混合撹拌装置
【課題】より効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置を提供すること。
【解決手段】混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させた。
【解決手段】混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合撹拌装置に関するものであり、詳しくは、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)を混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、混合撹拌装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、撹拌槽内の液中に、回転駆動源に連結した回転軸に取り付けられる混合回転体を配設する混合撹拌装置が開示されている。そして、混合回転体は、上下2枚の円板を一組みとして重ね合わせ、下方の円板の中央に流入口を形成するとともに、互いに対向する前面に、前方開口する筒状の小室を多数配列させて形成し、上方の円板の小室と、下方の円板の小室とは互いの小室が対向する他の小室に連通するとともに、一方の小室の中心に他方の小室を形成する側壁の交差接続部位が位置する様に位置を違えて配列させている。
【0003】
このように構成して、回転駆動させる回転軸を介して撹拌槽内にて混合回転体を回転させることで、撹拌槽内に収容した複数種類の液体を下方の円板の中央に形成した流入口から流入させるとともに、上下2枚の円板に対向させて形成した小室間を遠心力により蛇行させながら混合回転体の放射線方向に流動させて、混合撹拌することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3930123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)をより効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置の開発が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、より効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る混合撹拌装置は、混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする。
【0008】
かかる混合撹拌装置では、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室内に、送入路を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸を介して回転側混合撹拌体を回転させることで発生する遠心力により、固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口から流体を導入する。そして、導入口から導入された流体は、両混合撹拌体間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケースから送出路を通して適宜送出される。
【0009】
複数種類の流体は、混合撹拌流路中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体の回転方向にのせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0010】
請求項2記載の発明に係る混合撹拌装置は、混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体を取り付けるとともに、混合撹拌ケースに回転側混合撹拌体を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体を対面状態に固定して、これら混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする。
【0011】
かかる混合撹拌装置では、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室内に、送入路を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸を介して回転側混合撹拌体を回転させることで発生する遠心力により、一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口から流体を導入する。そして、導入口から導入された流体は、対向配置した固定側混合撹拌体と、その間に介在して回転する回転側混合撹拌体との間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケースから送出路を通して適宜送出される。
【0012】
ここで、混合撹拌流路は、一方の固定側混合撹拌体と軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体との間に形成されるとともに、回転側混合撹拌体と他方の固定側混合撹拌体との間に形成されている。つまり、混合撹拌流路は、放射線方向に並列して一対が伸延するとともに、回転側混合撹拌体が有する多数の貫通孔を介して一対の混合撹拌流路が相互に連通している。
【0013】
そのため、複数種類の流体は、多数の貫通孔を介して連通している一対の混合撹拌流路中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体の回転方向に一対の混合撹拌流路中において二段階にせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向の二段階のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0014】
請求項3記載の発明に係る混合撹拌装置は、請求項1又は2記載の混合撹拌装置であって、対面状態に配設した前記回転側混合撹拌体と前記固定側混合撹拌体を一つの混合撹拌ユニットとして、混合撹拌ケース内に回転軸に沿わせて複数の混合撹拌ユニットを配設して、混合撹拌ユニット同士を直列的に流体接続したことを特徴とする。
【0015】
かかる混合撹拌装置では、複数種類の流体を直列的に流体接続された複数の混合撹拌ユニットにワンパスで流動させることで、堅実にかつ効率良く混合・撹拌することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明では、より効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置を提供することができる。そして、混合撹拌装置として幅広い用途に適用可能とすることができる。ここで、本発明に係る混合撹拌装置を適用可能な用途としては、例えば、窒素置換による処理水中の脱酸素処理(溶存酸素量の低減化処理)、農業用水等中の溶存酸素量の増大化処理、水溶性肥料等の溶解処理、汚水や廃液の浄化処理、有機不純物の腐敗防止処理、水生動物の飼育、水耕栽培がある。また、例えば、気体と液体を混合・撹拌する場合には、気体を殆どマイクロレベルないしはサブマイクロレベルに超微細化かつ均一化した気泡となして、適用可能な用途範囲の広い超微細気泡発生装置としても使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図2】第1実施形態としての混合撹拌装置の左側面説明図。
【図3】第1実施形態としての混合撹拌装置の右側面説明図。
【図4】回転側混合撹拌体の左側面説明図。
【図5】固定側混合撹拌体の右側面説明図。
【図6】両混合撹拌体の基本形態を示す側面説明図。
【図7】第1実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【図8】第2実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図9】他方の固定側混合撹拌体の右側面説明図。
【図10】第2実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【図11】第3実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図12】第3実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下の通りである。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示すAは第1本実施形態としての混合撹拌装置である。混合撹拌装置Aは、図1〜図3に示すように、複数種類の流体を混合撹拌する装置本体10と、装置本体10に駆動力を供給する駆動源としての電動機部であるモータ100と、モータ100からの駆動力を装置本体10に伝動する伝動機構200を備えている。
【0020】
装置本体10は、混合撹拌ケース20内に混合撹拌機能部30を設けて構成しており、混合撹拌ケース20には混合撹拌すべき複数種類の流体を加圧状態で送入(圧送)する送入路を内部に形成する送入管40を接続するとともに、混合撹拌された混合体を送出する送出路を内部に形成する送出管50を接続している。複数種類の流体の組み合わせとしては、例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体があり、これらを送入管40を通して混合撹拌ケース20内に送入して混合撹拌機能部30により混合・撹拌することで混合体となすことができる。
【0021】
混合撹拌ケース20は、左右方向に軸線を向けた円筒状のケース本体21の左側端面部に、取付ボルト24を介して略四角形板状の左側閉塞壁体22を閉塞状態に取り付ける一方、円筒状のケース本体21の右側端面部に、取付ボルト25を介して略四角形板状の右側閉塞壁体23を閉塞状態に取り付けて、内部に混合撹拌室26を形成している。左側閉塞壁体22の中央部には左側軸受け体27を設ける一方、右側閉塞壁体23の中央部には右側軸受け体28を設けて、両軸受け体27,28間に回転軸29を着脱自在に横架している。左側閉塞壁体22には送入管40の一端を接続して、送入管40を混合撹拌室26と連通させている。右側閉塞壁体23には送出管50の一端を接続して、送出管50を混合撹拌室26と連通させている。14,15はケース本体21の左右側下部に設けた支持脚部、16は左側閉塞壁体22の中央部に形成した左回転軸挿通孔、17は右側閉塞壁体23の中央部に形成した右回転軸挿通孔、18,19は混合撹拌室26内において左・右側軸受け体27,28と回転軸29との間に介設したメカニカルシール部である。
【0022】
混合撹拌機能部30は、混合撹拌ケース20内に横架した回転軸29に回転側混合撹拌体60を一体的に回転自在に取り付ける一方、混合撹拌ケース20に固定側混合撹拌体70を回転側混合撹拌体60と対面状態に固定して、一つの混合撹拌ユニット80を形成している。
【0023】
回転側混合撹拌体60は、図4に示すように、ケース本体21の内径よりも小径で一定肉厚の円板状に形成した回転側本体61の一側面において、中央部62と一定幅の外周部63を除いて、半径方向及び円周方向に側面視六角形の流路形成用凹部64を整然と密に形成してハニカム形状となしている。
【0024】
ここで、図1に示すように、回転側本体61の中央部62には回転軸挿通孔65を形成しており、回転軸挿通孔65の周面には回転軸29の周面に形成したスプライン凸条部29aと係合するスプライン凹条部65a(図4参照)を形成している。そして、回転軸29のスプライン凸条部29aに回転側混合撹拌体60のスプライン凹条部65aを係合させて取り付けることで、回転側混合撹拌体60を回転軸29に対してその軸線方向に摺動自在(着脱自在)かつ軸線廻りに一体的に回転自在となしている。
【0025】
固定側混合撹拌体70は、図5に示すように、上記したケース本体21の内径と略同形で、回転側混合撹拌体60の回転側本体61と略同一肉厚に形成した固定側本体71の中央部72に導入口76を上下方向に貫通させて開口し、固定側本体71の一側面において、一定幅の外周部73を除いて、半径方向及び円周方向に側面視六角形の流路形成用凹部74を整然と密に形成してハニカム形状となしている。なお、流路形成用凹部64,74の形状は側面視六角形に限られるものではなく、例えば、半円球凹状に形成することもできる。
【0026】
そして、回転側混合撹拌体60の外周部63と、固定側混合撹拌体70の外周部73との間に、外周縁の全周にわたって開口する導出口66を形成している。
【0027】
両混合撹拌体60,70に形成した流路形成用凹部64,74同士は、図6に示すように、基本形態として、位置ずれさせた状態で対面させている。すなわち、隣接する三つの流路形成用凹部64の中心部67を、対面する一つの流路形成用凹部74の中心部に位置させると共に、隣接する三つの流路形成用凹部74の中心部77を、対面する一つの流路形成用凹部64の中心部に位置させて、両流路形成用凹部64,74間にて、被撹拌物である複数種類の流体が、一つの流路形成用凹部64(74)から対面する二つの流路形成用凹部74(64)に分流(分散)し、また、二つの流路形成用凹部64(74)から対面する一つの流路形成用凹部74(64)に合流(集合)するように、蛇行しながら放射線方向に流動する混合撹拌流路79(図7参照)を形成している。
【0028】
かかる基本形態を有する両混合撹拌体60,70において、図7に示すように、回転側混合撹拌体60は固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを保った状態で回転軸29と一体に回転方向X(図4の側面視で反時計廻り)に回転される。
【0029】
そのため、被撹拌物である複数種類の流体は、遠心力により中心側の導入口76から外周縁側の導出口66に向けて混合撹拌流路79中を上下方向に蛇行しながら分流(分散)と合流(集合)を繰り返すことで放射線方向に流動されて、周縁部に形成した導出口66から流出される。
【0030】
ここで、蛇行方向に流動される複数種類の流体は、蛇行方向にせん断作用を受けると共に、回転側混合撹拌体60の回転方向Xにもせん断作用を受ける。その結果、流体は、蛇行方向と回転方向Xの合力方向に立体的なせん断作用を受けながら流動されることで混合・撹拌されて混合体となる。流体として液体と気体を混合・撹拌した場合には、液体中における気体の超微細化と均一化が堅実に実現される。
【0031】
また、回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70とが軸芯廻りに相対変位するため、流路形成用凹部64と流路形成用凹部74とが対向して連通する面積が周期的に変化する。つまり、一つの流路形成用凹部64(74)から対面する二つの流路形成用凹部74(64)に分流(分散)し、また、二つの流路形成用凹部64(74)から対面する一つの流路形成用凹部74(64)に合流(集合)する際の連通面積が周期的に変化する。そのため、被撹拌物である複数種類の流体が脈流を繰り返し形成することになる。脈流は、流路断面積が周期的に変化する流れである。そして、脈流が繰り返し形成されると、流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーション現象が生起されるときに生ずる力によって、気体の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0032】
また混合撹拌装置Aでは、第1の混合撹拌ユニット80の導入口76に第2の混合撹拌ユニット80の導出口66が連通し、第2の混合撹拌ユニット80の導入口76に第3の混合撹拌ユニット80の導出口66が連通し、第3の混合撹拌ユニット80の導入口76に送入管40が連通している。そのため、複数種類の流体を直列的に流体接続された3つの混合撹拌ユニット80にワンパスで流動させることができて、堅実にかつ効率良く混合・撹拌することができる。
【0033】
次に、混合撹拌ユニット80の構成を具体的に説明する。すなわち、混合撹拌ユニット80は、図1及び図7に示すように、混合撹拌ケース20に複数(本実施形態では右側から左側へ第1混合撹拌ユニット80〜第3混合撹拌ユニット80の3つ)を回転軸29にその軸線方向に一定の間隔を開けて配設して、混合撹拌ユニット80同士を直列的に流体接続している。そして、各混合撹拌ユニット80は、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70を混合撹拌ケース20内に位置決めして配置することで構成している。
【0034】
すなわち、回転軸側スペーサ群81は、回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dから成り、各スペーサ81a〜81dは内径がそれぞれ回転軸29の外径よりもやや大径の円筒状に形成して、各スペーサ81a〜81dの筒長により各混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60の間隔を設定している。
【0035】
具体的には、右側のメカニカルシール部19と第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に回転軸側第1スペーサ81aを配置している。第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に、回転軸側第2スペーサ81bを第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に、回転軸側第3スペーサ82cを第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と左側のメカニカルシール部18との間に、回転軸側第4スペーサ81dを第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。
【0036】
このように構成して、第1〜第3混合撹拌ユニット80の各回転側混合撹拌体60が、回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dを介して押圧状態に挟持されることで固定されて位置決めされるようにしている。
【0037】
また、ケース側スペーサ群82は、ケース側第1〜第4スペーサ82a〜82dから成り、各スペーサ82a〜82dはそれぞれ混合撹拌ケース20の内径と外径が略同径の円筒状に形成して、各スペーサ82a〜82dの筒長により各混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の間隔を設定している。
【0038】
具体的には、右側閉塞壁体23と第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第1スペーサ82aを配置している。第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第2スペーサ82bを配置している。第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第3スペーサ82cを配置している。第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と左側閉塞壁体22との間にケース側第4スペーサ82dを配置している。
【0039】
このように構成して、第1〜第3混合撹拌ユニット80の各固定側混合撹拌体70が、ケース側第1〜第4スペーサ82a〜82dを介して押圧状態に挟持されることで固定されて位置決めされるようにしている。
【0040】
したがって、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保することができる。つまり、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整することができる。
【0041】
上記のように構成した3つの混合撹拌ユニット80を組み付ける際には、ケース本体21の右側端面部に取付ボルト25を介して右側閉塞壁体23を取り付けて、右側閉塞壁体23に右側軸受け体28を介して回転軸29の右側端部を軸架する。同状態にて、順次、回転軸側第1スペーサ81a→第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第1スペーサ82a→第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。次に、回転軸側第2スペーサ81b→第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第2スペーサ82b→第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。次に、回転軸側第3スペーサ81c→第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第3スペーサ82c→第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。最後に、回転軸側第4スペーサ81d→ケース側第4スペーサ82d→左側のメカニカルシール部18→左側閉塞壁体22を配置して、ケース本体21の左側端面部に取付ボルト24を介して左側閉塞壁体22を取り付けるとともに、左側軸受け体27を介して回転軸29の左側端部を軸架する。
また、上記のように構成した3つの混合撹拌ユニット80を分解する際には、上記手順を反対にたどることができる。
【0042】
このようにして、第1本実施形態としての混合撹拌装置Aは、組立分解作業を簡単にかつ迅速に行うことができるため、メンテナンス作業や一定間隙tの調整等を能率良く行うことができる。
【0043】
モータ100は、図1〜図3に示すように、混合撹拌ケース20上に載置台101を介して載設している。伝動機構200は、図1及び図3に示すように、モータ100から突出させた駆動軸102と、回転軸29との間に出力プーリ201と入力プーリ202を介して伝動ベルト203を巻回して形成している。
【0044】
上記のように構成した混合撹拌装置Aでは、まず、混合撹拌ケース20の混合撹拌室26内に、送入管40を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸29を介して回転側混合撹拌体60を回転させることで発生する遠心力により、固定側混合撹拌体70の中央部に開口させて形成した導入口76から流体を導入する。そして、導入口76から導入された流体は、両混合撹拌体60,70間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路79中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は両混合撹拌体60,70の周縁部間に形成した導出口66から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケース20から送出管50を通して適宜送出される。
【0045】
複数種類の流体は、混合撹拌流路79中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体60の回転方向Xにもせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向のせん断作用との合力を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0046】
〔第2実施形態〕
図8は、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの断面正面図であり、第2実施形態としての混合撹拌装置Aは、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと基本的な構造が共通するが、混合撹拌ユニット80の構造に差違を有する。
【0047】
すなわち、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80は、回転軸29に軸線方向に多数の貫通孔98を有する回転側混合撹拌体90を取り付けている。そして、混合撹拌ケース20に回転側混合撹拌体90を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体91,92を対面状態に固定している。これら混合撹拌体91,92間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路93(図10参照)を形成している。混合撹拌流路93には一方の固定側混合撹拌体91の中央部に開口させて形成した導入口94を連通するとともに、回転側混合撹拌体90の周縁部間に形成した第1導出口95と、他方の固定側混合撹拌体92の周縁部間に形成した第2導出口96とを連通させている。
【0048】
回転側混合撹拌体90は、基本的形状を回転側混合撹拌体60と同様に形成するとともに、流路形成用凹部64に代えて貫通孔98を形成している。そして、貫通孔98の側面形状は流路形成用凹部64と同形状となしている。ここで、第1導出口95は、回転側混合撹拌体90の外周端面とケース本体21の内周面との間に形成される。
【0049】
一方の固定側混合撹拌体91は、固定側混合撹拌体70と同様に形成することができる。他方の固定側混合撹拌体92は、図9及び図10にも示すように、基本的形状を回転側混合撹拌体60と同様に形成するとともに、周縁部に複数(本実施形態では4つ)の固定用突片97を周方向に一定の間隔を開けて突出状に形成している。そして、各固定用突片97の先端縁部はケース本体21の内面に沿わせて円弧状に形成するとともに、ケース本体21の内面に当接させている。ここで、第2導出口96は、隣接する固定用突片97,97とケース本体21とに囲まれて4つ形成されており、各第2導出口96は、第1導出口95と連通するとともに、下流側に隣接する混合撹拌ユニット80の導入口94と連通している。つまり、複数種類の流体を直列的に流体接続された3つの混合撹拌ユニット80にワンパスで流動させることができるようにしている。また、他方の固定側混合撹拌体92は、固定用突片97がケース側スペーサ群82に押圧状に挟持されて固定される。99は他方の固定側混合撹拌体92の中央部に形成した回転軸挿通孔である。
【0050】
第2実施形態としての混合撹拌装置Aでは、図8に示すように、第1実施形態としての混合撹拌装置Aのケース側スペーサ群82に、ケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gを付加している。ここで、各ケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gは、一対の固定側混合撹拌体91,92の間隔を保持している。このように構成して、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保している。そして、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整可能としている。
【0051】
また、第2実施形態としての混合撹拌装置Aも、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと同様に混合撹拌ユニット80を組立分解することができて、メンテナンス作業等を能率良く行うことができる。
【0052】
上記のように構成した混合撹拌装置Aでは、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室26内に、送入管40を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸29を介して回転側混合撹拌体90を回転させることで発生する遠心力により、一方の固定側混合撹拌体91の中央部に開口させて形成した導入口94から流体を導入する。そして、導入口94から導入された流体は、対向配置した他方の固定側混合撹拌体92と、その間に介在して回転する回転側混合撹拌体90との間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路93中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は他方の固定側混合撹拌体92と回転側混合撹拌体90の周縁部間に形成した第1導出口95から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケース20から送出管50を通して適宜送出される。
【0053】
ここで、混合撹拌流路93は、一方の固定側混合撹拌体91と軸線方向に多数の貫通孔98を有する回転側混合撹拌体90との間に形成されるとともに、回転側混合撹拌体90と他方の固定側混合撹拌体92との間に形成されている。つまり、混合撹拌流路93は、放射線方向に並列して一対が伸延するとともに、回転側混合撹拌体90が有する多数の貫通孔98を介して一対の混合撹拌流路93,93が相互に連通している。
【0054】
そのため、複数種類の流体は、多数の貫通孔98を介して連通している一対の混合撹拌流路93,93中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体90の回転方向に一対の混合撹拌流路93,93中において二段階にせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向の二段階のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0055】
〔第3実施形態〕
図11は、第3実施形態としての混合撹拌装置Aの断面正面図であり、第3実施形態としての混合撹拌装置Aは、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと基本的な構造が共通するが、混合撹拌ユニット80の構造に差違を有する。
【0056】
すなわち、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80は、第1実施形態の混合撹拌ユニット80を線対称(回転軸29と直交する面に面対称)に対面させて配置することで形成している。つまり、第1実施形態の一方の混合撹拌ユニット80に対して、第1実施形態の他方の混合撹拌ユニット80を180度反転させて背中合わせに隣接させて一対として配置することで、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80を形成しており、かかる混合撹拌ユニット80は混合撹拌ケース20内に3つ配置している。
【0057】
具体的には、図12に示すように、混合撹拌ユニット80は、一定間隙tを開けて第1の固定側混合撹拌体70と回転側混合撹拌体60を対面状態に配置することで、両者間に第1の混合撹拌流路79を形成するとともに、一定間隙tを開けて第2の回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70を対面状態に配置することで、両者間に第2の混合撹拌流路79を形成している。
【0058】
そして、第1の混合撹拌流路79の基端部は第1の固定側混合撹拌体70の中央部に形成した導入口76に連通させるとともに、第1の混合撹拌流路79の先端部は第1の回転側混合撹拌体60の外周部63と固定側混合撹拌体70の外周部73との間に外周縁の全周にわたって形成した導出口66に連通させている。また、第2の混合撹拌流路79の基端部は第2の回転側混合撹拌体60の外周部63と固定側混合撹拌体70の外周部73との間に外周縁の全周にわたって形成した第2導入口68に連通させるとともに、第2の混合撹拌流路79の先端部は第2の固定側混合撹拌体70の中央部に形成した第2導出口78に連通させている。
【0059】
導出口66と第2導入口68とは折り返し用連通路110を介して連通している。折り返し用連通路110は、第1・第2の固定側混合撹拌体70,70の周縁部面と、その間隔を保持すべく介在させたケース側スペーサ群82の一部であるケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gの内のいずれか1つの内周面と、第1・第2の回転側混合撹拌体60,60の周端面とで形成されている。第1・第2の回転側混合撹拌体60,60は回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dにより固定状態に位置決めされて配置されている。なお、第1・第2の回転側混合撹拌体60,60は一体成形することもできる。
【0060】
その結果、圧送された流体は、各混合撹拌ユニット80において、導入口76→第1の混合撹拌流路79→導出口66→折り返し用連通路110→第2導入口68→第2の混合撹拌流路79→第2導出口78を流動する。この際、流体は第1・第2の混合撹拌流路79,79において前記した立体的なせん断作用を受けながら堅実に混合・撹拌される。
【0061】
また、第3本実施形態としての混合撹拌装置Aも、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保することができる。つまり、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整することができる。その結果、第1・第2実施形態としての混合撹拌装置Aと同様に、混合撹拌ユニット80の一定間隙tの調整作業や組立分解作業を簡単にかつ迅速に行うことができて、メンテナンス作業等を能率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
A 混合撹拌装置
t 一定間隙
X 回転方向
10 装置本体
20 混合撹拌ケース
29 回転軸
30 混合撹拌機能部
60 回転側混合撹拌体
70 固定側混合撹拌体
79 混合撹拌流路
80 混合撹拌ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合撹拌装置に関するものであり、詳しくは、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)を混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、混合撹拌装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、撹拌槽内の液中に、回転駆動源に連結した回転軸に取り付けられる混合回転体を配設する混合撹拌装置が開示されている。そして、混合回転体は、上下2枚の円板を一組みとして重ね合わせ、下方の円板の中央に流入口を形成するとともに、互いに対向する前面に、前方開口する筒状の小室を多数配列させて形成し、上方の円板の小室と、下方の円板の小室とは互いの小室が対向する他の小室に連通するとともに、一方の小室の中心に他方の小室を形成する側壁の交差接続部位が位置する様に位置を違えて配列させている。
【0003】
このように構成して、回転駆動させる回転軸を介して撹拌槽内にて混合回転体を回転させることで、撹拌槽内に収容した複数種類の液体を下方の円板の中央に形成した流入口から流入させるとともに、上下2枚の円板に対向させて形成した小室間を遠心力により蛇行させながら混合回転体の放射線方向に流動させて、混合撹拌することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3930123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)をより効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置の開発が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、より効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る混合撹拌装置は、混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする。
【0008】
かかる混合撹拌装置では、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室内に、送入路を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸を介して回転側混合撹拌体を回転させることで発生する遠心力により、固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口から流体を導入する。そして、導入口から導入された流体は、両混合撹拌体間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケースから送出路を通して適宜送出される。
【0009】
複数種類の流体は、混合撹拌流路中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体の回転方向にのせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0010】
請求項2記載の発明に係る混合撹拌装置は、混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、回転軸に軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体を取り付けるとともに、混合撹拌ケースに回転側混合撹拌体を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体を対面状態に固定して、これら混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする。
【0011】
かかる混合撹拌装置では、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室内に、送入路を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸を介して回転側混合撹拌体を回転させることで発生する遠心力により、一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口から流体を導入する。そして、導入口から導入された流体は、対向配置した固定側混合撹拌体と、その間に介在して回転する回転側混合撹拌体との間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケースから送出路を通して適宜送出される。
【0012】
ここで、混合撹拌流路は、一方の固定側混合撹拌体と軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体との間に形成されるとともに、回転側混合撹拌体と他方の固定側混合撹拌体との間に形成されている。つまり、混合撹拌流路は、放射線方向に並列して一対が伸延するとともに、回転側混合撹拌体が有する多数の貫通孔を介して一対の混合撹拌流路が相互に連通している。
【0013】
そのため、複数種類の流体は、多数の貫通孔を介して連通している一対の混合撹拌流路中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体の回転方向に一対の混合撹拌流路中において二段階にせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向の二段階のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0014】
請求項3記載の発明に係る混合撹拌装置は、請求項1又は2記載の混合撹拌装置であって、対面状態に配設した前記回転側混合撹拌体と前記固定側混合撹拌体を一つの混合撹拌ユニットとして、混合撹拌ケース内に回転軸に沿わせて複数の混合撹拌ユニットを配設して、混合撹拌ユニット同士を直列的に流体接続したことを特徴とする。
【0015】
かかる混合撹拌装置では、複数種類の流体を直列的に流体接続された複数の混合撹拌ユニットにワンパスで流動させることで、堅実にかつ効率良く混合・撹拌することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明では、より効率良く混合・撹拌して混合体となすことができる混合撹拌装置を提供することができる。そして、混合撹拌装置として幅広い用途に適用可能とすることができる。ここで、本発明に係る混合撹拌装置を適用可能な用途としては、例えば、窒素置換による処理水中の脱酸素処理(溶存酸素量の低減化処理)、農業用水等中の溶存酸素量の増大化処理、水溶性肥料等の溶解処理、汚水や廃液の浄化処理、有機不純物の腐敗防止処理、水生動物の飼育、水耕栽培がある。また、例えば、気体と液体を混合・撹拌する場合には、気体を殆どマイクロレベルないしはサブマイクロレベルに超微細化かつ均一化した気泡となして、適用可能な用途範囲の広い超微細気泡発生装置としても使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図2】第1実施形態としての混合撹拌装置の左側面説明図。
【図3】第1実施形態としての混合撹拌装置の右側面説明図。
【図4】回転側混合撹拌体の左側面説明図。
【図5】固定側混合撹拌体の右側面説明図。
【図6】両混合撹拌体の基本形態を示す側面説明図。
【図7】第1実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【図8】第2実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図9】他方の固定側混合撹拌体の右側面説明図。
【図10】第2実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【図11】第3実施形態としての混合撹拌装置の一部断面正面説明図。
【図12】第3実施形態の混合撹拌流路の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下の通りである。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示すAは第1本実施形態としての混合撹拌装置である。混合撹拌装置Aは、図1〜図3に示すように、複数種類の流体を混合撹拌する装置本体10と、装置本体10に駆動力を供給する駆動源としての電動機部であるモータ100と、モータ100からの駆動力を装置本体10に伝動する伝動機構200を備えている。
【0020】
装置本体10は、混合撹拌ケース20内に混合撹拌機能部30を設けて構成しており、混合撹拌ケース20には混合撹拌すべき複数種類の流体を加圧状態で送入(圧送)する送入路を内部に形成する送入管40を接続するとともに、混合撹拌された混合体を送出する送出路を内部に形成する送出管50を接続している。複数種類の流体の組み合わせとしては、例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体があり、これらを送入管40を通して混合撹拌ケース20内に送入して混合撹拌機能部30により混合・撹拌することで混合体となすことができる。
【0021】
混合撹拌ケース20は、左右方向に軸線を向けた円筒状のケース本体21の左側端面部に、取付ボルト24を介して略四角形板状の左側閉塞壁体22を閉塞状態に取り付ける一方、円筒状のケース本体21の右側端面部に、取付ボルト25を介して略四角形板状の右側閉塞壁体23を閉塞状態に取り付けて、内部に混合撹拌室26を形成している。左側閉塞壁体22の中央部には左側軸受け体27を設ける一方、右側閉塞壁体23の中央部には右側軸受け体28を設けて、両軸受け体27,28間に回転軸29を着脱自在に横架している。左側閉塞壁体22には送入管40の一端を接続して、送入管40を混合撹拌室26と連通させている。右側閉塞壁体23には送出管50の一端を接続して、送出管50を混合撹拌室26と連通させている。14,15はケース本体21の左右側下部に設けた支持脚部、16は左側閉塞壁体22の中央部に形成した左回転軸挿通孔、17は右側閉塞壁体23の中央部に形成した右回転軸挿通孔、18,19は混合撹拌室26内において左・右側軸受け体27,28と回転軸29との間に介設したメカニカルシール部である。
【0022】
混合撹拌機能部30は、混合撹拌ケース20内に横架した回転軸29に回転側混合撹拌体60を一体的に回転自在に取り付ける一方、混合撹拌ケース20に固定側混合撹拌体70を回転側混合撹拌体60と対面状態に固定して、一つの混合撹拌ユニット80を形成している。
【0023】
回転側混合撹拌体60は、図4に示すように、ケース本体21の内径よりも小径で一定肉厚の円板状に形成した回転側本体61の一側面において、中央部62と一定幅の外周部63を除いて、半径方向及び円周方向に側面視六角形の流路形成用凹部64を整然と密に形成してハニカム形状となしている。
【0024】
ここで、図1に示すように、回転側本体61の中央部62には回転軸挿通孔65を形成しており、回転軸挿通孔65の周面には回転軸29の周面に形成したスプライン凸条部29aと係合するスプライン凹条部65a(図4参照)を形成している。そして、回転軸29のスプライン凸条部29aに回転側混合撹拌体60のスプライン凹条部65aを係合させて取り付けることで、回転側混合撹拌体60を回転軸29に対してその軸線方向に摺動自在(着脱自在)かつ軸線廻りに一体的に回転自在となしている。
【0025】
固定側混合撹拌体70は、図5に示すように、上記したケース本体21の内径と略同形で、回転側混合撹拌体60の回転側本体61と略同一肉厚に形成した固定側本体71の中央部72に導入口76を上下方向に貫通させて開口し、固定側本体71の一側面において、一定幅の外周部73を除いて、半径方向及び円周方向に側面視六角形の流路形成用凹部74を整然と密に形成してハニカム形状となしている。なお、流路形成用凹部64,74の形状は側面視六角形に限られるものではなく、例えば、半円球凹状に形成することもできる。
【0026】
そして、回転側混合撹拌体60の外周部63と、固定側混合撹拌体70の外周部73との間に、外周縁の全周にわたって開口する導出口66を形成している。
【0027】
両混合撹拌体60,70に形成した流路形成用凹部64,74同士は、図6に示すように、基本形態として、位置ずれさせた状態で対面させている。すなわち、隣接する三つの流路形成用凹部64の中心部67を、対面する一つの流路形成用凹部74の中心部に位置させると共に、隣接する三つの流路形成用凹部74の中心部77を、対面する一つの流路形成用凹部64の中心部に位置させて、両流路形成用凹部64,74間にて、被撹拌物である複数種類の流体が、一つの流路形成用凹部64(74)から対面する二つの流路形成用凹部74(64)に分流(分散)し、また、二つの流路形成用凹部64(74)から対面する一つの流路形成用凹部74(64)に合流(集合)するように、蛇行しながら放射線方向に流動する混合撹拌流路79(図7参照)を形成している。
【0028】
かかる基本形態を有する両混合撹拌体60,70において、図7に示すように、回転側混合撹拌体60は固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを保った状態で回転軸29と一体に回転方向X(図4の側面視で反時計廻り)に回転される。
【0029】
そのため、被撹拌物である複数種類の流体は、遠心力により中心側の導入口76から外周縁側の導出口66に向けて混合撹拌流路79中を上下方向に蛇行しながら分流(分散)と合流(集合)を繰り返すことで放射線方向に流動されて、周縁部に形成した導出口66から流出される。
【0030】
ここで、蛇行方向に流動される複数種類の流体は、蛇行方向にせん断作用を受けると共に、回転側混合撹拌体60の回転方向Xにもせん断作用を受ける。その結果、流体は、蛇行方向と回転方向Xの合力方向に立体的なせん断作用を受けながら流動されることで混合・撹拌されて混合体となる。流体として液体と気体を混合・撹拌した場合には、液体中における気体の超微細化と均一化が堅実に実現される。
【0031】
また、回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70とが軸芯廻りに相対変位するため、流路形成用凹部64と流路形成用凹部74とが対向して連通する面積が周期的に変化する。つまり、一つの流路形成用凹部64(74)から対面する二つの流路形成用凹部74(64)に分流(分散)し、また、二つの流路形成用凹部64(74)から対面する一つの流路形成用凹部74(64)に合流(集合)する際の連通面積が周期的に変化する。そのため、被撹拌物である複数種類の流体が脈流を繰り返し形成することになる。脈流は、流路断面積が周期的に変化する流れである。そして、脈流が繰り返し形成されると、流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーション現象が生起されるときに生ずる力によって、気体の微細化が行われ、流体混合が促進される。
【0032】
また混合撹拌装置Aでは、第1の混合撹拌ユニット80の導入口76に第2の混合撹拌ユニット80の導出口66が連通し、第2の混合撹拌ユニット80の導入口76に第3の混合撹拌ユニット80の導出口66が連通し、第3の混合撹拌ユニット80の導入口76に送入管40が連通している。そのため、複数種類の流体を直列的に流体接続された3つの混合撹拌ユニット80にワンパスで流動させることができて、堅実にかつ効率良く混合・撹拌することができる。
【0033】
次に、混合撹拌ユニット80の構成を具体的に説明する。すなわち、混合撹拌ユニット80は、図1及び図7に示すように、混合撹拌ケース20に複数(本実施形態では右側から左側へ第1混合撹拌ユニット80〜第3混合撹拌ユニット80の3つ)を回転軸29にその軸線方向に一定の間隔を開けて配設して、混合撹拌ユニット80同士を直列的に流体接続している。そして、各混合撹拌ユニット80は、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70を混合撹拌ケース20内に位置決めして配置することで構成している。
【0034】
すなわち、回転軸側スペーサ群81は、回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dから成り、各スペーサ81a〜81dは内径がそれぞれ回転軸29の外径よりもやや大径の円筒状に形成して、各スペーサ81a〜81dの筒長により各混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60の間隔を設定している。
【0035】
具体的には、右側のメカニカルシール部19と第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に回転軸側第1スペーサ81aを配置している。第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に、回転軸側第2スペーサ81bを第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60との間に、回転軸側第3スペーサ82cを第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60と左側のメカニカルシール部18との間に、回転軸側第4スペーサ81dを第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の導入口76に挿通して配置している。
【0036】
このように構成して、第1〜第3混合撹拌ユニット80の各回転側混合撹拌体60が、回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dを介して押圧状態に挟持されることで固定されて位置決めされるようにしている。
【0037】
また、ケース側スペーサ群82は、ケース側第1〜第4スペーサ82a〜82dから成り、各スペーサ82a〜82dはそれぞれ混合撹拌ケース20の内径と外径が略同径の円筒状に形成して、各スペーサ82a〜82dの筒長により各混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70の間隔を設定している。
【0038】
具体的には、右側閉塞壁体23と第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第1スペーサ82aを配置している。第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第2スペーサ82bを配置している。第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70との間にケース側第3スペーサ82cを配置している。第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70と左側閉塞壁体22との間にケース側第4スペーサ82dを配置している。
【0039】
このように構成して、第1〜第3混合撹拌ユニット80の各固定側混合撹拌体70が、ケース側第1〜第4スペーサ82a〜82dを介して押圧状態に挟持されることで固定されて位置決めされるようにしている。
【0040】
したがって、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保することができる。つまり、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整することができる。
【0041】
上記のように構成した3つの混合撹拌ユニット80を組み付ける際には、ケース本体21の右側端面部に取付ボルト25を介して右側閉塞壁体23を取り付けて、右側閉塞壁体23に右側軸受け体28を介して回転軸29の右側端部を軸架する。同状態にて、順次、回転軸側第1スペーサ81a→第1混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第1スペーサ82a→第1混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。次に、回転軸側第2スペーサ81b→第2混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第2スペーサ82b→第2混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。次に、回転軸側第3スペーサ81c→第3混合撹拌ユニット80の回転側混合撹拌体60→ケース側第3スペーサ82c→第3混合撹拌ユニット80の固定側混合撹拌体70を配置する。最後に、回転軸側第4スペーサ81d→ケース側第4スペーサ82d→左側のメカニカルシール部18→左側閉塞壁体22を配置して、ケース本体21の左側端面部に取付ボルト24を介して左側閉塞壁体22を取り付けるとともに、左側軸受け体27を介して回転軸29の左側端部を軸架する。
また、上記のように構成した3つの混合撹拌ユニット80を分解する際には、上記手順を反対にたどることができる。
【0042】
このようにして、第1本実施形態としての混合撹拌装置Aは、組立分解作業を簡単にかつ迅速に行うことができるため、メンテナンス作業や一定間隙tの調整等を能率良く行うことができる。
【0043】
モータ100は、図1〜図3に示すように、混合撹拌ケース20上に載置台101を介して載設している。伝動機構200は、図1及び図3に示すように、モータ100から突出させた駆動軸102と、回転軸29との間に出力プーリ201と入力プーリ202を介して伝動ベルト203を巻回して形成している。
【0044】
上記のように構成した混合撹拌装置Aでは、まず、混合撹拌ケース20の混合撹拌室26内に、送入管40を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸29を介して回転側混合撹拌体60を回転させることで発生する遠心力により、固定側混合撹拌体70の中央部に開口させて形成した導入口76から流体を導入する。そして、導入口76から導入された流体は、両混合撹拌体60,70間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路79中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は両混合撹拌体60,70の周縁部間に形成した導出口66から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケース20から送出管50を通して適宜送出される。
【0045】
複数種類の流体は、混合撹拌流路79中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体60の回転方向Xにもせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向のせん断作用との合力を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0046】
〔第2実施形態〕
図8は、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの断面正面図であり、第2実施形態としての混合撹拌装置Aは、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと基本的な構造が共通するが、混合撹拌ユニット80の構造に差違を有する。
【0047】
すなわち、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80は、回転軸29に軸線方向に多数の貫通孔98を有する回転側混合撹拌体90を取り付けている。そして、混合撹拌ケース20に回転側混合撹拌体90を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体91,92を対面状態に固定している。これら混合撹拌体91,92間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路93(図10参照)を形成している。混合撹拌流路93には一方の固定側混合撹拌体91の中央部に開口させて形成した導入口94を連通するとともに、回転側混合撹拌体90の周縁部間に形成した第1導出口95と、他方の固定側混合撹拌体92の周縁部間に形成した第2導出口96とを連通させている。
【0048】
回転側混合撹拌体90は、基本的形状を回転側混合撹拌体60と同様に形成するとともに、流路形成用凹部64に代えて貫通孔98を形成している。そして、貫通孔98の側面形状は流路形成用凹部64と同形状となしている。ここで、第1導出口95は、回転側混合撹拌体90の外周端面とケース本体21の内周面との間に形成される。
【0049】
一方の固定側混合撹拌体91は、固定側混合撹拌体70と同様に形成することができる。他方の固定側混合撹拌体92は、図9及び図10にも示すように、基本的形状を回転側混合撹拌体60と同様に形成するとともに、周縁部に複数(本実施形態では4つ)の固定用突片97を周方向に一定の間隔を開けて突出状に形成している。そして、各固定用突片97の先端縁部はケース本体21の内面に沿わせて円弧状に形成するとともに、ケース本体21の内面に当接させている。ここで、第2導出口96は、隣接する固定用突片97,97とケース本体21とに囲まれて4つ形成されており、各第2導出口96は、第1導出口95と連通するとともに、下流側に隣接する混合撹拌ユニット80の導入口94と連通している。つまり、複数種類の流体を直列的に流体接続された3つの混合撹拌ユニット80にワンパスで流動させることができるようにしている。また、他方の固定側混合撹拌体92は、固定用突片97がケース側スペーサ群82に押圧状に挟持されて固定される。99は他方の固定側混合撹拌体92の中央部に形成した回転軸挿通孔である。
【0050】
第2実施形態としての混合撹拌装置Aでは、図8に示すように、第1実施形態としての混合撹拌装置Aのケース側スペーサ群82に、ケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gを付加している。ここで、各ケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gは、一対の固定側混合撹拌体91,92の間隔を保持している。このように構成して、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保している。そして、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整可能としている。
【0051】
また、第2実施形態としての混合撹拌装置Aも、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと同様に混合撹拌ユニット80を組立分解することができて、メンテナンス作業等を能率良く行うことができる。
【0052】
上記のように構成した混合撹拌装置Aでは、まず、混合撹拌ケースの混合撹拌室26内に、送入管40を通して混合・撹拌すべき複数種類の流体を送入する。その後、回転軸29を介して回転側混合撹拌体90を回転させることで発生する遠心力により、一方の固定側混合撹拌体91の中央部に開口させて形成した導入口94から流体を導入する。そして、導入口94から導入された流体は、対向配置した他方の固定側混合撹拌体92と、その間に介在して回転する回転側混合撹拌体90との間に中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路93中を流動しながら混合・撹拌されて混合体となる。続いて、混合体は他方の固定側混合撹拌体92と回転側混合撹拌体90の周縁部間に形成した第1導出口95から導出される。さらに、混合体は混合撹拌ケース20から送出管50を通して適宜送出される。
【0053】
ここで、混合撹拌流路93は、一方の固定側混合撹拌体91と軸線方向に多数の貫通孔98を有する回転側混合撹拌体90との間に形成されるとともに、回転側混合撹拌体90と他方の固定側混合撹拌体92との間に形成されている。つまり、混合撹拌流路93は、放射線方向に並列して一対が伸延するとともに、回転側混合撹拌体90が有する多数の貫通孔98を介して一対の混合撹拌流路93,93が相互に連通している。
【0054】
そのため、複数種類の流体は、多数の貫通孔98を介して連通している一対の混合撹拌流路93,93中を放射線方向に蛇行しながら流動する際にせん断作用を受けるとともに、回転側混合撹拌体90の回転方向に一対の混合撹拌流路93,93中において二段階にせん断作用を受ける。その結果、複数種類の流体は、放射線方向のせん断作用と回転方向の二段階のせん断作用との合力である立体的なせん断作用を受けながら流動して堅実に混合・撹拌される。
【0055】
〔第3実施形態〕
図11は、第3実施形態としての混合撹拌装置Aの断面正面図であり、第3実施形態としての混合撹拌装置Aは、第1実施形態としての混合撹拌装置Aと基本的な構造が共通するが、混合撹拌ユニット80の構造に差違を有する。
【0056】
すなわち、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80は、第1実施形態の混合撹拌ユニット80を線対称(回転軸29と直交する面に面対称)に対面させて配置することで形成している。つまり、第1実施形態の一方の混合撹拌ユニット80に対して、第1実施形態の他方の混合撹拌ユニット80を180度反転させて背中合わせに隣接させて一対として配置することで、第2実施形態としての混合撹拌装置Aの混合撹拌ユニット80を形成しており、かかる混合撹拌ユニット80は混合撹拌ケース20内に3つ配置している。
【0057】
具体的には、図12に示すように、混合撹拌ユニット80は、一定間隙tを開けて第1の固定側混合撹拌体70と回転側混合撹拌体60を対面状態に配置することで、両者間に第1の混合撹拌流路79を形成するとともに、一定間隙tを開けて第2の回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70を対面状態に配置することで、両者間に第2の混合撹拌流路79を形成している。
【0058】
そして、第1の混合撹拌流路79の基端部は第1の固定側混合撹拌体70の中央部に形成した導入口76に連通させるとともに、第1の混合撹拌流路79の先端部は第1の回転側混合撹拌体60の外周部63と固定側混合撹拌体70の外周部73との間に外周縁の全周にわたって形成した導出口66に連通させている。また、第2の混合撹拌流路79の基端部は第2の回転側混合撹拌体60の外周部63と固定側混合撹拌体70の外周部73との間に外周縁の全周にわたって形成した第2導入口68に連通させるとともに、第2の混合撹拌流路79の先端部は第2の固定側混合撹拌体70の中央部に形成した第2導出口78に連通させている。
【0059】
導出口66と第2導入口68とは折り返し用連通路110を介して連通している。折り返し用連通路110は、第1・第2の固定側混合撹拌体70,70の周縁部面と、その間隔を保持すべく介在させたケース側スペーサ群82の一部であるケース側第5〜第7スペーサ82e〜82gの内のいずれか1つの内周面と、第1・第2の回転側混合撹拌体60,60の周端面とで形成されている。第1・第2の回転側混合撹拌体60,60は回転軸側第1〜第4スペーサ81a〜81dにより固定状態に位置決めされて配置されている。なお、第1・第2の回転側混合撹拌体60,60は一体成形することもできる。
【0060】
その結果、圧送された流体は、各混合撹拌ユニット80において、導入口76→第1の混合撹拌流路79→導出口66→折り返し用連通路110→第2導入口68→第2の混合撹拌流路79→第2導出口78を流動する。この際、流体は第1・第2の混合撹拌流路79,79において前記した立体的なせん断作用を受けながら堅実に混合・撹拌される。
【0061】
また、第3本実施形態としての混合撹拌装置Aも、回転軸側スペーサ群81とケース側スペーサ群82とを介して回転側混合撹拌体60と固定側混合撹拌体70との間に一定間隙tを確保することができる。つまり、回転軸側スペーサ群81及び/又はケース側スペーサ群82の各筒長を変更することで、適宜一定間隙tを簡単に調整することができる。その結果、第1・第2実施形態としての混合撹拌装置Aと同様に、混合撹拌ユニット80の一定間隙tの調整作業や組立分解作業を簡単にかつ迅速に行うことができて、メンテナンス作業等を能率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
A 混合撹拌装置
t 一定間隙
X 回転方向
10 装置本体
20 混合撹拌ケース
29 回転軸
30 混合撹拌機能部
60 回転側混合撹拌体
70 固定側混合撹拌体
79 混合撹拌流路
80 混合撹拌ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、
回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項2】
混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、
回転軸に軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体を取り付けるとともに、混合撹拌ケースに回転側混合撹拌体を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体を対面状態に固定して、これら混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項3】
対面状態に配設した前記回転側混合撹拌体と前記固定側混合撹拌体を一つの混合撹拌ユニットとして、混合撹拌ケース内に回転軸に沿わせて複数の混合撹拌ユニットを配設して、混合撹拌ユニット同士を直列的に流体接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の混合撹拌装置。
【請求項1】
混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、
回転軸に回転側混合撹拌体を取り付ける一方、混合撹拌ケースに固定側混合撹拌体を回転側混合撹拌体と対面状態に固定して、両混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、両混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項2】
混合撹拌室を形成する混合撹拌ケースに、混合・撹拌すべき複数の流体を送入する送入路を接続するとともに、混合・撹拌された混合体を送出する送出路を接続し、混合撹拌ケース内には回転駆動源に連動連結した回転軸を横架して、
回転軸に軸線方向に多数の貫通孔を有する回転側混合撹拌体を取り付けるとともに、混合撹拌ケースに回転側混合撹拌体を間に介在させて一対の固定側混合撹拌体を対面状態に固定して、これら混合撹拌体間には中央部から周縁部に向けて放射線方向に蛇行しながら伸延する混合撹拌流路を形成し、混合撹拌流路には一方の固定側混合撹拌体の中央部に開口させて形成した導入口を連通するとともに、他方の固定側混合撹拌体と回転側混合撹拌体の周縁部間に形成した導出口を連通させたことを特徴とする混合撹拌装置。
【請求項3】
対面状態に配設した前記回転側混合撹拌体と前記固定側混合撹拌体を一つの混合撹拌ユニットとして、混合撹拌ケース内に回転軸に沿わせて複数の混合撹拌ユニットを配設して、混合撹拌ユニット同士を直列的に流体接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の混合撹拌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−200715(P2012−200715A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70473(P2011−70473)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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