説明

清掃用物品

【課題】部品点数を抑えるとともに製造工程も容易であるような清掃用物品を提供する。
【解決手段】多数の繊維3を並べて該繊維3の流れ方向を横断する方向に接合して線状接合部5を形成した繊維結束体を折り曲げて重ねることで繊維3の流れ方向に沿ってのびる折り曲げ部4を形成するとともに該折り曲げ部4で連接して互いに重なる繊維層7,7の重なり構造を形成しており、筒状体6が、互いに重なる繊維層7,7の間に介装されており、筒状体6の長手方向が線状接合部5ののびる方向に沿う、ことを特徴とする清掃用物品1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
机や棚、パーソナルコンピューターのキーボードやモニター等などの被清掃面に付着した細かな塵埃を絡め取るために使用される清掃用物品として、様々なものが提案されている。
【0003】
具体的に清掃用物品として、複数の繊維からなる繊維束と、繊維束の上面に積層された上面側シートと、繊維束の下面に積層されるとともに、清掃対象に向かうように配設される清掃対象側シートと、を備えるものが提案されている(特許文献1)。この清掃用物品では、上面側シート及び清掃対象側シートは、いずれもシート状の不織布によって構成され、繊維束に対し積層された状態で繊維束の接合部に接合されており、清掃対象側シートおよび繊維束の繊維は、接合部を固定端とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−319402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の清掃用物品では、清掃対象に接触しうる繊維束の繊維を嵩高な状態にして十分な清掃能力を持たせるには、繊維束及びシート状不織布を幾重にも重ねて束ねた構成にすることが必要となり、部品点数が多く製造工程も多くなり製造コストがかかる虞もある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、部品点数を抑えるとともに製造工程も容易であるような清掃用物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)多数の繊維を並べて該繊維の流れ方向を横断する方向に接合して線状接合部を形成した繊維結束体を折り曲げて重ねることで繊維の流れ方向に沿ってのびる折り曲げ部を形成するとともに該折り曲げ部で連接して互いに重なる繊維層の重なり構造を形成しており、
筒状体が、互いに重なる繊維層の間に介装されており、筒状体の長手方向が線状接合部ののびる方向に沿う、ことを特徴とする清掃用物品、
(2)筒状体は、柄取り付け部を形成している、上記(1)に記載の清掃用物品、
(3)柄取り付け部に把持部材が取り付けられている、上記(2)に記載の清掃用物品、
(4)繊維層の重なり構造を構成する一方の繊維層と他方の繊維層とを筒状体の外側の位置で互いに接合させて点状接合部を形成している、上記(1)から(3)のいずれかに記載の清掃用物品、
(5)筒状体は、繊維結束体の繊維とは異なる色を有する、上記(1)から(4)のいずれかに記載の清掃用物品、を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繊維結束体を折り曲げて繊維層の重なり構造を形成し、その繊維層の間に筒状体を介装させることで、少ない部品点数でも筒状体を中心として全方位的に繊維を嵩高に存在する状態をより均一に形成することができて、部品点数を抑えるとともに製造工程も容易な清掃用物品および清掃用物品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)本発明の清掃用物品の実施例の1つを模式的に示すための概略平面模式図である。(B)図1(A)のA−A線縦断面を模式的に示すための概略断面模式図である。(C)図1(A)のB−B線縦断面を模式的に示すための概略断面模式図である。
【図2】本発明の清掃用物品を使用する際の清掃用物品の状態を模式的に示す斜視模式図である。
【図3】本発明の清掃用物品が繊維層と筒状体の間にシート片を介在させて構成される場合の実施例の1つについて図1(A)のA−A線縦断面に対応する断面の状態を模式的に示すための概略断面図である。
【図4】(A)本発明の清掃用物品の他の実施例の1つを模式的に示すための概略平面図である。(B)図4(A)のC−C線縦断面を模式的に示すための概略断面模式図である。
【図5】(A)本発明の清掃用物品の実施例の1つを製造する方法を説明するための工程断面図である。(B)発明の清掃用物品の実施例の1つを製造する方法を説明するための工程断面図である。(C)本発明の清掃用物品の他の実施例の1つを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の清掃用物品が筒状体に把持部材を取り付けたものである場合における清掃用物品の一実施例を模式的に示す平面模式図である。
【図7】(A)筒状体に対する把持部材の取り付け例を説明する説明図である。(B)筒状体に対する把持部材の取り付け例を説明する説明図である。(C)筒状体に対する把持部材の取り付け例を説明する説明図である。(D)筒状体に対する把持部材の取り付け例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(清掃用物品1の第1実施形態)
(清掃用物品1の構成)
本発明の第1実施形態の清掃用物品1は、図1(A)(B)(C)に示すように、繊維層重なり体2と筒状体6とからなる。繊維層重なり体2は、後述の繊維結束体11を用いて形成される。
【0011】
(繊維結束体11)
繊維結束体11は、多数の繊維3の流れ方向を揃えて繊維3を並べてなる繊維集合体に線状接合部5を形成してなる(図5(B))。線状接合部5は、繊維3の流れ方向を横断する方向に、繊維集合体を構成する繊維3を相互に接合して略直線状に形成される。線状接合部5ののびる方向は、繊維3の流れ方向を直交する方向であることが好ましい。
【0012】
(繊維3)
繊維結束体11を構成する繊維3としては、例えば綿、毛等の天然繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリル等の合成繊維、芯鞘型繊維、海島型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維等が用いられるが、繊維相互を部分的に熱融着して結合する場合には、芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維が、鞘を構成するポリエチレンの優れた熱融着性と、芯を構成するポリプロピレンの腰の強さとを併せ持つため好ましい。繊維結束体11を構成する繊維3は0.01mm〜0.3mm径程度の太さのものが使用されることが適度に埃を絡め取ることができて好ましい。また、繊維結束体11は、材質、太さ、色等が同一の繊維のみで構成されていても、これらの異なる2種類以上の繊維で構成されていても良い。繊維結束体11の繊維3の長さは、3cmから15cm程度の範囲であることが好ましい。
【0013】
繊維結束体11の線状接合部5は、熱融着による方法、超音波溶着による方法のほか、接着剤による繊維3同士の接着による方法にて形成されることも可能である。接着剤には、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、瞬間接着型接着剤、ホットメルト型接着剤等を用いることができるが、加熱・冷却による迅速な接着作業が可能である観点からはホットメルト型接着剤が好ましく、また繊維への浸透性が良く深い接着層を得られる観点からは溶液型またはエマルジョン型の、熱可塑性樹脂系接着剤またはエラストマー系接着剤が好ましい。
【0014】
(繊維層重なり体2)
繊維層重なり体2は、繊維結束体11を折り曲げ軸Rを軸にして折り曲げて重ねることで形成される(図5(B))。このとき、繊維層重なり体2には、先端に繊維3の流れ方向に沿って延びる折り曲げ部4が折り曲げ軸Rの位置に形成され、折り曲げ部4で連接する繊維層7(7a,7b)が形成される(図1(A)(B))。繊維層7a,7bは、互いに向かい合って重なり、重なり構造を形成する。繊維層重なり体2は、折り曲げ部4で連接された繊維層7a,7bが重なりあう構造を有してなる。繊維層重なり体2は、繊維層7a,7bを筒状体6に接着して接着部8を形成して繊維層7a,7bを互いに向かい合あわせにした状態を維持しており、すなわち繊維層7a,7bの重なり構造を維持している。なお、繊維結束体11を折り曲げて重ね合わせる際、繊維結束体11の端縁同士をつきあわせて繊維層7a,7bが互いに全体に重なり合うように繊維層重なり体2が形成されていてもよいし、繊維結束体11の端縁同士をずらして繊維層7a,7bが部分的に重なり合ように繊維層重なり体2が形成されていてもよい。
【0015】
(筒状体6)
筒状体6は、繊維層7aと繊維層7bの間に介装されている。筒状体6は、その長手方向が繊維3の流れ方向を横断するように配置固定される。このとき、筒状体6は、その長手方向が線状接合部5ののびる方向に沿うように、配置固定されていることが好ましい。
【0016】
筒状体6の固定は、筒状体6と繊維層7(7a,7b)との接着により実現される。接着方法としては、繊維3同士の接着に適用可能な方法を適宜採用することができ、熱融着や接着剤による接着、超音波溶着などの従前より公知な接着方法を適宜採用することができる。
【0017】
筒状体6の形状については、筒状体6の縦断面の形状が非扁平形状である。このような筒状体6としては、円筒体や角筒体などを具体的に挙げることができる。ここにおいて、縦断面の形状とは、筒状体6の長手方向に法線を有する平面で筒状体6を切断した場合に認められる筒状体6の断面の形状を示す。筒状体6が非扁平であることで、清掃用物品1の使用にあたって繊維層重なり体2を嵩高な起毛状態とする際に、筒状体6を中心とした周囲に繊維3をより均一に存在させるようにすることが容易となる。
【0018】
筒状体6の材質は、筒状体6を繊維層7に固定可能なものであれば、特に限定されない。筒状体6としては、プラスチック、紙、ゴムなど適宜選択可能である。
【0019】
筒状体6は、中実、中空いずれに形成されてもよいが、軽量化の点で中空に形成されることが好ましい。また、筒状体6は、その長手方向両端面を開口しているものであることが好ましい。
【0020】
筒状体6は、繊維結束体11の繊維3、すなわち繊維層重なり体2の繊維3、とは異なる色を有することが好ましい。筒状体6の色と繊維3の色が異なることで、筒状体6の位置を視覚的に認識することが容易になる。
【0021】
(清掃用物品1の製造方法)
次に、清掃用物品1の製造方法について説明する。
【0022】
多数の長尺な繊維9をそれらの繊維9の長手方向を揃えてシート状に並置して束ねて長帯状の繊維集合体シート(ウェブシート10)を得る。次に、ウェブシート10に、間隔をおいて(適宜間隔ごとに)、ウェブシート10を構成する各繊維9の流れ方向(長手方向)と交差する方向(繊維9を横断する方向)(例えば、長尺な繊維9の長手方向と直交する方向)に接合して線状の長繊維接合部12を形成する(図5(A))(長繊維接合部形成工程)。
【0023】
長繊維接合部形成工程の後、長尺な繊維9の長手方向に隣り合う長繊維接合部12と長繊維接合部12の間にてウェブシート10が繊維9の流れ方向を横断する方向に切断される(ウェブシート切断工程)。ウェブシート10は、所定の切断パターンで切断される。図5(A)中、ウェブシート10の切断パターンは、符号13で示す。ウェブシート切断工程により、図5(B)に示すように、繊維結束体11が得られる。このとき、長繊維接合部12が線状接合部5をなす。
【0024】
ウェブシート切断工程の次に、繊維結束体11の上に筒状体6が配置される(筒状体配置工程)。このとき、筒状体6の長手方向一端側が繊維結束体11の端縁から外側にはみ出ている。そして、筒状体6は、折り曲げ軸Rの位置を横切らないように配置されている。
【0025】
筒状体配置工程の後、繊維結束体11が筒状体6を覆うように、折り曲げ軸Rを軸として、矢印P方向に折り曲げられる(折り曲げ工程)。折り曲げ工程の実施により、折り曲げ軸Rの位置に、図1(A)に示すように折り曲げ部4が形成されるとともに、折り曲げ部4で連接された繊維層7a,7bの重なり構造が形成されて繊維層重なり体2が形成される。また、さらに繊維層7a,7bの間に筒状体6が介装された状態も形成される。ところで、筒状体6の周面のうち繊維結束体11に直接接触する部分については、少なくとも部分的に、ホットメルト接着剤などの接着剤が予め塗布されている。そこで、繊維層重なり体2が形成された際に、これを構成する繊維層7a、7bそれぞれに対して、筒状体6が接着されて接着部8が形成されることになる。こうして、清掃用物品1が製造される。
【0026】
図5(B)の例では、繊維結束体11を折り曲げる際の折り曲げ軸Rの位置は、繊維3の流れ方向を横断する方向に、繊維結束体11の中央位置となっている。この例では、繊維結束体11が折り曲げ軸Rを軸にして折り曲げられると、繊維結束体11が半折され、繊維結束体11の端縁同士がつきあわせられることになる。なお、折り曲げ軸Rの位置は、この例に限られず、繊維3の流れ方向を横断する方向に、繊維結束体11の中央位置からずれた位置とされてもよい。
【0027】
(清掃用物品1の使用)
清掃用物品1は、好ましくは、繊維層重なり体2を構成する繊維3を起毛させて、繊維層重なり体2全体を毛羽立たせて繊維層重なり体2を嵩高な起毛状態として使用される(図2)。繊維層重なり体2を起毛状態とする方法としては、繊維層重なり体2をエアブローする方法を好ましく用いることができる。エアブローは、従前より公知なエアブロー装置を適宜用いて実施することができる。
【0028】
(清掃用物品1の筒状体6の機能)
清掃用物品1の使用の際においては、清掃用物品1は、筒状体6のうち外側に露出した部分を使用者によって把持されつつ使用されてよい。この場合、上記に説明した清掃用物品1において、筒状体6は、清掃用物品1の把持部としての機能を有する部材となっている。
【0029】
本発明の清掃用物品1は、上記した第1実施形態に限定されない。
【0030】
(清掃用物品1の第2実施形態)
清掃用物品1は、図6に示すように、把持部を形成するための部材としての把持部材16を筒状体6に取り付けたものでもよい(第2実施形態)。第2実施形態においては、筒状体6は、把持部材16を取り付けるための柄取り付け部17を形成する部材としての機能を有することになる。
【0031】
(柄取り付け部17)
清掃用物品1は、図6に示すように、筒状体6の外側露出端縁から折り曲げ部4の方向に向った所定の領域を柄取り付け部17となしている。柄取り付け部17には、その端面が開口して開口部18が形成されている。
【0032】
(把持部材16)
把持部材16は、使用者によって把持されるための柄をなす把持柄部20と、把持柄部20を清掃用物品1に固定するための固定部19と、からなる。
【0033】
把持部材16の形状は、太さの一様な棒状体に形成されたものであってよいし(図6)、固定部19の部分で基端から先端に向かってやや先細に形成されたものであってもよい(図7(D))。把持部材16の固定部19がやや先細に形成されている場合、筒状体6の開口部18の口径の小さな清掃用物品1に対して把持部材16の固定部19のやや先端側の位置で把持部材16を筒状体6に固定でき、開口部18の口径の大きな清掃用物品1に対して把持部材16の固定部19の基端側の位置で把持部材16を筒状体6に固定できることとなる。
【0034】
把持部材16の素材は、プラスチック、ゴム、紙、金属、木材などを用いることができるが、軽量、安価な点でプラスチックが好ましい。プラスチックを材料として用いる場合、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0035】
(筒状体6への把持部材16の取り付け)
清掃用物品1では、図6に示すように、柄取り付け部17の開口部18より奥方に向かって把持部材16の固定部19を挿入することで、把持部材16が筒状体6に取り付けられる。この場合、把持部材16は、柄取り付け部17に対して内嵌している。こうして、把持部材16を取り付けた清掃用物品1が得られる。
【0036】
なお、清掃用物品1において、把持部材16は、柄取り付け部17に着脱自在に装着されることが、繊維層重なり体2と筒状体6とからなる構造部分を取り替え可能となって好ましい。
【0037】
把持部材16を取り付けた清掃用物品1は、上記に限定されない。
【0038】
把持部材16は、柄取り付け部17に取り付け可能であれば、柄取り付け部17に内嵌する場合に限定されず、柄取り付け部17に対して外嵌してもよい(図7(A)(B))。この場合、把持部材16は、固定部19および把持柄部20の両方ともに中空に形成されていてもよいし(図7(A))、固定部19のみを中空に形成してもよい(図7(B))。
【0039】
また、把持部材16は、螺子嵌合により柄取り付け部17に対して取り付けられてもよい。この場合、把持部材16の固定部19の周面が螺子切りされており、これに対応するパターンの螺子溝22が、柄取り付け部17の開口部18内面から奥方に向かって形成される(図7(C))。
【0040】
(清掃用物品1の第3実施形態)
本発明の清掃用物品1においては、第1実施形態で説明した繊維層重なり体2の繊維層7と筒状体6の間に、さらにシート片14が介在されてもよい(図3)(第3実施形態)。
【0041】
(シート片14)
シート片14は、平面視上、帯状に形成されたシートである。シート片14は、一方面を繊維層7に接着し、他方面を筒状体6に接着して、両面にそれぞれシート片接着部21、15を形成している(図3)。
【0042】
シート片14は、織布、不織布など特に限定されるものではないが、多数の繊維を交絡させてなる不織布が好ましい。不織布としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等を用いることができるが、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布が好ましい。不織布を構成する繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製の繊維、これらを鞘芯型やサイドバイサイド型の複合繊維としたもの等が挙げられる。
【0043】
シート片接着部21は、シート片14の幅方向両側縁に沿ってシート片14と繊維層7とを接着して形成されている。シート片接着部15は、シート片14と筒状体6との接触領域で両者を接着して形成されている。
【0044】
シート片接合部15,21の形成パターンは、連続線状、点線状など特に限定されない。また、シート片接合部15,21の形成箇所数も、限定されない。
【0045】
シート片14の長手方向の両端は、繊維層重なり体2の外側まではみだしていてもよいし、繊維層7の端縁に揃えられていてもよいし、繊維層重なり体2の内側領域にとどまっていてもよい。
【0046】
シート片14の幅方向側縁は、繊維層重なり体2の繊維3の先端よりも内側に収められる。
【0047】
シート片14と繊維層7との接着方法、シート片14と筒状体6との接着方法は、特に限定されず、第1の実施形態で記載した筒状体6の固定に適用可能な熱融着や接着剤による接着、超音波溶着などの従前より公知な接着方法を適宜採用することができる。接着剤についても、繊維3同士の接着に使用可能な接着剤を用いることができ、例えば、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、瞬間接着型接着剤、ホットメルト型接着剤等を用いることができる。
【0048】
この清掃用物品1は、次のように製造できる。
【0049】
まず、第1の実施形態の清掃用物品1と同様に長繊維接合部形成工程、ウェブシート切断工程が実施されて、繊維結束体11が形成される。繊維結束体11の面上に、シート片14が配置される(図5(C))。図5(C)の例では、繊維結束体11の線状接合部5を覆うようにシート片14が配置される。このとき、繊維結束体11とシート片14との積層構造体が得られる。シート片14には、予め繊維結束体11に向かい合う面に、シート片14の幅方向両側縁に沿って接着剤が塗布されている。これにより、シート片14は繊維結束体11に接着される。この接着部分がシート片接合部21をなす。この積層構造体において、シート片14の露出面上、筒状体6が配置される。そして、積層構造体が筒状体6を覆うようにシート片14を内向きにして折り曲げられる。このとき、積層構造体は、第1の実施形態で説明した折り曲げ工程と同様に折り曲げ軸Rを軸として、矢印P方向に折り曲げられる。第1の実施形態の場合と同じく、筒状体6には、ホットメルト接着剤などの接着剤が予め塗布されている。そこで、シート片14に対して、筒状体6が接着されてシート片接着部15が形成されることになる。こうして、清掃用物品1が製造される。
【0050】
(清掃用物品1の第4実施形態)
本発明の清掃用物品1においては、第1実施形態で説明した繊維層重なり体2の繊維層7a,7bを相互に接合して点状接合部23がさらに形成されていてもよい(図4(A)(B))。
【0051】
(点状接合部23)
点状接合部23は、筒状体6の外周面よりも外側の位置に形成される。点状接合部23は、清掃用物品1の平面視上、繊維重なり体2の左側縁と筒状体6との間の領域および繊維重なり体2の右側縁と筒状体6との間の領域の両方に形成されていることが好ましい。なお、繊維層重なり体2についての左右方向は、繊維3の流れ方向に沿った方向であるものとする。
【0052】
点状接合部23の形成数は特に限定されないが、点状接合部23は、複数個形成されることが好ましい。この場合、清掃用物品1における個々の点状接合部23の配置パターンは、適宜選択されてよい。したがって、点状接合部23が複数形成されている場合、点状接合部23の配置パターンは、繊維3の自由端近傍に形成される点状接合部23と、筒状体6の近傍に形成される点状接合部23とを混在させているようなパターンでもよい。
【0053】
点状接合部23は、線状接合部5を形成する場合と同様に、熱融着、超音波溶着、接着剤による接着などの方法を適宜用いて、繊維層7aを構成する繊維3と、繊維層7bを構成する繊維3とを接合することにより、形成することができる。
【0054】
この清掃用物品1によれば、点状接合部23が形成されることにより、繊維層7を構成する繊維3として、点状接合部23を固定端とするものと、線状接合部5を固定端とするものとが混在する。このため、この清掃用物品23によれば、繊維3の自由端から固定端までの長さは多様化され、様々なサイズの塵や埃を絡め採ることが容易となる。また、点状接合部23は、筒状体6の外側に形成されているので、繊維層7a、7bの隙間から筒状体6が露出しにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、パーソナルコンピューターのキーボードやモニター等などの被清掃面に付着した細かな塵埃を絡め取るために有益である。
【符号の説明】
【0056】
1 清掃用物品
2 繊維層重なり体
3 繊維
4 折り曲げ部
5 線状接合部
6 筒状体
7 繊維層
8 接着部
9 長尺な繊維
10 ウェブシート
11 繊維結束体
12 長繊維接合部
13 切断パターン
14 シート片
15 シート片接着部
16 把持部材
17 柄取り付け部
18 開口部
19 固定部
20 把持柄部
21 シート片接着部
22 螺子溝
23 点状接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の繊維を並べて該繊維の流れ方向を横断する方向に接合して線状接合部を形成した繊維結束体を折り曲げて重ねることで繊維の流れ方向に沿って延びる折り曲げ部を形成するとともに該折り曲げ部で連接して互いに重なる繊維層の重なり構造を形成しており、
筒状体が、互いに重なる繊維層の間に介装されており、筒状体の長手方向が線状接合部ののびる方向に沿う、ことを特徴とする清掃用物品。
【請求項2】
筒状体は、柄取り付け部を形成している、請求項1に記載の清掃用物品。
【請求項3】
柄取り付け部に把持部材が取り付けられている、請求項2に記載の清掃用物品。
【請求項4】
繊維層の重なり構造を構成する一方の繊維層と他方の繊維層とを筒状体の外側の位置で互いに接合させて点状接合部を形成している、請求項1から3のいずれかに記載の清掃用物品。
【請求項5】
筒状体は、繊維結束体の繊維とは異なる色を有する、請求項1から4のいずれかに記載の清掃用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−5525(P2012−5525A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141618(P2010−141618)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(595007552)
【Fターム(参考)】