説明

清掃用具

【課題】柔軟性の無い凹凸面や、書画等のデリケートなものに付着した塵埃を適切に清掃することのできる清掃用具を提供する。
【解決手段】被清掃面にその先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取り部(267)を有する掃き取りブラシ(260)と、前記掃き取り部(267)の先端部が接触して前記塵埃が転位付着する除去ブラシ(271)と、この除去ブラシ(271)を回動可能に取付け且つ、その内部空間の集塵部に除去ブラシに付着した塵埃を転位付着させて集塵部に移送収納させるための塵埃移送ブラシ(273)を有する集塵ユニットとを備えた清掃用具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃用具にかかり、特に凹凸のある平板状の被清掃物の清掃に好適な、塵埃の清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の用途に向けて種々の種類の清掃用具が考案されている。例えば、衣服用、床清掃用として傾斜して設けた植毛若しくは樹脂繊維を有するブラシを使用し、衣服や床の塵埃を除去する清掃用具が種々提案されている。
【0003】
特許文献1は、往復運動で衣服をブラッシングすることにより、衣服の表面に付着している塵埃を除去し、集塵室に収納することのできる自動集塵清掃用ブラシについて開示されている。
【0004】
特許文献2は、洋服ブラシの外筒および内筒に傾斜したパイル群を備え、この内筒の傾斜したパイル群を衣服等に接触させながら転動させ、衣服等からゴミを除去する。そして、内筒の転動により外筒のパイル群と内筒のパイル群が回動接触し、除去したゴミを内筒内の集塵室に収納する洋服ブラシが開示されている。
【0005】
特許文献3は、特許文献2の衣服ブラシと同様な構造をしており、ブラシ面に付着した塵埃をブラシ面から取り除き、ブラシの内部に収納する衣服用ブラシについて開示されている。
【0006】
特許文献4は、ローラブラシと回動ブラシを備える器体を、カーペット上で往復動させることにより、カーペット上の塵埃を掃き取って、集塵室内に収納するカーペットスイーパーについて開示されている。
【0007】
【特許文献1】特公昭56−6762号公報
【特許文献2】特許3439459号公報
【特許文献3】特許3557468号公報
【特許文献4】特公昭63−40535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の清掃用具は、衣服、床面に適したものであるが、衣服や床面とは性質若しくは状態の異なる被清掃面に対しては、柔軟な使用が出来ない場合がある。
【0009】
例えば、空気調和機の集塵フィルターのようにブラシの毛足の被清掃面方向の寸法よりも大きな寸法の凹凸を有する面の場合は、ブラシの毛足が凹部の塵埃に接触することが出来ない。また、書画のような場合は、表面の凹凸の状態を出来る限り維持したままで表面の塵埃を除去するのが、被清掃面を損傷させなくできる。しかし、ブラシの毛足の被清掃面方向寸法が小さいため、被清掃面の凹部までブラシの先端を接触するように押し付けてしまう可能性が高い。すなわち、毛足の被清掃面方向の寸法が小さい、しかも逆目方向に傾斜しているので、毛先がしなやかに曲がらない。このため、毛先が被清掃面の紙の繊維や絵の具の罅等に食い込み、紙の繊維や絵の具を損傷させる虞がある。
このように、従来技術は、絵画、掛け軸などの美術的造形物や空気調和機の集塵フィルターの清掃には適さないものである。
【0010】
本発明は、大きく凹凸した面や、書画等のように表面の保護の必要性が高いものの表面の塵埃を、安全且つ容易に除去できる清掃用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するために、被清掃面にその先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取り部を有する掃き取りブラシと、前記掃き取り部の先端部が接触して前記塵埃が転位付着する除去ブラシと、この除去ブラシを回動可能に取付け且つ、その内部空間の集塵部に前記除去ブラシに付着した塵埃を転位付着させて集塵部に移送収納させるための塵埃移送ブラシとを有する集塵ユニットとを備えたものである。
【0012】
また、被清掃面にその先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取り部を有する掃き取りブラシと、前記掃き取り部の先端部が接触して前記塵埃が転位付着する除去ブラシと、この除去ブラシを回動可能に取付け且つ、その内部空間の集塵部に前記除去ブラシに付着した塵埃を移送収納させるための塵埃移送ブラシを有する集塵ユニットと、
前記掃き取り部を支える掃き取りブラシ支え部と、これら掃き取り部と掃き取りブラシ支え部がその一端面に固定支持された直線状の把持部とを備え、前記掃き取り部が、獣毛若しくは樹脂繊維などを束ね若しくは植毛して形成されて成る清掃用具としたものである。
【0013】
更に、前記塵埃移送ブラシを、先端部が塵埃の戻りを防止するように集塵部の方向に傾斜させたものである。
【0014】
また、掃き取り部を支える把持部の両端にガイド部を有し、このガイド部が係合して掃き取り部の先端部の除去ブラシへの押し付け力を所定にするレール部を集塵ユニットが備えるようにしたものである。
【0015】
更には、集塵ユニットを、一体に被清掃物載置台を有すると共に、レール部をこの被清掃物載置台に連続するように延長して設けられて、掃き取りブラシの移動方向及び被清掃面への押し付け力を所定にするようにしたものである。
【0016】
また、集塵ユニットを、上面以外の外面に塵埃排出口及びこの塵埃排出口を覆う蓋体を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、被清掃面にその先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取り部を備えることにより、柔軟性の無い被清掃面の凹凸面に大きすぎる押し付け力が加わり難く、被清掃面を損傷する虞れを小さくすると共に塵埃を適切に清掃することができる。
【0018】
請求項2によれば、掃き取り部を支える掃き取りブラシ支え部を有することにより、ブラシの先端部が湾曲しすぎず適度に湾曲するようになり、これによって被清掃面の塵埃をブラシの先端部の湾曲した側面で被清掃面に不適切に押し付けることが防止される。したがって、被清掃面の塵埃を適切に掃き取って、取り残しを少なくすることができると共に、ブラシの先端部の過度に湾曲した側面で塵埃を被清掃面に過度に押し付け損傷させることを防止できる。
【0019】
請求項3によれば、塵埃移送ブラシを、先端部が塵埃の戻りを防止するように集塵部の方向に傾斜させたことにより、掃き取りブラシが被清掃面の塵埃を集塵ユニットの内部空間の集塵部まで確実に移送し、収納することができる。
【0020】
請求項4によれば、掃き取り部を支える把持部の両端にガイド部を有し、このガイド部が係合して掃き取り部の先端部の除去ブラシへの押し付け力を所定にするレール部を集塵ユニットが備えたことにより、掃き取り部先端部の除去ブラシへの押し付け力(寸法)が適度にできる。これによって、掃き取り部の先端部の湾曲(変形)を、除去ブラシへ塵埃を転位付着させるのに適した状態にできる。
【0021】
請求項5によれば、一体に被清掃物載置台を有すると共に、レール部をこの被清掃物載置台に連続するように延長して設けられて、掃き取りブラシの移動方向及び被清掃面への押し付け力を所定にすることにより、被清掃面を掃くときの掃き取り部の先端部の湾曲(変形)が適度になり、掃き取り部の先端部が被清掃面を掃く力が一定になる。
【0022】
請求項6によれば、集塵ユニットを、上面以外の外面に塵埃排出口及びこの塵埃排出口を覆う蓋体を設けたことにより、貯留された塵埃が適宜な量に達したときに集塵ユニットの蓋体を開け、内部の塵埃を容易に廃棄出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0024】
図1〜図7により、本発明に係る実施例1の説明をする。図1は実施例1の清掃用具の斜視図である。図2(a)は閉じた状態の図1のブラシ組品の斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A拡大断面図である。図3(a)は開いた状態の図1のブラシ組品の斜視図、図3(b)は図3(a)のB−B拡大断面図である。図4は実施例1の清掃用具の使用状態説明図である。図5〜7は実施例1の清掃用具の動作説明図である。
【0025】
図1〜図3において、260、270で総括的に示すのは掃き取りブラシ及びブラシ組品である。掃き取りブラシ260は把持部262の下面に獣毛、樹脂繊維などを植毛して掃き取り部267となし、これと平行に掃き取りブラシ支え268を設けている。把持部262を手で持って、被清掃面を掃くことにより、被清掃面に付着している塵埃236(図5参照)を掃き取る。
【0026】
ブラシ組品270は、集塵ユニットを構成するものであり、図3(b)に示すように、ブラシホルダー276内に空洞を設けて集塵部276aとなし、除去ブラシ271、塵埃移送ブラシ273を回動自在に軸支し、押圧ばね278で塵埃移送ブラシ273を除去ブラシ271に押付け、蓋体284で塵埃排出口276bを閉じ、集塵部276aを外部から隔絶する構造になっている。
【0027】
該除去ブラシ271にはひれ271eを境にして除去ブラシ面271aと非ブラシ面271bを設け、図3(b)の回動位置で除去ブラシ面271aが外部に露出し、図2(b)の回動位置で除去ブラシ面271aがブラシホルダー276内に潜り込み、潜り込むときに塵埃移送ブラシ273の塵埃移送ブラシ面273aに摺動接触する。
【0028】
図3(b)の矢印の方向に除去ブラシ271を回動するときはひれ271eがブラシホルダー276の上部の開口縁に当接してストッパーとなり図3(b)の回動位置以上に矢印方向に回動することはない。また、図2(b)の矢印の方向に除去ブラシ271を回動するときはひれ271eが塵埃移送ブラシ273の縁に当接してストッパーとなり図2(b)の回動位置以上に矢印方向に回動することはない。
【0029】
この清掃用具を使用して被清掃物22の清掃を行うときには、図4のように被清掃物22を適宜なテーブル20に置き、掃き取りブラシ260の把持部262を持ち図5(a)のように被清掃面を掃く。このとき、ブラシで被清掃面を適切な押付け力で掃くのが良い。押付け力が小さすぎると、掃き取り部267の先端部が接触しない若しくは適度に接触せずに、被清掃面の凹んだ部分に付着した塵埃236を適切に掃き取ることができない。また、押付け力が大きすぎると、掃き取り部267の先端部が大きく曲がりすぎた状態で接触して、被清掃物22の表面を過度に押すことになり被清掃物22を損傷してしまう虞が大きく且つ掃き取り部267の先端部の側面で塵埃を擦るだけで適切に掃き取ることができない虞を有している。
【0030】
掃き取り部267は軟毛製でできているので被清掃面をほとんど変形させないで被清掃面の凹凸に追従してその表面を掃除することができ、被清掃面の塵埃236は軟毛の掃き取り部267に掃き取られ被清掃物22は均一に清掃される。
【0031】
このとき、掃き取り部267のすぐ後ろに設けられている掃き取りブラシ支え268が掃き取り部267の変形を抑制し、掃き取り部267に適度な腰の強さを与え、被清掃面に過度の押付け力を与えること無しに被清掃面の塵埃236を効率よく掃き取る。
【0032】
次に、ブラシ組品270の除去ブラシ271のひれ271eをつまんで除去ブラシ271を回動させ、除去ブラシ面271aを露出させる。掃き取りブラシ260の把持部262を持ち、図5(b)のように掃き取り部267を除去ブラシ271の除去ブラシ面271aに接触させて移動することで、掃き取り部267に掃き取られた被清掃物22の塵埃236は除去ブラシ面271aに傾斜植毛された植毛部の傾斜に逆らって摺動接触し、除去ブラシ面271aの逆傾斜植毛部に掻き取られる。
【0033】
次に、除去ブラシ271に掻き取られた塵埃236は、図6(a)(b)の矢印のように除去ブラシ271を回動させて塵埃移送ブラシ273の傾斜植毛部の傾斜に順方向に摺動接触させることで、塵埃236は除去ブラシ271の傾斜植毛部に保持されたまま、除去ブラシ271と塵埃移送ブラシ273の摺動接触面に押し込まれる。
【0034】
ここで、塵埃移送ブラシ273は押圧ばね278で押圧されているのでの除去ブラシ面271aと塵埃移送ブラシ面273aとが摺動接触し、除去ブラシ271と塵埃移送ブラシ273との摺動接触面に入った塵埃236は、図7(a)(b)の矢印のように除去ブラシ271を逆方向に回動させて戻すときに塵埃移送ブラシ273の傾斜植毛部の傾斜が除去ブラシ271の移動方向と逆方向になるため、塵埃移送ブラシ273に掻き取られ、塵埃移送ブラシ273に保持される。これらの動作を繰り返すことにより、塵埃236は除去ブラシ271と塵埃移送ブラシ273により、順次に奥に押し込まれ、塵埃移送ブラシ273の排出側、つまり、集塵部276aに達し、順次に押し込まれてくる塵埃236に押されて集塵部276aに落下し貯留される。
【0035】
貯留された塵埃236が適宜な量に達したときには集塵容器(集塵ユニット)276の蓋体284の係止部284aを外して蓋体284を開き、内部の塵埃236を取り出し、廃棄する。
【実施例2】
【0036】
図8〜図10により、実施例2の説明をする。図8は実施例2の清掃用具の動作説明図である。図9は実施例2の清掃用具の斜視図である。図10は実施例2の清掃用具の使用状態説明図である。
【0037】
前述のように、被清掃物をブラシで清掃するときには、ブラシで被清掃面を適切な押付け力で掃くのが良い。このためには、適切な押付け力で被清掃面を掃くことが肝要である。
【0038】
実施例2は一様な押付け力を保持しながら掃き取りブラシ260を移動できるようにした清掃用具を提供するものである。実施例2は実施例1のブラシ組品270に被清掃物22を載置する被清掃物載置台288と掃き取りブラシ260の移動するときの被清掃物22からの距離を一定に保つレール部289を加え、掃き取りブラシ260に該レール部289上を移動するように案内するガイド部264を設けたものである。
【0039】
実施例1と同じ部分には同じ符号をつけ、説明を省略する。図8〜図10において、288はブラシ組品270と一体化した被清掃品22の載置台であり、ブラシ組品270の除去ブラシ271を挟むように設けたレール部289を有している。他方、掃き取りブラシ260の把持部262の両端に該レール部289を跨ぐようにガイド部264が設けられている。
【0040】
実施例2の清掃用具を使用して被清掃物22の清掃を行うときは、被清掃物載置台288に被清掃物22を置き、適宜な方法で固定する。次に掃き取りブラシ260を図10のように被清掃物載置台288のレール部289に跨らせ、ブラシ組品270の方向に移動させる。
【0041】
これにより、被清掃面を掃き取りブラシ260で掃く。掃き取りブラシ260はそのガイド部264が被清掃物載置台288のレール部289に沿って移動し、掃き取りブラシ260の把持部262と被清掃物22との距離が一定に保たれる。
【0042】
従って、掃き取り部267の先端部が被清掃面を掃くときの先端部の変形が一様になり、掃き取り部267の先端部が被清掃面を掃く力が一定になる。
【0043】
このため、被清掃面の塵埃236を適切に掃き取ることができると共に、過度の力で被清掃面を傷つけることがなくなる。
【0044】
尚、適切なブラシの押付け力は、被清掃物の性質や状態、ブラシの材質・種類により変化するので、被清掃物載置台288のレール部289の高さを可変にするのも良い。
【0045】
これにより、掃き取り部267が被清掃物22に摺動接触しながら掃くように移動し、被清掃物22上の塵埃236を掃き取り部267に掃き取り、被清掃物載置台288終端の除去ブラシ271に移動させる。
【0046】
掃き取り部267の毛は例えばJIS S3016に規定する毛の硬さ50以下の柔らかな毛を使用するのが良い。このように、掃き取り部267に軟毛を使用するので、被清掃物22を変形させる力が小さく、空気調和機の集塵フィルターのように被清掃面が丈夫とは言えないものや、書画のような表面の状態が凹凸し且つデリケートな表面の被清掃物22でも適切に清掃することができる。
【0047】
一般的な被清掃物としては、例えば空気調和機に使用される集塵フィルターが挙げられる。これは、塵埃を効果的に捕集できるように細い線を細かに編んだ網が用いられ、更に、費用を抑制するためプラスチクス製のものが多用されており、この表面を定期的に清掃する必要がある。また、網の変形を抑制するため、枠が設けられ網の形状を保持し、柔軟性の小さい凹凸面で構成されている。
【0048】
また、絵画、掛け軸などの美術的造形物では、表面の凹凸も含めて表面状態を損傷しないように維持、管理しておく必要がある。しかし、清掃や維持、管理に際して、電気掃除機のように細かな塵埃を室内に飛散させることの無いように従来の衣服用のブラシなどを使用して、清掃を行おうとすると、次のような不具合な点が生ずる。
【0049】
つまり、集塵フィルターを掃除しようとして集塵フィルター面にブラシ等を強く押し付けると集塵フィルターの柔軟性が乏しいため、集塵フィルターの局部的な変形は抑制されるが広範囲な変形は抑制されず、ブラシが強く当たる所と、弱く当たる所ができ、集塵フィルター面の掃除が不均一になる。
【0050】
また、絵画、掛け軸などの美術的造形物では、被清掃物を衣服等のように馴染ませることができないので、ブラシ面が短い立毛群で形成されているため被清掃面に立毛の高さと同程度の凹凸があると清掃されない部分ができる。
【0051】
このように、被清掃物が衣服等であればブラシを強く押し当てることで被清掃面をブラシ面に馴染ませ清掃することができるが被清掃物を馴染ませることができない物品の清掃には適さない。
【0052】
これに対し、実施例の清掃用具で清掃するときは、被清掃面を軟毛のブラシで掃くことで被清掃物の変形がほとんど無い状態で被清掃物を掃除することができ、被清掃面の塵埃は軟毛のブラシに掃き取られ被清掃物は均一に清掃される。
【0053】
このとき、ブラシに沿って設けられている掃き取りブラシ支えがブラシの変形を抑制し、ブラシに適度な腰の強さを与え、被清掃面に過度の押付け力を与えず、被清掃面の塵埃を効率よく掃き取る。
【0054】
軟毛のブラシに掃き取られた塵埃は、軟毛のブラシを除去ブラシに摺動接触することで除去ブラシに掻き取られる。
【0055】
次に、除去ブラシに掻き取られた塵埃は、除去ブラシを回動させて塵埃移送ブラシに摺動接触させることで、塵埃は除去ブラシに保持されたまま、除去ブラシと塵埃移送ブラシの摺動接触面に押し込まれる。
【0056】
次に、摺動接触面に入った塵埃は、除去ブラシを逆方向に回動させて戻すときに塵埃移送ブラシに掻き取られ、塵埃移送ブラシに保持される。これらの動作を繰り返すことにより、塵埃は除去ブラシと塵埃移送ブラシにより、順次押し込まれ、塵埃移送ブラシの塵埃排出側に移送され、集塵容器(集塵ユニット)の集塵部に落下し貯留される。
【0057】
このため、柔軟性の無い凹凸面や、書画に付着した塵埃を適切に清掃することができる清掃用具を得ることができる。
【0058】
また、一般に、被清掃物をブラシで清掃するときには、ブラシで被清掃面を適切な押付け力で掃くのが良い。押付け力が小さすぎると、被清掃面に付着した塵埃を適切に掃き取ることができなく、また、押付け力が大きすぎると、被清掃物の表面を過度に押すことになり被清掃物を損傷してしまう恐れが大きくなる。
【0059】
このためには、適切な押付け力で被清掃面を掃くことが肝要である。
【0060】
実施例の清掃用具で被清掃物を清掃する場合には、被清掃物を被清掃物載置台に載置し固定する。そして、掃き取りブラシを被清掃物載置台のレール部に係合し、被清掃面をブラシで掃く。これにより、掃き取りブラシはそのガイド部が被清掃物載置台のレール部に沿って移動し、ブラシの把持部と被清掃物との距離が一定に保たれる。
【0061】
従って、掃き取り部の先端部が被清掃面を掃くときのブラシ先端部の変形が一様になり、掃き取り部の先端部が被清掃面を掃く力が一定になる。このため、被清掃面の塵埃を適切に掃き取ることができると共に、過度の力で被清掃面を傷つけることがなくなる清掃用具を得ることができる。
【0062】
尚、適切なブラシの押付け力は、被清掃物の性質や状態やブラシの材質・種類により変化するので、被清掃物載置台のレールの高さを可変にするのも良い。
【0063】
また、別の実施例では、掃き取りブラシの把持部を持ち掃き取り部を除去ブラシに接触させて移動することで、掃き取り部に掃き取られた被清掃物の塵埃は掃き取り部を傾斜植毛された除去ブラシの傾斜に逆らって摺動接触し、除去ブラシの傾斜植毛部に掻き取られる。
【0064】
次に、除去ブラシに掻き取られた塵埃は、除去ブラシを回動させて塵埃移送ブラシの傾斜植毛部の傾斜に順方向に摺動接触させることで、塵埃は除去ブラシの傾斜植毛部に保持されたまま、除去ブラシと塵埃移送ブラシの摺動接触面に押し込まれる。
【0065】
ここで、除去ブラシと塵埃移送ブラシのブラシ面は押圧ばねで押圧されているので摺動接触面に入った塵埃は、除去ブラシを逆方向に回動させて戻すときに塵埃移送ブラシの傾斜植毛部の傾斜が除去ブラシの移動方向と逆方向になるため、塵埃移送ブラシに掻き取られ、塵埃移送ブラシに保持される。これらの動作を繰り返すことにより、塵埃は除去ブラシと塵埃移送ブラシにより、順次に奥に押し込まれ、塵埃移送ブラシの排出側、つまり、集塵部に達し、順次に押し込まれてくる塵埃に押されて集塵部に落下し貯留される。
【0066】
貯留された塵埃が適宜な量に達したときには集塵容器(集塵ユニット)の蓋体を開け、内部の塵埃を取り出し、廃棄する。このため、被清掃物を乾燥状態のまま、室内に微細な塵埃を飛散させることなく、被清掃面の塵埃を掃除して集塵容器まで移送し、貯留し、廃棄することができる清掃用具を得ることができる。
【0067】
また、別の実施例によれば、前記除去ブラシはブラシ面と非ブラシ面を有し、ブラシ面と非ブラシ面を選択して外面に露出できる。
【0068】
これにより、除去ブラシのブラシ面が外面に露出しているときに、掃き取り部を除去ブラシのブラシ面に摺動接触しながら移動させることで、掃き取り部が掃き取った塵埃を除去ブラシで掻き取り、清掃用具を使用しないときには、除去ブラシの非ブラシ面を外面に露出させることにより、ブラシ面が集塵容器(集塵ユニット)内部に収納されに、不用意に外部の物に接触することが無いので一旦ブラシ面についた塵埃が室内を汚す恐れが無い。
【0069】
このため、非清掃時にはブラシ面を内部に隠蔽し、ブラシ面を清浄に保つことができる。また、ブラシ面に付いた塵埃を室内に放出して室内を汚染することが無い清掃用具を得ることができる。
【0070】
また、別の実施例によれば、前記除去ブラシのブラシ面が外面に露出している回動位置で、該除去ブラシの植毛の傾斜方向を該除去ブラシのブラシ面が前記集塵容器(集塵ユニット)(集塵ユニット)内に潜り込む方向とする。
【0071】
これにより、掃き取り部が被清掃物から掃き取った塵埃を除去ブラシのブラシ面が外面に露出している回動位置で、除去ブラシが露出する方向にブラシの前面を摺動接触することで、掃き取り部が掃き取った塵埃を除去ブラシに手際よく掻き取らせることができる。このように、掃き取り部で被清掃物から塵埃を掃き取って、除去ブラシによる掃き取り部からの塵埃の掻き取りまでがスムーズに行われ、掃き取った塵埃が周囲に散乱する機会が最小になる。
【0072】
このため、除去ブラシの塵埃が集塵容器(集塵ユニット)内に一方向に移送され、逆送されることが無いので、集塵容器内の塵埃が室内に散乱する虞の少ない清掃用具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1の清掃用具の斜視図。
【図2】図1の閉じた状態のブラシ組品の斜視図及び拡大断面図。
【図3】図1の開いた状態のブラシ組品の斜視図及び拡大断面図。
【図4】実施例1の清掃用具の使用状態説明図。
【図5】実施例1の清掃用具の動作説明図1。
【図6】実施例1の清掃用具の動作説明図2。
【図7】実施例1の清掃用具の動作説明図3。
【図8】実施例2の清掃用具の動作説明図。
【図9】実施例2の清掃用具の斜視図。
【図10】実施例2の清掃用具の使用状態説明図。
【符号の説明】
【0074】
20…テーブル、22…被清掃物、236…塵埃、260…掃き取りブラシ、262…把持部、264…ガイド部、267…掃き取り部、268…掃き取り部支え、270…ブラシ組品、271…除去ブラシ、271a…除去ブラシ面、271b…非ブラシ面、271e…ひれ、273…塵埃移送ブラシ、273a…塵埃移送ブラシ面、276…ブラシホルダー(集塵容器)、276a…集塵部、276b…塵埃排出口、278…押圧ばね、284…蓋体、284a…係止部、288…被清掃品載置台、289…レール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、この把持部の一端に設けられた獣毛又は樹脂繊維等から成る掃き取り部とを有し、被清掃面に前記掃き取り部の先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取りブラシと、
前記掃き取り部の先端部が接触して前記塵埃が転位付着する除去ブラシと、この除去ブラシを回動可能に取付け且つ、その内部空間の集塵部に前記除去ブラシに付着した塵埃を転位付着させて前記集塵部に移送収納させるための塵埃移送ブラシとを有する集塵ユニットと、を備えたことを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
被清掃面に先端部が摺動接触して塵埃を掃き取ると共にこの塵埃が付着する掃き取り部と、上記掃き取り部を支える掃き取りブラシ支え部と、これら掃き取り部と掃き取りブラシ支え部がその一端面に固定支持された直線状の把持部とを有する掃き取りブラシと、
前記掃き取り部の先端部が接触して前記塵埃が転位付着する除去ブラシとこの除去ブラシを回動可能に取付け且つその内部空間の集塵部に前記除去ブラシに付着した塵埃を移送収納させるための塵埃移送ブラシとを有する集塵ユニットと、を備え、
前記掃き取り部が、獣毛若しくは樹脂繊維などを束ね若しくは植毛して形成されて成ることを特徴とする清掃用具。
【請求項3】
前記塵埃移送ブラシは、先端部が塵埃の戻りを防止するように前記集塵部の方向に傾斜して成ることを特徴とする請求項1または2記載の清掃用具。
【請求項4】
前記掃き取り部を支える把持部の両端にガイド部を有し、このガイド部が係合して掃き取り部の先端部の除去ブラシへの押し付け力を所定にするレール部を集塵ユニットが備えたことを特徴とする請求項1乃至3記載の清掃用具。
【請求項5】
前記集塵ユニットは、一体に被清掃物載置台を有すると共に、前記レール部をこの被清掃物載置台に連続するように延長して設けられて、前記掃き取りブラシの移動方向及び被清掃面への押し付け力を所定にすることを特徴とする請求項4記載の清掃用具。
【請求項6】
前記集塵ユニットは、上面以外の外面に塵埃排出口及びこの塵埃排出口を覆う蓋体を有することを特徴とする請求項3記載の清掃用具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−54922(P2008−54922A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235400(P2006−235400)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】