液状版感光性樹脂凸版の後露光装置
【課題】液状版感光性樹脂凸版をスムーズに搬入することができる後露光装置を提供する。
【解決手段】傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を後露光処理する後露光装置において、傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする。
【解決手段】傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を後露光処理する後露光装置において、傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷などの凸版印刷用の液状版感光性樹脂凸版を製版する際に用いられる後露光装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
液状版感光性樹脂凸版の製版において、洗浄処理が済んだ液状版感光性樹脂凸版を液槽内の液体に沈め、ランプによって後露光処理するのが一般的である（特許文献１）。
【０００３】
このような後露光処理を好適に実施できるように、本出願人は、傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、ランプによって後露光処理する構成の後露光装置を開発し販売している。
【０００４】
【特許文献１】特開平９−２３６９１０号公報（〔００３７〕の１行目〜３行目）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、後露光装置の傾斜ガイドに沿って、液状版感光性樹脂凸版の搬入、搬出を繰り返していると、液状版感光性樹脂凸版を液槽から搬出する際に前記傾斜ガイドの上面が液体で濡れる。そのため、新たな液状版感光性樹脂凸版を傾斜ガイドに沿って搬入する際に摩擦抵抗が増加して、スムーズに搬入することができない。
【０００６】
本発明の目的は、液状版感光性樹脂凸版をスムーズに搬入することができる後露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置は、
傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、後露光処理する後露光装置において、
傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする。
【０００８】
請求項２記載の発明は、請求項１に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
凸部は断面略円形の線材を湾曲させて成ることを特徴とする。
【０００９】
請求項３記載の発明は、請求項１又は請求項２に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
液槽の底面における傾斜ガイドの下端部近傍に凹部が形成されていることを特徴とする。
【００１０】
請求項４記載の発明は、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
液槽の上面には、略水平状態の液状版感光性樹脂凸版の版尻を押さえる機構が設けられていること特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置は、繰り返し液状版感光性樹脂凸版を搬入、搬出して傾斜ガイドが水で濡れていても、新たに搬入する液状版感光性樹脂凸版と凸部との接触面積が少ないので、前記液状版感光性樹脂凸版を搬入する際の摩擦抵抗が少なく、スムーズに搬入することができる。したがって、液状版感光性樹脂凸版が搬入途中に折れ曲がるなどのトラブルが少なく、液状版感光性樹脂凸版の品質を向上させることができる。
【００１２】
しかも、後露光処理後に液状版感光性樹脂凸版を搬出する際も摩擦抵抗が少ないので、容易に液状版感光性樹脂凸版を搬出することができる。
【００１３】
また、隣接する凸部間に溝部が形成されるので、液状版感光性樹脂凸版を搬出する際に、前記溝部から液状版感光性樹脂凸版に付着した水を流し落とすことができ、後露光装置の周辺が水浸しとなることがない。そのため、健全な作業環境を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【００１５】
本実施形態の後露光装置１は、略箱型のケーシング２の上面における背面２ａに沿った位置に、吊り下げた状態の液状版感光性樹脂凸版３を搬入する開口部２ｂが形成されている。このケーシング２内に前記液状版感光性樹脂凸版３を略水平状態に沈めるのに十分な広さと、深さを有する液槽４が格納されている。液槽４内には、液状版感光性樹脂凸版３を沈めることができる深さまで例えば水が充填されており、適宜、入れ替えられる構成とされている（図１及び図２を参照）。なお、図１及び図２は、後露光装置の内部構造をわかりやすくするためにケーシング２の正面、側面及び上面を破線で示している。
【００１６】
前記ケーシング２の背面２ａは傾斜ガイドとして構成されており、液状版感光性樹脂凸版３を前記傾斜ガイド（以下、背面と同一の符号を付する。）２ａに沿って滑らせ、液槽４内でスムーズに略水平状態に移行させることができるように、円弧状に形成されている。この傾斜ガイド２ａの上端部は、液状版感光性樹脂凸版３を搬入しやすいようにケーシング２の開口部２ｂから突出しており、下端部は液槽４の底面まで連続している。
【００１７】
ケーシング２の上面には、液槽４内に沈められた液状版感光性樹脂凸版３の表面に活性光を照射するケミカルランプ及び殺菌灯ランプによる活性光照射ランプ５が設けられている（図２を参照）。
【００１８】
ケーシング２の上面には、さらにガイドローラ６が設けられている。このガイドローラ６は、前記ケーシング２の上面に支持されたブーメラン型のエンドプレート６ａの一方の端部に、搬入された液状版感光性樹脂凸版３が前記ケーシング２の上面端縁に接触しないように、ローラ６ｂが回転可能に支持されている。エンドプレート６ａの他方の端部には、前記搬入された液状版感光性樹脂凸版３が略水平状態に移行するように、ローラ６ｃが回転可能に支持されている。
【００１９】
つまり、図示例の後露光装置１は、通例の後露光装置と同様に、傾斜ガイド２ａに沿って上方から吊り下げた状態で液槽４内に搬入され、同液槽４の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽４内の水に沈められた液状版感光性樹脂凸版３を、活性光照射ランプ５によって後露光処理する構成とされている。特に、傾斜ガイド２ａの上面には、液状版感光性樹脂凸版３との摩擦を軽減する凸部７が前記液状版感光性樹脂凸版３の搬入方向と略平行に複数本形成されていることを特徴とする（図１及び図３を参照）。繰り返し液状版感光性樹脂凸版３を搬入、搬出して傾斜ガイド２ａが水で濡れていても、新たに搬入する液状版感光性樹脂凸版３と凸部７との接触面積が少ないので、前記液状版感光性樹脂凸版３を搬入する際の摩擦抵抗が少なく、液状版感光性樹脂凸版３をスムーズに搬入することができる。したがって、液状版感光性樹脂凸版３が搬入途中に折れ曲がるなどのトラブルが少なく、液状版感光性樹脂凸版３の品質を向上させることができる。
【００２０】
しかも、後露光処理後に液状版感光性樹脂凸版３を搬出する際も摩擦抵抗が少ないので、容易に液状版感光性樹脂凸版３を搬出することができる。
【００２１】
また、隣接する凸部７と７の間に溝部が形成されるので、液状版感光性樹脂凸版３を搬出する際に、前記溝部から液状版感光性樹脂凸版３に付着した水を流し落とすことができ、後露光装置１の周辺が水浸しにならない。そのため、健全な作業環境を維持できる。
【００２２】
凸部７は断面略円形の線材８を、傾斜ガイド２ａから液槽４の底面まで沿うように湾曲させて成り、やはり液状版感光性樹脂凸版３を前記傾斜ガイド２ａに沿って滑らせ、液槽４内でスムーズに略水平状態に移行させることができるように、同凸部７の上端部は傾斜ガイド２ａの上端部まで達し、下端部は液槽４の底面において液状版感光性樹脂凸版３の版尻が略水平となる位置まで達している（図１〜図３を参照、請求項２記載の発明）。
【００２３】
線材８としては、例えば０．１〜２０ｍｍ、好ましくは０．５〜１０ｍｍ、更に好ましくは１〜７ｍｍの鉄筋を好適に用いることができ、この線材８は、液状版感光性樹脂凸版３が傾斜ガイド２ａに接触しないように設定された間隔を開けて溶接などの接合手段で傾斜ガイド２ａ及び液槽４の底面に設けられている。凸部７として線材（鉄筋）８を用いることで、簡単に傾斜ガイド２ａに凸部７を形成することができる。
【００２４】
なお、図示するように、液槽４の底面における傾斜ガイド２ａの下端部近傍に凹部９が形成されていることが好ましい（請求項３記載の発明）。凹部９を形成することにより、版が深く水中に潜りやすいので、版の水中への浸漬が進んで、最初に水中へ突入した版先が略水平状態になったとき水面上へ浮きにくく、活性ランプ照射等による後露光処理を効果的に行えるという効果を奏する。このような効果は、高速で版を沈める場合には特に顕著である。
【００２５】
また、図示は省略したが、ケーシング２の上面に略水平状態とされた液状版感光性樹脂凸版３の版尻を押さえる機構が設けられていることが好ましい（請求項４記載の発明）。前記の押さえ機構は、例えばケーシング２の両側面に駆動手段によって回転する回転軸が設けられており、この回転軸に液状版感光性樹脂凸版３を傷つけないようにゴムなどで構成された押さえ板が設けられている。そして、液状版感光性樹脂凸版３が略水平状態に搬入されると、センサが感知して、又は手動によって駆動手段を稼働させて回転軸を回転させ、押さえ板によって液状版感光性樹脂凸版３の版尻を押さえる構成とされている。後露光処理の際に、液槽４内で液状版感光性樹脂凸版３が不用意に動かないように固定できる。
【００２６】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。例えば、上記実施形態では、凸部を線材で形成したが、傾斜ガイドに一体的に形成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明の後露光装置は、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷などの凸版印刷用の液状版感光性樹脂凸版を製版する際に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の概略斜視図である。
【図２】本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の概略側面図である。
【図３】傾斜ガイド近傍を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ 後露光装置
２ ケーシング
２ａ 傾斜ガイド（ケーシングの背面）
２ｂ ケーシングの開口部
３ 液状版感光性樹脂凸版
４ 液槽
５ 活性光照射ランプ
６ ガイドローラ
７ 凸部
８ 線材
９ 凹部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷などの凸版印刷用の液状版感光性樹脂凸版を製版する際に用いられる後露光装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
液状版感光性樹脂凸版の製版において、洗浄処理が済んだ液状版感光性樹脂凸版を液槽内の液体に沈め、ランプによって後露光処理するのが一般的である（特許文献１）。
【０００３】
このような後露光処理を好適に実施できるように、本出願人は、傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、ランプによって後露光処理する構成の後露光装置を開発し販売している。
【０００４】
【特許文献１】特開平９−２３６９１０号公報（〔００３７〕の１行目〜３行目）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、後露光装置の傾斜ガイドに沿って、液状版感光性樹脂凸版の搬入、搬出を繰り返していると、液状版感光性樹脂凸版を液槽から搬出する際に前記傾斜ガイドの上面が液体で濡れる。そのため、新たな液状版感光性樹脂凸版を傾斜ガイドに沿って搬入する際に摩擦抵抗が増加して、スムーズに搬入することができない。
【０００６】
本発明の目的は、液状版感光性樹脂凸版をスムーズに搬入することができる後露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するための手段として、請求項１に記載した発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置は、
傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、後露光処理する後露光装置において、
傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする。
【０００８】
請求項２記載の発明は、請求項１に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
凸部は断面略円形の線材を湾曲させて成ることを特徴とする。
【０００９】
請求項３記載の発明は、請求項１又は請求項２に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
液槽の底面における傾斜ガイドの下端部近傍に凹部が形成されていることを特徴とする。
【００１０】
請求項４記載の発明は、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置において、
液槽の上面には、略水平状態の液状版感光性樹脂凸版の版尻を押さえる機構が設けられていること特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置は、繰り返し液状版感光性樹脂凸版を搬入、搬出して傾斜ガイドが水で濡れていても、新たに搬入する液状版感光性樹脂凸版と凸部との接触面積が少ないので、前記液状版感光性樹脂凸版を搬入する際の摩擦抵抗が少なく、スムーズに搬入することができる。したがって、液状版感光性樹脂凸版が搬入途中に折れ曲がるなどのトラブルが少なく、液状版感光性樹脂凸版の品質を向上させることができる。
【００１２】
しかも、後露光処理後に液状版感光性樹脂凸版を搬出する際も摩擦抵抗が少ないので、容易に液状版感光性樹脂凸版を搬出することができる。
【００１３】
また、隣接する凸部間に溝部が形成されるので、液状版感光性樹脂凸版を搬出する際に、前記溝部から液状版感光性樹脂凸版に付着した水を流し落とすことができ、後露光装置の周辺が水浸しとなることがない。そのため、健全な作業環境を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【００１５】
本実施形態の後露光装置１は、略箱型のケーシング２の上面における背面２ａに沿った位置に、吊り下げた状態の液状版感光性樹脂凸版３を搬入する開口部２ｂが形成されている。このケーシング２内に前記液状版感光性樹脂凸版３を略水平状態に沈めるのに十分な広さと、深さを有する液槽４が格納されている。液槽４内には、液状版感光性樹脂凸版３を沈めることができる深さまで例えば水が充填されており、適宜、入れ替えられる構成とされている（図１及び図２を参照）。なお、図１及び図２は、後露光装置の内部構造をわかりやすくするためにケーシング２の正面、側面及び上面を破線で示している。
【００１６】
前記ケーシング２の背面２ａは傾斜ガイドとして構成されており、液状版感光性樹脂凸版３を前記傾斜ガイド（以下、背面と同一の符号を付する。）２ａに沿って滑らせ、液槽４内でスムーズに略水平状態に移行させることができるように、円弧状に形成されている。この傾斜ガイド２ａの上端部は、液状版感光性樹脂凸版３を搬入しやすいようにケーシング２の開口部２ｂから突出しており、下端部は液槽４の底面まで連続している。
【００１７】
ケーシング２の上面には、液槽４内に沈められた液状版感光性樹脂凸版３の表面に活性光を照射するケミカルランプ及び殺菌灯ランプによる活性光照射ランプ５が設けられている（図２を参照）。
【００１８】
ケーシング２の上面には、さらにガイドローラ６が設けられている。このガイドローラ６は、前記ケーシング２の上面に支持されたブーメラン型のエンドプレート６ａの一方の端部に、搬入された液状版感光性樹脂凸版３が前記ケーシング２の上面端縁に接触しないように、ローラ６ｂが回転可能に支持されている。エンドプレート６ａの他方の端部には、前記搬入された液状版感光性樹脂凸版３が略水平状態に移行するように、ローラ６ｃが回転可能に支持されている。
【００１９】
つまり、図示例の後露光装置１は、通例の後露光装置と同様に、傾斜ガイド２ａに沿って上方から吊り下げた状態で液槽４内に搬入され、同液槽４の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽４内の水に沈められた液状版感光性樹脂凸版３を、活性光照射ランプ５によって後露光処理する構成とされている。特に、傾斜ガイド２ａの上面には、液状版感光性樹脂凸版３との摩擦を軽減する凸部７が前記液状版感光性樹脂凸版３の搬入方向と略平行に複数本形成されていることを特徴とする（図１及び図３を参照）。繰り返し液状版感光性樹脂凸版３を搬入、搬出して傾斜ガイド２ａが水で濡れていても、新たに搬入する液状版感光性樹脂凸版３と凸部７との接触面積が少ないので、前記液状版感光性樹脂凸版３を搬入する際の摩擦抵抗が少なく、液状版感光性樹脂凸版３をスムーズに搬入することができる。したがって、液状版感光性樹脂凸版３が搬入途中に折れ曲がるなどのトラブルが少なく、液状版感光性樹脂凸版３の品質を向上させることができる。
【００２０】
しかも、後露光処理後に液状版感光性樹脂凸版３を搬出する際も摩擦抵抗が少ないので、容易に液状版感光性樹脂凸版３を搬出することができる。
【００２１】
また、隣接する凸部７と７の間に溝部が形成されるので、液状版感光性樹脂凸版３を搬出する際に、前記溝部から液状版感光性樹脂凸版３に付着した水を流し落とすことができ、後露光装置１の周辺が水浸しにならない。そのため、健全な作業環境を維持できる。
【００２２】
凸部７は断面略円形の線材８を、傾斜ガイド２ａから液槽４の底面まで沿うように湾曲させて成り、やはり液状版感光性樹脂凸版３を前記傾斜ガイド２ａに沿って滑らせ、液槽４内でスムーズに略水平状態に移行させることができるように、同凸部７の上端部は傾斜ガイド２ａの上端部まで達し、下端部は液槽４の底面において液状版感光性樹脂凸版３の版尻が略水平となる位置まで達している（図１〜図３を参照、請求項２記載の発明）。
【００２３】
線材８としては、例えば０．１〜２０ｍｍ、好ましくは０．５〜１０ｍｍ、更に好ましくは１〜７ｍｍの鉄筋を好適に用いることができ、この線材８は、液状版感光性樹脂凸版３が傾斜ガイド２ａに接触しないように設定された間隔を開けて溶接などの接合手段で傾斜ガイド２ａ及び液槽４の底面に設けられている。凸部７として線材（鉄筋）８を用いることで、簡単に傾斜ガイド２ａに凸部７を形成することができる。
【００２４】
なお、図示するように、液槽４の底面における傾斜ガイド２ａの下端部近傍に凹部９が形成されていることが好ましい（請求項３記載の発明）。凹部９を形成することにより、版が深く水中に潜りやすいので、版の水中への浸漬が進んで、最初に水中へ突入した版先が略水平状態になったとき水面上へ浮きにくく、活性ランプ照射等による後露光処理を効果的に行えるという効果を奏する。このような効果は、高速で版を沈める場合には特に顕著である。
【００２５】
また、図示は省略したが、ケーシング２の上面に略水平状態とされた液状版感光性樹脂凸版３の版尻を押さえる機構が設けられていることが好ましい（請求項４記載の発明）。前記の押さえ機構は、例えばケーシング２の両側面に駆動手段によって回転する回転軸が設けられており、この回転軸に液状版感光性樹脂凸版３を傷つけないようにゴムなどで構成された押さえ板が設けられている。そして、液状版感光性樹脂凸版３が略水平状態に搬入されると、センサが感知して、又は手動によって駆動手段を稼働させて回転軸を回転させ、押さえ板によって液状版感光性樹脂凸版３の版尻を押さえる構成とされている。後露光処理の際に、液槽４内で液状版感光性樹脂凸版３が不用意に動かないように固定できる。
【００２６】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。例えば、上記実施形態では、凸部を線材で形成したが、傾斜ガイドに一体的に形成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明の後露光装置は、段ボール印刷、フィルム印刷、プレプリント印刷、ラベル印刷などの凸版印刷用の液状版感光性樹脂凸版を製版する際に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の概略斜視図である。
【図２】本発明に係る液状版感光性樹脂凸版の後露光装置の概略側面図である。
【図３】傾斜ガイド近傍を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ 後露光装置
２ ケーシング
２ａ 傾斜ガイド（ケーシングの背面）
２ｂ ケーシングの開口部
３ 液状版感光性樹脂凸版
４ 液槽
５ 活性光照射ランプ
６ ガイドローラ
７ 凸部
８ 線材
９ 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、後露光処理する後露光装置において、
傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする、液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項２】
凸部は断面略円形の線材を湾曲させて成ることを特徴とする、請求項１に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項３】
液槽の底面における傾斜ガイドの下端部近傍に凹部が形成されていることを特徴とする、請求項１又は請求項２に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項４】
液槽の上面には、略水平状態の液状版感光性樹脂凸版の版尻を押さえる機構が設けられていること特徴とする、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項１】
傾斜ガイドに沿って上方から吊り下げた状態で液槽内に搬入され、同液槽の底面を滑らせながら略水平状態とされて前記液槽内の液体に沈められた液状版感光性樹脂凸版を、後露光処理する後露光装置において、
傾斜ガイドの上面には、前記液状版感光性樹脂凸版の搬入方向と略平行に複数本の凸部が形成されていることを特徴とする、液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項２】
凸部は断面略円形の線材を湾曲させて成ることを特徴とする、請求項１に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項３】
液槽の底面における傾斜ガイドの下端部近傍に凹部が形成されていることを特徴とする、請求項１又は請求項２に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【請求項４】
液槽の上面には、略水平状態の液状版感光性樹脂凸版の版尻を押さえる機構が設けられていること特徴とする、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の液状版感光性樹脂凸版の後露光装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００８−３１０１２１（Ｐ２００８−３１０１２１Ａ）
【公開日】平成２０年１２月２５日（２００８．１２．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１５８６１５（Ｐ２００７−１５８６１５）
【出願日】平成１９年６月１５日（２００７．６．１５）
【出願人】（３０３０４６３１４）旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月２５日（２００８．１２．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月１５日（２００７．６．１５）
【出願人】（３０３０４６３１４）旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Ｆターム（参考）】
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