説明

添加剤投入装置

【課題】長期間安定して任意の濃度の添加剤を浴水へ自動投入する添加剤投入装置と、それを備えた貯湯式給湯機を提供することを目的としている。
【解決手段】浴槽に供給された浴水を循環させる循環手段を備えた浴水循環配管と、浴水循環配管に定量放出手段を介して接続された貯蔵容器と、貯蔵容器に貯蔵された浴水添加剤と、定量放出手段の動作を制御する制御手段と、を備え、浴水添加剤は、樹脂製のマイクロカプセルに充填された状態で、貯蔵容器に貯蔵されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴水への添加剤投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手動で浴水へ投入する入浴剤などのような粉末状の浴水添加剤を、事前に貯蔵容器に貯蔵して、貯蔵容器に配置された弁の開閉によって自動的に追い焚き配管へ投入する方法が提案されている。この方法は、添加剤の吸湿による固化およびそれによる電磁弁の詰まりにより、長時間に渡って一定量の添加剤の安定投入が困難である。こうした添加剤の投入量の変動に加えて、追い焚き配管へ投入された添加剤は配管を流れる湯量の変動に影響され、浴水中で安定して任意の添加剤濃度を維持することができない。そのために添加剤貯蔵容器の後段に添加剤の溶解槽を設け、追い焚き配管へ投入する前に添加剤を溶液にする方法が提案されている。また添加剤の溶解速度を制御するために超音波振動を固形の添加剤へ照射して、一定量の溶解量を維持する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−113768号公報
【特許文献2】特開2001−276593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の添加剤貯蔵容器の後段に添加剤の溶解槽を設ける方法では、一般的に添加剤は微粒子状であるので微粒子表面への湿度成分付着や微粒子形状の不均一により添加剤を溶解槽に一定量投入するのは困難である。また特許文献2の超音波による添加剤の溶解を行う方法では、十分な溶解量を確保するために大型の超音波発生機構が必要であり、コストがかかるとともに超音波振動が金属配管に伝搬して不快な音を発生させるという問題があった。
【0005】
本発明はこれら従来の問題点を解決するもので、長期間安定して任意の濃度の添加剤を浴水へ自動投入する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
浴槽に供給された浴水を循環させる循環手段を備えた浴水循環配管と、浴水循環配管に定量放出手段を介して接続された貯蔵容器と、貯蔵容器に貯蔵された浴水添加剤と、定量放出手段の動作を制御する制御手段と、を備え、浴水添加剤は、樹脂製のマイクロカプセルに充填された状態で、貯蔵容器に貯蔵されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長期間安定して任意の濃度の添加剤を浴水へ自動投入する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による添加剤投入装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2による添加剤投入装置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態3による添加剤投入装置を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態4による添加剤投入装置を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態5による添加剤投入装置を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態6による添加剤投入装置を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態7による添加剤投入装置を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態8による添加剤投入装置を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態9による添加剤投入装置を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1による添加剤投入装置を備えた給湯機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態における浴水への添加剤投入装置を示したもので、図10は、本発明による実施の形態1の添加剤投入装置を備えたヒートポンプ給湯機を示す図である。
【0010】
図10において、ヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプユニット201とタンクユニット202とを備えており、後述する水導出口214と熱交換器204の入口側とを繋ぐ配管216と、熱交換器204の出口側と温水導入口213とを繋ぐ配管217により接続されている。ヒートポンプユニット201は、圧縮機203、熱交換器204、膨張弁205、及び蒸発器206を順に配管207で接続して構成されている。このヒートポンプユニット201は自然冷媒である二酸化炭素を冷媒として用い、高圧側では臨界圧を越える状態で運転される。
【0011】
タンクユニット202は、貯湯タンク210および風呂追いだき用の熱交換器218を内蔵している。貯湯タンク210には、上部に温水導出口211および温水導入口213が、下部に水導入口212および水導出口214が設けられている。貯湯タンク210の下部の水導出口214から取り出された水は、配管216に備えられた沸き上げ用送水ポンプ215により配管216を通ってヒートポンプユニット201の熱交換器204に供給され、熱交換器204で加熱された後、配管217を通って貯湯タンク210の上部の温水導入口213から貯湯タンク210内に戻される。沸き上げ用送水ポンプ215、配管216、熱交換器204および配管217により貯湯回路を構成する。
【0012】
熱交換器218の一次側には、貯湯タンク210の上部の温水導出口211から温水が供給され、熱交換器218で浴水と熱交換後、貯湯タンク210の下部に戻される。熱交換器218の二次側には、浴槽111に接続され、浴槽111に供給された浴水を循環させる浴水循環配管110が接続されている。熱交換器218の二次側には、浴水循環配管110に備えられた浴水循環ポンプ219により、浴槽111からの浴水が供給され、熱交換器218で熱交換されて加温された温水が浴槽111へ戻される。なお、図示を省略しているが、浴槽111に供給する浴水は、貯湯タンク210からの温水と水源からの水をタンクユニット202に内蔵する混合手段によって適温に混合されて生成され、浴水循環配管110と混合手段とを繋ぐ電磁弁等の開閉手段を適宜開閉することにより供給制御される。
【0013】
添加剤投入装置112は、浴水循環配管110と接続されており、添加剤を浴水循環配管110を通じて浴槽111に供給する。添加剤投入装置112、ヒートポンプユニット201およびタンクユニット202内の各アクチュエータは、タンクユニット202に内蔵された制御部220により制御される。また、制御部220はリモコン221に接続されており、リモコン221を使用者が操作することにより、添加剤投入装置112を含む、ヒートポンプ給湯機全体を操作可能に構成されている。
【0014】
次に、図10内の添加剤投入装置112の詳細につき説明する。図1は、本発明の実施の形態1における浴水への添加剤投入装置112付近の要部を示したものである。図1において、添加剤投入装置112は、粒子状添加剤A11、粒子状添加剤B12、粒子状添加剤C13を貯蔵する貯蔵容器A21、貯蔵容器B22、貯蔵容器C23と、添加剤溶解槽40とを備えている。各貯蔵容器A21、B22、C23は、インクジェットノズルA31、インクジェットノズルB32、インクジェットノズルC33がそれぞれ設けられており、各インクジェットノズルA31、B32、C33を介して添加剤溶解槽40に接続されている。また、添加剤溶解槽40は浴水循環配管110と電磁弁50を介して接続されている。なお、粒子状添加剤A11、粒子状添加剤B12、粒子状添加剤C13は表面を樹脂で覆われた数ミクロンの大きさのマイクロカプセルに加工されている。
【0015】
インクジェットノズルA31、インクジェットノズルB32、インクジェットノズルC33は、制御部220からの指示により各々独立して任意の所定量のマイクロカプセル化された粒子状添加剤A11、粒子状添加剤B12、粒子状添加剤C13を添加剤溶解槽40へ放出するよう構成されている。使用者は、あらかじめリモコン221で任意の混合比となるように、各粒子状添加剤A11、B12、C13の放出量、または単位時間の放出量から設定した所定時間を指定することで自動的にインクジェットノズルA31、B32、C33から所望の粒子状添加剤A11、B12、C13を放出し添加剤溶解槽40で混合させることができる。
【0016】
添加剤溶解槽40において、マイクロカプセルは外皮が溶解し、芯物質である各粒子状添加剤A11、B12、C13が湯に溶け込み、それらは添加剤溶解槽40に予め浴水循環配管110から導入されていた浴水と混合され、添加剤溶液として一時的に貯蔵され、リモコン221で使用者が指示した任意のタイミングで電磁弁50を開閉することで、所定量の混合された添加剤溶液を所望の濃度で浴水に投入することが可能となる。なお、添加剤溶解槽40へ放出する各粒子状添加剤の量は、添加剤溶解槽40に導入可能な浴水の量に対し充分溶解可能な量となるように調整された分量となるように制御するものとする。また、必要な粒子状添加剤の浴水への添加量を確保するために、複数回上述の混合動作を実施してもよい。
【0017】
以上のように、本実施の形態1によれば、各粒子状添加剤を樹脂で覆われたマイクロカプセル化することにより、各粒子表面への湿度成分付着や粒子形状の不均一を防止することができ、添加剤を所望の一定量投入することが可能となる。また、複数の添加剤を所望の比率で放出し添加剤溶解槽で事前に溶解させてから浴槽への経路に放出するので、十分な溶解量を確保するために大型の超音波発生機構等を備える必要もなく、コストがかかることもない。これらにより、長期間安定して任意の濃度の添加剤を浴水へ自動投入することができる。
【0018】
以下、本発明による他の実施の形態について、図1に対応した添加剤投入装置周辺部分を図で示しながら、その詳細を説明する。なお、各実施の形態の説明において、実施の形態1と同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。また、適用例としてのヒートポンプ給湯機は図10と同様であるので、説明を省略する。
【0019】
実施の形態2.
図2は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Aを示すものである。図2において、添加剤投入装置112Aには、添加剤溶解槽40の横にこの添加剤溶解槽40内の浴水を加熱する加熱手段であるヒーター101が配置されており、このヒーター101により浴水の温度を上昇させることでマイクロカプセルの溶解速度を加速、または溶解度を上昇させることができるようになっている。これにより、短時間で所望濃度の添加剤を浴水循環配管110から投入することができる。また、例えば浴水循環配管110の、添加剤投入装置112Aの下流となる位置に、浴水中の添加剤の濃度を検出可能な添加剤濃度センサー102を配置し、制御部220により濃度を計測しながら、使用者が設定した所望濃度になるように電磁弁50および各インクジェットノズルA31、B32、C33を動作させるようにしてもよい。
【0020】
以上のように、本実施の形態2によれば、添加剤溶解槽40内の浴水を加熱し、浴水の温度を上昇させることでマイクロカプセルの溶解速度を加速、または溶解度を上昇させることにより、短時間で所望濃度の添加剤を浴水循環配管110から投入することができる。
【0021】
実施の形態3.
図3は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Bを示すものである。図3において、添加剤投入装置112Bには、マイクロカプセル化されプラスに帯電した粒子状添加剤14を貯蔵する貯蔵容器A21が内蔵されている。この貯蔵容器A21には、電磁弁54を介して貯蔵容器A21に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103が接続されており、反対側には電磁弁51を介して添加剤溶解槽40が接続されている。また添加剤溶解槽40は、電磁弁50を介して浴水循環配管110と接続されている。また、浴水循環配管110の添加剤投入装置112Bの上流となる位置には、マイクロバブルを発生するエジェクタ104とその空気吸い込み口105が配置されている。
【0022】
添加剤の供給動作は、制御部220により圧縮空気配管103に圧縮空気が送られ、電磁弁54を開くと、貯蔵容器21に貯蔵されたマイクロカプセル化し、プラスに帯電した粒子状添加剤14は電磁弁51の方向に強く押しやられる。この状態で電磁弁51を開くと添加剤溶解槽40の中にマイクロカプセル化し、プラスに帯電した粒子状添加剤14が投入される。このとき、電磁弁54と電磁弁51の開閉タイミングと時間を適切に調整することにより、所望量の粒子状添加剤14を添加剤溶解槽40へ供給することが可能となる。次に電磁弁51を閉じて電磁弁50が開くと、添加剤溶解槽40にある添加剤14が浴水循環配管110に投入され、そのプラスに帯電した粒子状添加剤14を含んだ浴水が浴槽111側へ投入される。この電磁弁51を閉じて電磁弁50が開く動作を素早く実施することで、添加剤溶解槽40中においてマイクロカプセル化したプラスに帯電した粒子状添加剤14の外皮が溶けることは無い。一方、制御部220は、浴水循環ポンプ219を動作させて浴水を循環させるとともに、エジェクタ104を通過する浴水に空気吸い込み口105から吸い込まれた空気から生じさせたマイクロバブルを添加する。このとき、マイクロバブルはマイナスに帯電している。発生したマイクロバブルを含んだ浴水は、浴水循環配管110内を流れ、添加剤投入装置112Bに至る。ここで、マイクロカプセル化しプラスに帯電した粒子状添加剤14は、エジェクタ104で発生したマイナスに帯電したマイクロバブルと結合し、浴水循環配管110内を効率良く流れ、浴槽111へ搬送される。
【0023】
以上のように、本実施の形態3によれば、マイクロカプセル化しプラスに帯電した粒子状添加剤14は、エジェクタ104で発生したマイナスに帯電したマイクロバブルと結合し、浴水循環配管110内を流れ、浴槽111へ搬送されるので、効率よく浴槽側へ粒子状添加剤を投入することが可能となる。
【0024】
実施の形態4.
図4は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Cを示すものである。図4において、添加剤投入装置112Cは、図3で示した圧縮空気配管103による空気圧を利用する代わりに、浴水循環配管110から浴水を一部分岐する分岐配管106により、浴水循環配管110を流れる浴水の水圧を利用してマイクロカプセル化しプラスに帯電した粒子状添加剤14を浴水中に投入するものである。分岐配管106は、一端が添加剤投入装置112Cよりも浴水循環配管110の上流側で浴水循環配管110と連通し、他端が貯蔵容器A21と電磁弁54を介して連通しており、プラスに帯電した粒子状添加剤14を浴水中に投入する場合は、制御部220により電磁弁54を開き、浴水の流れによる水圧を分岐管106を介して導入し、前述の実施の形態3の空気圧と同様に作用させる。その他は実施の形態3と同様のため、説明を省略する。
【0025】
以上のように、本実施の形態4によれば、貯蔵容器A21に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103等の手段が不要で、浴水の循環での水圧を利用するので、簡単な構造で低コストな添加剤投入装置を得ることが可能となる。
【0026】
実施の形態5.
図5は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Dを示すものである。図5において、添加剤投入装置112Dは、添加剤投入装置112Dと浴水循環配管110との接続部の下流側の浴水循環配管110に電極A107が備えられている以外は、実施の形態4と同様の構成を備えている。電極A107は、制御部220により、添加剤とは逆の電位となるように制御可能に構成されている。
【0027】
前述の実施の形態4と同様に、添加剤溶解槽40にある溶解した添加剤が浴水循環配管110に投入されると、プラスに帯電した粒子状添加剤14は、制御部220によってマイナスの電位に制御された電極A107のほうに吸着され、浴水循環配管110を効率良く浴槽111側へ搬送される。電極A107の電位に応じ、プラスに帯電した粒子状添加剤14が吸着し、吸着後の電極A107の電位を変化させ、その吸着量を調整することで、浴水中へのプラスに帯電した粒子状添加剤14の投入量を制御することができ、最適な添加剤の濃度に調整することができる。
【0028】
以上のように、本実施の形態5によれば、電極A107の電位を制御することにより、粒子状添加剤14の投入量を制御することができ、最適な添加剤の濃度に調整することができる。
【0029】
実施の形態6.
図6は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Eを示すものである。図6において、添加剤投入装置112Eには、マイクロカプセル化されプラスに帯電した粒子状添加剤14を貯蔵する貯蔵容器A21と、マイクロカプセル化されマイナスに帯電した粒子状添加剤15を貯蔵する貯蔵容器B22とが内蔵されている。貯蔵容器A21には、電磁弁54を介して貯蔵容器A21に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103が接続されており、貯蔵容器A21の反対側は電磁弁51を介して浴水循環配管110に接続されている。また、貯蔵容器B22には、電磁弁55を介して貯蔵容器B22に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103が接続されており、貯蔵容器B22の反対側は電磁弁52を介して浴水循環配管110に接続されている。添加剤投入装置112Eは、添加剤投入装置112Eと浴水循環配管110との接続部の下流側の浴水循環配管110に、制御部220によりマイナスの電位を印加可能な電極A107とプラスの電位を印加可能な電極B108を備えている。
【0030】
添加剤の投入は、制御部220により、圧縮空気配管103に圧縮空気が送られ、電磁弁54、55を開くと、貯蔵容器A21および貯蔵容器B22に貯蔵されたマイクロカプセル化した粒子状添加剤14と粒子状添加剤15は、電磁弁51、電磁弁52の方向に強く押しやられる。この状態で電磁弁51および電磁弁52を適宜制御して開くと、粒子状添加剤14および粒子状添加剤15が浴水循環配管110側に投入される。
【0031】
この状態で制御部220により、マイナスの電位を電極A107に与え、プラスの電位を電極B108に与えると、マイクロカプセル化したプラスに帯電した粒子状添加剤14は、マイナスの電位を有する電極A107に吸着し、マイナスに帯電した粒子状添加剤15は、プラスの電位を有する電極B108に吸着する。ここで、電極A107と電極B108の電位を各々制御することで、プラスに帯電した粒子状添加剤14とマイナスに帯電した粒子状添加剤15を実施の形態5と同様の方法で浴水中に放出制御することができるので、2種類の添加剤を任意の比率で混合させ浴水中へ投入することが可能となる。
【0032】
以上のように、本実施の形態6によれば、電極A107および電極B108の電位を制御することにより、2種類の粒子状添加剤14、15の投入量を任意の混合比に調整することができる。
【0033】
実施の形態7.
図7は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Fを示すものである。図7において、添加剤投入装置112Fには、マイクロカプセル化されプラスに帯電した粒子状添加剤14と、マイクロカプセル化されマイナスに帯電した粒子状添加剤15が混合貯蔵された貯蔵容器A21が内蔵されている。貯蔵容器A21には、電磁弁54を介して貯蔵容器A21に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103が接続されており、貯蔵容器A21の反対側は、電磁弁51を介して浴水循環配管110に接続されている。添加剤投入装置112Fは、添加剤投入装置112Fと浴水循環配管110との接続部の下流側の浴水循環配管110に、制御部220によりマイナスの電位を印加可能な電極A107とプラスの電位を印加可能な電極B108を備えている。
【0034】
添加剤の投入は、制御部220により、圧縮空気配管103に圧縮空気が送られ、電磁弁54を開くと、貯蔵容器A21に貯蔵された、プラスに帯電した粒子状添加剤14とマイナスに帯電した粒子状添加剤15が電磁弁51の方向に強く押しやられる。この状態で電磁弁51を適宜制御して開くと、プラスに帯電した粒子状添加剤14とマイナスに帯電した粒子状添加剤15が、浴水循環配管110側に投入される。
【0035】
この状態で制御部220により、マイナスの電位を電極A107に与え、プラスの電位を電極B108に与えると、プラスに帯電した粒子状添加剤14は、マイナスの電位を有する電極A107に吸着し、マイナスに帯電した粒子状添加剤15は、プラスの電位を有する電極B108に吸着する。ここで、電極A107と電極B108の電位を各々制御することで、プラスに帯電した粒子状添加剤14とマイナスに帯電した粒子状添加剤15を実施の形態5と同様の方法で浴水中に放出制御することができるので、2種類の添加剤を任意の比率で混合させ浴水中へ投入することが可能となる。
【0036】
以上のように、本実施の形態7によれば、実施の形態6に対し、1つの貯蔵容器A21に2種類の粒子状添加剤を入れても、その帯電する電位を異ならせておき、電極A107および電極B108の電位を制御することにより、2種類の粒子状添加剤14、15の投入量を制御することにより任意の混合比に調整することが、少ない貯蔵容器で実現可能となる。
【0037】
実施の形態8.
図8は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Gを示すものである。図8において、添加剤投入装置112Gには、マイクロカプセル化された粒子状添加剤14と、マイクロカプセル化された粒子状添加剤15が混合貯蔵された貯蔵容器A21が内蔵されている。貯蔵容器A21には、電磁弁54を介して貯蔵容器A21に圧縮空気を供給する圧縮空気配管103が接続されており、貯蔵容器A21の反対側は、電磁弁51および破砕板114、多孔体115を介して浴水循環配管110に接続されている。破砕板114は、電磁弁51が開いたとき供給される粒子状添加剤14、15が導入され、破砕板114の上に配置された破砕棒113が破砕板114上の粒子状添加剤14,15のマイクロカプセルを破砕可能に構成されている。多孔体115は、一端でマイクロカプセルを破砕された粒子状添加剤14,15の芯物質を吸着し、浴水循環配管110に接続された他端から放出可能に構成されている。
【0038】
添加剤の投入は、制御部220により、圧縮空気配管103に圧縮空気が送られ、電磁弁54を開くと、貯蔵容器A21に貯蔵された、粒子状添加剤14と粒子状添加剤15が電磁弁51の方向に強く押しやられる。この状態で電磁弁51を適宜制御して開くと、粒子状添加剤14と粒子状添加剤15が、所定量だけ破砕板114上に導入される。このあと、破砕棒113が破砕板114上の粒子状添加剤14,15のマイクロカプセルを破砕し、多孔体115により、マイクロカプセルを破砕された粒子状添加剤14,15の芯物質を吸着し、浴水循環配管110に接続された他端から放出することで浴水循環配管110側に投入される。
【0039】
以上のように、本実施の形態8によれば、添加剤は多孔体115の細かい孔から浸透していく。多孔体115に浸透した添加剤の溶液は長期間に渡り、浴水循環配管110へ浸みだすことで、少しずつ浴水中に投入される。
【0040】
実施の形態9.
図9は、本発明の他の実施の形態による添加剤投入装置112Hを示すものである。図9において、添加剤投入装置112Hには、マイクロカプセル化された粒子状添加剤A11を貯蔵する貯蔵容器A21が内蔵されている。貯蔵容器A21には、インクジェットノズルA31が備えられており、インクジェットノズルは添加剤溶解槽40に接続されている。添加剤溶解槽40は浴水循環配管110と電磁弁50を介して接続されている。また、浴水循環配管110の添加剤投入装置112Hとの接続部と浴槽111の間には溶け残った粒子状添加剤A11を捕集するための捕集手段であるフィルタ116が配置されており、浴槽111に溶け残った粒子状添加剤A11が流れ出さないようになっている。フィルタ116内に残留した粒子状添加剤A11は、浴水の流れにさらされる事で徐々に溶解するが、一方でフィルタ116は取り外しができ、定期的に洗浄することでトラップした粒子状添加剤A11を取り除くこともできる。また、フィルタ116は取り外さなくても、浴水を逆流させることで洗浄可能に構成してもよい。
【0041】
制御部220は、任意の量のマイクロカプセル化された粒子状添加剤A11を、あらかじめリモコンで任意の混合比と任意の時間を指定することで自動的にインクジェットノズルA31から吐出する。添加剤溶解槽40において、マイクロカプセルは外皮が溶解し、芯物質である添加剤が湯に溶け込み、それらは添加剤溶解槽40に混合された添加剤溶液として一時的に貯蔵され、リモコンで指示した任意の時間だけ電磁弁50を開閉することで、所定量の混合された添加剤溶液を指定濃度で浴水に投入する。
【0042】
以上のように、本実施の形態9によれば、万一添加剤の溶解不足で粒子状添加剤が溶け残った場合でも、浴槽側への流出を抑制することが可能となり、使用者に溶け残った添加剤による不快感を生じさせることが無い。
【符号の説明】
【0043】
11 粒子状添加剤A
12 粒子状添加剤B
13 粒子状添加剤C
14 プラスに帯電した粒子状添加剤
15 マイナスに帯電した粒子状添加剤
21 貯蔵容器A
22 貯蔵容器B
23 貯蔵容器C
31 インクジェットノズルA
32 インクジェットノズルB
33 インクジェットノズルC
40 添加剤溶解槽
50 電磁弁
51 電磁弁
52 電磁弁
53 電磁弁
54 電磁弁
55 電磁弁
101 ヒーター
102 添加剤濃度センサ
103 圧縮空気配管
104 エジェクタ
105 空気吸い込み口
106 追い焚き分岐配管
107 電極A
108 電極B
110 追い焚き配管
111 浴槽
112 添加剤投入ユニット
113 破砕棒
114 破砕板
115 多孔体
116 フィルタ
201 ヒートポンプユニット
202 タンクユニット
203 圧縮機
204 熱交換器
205 膨張弁
206 蒸発器
207 配管
210 貯湯タンク
211 温水導出口
212 水導入口
213 温水導入口
214 水導出口
215 沸き上げ用送水ポンプ
216 配管
217 配管
218 熱交換器
219 浴水循環ポンプ
220 制御部
221 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に供給された浴水を循環させる循環手段を備えた浴水循環配管と、
前記浴水循環配管に定量放出手段を介して接続された貯蔵容器と、
前記貯蔵容器に貯蔵された浴水添加剤と、
前記定量放出手段の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記浴水添加剤は、樹脂製のマイクロカプセルに充填された状態で、前記貯蔵容器に貯蔵されていることを特徴とする添加剤投入装置。
【請求項2】
前記浴水添加剤は、前記マイクロカプセルに充填された状態で、プラスあるいはマイナスに帯電させた状態にすることを特徴とする、請求項1に記載の添加剤投入装置。
【請求項3】
前記浴水循環配管と前記定量放出手段との間に、前記浴水添加剤の前記浴水への溶解を行う添加剤溶解槽と、
前記添加剤溶解槽と前記浴水循環配管との間に、前記添加剤溶解槽と前記浴水配管との流路の開閉を行う開閉弁と、
を備え、
前記制御部は前記開閉弁および前記定量放出手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の添加剤投入装置。
【請求項4】
前記添加剤溶解槽内の浴水を加温する加熱手段を備えたことを特徴とする、請求項3に記載の添加剤投入装置。
【請求項5】
前記浴水循環配管の前記貯蔵容器との接続部の上流側に、循環する前記浴水にマイクロバブルを添加するマイクロバブル発生手段を備え、
前記マイクロバブル発生手段により前記浴水内にマイナスに帯電したマイクロバブルが供給されるとともに、
前記マイクロカプセルはプラスに帯電しており、前記浴水中に前記制御部により添加するように構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の添加剤投入装置。
【請求項6】
前記浴水循環配管の前記貯蔵容器との接続部近傍または下流側に、前記制御部により電位を制御可能な電極部を備え、
前記制御部は、前記電極を前記マイクロカプセルが帯電している電位と逆電位とするよう制御することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の添加剤投入装置。
【請求項7】
前記浴水循環配管の前記貯蔵容器との接続部の下流側に、前記浴水に溶けきらない前記浴水添加剤を捕集する捕集手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の添加剤投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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