説明

液面レベル検出装置

【課題】 気泡を含んだ流体であってもセンサ感度を悪化させることなく液面レベルを計測することのできる液面レベル検出装置を提供する。
【解決手段】 気泡を含んだ流体が流入及び流出する容器20内に、容器20内の流体の液面高さを測定するフィルム状の測定面を有した液面レベルセンサ30を配置してなり、液面レベルセンサ30は容器20内で気泡を含んだ流体の流動方向に測定面31が略対向するように配置され、測定面31は流体の上流側面をカバー体32で覆われると共に、カバー体32は上下方向に峰部33aを有する隆起部33を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム状の測定面を有した液面レベルセンサにより流体の液面高さを測定する液面レベル検出装置に関し、特に流体が気泡を含んだものである場合に良好な感度を維持できる液面レベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から液面レベルを検出するために、静電容量型の液面レベルセンサが用いられている。静電容量型のセンサとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。液面レベルを検出するための静電容量型センサは、基準電極と検出電極の静電容量をそれぞれ計測することで液面高さを検出するが、基準電極は容器の底部近傍に配置されるために、基準電極に対する配線部分も静電容量を有してしまって誤差が生じる。基準電極に対する配線部分が静電容量を有しないようにするために、配線部分の周囲にシールドを設け、さらに全ての電極及びシールドを薄膜内に設けたフィルム型の液面レベルセンサが知られている。
【特許文献1】特開平8−329804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フィルム型の液面レベルセンサは、メタノールを用いた燃料電池(DMFC)において、水とメタノールを混合するミキシングタンク内の液面高さを監視するために用いられることがある。DMFCにおいては、発電セルから二酸化炭素の気泡を含んだ水がミキシングタンクに流入する。
【0004】
しかし、気泡を含んだ水がミキシングタンク内に流入すると、気泡が液面レベルセンサの表面に付着し、それによってセンサの感度を低下させたり、またはセンサからの出力電圧が安定しないといった問題点を有していた。特に、センサの感度を向上させるために、液面レベルセンサをミキシングタンク内で液面に対して傾斜して配置した場合には、下向きの面に気泡が付着すると共に成長して、さらにセンサの感度を悪化させる。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、気泡を含んだ流体であってもセンサ感度を悪化させることなく液面レベルを計測することのできる液面レベル検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る液面レベル検出装置は、気泡を含んだ流体が流入及び流出する容器内に、該容器内の流体の液面高さを測定するフィルム状の測定面を有した液面レベルセンサを配置してなる液面レベル検出装置であって、
上記液面レベルセンサは上記容器内で気泡を含んだ流体の流動方向に上記測定面が略対向するように配置され、上記測定面は流体の上流側面をカバー体で覆われると共に、該カバー体は上下方向に峰部を有する隆起部を備えてなることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る液面レベル検出装置は、上記カバー体の隆起部は上記峰部の左右をそれぞれ傾斜面で構成してなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る液面レベル検出装置は、上記カバー体の隆起部は上記峰部の左右をそれぞれ曲面で構成して略半円弧状に形成されてなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る液面レベル検出装置は、上記カバー体の隆起部は左右対称形状に形成されてなることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る液面レベル検出装置は、上記液面レベルセンサの測定面は上記容器内で流体の液面に対して傾斜状に配置されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る液面レベル検出装置によれば、液面レベルセンサの測定面は流体の上流側面をカバー体で覆われ、カバー体は上下方向に峰部を有する隆起部を備えてなることにより、流体に含まれる気泡が峰部を中心に左右に流れるので、液面レベルセンサに対する気泡の付着を防ぐことができ、気泡を含んだ流体であってもセンサ感度を悪化させることなく液面レベルを計測することができる。
【0012】
また、本発明に係る液面レベル検出装置によれば、カバー体の隆起部は峰部の左右をそれぞれ傾斜面で構成されるかまたはそれぞれ曲面で構成して略半円弧状に形成されていることにより、気泡を効率よく測定面の左右側方に流すことができる。
【0013】
さらに、本発明に係る液面レベル検出装置によれば、カバー体の隆起部は左右対称形状に形成されてなることにより、より効率よく気泡を測定面の左右側方に流すことができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係る液面レベル検出装置によれば、液面レベルセンサの測定面は容器内で流体の液面に対して傾斜状に配置されてなることにより、液面の変動に対するセンサの感度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態において液面レベル検出装置は、燃料電池の燃料を混合するミキシングタンクとして用いられている。図1には、本実施形態における液面レベル検出装置をミキシングタンクとした燃料電池の概要図を示している。この燃料電池は、メタノールを燃料とするDMFCであり、図1に示すように燃料タンク2からメタノールが供給され、ミキシングタンク3においてメタノールと水とが混合されて発電セル1に対して供給される。また、発電セル1に対しては空気ポンプ15によって空気が送り込まれ、発電に必要な酸素が供給される。
【0016】
発電セル1からは発電時にアノード側で生じた二酸化炭素の気泡を含む循環流体が排出され、ミキシングタンク3に流入する。また、カソード側で生じた水も、ミキシングタンク3に対して流入する。燃料タンク2とミキシングタンク3の間には、メタノールを送り出す供給ポンプ10が設けられ、ミキシングタンク3と発電セル1の間には、混合された燃料を送り出す液送ポンプ11が設けられる。
【0017】
発電セル1の手前には、燃料濃度センサ16が設けられていて、発電セル1に供給されるメタノールと水の混合燃料の濃度を監視している。供給ポンプ10及び液送ポンプ11は、燃料濃度センサ16で測定される混合燃料の濃度の情報に基づき、制御システム回路4によって動作を制御される。
【0018】
発電セル1からミキシングタンク3への循環流体の供給管には、気体バルブ13が設けられており、流体中の二酸化炭素を大気中に放出する。ただし、流体中の気泡は完全には除去できず、循環流体は二酸化炭素の気泡を含んだままミキシングタンク3に流入する。また、発電セル1からミキシングタンク3への水の供給管にも、気体バルブ14が設けられており、さらに液体バルブ12も設けられている。発電セル1の陰極端子は接地され、陽極端子はDCDCコンバータ5を介して外部に取り出される。また、その途中には補助電池6も設けられる。
【0019】
このような構成を有する本実施形態の燃料電池は、燃料タンク2からメタノールが、発電セル1から水が、それぞれミキシングタンク3に流入して混合され、発電セル1のアノード側に供給される。また、空気ポンプ15によって酸素が発電セル1のカソード側に供給される。発電セル1は、電解質膜を挟んでアノードとカソードが対向して構成され、水とメタノール、及び空気が供給されることで化学反応が生じ、それに伴いアノードとカソード間で電流を取り出すことができる。
【0020】
図2には、本実施形態における液面レベル検出装置の概要斜視図を示している。本実施形態における液面レベル検出装置は図1に示すミキシングタンク3であり、容器本体20内を流体が混合されながら流動するものである。容器本体20には、発電セル1からの気泡を含む循環流体が流入する循環流入管21と、発電セル1からの水が流入する水供給管22と、燃料タンク2からのメタノールが流入する燃料供給管23と、混合された流体を発電セル1に供給するための循環流出管24とを備えている。
【0021】
容器本体20内には、液面レベルセンサ30が配置されている。液面レベルセンサ30は、フィルム状の測定面31内に測定のための電極を埋め込んだもので、容器本体20の外部に設けられた測定回路34に接続されている。この液面レベルセンサ30は、容器本体20内において、循環流体の流動方向に略対向するように配置されると共に、流体の液面に対しては傾斜状となるように配置される。
【0022】
液面レベルセンサ30は、容器本体20内の流体の液面に対して傾斜状となるように配置されていることで、液面レベルの変動に対するセンサ感度を向上させることができる。その一方で、流入する循環流体に含まれる気泡が液面レベルセンサ30の流体上流側面に付着しやすくなっている。このために、液面レベルセンサ30の測定面31のうち流体上流側面をカバー体32で覆い、このカバー体32には隆起部33を設けることで、気泡が液面レベルセンサ30に付着することなく流動するようにすることができる。
【0023】
次に、液面レベルセンサ30の詳細について説明する。図3には、液面レベルセンサ30の測定面31の先端付近における構造概念図を示している。この図に示すように、フィルム状の測定面31の内部には、基準電極40と駆動電極41及び検出電極42が併設されており、基準電極40と駆動電極41の間、及び駆動電極41と検出電極42の間の各静電容量を計測することで、容器本体20内の液面レベルを測定するようにしている。また、基準電極40の先端部以外の部分については、シールド43が四周を囲むように配置されており、基準電極40は先端部以外の部分において静電容量を有しないようにされている。
【0024】
図4には、液面レベルセンサ30の正面図を示している。この図に示すように、フィルム状の測定面31は、その周縁部を樹脂からなるホルダ32によって保持されて、流体中で測定面31が屈曲しないようにされている。また、図5には、液面レベルセンサ30の背面図を示している。この図に示すように、ホルダ32の背面側には、測定面31の背面側を略覆うカバー部32aが形成されており、さらにカバー部32aには長手方向に沿って隆起部33が形成されている。
【0025】
隆起部33は、カバー部32aの上下方向に峰部33aを有しており、峰部33aを中心に左右に傾斜面を形成されてなるものである。また、峰部33aの上下部にも傾斜面が形成されている。峰部33aはカバー部32aの左右方向略中心線上に配置され、隆起部33はカバー部32aにおいて左右略対称形状とされている。
【0026】
容器本体20内において隆起部33は、気泡を含んだ流体の上流方向に対向するように、すなわち循環流入管21の流入口に対向するように配置される。図6には、容器本体20内における液面レベルセンサ30の斜視図を示している。この図に示すように、容器本体20内に流入した気泡を含む循環流体は、液面レベルセンサ30の背面側に形成された隆起部33によって左右に分かれて、流出側に流動する。
【0027】
液面レベルセンサ30の循環流体上流側面に隆起部33が形成されていることにより、気泡を左右に流れやすくすることができ、液面レベルセンサ30の測定面31に気泡が溜まらないようにすることができる。したがって、気泡を含む流体であっても感度を悪化させることのない液面レベル検出装置とすることができる。
【0028】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術思想の範囲内で様々に適用されうるものである。本実施形態では、隆起部33を2つの傾斜面で構成したが、これに限られず峰部33aから左右に曲面を形成して略半円弧状の形状としてもよい。また、隆起部33の代わりにカバー部32aを平面状に形成すると共に、カバー部32aに気泡が付着できないような微細な凹凸を有した表面処理を施すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態における液面レベル検出装置をミキシングタンクとした燃料電池の概要図である。
【図2】本実施形態における液面レベル検出装置の概要斜視図である。
【図3】液面レベルセンサの測定面の構造概念図である。
【図4】液面レベルセンサの正面図である。
【図5】液面レベルセンサの背面図である。
【図6】容器本体内における液面レベルセンサの斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 発電セル
2 燃料タンク
3 ミキシングタンク
4 制御システム回路
20 容器本体
21 循環流入管
22 水供給管
23 燃料供給管
24 循環流出管
30 液面レベルセンサ
31 測定面
32 ホルダ
33 隆起部
33a 峰部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を含んだ流体が流入及び流出する容器内に、該容器内の流体の液面高さを測定するフィルム状の測定面を有した液面レベルセンサを配置してなる液面レベル検出装置であって、
上記液面レベルセンサは上記容器内で気泡を含んだ流体の流動方向に上記測定面が略対向するように配置され、上記測定面は流体の上流側面をカバー体で覆われると共に、該カバー体は上下方向に峰部を有する隆起部を備えてなることを特徴とする液面レベル検出装置。
【請求項2】
上記カバー体の隆起部は上記峰部の左右をそれぞれ傾斜面で構成してなることを特徴とする請求項1記載の液面レベル検出装置。
【請求項3】
上記カバー体の隆起部は上記峰部の左右をそれぞれ曲面で構成して略半円弧状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の液面レベル検出装置。
【請求項4】
上記カバー体の隆起部は左右対称形状に形成されてなることを特徴とする請求項2または3記載の液面レベル検出装置。
【請求項5】
上記液面レベルセンサの測定面は上記容器内で流体の液面に対して傾斜状に配置されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液面レベル検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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