用のビード129の配置と第一ビード295の(半径方向における)厚さは、スナップロック用のビード129がオリフィス13の中に入れ込まれると平面壁15の内縁19が第一ビード295を押し戻すのでスナップロック用のビード129がオリフィス13の中心部に向かって半径方向に変形するような態様で、設定される。このため、スナップロック用のビード129を介してスナップロックすることによってプレート20はカップ10上に固定される。スナップロック用のビード129が実質的に内縁19の全周に沿って延在していることにより、プレート20をカップ10上に堅固に組み立てることが可能となる。
【0050】
スナップロック用のビード129は、上面26に対して直角に第一ビード295を超えて、第二ビード298を備える延長部の分だけ延在しており、スナップロックのビードは孔30周りにおけるこの延長部の実質的に全長に亘って延在している。この延長部は、スナップロック用のビード129の基部よりも僅かに孔30寄りに位置しているので、スナップロック用のビード129を自在にオリフィス13の中に入れ込むことができる(図13)。
【0051】
カバー80はタブ88を有し、これらのタブ88は、カバー80の凹面85に対して実質的に直角に凹面85から延在している。タブ88の端部は半径方向における内面上に溝888を有しており、カバー80がプレート20に固定されると溝888が第二ビード298とスナップロックとなるので、カバー80がプレート20に連結される(図13及び図14)。タブ88は略繋がった状態になるよう互いの方向へ拡大されているので、カバーがプレート20とさらに堅固に連結する。
【0052】
次に開閉具1の機能に関して、図1、図2、図3、図4を参照して以下に説明する。
【0053】
開閉具1を初めて開ける前に、アーム50は上述のとおり折り畳まれている。カバー80には、初めて開ける前の状態の開閉具1を示す図3及び図4において示される舌片100が付属している。この舌片100は実質的にカバー80の凸面86の延長部内に位置しており、アーム50のバー54を覆い、グリップ56は覆っていない。舌片100は部分的又は全体的に中央スリーブ81(すなわちカバー80における中央のU字型の領域)を覆っている。舌片100はフックシステムでカバー80に連結されている。このフックシステムは、初めて開閉具1を開ける際に破壊されて、元通りに復帰できない構成としている。フックシステムは、舌片100の周縁に亘って分布する4つのリンク104を備えており、それぞれのリンクは舌100の縁部と、舌100の縁部が僅かなスペース分だけ離れている中央スリーブ81との間のブリッジを形成している。
【0054】
舌片100及び4つのリンク104は、カバー80と共に一体成型することにより、例えばポリマーで作製されるので、単位当りの生産コストを最小限度に抑えることができる。
【0055】
舌片100、この舌片とカバー80を連結するリンク104、及びフックシステムはセキュリティ用蓋材を形成しており、この蓋材が破損していない状態であれば、金属缶は事前に開封されていないことが保証される。このセキュリティ用蓋材は閉塞位置におけるアーム50の閉塞手段の一部を形成している。
【0056】
また、セキュリティ用蓋材に関する他の構成も実施可能である。
【0057】
開閉具1を初めて開いて金属缶の内容物を消費するために、アーム50がグリップ56で引き上げられ、これと同時にリンク104が破損されて舌片100が引き上げられ、以降は無効となる。
【0058】
次にアーム50を引き上げる。アーム50のバー54は、このバー54から横方向に延在する2つのピン52(図9に示す)を備えている。これらのピン52は、中央スリーブ81に沿った凸面86から(この面に対して直角に)延在する、本体80の溝82内に入れ込まれる構造である。ピン52が溝82内に入れ込まれると、アーム50のグリップ56が凸面86に対接して支持され、そしてこの時、揚蓋40は開位置のままで閉塞される。したがって溝82及びピン52は、開位置におけるアーム50の閉塞手段を構成している。開位置においてアーム50を閉塞する他の手段も実施可能である。
【0059】
アーム50のグリップ56の幅(薄肉部41で形成されるヒンジの旋回軸方向の寸法)は中央スリーブ81の幅よりも広くしているので、アーム50が金属缶内に落下しないようにし、後で金属缶を閉めやすくしている。溝82は、ピン52が溝82内に入れ込まれるとアーム50がプレート20に対して実質的に直角となる態様で位置しているので、揚蓋40の最大開口が保証される(例えば、溝82はU字(中央スリーブ81の穴)の頂部に最も近い距離の3分の1の箇所に位置している)。このため、スリーブ81を通過する液体の流量は最適なものとなる。
【0060】
孔30は楕円形としており、カップ10におけるオリフィス13の形状と実質的に同一となっているが、これよりも小さめの寸法としている。このような形状のため、アーム50が開位置にあるときにアーム50の前(U字型の中央スリーブ81の頂部の領域、すなわちカップのリム12に最接近した箇所)で中央スリーブ81のうち十分な部分が離れて、利用者が消費するのに好都合な流量で金属缶内の液体が流出できるようになる。
【0061】
開閉具1を再閉塞するために、ピン52は溝82から離され、U字の中央領域において、アーム50はカップ10の平面壁15における外面16に対接するように折り返される。次にカバー80はアーム50を離れたままにしておく。中央スリーブ81は両面(U字の両側)に2つの鋸歯状の切込み812を備えており、これらの切込み812は中央スリーブ81を僅かに超えて互いの方向へ延在している。これらの切込み812は凸面86の近傍に位置している(図2及び図3)ので、上述したように又は最初の開放前にアーム50が折り返されるとき(図3及び図4)、中央スリーブ81の幅よりも僅かに小さな幅であるバー54は切込み812を超えて(下方に)位置して切込み812とスナップロックされる。切込み812は、例えばU字の開放側(薄肉部41の上方)に極力接近して位置しているので、アーム50を切込み812から離すのに必要とされる作用は最高のものとなる。揚蓋40及びアーム50は、カバー80に連結された切込み812によって水密の閉塞位置に閉塞され、これらの切込み812はアーム50を水密の閉塞位置で閉塞する手段を構成している。またこれらの閉塞手段は、開閉具1を最初に開く前(上記を参照)でもセキュリティ用蓋材と共に使用される。
【0062】
カバー80に連結された状態のアーム50を閉位置に閉塞する他の手段も実施可能である。
【0063】
あるいは閉塞手段を本体2及びアーム50にのみ位置させることもできる。
【0064】
プレート20に関する、また図11ないし図14に示しかつ先に説明したカバー80に関する変形の実施形態では、カバー80の中央スリーブ81が開放している側を例外として、スナップロック用のビード129は実質的に孔30の全周に亘って延在しており、アーム50が折り畳まれる(開閉具が閉位置にある)とアーム50のバー54の通過が可能となる。
【0065】
カバー80がプレート20に連結されると、中央スリーブ81によって形成されたU字の二叉(図14)における半径方向の外面は、スナップロック用のビード129の端部を形成する2つの面127(図12)上に静止する。これらの端面127は互いに対向して、すなわち中央スリーブ81の両側かつ外側に位置しているので、中央スリーブ81のU字の二叉を所定の位置に保持するのに寄与している。
【0066】
したがって、アーム50が中央スリーブ81における2つの切込み812内にスナップロックすると、中央スリーブはこのスナップロックに対する強力な耐性を示す。これは、端面127に静止している中央スリーブ81のU字型の二叉が離れるのをスナップロック用のビード129が防止しているからである。このため、本発明に係る開閉具1を閉位置にロックすれば、さらに効果的なものとなる。
【0067】
閉位置における開閉具1の密封は、アーム50におけるこれらの閉塞手段によって保証される。また円筒壁45とプレート20の縁部25における内面と間の密着をなす密封手段並びにジョイント部91及び92によっても保証される(既述)。
【0068】
また密封手段については他の構成も採用できる。
【0069】
例えば、揚蓋40の周縁部47全体は、孔30を取り囲むプレート20における下面27に対接して支持される、可撓性を有する素材(例えばエラストマー)で作製された円周状の舌片で構成される。揚蓋40の残部はより剛性のあるポリマーで作製される。この構成では、第一ジョイント部91及び第一溝291は、可撓性を有する周縁部47が内面27の平坦な部分に接して支持され、揚蓋40とプレート20間のさらに良好な密封性を確実なものとする態様で、省略されている(図15)。
【0070】
本発明に係る開閉具1のために、水密の態様で所望の回数だけ金属缶を開閉できるので、金属缶の内容物の損失を回避し、消費していない間に物性を失うこともなく何度もこの内容物を消費することができる。
【0071】
開閉具1を構成する3つの要素(本体2、アーム50、カバー80)は簡単に連続してスナップロックすることによって組み立てられる。すなわち、本体2のプレート20はカップ10のオリフィス13における内縁19に対してスナップロックする。次いで、本体2の揚蓋40がプレート20の方へ折り返されると、アーム50は、アーム50のバー54をプレート20の孔30に通すことによって揚蓋40に対してスナップロックする。アーム50がカップ10の外面16に対接するように折り返されると、カバー80はプレート20に対してスナップロックし、アーム50はカバー80によってU字型の中央に位置している。
【0072】
開閉具1は容易に、しかも最低限のコストで金属缶に作製され組み立てられ得る。
【0073】
同様に、開閉具1は、本発明に係るパッケージを構成するために、任意のパッケージの平面壁に作製され組み立てられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平坦な平面壁(15)を備え、オリフィス(13)が設けられた消耗品用パッケージであって、
前記パッケージには開閉具(1)が備えられており、前記開閉具(1)は、
成型材で一体成形に構成されて前記平面壁(15)に固定された本体部(2)であって、オリフィス(13)と対向して配置された孔(30)が形成され、平面壁(15)のオリフィス(13)の縁部(19)に水密の態様で固定されたプレート(20)を有する本体部(2)と、
パッケージの内部に向かって開口する前記プレート(20)に連接され、前記孔(30)を水密の態様で閉塞できる揚蓋(40)と、
を備えており、
前記開閉具(1)はさらに、前記揚蓋(40)に連結されたアーム(50)を備えており、
該アーム(50)は所定の位置で閉塞手段と協働することにより、該閉塞手段が前記揚蓋(40)を水密の閉塞位置に維持し、揚蓋(40)が閉塞手段から離れると前記パッケージの内部に向かって旋回して揚蓋(40)を解放するよう構成されており、
さらにまた開閉具1は、前記本体部(2)及び前記アーム(50)とは別個のカバー(80)を備えており、
該カバー(80)は、前記揚蓋(40)を初めて開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材(100、104)を備えることで、該セキュリティ用蓋材(100、104)が破損していなければパッケージが事前に開封されていないことが保証され、前記蓋材が前記閉塞手段の一部を形成することを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージであって、スナップロックすることによって前記プレート(20)が平面壁(15)における前記オリフィス(13)の縁部(19)に固定されることを特徴とするパッケージ。
【請求項3】
請求項2に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、平面壁(15)における前記オリフィス(13)の縁部(19)に対してスナップロックする第一タブ群(29)又はスナップロック用のビード(129)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は本質的に前記平面壁(15)の内面(17)に対接して支持されることを特徴とするパッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、前記揚蓋(40)が支持されているので、該揚蓋(40)と該プレート(20)間の接合部が水密にしてなる第一ジョイント部(91)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、前記内面(17)が支持されているので、前記平面壁(15)と前記プレート(20)間の接合部が水密にしてなる第二ジョイント部(92)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項7】
請求項6に記載のパッケージであって、前記第二ジョイント部(92)は、前記内面(17)に対して吸盤として作用可能な2つのリップ(921、922)を備えるリング状のジョイント部であることを特徴とするパッケージ。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれか一に記載のパッケージであって、前記カバー(80)は前記プレート(20)と連結するための手段を備え、前記カバー(80)が前記プレートに連結されたとき前記パッケージの外部に位置しているので、前記平面壁(15)の領域が前記カバー(80)と前記プレート(20)間に挟まれてなることを特徴とするパッケージ。
【請求項9】
請求項8に記載のパッケージであって、前記連結手段は前記カバー(80)から延在するタブ(88)であって、かつ該タブ(88)の端部及び第二タブ群(28)の端部に位置する歯によってプレート(20)における該第二タブ群(28)とスナップロック可能なタブ(88)であることを特徴とするパッケージ。
【請求項10】
請求項3及び請求項8に記載のパッケージであって、前記連結手段は前記カバー(80)から延在するタブ(88)であり、かつ前記タブ(88)の端部に位置する溝(888)と前記スナップロック用ビード(129)の端部に位置する第二ビード(298)とによって前記スナップロック用ビード(129)とスナップロック可能なタブ(88)であり、また前記スナップロック用ビード(129)は、前記平面壁(15)とのスナップロック用としての役割を果たす第一ビード(295)も備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一に記載のパッケージであって、前記揚蓋が水密の閉塞位置にある状態に前記アーム(50)を閉塞する前記手段は前記カバー(80)に連結されてなることを特徴とするパッケージ。
【請求項12】
請求項11に記載のパッケージであって、前記閉塞手段がさらに、前記カバー(80)に連結されていて、かつ前記アーム(50)及び前記揚蓋(40)を水密の閉塞位置に位置決めし直す切込み(812)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一に記載のパッケージであって、前記カバー(80)はU字型であり、また前記アーム(50)は、閉塞位置にあるとき、前記U字の中央領域において平面壁(15)に対して折り返されることを特徴とするパッケージ。
【請求項14】
請求項13に記載のパッケージであって、前記セキュリティ蓋材は、前記カバー(80)におけるU字型の中央領域を完全に覆う舌片(100)と、該舌片(100)と前記カバー(80)を連結するリンク(104)とを備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一に記載のパッケージであって、該パッケージは、前記揚蓋(40)が開位置にある状態で前記アーム(50)の閉塞手段(52、82)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか一に記載のパッケージであって、前記揚蓋(40)及び前記プレート(20)は、可撓性を備えるよう成型された薄肉部(41)に連接され、ヒンジを形成することを特徴とするパッケージ。
【請求項1】
実質的に平坦な平面壁(15)を備え、オリフィス(13)が設けられた消耗品用パッケージであって、
前記パッケージには開閉具(1)が備えられており、前記開閉具(1)は、
成型材で一体成形に構成されて前記平面壁(15)に固定された本体部(2)であって、オリフィス(13)と対向して配置された孔(30)が形成され、平面壁(15)のオリフィス(13)の縁部(19)に水密の態様で固定されたプレート(20)を有する本体部(2)と、
パッケージの内部に向かって開口する前記プレート(20)に連接され、前記孔(30)を水密の態様で閉塞できる揚蓋(40)と、
を備えており、
前記開閉具(1)はさらに、前記揚蓋(40)に連結されたアーム(50)を備えており、
該アーム(50)は所定の位置で閉塞手段と協働することにより、該閉塞手段が前記揚蓋(40)を水密の閉塞位置に維持し、揚蓋(40)が閉塞手段から離れると前記パッケージの内部に向かって旋回して揚蓋(40)を解放するよう構成されており、
さらにまた開閉具1は、前記本体部(2)及び前記アーム(50)とは別個のカバー(80)を備えており、
該カバー(80)は、前記揚蓋(40)を初めて開封する際に必然的に破壊されるセキュリティ用蓋材(100、104)を備えることで、該セキュリティ用蓋材(100、104)が破損していなければパッケージが事前に開封されていないことが保証され、前記蓋材が前記閉塞手段の一部を形成することを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージであって、スナップロックすることによって前記プレート(20)が平面壁(15)における前記オリフィス(13)の縁部(19)に固定されることを特徴とするパッケージ。
【請求項3】
請求項2に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、平面壁(15)における前記オリフィス(13)の縁部(19)に対してスナップロックする第一タブ群(29)又はスナップロック用のビード(129)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は本質的に前記平面壁(15)の内面(17)に対接して支持されることを特徴とするパッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、前記揚蓋(40)が支持されているので、該揚蓋(40)と該プレート(20)間の接合部が水密にしてなる第一ジョイント部(91)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のパッケージであって、前記プレート(20)は、前記内面(17)が支持されているので、前記平面壁(15)と前記プレート(20)間の接合部が水密にしてなる第二ジョイント部(92)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項7】
請求項6に記載のパッケージであって、前記第二ジョイント部(92)は、前記内面(17)に対して吸盤として作用可能な2つのリップ(921、922)を備えるリング状のジョイント部であることを特徴とするパッケージ。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれか一に記載のパッケージであって、前記カバー(80)は前記プレート(20)と連結するための手段を備え、前記カバー(80)が前記プレートに連結されたとき前記パッケージの外部に位置しているので、前記平面壁(15)の領域が前記カバー(80)と前記プレート(20)間に挟まれてなることを特徴とするパッケージ。
【請求項9】
請求項8に記載のパッケージであって、前記連結手段は前記カバー(80)から延在するタブ(88)であって、かつ該タブ(88)の端部及び第二タブ群(28)の端部に位置する歯によってプレート(20)における該第二タブ群(28)とスナップロック可能なタブ(88)であることを特徴とするパッケージ。
【請求項10】
請求項3及び請求項8に記載のパッケージであって、前記連結手段は前記カバー(80)から延在するタブ(88)であり、かつ前記タブ(88)の端部に位置する溝(888)と前記スナップロック用ビード(129)の端部に位置する第二ビード(298)とによって前記スナップロック用ビード(129)とスナップロック可能なタブ(88)であり、また前記スナップロック用ビード(129)は、前記平面壁(15)とのスナップロック用としての役割を果たす第一ビード(295)も備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一に記載のパッケージであって、前記揚蓋が水密の閉塞位置にある状態に前記アーム(50)を閉塞する前記手段は前記カバー(80)に連結されてなることを特徴とするパッケージ。
【請求項12】
請求項11に記載のパッケージであって、前記閉塞手段がさらに、前記カバー(80)に連結されていて、かつ前記アーム(50)及び前記揚蓋(40)を水密の閉塞位置に位置決めし直す切込み(812)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一に記載のパッケージであって、前記カバー(80)はU字型であり、また前記アーム(50)は、閉塞位置にあるとき、前記U字の中央領域において平面壁(15)に対して折り返されることを特徴とするパッケージ。
【請求項14】
請求項13に記載のパッケージであって、前記セキュリティ蓋材は、前記カバー(80)におけるU字型の中央領域を完全に覆う舌片(100)と、該舌片(100)と前記カバー(80)を連結するリンク(104)とを備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一に記載のパッケージであって、該パッケージは、前記揚蓋(40)が開位置にある状態で前記アーム(50)の閉塞手段(52、82)を備えることを特徴とするパッケージ。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか一に記載のパッケージであって、前記揚蓋(40)及び前記プレート(20)は、可撓性を備えるよう成型された薄肉部(41)に連接され、ヒンジを形成することを特徴とするパッケージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−502856(P2012−502856A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527384(P2011−527384)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051763
【国際公開番号】WO2010/031975
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511073124)
【氏名又は名称原語表記】3L DISTRIBUTION
【住所又は居所原語表記】Aerodrome De Chalon−champforgeuil, F−71530 Champforgeuil, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051763
【国際公開番号】WO2010/031975
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511073124)
【氏名又は名称原語表記】3L DISTRIBUTION
【住所又は居所原語表記】Aerodrome De Chalon−champforgeuil, F−71530 Champforgeuil, FRANCE
【Fターム(参考)】
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