説明

深海掘削用液体

【課題】粘度と揮発性との間で最適な両立を実現した(最適なバランスを取った)掘削用液体、該掘削用液体が配合された掘削用泥水、および該掘削用泥水の使用を提供する。
【解決手段】本発明の掘削用液体は、蒸留温度200〜350℃の炭化水素系留分に由来する掘削用液体であり、ナフテン系炭化水素化合物の含有量が、留分の重量に対して40%未満、好ましくは35%未満であり、40℃での粘度が2.5mm/s以下であり、100℃での蒸気圧が10mbar(1KPa)以下である。好ましくは、本発明の掘削用液体は、流動点が−20℃未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深海掘削作業(深海での掘削作業)、すなわち、温度条件が極めて困難な深さの掘削作業に特に適した掘削用液体に関する。本発明にかかる掘削用液体により、海洋において、坑井の入口と底部との温度勾配が200℃に達し得る(例えば、坑井の入口の温度が極域温度近辺で、坑井の底部付近の温度が+160℃を超える場合がある)5,500mまでの極めて深い深さを掘削することができる。本発明は、さらに、このような掘削用液体を含む掘削用泥水、および該掘削用泥水の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削用泥水組成物中で掘削用液体が占める量は30〜95重量%である。掘削用泥水は、陸上掘削作業または海洋掘削作業において重要な役割を果たしており、掘削器具(すなわち、ロックビット)を潤滑してその摩耗を抑制したり、掘削中に生じたカッティングス(堀くず)を処理するために地上に上げたり、当該泥水の循環の停止中にこれらのカッティングスを懸濁状態で維持したり、地層の圧力を維持して漏れおよび/または壁の崩壊を防止したりする。
【0003】
一般的に、掘削用泥水は坑井の地上付近または水上付近で圧送可能に貯蔵されている。
【0004】
掘削用泥水は、通過する地層の性状、坑井の深さ、地形、圧力条件、温度条件、および坑井のその他の特性に応じた、極めて複雑な処方物である。
【0005】
掘削用泥水には主に2つのカテゴリー:水系泥水と油系泥水がある。
【0006】
水系泥水(WBM)では、掘削用液体は水であり、ローテク用途や、陸上掘削作業(陸上での掘削作業)または極めて浅い深さ(数メートル)の海洋掘削作業専用である。
【0007】
油系泥水(OBM)に配合される掘削用液体は、上市されている種々の化合物から選択される炭化水素系流体である。
【0008】
これらの掘削用液体は主に3つのカテゴリーに分けられる:
【0009】
グループI:モノ芳香族および/またはポリ芳香族化合物(すなわち、軽油および一般的な鉱油)を5〜30%含む、原油の精製によって得られた高芳香族分の掘削用液体;
【0010】
グループII:モノ芳香族および/またはポリ芳香族化合物を0.5〜5%含む、特殊な鉱油または低度に水素化処理された鉱油(LTMO(低毒性鉱油)と称されることがある)などの、原油の精製に由来する中程度の芳香族分を有する掘削用液体;および
【0011】
グループIII:ポリ芳香族化合物が10ppm未満であり、このポリ芳香族化合物も含めて総芳香族分が0.5%未満である、低芳香族分の掘削用液体。
グループIIIの掘削用液体は、化学合成によって得られるか、あるいは、高度に水素化処理、水素化分解、または水素化異性化された精製留分に由来する。グループIIIの掘削用液体は、フィッシャー=トロプシュ法によって得られた合成パラフィンで構成されたものでもよいし、オレフィン重合体(内部オレフィン(IO)、直鎖αオレフィン(LAO)、およびポリαオレフィン(PAO))で構成されたものでもよいし、エステルで構成されたものでもよい。グループIIIの掘削用液体は、有機系掘削用液体(OPF)の使用およびOPF汚染カッティングスの放出に関するOSPAR条約の決定2000/3に準拠すると、「合成」に相当する。
【0012】
上記グループIIIの掘削用液体は、その熱的安定性、耐酸化性、低芳香族分に起因する低毒性、低刺激性、および環境配慮特性だけでなく、高い引火点および低揮発性に由来した安全性の要件を満たしていることから、業者に好まれている。
【0013】
事実、回収後の泥水用の振動スクリーン周辺や、泥水を貯蔵・処理する場所近辺で、周辺空気に浮遊した掘削用液体の炭化水素蒸気が高濃度に達し得る。そのため、掘削作業の作業員は、皮膚接触または吸入により、このような液体を含む泥水と接触する機会が多い。そのような掘削作業従事者は、450mg/mを超える濃度の炭化水素気化物に暴露され得る。ノルウェー国では、2003年に行政機関(ノルウェー労働局)が掘削井周辺の炭化水素蒸気の職業暴露上限(OEL)を50mg/mに設定した。50〜100mg/mになると、肺がんや肺線維症のリスクが大幅に上昇する。
【0014】
また、掘削用液体の炭化水素性状および組成に依存する固有の揮発性だけでなく、坑井出口付近での泥水の温度や泥水の循環速度も、作業場での蒸気の量、すなわち、作業員の暴露レベルに影響する。
【0015】
したがって、作業員の健康に対する影響や作業員の安全性を管理するには、掘削用液体の揮発レベルを把握することが重要となる。しかし、揮発性は定量化が難しく、特に、低揮発性の炭化水素系液体の揮発性を定量化することは困難である。
【0016】
しかしながら、基準としての揮発性の重要性は、泥水が地上または海上に戻ってきた時に限定される。まず何よりも、泥水には、坑井の底部でロックビットが急速に摩耗したりつっかえたりしないようにするための特性が全て備わっていなければならない。
【0017】
少なくとも1種の掘削用液体を60〜95重量%含む油系泥水の場合、その主なレオロジー特性、特に、応力下での粘度特性は、油系泥水に配合された掘削用液体のレオロジー特性に実質的に依存する。本明細書において、−20℃ないし−10℃での良好な低温レオロジー特性とは、その他の特性を維持しながらも、当該温度域全体にわたって良好な粘度を達成することのできる特性のことを指す。
【0018】
温度が0℃未満に達する場合、特に、−10℃未満に達する場合、優れた低温粘度特性を示す軽質炭化水素化合物の使用がしばしば好まれる。しかしながら、このような炭化水素化合物は高揮発性なので、泥水の温度が60℃超に達するウェルヘッド(坑口装置)にまで上昇した際に、ユーザの健康・安全性リスクを高めるという欠点がある。また、大深度掘削作業の場合には、掘削時間を短縮する目的で、主にドリルパイプ(堀管)の摩擦によるエネルギー損失を減少させるために、例えばISO 3104規格またはASTM D445規格に準拠した40℃での動粘度が2.5mm/s未満の、超低粘度の掘削用液体が望まれる。
【0019】
掘削用液体を選択する際には、ISO 3104規格(またはASTM D445規格)に準拠して20℃での動粘度(Kv20℃)および40℃での動粘度(Kv40℃)を測定するのが一般的である。しかし、掘削用液体のレオロジー挙動は、当該掘削用液体が曝され得るこれらの温度で計測した関数で十分に表すことができない。むしろ、ISO 3014規格に準拠した連続的な測定により、−20〜+100℃の範囲での動粘度の変化に相当する、掘削用液体のレオロジー曲線を作成するのが好ましい。
【0020】
掘削用液体の揮発性を比較する際、ASTM D93規格に準拠して測定される引火点に基づいて掘削用液体を区別する方法も使用される。しかしながら、この測定は、実効的な揮発性、特に、掘削時の坑井出口付近での泥水の揮発性を評価するには十分でない。実効的な揮発性を定量化するための方法は、多数提案されている。欧州では、炭化水素系流体の揮発性を定量化するための7つの方法が、HSPA(炭化水素溶媒製造業者協会)によってリストアップ・容認されている。これらの方法は、1995年7月7日付のOECDガイドライン104に記載されている。しかしながら、いずれの方法も、それ単独では、10−4〜10+5Pa(0.1〜1,000mbar)の揮発性範囲の全体を測定することができない。また、20℃で0.005mbar未満の低い蒸気張力(すなわち、蒸気圧)を測定したい場合、上記のリストアップされた方法では、再現性の間隔(reproducibility interval)が広過ぎる。したがって、上記の方法では、製品間の区別、特に、超低揮発性の製品間の区別が容易でない。
【0021】
これらの方法をモデル化するために、米国および欧州は、掘削用液体の物理化学的特性および組成を考慮に入れた共通の揮発性計算ツールを開発した。現時点で、二種類のプロトコルが提案されている:1995年7月27日付のOECDガイドライン104に記載され、欧州でHSPA(炭化水素溶媒製造業者協会)によって推奨されている、欧州行政機関から入手可能なVPtool;米国でUSEPA(米国環境保護庁)によって推奨されているEPIWINNT。これらのモデルベースの計算ツールは、掘削用液体の物理化学的特性および組成から、当該掘削用液体の20℃での蒸気張力(すなわち、20℃での蒸気圧)を決定することができる。
【0022】
油田で使用される油系泥水液体の中でも、250〜380℃の蒸発温度を有する直留由来の芳香族ディーゼル留分は、ISO 3104規格に準拠して測定される40℃での粘度が約3mm/sであり、100℃での揮発性が10mbar(1KPa)である。しかし、この掘削用液体は、10%を超える高芳香族分を有するため毒性が高く、ほとんどの国々の環境規則に違反していることから、海洋掘削作業に適しておらず、次第に使用されなくなってきている。
【0023】
また、上市されている掘削用液体として、低度に水素化処理されたケロシン留分に由来し、粘度が1.7〜1.9mm/sで、揮発性が20〜25mbar(2〜2.5KPa)の掘削用液体が知られている。この掘削用液体は、40℃での粘度は良好なものの、揮発性が極めて高いので、多くの環境・安全性規則に反している。
【0024】
体系的でないものの、掘削業者は、n−パラフィン(ノルマルパラフィン)類を主成分とする炭化水素化合物を使用している。この掘削用液体は、粘度が1.5〜2mm/sであり、揮発性が11mbar(1.1KPa)超に維持され、流動点(ASTM D97規格)が0℃付近である。この掘削用液体は、低温域での粘度が極めて高い(ASTM D445規格に準拠した0℃での動粘度が12cSt超である)ので、深海掘削には適していない。
【0025】
特許文献1では、合成ガスのガストゥリキッド(GTL)変換によって生じる炭化水素系留分を水素化分解・水素化異性化することによって得られた留分を、掘削用液体として使用することが提案されている。当該文献では、C10〜C24のn−パラフィン類とイソパラフィン類との混合物で構成され、n−パラフィン類:イソパラフィン類の割合が0.5:1ないし9:1程度であり、前記混合物中のイソパラフィン類が当該イソパラフィン類の総重量に対してモノメチル化学種を50重量%超含む、無毒性かつ無公害で、生分解性を示す掘削用液体の使用が提案されている。しかし、このような留分は、40℃での粘度特性は許容可能なものの、当該文献に揮発性に関しての記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】国際公開第97/34963号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、粘度と揮発性との間で最適な両立を実現した(最適なバランスを取った)掘削用液体を提供することである。
【0028】
詳細には、本発明の目的は、40℃の粘度が常に2.5mm/s未満であることと、VPtoolプロトコルに準拠して算出される100℃での蒸気圧によって表される揮発性が常に10mbar(1KPa)未満であることとの間で最適な両立(最適なバランス)を達成可能な特性を備えた、掘削用液体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
以上を踏まえて、本発明の一主題は、蒸留温度200〜350℃の炭化水素系留分に由来し、ナフテン系炭化水素化合物の含有量が、前記留分の重量に対して40%未満、好ましくは35%未満であり、40℃での粘度が2.5mm/s以下であり、100℃での蒸気圧が10mbar(KPa)以下であり、かつ、好ましくは、ASTM D97規格に準拠した流動点が−20℃未満の掘削用液体である。好ましくは、この掘削用液体は、40℃での動粘度が2.3mm/s未満である。
【0030】
出願人は、蒸気圧の数値を求めるにあたって、VPToolツールと完全に相関する計算モデルを使用した。この計算モデルには、炭化水素系流体の0〜200℃での蒸気圧を、その物理化学的特性および組成から算出できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる化合物D1、D2およびD3の性能と従来の製品の性能との比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明にかかる掘削用液体は、粘度と蒸気張力とを良好に兼ねそろえているだけでなく、掘削用泥水に一般的に使用される添加剤に対して良好な溶媒特性を示し、さらには、流動点の低さに起因する良好な耐低温性、低芳香族分に起因する低毒性、高生分解性(OECD 306プロトコルに準拠した生分解性が60%を超える)、および良好な生態毒物学的特性(OSPAR規則を満足する)を備える。
【0033】
本発明にかかる掘削用液体は、原油の直留によって得られた留分を、水素化分解および/または水素化処理した炭化水素系留分、あるいは、水素化脱ろうした炭化水素系留分を含むものであってもよい。このような掘削用液体には、任意で、植物油のエステルが、10/90ないし90/10の濃度比で混合されていてもよい。
【0034】
「水素化処理」とは、脱硫および/または芳香族除去の処理を指し、その処理の程度は極めて高度(集中的)なものでもよい。
【0035】
好ましくは、前記掘削用液体は、芳香族分が500ppm未満であり、硫黄分が50ppm未満である。
【0036】
好ましくは、芳香族分は100ppm未満であり、硫黄分は10ppm未満である。
【0037】
前記掘削用液体は、高度に芳香族除去かつ脱硫され、ASTM D97規格に準拠して測定される流動点が−20℃未満であるジェット燃料およびケロシンで構成される炭化水素化合物の群に由来するものであってもよい。
【0038】
「ジェット燃料」とは、ASTM D86規格に準拠して測定される沸点が130〜210℃のガソリン留分と、ASTM D86規格に準拠して測定される沸点が180〜260℃のケロシン留分との混合物を指す。
【0039】
特には、本発明にかかる掘削用液体は、炭素数12〜24の炭化水素化合物の含有量が50重量%を超え、好ましくは、炭素数16〜22の炭化水素化合物の含有量が70%を超えるものであってもよい。
【0040】
前記掘削用液体は、イソパラフィン類の含有量が25重量%を超え、n−パラフィン類の含有量が45重量%未満であり、芳香族分が500ppm未満のものであってもよい。好ましくは、前記掘削用液体は、イソパラフィン類の含有量が25〜70重量%で、n−パラフィン類の含有量が5〜45重量%で、かつ、芳香族分が100ppm未満のものが選択される。典型的には、前記掘削用液体は、液体中のナフテン類の濃度が20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%である。
【0041】
前記掘削用液体は、単独で使用されてもよいし、混合物の最終的な特性が本発明の主題をなす粘度特性、算出される揮発性、および流動点を満足するものである場合には、従来の掘削用液体と混合してもよい。
【0042】
本発明の他の主題は、前記掘削用液体の、油ベースの掘削用泥水(掘削用油系泥水)および/または水ベースの掘削用泥水(掘削用水系泥水)を製造するための使用である。好ましくは、当該掘削用泥水は、前記掘削用液体の含有量が30%を超えている。また、当該掘削用液体は、泥水の用途に応じて、機能性添加剤と組み合わされる。前記掘削用泥水または前記掘削用液体に用いられる主な機能性添加剤の一つとして、実質的にバライトで構成された加重剤が挙げられる。併用可能な他の添加剤として、乳化剤、湿潤剤、増粘剤、脱水減少剤、グラベルフィルター形成用の粒子状添加剤、および流体圧による地層のフラクチャー(割れ目)の開きを維持するための支持剤、例えば、セロファン、スクレログルカン、キサンタンなどが挙げられる。
【0043】
本発明にかかる掘削用液体に由来する泥水の組成は、それが緩衝液として使用されるか、掘削用泥水として使用されるか、あるいは、地層のフラクチャリング用の液体として使用されるかによって変わる。
【0044】
好ましくは、前記掘削用泥水は、掘削用液体の含有量が30〜95%であり、当該掘削用泥水の機能性添加剤の含有量が5〜70%である。
【0045】
本発明の第三の主題は、前記掘削用泥水の使用であって、当該掘削用泥水は、本発明にかかる掘削用液体の含有量が30〜95%であり、2,000mを超える深さの海洋掘削での使用、好ましくは4,000mを超える深さの海洋掘削での使用、あるいは、2,000m超、好ましくは4,000m超の一般的な坑井(竪坑)、水平坑井、または傾斜坑井を掘削する際の使用である。
【0046】
この泥水は、緩衝液としても、掘削用泥水としても、あるいは、地層のフラクチャリング用の液体としても使用可能である。
【0047】
本発明を例示するための実施例を以下に示す。しかし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
この実施例では、本発明にかかる掘削用液体Diの特性と、一般的に使用される掘削用液体Tiの特性とを比較する。
【0049】
以下の表1に、これら各掘削用液体の技術的特性を挙げる。
【0050】
【表1】

【0051】
以下の表2に、本発明にかかる化合物の性能と従来の製品の性能との比較を示す。
【0052】
【表2】

【0053】
以上の結果を、図1のグラフを参照しながら比較する。最適な両立(バランス)とは、40℃でのKV40が2.5cSt未満でありながら、算出される100℃でのVp(蒸気圧)が10mbar未満のものと言える。なお、2.3Cst未満および10mbar未満の範囲の数値を示すものが好ましい。D1、D2およびD3は、従来の製品と比べて、低芳香族分でありながら、揮発性および粘度の点で最適な特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留温度200〜350℃の炭化水素系留分に由来する掘削用液体であって、
ナフテン系炭化水素化合物の含有量が、前記留分の重量に対して40%未満、好ましくは35%未満であり、
40℃での粘度が2.5mm/s以下であり、
100℃での蒸気圧が10mbar(1KPa)以下であり、かつ、
好ましくは、流動点が−20℃未満である、掘削用液体。
【請求項2】
請求項1において、40℃での動粘度が2.3mm/s未満であることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項3】
請求項1または2において、原油の直留によって得られた留分の、水素化分解および/または水素化処理に由来する炭化水素系留分、あるいは、水素化脱ろうに由来する炭化水素系留分を含み、任意で、植物油のエステルが混合されていることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、芳香族分が500ppm未満であり、硫黄分が50ppm未満であることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、高度に芳香族除去かつ脱硫され、ASTM D97規格に準拠して測定される流動点が−20℃未満であるジェット燃料およびケロシンで構成される炭化水素化合物の群に由来することを特徴とする、掘削用液体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項において、炭素数12〜24の炭化水素化合物の含有量が50重量%を超え、好ましくは、炭素数16〜22の炭化水素化合物の含有量が70%を超えることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、イソパラフィン類の含有量が25重量%を超え、n−パラフィン類の含有量が45重量%未満であり、芳香族分が500ppm未満であり、かつ、当該液体中のナフテン類の濃度が35重量%未満であることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項において、イソパラフィン類の含有量が25〜70%であり、n−パラフィン類の含有量が5〜45%であり、かつ、芳香族分が100ppm未満であることを特徴とする、掘削用液体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の掘削用液体と機能性添加剤とを含み、前記掘削用液体の含有量が30%を超えている、掘削用泥水。
【請求項10】
請求項9において、掘削用液体の含有量が30〜95%であり、機能性添加剤の含有量が5〜70%であり、
機能性添加剤が、加重剤、乳化剤、湿潤剤、増粘剤、脱水減少剤、グラベルフィルター形成用の粒子状添加剤、および流体圧による地層のフラクチャーの開きを維持するための支持剤、例えば、セロファン、スクレログルカン、キサンタンなど、で構成される群から選択されることを特徴とする、掘削用泥水。
【請求項11】
請求項9または10に記載の掘削用泥水の使用であって、
掘削するうえでの使用、特には海洋掘削での使用、好ましくは2,000mを超える深さの掘削での使用、より好ましくは4,000mを超える深さの掘削での使用、あるいは、2,000m超、より好ましくは4,000m超の竪坑井、水平坑井、または傾斜坑井を掘削するうえでの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−524142(P2012−524142A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505285(P2012−505285)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051625
【国際公開番号】WO2010/119413
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(505036674)トータル・ラフィナージュ・マーケティング (39)