説明

清掃具

【課題】柄の長さを調整することが可能であり、かつその柄の長さを一定に保持することができる清掃具を提供する。
【解決手段】長さを調整できる柄2と、前記柄2に着脱可能に取付けられる清掃部材3とを具備し、前記柄2は、相互にスライド可能な内筒4と外筒5とを有し、外筒5に係止手段8が設けられ、内筒4に前記係止手段8が係止される被係止手段が設けられ、前記係止手段8は係止凸部を有し、前記被係止手段はその係止凸部が係止される複数の係止凹部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などの水廻り箇所の清掃に好適な清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記水回り箇所での清掃に用いる清掃具は従来から種々のものが多数提案されており、例えば浴槽下床面を清掃する清掃具として、柄の先端にブラシが設けられた構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平3−13893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1の清掃具にあっては、柄の長さが一定となった構成であるため、例えば高低差の大きい清掃箇所に対して或いは清掃作業を行う人の身長によっては使い難い場合がある。そこで、柄の長さを可変できる構成とすることが望まれている。その構成として、柄を内筒と外筒で構成し、外筒の先端部に設けた回転部材を回して外筒先端部を径方向内側へ歪ませて内筒に対する締め付け力を調整することで、柄全体の長さを可変することができるようになったものが知られている。しかし、この構成による場合には、例えば回転部材の緩みにより清掃中に前記締め付け力が弱くなって柄の長さが変化するという難点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、柄の長さを調整することが可能であり、かつその柄の長さを一定に保持することができる清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係る清掃具は、長さを調整できる柄と、前記柄に固着されまたは着脱可能に取付けられる清掃部材とを具備し、前記柄は、相互にスライド可能な内筒と外筒とを有し、外筒に係止手段が設けられ、内筒に前記係止手段が係止される被係止手段が設けられ、前記係止手段は係止凸部を有し、前記被係止手段はその係止凸部が係止される複数の係止凹部を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明に係る清掃具は、請求項1に記載の清掃具において、前記被係止手段を有する内筒は、断面が概略円形の金属製であって、軸方向に沿ってスリット条が形成されるとともに、そのスリット条に前記複数の係止凹部を片面に有する樹脂片が、樹脂片の幅方向両端に設けた凹溝に上記スリット条を挟む両側の縁部を挿入し、かつ前記片面を外側に向けた状態で嵌め込まれており、上記係止凹部の底面が平坦に形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明に係る清掃具は、請求項1または2に記載の清掃具において、前記清掃部材は、首振り可能な清掃部材本体を有するとともに、首振り方向での位置を変えて設けた複数の係合穴と、これら複数の係合穴の一つに挿入される突起とを有し、前記突起が係合穴の一つに挿入されることで清掃部材本体を複数の角度の一つに固定することができるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の清掃具にあっては、柄の構造が、外筒に対して内筒を相対的に出し入れして係止凸部を複数の係止凹部の一つに係止する構造であるため、柄の長さの段階的な調整が可能になる。これにより、例えば清掃作業を行う人の身長に拘わらずに使い易くすることができるとともに、清掃対象面の高さ位置を選ばない。また、係止凸部と係止凹部との係止によるため、外筒と内筒との間の位置ズレを防止することができ、柄の長さを一定に保持することができる。更に、柄に対して清掃部材を着脱可能に取付ける構成とする場合には、清掃部材として複数種類のものを用意しておくことで、例えばバスタブの内側の平滑面に適したスポンジ束子や、浴室の凹凸のある床面に適した刷毛などを用意しておくことで、清掃対象面に応じて清掃部材を付け替えると、清掃対象面に最適な清掃が可能になる。
【0009】
請求項2の清掃具による場合には、内筒自体が金属であっても、複数の係止凹部を有する被係止手段が樹脂で作製されているので、その係止凹部に係止させる係止凸部を有する係止手段を同様の樹脂で作製しても、係止凸部が摩耗により損傷することを抑制することができる。また、樹脂片をスリット条に嵌め込みにより取付けるので、仮に樹脂片を金属製の内筒に貼着等により取付ける場合よりも長期にわたり樹脂片の脱落を防止できる。更に、係止凹部の底面が平坦であるので、係止凸部が係止凹部に確実に引っ掛かり易くなり、抜け防止の向上化が図れる。
【0010】
請求項3の清掃具による場合には、柄に対する清掃部材本体の角度をフリーにしたり、或いは一定角度に固定したりすることができる。よって、清掃の仕方の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る清掃具を示す正面図であり、図2はその分解正面図である。
【0013】
この清掃具1は、長さを調整できる柄2と、柄2の先端に着脱可能に取付けられる清掃部材3とを具備する。
【0014】
柄2は内筒4と外筒5と把持部6とを有し、外筒5に対して内筒4を相対的に出し入れすることにより長さ調整が可能でかつ所定長さに固定できるようになっている。具体的には、内筒4は下側が平面状になった概略断面円形のもので、その下側の平面部分に係止凹部7aを部分的に有する被係止部材7が設けられている(図3参照)。一方、外筒5は、内筒4よりも大きい内径を有するもので、その内側に、被係止部材7を有する内筒4が出入り可能に設けられている。外筒5の先端には、前記係止凹部7aに係止する係止凸部8aを有する係止手段8が設けられている。この係止手段8は、揺動可能になっていて、基端部(図3の右端部)をばね付勢力に抗して押し込むと先端側に設けた前記係止凸部8aが内筒4の外表面から離れ、基端部を離すとばね付勢力により内筒4に接近して押圧する(図3参照)。よって、係止凸部8aと係止凹部7aとの相対的な位置を合わせることで、柄2を所定長さに固定できる。上記係止凸部8aは先端面が平坦に形成されている。
【0015】
内筒4はその先端側に取付部9を有する。取付部9は、断面が半円形の固定部9aと、固定部9aの先端部から分岐して後端側が固定部9aに対して離隔距離を変化させる片持ち支持の揺動部9bと、揺動部9bの外側に設けたロック部9cとを備える。
【0016】
清掃部材3は、内筒4の取付部9に着脱可能に取付けられる被取付部10aを有する支持部材10と、清掃対象面(図示せず)に当接させる清掃部材本体11とを有する。
【0017】
支持部材10は、基端側の被取付部10aが筒状に形成され、その筒状の被取付部10aの内側に取付部9を挿入して、被取付部10aに設けたロック穴12に、ロック部9cを内側から係合させることで支持部材10と柄2の内筒4とが一体化する。逆に、ロック部9cを押し込んでロック穴12から外し柄2を引き抜くと、支持部材10と柄2とを分離させ得る。
【0018】
また、支持部材10は、先端部に所定の間隔をあけた一対の支持片13を有し、各支持片13の内側には軸13aが設けられ(図4参照)、支持部材10の先端側には、支持片13よりも基端側にスライド部材14がスライド可能に設けられている(図5参照)。
【0019】
清掃部材本体11は、支持部材10と連結部15を介して連結された支持板16の下側に設けられている。この清掃部材本体11は、最上層11aと中間層11bと最下層11cとからなる3層構造のスポンジで構成されている。
【0020】
連結部15は、支持板16の上に設けられた、上部を半円状に形成された突出部17と、上記一対の支持片13とで構成されている。突出部17の上部には、前後方向に円形孔17aが設けられ、この円形孔17aの両端部に前記軸13aを嵌め込んで、支持板16と柄2とが連結される(図4参照)。
【0021】
また、突出部17の外周面には高さ位置、より詳細には後述する首振り動作を行う方向での位置を変えて2つの係止穴18a、18bが設けられている(図5参照)。これらの係止穴18a、18bの一方には、前記スライド部材14の先端に設けた2つの突起19が挿入される。このスライド部材14は、基端側に前後両方の外向きに突出した凸部20を有し、この両凸部20を、支持部材10に設けた凹部21a、21bのいずれかで止めることができる。両凸部20を先端側の凹部21aで止めると、係止穴18a、18bの一方に突起19の挿入が可能となって、清掃部材本体11と柄2との傾き状態を固定することができる。このとき、突起19を上側の係止穴18aに挿入すると、図1の実線で示すように清掃部材本体11と柄2とが傾斜した状態となり、突起19を下側の係止穴18bに挿入すると、図1の二点鎖線で示すように清掃部材本体11と柄2とが平行な状態となる。図1、図2中の14aはスライド部材14をスライドさせる操作に用いる操作部である。
【0022】
また、両凸部20を後端側の凹部21bで止めると、突起19が突出部17の外周面から離れた状態となって、清掃部材本体11が柄2に対してフリーとなり自由に首振り動作を行うことができる。
【0023】
前述した被係止手段7を有する内筒4は、図6に示すように、断面が概略円形の錆び難い金属製、例えばアルミニウム製であって、軸方向に沿ってスリット条41が形成されるとともに、そのスリット条41に被係止手段7が嵌め込まれている。被係止手段7は、前記複数の係止凹部7aを片面に有する樹脂片で構成されていて、その樹脂片からなる被係止手段7の幅方向両端に設けた一対の凹溝7b、7bに上記スリット条41を挟む両側の縁部42、42を挿入し、かつ前記係止凹部7aを外側に向けた状態で嵌め込まれている。この嵌め込みは、被係止手段7の凹溝7bと内筒4の縁部42とを一致させた状態で、内筒4の軸方向一端側から被係止手段7をスライドさせることで行われる。そして、嵌め込み後に内筒4に対して被係止手段7を固定することで位置決めしている。また、上記係止凹部7aの底面7cが平坦に形成されている。
【0024】
このように構成された本実施形態に係る清掃具にあっては、柄2と清掃部材3とが分離可能であるので、清掃部材3として複数種類のもの、例えば図1に示した3層(11a、11b、11c)構造のスポンジで構成された清掃部材本体11を有する清掃部材3と、図7に示すように支持部材10と連結部15を介して連結された支持板16の下側に設けられた刷毛からなる清掃部材本体11Aを有する清掃部材3Aとを用意しておくことで、清掃対象面に応じて清掃部材3または3Aを付け替えると、清掃対象面に最適な清掃が可能になる。このとき、清掃部材3と清掃部材3Aとにおける各支持部材10の被取付部10aを共通化させて、取付部9に対して付け替え可能な構成としておく。清掃部材3の場合には、例えばバスタブの内側の平滑面に適した清掃が可能で、清掃部材3Aの場合には、例えば浴室の凹凸のある床面に適した清掃が可能である。なお、清掃部材3Aは、清掃部材本体11Aを除く他の部分が清掃部材3と同様に構成されたものである。
【0025】
また、本実施形態においては、外筒5に対して内筒4を相対的に出し入れして係止凸部8aを複数の係止凹部7aの一つに係止することで、柄2の長さを段階的に調整することができる。これにより、例えば清掃作業を行う人の身長に拘わらずに使い易くすることができるとともに、清掃対象面の高さ位置を選ばない。加えて、係止凸部8aと係止凹部7aの係止によるため、外筒5と内筒4との間の位置ズレを防止でき、柄2の長さを一定に保持することができる。更に、内筒4の取付部9に、清掃部材3の被取付部10aを取付けることで、柄2と清掃部材3とを一体化させ得る。そして、清掃部材本体11、11Aを清掃対象面に当接させて清掃を行うことができる。更にまた、柄2に対する清掃部材本体11、11Aの角度をフリーにしたり、或いは一定角度に固定したりすることができるので、清掃の仕方の自由度が向上する。
【0026】
更に、本実施形態においては、内筒4自体が金属(例えばアルミニウム)であっても、複数の係止凹部7aを有する被係止手段7が樹脂で作製されているので、その係止凹部7aに係止させる係止凸部8aを有する係止手段8を同様の樹脂で作製しても、係止凸部8aが摩耗により損傷することを抑制することができる。また、樹脂片である被係止手段7をスリット条41に嵌め込みにより取付けるので、仮に樹脂片である被係止手段7を金属製の内筒4に貼着等により取付ける場合よりも長期にわたり樹脂片である被係止手段7の脱落を防止できる。更に、係止凹部7aの底面7cが平坦であるので、先端面が平坦な係止凸部8aが係止凹部7aに確実に引っ掛かり易くなり、抜け防止の向上化を図り得る。
【0027】
なお、上述した実施形態では外筒5に対して内筒4を出し入れすることにより柄2の長さを調整するように構成しているが、本発明はこれに限らず、径が異なる3以上の筒体で柄を構成して長さ調整を行うようにしてもよい。
【0028】
また、上述した実施形態では柄2に対して着脱可能に取付けられる清掃部材3として、清掃部材本体11がスポンジからなるもの(図1参照)と刷毛からなるもの(図7参照)の2種類を例示しているが、本発明はこれに限らず、3種類以上のものを用いることができる。例えば、図示を省略するが、清掃部材本体11が亀の子束子のようなブラシを用いたものなどを加えてもよい。このように多種類の清掃部材を用いることで、より好ましい状態で清掃を行うことが可能になる。
【0029】
更に、上述した実施形態では柄2に対して清掃部材3が着脱可能に取付けられる構成としているが、本発明はこれに限らず、柄2と清掃部材3が分離不可能に固着された構成のものに対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る清掃具を示す正面図である。
【図2】図1の分解正面図である。
【図3】柄を構成する内筒と外筒との繋ぎ部を示す正面図である。
【図4】清掃部材の構成を示す平面図である。
【図5】清掃部材の構成を図1の右側から見た右側面図である。
【図6】柄を構成する内筒の断面図である。
【図7】他の清掃部材の例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 清掃具
2 柄
3、3A 清掃部材
4 内筒
5 外筒
7 被係止部材
7a 係止凹部
7b 凹溝
7c 底面
8a 係止凸部
8 係止手段
9 取付部
10a 被取付部
10 支持部材
11、11A 清掃部材本体
15 連結部
16 支持板
41 スリット条
42 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さを調整できる柄と、
前記柄に固着されまたは着脱可能に取付けられる清掃部材とを具備し、
前記柄は、相互にスライド可能な内筒と外筒とを有し、外筒に係止手段が設けられ、内筒に前記係止手段が係止される被係止手段が設けられ、前記係止手段は係止凸部を有し、前記被係止手段はその係止凸部が係止される複数の係止凹部を有することを特徴とする清掃具。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃具において、
前記被係止手段を有する内筒は、断面が概略円形の金属製であって、軸方向に沿ってスリット条が形成されるとともに、そのスリット条に前記複数の係止凹部を片面に有する樹脂片が、樹脂片の幅方向両端に設けた凹溝に上記スリット条を挟む両側の縁部を挿入し、かつ前記片面を外側に向けた状態で嵌め込まれており、上記係止凹部の底面が平坦に形成されていることを特徴とする清掃具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の清掃具において、
前記清掃部材は、首振り可能な清掃部材本体を有するとともに、首振り方向での位置を変えて設けた複数の係合穴と、これら複数の係合穴の一つに挿入される突起とを有し、前記突起が係合穴の一つに挿入されることで清掃部材本体を複数の角度の一つに固定することができるように構成されていることを特徴とする清掃具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−173331(P2008−173331A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10429(P2007−10429)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(591109212)東和産業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】