減圧バルブ
呼吸ガス18を患者に供給するように適応されたシステム100に用いられる減圧バルブ1を開示する。減圧バルブ1は、吸気のフェーズの間に、そのような患者の気道に呼吸ガスの流動18を給送するように構築される。減圧バルブ1は、呼気フェーズの間、呼吸ガスの流動18を患者の気道から分離して、呼吸ガスの流動18及び呼気ガスの流動20を大気に「捨てる」ように構築される。呼吸ガスの流動18は、第1の複数のポート8aを通して大気に捨てられ、呼気ガスの流動20は、第2の複数のポート8bを通して大気に捨てられる。呼吸ガスの流動18が呼気ガスの流動20から分離されたままなので、呼気のフェーズの間、患者によって必要とされる労力は減少する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の気道への呼吸ガスの流動の供給に関し、より詳しくは、呼吸ガスの流動を受ける患者に改善された快適さを提供するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、呼吸ガスの流動を患者の気道に供給することが必要であり、又は望ましい。例えば、呼吸及び/又は心臓障害(例えば閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全並びに他の呼吸器及び/又は呼吸異常)を治療するために、呼吸サイクルの少なくとも一部の間に、呼吸ガスの流動を患者に供給することが知られている。
【0003】
睡眠の間、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に苦しむ患者は、例えば、気道組織の構造、筋緊張及び体位の結果として生じる機械的なつぶそうとする力に起因して、気道を狭める及び/又はつぶす傾向がある。OSASを治療する1つの方法は、持続性気道陽圧(CPAP)治療である。CPAP治療では、ガスの流動が、患者の気道を開いたまま支えて気道の狭小化又はつぶれを防止するために十分な大きさの一定の圧力で供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常の呼吸サイクルの間、肺と体の外部との間の圧力勾配は、一定ではない。例えば吸気の間、圧力勾配(時々「吸気性圧力勾配」と呼ばれる)は、吸気の開始時におけるゼロからピークの負の値まで低下して、それから吸気終了時のゼロまで回復する。呼気の間、圧力勾配(時々「呼気性圧力勾配」と呼ばれる)は、呼気の開始時におけるゼロからピークの値まで上昇し、それから呼気終了時のゼロまで低下する。圧力勾配が呼吸サイクルを通じて変化するので、気道のつぶれを克服するために必要な圧力は、理想的には、呼吸サイクルを通じて変化しなければならない。したがって、CPAPはOSASのための単純な治療ソリューションを提供するが、一定の支持圧力を気道に印加することは、呼吸サイクルの大部分の間に気道を支持するために必要な圧力よりも高い圧力に患者をさらす。
【0005】
進化した治療(例えば二相性陽気道圧力(bi-level PAP)治療、及び比例陽気道圧力治療)は、呼吸サイクル間の特定の場合に圧力を低下させるために、異なる圧力要求を利用することを追求する。二相性PAP治療において、例えば、吸気の間、ガスの流動は第1の圧力で患者の気道に供給され、呼気の間、低圧力のガスの流動が患者の気道に供給される。しかしながら、依然として、呼気の間に供給されるガスの低圧流動によって生じる抵抗を患者が克服しなければならないので、これらの進化した治療は不快感を引き起こす可能性がある。
【0006】
したがって、既知のシステムに関するこれらの及び他の問題を克服する、呼吸ガスの流動を受ける患者に改善された快適さを提供するための装置及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを含む。バルブ本体は、複数の加圧ガス排気ポート及び複数の呼気ガス排気ポートを持つ。インナースリーブは、複数のインナーポートを持つ。インナースリーブは、バルブ本体内において、インナーポートが閉じており加圧ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートが開いている閉位置と、インナーポートが開いており加圧ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートが閉じている開放位置との間で可動である。
【0008】
本発明の別の態様によれば、減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを含む。バルブ本体は、患者インタフェース端及び圧力発生器端を持ち、それらの間に少なくとも2つの排気ポートを備える。インナースリーブは、バルブ本体内で可動である。インナースリーブは、吸気フェーズの間、圧力発生器端から患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、呼気フェーズの間、少なくとも2つの排気ポートのうちの第1のポートへと陽圧ガスの流動の流れを変えるように構築される。
【0009】
本発明の別の態様では、患者に呼吸ガスを供給するための方法は、吸気フェーズの間、少なくとも呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを持つ患者回路を通してその患者の気道に呼吸ガスを給送し、呼気フェーズの間、呼吸ガス排気ポートを通してそのような患者の気道から呼吸ガスを逸らし、呼気フェーズの間、そのような患者の気道から呼気排気ポートを通るように呼気ガスを導く。
【0010】
本発明の別の態様では、その中に第1排気ポート及び第2排気ポートを有する減圧バルブを含む患者回路を介して、呼吸ガスの流動を供給することによって、患者に呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステムにおいて、本発明の方法は、吸気フェーズの間、呼吸ガスの流動を患者回路を通してそのような患者の気道に供給し、呼気フェーズの間、第1排気ポートを通してそのような患者の気道から呼吸ガスの流動を逸らして、第2排気ポートを通してそのような患者の気道から呼気ガスの流動を排気する。
【0011】
本発明の別の態様では、陽圧ガスの流動を患者の気道に供給するための装置は、陽圧ガスの流動を生成するように構築されるガス流動発生器、そのような患者の気道に陽圧ガスの流動を給送するように構築される患者インタフェース装置、及び患者インタフェース装置にガス流動発生器を結合させるように構築される患者回路を有し、患者回路は、バルブ本体及びインナースリーブを有する減圧バルブを含み、バルブ本体は、その中に少なくとも2つの排気ポートを持ち、インナースリーブは、バルブ本体内で可動であり、インナースリーブは、吸気フェーズの間、ガス流動発生器から患者インタフェース装置へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1のポートに陽圧ガスの流動を逸らすように構築される。
【0012】
操作方法、構造及び部品の組み合わせの関連した要素の機能、並びに製造の経済と同様に、本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び特性は、添付の図面を参照して以下の説明及び添付された請求の範囲を考慮することで、より明らかになる。すべての図面はこの明細書の一部を構成し、それぞれの図において、同様の参照番号は対応する部分を指す。しかしながら、図面は図示及び説明のみを目的とするものであって、本発明の範囲を定めるものとしては意図されていないことが明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの実施の形態による呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステムの模式図。
【図2】本発明の1つの実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図3】閉じた位置としての図2の減圧バルブを示す図。
【図4】本発明の他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図5】閉じた位置における図4の減圧バルブを示す図。
【図6】陽圧ガスの流動がない場合の、閉じた位置における図4の減圧バルブを示す図。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図8】閉じた位置としての図7の減圧バルブを示す図。
【図9】本発明の1つの実施の形態による、消音装置を有する図7の減圧バルブの模式図。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図11】閉じた位置としての図10の減圧バルブを示す図。
【図12】本発明の1つの実施の形態による、呼吸ガスを患者に提供する動作プロセスを示す図。
【図13】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図14】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図15】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図16】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図17】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図18】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図19】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図20】本発明の他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図21】陽圧ガスの流動が無い場合の、閉じた位置としての図20の減圧バルブを示す図。
【図22】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【図23】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【図24】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【発明を実施するための形態】
【0014】
右、左、時計回り、反時計回り、トップ、ボトム、アップ、ダウン、及びそれらの派生語のような、本明細書において用いられる方向の言い回しは、図面に示される要素の配置に関し、明確に述べられない限り、請求の範囲を限定しない。
【0015】
本明細書において使用されるように、「複数」という用語は一つ以上であることを意味し、単数形の名詞は、文脈において別途特に述べられない限り、その名詞が指すものが複数存在する場合を含む。
【0016】
本明細書において使用されるように、2つ以上のパーツが一緒に「接続される」又は「結合される」との記載は、パーツが、直接的に一緒につながれること、又は一つ以上の中間パーツを通して一緒につながれることを意味する。さらに、本明細書において使用されるように、2つ以上のパーツが「取り付けられる」との記載は、そのパーツが直接的に一緒につながれることを意味する。
【0017】
1つの実施の形態による呼吸治療の療法を患者101に提供するように適応されたシステム100が図1に一般に示される。システム100は、圧力発生装置103、患者回路102及び患者インタフェース装置105を含む。圧力生成装置103は、呼吸ガスの流動を生成するように構築され、ベンチレータ、圧力支持装置(例えば持続性気道陽圧装置即ちCPAP装置)、可変加圧装置(例えば、Respironics社(Murrysville, Pennsylvania)によって製造されて提供されるBiPAP(R)、Bi-Flex(R)又はC-Flex(TM)装置)及び自動滴定圧力支持システムを含むことができる(但しそれらに限られない)。
【0018】
患者回路102は、圧力生成装置103から患者インタフェース装置105まで呼吸ガスの流動を給送するように構築される。この実施の形態において、患者回路102は、管路104及び減圧バルブ1を含み、減圧バルブは、本明細書において以下でより詳細に説明されるように、呼吸サイクルの間の特定の場合に減圧効果を提供するように適応される。
【0019】
患者インタフェース105は、一般的に、患者101の顔の上に配置されるように構築される、鼻部又は経鼻/経口マスクである。しかしながら、圧力生成装置103から患者101の気道へと給送される呼吸ガスの流動の供給を容易にする任意の種類の患者インタフェース装置105が、本発明の範囲内で用いられることができる。図1に示されるように、患者インタフェース105は、減圧バルブ1に直接結合されるが、他の構造も意図される。
【0020】
図2-11, 20及び21は、患者に呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステム(例えばシステム100。但しこれに限られない)で使用する、減圧バルブの様々な実施の形態を図示する。各々の実施の形態において、減圧バルブは、呼気フェーズの間、大気へと呼吸ガスの流動を「捨てる(dump)」ことによって、患者の気道を呼吸ガスの流動から切り離すように構築される。減圧バルブは、さらに、呼吸ガスの流動と呼気ガスの流動との混合が最小限になるように又はそのような混合が発生しないように、呼気ガスの流動を大気へと捨てるように構築される。例えば、呼吸ガスの流動は、第1の複数のポートを通して大気へと捨てられ、一方、呼気ガスの流動は、第2の複数のポートを通して大気へと捨てられる。呼吸ガスの流動が、呼気ガスの流動から実質的に切り離された状態なので、呼気フェーズの間に患者101が要する労力は少なくなる。
【0021】
要するに、本発明の減圧バルブは、持続的な圧力のガス流動(例えば、CPAP装置からのガスの流動)を、変化する圧力のガス流動(例えば、二相性及び/又はC-FLEX(TM)装置からのガスの流動)に、機械的に変更するように構築される。現在の二相性装置は、低い供給圧力では適切に応答しない。例えば低い圧力では、現在の二相性装置は、吸気性陽空気圧(IPAP)と等しい呼気性陽空気圧(EPAP)を生成する。しかしながら、本発明の減圧バルブは、十分な範囲の供給圧力にわたって、持続的な圧力のガス流動を、変化する圧力のガス流動に変換することができることが留意されるべきである。例えば、本発明の減圧バルブは、低い圧力であっても、CPAP装置によって供給されるガス流動を、変化する圧力のガス流動に変換することができる。減圧バルブによって、バルブが閉じた位置である場合、EPAPは常にIPAPより低い。
【0022】
次に図2及び3を参照すると、本発明の1つの実施の形態による減圧バルブ1が図示される。減圧バルブ1は、バルブ本体2及びインナースリーブ10を含む。バルブ本体2は、圧力発生器端4及び患者インタフェース端6を持つ。圧力発生器端4は、圧力生成器から陽圧ガスの流動(例えば呼吸ガス;一例として図2に矢印18で示される)を受け入れるように構築される。例えば、圧力発生器端4は、管路104(図1)の一端に結合するように適応される。管路104の他端は、圧力生成器103に結合するように適応される。患者インタフェース端6は、陽圧ガスの流動18を患者の気道に供給して、及び/又は、(例えば、図3に矢印20によって示されるように)患者の気道から呼気ガスの流動を受け入れるように構築される。例えば、患者インタフェース端6は、患者101の気道と流体連通する患者インタフェース装置105(図1)に結合するように適応されている。
【0023】
バルブ本体2は、その壁を貫通する複数の加圧ガス排気ポート8a及び複数の呼気ガス排気ポート8bを含む。以下でさらに詳細に述べられるように、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bは、それぞれ、陽圧ガスの流動18及び呼気ガスの流動20がバルブ本体2を通して給送されることを可能にするように構築される。陽圧ガスの流動18は、一般的に、呼気ガスの流動20より大きいボリュームを持つ。したがって、この実施の形態において、加圧ガス排気ポート8aは、呼気ガス排気ポート8bより一般に大きい。図2-3に示すように、バルブ本体2はさらに、第1停止リング7a及び第2停止リング7bを含み、それらは各々、それは、バルブ本体2内でインナースリーブ10が移動することができる量を制限するように構築される。
【0024】
インナースリーブ10は、複数のインナーポート12及び複数の絞り14を含む。封止部材16(例えば、傘状バルブ、ダイアフラムバルブ、バタフライバルブ、ダックビルバルブ、コーンバルブ、スパイラルバルブ及び二葉バルブ(但しそれらに限られない))は、インナーポート12を通る陽圧ガスの流動18を制御するように構築される。図2-3に図示された実施例において、傘状バルブ16が封止部材として使用される。インナースリーブ10は、バルブ本体2内に導入されて、その中で(例えば第1停止リング7aと第2停止リング7bとの間で)可動である。この実施の形態において、適切な運動の自由度を保証するために、インナースリーブ10とバルブ本体2との間に約0.05インチのクリアランスが設けられる。しかしながら、他のクリアランス量も意図される。さらに、摩擦を低減して耐摩耗性を改善するために、互いに接触するバルブ本体2の表面及び/又はインナースリーブ10の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や他の適切な材料でコーティングされることができる。
【0025】
この実施の形態において、バルブ本体2及びインナースリーブ10は、プラスチック材料で構成される。しかしながら、バルブ本体2及び/又はインナースリーブ10は他の材料から構成されることができる。インナースリーブ10は、例えば、金属(例えばチタン又はアルミニウム(但しそれらに限られない))で構成されることができる。
【0026】
本明細書において使用されるように、インナーポート12が実質的に開いており(すなわち、封止部材16がインナーポート12を実質的に塞がない)、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bが実質的に閉じている(すなわちインナースリーブ10が実質的に排気ポート8a及び8bを塞ぐ)場合に、減圧バルブ1は、「開いている」又は「開放位置」にあると呼ばれる。減圧バルブ1は、一般的に、吸気フェーズの間(すなわち患者が吸入しているとき)、開放位置にある。
【0027】
図2を参照して、圧力発生器端4に最も近いインナースリーブ10の終端の放射状面は、「圧力発生器衝突面」10aと呼ばれることがある。さらに、患者インタフェース端6に最も近いインナースリーブ10の終端の放射状面は、「患者インタフェース衝突面」10bと呼ばれることがある。陽圧ガスの流動18は、圧力発生器衝突面10aに力を及ぼし、バルブ本体2内でインナースリーブ10を動かす。一般的に、患者インタフェース衝突面10bが第2シールリング7bに接触するまで、この動きは続く。陽圧ガスの流動18はさらに、インナーポート12が実質的に開くように、傘状バルブ部材16を曲げる。この開放位置において、陽圧ガスの流動18は、圧力発生器端4からインナーポート12を通して患者インタフェース端6まで給送される。しかしながら、陽圧ガスの流動18は、インナースリーブ10によって加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bから切り離される。
【0028】
本明細書において使用されるように、インナーポート12が実質的に閉じており(すなわち封止部材16が実質的にインナーポート12を塞ぐ)、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bが実質的に開いている(すなわちインナースリーブ10が排気ポート8a及び8bを実質的に塞がない)場合に、減圧バルブ1は、「閉じている」又は「閉位置」にあると呼ばれる。減圧バルブ1は、一般的に、呼気フェーズの間(すなわち患者が息を吐き出しているとき)、閉位置にある。例えば、図3を参照すると、呼気ガスの流動20は、患者インタフェース衝突面10bに力を及ぼし、バルブ本体2内でインナースリーブ10を動かす。一般的に、圧力発生器衝突面10aが第1シールリング7aと接触するまで、この動きは続く。呼気ガスの流動20はさらに、インナーポート12が閉じるように(すなわち、インナーポート12を通しての陽圧ガスの流動18及び/又は呼気ガスの流動20が妨げられるように)、傘状バルブ16を曲げる。この閉位置において、陽圧ガスの流動18は、絞り14を通して加圧ガス排気ポート8aへと流れを変えられて、大気へと出る。さらに、呼気ガスの流動20は、呼気ガス排気ポート8bを通して大気に放出される。この閉位置において、陽圧ガスの流動18は、圧力発生器端4からインナーポート12を通して患者インタフェース端6まで給送されない。
【0029】
図3に示されるように、減圧バルブ1が閉位置にある場合、呼気ガスの流動20は、陽圧ガスの流動18と混ざらず、さらにそれによって妨げられない。したがって、呼気フェーズの間に陽圧ガスの流動18によって引き起こされる抵抗を克服するために患者に要求される仕事量は、大幅に低減されて及び/又は除去される。封止部材16と関連する及び/又はインナースリーブ10とバルブ本体2との間の漏れに起因する無視できる量の混合は許容される。
【0030】
本発明の他の実施の形態による減圧バルブ1'が、図4-6に図示される。図4は、開放位置における減圧バルブ1'を図示する。図5は、閉位置における減圧バルブ1'を図示する。減圧バルブ1'は、減圧バルブ1について図2-3と共に上述された態様と同様に機能する。
【0031】
減圧バルブ1'は、さらにバイアス部材17を含む。この実施の形態において、バイアス部材17は、例えば、陽圧ガスの流動18が圧力発生器端4に無い場合(例えば電力が圧力生成器103から除去される場合)に、インナースリーブ10を閉位置に動かすように構築されたベローズである。したがって、陽圧ガス18の流動が無い場合、減圧バルブ1'は引込みバルブ(entrainment valve)として機能する。
【0032】
例えば、図6を参照して、ベローズ17は、呼気ガスの流動20が大気に向かい、加圧されていない吸入ガスの流動22が患者の気道に給送されるように、インナースリーブ10を閉位置に戻す。図4-6では、ベローズがバイアス部材17として使用されるが、この実施の形態として、他のバイアス部材(例えば、スプリング、磁石など(但しそれらに限られない))が用いられることができる。
【0033】
図20-21は、例えば、バイアス部材17として磁石(17a, 17b)を使用する減圧バルブ1''''を示す。陽圧ガスの流動18がない場合、磁石17aと磁石17bとの間の引力は、閉位置にインナースリーブ10''を戻す(図21)。磁石17aや17bの位置や極性は、磁石17a及び磁石17bがインナースリーブ10''を閉位置に戻すようにお互いに反発するように変更されることができる。
【0034】
バイアス部材がインナースリーブを閉位置に戻すものとして説明されたが、バイアス部材は、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されることもできる。以下に図22-24と共に説明されるように、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されるバイアス部材を有する減圧バルブは、圧力曲線中の屈曲効果又は減衰効果を提供する。減圧バルブ1''''が永久磁石を使用するとして説明されたが、本発明の範囲内として、電磁石が使用されることができる。電磁石を使用すると、患者が要する仕事量がさらに低減され、「屈曲効果」又は「減衰効果」(図23-24)の更なる制御を可能にし、そして電磁石の極性を変更することによって、陽圧ガスの流動が存在しない場合にインナースリーブが開放位置に戻るのか閉位置に戻るのかをユーザが選択することを可能にする。
【0035】
本発明の他の実施の形態による減圧バルブ1''が、図7-8に図示される。図7は、開放位置の減圧バルブ1''を図示する。図8は、閉位置の減圧バルブ1''を図示する。減圧バルブ1''は、減圧バルブ1について図2-3と共に上述されたものと同様の態様で機能する。
【0036】
図7及び8に図示された実施例において、インナースリーブ10'は、減圧バルブ1'を閉位置に動かすために必要な労力の量をさらに減らすように適応される圧力発生器衝突面10a'及び患者インタフェース衝突面10b'を持つ。一般に、圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積以下である。圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積の約75%から100%の間である。しかしながら、本発明の範囲内として、他の割合が使用されることができる。
【0037】
この実施の形態では、例えば、圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積の約95%である。結果として、排気の流動20によって患者インタフェース衝突面10b'においてインナースリーブ10'に印加される総合の力は、陽圧ガスの流動18によって圧力発生器衝突面10a'においてインナースリーブ10'に印加される総合の力より大きい。より具体的には、排気の流動20及び陽圧ガスの流動18が同じ圧力である場合には、患者インタフェース衝突面10b'においてインナースリーブ10'にかかる力が、圧力発生器衝突面10'における力よりも大きいので、インナースリーブ10'は、減圧バルブ1''が閉位置になるように移動する。したがって、呼気フェーズの間に、減圧バルブ1''が閉位置になるようにインナースリーブ10'を動かすために患者が及ぼすことを要する力はより小さくなる。
【0038】
図9は、加圧ガス排気ポート8aに結合された消音器13を有する図7-8の減圧バルブ1''を図示する。消音器13は、加圧ガス排気ポート8aを通るように陽圧ガスの流動18の流れを変更することによって引き起こされる騒音を低減するように構築される。この実施の形態において、例えば、消音器13は、陽圧ガスの流動18を、一般的な乱流から一般的な層動に変えるように構築される。減圧バルブ1''の加圧ガス排気ポート8aに結合されるものとしてのみ示されるが、消音器13は、代わりに又は更に、本発明の任意の減圧バルブの加圧ガスポート8a及び/又は排気ポート8bに結合されることができる。
【0039】
他の実施の形態による減圧バルブ1'''が図10-11に図示される。図10は開放位置の減圧バルブ1'''を示し、図11は閉位置の減圧バルブ1'''を示す。
【0040】
減圧バルブ1'''は、減圧バルブ1''について図7-8と共に上述された態様と同様に機能する。インナースリーブ10''は、減圧バルブ1'''を閉位置にするために必要な労力の量をさらに減らすように適応される圧力発生器衝突面10a''及び患者インタフェース衝突面10b''を持つ。一般に、圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積以下である。圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積の約75%から100%の間であることが意図される。しかしながら、本発明の範囲内として他の割合が使用されることができる。この実施の形態において、圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積の約95%である。したがって、呼気フェーズの間に、減圧バルブ1'''が閉位置になるようにインナースリーブ10''を動かすために患者が及ぼすことを要する力はより小さくなる。
【0041】
減圧バルブ1'''は、バルブ本体2の外側に沿って可動である可調アウタースリーブ24を含む。可調アウタースリーブ24は、加圧ガス排気ポート8aの一部分を塞ぐように適応される。結果として、加圧ガス排気ポート8aを通して捨てられる陽圧ガスの流動18の量が、制御されることができる。捨てられる陽圧ガスの流動18を変えることによって、呼気性の陽空気圧(EPAP)は調整されることができる。したがって、可調アウタースリーブ24を使用する減圧バルブは、滴定に用いられることができる。
【0042】
図10-11には示されていないが、可調アウタースリーブ24は、各々が特定のEPAPに関連した複数の予め定められた設定点を持つことができる。例えば、可調アウタースリーブ24は、バルブ本体2上のリブ(rib)と協働する及び/又はかみ合う複数の窪みを含むことができる。例えば、第1EPAPレベルは、第1の窪みがリブとかみ合うとき(例えば可調アウタースリーブ24が加圧ガス排気ポート8aの5%を塞ぐとき)に提供され、第2のEPAPレベルは、第2の窪みがリブとかみ合うとき(例えば、可調アウタースリーブ24が加圧ガス排気ポート8aの10%を塞ぐとき)に、提供されるなどである。さらに、減圧バルブ1'''及び減圧バルブ1''''のみに関連して図示されたが、可調アウタースリーブ24は、代わりに又は更に、本発明の任意の他の減圧バルブに結合されることができる。
【0043】
図12は、呼吸ガスを患者に提供するための動作プロセス30を図示する。動作プロセス30は、動作32によって始まり、吸気フェーズの間、呼吸ガスは、呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを有する患者回路を通して患者に給送される。この実施の形態において、陽圧ガスの流動18は、圧力生成装置103から患者回路102を通して患者の気道まで給送される(図1)。患者回路102は、加圧ガス排気ポート8a(すなわち呼吸ガス排気ポートとも呼ばれる)及び呼気ガス排気ポート8bを持つ減圧バルブ(例えば減圧バルブ1)を含む。上記のように、吸気フェーズの間、減圧バルブ1は開放位置にあり、これによって、陽圧ガスの流動18が、インナーポート12を通して患者の気道に給送されることを可能にする。さらに、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bは、吸気フェーズの間、インナースリーブ10によって遮られる。
【0044】
動作制御は、続いて動作34に移り、呼気フェーズの間、呼吸ガスは、呼吸ガス排気ポートを通してその患者の気道から逸らされる。この実施の形態において、呼気フェーズの間、減圧バルブ1は閉位置である。閉位置において、封止部材16は、陽圧ガスの流動18の患者の気道への給送を遮る。陽圧ガスの流動18は、絞り14を通して加圧ガス排気ポート8aへと向きを変更され、この実施の形態では、陽圧ガスの流動18は大気に捨てられる。
【0045】
動作36において、呼気フェーズの間、患者の気道からの呼気ガスは、呼気ガス排気ポートを通るように導かれる。動作34に関して上述したように、減圧バルブ1は、呼気フェーズの間、閉位置である。封止部材16は、呼気ガスの流動20がインナーポート12を通過することを防止する。代わり、呼気ガスの流動20は、呼気ガス排気ポート8bを通るように導かれて、この実施の形態において、大気に捨てられる。呼気フェーズの間、呼気ガスの流動20及び陽圧ガスの流動18は、封止部材16によって互いから実質的に分離され、患者が息を吐き出すために要する労力は低減される。
【0046】
図2-9に図示される減圧バルブは、封止部材として傘状バルブ16を使用する。図13-19bは、本発明の減圧バルブのために用いられることができる封止部材16のためのいくつかの他の配置を図示する。例えば、図13は、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10に挿入されるバルブステム26によってインナースリーブ10に結合されるダイアフラムバルブ16'を図示する。
【0047】
図14は、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10'''と一体の部分であるバルブステム26'によってインナースリーブ10'''に結合されるダイアフラムバルブ16'を示す。
【0048】
図15a及び15bは、本発明の1つの実施の形態によるバルブステム26'によってインナースリーブ10'''に結合されるバタフライバルブ16''を図示する。図15aは閉じた位置のバタフライバルブ16''を示し、図15bは開いた位置のバタフライバルブ16''を示す。
【0049】
図16a及び16bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合されるダックビルバルブ16'''を図示する。図16aは閉じた位置のダックビルバルブ16'''を示し、図16bは開いた位置のダックビルバルブ16'''を示す。
【0050】
図17a及び17bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合されるコーンバルブ16''''を図示する。図17aは閉じた位置のコーンバルブ16''''を示し、図17bは開いた位置のコーンバルブ16''''を示す。
【0051】
図18a及び18bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合するスパイラルバルブ16'''''を図示する。図18aは閉じた位置のスパイラルバルブ16'''''を示し、図18bは開いた位置のスパイラルバルブ16'''''を示す。
【0052】
図19a及び19bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合される二葉バルブ16''''''を図示する。図19aは閉じた位置の二葉バルブ16''''''を示し、図19bは開いた位置の二葉バルブ16''''''を示す。
【0053】
封止部材のためのいくつかの配置が本明細書において論じられたが、本発明の範囲内として、他の配置が使用されることができる。
【0054】
図22-24は、例えば、一定の陽圧でガスの流動を生成する圧力発生器103を有するシステム100(図1)において用いられる場合に本発明の減圧バルブによって出力される流動及び圧力の曲線を図示する。(一定の陽圧でガスの流動を生成する)CPAP圧力発生器103に関して論じられたが、他の形式の圧力発生器が使用されることができる。図22-24に図示される二相性PAP曲線は、本発明の減圧バルブによって生成される。
【0055】
図22を参照すると、減圧バルブが開いている場合、吸気の陽空気圧は、圧力発生器103によって生成される一定の陽空気圧と同じである(すなわち、IPAP=CPAP)。減圧バルブが閉じている場合、陽圧ガスの流動が加圧ガス排気ポート8aを通して捨てられるので、呼気の陽空気圧は、一定の陽空気圧未満である(すなわち、EPAP<CPAP)。呼気の陽空気圧レベルは、とりわけ、加圧ガス排気ポート8aのサイズ(ひいては、捨てられることができる陽圧ガスの流動18の量)に依存する。
【0056】
図23及び24は、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されたバイアス部材を持つ減圧バルブの出力に対応する流動及び圧力曲線を図示する。図23及び24に示されるように、バイアス部材は、呼気サイクルの終了前に、インナースリーブを開放位置に動かし、それで呼息の間に屈曲効果又は減衰効果を提供する。図23に示されるように、バイアス部材は、呼気サイクルの終端に減圧バルブを閉じる。一方、図24では、バイアス部材は、呼気サイクルの終わりの前に、減圧バルブを閉じる。
【0057】
本発明が、最も実用的かつ好ましい実施の形態であると現在考えられるものに基づいて解説のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであって、本発明は、開示された実施の形態に制限されず、それどころか、添付された請求の範囲の精神及び範囲内である変更及び同等の装置をカバーすることが意図される。
【0058】
例えば、本願明細書において実施の形態に図示される減圧バルブはバルブ本体2の壁内に別々のポートを持つが、用語「加圧ガス排気ポート」及び「呼気ガス排気ポート」は、陽圧ガスの流動18が呼気ガスの流動20と混ざることを防止するようにインナースリーブ10によって分割されるバルブ本体2中の単一のポートを包含することが意図される。他の例として、本発明が、可能な限り任意の実施の形態の一つ以上の特徴が任意の他の実施の形態の一つ以上の特徴と組み合わせられることができることを意図していることが、理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の気道への呼吸ガスの流動の供給に関し、より詳しくは、呼吸ガスの流動を受ける患者に改善された快適さを提供するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、呼吸ガスの流動を患者の気道に供給することが必要であり、又は望ましい。例えば、呼吸及び/又は心臓障害(例えば閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全並びに他の呼吸器及び/又は呼吸異常)を治療するために、呼吸サイクルの少なくとも一部の間に、呼吸ガスの流動を患者に供給することが知られている。
【0003】
睡眠の間、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に苦しむ患者は、例えば、気道組織の構造、筋緊張及び体位の結果として生じる機械的なつぶそうとする力に起因して、気道を狭める及び/又はつぶす傾向がある。OSASを治療する1つの方法は、持続性気道陽圧(CPAP)治療である。CPAP治療では、ガスの流動が、患者の気道を開いたまま支えて気道の狭小化又はつぶれを防止するために十分な大きさの一定の圧力で供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常の呼吸サイクルの間、肺と体の外部との間の圧力勾配は、一定ではない。例えば吸気の間、圧力勾配(時々「吸気性圧力勾配」と呼ばれる)は、吸気の開始時におけるゼロからピークの負の値まで低下して、それから吸気終了時のゼロまで回復する。呼気の間、圧力勾配(時々「呼気性圧力勾配」と呼ばれる)は、呼気の開始時におけるゼロからピークの値まで上昇し、それから呼気終了時のゼロまで低下する。圧力勾配が呼吸サイクルを通じて変化するので、気道のつぶれを克服するために必要な圧力は、理想的には、呼吸サイクルを通じて変化しなければならない。したがって、CPAPはOSASのための単純な治療ソリューションを提供するが、一定の支持圧力を気道に印加することは、呼吸サイクルの大部分の間に気道を支持するために必要な圧力よりも高い圧力に患者をさらす。
【0005】
進化した治療(例えば二相性陽気道圧力(bi-level PAP)治療、及び比例陽気道圧力治療)は、呼吸サイクル間の特定の場合に圧力を低下させるために、異なる圧力要求を利用することを追求する。二相性PAP治療において、例えば、吸気の間、ガスの流動は第1の圧力で患者の気道に供給され、呼気の間、低圧力のガスの流動が患者の気道に供給される。しかしながら、依然として、呼気の間に供給されるガスの低圧流動によって生じる抵抗を患者が克服しなければならないので、これらの進化した治療は不快感を引き起こす可能性がある。
【0006】
したがって、既知のシステムに関するこれらの及び他の問題を克服する、呼吸ガスの流動を受ける患者に改善された快適さを提供するための装置及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを含む。バルブ本体は、複数の加圧ガス排気ポート及び複数の呼気ガス排気ポートを持つ。インナースリーブは、複数のインナーポートを持つ。インナースリーブは、バルブ本体内において、インナーポートが閉じており加圧ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートが開いている閉位置と、インナーポートが開いており加圧ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートが閉じている開放位置との間で可動である。
【0008】
本発明の別の態様によれば、減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを含む。バルブ本体は、患者インタフェース端及び圧力発生器端を持ち、それらの間に少なくとも2つの排気ポートを備える。インナースリーブは、バルブ本体内で可動である。インナースリーブは、吸気フェーズの間、圧力発生器端から患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、呼気フェーズの間、少なくとも2つの排気ポートのうちの第1のポートへと陽圧ガスの流動の流れを変えるように構築される。
【0009】
本発明の別の態様では、患者に呼吸ガスを供給するための方法は、吸気フェーズの間、少なくとも呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを持つ患者回路を通してその患者の気道に呼吸ガスを給送し、呼気フェーズの間、呼吸ガス排気ポートを通してそのような患者の気道から呼吸ガスを逸らし、呼気フェーズの間、そのような患者の気道から呼気排気ポートを通るように呼気ガスを導く。
【0010】
本発明の別の態様では、その中に第1排気ポート及び第2排気ポートを有する減圧バルブを含む患者回路を介して、呼吸ガスの流動を供給することによって、患者に呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステムにおいて、本発明の方法は、吸気フェーズの間、呼吸ガスの流動を患者回路を通してそのような患者の気道に供給し、呼気フェーズの間、第1排気ポートを通してそのような患者の気道から呼吸ガスの流動を逸らして、第2排気ポートを通してそのような患者の気道から呼気ガスの流動を排気する。
【0011】
本発明の別の態様では、陽圧ガスの流動を患者の気道に供給するための装置は、陽圧ガスの流動を生成するように構築されるガス流動発生器、そのような患者の気道に陽圧ガスの流動を給送するように構築される患者インタフェース装置、及び患者インタフェース装置にガス流動発生器を結合させるように構築される患者回路を有し、患者回路は、バルブ本体及びインナースリーブを有する減圧バルブを含み、バルブ本体は、その中に少なくとも2つの排気ポートを持ち、インナースリーブは、バルブ本体内で可動であり、インナースリーブは、吸気フェーズの間、ガス流動発生器から患者インタフェース装置へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1のポートに陽圧ガスの流動を逸らすように構築される。
【0012】
操作方法、構造及び部品の組み合わせの関連した要素の機能、並びに製造の経済と同様に、本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び特性は、添付の図面を参照して以下の説明及び添付された請求の範囲を考慮することで、より明らかになる。すべての図面はこの明細書の一部を構成し、それぞれの図において、同様の参照番号は対応する部分を指す。しかしながら、図面は図示及び説明のみを目的とするものであって、本発明の範囲を定めるものとしては意図されていないことが明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの実施の形態による呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステムの模式図。
【図2】本発明の1つの実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図3】閉じた位置としての図2の減圧バルブを示す図。
【図4】本発明の他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図5】閉じた位置における図4の減圧バルブを示す図。
【図6】陽圧ガスの流動がない場合の、閉じた位置における図4の減圧バルブを示す図。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図8】閉じた位置としての図7の減圧バルブを示す図。
【図9】本発明の1つの実施の形態による、消音装置を有する図7の減圧バルブの模式図。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図11】閉じた位置としての図10の減圧バルブを示す図。
【図12】本発明の1つの実施の形態による、呼吸ガスを患者に提供する動作プロセスを示す図。
【図13】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図14】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図15】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図16】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図17】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図18】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図19】本発明による減圧バルブのための様々な封止部材配置を示す図。
【図20】本発明の他の実施の形態による、開放位置として図示される減圧バルブの模式図。
【図21】陽圧ガスの流動が無い場合の、閉じた位置としての図20の減圧バルブを示す図。
【図22】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【図23】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【図24】本発明の減圧バルブの動作を示す流動/圧力曲線。
【発明を実施するための形態】
【0014】
右、左、時計回り、反時計回り、トップ、ボトム、アップ、ダウン、及びそれらの派生語のような、本明細書において用いられる方向の言い回しは、図面に示される要素の配置に関し、明確に述べられない限り、請求の範囲を限定しない。
【0015】
本明細書において使用されるように、「複数」という用語は一つ以上であることを意味し、単数形の名詞は、文脈において別途特に述べられない限り、その名詞が指すものが複数存在する場合を含む。
【0016】
本明細書において使用されるように、2つ以上のパーツが一緒に「接続される」又は「結合される」との記載は、パーツが、直接的に一緒につながれること、又は一つ以上の中間パーツを通して一緒につながれることを意味する。さらに、本明細書において使用されるように、2つ以上のパーツが「取り付けられる」との記載は、そのパーツが直接的に一緒につながれることを意味する。
【0017】
1つの実施の形態による呼吸治療の療法を患者101に提供するように適応されたシステム100が図1に一般に示される。システム100は、圧力発生装置103、患者回路102及び患者インタフェース装置105を含む。圧力生成装置103は、呼吸ガスの流動を生成するように構築され、ベンチレータ、圧力支持装置(例えば持続性気道陽圧装置即ちCPAP装置)、可変加圧装置(例えば、Respironics社(Murrysville, Pennsylvania)によって製造されて提供されるBiPAP(R)、Bi-Flex(R)又はC-Flex(TM)装置)及び自動滴定圧力支持システムを含むことができる(但しそれらに限られない)。
【0018】
患者回路102は、圧力生成装置103から患者インタフェース装置105まで呼吸ガスの流動を給送するように構築される。この実施の形態において、患者回路102は、管路104及び減圧バルブ1を含み、減圧バルブは、本明細書において以下でより詳細に説明されるように、呼吸サイクルの間の特定の場合に減圧効果を提供するように適応される。
【0019】
患者インタフェース105は、一般的に、患者101の顔の上に配置されるように構築される、鼻部又は経鼻/経口マスクである。しかしながら、圧力生成装置103から患者101の気道へと給送される呼吸ガスの流動の供給を容易にする任意の種類の患者インタフェース装置105が、本発明の範囲内で用いられることができる。図1に示されるように、患者インタフェース105は、減圧バルブ1に直接結合されるが、他の構造も意図される。
【0020】
図2-11, 20及び21は、患者に呼吸治療の療法を提供するように適応されたシステム(例えばシステム100。但しこれに限られない)で使用する、減圧バルブの様々な実施の形態を図示する。各々の実施の形態において、減圧バルブは、呼気フェーズの間、大気へと呼吸ガスの流動を「捨てる(dump)」ことによって、患者の気道を呼吸ガスの流動から切り離すように構築される。減圧バルブは、さらに、呼吸ガスの流動と呼気ガスの流動との混合が最小限になるように又はそのような混合が発生しないように、呼気ガスの流動を大気へと捨てるように構築される。例えば、呼吸ガスの流動は、第1の複数のポートを通して大気へと捨てられ、一方、呼気ガスの流動は、第2の複数のポートを通して大気へと捨てられる。呼吸ガスの流動が、呼気ガスの流動から実質的に切り離された状態なので、呼気フェーズの間に患者101が要する労力は少なくなる。
【0021】
要するに、本発明の減圧バルブは、持続的な圧力のガス流動(例えば、CPAP装置からのガスの流動)を、変化する圧力のガス流動(例えば、二相性及び/又はC-FLEX(TM)装置からのガスの流動)に、機械的に変更するように構築される。現在の二相性装置は、低い供給圧力では適切に応答しない。例えば低い圧力では、現在の二相性装置は、吸気性陽空気圧(IPAP)と等しい呼気性陽空気圧(EPAP)を生成する。しかしながら、本発明の減圧バルブは、十分な範囲の供給圧力にわたって、持続的な圧力のガス流動を、変化する圧力のガス流動に変換することができることが留意されるべきである。例えば、本発明の減圧バルブは、低い圧力であっても、CPAP装置によって供給されるガス流動を、変化する圧力のガス流動に変換することができる。減圧バルブによって、バルブが閉じた位置である場合、EPAPは常にIPAPより低い。
【0022】
次に図2及び3を参照すると、本発明の1つの実施の形態による減圧バルブ1が図示される。減圧バルブ1は、バルブ本体2及びインナースリーブ10を含む。バルブ本体2は、圧力発生器端4及び患者インタフェース端6を持つ。圧力発生器端4は、圧力生成器から陽圧ガスの流動(例えば呼吸ガス;一例として図2に矢印18で示される)を受け入れるように構築される。例えば、圧力発生器端4は、管路104(図1)の一端に結合するように適応される。管路104の他端は、圧力生成器103に結合するように適応される。患者インタフェース端6は、陽圧ガスの流動18を患者の気道に供給して、及び/又は、(例えば、図3に矢印20によって示されるように)患者の気道から呼気ガスの流動を受け入れるように構築される。例えば、患者インタフェース端6は、患者101の気道と流体連通する患者インタフェース装置105(図1)に結合するように適応されている。
【0023】
バルブ本体2は、その壁を貫通する複数の加圧ガス排気ポート8a及び複数の呼気ガス排気ポート8bを含む。以下でさらに詳細に述べられるように、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bは、それぞれ、陽圧ガスの流動18及び呼気ガスの流動20がバルブ本体2を通して給送されることを可能にするように構築される。陽圧ガスの流動18は、一般的に、呼気ガスの流動20より大きいボリュームを持つ。したがって、この実施の形態において、加圧ガス排気ポート8aは、呼気ガス排気ポート8bより一般に大きい。図2-3に示すように、バルブ本体2はさらに、第1停止リング7a及び第2停止リング7bを含み、それらは各々、それは、バルブ本体2内でインナースリーブ10が移動することができる量を制限するように構築される。
【0024】
インナースリーブ10は、複数のインナーポート12及び複数の絞り14を含む。封止部材16(例えば、傘状バルブ、ダイアフラムバルブ、バタフライバルブ、ダックビルバルブ、コーンバルブ、スパイラルバルブ及び二葉バルブ(但しそれらに限られない))は、インナーポート12を通る陽圧ガスの流動18を制御するように構築される。図2-3に図示された実施例において、傘状バルブ16が封止部材として使用される。インナースリーブ10は、バルブ本体2内に導入されて、その中で(例えば第1停止リング7aと第2停止リング7bとの間で)可動である。この実施の形態において、適切な運動の自由度を保証するために、インナースリーブ10とバルブ本体2との間に約0.05インチのクリアランスが設けられる。しかしながら、他のクリアランス量も意図される。さらに、摩擦を低減して耐摩耗性を改善するために、互いに接触するバルブ本体2の表面及び/又はインナースリーブ10の表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や他の適切な材料でコーティングされることができる。
【0025】
この実施の形態において、バルブ本体2及びインナースリーブ10は、プラスチック材料で構成される。しかしながら、バルブ本体2及び/又はインナースリーブ10は他の材料から構成されることができる。インナースリーブ10は、例えば、金属(例えばチタン又はアルミニウム(但しそれらに限られない))で構成されることができる。
【0026】
本明細書において使用されるように、インナーポート12が実質的に開いており(すなわち、封止部材16がインナーポート12を実質的に塞がない)、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bが実質的に閉じている(すなわちインナースリーブ10が実質的に排気ポート8a及び8bを塞ぐ)場合に、減圧バルブ1は、「開いている」又は「開放位置」にあると呼ばれる。減圧バルブ1は、一般的に、吸気フェーズの間(すなわち患者が吸入しているとき)、開放位置にある。
【0027】
図2を参照して、圧力発生器端4に最も近いインナースリーブ10の終端の放射状面は、「圧力発生器衝突面」10aと呼ばれることがある。さらに、患者インタフェース端6に最も近いインナースリーブ10の終端の放射状面は、「患者インタフェース衝突面」10bと呼ばれることがある。陽圧ガスの流動18は、圧力発生器衝突面10aに力を及ぼし、バルブ本体2内でインナースリーブ10を動かす。一般的に、患者インタフェース衝突面10bが第2シールリング7bに接触するまで、この動きは続く。陽圧ガスの流動18はさらに、インナーポート12が実質的に開くように、傘状バルブ部材16を曲げる。この開放位置において、陽圧ガスの流動18は、圧力発生器端4からインナーポート12を通して患者インタフェース端6まで給送される。しかしながら、陽圧ガスの流動18は、インナースリーブ10によって加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bから切り離される。
【0028】
本明細書において使用されるように、インナーポート12が実質的に閉じており(すなわち封止部材16が実質的にインナーポート12を塞ぐ)、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bが実質的に開いている(すなわちインナースリーブ10が排気ポート8a及び8bを実質的に塞がない)場合に、減圧バルブ1は、「閉じている」又は「閉位置」にあると呼ばれる。減圧バルブ1は、一般的に、呼気フェーズの間(すなわち患者が息を吐き出しているとき)、閉位置にある。例えば、図3を参照すると、呼気ガスの流動20は、患者インタフェース衝突面10bに力を及ぼし、バルブ本体2内でインナースリーブ10を動かす。一般的に、圧力発生器衝突面10aが第1シールリング7aと接触するまで、この動きは続く。呼気ガスの流動20はさらに、インナーポート12が閉じるように(すなわち、インナーポート12を通しての陽圧ガスの流動18及び/又は呼気ガスの流動20が妨げられるように)、傘状バルブ16を曲げる。この閉位置において、陽圧ガスの流動18は、絞り14を通して加圧ガス排気ポート8aへと流れを変えられて、大気へと出る。さらに、呼気ガスの流動20は、呼気ガス排気ポート8bを通して大気に放出される。この閉位置において、陽圧ガスの流動18は、圧力発生器端4からインナーポート12を通して患者インタフェース端6まで給送されない。
【0029】
図3に示されるように、減圧バルブ1が閉位置にある場合、呼気ガスの流動20は、陽圧ガスの流動18と混ざらず、さらにそれによって妨げられない。したがって、呼気フェーズの間に陽圧ガスの流動18によって引き起こされる抵抗を克服するために患者に要求される仕事量は、大幅に低減されて及び/又は除去される。封止部材16と関連する及び/又はインナースリーブ10とバルブ本体2との間の漏れに起因する無視できる量の混合は許容される。
【0030】
本発明の他の実施の形態による減圧バルブ1'が、図4-6に図示される。図4は、開放位置における減圧バルブ1'を図示する。図5は、閉位置における減圧バルブ1'を図示する。減圧バルブ1'は、減圧バルブ1について図2-3と共に上述された態様と同様に機能する。
【0031】
減圧バルブ1'は、さらにバイアス部材17を含む。この実施の形態において、バイアス部材17は、例えば、陽圧ガスの流動18が圧力発生器端4に無い場合(例えば電力が圧力生成器103から除去される場合)に、インナースリーブ10を閉位置に動かすように構築されたベローズである。したがって、陽圧ガス18の流動が無い場合、減圧バルブ1'は引込みバルブ(entrainment valve)として機能する。
【0032】
例えば、図6を参照して、ベローズ17は、呼気ガスの流動20が大気に向かい、加圧されていない吸入ガスの流動22が患者の気道に給送されるように、インナースリーブ10を閉位置に戻す。図4-6では、ベローズがバイアス部材17として使用されるが、この実施の形態として、他のバイアス部材(例えば、スプリング、磁石など(但しそれらに限られない))が用いられることができる。
【0033】
図20-21は、例えば、バイアス部材17として磁石(17a, 17b)を使用する減圧バルブ1''''を示す。陽圧ガスの流動18がない場合、磁石17aと磁石17bとの間の引力は、閉位置にインナースリーブ10''を戻す(図21)。磁石17aや17bの位置や極性は、磁石17a及び磁石17bがインナースリーブ10''を閉位置に戻すようにお互いに反発するように変更されることができる。
【0034】
バイアス部材がインナースリーブを閉位置に戻すものとして説明されたが、バイアス部材は、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されることもできる。以下に図22-24と共に説明されるように、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されるバイアス部材を有する減圧バルブは、圧力曲線中の屈曲効果又は減衰効果を提供する。減圧バルブ1''''が永久磁石を使用するとして説明されたが、本発明の範囲内として、電磁石が使用されることができる。電磁石を使用すると、患者が要する仕事量がさらに低減され、「屈曲効果」又は「減衰効果」(図23-24)の更なる制御を可能にし、そして電磁石の極性を変更することによって、陽圧ガスの流動が存在しない場合にインナースリーブが開放位置に戻るのか閉位置に戻るのかをユーザが選択することを可能にする。
【0035】
本発明の他の実施の形態による減圧バルブ1''が、図7-8に図示される。図7は、開放位置の減圧バルブ1''を図示する。図8は、閉位置の減圧バルブ1''を図示する。減圧バルブ1''は、減圧バルブ1について図2-3と共に上述されたものと同様の態様で機能する。
【0036】
図7及び8に図示された実施例において、インナースリーブ10'は、減圧バルブ1'を閉位置に動かすために必要な労力の量をさらに減らすように適応される圧力発生器衝突面10a'及び患者インタフェース衝突面10b'を持つ。一般に、圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積以下である。圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積の約75%から100%の間である。しかしながら、本発明の範囲内として、他の割合が使用されることができる。
【0037】
この実施の形態では、例えば、圧力発生器衝突面10a'の表面積は、患者インタフェース衝突面10b'の表面積の約95%である。結果として、排気の流動20によって患者インタフェース衝突面10b'においてインナースリーブ10'に印加される総合の力は、陽圧ガスの流動18によって圧力発生器衝突面10a'においてインナースリーブ10'に印加される総合の力より大きい。より具体的には、排気の流動20及び陽圧ガスの流動18が同じ圧力である場合には、患者インタフェース衝突面10b'においてインナースリーブ10'にかかる力が、圧力発生器衝突面10'における力よりも大きいので、インナースリーブ10'は、減圧バルブ1''が閉位置になるように移動する。したがって、呼気フェーズの間に、減圧バルブ1''が閉位置になるようにインナースリーブ10'を動かすために患者が及ぼすことを要する力はより小さくなる。
【0038】
図9は、加圧ガス排気ポート8aに結合された消音器13を有する図7-8の減圧バルブ1''を図示する。消音器13は、加圧ガス排気ポート8aを通るように陽圧ガスの流動18の流れを変更することによって引き起こされる騒音を低減するように構築される。この実施の形態において、例えば、消音器13は、陽圧ガスの流動18を、一般的な乱流から一般的な層動に変えるように構築される。減圧バルブ1''の加圧ガス排気ポート8aに結合されるものとしてのみ示されるが、消音器13は、代わりに又は更に、本発明の任意の減圧バルブの加圧ガスポート8a及び/又は排気ポート8bに結合されることができる。
【0039】
他の実施の形態による減圧バルブ1'''が図10-11に図示される。図10は開放位置の減圧バルブ1'''を示し、図11は閉位置の減圧バルブ1'''を示す。
【0040】
減圧バルブ1'''は、減圧バルブ1''について図7-8と共に上述された態様と同様に機能する。インナースリーブ10''は、減圧バルブ1'''を閉位置にするために必要な労力の量をさらに減らすように適応される圧力発生器衝突面10a''及び患者インタフェース衝突面10b''を持つ。一般に、圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積以下である。圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積の約75%から100%の間であることが意図される。しかしながら、本発明の範囲内として他の割合が使用されることができる。この実施の形態において、圧力発生器衝突面10a''の表面積は、患者インタフェース衝突面10b''の表面積の約95%である。したがって、呼気フェーズの間に、減圧バルブ1'''が閉位置になるようにインナースリーブ10''を動かすために患者が及ぼすことを要する力はより小さくなる。
【0041】
減圧バルブ1'''は、バルブ本体2の外側に沿って可動である可調アウタースリーブ24を含む。可調アウタースリーブ24は、加圧ガス排気ポート8aの一部分を塞ぐように適応される。結果として、加圧ガス排気ポート8aを通して捨てられる陽圧ガスの流動18の量が、制御されることができる。捨てられる陽圧ガスの流動18を変えることによって、呼気性の陽空気圧(EPAP)は調整されることができる。したがって、可調アウタースリーブ24を使用する減圧バルブは、滴定に用いられることができる。
【0042】
図10-11には示されていないが、可調アウタースリーブ24は、各々が特定のEPAPに関連した複数の予め定められた設定点を持つことができる。例えば、可調アウタースリーブ24は、バルブ本体2上のリブ(rib)と協働する及び/又はかみ合う複数の窪みを含むことができる。例えば、第1EPAPレベルは、第1の窪みがリブとかみ合うとき(例えば可調アウタースリーブ24が加圧ガス排気ポート8aの5%を塞ぐとき)に提供され、第2のEPAPレベルは、第2の窪みがリブとかみ合うとき(例えば、可調アウタースリーブ24が加圧ガス排気ポート8aの10%を塞ぐとき)に、提供されるなどである。さらに、減圧バルブ1'''及び減圧バルブ1''''のみに関連して図示されたが、可調アウタースリーブ24は、代わりに又は更に、本発明の任意の他の減圧バルブに結合されることができる。
【0043】
図12は、呼吸ガスを患者に提供するための動作プロセス30を図示する。動作プロセス30は、動作32によって始まり、吸気フェーズの間、呼吸ガスは、呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを有する患者回路を通して患者に給送される。この実施の形態において、陽圧ガスの流動18は、圧力生成装置103から患者回路102を通して患者の気道まで給送される(図1)。患者回路102は、加圧ガス排気ポート8a(すなわち呼吸ガス排気ポートとも呼ばれる)及び呼気ガス排気ポート8bを持つ減圧バルブ(例えば減圧バルブ1)を含む。上記のように、吸気フェーズの間、減圧バルブ1は開放位置にあり、これによって、陽圧ガスの流動18が、インナーポート12を通して患者の気道に給送されることを可能にする。さらに、加圧ガス排気ポート8a及び呼気ガス排気ポート8bは、吸気フェーズの間、インナースリーブ10によって遮られる。
【0044】
動作制御は、続いて動作34に移り、呼気フェーズの間、呼吸ガスは、呼吸ガス排気ポートを通してその患者の気道から逸らされる。この実施の形態において、呼気フェーズの間、減圧バルブ1は閉位置である。閉位置において、封止部材16は、陽圧ガスの流動18の患者の気道への給送を遮る。陽圧ガスの流動18は、絞り14を通して加圧ガス排気ポート8aへと向きを変更され、この実施の形態では、陽圧ガスの流動18は大気に捨てられる。
【0045】
動作36において、呼気フェーズの間、患者の気道からの呼気ガスは、呼気ガス排気ポートを通るように導かれる。動作34に関して上述したように、減圧バルブ1は、呼気フェーズの間、閉位置である。封止部材16は、呼気ガスの流動20がインナーポート12を通過することを防止する。代わり、呼気ガスの流動20は、呼気ガス排気ポート8bを通るように導かれて、この実施の形態において、大気に捨てられる。呼気フェーズの間、呼気ガスの流動20及び陽圧ガスの流動18は、封止部材16によって互いから実質的に分離され、患者が息を吐き出すために要する労力は低減される。
【0046】
図2-9に図示される減圧バルブは、封止部材として傘状バルブ16を使用する。図13-19bは、本発明の減圧バルブのために用いられることができる封止部材16のためのいくつかの他の配置を図示する。例えば、図13は、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10に挿入されるバルブステム26によってインナースリーブ10に結合されるダイアフラムバルブ16'を図示する。
【0047】
図14は、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10'''と一体の部分であるバルブステム26'によってインナースリーブ10'''に結合されるダイアフラムバルブ16'を示す。
【0048】
図15a及び15bは、本発明の1つの実施の形態によるバルブステム26'によってインナースリーブ10'''に結合されるバタフライバルブ16''を図示する。図15aは閉じた位置のバタフライバルブ16''を示し、図15bは開いた位置のバタフライバルブ16''を示す。
【0049】
図16a及び16bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合されるダックビルバルブ16'''を図示する。図16aは閉じた位置のダックビルバルブ16'''を示し、図16bは開いた位置のダックビルバルブ16'''を示す。
【0050】
図17a及び17bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合されるコーンバルブ16''''を図示する。図17aは閉じた位置のコーンバルブ16''''を示し、図17bは開いた位置のコーンバルブ16''''を示す。
【0051】
図18a及び18bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合するスパイラルバルブ16'''''を図示する。図18aは閉じた位置のスパイラルバルブ16'''''を示し、図18bは開いた位置のスパイラルバルブ16'''''を示す。
【0052】
図19a及び19bは、本発明の1つの実施の形態によるインナースリーブ10''''に結合される二葉バルブ16''''''を図示する。図19aは閉じた位置の二葉バルブ16''''''を示し、図19bは開いた位置の二葉バルブ16''''''を示す。
【0053】
封止部材のためのいくつかの配置が本明細書において論じられたが、本発明の範囲内として、他の配置が使用されることができる。
【0054】
図22-24は、例えば、一定の陽圧でガスの流動を生成する圧力発生器103を有するシステム100(図1)において用いられる場合に本発明の減圧バルブによって出力される流動及び圧力の曲線を図示する。(一定の陽圧でガスの流動を生成する)CPAP圧力発生器103に関して論じられたが、他の形式の圧力発生器が使用されることができる。図22-24に図示される二相性PAP曲線は、本発明の減圧バルブによって生成される。
【0055】
図22を参照すると、減圧バルブが開いている場合、吸気の陽空気圧は、圧力発生器103によって生成される一定の陽空気圧と同じである(すなわち、IPAP=CPAP)。減圧バルブが閉じている場合、陽圧ガスの流動が加圧ガス排気ポート8aを通して捨てられるので、呼気の陽空気圧は、一定の陽空気圧未満である(すなわち、EPAP<CPAP)。呼気の陽空気圧レベルは、とりわけ、加圧ガス排気ポート8aのサイズ(ひいては、捨てられることができる陽圧ガスの流動18の量)に依存する。
【0056】
図23及び24は、インナースリーブを開放位置に戻すように構築されたバイアス部材を持つ減圧バルブの出力に対応する流動及び圧力曲線を図示する。図23及び24に示されるように、バイアス部材は、呼気サイクルの終了前に、インナースリーブを開放位置に動かし、それで呼息の間に屈曲効果又は減衰効果を提供する。図23に示されるように、バイアス部材は、呼気サイクルの終端に減圧バルブを閉じる。一方、図24では、バイアス部材は、呼気サイクルの終わりの前に、減圧バルブを閉じる。
【0057】
本発明が、最も実用的かつ好ましい実施の形態であると現在考えられるものに基づいて解説のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであって、本発明は、開示された実施の形態に制限されず、それどころか、添付された請求の範囲の精神及び範囲内である変更及び同等の装置をカバーすることが意図される。
【0058】
例えば、本願明細書において実施の形態に図示される減圧バルブはバルブ本体2の壁内に別々のポートを持つが、用語「加圧ガス排気ポート」及び「呼気ガス排気ポート」は、陽圧ガスの流動18が呼気ガスの流動20と混ざることを防止するようにインナースリーブ10によって分割されるバルブ本体2中の単一のポートを包含することが意図される。他の例として、本発明が、可能な限り任意の実施の形態の一つ以上の特徴が任意の他の実施の形態の一つ以上の特徴と組み合わせられることができることを意図していることが、理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加圧ガス排気ポート及び複数の呼気ガス排気ポートを持つバルブ本体、並びに複数のインナーポートを持つインナースリーブを有し、
前記インナースリーブが、前記インナーポートが閉じており前記加圧ガス排気ポートと前記呼気ガス排気ポートとが開いている閉位置と、前記インナーポートが開いており前記加圧ガス排気ポートと前記呼気ガス排気ポートとが閉じている開放位置のと間で、前記バルブ本体内において可動である、減圧バルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体が、圧力発生器端及び患者インタフェース端を含み、前記圧力発生器端が、圧力発生器から陽圧ガスの流動を受け入れるように構築され、前記患者インタフェース端が、前記陽圧ガスの流動を患者に供給し、その患者からの呼気ガスの流動を受け入れるように構築される、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項3】
前記インナースリーブは、当該インナースリーブが前記閉位置にある場合に前記複数の加圧ガス排気ポートと流体連通する複数の絞りを持ち、
前記インナースリーブは、それに結合された封止部材を持ち、
前記封止部材は、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、前記インナーポートを閉じて、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への陽圧ガスの流動を妨げるように構築され、前記インナースリーブが前記開放位置にある場合に、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への陽圧ガスの流動を可能にするように構築され、
前記封止部材は、ダイアフラムバルブ、バタフライバルブ、ダックビルバルブ、傘状バルブ、コーンバルブ、スパイラルバルブ及び二葉バルブのうちの一つである、請求項2に記載の減圧バルブ。
【請求項4】
陽圧ガスの流動が前記圧力発生器端にないときに、前記インナースリーブを前記閉位置及び前記開放位置のうちの一方に戻すバイアス部材をさらに有する、請求項2に記載の減圧バルブ。
【請求項5】
前記加圧ガス排気ポートは、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、陽圧ガスの流動が前記バルブ本体中を有効に通るように構築され、
前記呼気ガス排気ポートは、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、呼気ガスの流動が前記バルブ本体中を有効に通るように構築される、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項6】
前記インナースリーブが、圧力発生器衝突面及び患者インタフェース衝突面を持ち、前記圧力発生器衝突面の表面積が、前記患者インタフェース衝突面の表面積の約75%から100%の間である、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項7】
前記加圧ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートの少なくとも一つに結合される消音器、並びに
前記加圧ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートのうちの一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築される可調アウタースリーブ、
のうちの少なくとも一つをさらに有する請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項8】
患者インタフェース端、圧力発生器端、及びそれらの間の少なくとも2つの排気ポートを持つバルブ本体、並びに
前記バルブ本体内で可動であるインナースリーブを有し、
前記インナースリーブは、吸気フェーズの間、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、
前記インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1の排気ポートへと前記陽圧ガスの流動を逸らし、前記患者インタフェース端から前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートへと呼気ガスの流動を給送するように構築される、減圧バルブ。
【請求項9】
前記圧力発生器端が、前記陽圧ガスの流動を生成するように動作可能なガス発生器に結合するように構築され、前記患者インタフェース端が、患者の気道に前記陽圧ガスの流動を供給し、その患者の気道から呼気ガスの流動を受け入れるように動作可能な患者インタフェース装置に結合するように構築される、請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項10】
前記インナースリーブが、吸気の間、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように動作可能な複数のインナーポートを持ち、
前記インナースリーブが、それに結合された封止部材を持ち、
前記封止部材が、呼気の間、前記複数のインナーポートのうちの少なくともいくつかを通した前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への前記陽圧ガスの流動の給送を妨げるように構築される、
請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項11】
前記陽圧ガスの流動が前記圧力発生器端に無い場合に、呼気ガスの流動が前記少なくとも2つの排気ポートのうちの前記第2の排気ポートに供給される位置に前記インナースリーブを戻すバイアス手段をさらに有する、請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項12】
前記少なくとも2つの排気ポートのうちの少なくとも一つに結合される消音器、及び
前記2つの排気ポートのうちの少なくとも一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築され、患者の自動滴定に適応される可調アウタースリーブ、
のうちの少なくとも一つをさらに有する請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項13】
患者に呼吸ガスを供給する方法であって、
吸気フェーズの間、少なくとも呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを持つ患者回路を通して前記患者の気道に前記呼吸ガスを給送し、
呼気フェーズの間、前記呼吸ガス排気ポートを通して、前記患者の気道から前記呼吸ガスを逸らし、
前記呼気フェーズの間、呼気ガスを前記患者の気道から前記呼気ガス排気ポートを通るように導く方法。
【請求項14】
患者回路を通して前記呼吸ガスを給送する場合、バルブ本体及びインナースリーブを持つ減圧バルブを介して前記患者の気道に前記呼吸ガスを供給し、前記バルブ本体は前記呼吸ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートを含み、前記インナースリーブは複数のインナーポート及び複数の絞りを持ち、前記インナースリーブは開放位置に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記減圧バルブが可調アウタースリーブを持ち、前記患者を滴定するように前記可調アウタースリーブを制御する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の気道から前記呼吸ガスを逸らす場合、前記インナースリーブを閉位置に配置し、前記呼吸ガスを前記呼吸ガス排気ポートに向けて、
前記呼気ガスを前記患者の気道から離れる方向に向ける場合、前記インナースリーブを閉位置に配置し、前記呼気ガスを前記呼気ガス排気ポートに向ける、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
患者に呼吸療法の治療を供給するための、第1排気ポート及び第2排気ポートを持つ減圧バルブを備える患者回路を含むシステムにおける方法であって、
吸気フェーズの間、前記患者回路を通して患者の気道に呼吸ガスの流動を供給し、
呼気フェーズの間、第1排気ポートを通して前記呼吸ガスの流動を前記患者の気道から逸らし、第2排気ポートを通して前記患者の気道からの呼気ガスの流動を捨て、
前記減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを持ち、
前記呼吸ガスの流動によって前記バルブ本体内で前記インナースリーブを開放位置に動かすことで、前記呼吸ガスの流動を供給し、
前記呼気ガスの流動によって前記バルブ本体内で前記インナースリーブを閉位置に動かすことで、前記呼吸ガスの流動を逸らして前記呼気ガスの流動を捨てる方法。
【請求項18】
前記呼吸ガスの流動を逸らして前記呼気ガスの流動を捨てる際に、第1排気ポートを出る前記呼吸ガスの流動及び第2排気ポートを出る前記呼気ガスの流動の少なくとも一つによって生じる音を消音する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記減圧バルブが可調アウタースリーブを持ち、第1排気ポートを通して逸らされる呼吸ガスの量及び第2ガス排気ポートを通るように導かれる呼気ガスの量のうちの少なくとも一つを制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
患者の気道に陽圧ガスの流動を供給する装置であって、
前記陽圧ガスの流動を生成するように構築されるガス流動発生器、
前記患者の気道に前記陽圧ガスの流動を給送するように構築される患者インタフェース装置、及び
前記ガス流動発生器を前記患者インタフェース装置に結合するように構築される患者回路を有し、
前記患者回路が、バルブ本体及びインナースリーブを備える減圧バルブを含み、前記バルブ本体は少なくとも2つの排気ポートを持ち、前記インナースリーブは前記バルブ本体内で可動であり、前記インナースリーブは、吸気フェーズの間、前記陽圧ガスの流動を前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置に給送するように構築され、前記インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記陽圧ガスの流動を前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1の排気ポートに逸らすように構築される装置。
【請求項21】
前記患者インタフェース装置が、前記患者の気道からの呼気の流動を給送するように構築され、前記インナースリーブが、呼気フェーズの間、前記2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートへと前記呼気ガスの流動を逸らすように構築される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記減圧バルブが、前記陽圧ガスの流動が無い場合に、前記呼気ガスの流動が前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートに供給される位置に前記インナースリーブを配置するように構築されるバイアス手段をさらに有する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記インナースリーブが、呼気の間に前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置に前記陽圧ガスの流動を給送するように動作可能な複数のインナーポートを持ち、
呼気の間、前記複数のインナーポートのうちの少なくともいくつかを通した前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置への前記陽圧ガスの流動の給送を妨げるように構築される封止部材をさらに有する、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記2つの排気ポートのうちの少なくとも一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築される可調アウタースリーブをさらに有し、前記可調アウタースリーブは、患者の滴定に適応される、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記インナースリーブが、圧力発生器衝突面及び患者インタフェース衝突面を有し、前記圧力発生器衝突面の表面積が、前記患者インタフェース衝突面の表面積の約75%から100%の間である、請求項20に記載の装置。
【請求項1】
複数の加圧ガス排気ポート及び複数の呼気ガス排気ポートを持つバルブ本体、並びに複数のインナーポートを持つインナースリーブを有し、
前記インナースリーブが、前記インナーポートが閉じており前記加圧ガス排気ポートと前記呼気ガス排気ポートとが開いている閉位置と、前記インナーポートが開いており前記加圧ガス排気ポートと前記呼気ガス排気ポートとが閉じている開放位置のと間で、前記バルブ本体内において可動である、減圧バルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体が、圧力発生器端及び患者インタフェース端を含み、前記圧力発生器端が、圧力発生器から陽圧ガスの流動を受け入れるように構築され、前記患者インタフェース端が、前記陽圧ガスの流動を患者に供給し、その患者からの呼気ガスの流動を受け入れるように構築される、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項3】
前記インナースリーブは、当該インナースリーブが前記閉位置にある場合に前記複数の加圧ガス排気ポートと流体連通する複数の絞りを持ち、
前記インナースリーブは、それに結合された封止部材を持ち、
前記封止部材は、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、前記インナーポートを閉じて、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への陽圧ガスの流動を妨げるように構築され、前記インナースリーブが前記開放位置にある場合に、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への陽圧ガスの流動を可能にするように構築され、
前記封止部材は、ダイアフラムバルブ、バタフライバルブ、ダックビルバルブ、傘状バルブ、コーンバルブ、スパイラルバルブ及び二葉バルブのうちの一つである、請求項2に記載の減圧バルブ。
【請求項4】
陽圧ガスの流動が前記圧力発生器端にないときに、前記インナースリーブを前記閉位置及び前記開放位置のうちの一方に戻すバイアス部材をさらに有する、請求項2に記載の減圧バルブ。
【請求項5】
前記加圧ガス排気ポートは、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、陽圧ガスの流動が前記バルブ本体中を有効に通るように構築され、
前記呼気ガス排気ポートは、前記インナースリーブが前記閉位置にある場合に、呼気ガスの流動が前記バルブ本体中を有効に通るように構築される、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項6】
前記インナースリーブが、圧力発生器衝突面及び患者インタフェース衝突面を持ち、前記圧力発生器衝突面の表面積が、前記患者インタフェース衝突面の表面積の約75%から100%の間である、請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項7】
前記加圧ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートの少なくとも一つに結合される消音器、並びに
前記加圧ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートのうちの一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築される可調アウタースリーブ、
のうちの少なくとも一つをさらに有する請求項1に記載の減圧バルブ。
【請求項8】
患者インタフェース端、圧力発生器端、及びそれらの間の少なくとも2つの排気ポートを持つバルブ本体、並びに
前記バルブ本体内で可動であるインナースリーブを有し、
前記インナースリーブは、吸気フェーズの間、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように構築され、
前記インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1の排気ポートへと前記陽圧ガスの流動を逸らし、前記患者インタフェース端から前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートへと呼気ガスの流動を給送するように構築される、減圧バルブ。
【請求項9】
前記圧力発生器端が、前記陽圧ガスの流動を生成するように動作可能なガス発生器に結合するように構築され、前記患者インタフェース端が、患者の気道に前記陽圧ガスの流動を供給し、その患者の気道から呼気ガスの流動を受け入れるように動作可能な患者インタフェース装置に結合するように構築される、請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項10】
前記インナースリーブが、吸気の間、前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端へと陽圧ガスの流動を給送するように動作可能な複数のインナーポートを持ち、
前記インナースリーブが、それに結合された封止部材を持ち、
前記封止部材が、呼気の間、前記複数のインナーポートのうちの少なくともいくつかを通した前記圧力発生器端から前記患者インタフェース端への前記陽圧ガスの流動の給送を妨げるように構築される、
請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項11】
前記陽圧ガスの流動が前記圧力発生器端に無い場合に、呼気ガスの流動が前記少なくとも2つの排気ポートのうちの前記第2の排気ポートに供給される位置に前記インナースリーブを戻すバイアス手段をさらに有する、請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項12】
前記少なくとも2つの排気ポートのうちの少なくとも一つに結合される消音器、及び
前記2つの排気ポートのうちの少なくとも一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築され、患者の自動滴定に適応される可調アウタースリーブ、
のうちの少なくとも一つをさらに有する請求項8に記載の減圧バルブ。
【請求項13】
患者に呼吸ガスを供給する方法であって、
吸気フェーズの間、少なくとも呼吸ガス排気ポート及び呼気ガス排気ポートを持つ患者回路を通して前記患者の気道に前記呼吸ガスを給送し、
呼気フェーズの間、前記呼吸ガス排気ポートを通して、前記患者の気道から前記呼吸ガスを逸らし、
前記呼気フェーズの間、呼気ガスを前記患者の気道から前記呼気ガス排気ポートを通るように導く方法。
【請求項14】
患者回路を通して前記呼吸ガスを給送する場合、バルブ本体及びインナースリーブを持つ減圧バルブを介して前記患者の気道に前記呼吸ガスを供給し、前記バルブ本体は前記呼吸ガス排気ポート及び前記呼気ガス排気ポートを含み、前記インナースリーブは複数のインナーポート及び複数の絞りを持ち、前記インナースリーブは開放位置に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記減圧バルブが可調アウタースリーブを持ち、前記患者を滴定するように前記可調アウタースリーブを制御する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の気道から前記呼吸ガスを逸らす場合、前記インナースリーブを閉位置に配置し、前記呼吸ガスを前記呼吸ガス排気ポートに向けて、
前記呼気ガスを前記患者の気道から離れる方向に向ける場合、前記インナースリーブを閉位置に配置し、前記呼気ガスを前記呼気ガス排気ポートに向ける、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
患者に呼吸療法の治療を供給するための、第1排気ポート及び第2排気ポートを持つ減圧バルブを備える患者回路を含むシステムにおける方法であって、
吸気フェーズの間、前記患者回路を通して患者の気道に呼吸ガスの流動を供給し、
呼気フェーズの間、第1排気ポートを通して前記呼吸ガスの流動を前記患者の気道から逸らし、第2排気ポートを通して前記患者の気道からの呼気ガスの流動を捨て、
前記減圧バルブは、バルブ本体及びインナースリーブを持ち、
前記呼吸ガスの流動によって前記バルブ本体内で前記インナースリーブを開放位置に動かすことで、前記呼吸ガスの流動を供給し、
前記呼気ガスの流動によって前記バルブ本体内で前記インナースリーブを閉位置に動かすことで、前記呼吸ガスの流動を逸らして前記呼気ガスの流動を捨てる方法。
【請求項18】
前記呼吸ガスの流動を逸らして前記呼気ガスの流動を捨てる際に、第1排気ポートを出る前記呼吸ガスの流動及び第2排気ポートを出る前記呼気ガスの流動の少なくとも一つによって生じる音を消音する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記減圧バルブが可調アウタースリーブを持ち、第1排気ポートを通して逸らされる呼吸ガスの量及び第2ガス排気ポートを通るように導かれる呼気ガスの量のうちの少なくとも一つを制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
患者の気道に陽圧ガスの流動を供給する装置であって、
前記陽圧ガスの流動を生成するように構築されるガス流動発生器、
前記患者の気道に前記陽圧ガスの流動を給送するように構築される患者インタフェース装置、及び
前記ガス流動発生器を前記患者インタフェース装置に結合するように構築される患者回路を有し、
前記患者回路が、バルブ本体及びインナースリーブを備える減圧バルブを含み、前記バルブ本体は少なくとも2つの排気ポートを持ち、前記インナースリーブは前記バルブ本体内で可動であり、前記インナースリーブは、吸気フェーズの間、前記陽圧ガスの流動を前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置に給送するように構築され、前記インナースリーブは、呼気フェーズの間、前記陽圧ガスの流動を前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第1の排気ポートに逸らすように構築される装置。
【請求項21】
前記患者インタフェース装置が、前記患者の気道からの呼気の流動を給送するように構築され、前記インナースリーブが、呼気フェーズの間、前記2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートへと前記呼気ガスの流動を逸らすように構築される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記減圧バルブが、前記陽圧ガスの流動が無い場合に、前記呼気ガスの流動が前記少なくとも2つの排気ポートのうちの第2の排気ポートに供給される位置に前記インナースリーブを配置するように構築されるバイアス手段をさらに有する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記インナースリーブが、呼気の間に前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置に前記陽圧ガスの流動を給送するように動作可能な複数のインナーポートを持ち、
呼気の間、前記複数のインナーポートのうちの少なくともいくつかを通した前記ガス流動発生器から前記患者インタフェース装置への前記陽圧ガスの流動の給送を妨げるように構築される封止部材をさらに有する、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記2つの排気ポートのうちの少なくとも一つを通して排出されるガスの量を制御するように構築される可調アウタースリーブをさらに有し、前記可調アウタースリーブは、患者の滴定に適応される、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記インナースリーブが、圧力発生器衝突面及び患者インタフェース衝突面を有し、前記圧力発生器衝突面の表面積が、前記患者インタフェース衝突面の表面積の約75%から100%の間である、請求項20に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図18a】
【図18b】
【図19a】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2010−504842(P2010−504842A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530599(P2009−530599)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/079728
【国際公開番号】WO2008/039925
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/079728
【国際公開番号】WO2008/039925
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
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