説明

涼風団扇

【課題】 扇ぐと涼しい風が発生する涼風団扇であって、従来のものよりも軽くて使いやすい涼風団扇を提供する。
【解決手段】 中空部を有する柄部と、該柄部先端から放射状に配された骨部および面材部を有する扇部とにより構成される団扇であって、前記柄部の内部には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを含み、該吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルに接して柄部の外部から柄部の前記先端に通ずる、通気性素材で形成された通気路が設けられ、前記扇部は、柄部先端と結合する要部から扇部の先端に抜ける通気構造を有していることを特徴とする涼風団扇である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、涼風団扇に関する。詳しくは水の蒸散による気化熱を利用する涼風団扇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の団扇は、使用者が柄を手に持って起風部の紙などのシート面を交差する方向に往復動させて、風を起こすだけであるため、気温が高い時には涼風がほとんど得られない。このような場合でも涼風が送れる団扇が考案されており、たとえば、(1)団扇の面材の内部に保冷体を入れたもの(特許文献1〜3)、(2)団扇の柄の先端に冷却材容器を設けその中に冷却材を入れたもの(特許文献4)、(3)柄を空洞にし、その中に冷却液を入れ面材の表面で気化させるもの(特許文献5)、(4)柄の中に揮発性ガスを入れ柄の外部からボンベなどで噴出させるもの(特許文献6)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−91421号公報
【特許文献2】登録実用第3057386号公報
【特許文献3】特開2003−250617号公報
【特許文献4】実開平6−48416号公報
【特許文献5】実開平5−43914号公報
【特許文献6】登録実用第3060359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の(1)、(2)の団扇は保冷体として氷を用いるので、面倒であったり、手で扇ぐには重すぎるという問題がある。(3)の団扇は、柄の部分に液体が入るので重く扇ぎにくく、しかも違和感を感じたりするという問題がある。(4)の団扇はボンベなどを使用するので、柄の部分がやはり重くなり、揮発性ガスを吸入するので安全性や使用性にも問題がある。これらの団扇より軽くて、使いやすい涼風団扇が求められている。
本発明は、上記提案の涼風団扇よりも軽くて使いやすい涼風団扇を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、団扇の柄の部分に吸水性樹脂の粉末の水系ゲルを入れその間に空気を通すことにより、団扇を扇いだときに涼風が生じることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、中空部を有する柄部と、該柄部先端から放射状に配された骨部および面材部を有する扇部とにより構成される団扇であって、
前記柄部の内部には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを含み、該吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルに接して柄部の外部から柄部の前記先端に通ずる、通気性素材で形成された通気路が設けられ、
前記扇部は、柄部先端と結合する要部から扇部の先端に抜ける通気構造を有していることを特徴とする涼風団扇である。
【0006】
さらに本発明は、吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルが、通気性袋に入ったものであるか、シートの中に入ったものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記柄部を水に浸し吸水性樹脂の粉末を含水ゲルとした後、団扇を扇ぐ涼風団扇の使用方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、団扇を扇げば涼風が発生する。団扇を扇ぐと柄部を支点にした扇部の先端の回転による遠心力と、団扇の先端から外に向かって空気が流れる吸引力によって、柄部の外部から空気が入り、その空気は柄部の先端から扇部の中を通り、扇部の先端から出ていく。その際に流れる空気が、吸水性樹脂の粉末の含水ゲルに接し含水ゲルの水分を蒸発させる。水分が蒸発する際に気化熱を奪うので含水ゲルの温度は下がっていき、空気がさらに流れると含水ゲルで冷やされた空気および温度が下がった含水ゲルの湿気が、団扇の中を流れ扇部の先端から涼風となって出ていく。このように氷を使わずとも涼風を発生させることができる。また、単に柄部に水のみを入れた場合に比較して空気との接触面積が大きくなるので、涼風効果を大きくすることができる。
【0008】
また、吸水性樹脂の粉末が含水したゲルは、粉末が空気を噛みこんだままゲルとなるので、同体積の水の重さよりも軽くなる。したがって、本発明の涼風団扇は同じ形であれば従来の水を用いる涼風団扇よりも軽くなり、使いやすい。
また、柄部を水に浸すだけで使用できるので、簡易に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における柄部の構造の例の断面図である。
【図2】本発明における扇部の構造の例の斜視図である。
【図3】本発明における涼風団扇の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態につき、説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0011】
本発明の涼風団扇は、中空部を有する柄部と、該柄部先端から放射状に配された骨部と面材部を有する扇部とにより構成される団扇であって、柄部の内部には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを含み、該吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルに接して柄部の外部から柄部の前記先端に通ずる、通気性素材で形成された通気路が設けられており、扇部は柄部先端と結合する要部から扇部の先端に抜ける通気構造を有している。
【0012】
柄部は中空部を有し、先端部とは別に少なくとも一つの外部と通じ、空気が流入するための穴を有し、通気路を経由して柄部先端に通じるように構成される。穴は少なくとも一つであり、穴の大きさも特に限定はなく、扇部の先端から出ていく涼風の冷たさに応じて、穴の数を増やしたり、穴の大きさを変えることができる。通り抜ける空気の量が多い程、気化熱を多く奪い、吸水性樹脂の粉末の含水ゲルの温度を下げることができ、涼風の温度が下がる。
【0013】
柄部の穴の位置は限定はなく、空気が含水ゲルに接して抜ければ限定はないが、より多く含水ゲルに接するためには、穴の位置は柄部の底部付近が好ましく、底部がより好ましい。ここで底部とは柄部先端とは反対側をいう。
【0014】
柄部の形状は手で握れれば特に限定はなく、直方体状、円柱状、偏平体状などが挙げられるが、円柱状が握りやすくて好ましい。柄部先端は扇部の要部と連結する部分であり、空気の通路であり中空である。また、扇部と連結するために柄部本体部分よりやや細めになっているのが好ましい。
【0015】
通気路は前記穴から柄部先端に通じる空気の通路である。柄部の内部の通気路が長い程含水ゲルと接する面積が多くなり、含水ゲルの温度をより下げて涼風を送ることができるので好ましい。通気路は、穴から先端に向けて繋がる直線状、曲線状または螺旋状などの形状であるが、出ていく涼風の温度と経済的な観点から選択されるのが好ましい。
【0016】
後記する吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルは、通気路に接するようにして柄の内部に入れられる。粉末のまま入れてもよいし、吸水シートに加工して入れてもよい。吸水シートを丸めて中空部に差し込めば、含水ゲルとなったときでも隙間があり、これが空気の通気路となることができ、最初に通気路を形成せずともよい場合があり、このような通気路も同じ機能を有するので、本願の通気路に含めるものとする。
通気路の太さは限界がないが、空気が含水ゲルと接して水を蒸発させることができればよい。
【0017】
さらに柄部には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを入れるための開口部と入れた後閉める蓋が設けられるが、中の吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルが使用中外に出なければよい。また、開口部は通気路の外部に通じる穴であってもよく、この場合には開口部は空気の流入を阻害しなければ限定はない。たとえば、柄部の底に開口部を設け、そこから吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを入れたのち、蓋を閉めるが、空気の流入を妨げないように、底部の開口部は網などの通気性が大きくなるような構成が好ましい。
【0018】
柄部は硬質のプラスチック、金属などで形成される。熱伝導性の大きい金属で形成されると、手で柄部を握ったときに手の温度が含水ゲルに伝わり含水ゲルの温度が上がるので、熱伝導性の低いプラスチックやカーボンファイバーなど、またはその他の通常使用される硬質の断熱材で構成されるのが好ましい。
通気路を形成する素材は通気性素材であれば特に限定はないが、布、紙、通気性フィルム、通気性プラスチックなどが使用できる。通気性も特に限定はないが、フラジール法による通気度が0.1cm/cm・s以上であるのが好ましく、10cm/cm・s以上であるのがより好ましい。また、200cm/cm・s以下であるのが好ましい。0.1cm/cm・s以上であると本発明の涼風効果が認められる。
【0019】
柄部の構造の例を図1A〜Eに記載するが、これらに限定されない。図1A〜Eは、柄部先端、底部を含んで中心を通る平面で切断した断面図(1)、およびその断面図(1)においてX−Yを含み紙面に垂直な平面で柄部を切断した断面図(2)を示す。図1Aは中心を通る直線状の通気路1の外側を吸水性樹脂の粉末の含水ゲル2を入れてある。通気路の穴3は底にある。図1Bは、通気路1は柄部の周囲枠のすぐ内側にあり、吸水性樹脂の粉末の含水ゲル2は柄部の中心部を占める。通気路の穴3は柄部の底部付近の両側2個所にある。図1Cは、中空の柄部に吸水性樹脂の粉末が入った吸水シート4を捲いて詰めてあり、巻かれた吸水シート4の中央部および吸水シート4と柄部の枠との隙間が通気路1となっている。通気路1の穴3は底部全面となっており、吸水シートを入れる開口部の役目も果たす。図1Dは、螺旋状の通気路1と柄部の枠の間を含水ゲル2が埋めている。通気路の穴3は底部にある。図1Eは、柄部中心を直線状に通る通気路1の側面から枝状に分岐した通気路1があり、それぞれの通気路と柄部との交点が外気が入る穴3となっている。吸水性樹脂の粉末の含水ゲル2はそれらの間にある。
【0020】
柄部の中には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルが入れられる。含水ゲルは吸水性樹脂の粉末に水を加えてゲル化したものである。吸水性樹脂は、天然系でも合成系でも特に限定はないが、安価で、安全性、耐久性、吸水倍率や吸水速度などの吸水特性に優れ、かつ、腐敗の心配の無いものが好ましい。
このようなものとして特に合成系の吸水性樹脂が挙げられる。たとえば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、デンプン−アクリル酸グラフト重合体の中和物、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、変性ポリエチレンオキサイド架橋体、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩共重合架橋体、(メタ)アクリロイルアルカンスルホン酸塩共重合架橋体、架橋カルボキシメチルセルロース塩、カチオン性モノマーの架橋重合体などが挙げられる。これらのうち、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、および、デンプン−アクリル酸グラフト重合体の中和物が、吸水膨潤特性、保水性、安全性や経済性などが特に良好であるため好ましい。
【0021】
これらの吸水性樹脂は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記吸水性樹脂は粉末状であるが、粉末状とすることにより含水ゲルを作成したとき、粉末が吸水して粉末単位で膨潤してゲルとなるので、厳密にはゲル同士の間に隙間があるとともに、1個の粉末粒子の中にも空気を噛みこんでいるので、同体積の水に比較して比重が小さくなり、団扇が軽くなり使いやすい。また、ゲル粒子間に隙間があるので、蒸発能力が大きく、同体積の水に比較して蒸発面積が大きくなり、気化熱によって、含水ゲルおよびそれに接する空気の温度低下が大きくなる。
【0022】
粉末粒子の平均粒子径についても特に限定はないが、質量平均粒子径で好ましくは50〜850μmであり、さらに好ましくは60〜400μmである。質量平均粒子径は、たとえば、篩振とう法で測定できる。
【0023】
上記吸水性樹脂の吸水倍率は重量で100〜1,000倍であるのが好ましい。吸水倍率は下記の方法で測定できる。
<吸水性樹脂の吸水倍率の測定法>
ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;Xg)を入れ、これを袋ごと過剰の水に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量(Yg)を測定して下式より吸水倍率を求めた。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Zg)をブランクとして差し引いた。]
吸水倍率=(Y−Z)/X
【0024】
また、吸水性樹脂の吸水速度は、好ましくは5〜200秒であり、より好ましくは5〜100秒である。吸水速度が5秒以上であると、空気中の湿度の影響で吸水性樹脂同士のブロッキングなどが生じにくくなり、使う前に「ままこ」がないので柄部の中空部に入れやすい。吸水速度が200秒以下であると、含水した時の吸水速度が十分に速く、また水の蒸散速度も速いので涼風効果が大きい。
【0025】
吸水性樹脂の吸水速度は下記の方法で測定できる。
<吸水性樹脂の吸水速度の測定法>
1.100mLのガラスビーカーに水道水を50mL入れ、マグネットスターラー〔直径(中央部8mm、両端7mm)、長さ30mmのフッ素樹脂コーティングされたもの〕を用いて600rpmで攪拌する。
2.試料2.00試験サンプルを渦中に一度に投入し、投入した時から渦が消えて液面が水平になった時点までの時間(秒)を測定し、吸水速度とする。
【0026】
上記の吸水性樹脂として、ポリアクリル酸系吸水性樹脂を用いる場合は、低分子の水可溶性成分たとえばアクリル酸のオリゴマーなどの低分子などは少ない方が好ましい。これらの水可溶性成分は、含水ゲルとしたとき手で触ったときにヌメリ感を与え感触がよくない。吸水性樹脂中の水可溶性成分が100ppm以下のものが触った時にヌメリ感がないので好ましい。水可溶性成分の測定法は特開2005−445公報などに記載された重量測定法や電滴法などの方法で測定できる。
【0027】
柄部の中空部には上記の吸水性樹脂の粉末をそのまま入れてもよいし、通気性の袋に入れたものを入れてもよいし、吸水性樹脂の粉末を含む吸水シートにしたものを入れてもよい。通気性袋としては、吸水性樹脂の粉末を漏らさずに中にある吸水性樹脂を吸水膨潤するものなら限定はなく、ネッククーラーとして用いられる通気性袋と同じ材質が適用できる。吸水シートとしては、上記の吸水性樹脂の粉末を含む公知のシートが使用でき、特に限定はない。また、上記のように吸水性樹脂の粉末として入れてもよいし、入れる前に含水ゲルとした後入れてもよい。含水ゲルは上記の吸水性樹脂の粉末に水を加えるだけで容易に形成される。したがって、中空部に吸水性樹脂の粉末を入れたものは、後で柄部の開口部から水を添加したり、柄部を水に浸漬したりすれば吸水性樹脂の粉末は含水ゲルとなる。柄部に吸水性樹脂の粉末または吸水シートを入れた後、含水ゲルとするのが使用上好ましい。
【0028】
通気性袋に入ったものや吸水シートも同様にすれば含水ゲルを含んだものになる。中空部に入れる吸水性樹脂の粉末の量は、吸水性樹脂の吸水倍率や中空部の大きさによって決めればよい。また、含水ゲルの場合は、吸水性樹脂の吸水倍率によっても異なるが、加える水の量は好ましくは吸水性樹脂の粉末の量に対して10〜500倍である。含水ゲルは柄部の中空部に一杯にいれるのが涼風効果が大きく好ましい。
【0029】
扇部は、骨部と面材部から構成されており、骨部は扇部の要部から先端に向けた複数の細長い棒ないし筒(以下単に骨という)であり、面材部は骨部の片面ないし両面から扇部の全面を覆う薄いシートである。扇部は、柄部先端と結合する要部から扇部の先端に抜ける通気構造を有している。柄部の外部から入った空気は、吸水性樹脂の粉末の含水ゲルに接して冷気となり扇部の先端から抜けて涼風となる。この通気構造の例としては、複数の骨をパイプ状に形成しパイプの先端から冷気が抜ける構造か、扇部の周囲先端をパイプ状の輪で囲み、そのパイプに小さい孔を多く形成させ、その孔から冷気が発散できる構造があげられるが、これらに限定されない。これらの骨は偏平状に薄く形成すると団扇として都合がよい。骨を形成する材料としては扇部の形状を保持できれば硬質軟質のいずれの材料であってよいが軽いものが好ましい。このようなものとしては硬質プラスチックが好ましい。
【0030】
面材部は、骨部の片面または両面に面材を貼ることによって形成される。両面に面材を貼るときに二つの面の間を開けて空洞を形成し、柄部先端から空気が抜けるように構成してもよい。二つの面材の間隔が0.1〜10mmであると、空気が抜けやすくなり好ましい。また、二つの面材を貼るときにできる骨材の傍の空間が、先端部から扇部の先まで連続してできるように構成されていてもよい。
【0031】
面材は、紙、布、プラスチックフィルムなどで形成できるが、面方向に熱伝導率が高いと冷えた骨部の温度が面材に伝わり全体を冷やすので好ましく、たとえばカーボングラファイト層などが挙げられる。
【0032】
扇部と柄部は一体化していてもよく、別々にあって使用時に一体化して組み立てられてもよい。後者の場合、扇部と柄部の固定方法は限定がなく、隙間がないように嵌め込んだ後固定されるのが好ましい。また、扇部は固定されていてもよいし、折り畳み式にしてもよい。扇部が折り畳み式であると扇子形態となる。
【0033】
扇部の構造の例の斜視図を図2A〜Cに示したが、これらに限定されない。図2Aは、扇部の骨5がパイプ状となっており、柄部の先端から流れる冷気がパイプの先端の孔6から出る構造となっている。二枚の面材7はぴったり重なり合っている。図2Bは、扇部の周囲先端をパイプ状の枠8で縁どりをしており、パイプに多数の孔6が開けられており、柄部の先端から流れる空気はこれらの孔6から出る構造となっている。図2Cは、二つの面材7が骨5を挟み、二枚の面材の間に空洞9ができている。この空洞を通って空気が流れる構造となっている。
【0034】
図2A〜Cの下側に各扇部の先端からみたときの側面図を示した。図2Aでは、二枚の面材7がぴったりと合わさり、長さ方向に垂直な断面が偏平状である骨5が空洞となっている。図2Bでは、扇部の先端のパイプ状の枠8に細い孔6が多数あけられている。図2Cでは、骨5に貼られた二枚の面材7の間が空洞9となっている。
これらの扇部は扇部の要から先端まで空洞を有しており、柄部から入る空気が空洞を通り扇部の先端から抜け涼風となる。
【0035】
図3に本発明の完成された涼風団扇の例を斜視図で示した。図3Aは、扇部と柄部が一体化した涼風団扇の例であり、図3Bは扇部と柄部が別々に存在し、使用時に組み立てられる涼風団扇の例であり、扇部は扇子形態である。いずれも図2Aで示した中空の骨で形成された団扇の例である。
図3Aは、説明するまでもなく、扇部10と柄部11とが一体化している。図3Bにおいて、(1)は使用していない状態を示し、扇部10と柄部11は分離されている。扇部10は閉じられており、コンパクトに持ち運びできる。(2)は使用時の状態を示し、扇部10は扇子状に開かれており、扇部10の要12の部分が柄部11の先端部と結合して一つの完成された扇子状団扇となっている。
【0036】
本発明の涼風団扇の使用方法としては、柄部の中の吸水性樹脂の粉末が含水ゲルとなっていればよいが、通気性袋に入った吸水性樹脂の粉末や吸水シートを柄部に入れた後、柄部を水に浸して含水ゲルとし、団扇を扇ぐ使用方法が、使いやすくて好ましい。扇いでも涼風が出なくなった場合には、含水ゲルの水分が少なくなっているので、さらに柄部を水に浸漬した後、扇げば涼風が出る。これを繰り返せば何回でも使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 通気路
2 含水ゲル
3 穴
4 吸水シート
5 骨
6 孔
7 面材
8 枠
9 空洞
10 扇部
11 柄部
12 要


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する柄部と、該柄部先端から放射状に配された骨部および面材部を有する扇部とにより構成される団扇であって、
前記柄部の内部には吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルを含み、該吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルに接して柄部の外部から柄部の前記先端に通ずる、通気性素材で形成された通気路が設けられ、
前記扇部は、柄部先端と結合する要部から扇部の先端に抜ける通気構造を有していることを特徴とする涼風団扇。
【請求項2】
吸水性樹脂の粉末またはその含水ゲルが、通気性袋に入っているか、シートに入っていることを特徴とする請求項1記載の涼風団扇。
【請求項3】
前記柄部を水に浸し吸水性樹脂の粉末を含水ゲルとした後、団扇を扇ぐ請求項1または2記載の涼風団扇の使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−235816(P2012−235816A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104920(P2011−104920)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(507277103)株式会社アイ・イー・ジェー (32)
【Fターム(参考)】