説明

温度検知装置及び給湯器用保安装置

【課題】異常な高温等の目的とする温度に一部分でも晒されることにより導通して所定の温度を検知することができ、特に、切断により目的とする温度を検知することが可能な温度検知装置を提供する。
【解決手段】長尺な第一の電極1と、上記第一の電極1に対して隣接・配置された長尺な第二の電極2と、絶縁材料からなり上記第一の電極1と第二の電極2とを絶縁するように配置されるスペーサ3と、を具備し、所定の温度に晒されることにより上記スペーサ3による上記第一の電極1と第二の電極2の絶縁が解除され、それによって、上記第一の電極1と上記第二の電極2とが直接接触・導通する温度検知体10と、電力ヒューズ11と、からなる温度検知装置において、上記第一の電極1又は上記第二の電極2の一端に上記電力ヒューズ11が接続されていることを特徴とする温度検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常な高温等の目的とする温度に対し、一部分でも晒されることにより検知することができる温度検知装置に係り、特に、切断により目的とする温度を検知することが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱機器やリチウム二次電池等における異常温度の検知をするために、安全装置として種々の温度検知体が知られている。この種の温度検知体として、広範囲の温度検知ができ、薄型で可撓性に優れることから様々な形状の検知対象にも装着することができ、更に、優れた動作信頼性を有しているものとして、例えば、特許文献1〜5に係る技術が開発されている。これは、長尺な第一の電極と、上記第一の電極に対して隣接・配置された長尺な第二の電極と、絶縁材料からなり上記第一の電極と第二の電極とを絶縁するように配置されるスペーサと、を具備し、所定の温度に晒されることにより上記スペーサによる上記第一の電極と第二電極の絶縁が解除され、それによって、上記第一の電極と上記第二の電極とが直接接触・導通することにより所定の温度を検知するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227331公報:クラベ
【特許文献2】国際公開WO2008/044458公報:クラベ
【特許文献3】特開2009−231010公報:クラベ
【特許文献4】特開2009−270892公報:クラベ
【特許文献5】特開2010−165652公報:クラベ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1〜4のような温度検知体は、異常温度検知時に導通するものである。そのため、例えば、第一の電極又は第二の電極を接続するための端子に接触不良があったり、リード線や第一の電極又は第二の電極に断線があったりした場合、異常温度に達しても導通がなされず、温度検知ができなくなってしまう問題があった。また、一度、第一の電極と第二の電極が接触して導通した後、振動等の外力が加わることで接触が解かれてしまい、導通がなされなくなることもある。その際に「通常温度に復帰した」と誤認されないよう、一度導通したら通常状態に復帰しないよう回路設定をしなければならなかった。また、特許文献5に記載された温度検知体は、一方の端の第一の電極と第二の電極がNTC素子等の抵抗素子を介して接続されたものである。これにより、通電不良の場合は電流0、通常時は小電流、異常温度検知時は大電流として検知することができる。しかし、3段階の電流値を検出しなければならないため検知回路等を必要としてしまい、装置の簡略化という点で難があった。
【0005】
これらのような課題は、結局のところ、異常温度検知時に「導通」という作用機構であるために生じるものである。しかし一方で、上記特許文献1〜5のような全体構造は、広い範囲の温度検知が可能であり、柔軟で可撓性に優れ、温度検知特性に優れ、且つ、スペーサの溶融温度を適宜設定することで検知温度を自由に設計が可能な優れた温度検知体である。そのため、この全体構造は維持したまま、異常温度検知時に「切断」という作用機構を有するものが要求されていた。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、異常な高温等の目的とする温度に対し、一部分でも晒されることにより検知することができ、特に、切断により目的とする温度を検知することが可能な温度検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本発明による温度検知装置は、長尺な第一の電極と、上記第一の電極に対して隣接・配置された長尺な第二の電極と、絶縁材料からなり上記第一の電極と第二の電極とを絶縁するように配置されるスペーサと、を具備し、所定の温度に晒されることにより上記スペーサによる上記第一の電極と第二の電極の絶縁が解除され、それによって、上記第一の電極と上記第二の電極とが直接接触・導通する温度検知体と、電力ヒューズと、からなる温度検知装置において、上記第一の電極又は上記第二の電極の一端に上記電力ヒューズが接続されていることを特徴とするものである。
また、上記第一の電極及び上記第二の電極及び電力ヒューズが基材上又は基材内に配置されていることが考えられる。
また、上記第一の電極及び上記第二の電極における上記電力ヒューズが接続されていない側の端が、所定の抵抗体を介して接続されることが考えられる。
また、本発明による給湯器用保安装置は、上記の温度検知装置と、電磁弁とからなる給湯器用保安装置であって、上記第一の電極及び上記第二の電極における上記電力ヒューズが接続されていない側の端が、電磁弁を介して接続されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による温度検知装置の温度検知体は、異常高温時には、スペーサが溶融して第一の電極と第二の電極が接触、即ち、ショートし、その先の装置・回路に電流が流れなくなる。これと同時に、電力ヒューズには大電流が流れることになり、これにより電力ヒューズが切断し、温度検知装置としても切断することになる。このように動作するため、リード線や第一の電極または第二の電極の断線、端子の接触不良といった異常についても、異常温度検知時と同様に「通電しない」という状態として一括に検知することができる。また、異常温度検知後は、例え第一の電極と第二の電極の接触が解けてしまっても、電力ヒューズが切断されていることにより導通がしない状態が継続されるので、安全は担保されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、温度検知体の一部切欠斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、温度検知体を熱機器に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、温度検知装置の回路構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、温度検知装置の動作機構を説明する回路図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知装置の回路構成を示す回路図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知装置の回路構成を示す回路図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知体の要部を拡大した一部切欠斜視図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知体の一部切欠斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知体の一部切欠斜視図である。
【図10】本発明の他の実施の形態を示す図で、温度検知体の要部を拡大した一部切欠斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。尚、本実施の形態による温度検知装置は、190℃近傍の温度を検知するべく構成されるものであり、給湯器用保安装置に適用されたものである。
【0011】
図1に示すように、SUS304ステンレス鋼線を7本撚り合せてなる第一の電極1の外周には、ナイロン12(融点190℃)からなるスペーサ3が押出被覆されている。また、SUS304ステンレス鋼線を7本撚り合せてなる第二の電極2の外周には、ナイロン12(融点190℃)からなるスペーサ3が押出被覆されている。この第一の電極1と、第二の電極2とを撚り合わせたものがPETの不織布からなる基材4の上に配置されている。上記第一の電極1及び第二の電極2の上には、電極の保護のため、片面に粘着剤が塗布されたPETからなるフィルム5が貼付されている。このようにして温度検知体10が得られる。そして、第一の電極1及び第二の電極2の一方の端には、それぞれリード線6,7が端子(図示しない)を介して接続され、リード線6は制御回路(更には電源)に、リード線7は電力ヒューズ11に接続される。もう一方の端の第一の電極1及び第二の電極2は、それぞれ、湯沸のためのガスの開閉を行う電磁弁に接続される。この電磁弁は、制御回路からの電流信号により弁が開となるものであり、電流信号がなければ常に閉となっているものである。このようにして、給湯器用保安装置に応用される温度検知装置が構成される。そして、上記した温度検知体10は、例えば、図2に示すように、給湯器20の外周の所定位置に設置される。それによって、給湯器20における異常温度の検知を行うものである。
【0012】
又、上記温度検知装置の回路構成は図3に示すようなものとなっており、図4を用いてその動作機構を説明する。図3に示す回路図において、スペーサ3が溶融していない場合には、図4(a)に示すように、電源13からの電流は第一の電極1を介して電磁弁14に流れ得る状態であるため、制御回路12からの信号により電磁弁は開の状態にすることができる。ここで、何らかの異常により給湯器の一部でも異常温度となると、図4(b)に示すように、スペーサ3の一部が溶融して第一の電極1と第二の電極2が接触、即ちショートすることになる。これにより、電磁弁14には電流が流れなくなり、電磁弁14は閉の状態になる。これと同時に、図4(c)に示すように、ショートによって電力ヒューズ11には大電流が流れることになり、電力ヒューズ11が切断されることになる。これにより、回路は切断されて電流が流れることがなくなるため、電磁弁14は確実に閉の状態となり安全な状態にすることができる。
【0013】
上記実施の形態のように、第一の電極1と第二の電極2が撚り合わせたものであれば、更なる効果を得ることができる。目的とする温度に達する前は、第一の電極1及び第二の電極2には撚り戻しの力が加わって付勢された状態となっているとともに、第一の電極1及び第二の電極2に被覆されたスペーサ3により、第一の電極1と第二の電極2とが距離を隔てた状態に設置され、即ち、上記第一の電極及び第二の電極2が付勢された状態で上記スペーサ3によって固定保持された状態となっている。温度検知体の一部でも目的とする温度となった際には、スペーサ3が溶融することで付勢された状態での固定保持が解放され、積極的に第一の電極1は第二の電極2に接触しに行き、第二の電極2は第一の電極1に接触しに行くことになるため、第一の電極1と第二の電極2とが確実に導通して、温度検知をすることができる。又、第一の電極1、第二の電極2、スペーサ3、基材4、フィルム5の何れも厚さを有するものではなく、可撓性に優れるものであるため、温度検知体10全体としても、薄型で可撓性に優れたものとすることができる。
【0014】
又、第一の電極1及び第二の電極2の外周にスペーサ3を押出被覆したことから、第一の電極1とスペーサ3、及び、第二の電極2とスペーサ3を一本の線状体として扱うことができるため、製造時の取扱や基材への配置が容易となり、生産性を向上させることができる。更に、スペーサ3が第一の電極1及び第二の電極2を完全に覆う形態となるため、目的とする温度に達していない状態での導通、即ち、誤動作を確実に防止することができる。
【0015】
尚、本発明による温度検知体10は、上記の実施の形態に限定されるものではない。第一の電極1としては、導体線であれば良いが、特にバネ性を有する導電体であることが好ましく、材質としては、例えば、硬鋼線、ピアノ線、オイルテンパ線、ステンレス鋼線等、限定はない。他には、例えば、バネ性を有する絶縁材料に導電線を横巻きしたもの等も考えられる。又、形状としては、第二の電極に接触することを妨げるものでなければ、特に限定はないが、本願発明では、撚線のものが好ましく使用される。上記実施の形態では、同じ太さのSUS304ステンレス鋼線を使用したが、例えば、中央に配置した線のみをわずかに太いものとすることで、スペーサ3を形成する際や、基材4に配置する際などに、中央に配置した線が撚りから飛び出てしまうことを防止することができる。この第一の電極1を蛇行形状や直線状等の種々の形状にて基材4上に配置することが考えられる。この際、第一の電極1は一本の導電体で構成するのではなく、複数本の導電体で構成しても良く、例えば、複数本の線状の導電体を網状に形成し、第一の電極1としても良い。第二の電極2についても、第一の電極と同様にして構成すれば良い。
【0016】
又、第一の電極1及び第二の電極2がそれぞれ撚線構造となっていれば、温度検知時において、スペーサ3が溶融した場合に、第一の電極1及び第二の電極2全体の撚り戻しと、撚線の撚り戻し、両方の作用が働くことになるので、第一の電極1と第二の電極2が相互に接近し易くなっており、それによって、より確実且つ迅速な検知が可能になる。また、このような撚線構造とする場合、ステンレス鋼線と軟銅線を適宜撚り合せて構成してもよい。こうすることで、第一の電極1及び第二の電極2の配置や端末への端子取付加工が容易になるように、バネ性と可撓性の調整を図ることもできる。特にステンレス鋼線と軟銅線を撚り合せて構成する場合は、中心をステンレス鋼線とし、その外周に軟銅線を配置する構成とすれば、撚りが潰れ難くなるとともに、端末での端子との接触抵抗や、第一の電極1と第二の電極2が導通する際の接触抵抗が低くなるため好ましい。また、第一の電極1と第二の電極2をともに撚線とする場合は、撚線の撚り方向が、第一の電極1と第二の電極2とで逆向きになっていることが好ましい。これは、温度検知時において、スペーサ3が溶融した場合に、第一の電極1全体の撚り戻しと、撚り線の撚り戻し、両方の作用が働くことになるとともに撚り線同士の戻りの方向が相互に近接する方向になるので、第一の電極1と第二の電極2が相互に接近し易くなっており、それによって、より確実且つ迅速な検知が可能になるためである。
【0017】
次に、スペーサ3としては、目的とする温度に達する前は、第一の電極1と第二の電極2とを絶縁した状態で固定保持することができ、目的とする温度となったときにこの固定保持を解除できるものであれば特に限定はない。例えば、所定の温度で溶融するもの、気化するもの、収縮するもの、粘度が低下するもの等、第一の電極1や第二の電極2の形状や配置、或いは、スペーサ3自身の形状や配置に応じて適宜選定すれば良い。これらの中でも所定の温度で溶融するものは最も簡便に使用でき、検知温度の設定も容易であるため好ましい。所定の温度で溶融するものの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、有機塩、植物系、動物系、鉱石系などの天然系ワックス、パラフィン、マイクロワックス、ペトラタムワックス等の石油系ワックス、ワックス生成物、レジン生成物、アスファルト生成物などの合成ワックス、脂肪酸、脂肪酸塩などやこれらを混合したものが挙げられ、これらの中から目的とする温度に合わせた融点のものを適宜に選択すれば良い。上記した中でも、エチレン系の材料を使用した場合、メタロセン触媒により重合したものを使用すれば、ポリマー組織が均一に近く溶融温度のバラつきが少ないため好ましい。
【0018】
上記図1においては、第一の電極1と第二の電極2とを撚り合わせたものが、蛇行形状に配置されたものとなっているが、このような形状に配置されたものに限定されることはない。給湯器20等の熱機器の形状や種々使用条件に応じて適宜設計した形状に配置されれば良く、例えば、第一の電極1と第二の電極2とを撚り合わせたものが直線に配置されたものとしても良い。
【0019】
但し、図1のように蛇行形状に配置されたものであれば、給湯器20等の熱機器の表面が曲面や入り組んだ形状であっても、その形状に追随し易く密着させることができる。すなわち、蛇行形状に配置した場合には、曲面や入り組んだ形状に対して斜めに配置されることになるために電極自身の曲げ半径が大きくなり、その結果、密着性が向上するものである。又、配置する際に温度検知体10に引張りや屈曲等の外力が加わっても、第一の電極1や第二の電極2には無理な力が加わり難く、第一の電極1と第二の電極2の断線を防止することができるため好ましい。
【0020】
また、第一の電極1と第二の電極2とを撚り合わせたものにも限定されないが、第一の電極1と第二の電極2とが絡み合ったものであることが好ましい。尚、ここでいう「絡み合った状態」とは、上記のような撚り合わせの形態のみならず、例えば、第二の電極2の外周に第一の電極1を横巻きした形態等も含まれる。このようなものであれば、スペーサ3による絶縁が解除された後、第一の電極1と第二の電極2とが接触し易いためである。
【0021】
前記の実施の形態で示した基材4は、特に設ける必要はないが、スペーサ3を所定の温度で溶融するものとした際の好ましい形態としては、溶融したスペーサ3が移動してくることができるような、即ち、流れ込めるような形状や構成となっていることが考えられる。例えば、凹凸や穴部が設けられたシートや各種線状材からなる網なども考えられるが、特に、溶融したスペーサ3を吸収できるものであることが好ましい。これは、溶融したスペーサ3を効果的に吸収することにより、第一の電極1と第二の電極2との接触をより迅速に行うことができるからである。このような溶融したスペーサ3を吸収できる基材4としては、例えば、上記実施の形態に記載した不織布のみでなく、メッシュクロス、スポンジ、織布、紙等も考えられる。尚、基材4を構成する材質については特に限定はない。勿論、フィルム5と同様にPETフィルム等を使用しても差し支えない。又、形状もシート状に限られるものではなく、例えば、図7のように、第一の電極1、第二の電極2、及び、スペーサ3を被覆し、この被覆材を基材4としても良い。この被覆材による基材4としては、押出成形によるもののみでなく、例えば、別に用意した樹脂チューブ、ゴムチューブ、繊維糸の編組チューブなどを被せることによっても得ることができる。また、樹脂テープ等を巻回することによっても被覆材による基材4を得ることができる。
【0022】
また、スペーサ3を被覆した第一の電極1とスペーサ3を被覆した第二の電極2とを撚り合せ、その後にスペーサ3の溶融温度付近で短時間加熱すると、それぞれのスペーサ3同士の表面が溶融接着し、第一の電極1、第二の電極2及びスペーサ3を一本の線として取り扱うことができる。また、撚り合せた第一の電極1と第二の電極2の両端を粘着テープ等で固定することによっても、第一の電極1、第二の電極2及びスペーサ3を一本の線として取り扱うことができる。このようなものであれば、特に基材4を設けなくても、給湯器20等の熱機器への設置が容易である。
【0023】
電力ヒューズ11は、電源電圧や制御回路等の抵抗値などを勘案し、第一の電極1と第二の電極2が接触してショートした際に確実に切断されるよう、適切な定格電流のものを選定すればよい。電流ヒューズ11の接続箇所としては、第一の電極1や第二の電極2と直接接続されてもよいが、これに限定されることはなく、電力ヒューズ11が切断された際に回路が切断されて電流が流れなくなる位置に接続されれば良い。電源13と第一の電極1の間又は電源13と第二の電極2の間で、他の並列分岐が存しない直列位置に接続することが考えられる。電力ヒューズ11としては、管状のもの、チップ状のもの、素子状のものや、所謂、ヒューズ抵抗器などを使用してもよい。特に、チップ状のもの、素子状のもの、ヒューズ抵抗器などは、管状のものに比べて価格が安価であると共に、小型化ができ、温度検知体10に一体的に組込めるため、実使用時の取扱いが容易となり好ましい。一体的に組込む態様としては、例えば、図8に示すように、基材4上に第一の電極1や第二の電極2とともに電力ヒューズ11を配置することや、図10に示すように、第一の電極1、第二の電極2、電力ヒューズ11を編組チューブ等からなる基材4内に配置することなどが考えられる。なお、図10に示すようなものの場合、例えば、第一の電極1と第二の電極2それぞれの端子を打つ場所をずらすことで、第一の電極1と第二の電極2が意図しない電気的接触をしてしまうことを防止できる。
【0024】
また、図9に示すように、基材について、第一の電極や第二の電極2を配置する基材4と電力ヒューズ11を配置する基材4´に分割されているものも考えられる。この際、基材4と基材4´が接着剤等によって一体化していれば、基材4と基材4´の間の切れ目でも第一の電極1や第二の電極2に負荷がかからないため好ましい。図示していないが、フィルム5についても、基材4、4´と同様に分割されていてもよい。具体的な態様として、例えば、スペーサ3が押出被覆された第一の電極1及び第二の電極2とを撚り合わせたものを基材4の上に配置し、フィルム5を貼付して第一の電極1及び第二の電極2を固定保持した後、第一の電極1又は第二の電極2の片端に電力ヒューズ11を接続し、この電力ヒューズ11が接続された位置について、接着剤が付された基材4´及びフィルム(図示しない)で挟持することが考えられる。
【0025】
また、上記実施の形態においては、給湯器用保安装置に適用した例を記載したが、他の態様も考えられる。電磁弁14の代わりに適当な抵抗体を接続しても同様の作用効果を得ることができる。抵抗体とは、抵抗素子だけでなく、例えば、制御回路12等も考えられる。図5のように制御回路12を接続すれば、異常温度となった際に制御回路12への通電が止まり、制御回路12の動きを止めることが可能な回路構成となる。また、通常の抵抗素子であっても、適宜抵抗値等を設定することで十分に作用効果を発揮することができる。
【0026】
上記実施の形態においては、給湯器の異常温度を検知しており、この給湯器は温度検知装置の回路とは別に設置されるものである。しかし、本発明はこのような形態に限定されず、同回路内の異常温度を検知することにも適用可能である。例えば、図3や図5における電源13の異常発熱による異常温度を検知するため、温度検知体10を電源13に設置することも考えられる。また、図3や図5における制御回路12の異常発熱による異常温度を検知するため、温度検知体10を制御回路12上に設置することも考えられる。また、整流器や変圧器などに設置することも考えられる。
【実施例】
【0027】
上記実施の形態による温度検知体10について、図6に示すように、電力ヒューズ11、抵抗体16、電源13に接続した。また、併せて、電流計21、電圧計22を接続した。なお、抵抗体16の抵抗値は60Ωである。この状態で、温度検知体10を250℃の熱風に晒す加熱を行い、温度検知動作を確認した。試験は、それぞれ電力ヒューズを変えた実施例1〜4の4種類のものについて行った。初期電流値及び初期電圧値を測定した後に加熱を行い、電流ヒューズ11が切断するまでの動作温度を測定した。また、電源13は、電圧調整と通電制御の機能が組込まれたものであり、過電流による損傷を防ぐため、過電流値4.0Aで通電が止まる過電流防止機能が備えられている。上記電力ヒューズ11の切断が、電源13の過電流防止機能が作動する前に行われるか、併せて確認を行った。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
上記表1にも記載の通り、本発明による実施例1〜4は、充分に早い動作時間で、異常な高温に対して電力ヒューズ11が切断し、回路が切断されて電流が流れなくなったことを確認できた。また、何れの実施例でも電源13の過電流防止機能は作動していないことから、このような温度検知体10の動作機構によって電源等の回路基板に過電流が流れ、損傷させてしまうこともないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上詳述したように、本発明は、異常な高温等の目的とする温度に対し、一部分でも晒されることにより検知することができる温度検知体に係り、特に、切断により目的とする温度を検知する温度検知装置を得ることができるものである。又、その用途としては、発熱する物体への温度検知、温度制御全般に使用することができ、例えば、二次電池,給湯器,冷蔵庫,エアコン室内外機,衣服乾燥機,ジャー炊飯器,ホットプレート,コーヒーメーカ,温水器,セラミックヒータ,石油ヒータ,自動販売機,温熱布団,シートヒータ,床暖房パネルヒータ,複写機,ファクシミリ,食器乾燥機,フライヤ等への使用が考えられる。
【符号の説明】
【0031】
1 第一の電極
2 第二の電極
3 スペーサ
4 基材
5 フィルム
6,7 リード線
10 温度検知体
11 電力ヒューズ
12 制御回路
13 電源
14 電磁弁
16 抵抗体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な第一の電極と、上記第一の電極に対して隣接・配置された長尺な第二の電極と、絶縁材料からなり上記第一の電極と第二の電極とを絶縁するように配置されるスペーサと、を具備し、所定の温度に晒されることにより上記スペーサによる上記第一の電極と第二の電極の絶縁が解除され、それによって、上記第一の電極と上記第二の電極とが直接接触・導通する温度検知体と、電力ヒューズと、からなる温度検知装置において、
上記第一の電極又は上記第二の電極の一端に上記電力ヒューズが接続されていることを特徴とする温度検知装置。
【請求項2】
上記第一の電極、上記第二の電極及び上記電力ヒューズが、基材上又は基材内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の温度検知装置。
【請求項3】
上記第一の電極及び上記第二の電極における上記電力ヒューズが接続されていない側の端が、所定の抵抗体を介して接続されることを特徴とする請求項1記載の温度検知装置。
【請求項4】
請求項1記載の温度検知装置と、電磁弁とからなる給湯器用保安装置であって、上記第一の電極及び上記第二の電極における上記電力ヒューズが接続されていない側の端が、電磁弁を介して接続されることを特徴とする給湯器用保安装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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