説明

混合ガスを用いる減圧方法。

【課題】問題点は、混合ガス減圧方法を特定のシステム潜水時のみにだけ用いるのではなく、可搬性の確保、易操作性の確保はもとより、購入時の価格低廉化についても十分に留意し広く一般潜水作業時に用い易くし、減圧症の発生リスクを軽減することを目的とするものである。
また、潜水士が減圧停止する時、急な潮流の変化や付近を航行する他船の航跡波、海象の悪化、時間の経過に伴う疲労等が原因で潜降索から手や足が離れて落下したりしても、所定の減圧停止水深を維持する事を容易にする安価な対処方法を提供することである。
【解決手段】 以上の課題を解決するために、本発明は、小型可搬式の椢体及び付帯装置で構成された混合ガス供給装置と、減圧中の潜水士が受ける波浪や潮流等の影響による体力の消耗や落下を防ぐための停止装置を用いる減圧方法であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水士が減圧を必要とする潜水を行なった場合、減圧時に混合ガスを供給する装置を用いて減圧するための混合ガス減圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から実施されている潜水の減圧方法には、潜水作業時間と潜水作業水深を基に潜水業務用時間表より減圧停止時間と水深を算出し、空気を呼吸し行なっているものがある。
この方法では、潜水時間と潜水作業水深のみが重用視されており、潜水士自身の体調や作業の労作度合いについては、全く考慮されておらず、潜水時間と潜水水深から算出された減圧停止水深や時間を厳守していても、減圧症を発症するケースが多々報告されている。
【0003】
また、陸上や大型船や海上プラットホームのような特定のシステム潜水時には、潜水終了後直ちに、施設内に設置されている再圧室に入室し、再加圧し、減圧しながら酸素を吸引する方法があるが、再圧室のサイズが大きいため重量が重く、運搬することができず、圧力制御装置が複雑で装置を熟知した高度の技術を有する特定の人でなければ操作できずしかも極めて高価なため、一般的な潜水作業時には用いられておらず、何時でも、何処でも、誰にでも、簡単かつ安全に、しかも極めて安価な減圧方法を提供できないことが大きな欠点であった。
【0004】
また、潜水士が減圧停止する時には、減圧停止水深の目印が付けられた潜降索に手でつかまったり、潜降索を足に絡ませたりして身体を固定し所定の減圧停止水深を維持しながら算出された時間を過ごす方法をとっているが、急な潮流の変化や付近を航行する他船の航跡波、海象の悪化、時間の経過に伴う疲労等が原因で潜降索から手や足が離れて落下したりし、所定の減圧停止水深を維持する事が難しいにもかかわらず、体力の消耗や落下を防ぐための容易で安価な対処方法が確立されていない。
【0005】
【非特許文献1】「潜水士テキスト 厚生労働省安全衛生部労働衛生課編」、中央労働災害防止協会、平成14年8月30日第3刷発行、p.168〜p.177
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、混合ガス減圧方法を陸上や大型船や海上プラットホームのような特定のシステム潜水時のみにだけ用いるのではなく、可搬性の確保、易操作性の確保はもとより、購入時の価格低廉化についても十分に留意し広く一般潜水作業時に用い易くし、安全性を高め、減圧症の発生リスクを軽減することを目的とするものである。
【0007】
また、潜水士が減圧停止する時、急な潮流の変化や付近を航行する他船の航跡波、海象の悪化、時間の経過に伴う疲労等が原因で潜降索から手や足が離れて落下したりしても、所定の減圧停止水深を維持する事を容易にし、作業後の体力の消耗を軽減する安価な対処方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明は、小型可搬式の椢体及び付帯装置で構成された混合ガス供給装置と、減圧中の潜水士が受ける波浪や潮流等の影響による体力の消耗や落下を防ぐための停止装置を用いる減圧方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の混合ガス供給装置と停止装置を用いる減圧方法は、広く一般潜水作業時に、何処でも、誰にでも、簡単かつ安全に、しかも極めて安価に混合ガス減圧方法を利用せしめることを可能にする事で、一般的な空気減圧方法より減圧症の発症リスクを著しく軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図1に示した混合ガス減圧方法に用いる混合ガス供給装置は、潜水士へ減圧停止時まで送気されていた空気を遮断し、新たに混合ガスを送気することを目的として構成されたものであり、混合ガス供給源1、混合ガス供給用配管2、調整器3、及び切り替えバルブ4を備えている。
【0013】
混合ガス供給源1は、混合ガス(窒素酸素ガス)が充填されており、混合ガス供給用配管2を介して調整器3に供給され、調整器3内で混合ガスが潜水士が呼吸するに好ましい状態に清浄され、潜水士が減圧をする際に、切り替えバルブ4を介して潜水士に供給される。
【0014】
本発明において、混合ガス供給源1を高さ80cm、容量10l、重量12kgの酸素ボンベとし、調整器3は、高さ20cm、横幅30cm、奥行き20cm、総重量9kgとした。これにより従来の減圧に用いられてる高さ170cm、容量50l、重量60kgの酸素ボンベと比較してみるだけでも、可搬性や操作性が極めて容易となった。
【0015】
図2に示した混合ガス減圧方法に用いる停止装置は、潜水士が減圧停止する時、急な潮流の変化や付近を航行する他船の航跡波、海象の悪化、時間の経過に伴う疲労等が原因で潜降索から手や足が離れて落下したりしても、所定の減圧停止水深を維持する事を容易にすることを目的として構成されたものであり、支持索5、停止具6、固定具7を備えている。
【0016】
支持索5は、停止具6を支持するもので、素材・形状・強度は、潜水士が減圧停止時に停止具6につかまったり、立ったり、座ったりした際に停止具6を安定させることができることが好ましい。
【0017】
停止具6は、潜水士が減圧停止時につかまったり、立ったり、座ったりするもので、素材・形状・強度は、潜水士が減圧停止時につかまったり、立ったり、座ったりした際の衝撃に耐えうることができることが好ましい。
【0018】
固定具7は、潜水士が減圧停止時に停止具6につかまったり、立ったり、座ったりした際に急な潮流の変化や付近を航行する他船の航跡波、海象の悪化、時間の経過に伴う疲労等が原因で停止具6から離れても落下したりしないで、所定の減圧停止水深を維持する事を容易するためのもので、停止具6と潜水士を結束できるようになっており、潜水士が減圧停止時につかまったり、立ったり、座ったりした際に潜水士の減圧停止の妨げにならず、落下を予防し、減圧停止水深を容易に維持することを可能にするに好ましい素材・形状・強度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【0020】
【図1】本発明を適用した混合ガス供給装置の構成フロー図である。
【図2】本発明を適用した停止装置の側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 混合ガス供給源
2 混合ガス供給用配管
3 調整器
4 切替えバルブ
5 支持索
6 停止具
7 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型可搬式の椢体及び付帯装置で構成された混合ガス供給装置を用いることを特徴とする混合ガス減圧方法。
【請求項2】
減圧中の潜水士が受ける波浪や潮流等の影響による体力の消耗や落下を防ぐための停止装置を用いることを特徴とする混合ガス減圧方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−327558(P2006−327558A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178488(P2005−178488)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(300089932)有限会社アイアン (5)
【出願人】(301028901)株式会社鉄組潜水工業所 (6)