減速装置
【課題】部品点数が少なく、簡単な構成で、相手機械軸からのスラスト荷重を受け止めることのできる減速装置を得る。
【解決手段】出力軸34に撹拌軸40からスラスト荷重の掛かる減速装置30であって、出力軸34を回転可能に直接支持するとともに出力軸34に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる玉軸受44、46と、中空部70Aを有し、出力軸34と一体的に回転する中空ボディとしての負荷側軸部材70と、該負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入されることにより該負荷側軸部材70と連結可能とされるとともに前記撹拌軸40とも連結可能とされた継部材72と、を備え、該継部材72を介して出力軸34に掛かる撹拌軸40のスラスト荷重を、前記スラスト荷重を受けることのできる玉軸受44、46によって受ける。
【解決手段】出力軸34に撹拌軸40からスラスト荷重の掛かる減速装置30であって、出力軸34を回転可能に直接支持するとともに出力軸34に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる玉軸受44、46と、中空部70Aを有し、出力軸34と一体的に回転する中空ボディとしての負荷側軸部材70と、該負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入されることにより該負荷側軸部材70と連結可能とされるとともに前記撹拌軸40とも連結可能とされた継部材72と、を備え、該継部材72を介して出力軸34に掛かる撹拌軸40のスラスト荷重を、前記スラスト荷重を受けることのできる玉軸受44、46によって受ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置、特に相手機械軸側からスラスト荷重の掛かる減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ギヤモータ(モータ付き減速装置)に撹拌軸が連結された撹拌装置が開示されている。
【0003】
図6に示されるように、この特許文献1によって開示されている撹拌装置2では、減速モータ(ギヤモータ)4の出力軸6と撹拌軸(相手機械軸)8との間に、スラスト荷重を受け止め得る連結機構10を配置している。
【0004】
この連結機構10は、(4つのケース部材である)減速モータ4のケーシング4A、モータ台12、軸受ハウジング14、及び撹拌装置2のタンク16の内側で、(4つの回転部材である)減速モータ4の出力軸6、継手18、中間軸20、及び撹拌軸8が連結される構造とされている。
【0005】
撹拌軸8は、中間軸20の凹部20Aに挿入され、締結ボルト22及び締結ピン24によって中間軸20と連結されている。撹拌軸8から伝達されてくるスラスト荷重は、この中間軸20を支持している一対の軸受26、28を介して、前記連結機構10の軸受ハウジング14によって受け止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭61−40343号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、入力軸に対して出力軸がモータの半径方向寸法よりも大きくオフセットされた減速装置の場合は、該オフセットされた出力軸を減速装置のケーシングの反相手機械側にまで貫通させるとともに該出力軸を中空とし、相手機械軸をこの中空とした出力軸に挿入し、出力軸と軸方向に結合させることでスラスト荷重を受けるための連結機構を比較的容易に構成することができる。
【0008】
しかしながら、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容されるタイプの減速装置の場合、スラスト荷重を受け得る態様で出力軸と相手機械軸を連結するのは極めて困難である。そのため、結果として、減速装置と相手機械軸とを連結するための連結機構が、上述した特許文献1の例のように、部品点数が多く、構造が複雑なものとなり易いというのが実情であった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結されるような減速装置において、部品点数が少なく、簡単な構成で、相手機械軸からのスラスト荷重を受け止めることのできる減速装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結される減速装置であって、前記出力軸を回転可能に直接支持するとともに出力軸に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受と、中空部を有し、前記出力軸と一体的に回転する中空ボディと、該中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに前記相手機械軸とも連結可能とされた継部材と、を備え、該継部材を介して前記出力軸に掛かる前記相手機械軸のスラスト荷重を、前記軸受によって受けることにより、上記課題を解決したものである。
【0011】
本発明では、減速装置と相手機械軸との間にスラスト荷重を受け止め得る連結機構を配置するという、従来、当然のように採用されてきた基本構成が、実は、上記課題発生の大きな原因となっていたことを突き止め、この基本構成を抜本的に見直すことによって上記課題を解決した。
【0012】
すなわち、従来の連結機構は、減速装置の出力軸の回転(トルク)を相手機械軸に伝達する機能を有するだけでなく、相手機械軸側からのスラスト荷重を受け止める機能(減速装置側にスラスト荷重を伝えない機能)も合わせて有していなければならなかった。この「2つの機能を有する連結機構を、減速装置と相手機械との間に介在・配置させる。」という要請が、当該連結機構の構造が複雑化する原因となっていたと考えられる。
【0013】
本発明は、このような視点に立脚し、出力軸(詳細な定義は後述)を直接支持している軸受(の少なくとも1つ)を、当該スラスト荷重を受け得る軸受とし、継部材を、出力軸と一体的に回転する中空ボディの中空部内に挿入させるようにしている。この継部材は、該中空ボディと連結可能とされ、同時に、相手機械軸とも連結可能な構成とされる。
【0014】
この構成により、本発明では、減速装置のケーシングが有する高い剛性を合理的に利用できるため、減速装置と相手機械軸との間にスラスト荷重を受ける連結機構を配置する必要がない。そのため、全体の構成を格段に簡素化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容されている構成でありながら、部品点数が少なく、簡単な構成で、相手機械軸からのスラスト荷重を受け止めることのできる減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す減速装置の主要構成を示す断面図
【図2】図1の継軸付近の構成を示す部分拡大断面図
【図3】図2の矢示III−III線に沿う断面図
【図4】本発明の実施形態の一例に係る減速装置が適用された撹拌装置の全体断面図
【図5】本発明の他の実施形態の一例に係る減速装置の構成を示す断面図
【図6】従来の減速装置の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0018】
図4は、本発明の実施形態の一例に係る減速装置が適用された撹拌装置の全体断面図であり、図1は、当該減速装置の主要構成を示す断面図である。
【0019】
図4及び図1に示されるように、この減速装置30は、入力軸32および出力軸34が同軸に配置されたインライン型の減速装置である。減速装置30は、出力軸34の一端側(この例では上側)が減速装置30のケーシング84の中に収容されている。減速装置30は、撹拌装置36のタンク38の上部に設置・固定され、その出力軸34の他端側で該撹拌装置36の撹拌軸(相手機械軸)40が連結される。
【0020】
撹拌軸40及び撹拌翼42は相応の自重があるため、該撹拌軸40には常に鉛直方向下側(矢示A側)に向けたスラスト荷重が掛かる。また、撹拌が始まると、タンク38内の液体から撹拌翼42が撹拌反力を受けるため、撹拌軸40には鉛直方向上側(矢示B側)に向けたスラスト荷重が掛かることもある。
【0021】
このスラスト荷重が、本実施形態においては、減速装置30の出力軸34を直接支持するスラスト軸受の機能を有する玉軸受44、46にて受け止められる。以下、減速装置30の減速機構の構成から順に説明してゆく。
【0022】
この減速装置30は、揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構48を有している。
【0023】
モータ50のモータ軸52は減速装置30の入力軸32を兼用している。入力軸32には偏心体54、56がキー58を介して固定されている。偏心体54、56の外周には外歯歯車60、62が組み込まれている。外歯歯車60、62は、内歯歯車64と内接噛合している。内歯歯車64は減速装置30のケーシング84と一体化されている。
【0024】
外歯歯車60、62には内ピン孔60A、62Aが形成されており、該内ピン孔60A、62Aをフランジ部材66に固定された内ピン68が隙間を有して貫通している。外歯歯車60、62は、内歯歯車64より「1」だけ歯数が少ない。
【0025】
このため、(モータ50のモータ軸52である)減速装置30の入力軸32が回転すると、偏心体54、56が回転し、外歯歯車60、62が揺動しながら内歯歯車64に内接噛合する。この結果、入力軸32が1回回転して外歯歯車60、62が1回揺動する毎に各外歯歯車60、62が(固定状態の)内歯歯車64に対して1歯分だけずれる(自転する)。この自転成分が、内ピン68を介してフランジ部材66に伝達されることで、1/(外歯歯車の歯数)なる減速比の減速が実現され、フランジ部材66と連結された負荷側軸部材70から減速された回転が取り出される。
【0026】
ここで、本発明においては、減速装置の「出力軸」を、「最終減速段を構成する部材または部材群であって、自立回転している最小構成の部材または部材群」と定義する。この定義は、要するに、「本発明は、減速装置の構成要素である出力軸を直接支持している軸受にて相手機械軸からのスラスト荷重を受ける」という趣旨から導かれるものである。すなわち、本発明に係る出力軸は、単品(単一の部材)で構成されるときもあれば、ボルト等で連結・固定された複数の部材によって構成されることもある。
【0027】
この実施形態において最終減速段を構成する部材群としては、前記フランジ部材66、負荷側軸部材70、及び後述する継部材72等が存在するが、この中で、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」が、本発明に係る「出力軸」に相当する。それは、この実施形態では、フランジ部材66は1個の玉軸受44によってケーシング84に支持されているだけなので、フランジ部材66だけでは自立回転しているとは言えず、要するに最終減速段の出力トルクを相手機械軸側に取り出す「出力軸」として機能しているとは言えないからである。これに対し、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」からなる「部材群」を考えると、この部材群は、一対の玉軸受44、46によって減速装置30のケーシング84に支持されており(自立回転しており)、最終減速段の出力トルクを相手機械軸側に取り出す「出力軸」として機能している。一方、後述する継部材72は、自立回転している「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」にさらに連結されている部材であって、「最小構成の部材」の範疇には属さない。したがって、この実施形態では、本発明に係る「出力軸」に相当しているのは、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」である。なお、本実施形態では、軸受の種類が「玉軸受」であるため、「2個の軸受」で支持されている部材群が出力軸を構成しているが、例えば、クロスローラ軸受で支持されている場合には、1個でも安定した自立回転が可能である。このため、本発明に係る「自立回転可能」という用語は、必ずしも一対の軸受で両持ち支持されていることを意味しているものではない。
【0028】
以下、当該インライン型の減速装置30により撹拌装置36の撹拌軸40が支持される構成について詳細に説明する。
【0029】
減速装置30の出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70は、スプライン係合部71を介して円周方向に連結されると共に、スペーサ73及びボルト75を介して軸方向に連結されている。
【0030】
出力軸34は、1対の玉軸受44、46によって減速装置30のケーシング84に直接支持されている。このうち反負荷側の玉軸受44は、その外輪44Aの軸方向負荷側が減速装置30のケーシング84の第1段部84Aと当接するとともに、内輪44Bの軸方向反負荷側がスペーサリング45を介して(出力軸34の一部である)フランジ部材66の段部66Aと当接している。このため、反負荷側の玉軸受44は、出力軸34を負荷側(矢示A側)に動かそうとするスラスト荷重が掛かった場合に、該スラスト荷重を受け止めるスラスト軸受として機能する。
【0031】
また、出力軸34を直接支持する負荷側の玉軸受46は、その外輪46Aの軸方向反負荷側がケーシング84の第2段部84Bと当接するとともに、内輪46Bの軸方向負荷側が(出力軸34の一部である)負荷側軸部材70の段部70Fと当接している。このため、負荷側の玉軸受46は、出力軸34を反負荷側(矢示B側)に動かそうとするスラスト荷重が掛かった場合に、該スラスト荷重を受け止めるスラスト軸受として機能する。
【0032】
ここで、本発明の構成要素の一つである「中空ボディ」の概念について説明する。本発明において「中空ボディ」とは、「(継部材が挿入される)中空部を有し、出力軸と一体的に回転するもの」を指している。すなわち、「中空ボディ」は、概念的に「出力軸」の一部として存在するものでもあってもよいし、「出力軸」とは別個に存在するものであってもよい。前述したように、この実施形態では、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」が本発明の出力軸を構成しているが、この内の「負荷側軸部材70」は、当該「出力軸と一体的に回転する中空ボディ」でもある。換言するならば、この実施形態では、出力軸34の一部を構成する「負荷側軸部材70」が、中空ボディの機能を兼ねている。
【0033】
図2及び図3を合わせて参照して、(中空ボディの機能を兼ねる)負荷側軸部材70の中空部70A内には継部材72が挿入されている。継部材72は、負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入される筒状部72Bと、該筒状部72B(の軸方向反負荷側端部)から半径方向内側に張り出すことで撹拌軸40が連結可能とされる上蓋(張り出し部)72Aと、負荷側軸部材70の軸方向負荷側端部に固定されるリング部72Cと、を備え、負荷側軸部材70と連結可能とされるとともに、撹拌軸40とも連結可能とされている。なお、本実施形態においては、リング部72Cは、筒状部72Bと一体で形成されているが、筒状部72Bと別体で形成した上で固定されたものであってもよい。
【0034】
具体的には、負荷側軸部材70と継部材72は、負荷側軸部材70の軸方向端部に継部材72の前記リング部72Cが当接された状態でボルト74によって固定されている。また、撹拌軸40と継部材72は、撹拌軸40の上側端面40Aと継部材72の筒状部72Bの上蓋72Aとが隙間を有して対向した状態で両者をボルト76が貫通することによって固定されている。なお、この隙間はなくてもよい(当接していてもよい)。
【0035】
なお、負荷側軸部材70と継部材72との固定、及び継部材72と撹拌軸40との固定は、このボルト74、76による固定だけでも十分ではあるが、この実施形態では、これらのボルト74、76には軸方向の固定を主に任せ、円周方向の固定については、さらに、別途の固定手段を用意している。すなわち、継部材72の外周には、該継部材72が負荷側軸部材70から回転トルクを受けるためのキー78とキー溝70K1、72K1からなる第1のキー係合部K1が設けられ、該第1のキー係合部K1を介して継部材72と負荷側軸部材70とが円周方向に連結されている。また、継部材72の内周には、該継部材72が撹拌軸40に回転トルクを伝達するためのキー82とキー溝72K2、40K2からなる第2のキー係合部K2が設けられ、該第2のキー係合部K2を介して継部材72と撹拌軸40とが円周方向に連結されている。なお、図3に示されるように、第1のキー係合部K1と第2のキー係合部K2は、その円周方向の位相が180度ずれている。
【0036】
これらの構成により、結局、継部材72は、負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入されることにより、該負荷側軸部材70と軸方向及び円周方向の双方において連結され、また、撹拌軸40とも軸方向及び円周方向の双方において連結されていることになる。
【0037】
なお、図1に戻って、減速装置30のケーシング84はボルト86を介して継ケーシング88と連結され、継ケーシング88のボルト孔88Aに図示せぬボルトが挿入されることによって撹拌装置36のタンク38に連結される。
【0038】
次に、このインライン型の減速装置30の作用を説明する。
【0039】
(出力軸34の一部である)フランジ部材66から取り出された(最終減速段の)減速回転は、ボルト75を介して(出力軸34の一部であると共に中空ボディでもある)負荷側軸部材70に伝達される。負荷側軸部材70は、継部材72と、ボルト74を介して軸方向に連結されるとともに第1のキー係合部K1を介して円周方向に連結されている。また、継部材72は、撹拌軸40と、ボルト76を介して軸方向に連結されるとともに第2のキー係合部K2を介して円周方向に連結されている。そのため、結局、撹拌軸40は出力軸34と同軸に円周方向にも軸方向にも一体化されることになり、出力軸34と同一の回転速度で回転し、タンク38内の液体を撹拌することができる。第1のキー係合部K1と第2のキー係合部K2は、その円周方向の位相が180度ずれていることから、継部材72の円周方向の一部にのみ過大な回転トルクが発生することもなく、該継部材72の耐久性をより高めることができる。
【0040】
撹拌軸40の自重、すなわち、出力軸34を負荷側(矢示A側)に動かそうとするスラスト荷重が出力軸34に掛かった場合には、フランジ部材66の段部66Aが、スペーサリング45を介して反負荷側の玉軸受44の内輪44Bの軸方向反負荷側と当接し、同時に玉軸受44の外輪44Aの軸方向負荷側がケーシング84の第1段部84Aと当接する。これにより、当該負荷側へのスラスト荷重がケーシング84によって受け止められる。また、撹拌軸40に撹拌反力が作用して撹拌軸40が浮き上がり、出力軸34を反負荷側(矢示B側)に動かそうとするスラスト荷重が出力軸34に掛かった場合には、負荷側軸部材70の段部70Fが負荷側の玉軸受46の内輪46Bの軸方向負荷側と当接し、同時に玉軸受46の外輪46Aの軸方向反負荷側がケーシング84の第2段部84Bと当接する。これにより、当該反負荷側へのスラスト荷重がやはりケーシング84によって受け止められる。
【0041】
本実施形態に係る減速装置30は、入力軸32、遊星歯車減速機構48、及び出力軸34および撹拌軸40の全てが同軸に(インラインで)配置されているため、装置全体の半径方向の寸法がコンパクトであり、また、該ケーシング84の軸方向の剛性が高い。そのため撹拌軸40から伝達されてくるスラスト荷重を、十分に受け止めることができる。すなわち、該スラスト荷重に対する反力を受ける目的のために、わざわざ減速装置30のケーシング84の肉厚を増大させる設計変更を行う必要がなく、仮に増大させるにしても最小限の増大で済ますことができる。
【0042】
継部材72及び撹拌軸40の組み付けに際しては、ケーシング84に対する出力軸34の軸心のみが唯一のベースとされ、出力軸34と撹拌軸40の同軸度は、継部材72及び撹拌軸40の製造誤差のレベルに納まることになるため、極めて高い精度を維持することができる。組み付けも極めて単純であり、出力軸34、継部材72及び撹拌軸40の軸心の精度の確保に、特別な労力や熟練等を必要としない。また、軸受等の部品点数も削減することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70とが別部材で構成され、さらには、負荷側軸部材70が、出力軸34の一部を構成すると共に、中空ボディの機能を併せ持っているため、該負荷側軸部材70を(他の)撹拌軸の大きさ等に合わせた形状に変更することにより、(本実施形態以外の)様々な相手機械軸に柔軟に対応させることもできる。また、負荷側軸部材70を例えば通常の中実軸に置き換えることで、(このようなスラスト荷重を受けるタイプでない)通常の減速装置を容易に構成することもできる。また、負荷側軸部材70が、出力軸34と中空ボディの機能を有しているため、その分、部品点数の増大を防止できている。
【0044】
なお、本発明では、その趣旨より、様々なバリエーションが考えられる。
【0045】
先ず、上記実施形態においては出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70とが別体(別部材)で構成されることにより、減速装置30の適用の柔軟性を確保するようにしていたが、本発明においては、出力軸は、もとより一つの部材で形成されていても良い。この場合は、部品点数をより削減できるとともに、減速装置30全体をより小型化することが可能となる。また、複数の部材で出力軸を構成する場合と比べて、当然に、該複数の部材の製造誤差が累積されることもなくなるため、出力軸の軸心が安定し、結果として相手機械軸の組み付け精度をより高めることができるようにもなる。
【0046】
また、上記実施形態においては、継部材72が、(中空ボディとしての)負荷側軸部材70に挿入される筒状部72Bと、該筒状部72Bから半径方向内側に張り出すことで撹拌軸40が連結可能とされる上蓋(張り出し部)72Aと、負荷側軸部材70の軸方向端部に固定されるリング部72Cとを備えた構成とされていたが、本発明においては、継部材の具体的な形状あるいは構成もこの例に限定されない。継部材は、要は、中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに、相手機械軸とも連結可能とされていればよい。例えば、継部材の一部(筒状部72B等)の径方向からボルトやピン部材を相手機械軸にまで貫通させることによって連結するものであってもよい。また、上記実施形態では、継部材72を上蓋72A付きで構成し、この上蓋72Aを該継部材72の「張り出し部」として機能させていたが、この「張り出し部」は、要は、筒状部72Bから半径方向内側に張り出すことで相手機械軸が連結可能とされるものであればよく、必ずしも筒状部の「端部」において「蓋、あるいは底」の態様で形成されたものである必要はない。
【0047】
また、上記実施形態においては(中空ボディである)負荷側軸部材70と継部材72の固定、及び継部材72と撹拌軸(相手機械軸)40の固定に関し、それぞれ「キー係合による円周方向の連結」と、「ボルト連結による軸方向の連結」とを併用するようにしていたが、この連結方法も必ずしも、この例には限定されない。例えば、中空ボディと継部材、或いは継部材と相手機械軸の円周方向の連結については、第1、第2係合部をスプラインによって構成するようにしてもよい。また、中空ボディや継部材の内外周を円以外の断面形状(例えば、矩形断面や、円周の一部のみを切り欠いたいわゆるDカット断面)とすることによっても円周方向の連結を行うことができる。また、キー係合を採用する場合においても、第1のキー係合部と第2のキー係合部の円周方向の位相は、必ずしも180度である必要はない。さらには、例えば、キー係合とスプライン係合、あるいはキー係合とボルト係合のように、第1の係合部と第2の係合部とが異なる種類の係合手段で構成されていてもよい。また、上記実施形態では、円周方向と軸方向とで別々の連結手段を併用していたが、例えばボルト等を用いた単一の連結手段にて、円周方向と軸方向の連結を同時に行うようにしてもよい。
【0048】
また、本発明においては、減速装置の具体的な減速機構の構成についても特に限定されない。例えば、上記実施形態においては、出力軸34が入力軸32とも同軸とされたインライン型の減速装置とするべく、減速装置30の半径方向中央に配置された入力軸32の外周に偏心体54、56が配置されるタイプの揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構48が採用されていたが、偏心体が減速装置の半径方向中央からオフセットされた軸に配置されるタイプの揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構の減速装置であってよい。さらには、単純遊星歯車減速機構の減速装置であってもよい。本発明に係る減速装置をインライン型で構成した場合には、出力軸と一体的に回転する中空ボディを備えていることと相まって、該中空ボディの設計により、様々な減速機構の様々なタイプの出力軸に対して、相手機械軸のスラスト荷重を半径方向に小型化した寸法にて合理的に受ける設計を行うのが容易である。
【0049】
尤も、本発明に係る減速装置は、必ずしも入力軸と出力軸が同軸とされたインライン型の減速装置に限定されるものではなく、組み込む減速機構も必ずしもインラインタイプの減速機構である必要はない。
【0050】
以下、図5を用いてこのような構成例に係る減速装置130について説明する。
【0051】
この減速装置130も、出力軸134の一端側が減速装置130のケーシング184の中に収容され、該出力軸134の他端側でスラスト荷重の掛かる撹拌軸(相手機械軸)140が該出力軸134と連結される構成とされている。
【0052】
モータ150の出力軸152は、減速装置130の入力軸132を兼用している。入力軸132に入力された動力は、2段の平行軸減速機構からなる減速機構148によって減速されるようになっている。減速機構148は、第1ピニオン148A及び第1ギヤ148Bからなる第1平行軸減速段148Cと、第2ピニオン148D及び第2ギヤ148Eからなる第2平行軸減速段148Fによって構成されている。
【0053】
継部材172を利用して出力軸134と相手機械軸である撹拌軸140がスラスト荷重を受け止め可能に連結される構成については、先の実施形態では、出力軸34がフランジ部材66及び負荷側軸部材70とで構成されていたが、この実施形態では、単一の部材の出力軸134が採用されている点が(先の実施形態と)異なる。それ以外の構成については、先の実施形態と同様である。そのため、図5の中で先の実施形態と同一または機能的に類似する部材について下2桁が同一の符号を付している。
【0054】
すなわち、この実施形態でも、出力軸134を回転可能に直接支持するとともに出力軸134に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受144、146を備える。そして、「中空部170Aを有し、出力軸134と一体的に回転する中空ボディ」の機能を出力軸134自体が兼用している(この点も先の実施形態と同様)。また、継部材172が、該中空部170A内に挿入されることにより該中空ボディたる出力軸134と同軸に連結可能とされるとともに、撹拌軸140とも同軸に連結可能な構成とされており、該継部材172を介して出力軸134に掛かる撹拌軸140のスラスト荷重を、前記軸受144、146によって受ける点も先の実施形態と同様である。
【0055】
この減速装置130は、「出力軸134の一端側が減速装置130のケーシング184の中に収容され、該出力軸134の他端側でスラスト荷重の掛かる撹拌軸140が連結される減速装置」であり、既に説明したように、連結構造の設計が非常に難しい基本構造を有している。しかし、このような構造の減速装置130に対しても、本発明は全く支障なく実施することができ、本発明本来の作用効果を得ることができる。
【0056】
以上のように、本発明は、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結されるような減速装置であれば、減速機構の種類を問わず適用可能である。
【0057】
ここで、出力軸の他端側については、相手機械軸を連結可能なようにケーシングの開口に臨んでいればよく、ケーシングから軸方向に突出していることは必ずしも必要でない。
【0058】
本実施形態によれば、減速機構148に安価な第1、第2平行軸減速段148C、148Fを使用しているにも関わらず、入力軸132および出力軸134が大きくオフセットされていないため減速装置130の半径方向の大きさを小さくすることができるという実用上大きなメリットが得られる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、出力軸34(134)を直接支持する一対の玉軸受44(144)、46(146)の双方が、撹拌軸40(140)からのスラスト荷重を受ける構成とされていたが、本発明は、必ずしも出力軸を直接支持する軸受の全てが、相手機械軸からのスラスト荷重を受ける構成とされている必要はない。例えば、上記実施形態において、液体から受ける撹拌反力があまり大きくなく、出力軸34(134)には矢示A方向のスラスト荷重しか掛からないような場合には、一方の軸受だけが当該スラスト荷重を受ける構成とされ、他方の軸受は、(スラスト荷重を受けない)通常の軸受とされていてもよい。この場合、負荷側または反負荷側のいずれの側の軸受がいずれの方向のスラスト荷重を受ける構成となっていてもよい。
【0060】
本発明は、上記実施形態のように減速機の出力軸を下向きに配置して相手機械軸を吊り下げる構造に特に有効であるが、これに限らず、減速機の出力軸を下向き以外、例えば水平に配置する場合にも適用可能である。この場合、中空ボディと継軸との連結、継軸と相手機械軸との連結は、少なくとも回転方向の係合がなされれば足り、軸方向の固定は必ずしも必須ではない。
【0061】
本発明の用途は、撹拌装置に限定されるものではなく、出力軸に相手機械軸側からスラスト荷重の掛かる装置に広く適用でき、例えば押し出し機のような用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
30…減速装置
32…入力軸
34…出力軸(66+70)
36…撹拌装置
66…フランジ部材
70…負荷側軸部材
72…継部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置、特に相手機械軸側からスラスト荷重の掛かる減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ギヤモータ(モータ付き減速装置)に撹拌軸が連結された撹拌装置が開示されている。
【0003】
図6に示されるように、この特許文献1によって開示されている撹拌装置2では、減速モータ(ギヤモータ)4の出力軸6と撹拌軸(相手機械軸)8との間に、スラスト荷重を受け止め得る連結機構10を配置している。
【0004】
この連結機構10は、(4つのケース部材である)減速モータ4のケーシング4A、モータ台12、軸受ハウジング14、及び撹拌装置2のタンク16の内側で、(4つの回転部材である)減速モータ4の出力軸6、継手18、中間軸20、及び撹拌軸8が連結される構造とされている。
【0005】
撹拌軸8は、中間軸20の凹部20Aに挿入され、締結ボルト22及び締結ピン24によって中間軸20と連結されている。撹拌軸8から伝達されてくるスラスト荷重は、この中間軸20を支持している一対の軸受26、28を介して、前記連結機構10の軸受ハウジング14によって受け止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭61−40343号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、入力軸に対して出力軸がモータの半径方向寸法よりも大きくオフセットされた減速装置の場合は、該オフセットされた出力軸を減速装置のケーシングの反相手機械側にまで貫通させるとともに該出力軸を中空とし、相手機械軸をこの中空とした出力軸に挿入し、出力軸と軸方向に結合させることでスラスト荷重を受けるための連結機構を比較的容易に構成することができる。
【0008】
しかしながら、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容されるタイプの減速装置の場合、スラスト荷重を受け得る態様で出力軸と相手機械軸を連結するのは極めて困難である。そのため、結果として、減速装置と相手機械軸とを連結するための連結機構が、上述した特許文献1の例のように、部品点数が多く、構造が複雑なものとなり易いというのが実情であった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結されるような減速装置において、部品点数が少なく、簡単な構成で、相手機械軸からのスラスト荷重を受け止めることのできる減速装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結される減速装置であって、前記出力軸を回転可能に直接支持するとともに出力軸に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受と、中空部を有し、前記出力軸と一体的に回転する中空ボディと、該中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに前記相手機械軸とも連結可能とされた継部材と、を備え、該継部材を介して前記出力軸に掛かる前記相手機械軸のスラスト荷重を、前記軸受によって受けることにより、上記課題を解決したものである。
【0011】
本発明では、減速装置と相手機械軸との間にスラスト荷重を受け止め得る連結機構を配置するという、従来、当然のように採用されてきた基本構成が、実は、上記課題発生の大きな原因となっていたことを突き止め、この基本構成を抜本的に見直すことによって上記課題を解決した。
【0012】
すなわち、従来の連結機構は、減速装置の出力軸の回転(トルク)を相手機械軸に伝達する機能を有するだけでなく、相手機械軸側からのスラスト荷重を受け止める機能(減速装置側にスラスト荷重を伝えない機能)も合わせて有していなければならなかった。この「2つの機能を有する連結機構を、減速装置と相手機械との間に介在・配置させる。」という要請が、当該連結機構の構造が複雑化する原因となっていたと考えられる。
【0013】
本発明は、このような視点に立脚し、出力軸(詳細な定義は後述)を直接支持している軸受(の少なくとも1つ)を、当該スラスト荷重を受け得る軸受とし、継部材を、出力軸と一体的に回転する中空ボディの中空部内に挿入させるようにしている。この継部材は、該中空ボディと連結可能とされ、同時に、相手機械軸とも連結可能な構成とされる。
【0014】
この構成により、本発明では、減速装置のケーシングが有する高い剛性を合理的に利用できるため、減速装置と相手機械軸との間にスラスト荷重を受ける連結機構を配置する必要がない。そのため、全体の構成を格段に簡素化できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容されている構成でありながら、部品点数が少なく、簡単な構成で、相手機械軸からのスラスト荷重を受け止めることのできる減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す減速装置の主要構成を示す断面図
【図2】図1の継軸付近の構成を示す部分拡大断面図
【図3】図2の矢示III−III線に沿う断面図
【図4】本発明の実施形態の一例に係る減速装置が適用された撹拌装置の全体断面図
【図5】本発明の他の実施形態の一例に係る減速装置の構成を示す断面図
【図6】従来の減速装置の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0018】
図4は、本発明の実施形態の一例に係る減速装置が適用された撹拌装置の全体断面図であり、図1は、当該減速装置の主要構成を示す断面図である。
【0019】
図4及び図1に示されるように、この減速装置30は、入力軸32および出力軸34が同軸に配置されたインライン型の減速装置である。減速装置30は、出力軸34の一端側(この例では上側)が減速装置30のケーシング84の中に収容されている。減速装置30は、撹拌装置36のタンク38の上部に設置・固定され、その出力軸34の他端側で該撹拌装置36の撹拌軸(相手機械軸)40が連結される。
【0020】
撹拌軸40及び撹拌翼42は相応の自重があるため、該撹拌軸40には常に鉛直方向下側(矢示A側)に向けたスラスト荷重が掛かる。また、撹拌が始まると、タンク38内の液体から撹拌翼42が撹拌反力を受けるため、撹拌軸40には鉛直方向上側(矢示B側)に向けたスラスト荷重が掛かることもある。
【0021】
このスラスト荷重が、本実施形態においては、減速装置30の出力軸34を直接支持するスラスト軸受の機能を有する玉軸受44、46にて受け止められる。以下、減速装置30の減速機構の構成から順に説明してゆく。
【0022】
この減速装置30は、揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構48を有している。
【0023】
モータ50のモータ軸52は減速装置30の入力軸32を兼用している。入力軸32には偏心体54、56がキー58を介して固定されている。偏心体54、56の外周には外歯歯車60、62が組み込まれている。外歯歯車60、62は、内歯歯車64と内接噛合している。内歯歯車64は減速装置30のケーシング84と一体化されている。
【0024】
外歯歯車60、62には内ピン孔60A、62Aが形成されており、該内ピン孔60A、62Aをフランジ部材66に固定された内ピン68が隙間を有して貫通している。外歯歯車60、62は、内歯歯車64より「1」だけ歯数が少ない。
【0025】
このため、(モータ50のモータ軸52である)減速装置30の入力軸32が回転すると、偏心体54、56が回転し、外歯歯車60、62が揺動しながら内歯歯車64に内接噛合する。この結果、入力軸32が1回回転して外歯歯車60、62が1回揺動する毎に各外歯歯車60、62が(固定状態の)内歯歯車64に対して1歯分だけずれる(自転する)。この自転成分が、内ピン68を介してフランジ部材66に伝達されることで、1/(外歯歯車の歯数)なる減速比の減速が実現され、フランジ部材66と連結された負荷側軸部材70から減速された回転が取り出される。
【0026】
ここで、本発明においては、減速装置の「出力軸」を、「最終減速段を構成する部材または部材群であって、自立回転している最小構成の部材または部材群」と定義する。この定義は、要するに、「本発明は、減速装置の構成要素である出力軸を直接支持している軸受にて相手機械軸からのスラスト荷重を受ける」という趣旨から導かれるものである。すなわち、本発明に係る出力軸は、単品(単一の部材)で構成されるときもあれば、ボルト等で連結・固定された複数の部材によって構成されることもある。
【0027】
この実施形態において最終減速段を構成する部材群としては、前記フランジ部材66、負荷側軸部材70、及び後述する継部材72等が存在するが、この中で、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」が、本発明に係る「出力軸」に相当する。それは、この実施形態では、フランジ部材66は1個の玉軸受44によってケーシング84に支持されているだけなので、フランジ部材66だけでは自立回転しているとは言えず、要するに最終減速段の出力トルクを相手機械軸側に取り出す「出力軸」として機能しているとは言えないからである。これに対し、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」からなる「部材群」を考えると、この部材群は、一対の玉軸受44、46によって減速装置30のケーシング84に支持されており(自立回転しており)、最終減速段の出力トルクを相手機械軸側に取り出す「出力軸」として機能している。一方、後述する継部材72は、自立回転している「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」にさらに連結されている部材であって、「最小構成の部材」の範疇には属さない。したがって、この実施形態では、本発明に係る「出力軸」に相当しているのは、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」である。なお、本実施形態では、軸受の種類が「玉軸受」であるため、「2個の軸受」で支持されている部材群が出力軸を構成しているが、例えば、クロスローラ軸受で支持されている場合には、1個でも安定した自立回転が可能である。このため、本発明に係る「自立回転可能」という用語は、必ずしも一対の軸受で両持ち支持されていることを意味しているものではない。
【0028】
以下、当該インライン型の減速装置30により撹拌装置36の撹拌軸40が支持される構成について詳細に説明する。
【0029】
減速装置30の出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70は、スプライン係合部71を介して円周方向に連結されると共に、スペーサ73及びボルト75を介して軸方向に連結されている。
【0030】
出力軸34は、1対の玉軸受44、46によって減速装置30のケーシング84に直接支持されている。このうち反負荷側の玉軸受44は、その外輪44Aの軸方向負荷側が減速装置30のケーシング84の第1段部84Aと当接するとともに、内輪44Bの軸方向反負荷側がスペーサリング45を介して(出力軸34の一部である)フランジ部材66の段部66Aと当接している。このため、反負荷側の玉軸受44は、出力軸34を負荷側(矢示A側)に動かそうとするスラスト荷重が掛かった場合に、該スラスト荷重を受け止めるスラスト軸受として機能する。
【0031】
また、出力軸34を直接支持する負荷側の玉軸受46は、その外輪46Aの軸方向反負荷側がケーシング84の第2段部84Bと当接するとともに、内輪46Bの軸方向負荷側が(出力軸34の一部である)負荷側軸部材70の段部70Fと当接している。このため、負荷側の玉軸受46は、出力軸34を反負荷側(矢示B側)に動かそうとするスラスト荷重が掛かった場合に、該スラスト荷重を受け止めるスラスト軸受として機能する。
【0032】
ここで、本発明の構成要素の一つである「中空ボディ」の概念について説明する。本発明において「中空ボディ」とは、「(継部材が挿入される)中空部を有し、出力軸と一体的に回転するもの」を指している。すなわち、「中空ボディ」は、概念的に「出力軸」の一部として存在するものでもあってもよいし、「出力軸」とは別個に存在するものであってもよい。前述したように、この実施形態では、「フランジ部材66及び負荷側軸部材70」が本発明の出力軸を構成しているが、この内の「負荷側軸部材70」は、当該「出力軸と一体的に回転する中空ボディ」でもある。換言するならば、この実施形態では、出力軸34の一部を構成する「負荷側軸部材70」が、中空ボディの機能を兼ねている。
【0033】
図2及び図3を合わせて参照して、(中空ボディの機能を兼ねる)負荷側軸部材70の中空部70A内には継部材72が挿入されている。継部材72は、負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入される筒状部72Bと、該筒状部72B(の軸方向反負荷側端部)から半径方向内側に張り出すことで撹拌軸40が連結可能とされる上蓋(張り出し部)72Aと、負荷側軸部材70の軸方向負荷側端部に固定されるリング部72Cと、を備え、負荷側軸部材70と連結可能とされるとともに、撹拌軸40とも連結可能とされている。なお、本実施形態においては、リング部72Cは、筒状部72Bと一体で形成されているが、筒状部72Bと別体で形成した上で固定されたものであってもよい。
【0034】
具体的には、負荷側軸部材70と継部材72は、負荷側軸部材70の軸方向端部に継部材72の前記リング部72Cが当接された状態でボルト74によって固定されている。また、撹拌軸40と継部材72は、撹拌軸40の上側端面40Aと継部材72の筒状部72Bの上蓋72Aとが隙間を有して対向した状態で両者をボルト76が貫通することによって固定されている。なお、この隙間はなくてもよい(当接していてもよい)。
【0035】
なお、負荷側軸部材70と継部材72との固定、及び継部材72と撹拌軸40との固定は、このボルト74、76による固定だけでも十分ではあるが、この実施形態では、これらのボルト74、76には軸方向の固定を主に任せ、円周方向の固定については、さらに、別途の固定手段を用意している。すなわち、継部材72の外周には、該継部材72が負荷側軸部材70から回転トルクを受けるためのキー78とキー溝70K1、72K1からなる第1のキー係合部K1が設けられ、該第1のキー係合部K1を介して継部材72と負荷側軸部材70とが円周方向に連結されている。また、継部材72の内周には、該継部材72が撹拌軸40に回転トルクを伝達するためのキー82とキー溝72K2、40K2からなる第2のキー係合部K2が設けられ、該第2のキー係合部K2を介して継部材72と撹拌軸40とが円周方向に連結されている。なお、図3に示されるように、第1のキー係合部K1と第2のキー係合部K2は、その円周方向の位相が180度ずれている。
【0036】
これらの構成により、結局、継部材72は、負荷側軸部材70の中空部70A内に挿入されることにより、該負荷側軸部材70と軸方向及び円周方向の双方において連結され、また、撹拌軸40とも軸方向及び円周方向の双方において連結されていることになる。
【0037】
なお、図1に戻って、減速装置30のケーシング84はボルト86を介して継ケーシング88と連結され、継ケーシング88のボルト孔88Aに図示せぬボルトが挿入されることによって撹拌装置36のタンク38に連結される。
【0038】
次に、このインライン型の減速装置30の作用を説明する。
【0039】
(出力軸34の一部である)フランジ部材66から取り出された(最終減速段の)減速回転は、ボルト75を介して(出力軸34の一部であると共に中空ボディでもある)負荷側軸部材70に伝達される。負荷側軸部材70は、継部材72と、ボルト74を介して軸方向に連結されるとともに第1のキー係合部K1を介して円周方向に連結されている。また、継部材72は、撹拌軸40と、ボルト76を介して軸方向に連結されるとともに第2のキー係合部K2を介して円周方向に連結されている。そのため、結局、撹拌軸40は出力軸34と同軸に円周方向にも軸方向にも一体化されることになり、出力軸34と同一の回転速度で回転し、タンク38内の液体を撹拌することができる。第1のキー係合部K1と第2のキー係合部K2は、その円周方向の位相が180度ずれていることから、継部材72の円周方向の一部にのみ過大な回転トルクが発生することもなく、該継部材72の耐久性をより高めることができる。
【0040】
撹拌軸40の自重、すなわち、出力軸34を負荷側(矢示A側)に動かそうとするスラスト荷重が出力軸34に掛かった場合には、フランジ部材66の段部66Aが、スペーサリング45を介して反負荷側の玉軸受44の内輪44Bの軸方向反負荷側と当接し、同時に玉軸受44の外輪44Aの軸方向負荷側がケーシング84の第1段部84Aと当接する。これにより、当該負荷側へのスラスト荷重がケーシング84によって受け止められる。また、撹拌軸40に撹拌反力が作用して撹拌軸40が浮き上がり、出力軸34を反負荷側(矢示B側)に動かそうとするスラスト荷重が出力軸34に掛かった場合には、負荷側軸部材70の段部70Fが負荷側の玉軸受46の内輪46Bの軸方向負荷側と当接し、同時に玉軸受46の外輪46Aの軸方向反負荷側がケーシング84の第2段部84Bと当接する。これにより、当該反負荷側へのスラスト荷重がやはりケーシング84によって受け止められる。
【0041】
本実施形態に係る減速装置30は、入力軸32、遊星歯車減速機構48、及び出力軸34および撹拌軸40の全てが同軸に(インラインで)配置されているため、装置全体の半径方向の寸法がコンパクトであり、また、該ケーシング84の軸方向の剛性が高い。そのため撹拌軸40から伝達されてくるスラスト荷重を、十分に受け止めることができる。すなわち、該スラスト荷重に対する反力を受ける目的のために、わざわざ減速装置30のケーシング84の肉厚を増大させる設計変更を行う必要がなく、仮に増大させるにしても最小限の増大で済ますことができる。
【0042】
継部材72及び撹拌軸40の組み付けに際しては、ケーシング84に対する出力軸34の軸心のみが唯一のベースとされ、出力軸34と撹拌軸40の同軸度は、継部材72及び撹拌軸40の製造誤差のレベルに納まることになるため、極めて高い精度を維持することができる。組み付けも極めて単純であり、出力軸34、継部材72及び撹拌軸40の軸心の精度の確保に、特別な労力や熟練等を必要としない。また、軸受等の部品点数も削減することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70とが別部材で構成され、さらには、負荷側軸部材70が、出力軸34の一部を構成すると共に、中空ボディの機能を併せ持っているため、該負荷側軸部材70を(他の)撹拌軸の大きさ等に合わせた形状に変更することにより、(本実施形態以外の)様々な相手機械軸に柔軟に対応させることもできる。また、負荷側軸部材70を例えば通常の中実軸に置き換えることで、(このようなスラスト荷重を受けるタイプでない)通常の減速装置を容易に構成することもできる。また、負荷側軸部材70が、出力軸34と中空ボディの機能を有しているため、その分、部品点数の増大を防止できている。
【0044】
なお、本発明では、その趣旨より、様々なバリエーションが考えられる。
【0045】
先ず、上記実施形態においては出力軸34を構成するフランジ部材66と負荷側軸部材70とが別体(別部材)で構成されることにより、減速装置30の適用の柔軟性を確保するようにしていたが、本発明においては、出力軸は、もとより一つの部材で形成されていても良い。この場合は、部品点数をより削減できるとともに、減速装置30全体をより小型化することが可能となる。また、複数の部材で出力軸を構成する場合と比べて、当然に、該複数の部材の製造誤差が累積されることもなくなるため、出力軸の軸心が安定し、結果として相手機械軸の組み付け精度をより高めることができるようにもなる。
【0046】
また、上記実施形態においては、継部材72が、(中空ボディとしての)負荷側軸部材70に挿入される筒状部72Bと、該筒状部72Bから半径方向内側に張り出すことで撹拌軸40が連結可能とされる上蓋(張り出し部)72Aと、負荷側軸部材70の軸方向端部に固定されるリング部72Cとを備えた構成とされていたが、本発明においては、継部材の具体的な形状あるいは構成もこの例に限定されない。継部材は、要は、中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに、相手機械軸とも連結可能とされていればよい。例えば、継部材の一部(筒状部72B等)の径方向からボルトやピン部材を相手機械軸にまで貫通させることによって連結するものであってもよい。また、上記実施形態では、継部材72を上蓋72A付きで構成し、この上蓋72Aを該継部材72の「張り出し部」として機能させていたが、この「張り出し部」は、要は、筒状部72Bから半径方向内側に張り出すことで相手機械軸が連結可能とされるものであればよく、必ずしも筒状部の「端部」において「蓋、あるいは底」の態様で形成されたものである必要はない。
【0047】
また、上記実施形態においては(中空ボディである)負荷側軸部材70と継部材72の固定、及び継部材72と撹拌軸(相手機械軸)40の固定に関し、それぞれ「キー係合による円周方向の連結」と、「ボルト連結による軸方向の連結」とを併用するようにしていたが、この連結方法も必ずしも、この例には限定されない。例えば、中空ボディと継部材、或いは継部材と相手機械軸の円周方向の連結については、第1、第2係合部をスプラインによって構成するようにしてもよい。また、中空ボディや継部材の内外周を円以外の断面形状(例えば、矩形断面や、円周の一部のみを切り欠いたいわゆるDカット断面)とすることによっても円周方向の連結を行うことができる。また、キー係合を採用する場合においても、第1のキー係合部と第2のキー係合部の円周方向の位相は、必ずしも180度である必要はない。さらには、例えば、キー係合とスプライン係合、あるいはキー係合とボルト係合のように、第1の係合部と第2の係合部とが異なる種類の係合手段で構成されていてもよい。また、上記実施形態では、円周方向と軸方向とで別々の連結手段を併用していたが、例えばボルト等を用いた単一の連結手段にて、円周方向と軸方向の連結を同時に行うようにしてもよい。
【0048】
また、本発明においては、減速装置の具体的な減速機構の構成についても特に限定されない。例えば、上記実施形態においては、出力軸34が入力軸32とも同軸とされたインライン型の減速装置とするべく、減速装置30の半径方向中央に配置された入力軸32の外周に偏心体54、56が配置されるタイプの揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構48が採用されていたが、偏心体が減速装置の半径方向中央からオフセットされた軸に配置されるタイプの揺動内接噛合型の遊星歯車減速機構の減速装置であってよい。さらには、単純遊星歯車減速機構の減速装置であってもよい。本発明に係る減速装置をインライン型で構成した場合には、出力軸と一体的に回転する中空ボディを備えていることと相まって、該中空ボディの設計により、様々な減速機構の様々なタイプの出力軸に対して、相手機械軸のスラスト荷重を半径方向に小型化した寸法にて合理的に受ける設計を行うのが容易である。
【0049】
尤も、本発明に係る減速装置は、必ずしも入力軸と出力軸が同軸とされたインライン型の減速装置に限定されるものではなく、組み込む減速機構も必ずしもインラインタイプの減速機構である必要はない。
【0050】
以下、図5を用いてこのような構成例に係る減速装置130について説明する。
【0051】
この減速装置130も、出力軸134の一端側が減速装置130のケーシング184の中に収容され、該出力軸134の他端側でスラスト荷重の掛かる撹拌軸(相手機械軸)140が該出力軸134と連結される構成とされている。
【0052】
モータ150の出力軸152は、減速装置130の入力軸132を兼用している。入力軸132に入力された動力は、2段の平行軸減速機構からなる減速機構148によって減速されるようになっている。減速機構148は、第1ピニオン148A及び第1ギヤ148Bからなる第1平行軸減速段148Cと、第2ピニオン148D及び第2ギヤ148Eからなる第2平行軸減速段148Fによって構成されている。
【0053】
継部材172を利用して出力軸134と相手機械軸である撹拌軸140がスラスト荷重を受け止め可能に連結される構成については、先の実施形態では、出力軸34がフランジ部材66及び負荷側軸部材70とで構成されていたが、この実施形態では、単一の部材の出力軸134が採用されている点が(先の実施形態と)異なる。それ以外の構成については、先の実施形態と同様である。そのため、図5の中で先の実施形態と同一または機能的に類似する部材について下2桁が同一の符号を付している。
【0054】
すなわち、この実施形態でも、出力軸134を回転可能に直接支持するとともに出力軸134に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受144、146を備える。そして、「中空部170Aを有し、出力軸134と一体的に回転する中空ボディ」の機能を出力軸134自体が兼用している(この点も先の実施形態と同様)。また、継部材172が、該中空部170A内に挿入されることにより該中空ボディたる出力軸134と同軸に連結可能とされるとともに、撹拌軸140とも同軸に連結可能な構成とされており、該継部材172を介して出力軸134に掛かる撹拌軸140のスラスト荷重を、前記軸受144、146によって受ける点も先の実施形態と同様である。
【0055】
この減速装置130は、「出力軸134の一端側が減速装置130のケーシング184の中に収容され、該出力軸134の他端側でスラスト荷重の掛かる撹拌軸140が連結される減速装置」であり、既に説明したように、連結構造の設計が非常に難しい基本構造を有している。しかし、このような構造の減速装置130に対しても、本発明は全く支障なく実施することができ、本発明本来の作用効果を得ることができる。
【0056】
以上のように、本発明は、出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結されるような減速装置であれば、減速機構の種類を問わず適用可能である。
【0057】
ここで、出力軸の他端側については、相手機械軸を連結可能なようにケーシングの開口に臨んでいればよく、ケーシングから軸方向に突出していることは必ずしも必要でない。
【0058】
本実施形態によれば、減速機構148に安価な第1、第2平行軸減速段148C、148Fを使用しているにも関わらず、入力軸132および出力軸134が大きくオフセットされていないため減速装置130の半径方向の大きさを小さくすることができるという実用上大きなメリットが得られる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、出力軸34(134)を直接支持する一対の玉軸受44(144)、46(146)の双方が、撹拌軸40(140)からのスラスト荷重を受ける構成とされていたが、本発明は、必ずしも出力軸を直接支持する軸受の全てが、相手機械軸からのスラスト荷重を受ける構成とされている必要はない。例えば、上記実施形態において、液体から受ける撹拌反力があまり大きくなく、出力軸34(134)には矢示A方向のスラスト荷重しか掛からないような場合には、一方の軸受だけが当該スラスト荷重を受ける構成とされ、他方の軸受は、(スラスト荷重を受けない)通常の軸受とされていてもよい。この場合、負荷側または反負荷側のいずれの側の軸受がいずれの方向のスラスト荷重を受ける構成となっていてもよい。
【0060】
本発明は、上記実施形態のように減速機の出力軸を下向きに配置して相手機械軸を吊り下げる構造に特に有効であるが、これに限らず、減速機の出力軸を下向き以外、例えば水平に配置する場合にも適用可能である。この場合、中空ボディと継軸との連結、継軸と相手機械軸との連結は、少なくとも回転方向の係合がなされれば足り、軸方向の固定は必ずしも必須ではない。
【0061】
本発明の用途は、撹拌装置に限定されるものではなく、出力軸に相手機械軸側からスラスト荷重の掛かる装置に広く適用でき、例えば押し出し機のような用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
30…減速装置
32…入力軸
34…出力軸(66+70)
36…撹拌装置
66…フランジ部材
70…負荷側軸部材
72…継部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結される減速装置であって、
前記出力軸を回転可能に直接支持するとともに出力軸に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受と、
中空部を有し、前記出力軸と一体的に回転する中空ボディと、
該中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに前記相手機械軸とも連結可能とされた継部材と、を備え、
該継部材を介して前記出力軸に掛かる前記相手機械軸のスラスト荷重を、前記軸受によって受ける
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入力軸および前記出力軸が同軸に配置された
ことを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記継部材は、前記中空ボディに挿入される筒状部と、前記中空ボディの軸方向端部に固定されるリング部とを備えている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記継部材は、前記中空ボディに挿入される筒状部と、該筒状部から半径方向内側に張り出すことで前記相手機械軸が連結可能とされる張り出し部を備えている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記継部材の前記筒状部の外周に、該継部材が前記中空ボディから回転トルクを受ける第1の係合部を備えるとともに、
該筒状部の内周に、該中空ボディから受け取った回転トルクを前記相手機械軸に伝達する第2の係合部を備えた
ことを特徴とする減速装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の係合部と第2の係合部が、キーとキー溝とで構成され、その円周方向の位相が180度ずれている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記第1の係合部と第2の係合部が、スプラインによって構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記出力軸と前記中空ボディとがそれぞれ別部材で構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記出力軸の一部と前記中空ボディとが一体化され、1つの部材で構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項1】
出力軸の一端側が減速装置のケーシングの中に収容され、該出力軸の他端側でスラスト荷重の掛かる相手機械軸が連結される減速装置であって、
前記出力軸を回転可能に直接支持するとともに出力軸に掛かるスラスト荷重を受け止めることのできる軸受と、
中空部を有し、前記出力軸と一体的に回転する中空ボディと、
該中空ボディの中空部内に挿入されることにより該中空ボディと連結可能とされるとともに前記相手機械軸とも連結可能とされた継部材と、を備え、
該継部材を介して前記出力軸に掛かる前記相手機械軸のスラスト荷重を、前記軸受によって受ける
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入力軸および前記出力軸が同軸に配置された
ことを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記継部材は、前記中空ボディに挿入される筒状部と、前記中空ボディの軸方向端部に固定されるリング部とを備えている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記継部材は、前記中空ボディに挿入される筒状部と、該筒状部から半径方向内側に張り出すことで前記相手機械軸が連結可能とされる張り出し部を備えている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記継部材の前記筒状部の外周に、該継部材が前記中空ボディから回転トルクを受ける第1の係合部を備えるとともに、
該筒状部の内周に、該中空ボディから受け取った回転トルクを前記相手機械軸に伝達する第2の係合部を備えた
ことを特徴とする減速装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の係合部と第2の係合部が、キーとキー溝とで構成され、その円周方向の位相が180度ずれている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記第1の係合部と第2の係合部が、スプラインによって構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記出力軸と前記中空ボディとがそれぞれ別部材で構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記出力軸の一部と前記中空ボディとが一体化され、1つの部材で構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−57792(P2012−57792A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136401(P2011−136401)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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