説明

渦電流温度計

対象物に作用する熱伝導の一部、または、その熱伝導中の伝導部材の温度を決定するように動作可能である、遠隔非接触温度測定方法および装置が提供される。その方法は、相当する渦電流の大きさが時間の経過と共に指数関数的に変化するように、磁場に伝導部材(16、38、44)をさらすことにより、伝導部材(16、38、44)中に閉塞した渦巻の渦電流(28)を誘起する第1ステップを有する。渦電流の大きさの指数関数的な変化の特性時定数が決定され、これは物体の温度を算出するために用いられる。その装置は、渦電流(28)を誘起する波形発生装置(12)に連結される磁場伝送コイル(14)と、渦電流(28)によって誘起される、相当する磁場を検出する磁場受信コイルアセンブリ(18)とを有する。本発明を用いて、温度測定は、伝導部材(16、38、44)と磁場受信コイルアセンブリ(18)と間の相対的な距離および/または角度方向と実質的に独立して成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
この出願は、2009年10月19日に提出された仮出願S/N 61/279,229の利益を主張する。この先行出願は、その全てが参照によって個々に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、物体に作用する熱伝達(熱伝導)の一部を成す、または、物体に作用する熱伝達をしている状態にある(熱伝導中の)伝導部材の渦電流が誘導される磁場を用いることによって物体の温度を測定する方法、または装置に広く関連する。特に、本発明は、渦電流の特生時定数が決定され、さらに、伝導部材の温度の算出に用いられる、遠隔非接触温度決定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術の説明
遠隔非接触温度計測装置は、近代産業、または他の分野において、強い要求がある。この要求は、公知の赤外線温度計によっては満たされず、これらの赤外線温度計は動作のために遮ることない照準線を必要とする。集積された温度計測要素を備える最も進歩的なRFID回路は、高価になる傾向にあり、さらに、それらの使用を制限する信頼性の高い情報を送信する条件(例えば、RF)が必要である。
【0004】
交流磁場が電気的に導電性の物体で渦電流を生じさせる起電力を発生することは、よく知られている。これらの電流は、空間および時間における交流磁場のパターンおよび導電性の物体の伝導性および磁気特性によって規定される渦の形状および空間の分布を有する閉じた渦の形である。そのような閉じた渦は、所定のインダクタンスおよび抵抗値によって特徴付けられた電流を有する、閉塞した計測器として考慮される。
【0005】
導電性の物体の温度を測定するために渦電流現象を用いることは、過去に試みがなされてきた。しかしながら、これらの努力は、十分に成功しなかった。US特許No.5,573,613は、2つのプラスチック部品間の表面において導電性のサセプタを用いる誘電溶接処理において、金属製の接着ライン(サセプタ)の温度を計測するための方法および装置を記載している。磁性のワークコイルは、プラスチック部品を通じて、さらに、サセプタの周辺に、交流磁場を発生させる。これは、次にサセプタを熱し、かつ、それらの電気抵抗がサセプタ材料の抵抗の熱係数のきのう関数として変化する。そのような抵抗の変化は、磁性のコイルのインピーダンス中の変化として反映される。電気回路は抵抗の変化を計測し、さらに、その変化が計測温度に換算される。計測温度は、磁性のワークコイルへの電力、もしくは、接着ラインに沿ったワークコイルの移動速度の調整のために用いられても良い。この技術は、動作のために、照準線を必要としない。しかしながら、この方法の重大な欠点は、ワークコイルとサセプタとの間の距離で著しく変化するワークコイルのインピーダンスの変化に依存することである。従って、この距離は、温度測定の精度を確実にするために、注意深く維持されなければならない。
【0006】
US特許No.3,936,734は、交流磁場により金属部品内に引き起こされる渦電流効果によって、金属部品の導電性、および/または温度の遠隔測定を記載している。この磁場は、軸が金属部品の表面に対して直角を成すように配置された交流電流で駆動する励起コイルによって生成される。等しい半径の1対の測定コイルは、後部部材の端部において、励起コイルに関して同軸的かつ対照的に配置される。2つの測定コイルは、電気的に直列に接続され、さらに、測定コイルの電流および励起コイルの電流の間の位相角は、測定の変化の示度としてみなされる。測定コイルは、距離の変化の影響を減少させるために、金属部品表面からの距離が励起コイルの信号および測定の信号の間の位相角が最小限になるように配置される。しかしながら、この方法は、各測定において、金属部品から測定コイルまでの距離を機械的に調整するので、実用において不都合である。
特開2000‐193531号公報、Ueda et al,LMFBRにおいて用いられるプロセス計器の瞬間的な応答のインサービス測定の方法論の開発,インターナショナル・コーポレーションおよびテクノロジー・デベロップメント・センター、Takahira et al,移動シートコンダクタに対向するソレノイドコイルのインピーダンス変化、日本電気技術、103巻、3号、1頁〜7頁(1983年)、及びKeller,回転ローラの非接触温度測定のための新規技術、アイロン・スティール・エンジニアリング、57巻、5号、42頁〜44頁(1980年5月)も、参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US特許No.5,573,613
【特許文献2】US特許No.3,936,734
【特許文献3】特開2000‐193531号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ueda et al,LMFBRにおいて用いられるプロセス計器の瞬間的な応答のインサービス測定の方法論の開発,インターナショナル・コーポレーションおよびテクノロジー・デベロップメント・センター
【非特許文献2】Takahira et al,移動シートコンダクタに対向するソレノイドコイルのインピーダンス変化、日本電気技術、103巻、3号、1頁〜7頁(1983年)
【非特許文献3】Keller,回転ローラの非接触温度測定のための新規技術、アイロン・スティール・エンジニアリング、57巻、5号、42頁〜44頁(1980年5月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の要旨
本発明は、従来技術の渦電流温度測定技術の欠点を克服し、かつ、対象物に作用する熱伝導の一部を成す、または、対象物に作用する熱伝導している状態にある、伝導部材(例えば、金属、半導体、または液体電解物)の遠隔非接触温度測定のための方法および装置を提供する。この方法および装置は、伝導部材および検出コイルアセンブリの間の距離および/または相対角度方向が実質的に独立している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概して、本発明は、そのような伝導部材に渦電流を誘起するステップからなる物体の温度を測定するための方法、および装置を提供する。ここで、渦電流は、対応する渦電流の大きさが時間とともに指数関数的に変更するように、時間の経過と共に実質的に線型的に変化する(例えば、真の線型性の約±30%以下)大きさを有する磁場に対して、伝導部材をさらすことによって引き起こされる。次に、電流の大きさの指数的な変化の特性時定数が決定され、物体の温度が、この特性時定数を用いて算出される。
【0011】
好適形態において、三角波形の交流電流を用いて駆動される磁場伝送コイルは、伝導部材に渦電流を引き起こす(誘起する)ために用いられ、かつ、受信コイルアセンブリは、対応する渦電流誘起磁場を検出するために提供される。それから、受信コイルのアセンブリの出力電圧は、特性時定数を決定するのに用いられる。受信コイルのアセンブリは、逆位相ではあるが電気的に直列の1対の受信コイルを好適に有し、受信コイルは、磁場の伝送コイルの反対側に配置される。温度測定を容易にするために、受信コイルは、伝導部材が無い場合には、受信コイルアセンブリからの電圧出力がゼロとなるように補正される。
【0012】
本発明の方法および装置は、遠隔非接触温度計測が所望される様々な状況で用いることが可能である。例えば、本発明は、食品材料の加熱中に食品材料の温度を測定するために用いられる。そのような用途において、加熱容器は、底壁があるように提供され、かつ、食品材料を保持するように作用する。アルミニウムのコーンのような金属製の伝導部材は、底壁上に配置され、かつ、食品材料の中に上側に突き出る部分を有する。温度測定ユニットは、加熱容器の近くに配置され、かつ、時間の経過と共に指数関数的に変化する渦電流の大きさで、伝導部材に渦電流を誘起するように動作可能な第1のアセンブリを有する。この温度測定ユニットは、渦電流の大きさの変化の特性時定数を決定するために、さらに、特性時定数を用いて、伝導部材、ゆえに、食品材料の温度を算出するために動作可能な第2のアセンブリも有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の遠隔温度計測装置および方法を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る遠隔温度測定のために好適な全体システムのブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係る受信コイルアセンブリの単一周期出力電圧を示すグラフである。
【図4】図4は、従来の熱電対を用いて同時に温度計測が比較された際の本発明の遠隔温度計測装置の遠隔温度計測動作を示すグラフである。
【図5】図5は、加熱中の食品材料の温度を遠隔、非接触で計測させる伝導部材が具備される従来の加熱パン内の食品材料の概略図である。
【図6】図6は、食品の温度測定において有用な円錐の伝導部材の斜視図である。
【図7】図7は、食品の温度測定において有用な円形で丸肩の伝導部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適実施形態の説明
図面を参照して、図2は、本発明に係る非接触遠隔温度計測システム10を模式的に示す。システム10は、磁場の伝送コイル14に動作可能に連結され、かつ、コイル14に三角電流波形駆動電流を提供するために好ましく設計されている波形発生装置12を有する。発生装置12およびコイル14は、電気的な伝導部材16を貫く交流磁場を生成するように働く。全体的なシステム10は、さらに信号処理回路20の出力のさらなる処理および表示のために、インターフェイス22に接続される信号処理回路20に連結される磁場受信コイルアセンブリ18を有する。システムの構成部品12、14、18、20、および、22は、計器またはアプライアンスの一体部品として、または、独立した構成部品として、独立型のユニット24中に設計されてもよい。
【0015】
システムの基本操作10は、図1の考察によって理解することができる。そこに示されるように、発生装置12によって駆動される磁場伝送コイル14は、伝導部材16(この例においては、平板として図示される)を突き抜ける時間磁場において線型的な変化を生じる。模式的な力線26は、この効果を例示するために示される。磁場は、渦電流28(閉塞されたリングまたはカウンターの形状において)を引き起こす(誘起する)安定な起電力を生成する。しかしながら、渦電流安定化処理は、渦電流28によって経験される有限インダクタンスLおよび抵抗Rのために、瞬時に起こらない。むしろ、渦電流の大きさIは、公知の指数法則:
I(t)=Iexp(−tR/L) (方程式1)
(tは、時間変数であり、かつ、I0は、安定な渦電流である。)
に従って安定かされる。
【0016】
渦電流28は、コイル14によって発生された磁場に従って、磁場受信コイルアセンブリ18によって計測される対応する磁場も発生させる。この場合には、アセンブリ18は、反対側に配置され、かつ磁場伝送コイル14と同軸上に一直線に配置される1対の受信コイル30、32を有する。磁場伝送コイルコイル30、32は、反対の位相ではあるが、電気的に直列に接続される。磁場伝送コイル14に対するコイル30、32の位置は、伝導部材16が存在しない場合に、コイル14によって発生された磁場によってコイル30、32中で引き起こされる電圧が、結果として生じる出力電圧信号のゼロで、充分に補正されるように、好ましく選択される。
【0017】
しかしながら、部材16が存在する場合に、受信コイル30、32は、それぞれ、部材16から異なる距離にあり、従って、受信コイル30中に誘起される電圧(磁場コイル14によって発生される磁場と渦電流28との組み合わせによって)は、コイル32中に誘起される電圧よりも著しく大きい。コイル30および32の結果として生じる電圧出力信号は、渦電流誘起磁場の変化率に比例する。これは、方程式1から特性時定数τ=L/Rによって規定される指数関数である。
【0018】
渦電流インダクタンスLは、磁場伝送コイル14によって生成される磁場の形状によって順番に決定される、電流28の大きさによって決定される。渦電流抵抗Rは、これらの同じ電流28の大きさによって規定され、さらに、伝導部材16の電気導電率σによって規定される。電流28の大きさが一定であるとすると、時定数τ=L/Rは、部材16を作成する材料の導電率σに比例する。導電率σは、伝導部材16の温度Tの単調な関数ではっきり定義される。
τ=Aσ(T)=F(T) (方程式2)
ここで、Aは、一定であり、かつ、σ(T)導電率の温度依存性は、実際に全ての存在する金属または合金に対して公知である。与えられた部材16に対するAの特定値は、例えば、1つの既知の温度における時定数τを測定すること、さらに、その温度に対して対応する既知のσ値を用いることによって、容易に決定される。
【0019】
部材16の温度Tは、測定された渦電流時定数τを用いてを決定することができる。
T=F−1(τ) (方程式3)
ここで、F−1は、Fの逆関数である。
【0020】
万一、温度Tと導電率σ間の関係は、与えられた伝導部材16に対して未知であるばあいには、F−1(τ)の関数は、複数の温度における時定数τを測定し、その後、多項式または他の適切な数学的な関数を使って、得られた時定数のデータを曲線近似することによって、経験的に決定されても良い。
【0021】
部材16は、温度測定される物体のゾーンまたはエリアでも良いし、あるいは、物体に作用する熱伝達をしている状態にある別の部材または本体でも良い。いずれの場合においても、物体の温度は、正確に測定可能である。
【0022】
特に、磁場伝送コイル14の磁気がゼロからある最大値まで直線的に上昇するシングルτの測定は、時定数の特性値を決定するために充分である。しかしながら、τの精度を上げるために複数のτの測定を平均化できるように、磁場伝送コイル14からの三角波形の交流磁場を用いることは有利である。そのような場合に、交流磁場の半期は、渦電流時定数τよりも実質的に長いことが好ましい。
【実施例】
【0023】
図3に関して、磁場受信コイルアセンブリ18からの電圧の出力の単一周期の例が、図示される。全体的なシステム10は、(2012アルミニウム合金で形成され、かつ4mmの厚さを持つ)部材16から25mmの距離に配置される受信コイル30を用いて、周波数500Hzで動作された。時定数τは、134μ秒と測定された。
【0024】
もう一つ別のテストにおいて、従来型のソースパンが加熱され、かつ、パンの温度が、本システム10および従来の熱電対の双方によって決定された。ソースパンは、ステンレススチールで形成され、かつ、1.5リットルの容量を有する。それは、ステンレススチール層間に挟持されるアルミニウム底熱拡散ディスクが具備されていた。受信コイル30は、ソースパンの底から25mmの距離に配置された。Kタイプの熱電対も、また、粘着性のテープによってソースパンの底に固定され、さらに、一枚の厚いカードボードによって押圧された。ソースパンは、約40秒間、熱風ブロワによって、その内側から加熱された。図4は、本発明の渦電流(EC)のシステム10および熱電対(TC)の温度の両方の温度対時間のグラフを図示するものである。EC測定は一貫して正確に瞬間の温度値を与えるが、TCは、高速の加熱間隔において、顕著な遅延を示していることがわかる。しかしながら、緩やかな温度変化の間隔において、両方の方法は、同様の正確さを示した。ステンレススチールの対向する層の間にクラッドされたアルミニウム熱拡散ディスクにも関わらず、渦電流時定数τは、事実上、アルミニウムの導電性σによって規定された。これは、ステンレススチールの低い導電性(アルミニウムより約20倍低い)、および、ステンレススチールクラッドの小さい膜厚によるものである。本質的に、ステンレススチールからの受信信号に対する寄与は、無視できる。
【0025】
本発明の温度測定方法および装置は、システム10および伝導部材26の間の照準線の方向に依存しない。したがって、本発明は、アプリケーションの多数の分野、例えば、航空宇宙産業の修理、プラスチックの溶接処理、スマートな料理道具、および遠隔、非接触、非照準線温度測定が有効であるあらゆる他のアプリケーションにおいて非常に有効である。温度が測定される対象物体は自身の導電性を必要としないが、その代わりに、別の伝導部材が、非伝導性の物体との熱伝達するように配置されるとき、遠隔センサとして用いられても良い。このような別個の伝導部材は、一片の導電性の薄片、小型の導電性ディスク、または、その他のものでもよい。
【0026】
本発明の別の重要な特徴は、時定数τ(さらに、従って、対応する物体の温度T)の値が物体16および磁場受信コイルアセンブリ18間の距離および/または角度方向と実質的に独立しているという事実に帰する。
【0027】
例えば、25mmの直径を持つ3mmの薄いアルミニウムのディスクは、テストされ、そして、優れた精度を示すことがわかった。この例における磁場伝送コイル14は、50mmの外側直径、50mmの高さ、21オームの抵抗、および、40mHのインダクタンスを有する円筒形のコイルで作成されていた。磁場受信コイルアセンブリは、別個の受信コイル30、32で構成され、それぞれのコイルが、72mmの直径、8mmの高さを有し、かつ、各コイル中に0.2mmの銅のコイルワイヤの250回巻であった。各コイルは、図1に示されるように組み立てられた。磁場伝送コイルは、500Hzの周波数および0.5Aの振幅(大きさ)の三角電流波形によって駆動された。テストに先立って、2つの磁場受信コイルは、伝導性の物体の存在しない場合の出力信号がゼロに等しくなるように機械的に調節された。
【0028】
それから、アルミニウムのディスクは、磁場受信コイル30から異なる距離に配置された。24mmの距離で測定された時定数値は、150.0±0.1μ秒であった。そしてすぐに、距離が20mmまで減少されたが、測定値は、再び150.0±0.1μ秒になった。その後、距離が28mmまで増加されたが、正確な同じ時定数値が、再び測定された。ディスクを作製するアルミニウム金属の導電性は、室温で0.4%/℃で変化する。従って、このテストの温度精度は、±0.17℃であると推定された。その後、アルミニウムディスクの平面部と受信コイル30との間の角度が、0から±15℃まで変化された。測定された時定数値の不変が観測された。こうして、温度測定システムが、事実上ディスクの距離または角度方向に依存性を示さなかった事が結論付けられた。その結果、測定されたディスクの温度も、同様にこれらの要素と独立しているという結論に至った。
【0029】
本発明は、食品の加熱中に食品の遠隔非接触温度測定の状況において特に役立つ。例えば、図5に示されるように、従来のステンレススチールパン34が、その中に多量の食品材料を有する。円錐状のアルミニウム部材38も、パン34内にあり、その底壁40上に静止している。そのようなアセンブリで、食品材料36の温度は、本発明に係るシステム10の使用して容易にモニターされる。円錐部材38は、それが多量の食品部材36中で好適に突出する側壁面42を有するという事象により好適であるが、他の形状を用いてもよい。例えば、図7は、実質的に円形で、かつ、連続的に丸みを帯びた肩部46を有する部材44を示す。
【0030】
あるいは、パン34は、底壁40の外側表面上に伝導部材が具備されもよい。この実施形態においては、食品の温度は、直接測定されないだろうが、食品温度に関する有用な情報を今まで通り提供するであろう。伝導部材は、底壁40に埋め込まれた又は取り付けられた小型のディスクの形状であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に作用する熱伝導の一部を成す、または、前記物体に作用する熱伝導をしている状態にある、伝導部材に渦電流を誘起するステップと、
前記渦電流の大きさの変化の特性時定数を決定するステップと、
前記特性時定数を用いて、前記物体の温度を算出するステップと、を備え
前記渦電流は、相当する渦電流の大きさが時間の経過と共に指数関数的に変化するように、時間の経過と共に実質的に線型的に変化する大きさを持つ磁場に前記伝導部材をさらすことによって誘起されるものであることを特徴とする物体の温度測定方法。
【請求項2】
前記磁場に前記伝導部材をさらすために磁場伝送コイルを用いるステップを有する請求項1に記載の温度測定方法。
【請求項3】
前記伝送コイルを三角波形の交流で駆動するステップを有する請求項2に記載の温度測定方法。
【請求項4】
相当する渦電流誘起磁場を検出するための受信コイルアセンブリを用いるステップ、および、前記特性時定数を決定するために前記受信コイルアセンブリの出力電圧を用いるステップを有する、請求項1に記載の温度測定方法。
【請求項5】
前記受信コイルアセンブリは、逆位相であるが電気的に直列な一対の受信コイルを備える請求項4に記載の温度測定方法。
【請求項6】
前記特性時定数は、時間の経過と共に決定される複数の時定数の平均である請求項1に記載の温度測定方法。
【請求項7】
物体に作用する熱伝導の一部を成す、または、物体に作用する熱伝導をしてる状態にある、伝導部材を有する物体の温度測定装置であって、
前記伝導部材中に渦電流を誘起するように動作可能な第1のアセンブリと、
前記渦電流の大きさの変化の特性時定数を決定し、かつ、前記特性時定数を用いて前記物体の温度を算出するように動作可能な第2のアセンブリと、を有し、
前記渦電流の大きさは、時間の経過と共に指数関数的に変化することを特徴とする温度測定装置。
【請求項8】
前記第1のアセンブリは、実質的に線型的な速度で交番する交流磁場を発生するように動作可能な磁場伝送コイルを備える請求項7に記載の温度測定装置。
【請求項9】
三角波形電流を用いて前記伝送コイルを駆動する、前記磁場伝送コイルと作用的に連結される電流発生器を有する請求項8に記載の温度測定装置。
【請求項10】
前記第2のアセンブリは、前記渦電流によって誘起された前記相当する磁場を検出するように動作可能な受信コイルアセンブリを有する請求項7に記載の温度測定装置。
【請求項11】
前記受信コイルアセンブリは、逆位相であるが電気的に直列な一対の受信コイルを備える請求項10に記載の温度測定装置。
【請求項12】
前記第1のアセンブリは、実質的に線型的な速度で交番する交流磁場を発生するように動作可能な磁場伝送コイルを有し、
前記第2のアセンブリは、前記渦電流によって誘起された前記相当する磁場を検出するように動作可能な受信コイルアセンブリを有し、
前記第2のアセンブリは、逆位相であるが電気的に直列な一対の受信コイルを有し、
前記一対の受信コイルは、前記伝送コイルの反対側にそれぞれ配置される請求項7に記載の温度測定装置。
【請求項13】
前記伝導部材は、前記物体から分離可能である請求項7に記載の温度測定装置。
【請求項14】
食品材料の加熱中に前記食品材料の温度を測定する温度測定装置であって、
前記食品材料を保持するように動作可能であり、かつ、底壁が存在する加熱容器と、
前記底壁上に配置される金属製の伝導部材と、
前記伝導部材中に渦電流を誘起するように動作可能な第1のアセンブリと、
前記渦電流の大きさの変化の特性時定数を決定し、かつ、前記特性時定数を用いて、前記伝導部材の温度と、従って、前記食品材料の温度とを算出するように動作可能な第2のアセンブリと、を有し、
前記渦電流の大きさは、時間の経過と共に指数関数的に変化することを特徴とする温度測定装置。
【請求項15】
前記伝導部材は、アルミニウム製である請求項14に記載の温度測定装置。
【請求項16】
前記伝導部材は、前記パンの内部に配置され、かつ、前記底壁上に静止し、前記食品材料中に突き出ている部分を有する請求項14に記載の温度測定装置。
【請求項17】
前記伝導部材は、前記底壁から分離可能である請求項16に記載の温度測定装置。
【請求項18】
前記伝導部材は、円錐形の形状であり、前記容器の底壁と係合する前記伝導部材の底壁を有する請求項16に記載の温度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508723(P2013−508723A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535261(P2012−535261)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/053001
【国際公開番号】WO2011/049846
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512102195)ティーエスアイ テクノロジーズ エルエルシー (1)