温度補償歪み感知カテーテル
歪み感知アセンブリ(60)は、カテーテル(90)の先端の光ファイバー歪みセンサー(76)における温度変化を適当に軽減し、かつ補償する熱管理法および/または温度測定法を実施する。一実施形態において、カテーテルの先端(90c)は、カテーテルの先端に近接して有意な熱的温度変化を導入するアブレーションヘッドのようなエンドエフェクタ(77)を備える。一実施形態では、複数の光ファイバー歪みセンサーの各々の正確な判定のために、複数の温度センサーが用いられる。他の実施形態では、単一の温度センサーと複数の光ファイバー歪みセンサーとの間の温度差を適当に低減する熱管理法を実施することによって、単一の温度センサーが用いられ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、カテーテルの先端に加えられる力を判定する能力を備えた外科カテーテルに関する。より具体的には、本出願は、光ファイバー歪みセンサーを用いた温度補償歪み感知カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドエフェクタの遠位端上における接触力を判定するために光に基づいた光ファイバー歪みセンサーを用いたカテーテルシステムは、近年、カテーテルに基づいた診断および治療システムによる様々な器官または脈管の診査および治療のために支持されてきている。そのような光に基づいたシステムは、電磁放射環境に影響を与えず、かつ電磁放射環境によって影響されないように、構成され得る。
【0003】
1つのそのような光に基づいたカテーテルシステムは、ボッセルマン(Bosselman)に付
与された特許文献1に記載されている。前記特許文献は、関節継ぎ手によって連結された一連の剛直な連結子を備えた手術を行うためのロボットシステムを記載している。関節継ぎ手には複数のブラッググレーティングが配置されており、そのため、各継ぎ手の屈曲角度は、例えば、干渉計を用いて、ブラッググレーティングによって反射された光の波長の変化を測定することにより、光学的に判定され得る。
【0004】
非特許文献1は、ロボット外科手術システムにおける使用発生力フィードバックシステムのための三軸力センサーを記載している。該装置は、光を装置の先端チップに隣接して配置された鏡面上に指向させる複数の光ファイバーを備える。前記鏡面から反射された光の強度が測定され、その強度は先端チップに所定量の撓みを課するのに必要とされる力に関連付けられ得る。前記論文は、構造を変形させる接触力に応答して光の強度の変化を生じるために用いられ得る、可撓性で小型の構造を記載している。
【0005】
レオ(Leo)らに付与された特許文献2は、カテーテルの先端に印加された力ベクトル(
大きさおよび方向)を分解するための装置および方法を開示している。レオは、カテーテルの外形を増大することなく、かつ電磁干渉にほぼ影響されない、カテーテルにおける光ファイバー歪み要素の使用を開示している。
【0006】
一般に、光ファイバー歪みセンサーは温度の変化に敏感である。例えば、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサーは、その上部に形成またはエッチングされた均等に離間された回折格子(グレーティング)を備えた光ファイバーを備える。光ファイバーを通って伝播する光は、前記回折格子によって、狭い波長バンドパスにわたって反射される。反射光のバンドパスは、回折理論に従って、回折格子の間隔に関連する。前記間隔は、FBGによって経験された弾性歪みの影響だけでなく、基準状態に対するFBGの熱収縮および熱膨張の影響も受ける。温度変化はまた、FBGの屈折率も変化させ、回折格子によって反射される波長バンドパスにさらに影響を与える。
【0007】
一般に温度に敏感な光ファイバー歪みセンサーの別の例は、ファブリーペロー歪みセンサーである。ファブリーペロー歪みセンサーは、伝送ファイバーの端部と反射体との間に間隙を有する。伝送ファイバーは、多くの場合、部分反射するように設置される。前記間隙に進入する光は、反射体と部分反射伝送ファイバーとの間で相互反射される。ファブリーペロー歪みセンサーによって返される信号は、相互反射によって引き起こされる干渉理論(interference theory)に従って変調される。その変調は前記間隙の寸法に関連する。
前記間隙は、その間隙を形成する構造の弾性歪みの影響だけではなく、基準状態に対する
構造の熱収縮および熱膨張の影響も受ける。
【0008】
光ファイバー歪みセンサーは特定の種類のカテーテル処置に効果を提供することができるが、そのような歪みセンサーの使用は、カテーテルの先端に近接した温度変化を伴う状況では、悪影響を受ける可能性がある。光ファイバー歪みセンサーを用いた歪み感知カテーテルの熱状態の変化を十分に補償する装置および方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,470,205号
【特許文献2】国際特許公開第WO2007/015139号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ジェイ.ピアーズ(J. Peirs)ら、表題「Design of an Optical Force Sensor for Force Feedback during Minimally Invasive Robotic Surgery」、ルーヴァン・カソリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)発行、ベルギー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の様々な実施形態は、ポリマーに基づいた本体を用い、かつ光ファイバー歪みセンサーにおける温度変化を十分に軽減し、補償する熱管理法および/または温度測定法を実施する歪み感知アセンブリを備える。
【0012】
本発明の様々な態様による熱管理法は、エンドエフェクタ(例えばアブレーションヘッド)の高温部品と、光ファイバー歪みセンサーとの間における軸線方向の伝導を低減することを含み得る。本発明の他の態様による熱管理法は、光ファイバー歪みセンサーの灌注流ストリーム(irrigation flow stream)のような制御可能な温度シンクへのより緊密な結合を含み得る。さらに、本発明の一部の実施形態による別の熱管理法は、歪み感知アセンブリの壁を介した半径方向の加熱または冷却からの光ファイバー歪みセンサーの分離を伴い得る。
【0013】
様々な実施形態の温度測定法は、光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度の測定を含み得る。そのようなアプローチは、光ファイバー歪みセンサーの熱管理が、歪み感知アセンブリの本体上の所与の軸線方向位置において概して均一な温度を生じるような用途または構成に適当であり得る。他の実施形態では、多数の温度センサーの使用により、歪み感知アセンブリの熱プロファイルを適当に特徴付けて、各光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度を提供する。
【0014】
光ファイバー歪みセンサーの温度変化を補償するために以前の試みがなされてきた。例えば、レオ(Leo)らに付与され、本出願の譲受人に譲渡されたた米国特許出願公開公報第
2007/0060847号は、複数の光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度を測定し、基準または較正状態に対して温度変化の効果を補償する補正を適用するための方法を記載している。レオはまた、光ファイバー歪みセンサーと灌注流ストリームとの間の熱抵抗の低減のために、光ファイバー歪みセンサーが取り付けられる金属流動導管の使用を開示している。
【0015】
しかしながら、金属流動導管には感度問題が存在することが判明した。屈曲力および圧縮力に対して必要な感度を提供するように設計された金属導管の壁厚は、信頼できる操作には脆弱すぎることが判明した。壁厚を機械的に信頼できる寸法に増大すると、剛性が大きくなり過ぎて、感度の喪失によりアセンブリを動作不能にしてしまうことが判明した。
【0016】
感度/信頼性の難題を解決する1つの可能な方法は、屈曲力および圧縮力に対する必要感度がより厚い壁によって実現されるように、金属よりも低い強度を有する材料を用いることである。ポリマーに基づいた本体に戻ると、既存の設計は、屈曲力および軸線方向の圧縮力に対する必要感度を提供する一方で、外周または外周近傍に取り付けられた光ファイバーセンサーを備えた、ほとんど全直径に位置する外壁を特徴とした。
【0017】
しかしながら、より厚い壁を有するポリマーに基づいた本体に温度補正を適用する際に、代表的な温度補償法は特定の状況において不十分であったことが発見された。ポリマーは金属よりも実質的に低い熱伝導率を有する。そのような低い熱伝導率は、より厚い壁の温度と結合されると、光ファイバー歪みセンサーと灌注流との間の熱的結合を低減する。したがって、アブレーションの用途のような、エンドエフェクタが実質的な熱エネルギーを生成し放散する場合には、歪み感知アセンブリの温度変化は、所与の軸線位置においてさえ、必ずしも均一だとは限らない。そのような場合において、1つの光ファイバー歪みセンサーの温度上昇は、別の光ファイバー歪みセンサーの温度上昇と実質的に異なることがある。従って、代表的な温度は、システム内のすべての光ファイバー歪みセンサーの温度を正確に表わさないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の様々な態様の1つ以上を用いることによって、従来技術の不都合は克服され得る。
構造的に、本発明の一実施形態は、医学的処置中に患者内に導入されるのに適合され、かつエンドエフェクタを有する可撓性長尺状本体を備え、前記エンドエフェクタは歪み感知アセンブリを備え、前記歪み感知アセンブリは、変形体と、前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える。一実施形態において、前記変形体は液晶ポリマー材料から製造されている。前記複数の温度センサーは、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと同数またはそれよりも多い個数だけあり得る。一実施形態において、前記複数の温度センサーの各々は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのうちの対応する1つに対して、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの他のものよりも、実質的により接近して配置される。
【0019】
前記変形体の一部をスリーブが包囲してもよく、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび複数の温度センサーは、そのスリーブ部分によって包囲された変形体の部分に作動可能に接続されており、前記スリーブおよび変形体は、該スリーブと変形体との間に環状間隙を形成する。前記環状間隙内には、固体絶縁材料(solid insulation material)を含
む断熱材(thermal insulator)が配置され得る。前記スリーブは、前記変形体の屈曲また
は軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗するらせんコイルのような構造部材を備え得る。前記光ファイバー歪みセンサーは、例えばファイバブラッググレーティングセンサーまたはファブリーペローセンサーであり得る。前記温度センサーは熱電対であり得る。
【0020】
特定の実施形態は、前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドを備え得る。前記アブレーションヘッドはベース面を有し、そのベース面は、該ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されている。前記変形体は、灌注流を収容するために前記軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え得る。前記灌注流はアブレーションヘッドのベース面を冷却する。
【0021】
別の実施形態では、カテーテル用のエンドエフェクタが開示される。前記エンドエフェクタは、変形体と、前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサー
と、複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度センサーとを備える。前記変形体の一部をスリーブが包囲してもよく、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび温度センサーは、そのスリーブによって包囲された変形体の部分に作動可能に接続されている。一実施形態において、前記スリーブおよび変形体は、それらのスリーブと変形体との間に、環状間隙を形成する。前記スリーブは、変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備え得る。前記環状間隙内には、固体材料を含む絶縁体が配置され得る。前記エンドエフェクタは、前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え得る。前記アブレーションヘッドはベース面を有し、そのベース面は、該ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように前記変形体から離間されている。前記変形体は、灌注流の収容のために軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え得る。前記灌注流はアブレーションヘッドのベース面を冷却する。
【0022】
本発明の別の実施形態では、カテーテルのエンドエフェクタ用の歪み感知アセンブリを備えた歪み感知システムが開示される。前記歪み感知アセンブリは、複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える。前記複数の光ファイバー歪みセンサーに電磁放射を伝達するために、電磁波源が前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続され得る。この実施形態において、少なくとも1つの受信器は、前記電磁放射の帰還部分を受信するために、複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続されており、その帰還部分は複数の光ファイバー歪みセンサーによって返される。また、少なくとも1つのシグナルコンディショナは、この実施形態では、複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度の測定のために、複数の温度センサーと作動可能に接続されている。前記受信器およびシグナルコンディショナには、マイクロプロセッサーが作動可能に接続されており、同様に、前記マイクロプロセッサーにはデジタル記憶装置が作動可能に接続され得る。前記デジタル記憶装置はマイクロプロセッサーによって実行するための命令を含んでいる。
【0023】
実行可能な命令は、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して1つずつ、複数の見掛け歪みを判定することと、前記複数の見掛け歪みは、電磁放射の帰還部分から推定されることと、複数の熱バイアス成分を、複数の見掛け歪みの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の熱バイアス成分は、複数の光ファイバー歪みセンサー近接した温度から推定されることと、見掛け歪みおよび複数の光ファイバーセンサーの各々の熱バイアス成分に基づいて、複数の光ファイバーセンサーの各々に対して弾性歪みを推定することとを含み得る。前記電磁波源としてレーザーが用いられ得る。
【0024】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法も開示される。概して、複数の光ファイバー歪みセンサーと、その複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備えた歪み感知アセンブリが提供される。複数の温度測定値が、前記複数の温度センサーのそれぞれから1つずつ、得られ得る。そこから複数の光ファイバー歪みセンサー温度が、複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定され得る。前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される。複数の見掛け歪み測定値もまた、複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得ることができる。複数の熱バイアス成分は、複数の光ファイバー歪みセンサーから各々1つずつ、推定され得る。前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサー温度から推定される。複数の弾性歪みは、複数の見掛け歪み測定値および複数の熱バイアス成分から、複数の光ファイバー歪みセンサーのそれぞれについて1つずつ、推定され得る。前記弾性歪みから、カテーテルの先端に作用する力の大きさおよび方向が推定され得る。複数の熱バイアス成分の推定は、暗黙的にまたは明示的に行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アブレーションヘッドに作動可能に接続された歪み感知アセンブリの斜視図。
【図1A】図1の歪み感知アセンブリの断面図。
【図1B】図1の歪み感知アセンブリの断面図。
【図2】アブレーション操作中の未補償歪み感知アセンブリの分解された力のバイアスのグラフ。
【図3】歪み感知アセンブリ本体上の温度センサーの出力のグラフであり、前記温度センサーは共通の軸線位置にあり、歪み感知アセンブリの本体の周のまわりに均等な間隔で分散されている。
【図4】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリを示す図。
【図5】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリの斜視図。
【図6】図5の温度補償歪み感知アセンブリの断面図。
【図7】図5の温度補償歪み感知アセンブリの断面図。
【図8】図6の断面図の拡大部分図。
【図9】図5の温度補償歪み感知アセンブリの、一部分のアセンブリにおける斜視図。
【図10】図9の一部分のアセンブリの拡大図。
【図11】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリの一部分のアセンブリの斜視図。
【図12】図11の部分アセンブリの断面図。
【図13】本発明の実施形態におけるファイバブラッググレーティングを用いた温度補償歪み感知アセンブリの温度変化、波長変動および分解された力を表す多重グラフ。
【図14】本発明の実施形態において較正手法を表す多重グラフ。
【図15】本発明の実施形態において較正手法を表す多重グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、図1Aおよび図1Bを参照すると、中心軸線23を定義し、感知部24およびカラー部26を有する変形体22を備えた歪み感知アセンブリ20が表されている。歪み感知アセンブリ20の感知部24はさらに、スリーブ30によって覆われる外面29を有するステム28備えるものとして特徴付けられる。光ファイバー33によってそれぞれ供給される3本のファイバブラッググレーティング32は、ステム28に作動可能に接続されている。示した実施形態では、カラー部26は、アブレーションヘッド34に作動可能に接続されている。灌注通路36はステム28内およびアブレーションヘッド34内を通過して、複数の発散通路37を介してアブレーションヘッド34の外面で終了する。
【0027】
この実施形態では、歪み感知アセンブリ20は、灌注通路36の半径40の約3と1/2倍であるステム半径38を有するものと特徴付けられる。ファイバブラッググレーティング32は、ステム28の外面29上の3本の溝42内に取り付けられる。それにより、ファイバブラッググレーティング32は、スリーブ30の内部に隣接した中心軸線23からの感知半径44に位置する。
【0028】
図2を参照すると、代表的な、歪み感知アセンブリ20によって生成された未補正ゼロ歪み表示46のグラフが示されている。グラフ46は、秒単位の時間横座標49に対してプロットされた力のグラム当量(equivalent grams)単位の分解された力の縦座標48を示す。アブレーション操作52を包囲する時間枠中における分解軸線方向力50および分解横方向力51がグラフ46上に示されている。アブレーション操作52は、アブレーションヘッド34および変形体22が外部の物体(external body)との接触を有さない状態で
行われ、従って、アブレーション操作52の間に歪み感知アセンブリ20によって経験される実際の力は、ゼロであった。
【0029】
未補正ゼロ力表示46は、分解横方向力51はほぼ一定のままであるが、アブレーション操作52の間の分解軸線方向力50の表示において負のドリフト(すなわち黙示的引張荷重)を示す。分解軸線方向力50におけるドリフトは、アブレーション操作52の間におけるファイバブラッググレーティング32の温度の上昇の影響(例えば熱膨張および屈折率の変化)による。
【0030】
図2の分解横方向力51の実質的な一貫性は、ファイバブラッググレーティング32の3つがすべて均一量だけ増大した(すなわち、示された力はほとんど純粋な引張力である)ことを示す。これは、ファイバブラッググレーティング32の加熱がほぼ均一だったことを示唆する。しかしながら、ファイバブラッググレーティング32の均一な加熱が常に実現されるとは限らない。
【0031】
図3を参照すると、均一な加熱を受けなかった歪み感知アセンブリ/アブレーションヘッドエンドエフェクターについて、時間対温度トレース53が示されている。時間対温度トレース53は、アブレーション期間59を包囲し含む時間枠中において第1温度トレース56、第2温度トレース57および第3温度トレース58のトレースを有する、温度縦座標54対時間横座標55を示している。
【0032】
時間対温度トレース53を生成した特定の歪み感知アセンブリ(図示せず)は、該アセンブリに作動可能に接続された、3つの温度トレース56,57,58を生成した3つの温度センサーを備える。前記温度センサーの各々は、同一の軸線方向位置に中心を有し、互いから回転方向に等距離に離間されている(すなわち、120°離間されている)。
【0033】
この場合、第2温度トレース57は、歪み感知アセンブリの一部が温度トレース56または58よりも、約1.5℃冷たかったことを示しており、時間対温度トレース53は、歪み感知アセンブリが、アブレーション期間59の間に均一に加熱されていなかったことを示している。温度不確実性によって広がった誤差は、特定の歪み感知アセンブリについて、約10グラム/Kのオーダーである。従って、第2温度トレース57の温度差は、分解された力の15グラム当量のオーダーの誤差に変わり得る。
【0034】
歪み感知アセンブリの不均一な加熱は、灌注媒体の流量、アブレーションヘッドのような高温源からの伝導経路の均一性、および一様でない半径方向の熱伝導を生じ得る外的影響を含むいくつかの因子によって引き起こされ得る。従って、歪み感知アセンブリの特定の構成については、光ファイバー歪みセンサーの均一な加熱という仮定に依存することはできないことが分かった。
【0035】
図4を参照すると、本発明の実施形態における歪み感知システム60の実施形態が示されている。歪み感知システム60は、電磁波源62と、カプラー64と、受信器66と、マイクロプロセッサー68およびデジタル記憶装置69と作動可能に接続されたオペレータコンソール67とを備え得る。レーザー源または広帯域光源のような電磁波源62は、電磁放射の透過成分(transmitted component)70を生成し得る。
【0036】
光ファイバーケーブルのような伝送線路72は、カプラー64に透過成分70を伝える。カプラー64は、透過放射70を送信/受信線路74を介して光ファイバー歪みセンサー76に指向する。透過成分70は、エンドエフェクタ77内にある光ファイバー歪みセンサー76に伝送され得る。光ファイバー歪みセンサー76に進入する透過放射70の帰還部分78は、送信/受信線路74を通って受信器66に戻される。
【0037】
歪み感知システム60はまた、エンドエフェクタ77において、光ファイバー歪みセン
サー76に近接して配置された温度センサー80も備え得る。温度センサー80は、信号ケーブル84によってシグナルコンディショナ82と作動可能に接続され得る。シグナルコンディショナ82は、マイクロプロセッサー68と作動可能に接続され得る。
【0038】
送信/受信線路74および信号ケーブル84は、図4に示すようなコネクター88によって連結されてもよい。
1つの光ファイバー歪みセンサー76のみが示されているが、複数の光ファイバー歪みセンサーおよび温度センサー(図示せず)を、例えば並行処理経路または多重化配置などによって用いてもよい。
【0039】
送信/受信線路74は、可撓性の長尺状カテーテルアセンブリ90を通って、光ファイバー歪みセンサー76と作動可能に接続され得る。一実施形態において、カテーテルアセンブリ90は、基端側部分90a、中間部分90bおよび先端側部分90cを備える。先端側部分90cは、光ファイバー歪みセンサー76を含むエンドエフェクタ77を備え得る。カテーテルアセンブリ90は、用途に応じて、中空構造(すなわち、1つ以上の管腔を有する)ものであってもよいし、または非中空構造(すなわち、管腔を有さない)ものであってもよい。
【0040】
歪み感知システム60は、1kHz〜10Hzの範囲にある例示的かつ非限定的な割合で、光ファイバー歪みセンサー76に問い合わせを行う(interrogate)。受信器66は、
入来する帰還部分78を、マイクロプロセッサー68によって処理するために、デジタル信号に処理および/または変換する。受信器66は市販の様々な受信装置から選択され得る。例えば、ファブリ−ペロー光ファイバー歪みセンサーに適当な受信器は、カナダのケベック州ケベックのFISOテクノロジーズ(FISO Technologies)製のFPI−HR信号
処理モジュールである。ファイバブラッググレーティング歪みセンサーに適当な受信器は、米国ジョージア州アトランタのミクロン オプティクス(Micron Optics)製のモデルS
M125光学感知インタローゲータ(Optical Sensing Interrogator)である。
【0041】
一実施形態において、光ファイバー歪みセンサー76はファイバブラッググレーティング(FBG)であり、帰還部分78は前記グレーディングから反射される狭波長帯域の放射である。温度センサー80は、サーミスター、抵抗温度計または熱電対のような、適当な大きさおよび関心のある温度範囲の感度を有する任意のセンサーを備え得る。
【0042】
図5〜図10を参照すると、温度補償歪み感知アセンブリ100は、図4のエンドエフェクタ77として用いられ得る本発明の実施形態で示されている。温度補償歪み感知アセンブリ100は、全径102を有してもよく、操作環境106中に浸漬されるものとして示されている。温度補償歪み感知アセンブリ100は、外面112を有し、かつ中心軸線114を画定する変形体110を備える。示された実施形態において、温度補償歪み感知アセンブリ100は、変形体110に作動可能に接続されたアブレーションヘッド116、並びに外部スリーブ電極118a,118b,118cを備える。外力ベクトルFは、アブレーションヘッド116に印加されるものとして示されている。二重の座標系(すなわちデカルト座標(Cartesian)x−y−z、および円柱座標(cylindrical)r−θ−z)が、変形体110の基部に示されている。
【0043】
変形体110は、カラー部122と、首半径126を有する首部分124と、ラジアルスタンドオフ構造128と、首部分124を包囲する外スリーブ130とを備え得る。外スリーブ130は、ラジアルスタンドオフ構造128とカラー部122との間を橋架けし、首部分124と協働して環状間隙132を形成し得る。環状間隙132は断熱材134を備えてもよい。
【0044】
灌注通路140は、変形体110およびアブレーションヘッド116内を通過するものとして定義され、アブレーションヘッド116に形成された灌注出口142において終了し得る。灌注チューブ144は、灌注通路140に灌注流体145を供給するために、灌注通路140と作動可能に接続され得る。変形体110とアブレーションヘッド116のベース面148との間には、軸線方向間隙146が形成され得る。
【0045】
図1Aの歪み感知アセンブリ20に比べて、首半径126はより小さく、灌注通路140は、変形体110の局所的な壁厚150を決定する、より小さな直径のものであることに留意されたい。この実施形態において、代表的な壁厚150は、約200〜から300〜マイクロメートルであるが、この壁厚はすべての実施形態を代表または限定しなくてもよい。
【0046】
複数の光ファイバー歪みセンサー152は、変形体110と作動可能に接続され得る。1つ以上の温度センサー154もまた、変形体110に作動可能に接続され得る。一実施形態(図示)において、温度センサー154の数は、光ファイバー歪みセンサー152の数に等しく、対応する光ファイバー歪みセンサー152に対して1つの温度センサー154が対応し、温度センサー154の感知部分は、対応する光ファイバー歪みセンサー152にごく近接して取り付けられている。チャンネル156は、変形体110の外面112およびそれに接続されたセンサー152,152の上に形成され得る。光ファイバー歪みセンサー152および温度センサー154の感知部分は、変形体110の基端162に対して、ほぼ同一の軸線方向位置160に中心を有する。
【0047】
図11および図12を参照すると、半径方向において補強された温度補償歪み感知アセンブリ180が本発明の実施形態で示されている。示した実施形態において、らせんコイル182は外スリーブ130の内側に配置されている。これに代わって、らせんコイル182は外スリーブ130内に埋め込まれていてもよい。環状間隙183は、外スリーブ130またはらせんコイル182と、変形体110との間に形成され得る。前記環状間隙183内には、固体材料を含む絶縁材料184が配置され得る。
【0048】
外スリーブ130は、ポリエーテルブロックアミド(フランス国コロンブのアルケマ フランス コーポレーションArkema France Corp.の登録商標であるPEBAXという商
品名で販売されている)のような熱可塑性エラストマーからなってもよい。絶縁材料184は、環状間隙183内において変形体110のまわりに巻かれたポリイミドマイラーシート材料を含み得る。
【0049】
機能的に、らせんコイル182は、エンドエフェクタの先端側部分に印加される軸線方向力及び側方力に対してコンプライアントでありながら、半径方向の剛性を提供することができる。エンドエフェクタが、身体または器官に挿入される際に、さらなる外圧を経験するとき、らせんコイル182の半径方向の剛性は、環状間隙183の寸法を維持することができる。環状間隙183の寸法の維持により、環状間隙183およびその内部に配置され得る任意の絶縁材料は、その断熱特性を実質的に維持する。一方では、軸線方向力および屈曲力に対するらせんコイル182のコンプライアンスによって、有意な干渉なしで、変形体118を曲げたり、圧縮したりすることが可能になる。
【0050】
示した実施形態はまた、電力リード188およびアブレーションヘッド温度センサー190の通過に対応するために変形体110(図10)に形成されたV字溝186を備える。電力リード188およびアブレーションヘッド温度センサー190は、それぞれカラー部122内の通路194,196を通って、アブレーションヘッド116に作動可能に接続され得る。通路194,196は、例えば、軸線方向間隙146内に存在する灌注流体145が環状間隙132に進入するのを防止するために、適当なポッティングで充填され
てもよい。
【0051】
一般に、変形体110は、レオ(Leo)ら付与された米国特許出願公開第2006/02
00049号および同第2007/0060847号に開示されているような、液晶ポリマー(LCP)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなポリマー材料を含み得る。前記特許文献は双方とも、本願の譲受人に譲渡されており、それらの開示は、そこに含まれ得る特別な定義を除いて、参照することにより本願に援用される。チャネル156は、センサー152,154の感知部分の正確な配置を支援する。光ファイバー歪みセンサー152は、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサーまたはファブリーペローセンサーを備え得る。
【0052】
光ファイバー歪みセンサー152および/または温度センサー154の作動可能な接続は、一実施形態では、接着剤162を用いて行われ得る。接着剤162は、チャネル156内に配置されてもよいし、または光ファイバー歪みセンサー152上に配置されて、その光ファイバー歪みセンサー152がチャネル156内に配置されてもよい。過剰な接着剤は配置後に除去され得る。いくらかの接着剤がチャネル156内における光ファイバー歪みセンサー152の配置を可能にし得、それに続いて、光ファイバー歪みセンサー152をチャネル156に固定するために、光ファイバー歪みセンサー152上に接着剤をコーティングまたは塗布する。
【0053】
別の接着法は、光ファイバー歪みセンサー152の材料に影響を与えることなく、変形体110の材料を溶解または流動させるように設計された溶媒の使用を伴い得る。前記溶媒は、光ファイバー歪みセンサー152が取り付けられることになっているチャネル156の少なくとも一部を含む変形体110の領域または区域に塗布され、そこに光ファイバー歪みセンサー152が配置される。これに代わって、光ファイバー歪みセンサー152は、変形体110のチャネル156内の適所に一時的に保持され、前記溶媒は双方の上にコーティングとして施され得る。チャネル156内およびその周囲における材料の流展は、変形体110と光ファイバー歪みセンサー152との間の接着を引き起こし得る。前記溶媒は、溶解過程を止めるために、洗浄または気化のようなプロセスによって除去され得る。
【0054】
上記の取り付け法および接着法はチャネル156を備えた実施形態に関するものであるが、チャネル156を有さない場合に同一の処置が用いられてもよいことが認識される。
寸法的に、様々なパラメーターについての代表的な限定されない範囲は、約2.3〜mmの全径102と、約0.4〜から0.8〜mmの直径の灌注通路140と、200〜から300〜マイクロメートルのオーダーの代表壁厚150とを有する。
【0055】
機能的に、図1に示したような構成に比べて、首部分124の縮小された首半径126および/または灌注通路140の低減された直径は、いくつかの利点を提供する。灌注流体145の所与の流量について、灌注通路140の直径が小さい程、流体流のレイノルズ数を増大させ、これは灌注流体145と灌注通路140の境界との間の対流熱伝達係数(convection heat transfer coefficient)を増大させることができ、それにより灌注流体145と光ファイバー歪みセンサー152との間の全体的な熱伝達(overall heat transfer)を高める。縮小された半径126はまた、材料の断面の縮小をもたらすことにより、首
部分124を軸線方向Zに通る熱伝導、およびアブレーションヘッド116と光ファイバー歪みセンサー152との間の熱的結合を低減する。首部分124の壁厚150はまた、力ベクトルFに応じて、温度補償歪み感知アセンブリ100の所望の感度(変位)に調整され得る。首部分124の縮小された首半径126はまた、既存の設計に比べて、増大した環状間隙の厚み132を提供し、それにより操作環境106と光ファイバー歪みセンサー152との間の熱的分離を強化する。
【0056】
チャネル156は、存在する場合には、灌注流体145と光ファイバー歪みセンサー154との間の熱伝導経路をさらに低減し得る。
灌注流体145によって満たされる軸線方向間隙146は、アブレーションヘッド116のベース面148を能動的に冷却し、ベース面148と変形体110との間の軸線方向の熱伝導を軽減し得る。
【0057】
これらの様々な熱管理態様により、本発明の様々な実施形態は、アブレーションヘッド116および環境の影響はあまり重要でなく、光ファイバー歪みセンサー152を灌注流体145の温度によって支配されるようにし得る。灌注流体145に光ファイバー歪みセンサー152の熱状態を支配させることの利点は、灌注流体145の温度、並びに灌注流体145と灌注通路140との間の対流結合(convective coupling)は、操作中のアブレ
ーションヘッド116の温度、並びに操作環境106と外スリーブ130との間の温度および対流結合よりも安定している傾向にあることである。
【0058】
操作において、温度センサー154は、光ファイバー歪みセンサー152の熱膨張/熱収縮を、較正またはヌリング(nulling)状態に対して補償するために用いられ得る。灌注
流体145が首部分124の温度を支配する構成について、首部分124の温度プロフィルは、所与の軸線方向位置(例えば160)における変形体110の温度において実質的な変化を脱線的に有することなく、ほぼ一定であるか、または少なくとも軸座標Zに関して実質的に直線であり得る。そのような状態において、特に光ファイバー歪みセンサー152および温度センサー154が、感知部分が同一の軸線方向位置160に中心を有するように配置される場合には、単一の温度センサー154は、温度補償を行うのに十分であり得る。
【0059】
図3に関して上記で検討したように、様々な構成は、操作の間に、所与の軸線方向位置Z(例えば軸線方向位置160)において接線座標θに関して不均一な温度を生じ得る。そのような条件は、例えば、構造的要件および/または外形寸法要件が温度補償歪み感知アセンブリ100の全径102と比べて実質的に縮小された首半径126を許容しない場合に存在し得る。不均一な熱プロファイルはまた、部分的には、アブレーションヘッド116と変形体110との間の非一様の、または不均一な接触熱抵抗によって存在し得る。そのような状況では、複数の温度センサー154が望ましいことがある。温度センサー154は、光ファイバー歪みセンサー152と同じ個数に達してもよく、温度センサー154の各々は、光ファイバー歪みセンサー152の対応する1つに対して、他の光ファイバー歪みセンサー152のうちのいずれよりもより近い位置に位置し得る。このように、光ファイバー歪みセンサー152の各々の温度は、対応する温度センサー154によって生成される測定量により、より厳密に近似され得る。
【0060】
一実施形態において、光ファイバー歪みセンサー152は、その上にエッチングされたグレーディングを有する長さLのファイバブラッググレーティング(FBG)部分を有する。FBG部分が、基準(ヌル)測定が行なわれる基準時間rにおいて基準温度Trにあるとき、FBG部分は基準波長λrを反射し得る。操作中、FBG部分は基準時間rに対する時間tにおいて波長λtを反射し得る。波長λtは、時間rにおける長さLに対するFBG部分の長さの変化ΔLにより、基準波長λrと異なり得る。長さの変化ΔLは、FBG部分における歪み、FBG部分の熱膨張を誘発する温度変化またはそれらの組み合わせによってもたらされ得る。従って、見掛け歪みΔL/Lは、
ΔL/L=C・(λt−λr)=ε+α・ΔT 方程式(1)
として表され、
前記式中、ΔT=Tt−Tr 方程式(2)
であり、CはFBG反射波長と歪みと間の線形性の係数であり、εはFBG部分に課され
た弾性歪みであり、αはFBG部分に対する熱膨張の等価係数であり、ΔTは時間tにおけるFBG部分の温度Ttと基準温度Trとの間の差である。見掛け歪みΔL/Lは、光ファイバーセンサーの温度および熱挙動についての知識がなければ、比率ΔL/Lは弾性歪みの結果であるように見えるので、そう呼ばれる。
【0061】
一般に、弾性歪みεは主としてFBG部分に課された軸線方向力によるので、弾性歪みεを数学的に分離することは望ましい。弾性歪みの分離は以下を与える。
ε=ΔL/L−α・ΔT=C・(λt−λr)−α・ΔT 方程式(3)
複数のFBG部分については、方程式(3)は、
εi=(ΔL/L)i−αi・ΔTi=C・(λt−λr)−αi・ΔTi 方程式(4)
によって表され得る。前記式中、添字iは、複数のFBG部分のうちの1つを示す。
【0062】
光ファイバーセンサーに対する温度変化の効果がなければ、見掛け歪みΔL/Liは弾性歪みεiに等しい。従って、積αi・ΔTiは、それぞれの見掛け歪みΔL/Liの熱バイアス成分と見なされ得る。
【0063】
熱膨張の等価係数αは、多くの因子によって影響されるパラメーターである。一部の実施形態において、αは、主として変形体110の熱膨張率(CTE)によって影響を受ける。光ファイバー歪みセンサー152のCTEもまた、接着剤162のCTEと同様に、要因であり得る。これらの構成要素のCTEの範囲は実質的に変化し得る。例えば、光ファイバー歪みセンサーのCTEは、1ケルビン当たり約0.3マイクロメートル(μ/K)のオーダーであるが、LCPから構成された変形体のCTEは、1〜から4〜μ/KのCTEを有し得る。用いられるとき、接着剤162は、60μ/KのオーダーのCTEを有し得る。
【0064】
更に、光ファイバー歪みセンサー152の屈折率は、温度の変化に敏感であり得る。一部の光ファイバーの屈折率の感度は、ケルビン当たり約10ピコメートル(pm/K)である。温度補償歪み感知アセンブリ100,180の構成(例えば幾何学的形状、様々な材料のCTE、温度に対する屈折率の感度)に応じて、屈折率変化の影響は支配的になり得る。例えば、屈折率変化によって生じた変化は、CTE変化の影響よりも一桁大きいことが知られている。
【0065】
熱膨張αの真の等価係数は、一般に、アセンブリの欠陥および/または非再現性によって影響される。例えば、光ファイバーセンサーのαは、接着に影響を与える使用された接着剤162の量のわずかな差によって実質的に影響され得る。従って、所与の歪み感知アセンブリ中の各光ファイバー歪みセンサー152は、一般に、固有の熱膨張の等価係数αによって特徴づけられる。
【0066】
これらの熱的影響はすべて熱膨張の等価係数αに入ってくる。さらに、パラメーターの複雑さはαを非線形にさせ得る。従って、多くの場合において、熱膨張の等価係数αを較正などによって実験的に、アセンブリ内の各光ファイバー歪みセンサーについて決定することが望ましい。
【0067】
方程式(4)は行列形式に示され得る。例えば、3つのFBGセンサー(i=1、2、3)を実装する温度補償歪み感知アセンブリ100について検討する。対応する行列表現は下記の通りであり、
【0068】
【数1】
または
【0069】
【数2】
前記式中、ε(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの弾性歪みであり、
ΔL/L(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの見掛け歪みであり、
ΔT(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの温度の変化であり、
αi=FBG部分iの熱膨張の等価係数であり、
λ(i,r)=時間rにおいてFBG部分iによって反射される波長(基準波長)であり、
λ(i,t)=時間tにおいてFBG部分iによって反射される波長であり、
T(i,r)=時間rにおけるFBG部分iの温度(基準温度)であり、
T(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの温度である。
【0070】
方程式(5)または(6)が実行されるとき、積αi・ΔT(i,t)またはαi・(T(i,t)−T(i,r))は、FBG部分iに対する推定バイアス成分である。推定バイアス成分αi・ΔT(i,t)またはαi・(T(i,t)−T(i,r))は、方程式(5)および(6)に示すように非明示的に決定されてもよいし、または、それらの推定バイアス成分は見掛け歪みΔL/L(i,t)からの減算について明示的に決定されてもよい。
【0071】
上記で検討したように、一部の温度補償歪み感知アセンブリは、光ファイバーセンサー間において、些少の、さもなければ許容できる半径方向の温度勾配を有するように構成され得、そのため温度補正には単一の温度センサーが適当である。単一の温度測定値補正に対する対応する行列は以下の通りである。
【0072】
【数3】
前記式中、T(r)およびT(t)は、それぞれ、単一の温度センサーによって判定される、時間tおよびrにおけるFBG部分の温度である。
【0073】
弾性歪みε(i,t)は、変形体の物理的寸法および材料特性の双方の関数として、光ファイバー歪みセンサーが受ける力に関連する。温度補正を行うために用いられる温度センサーの数にかかわらず、歪み/力の関係は、以下によって示され得る。
【0074】
【数4】
前記式中、xiおよびyi=カテーテル断面の重心に関するFBG部分iの座標であり、
ET=変形体110の等価張力(equivalent tension)/圧縮ヤング係数であり、
EF=変形体110の等価曲げヤング係数(equivalent flexural Young modulus)であ
り、
Ix=X軸に関する慣性モーメントであり、
Iy=Y軸に関する慣性モーメントであり、
N(z,t)=時間tにおけるZ軸の方向の垂直力であり、
M(x,t)=時間tにおけるX軸に関する曲げモーメントであり、
M(y,t)=時間tにおけるY軸に関する曲げモーメントである。
【0075】
方程式(9)は、弾性歪みε(i,t)の関数として、垂直力N(z,t)および曲げモーメントM(x,t)およびM(y,t)を解くために再整理され得る。
【0076】
【数5】
変形体110はほぼ非圧縮性であると仮定して、時間tにおける外力ベクトルFの成分F(x,t)、F(y,t)およびF(z,t)は、変形体110の中心軸線112に関するFBG部分の位置に基づいて解かれ得る。
【0077】
【数6】
前記式中、rNは首半径126である。
【0078】
方程式(9)から(11)の解は、時間tにおいて変形体の外表面に印加される垂直力F(norm,t)および横方向力F(trans,t)、すなわち、F(norm,t)=F(z,t)およびF(trans,t)=(F(x,t)2+F(y,t)2)1/2を提供することができる。横方向力の印加角度γtは表Iから計算され得る。
【0079】
【表1】
方程式(9)〜(11)は、変形体の弾性係数のような変形体または光ファイバー歪みセンサーの材料特性に関連する。光ファイバー歪みセンサー間の座標距離、干渉間隙と変形体の外表面との間の作用長のような他の値は、製造公差の結果としてのばらつきに支配される。
【0080】
算出された力ベクトルの分解された方向および大きさの精度を改善するために、各変形体に特異的な情報がデジタル記憶装置69に格納されてもよい。一般に、情報の形は、温度補償歪み感知アセンブリ100の使用前に、コンソール67に入力されるデータファイ
ルの形態をとる。例えば、デジタル記憶装置69は、そのような情報が格納される、送信/受信線路74に関連付けられたメモリーチップ、またはバーコード、または歪みセンサーアセンブリ20の本体上または包装材上に位置するRFIDタグを備えてもよい。これに代わって、個々の変形体に特有のデータは、取り外し可能な記憶装置(例えばCD、ROMまたは不揮発性RAM)の品目から、または製造業者のウェブサイトからの安全なダウンロードによって、コンソール67にアップロードされてもよい。
【0081】
各変形体に特異的な情報は、変形体を製造する間に行われる較正工程の間に、変形体に一連の既知の力ベクトルを受けさせることによって得られ得る。この場合、前述の方程式は壊されてもよく、よって垂直力および横方向力は、下記の歪み−力転換行列(strain-to-force conversion matrix)から直接算出されてもよい。
【0082】
F(t)=K(ε(t)−ε0) 方程式(12)
前記式中、F(t)は力のベクトル[F(x,t)、F(y,t)、F(z,t)](例えば図5の力ベクトルFに対応する)であり、ε(t)は個々の光ファイバー歪みセンサー152によって測定された歪みのベクトル[ε1,t,ε2,t,ε3,t]であり、ε0は個々の光ファイバー歪みセンサー152によってゼロ作用力で測定された歪みのベクトル[ε01,ε02,ε03]であり、Kは変形体が一連の既知の力を受けたときに算出される行列である。
【0083】
製造の較正工程の間、一定温度状態において、変形体は以下の力、すなわち(1)既知の大きさの純粋な軸線方向力F(z,t)と、(2)既知の大きさの横力F(x,t)と、(3)力F(x,t)の向きに対して90度に加えられる既知の大きさFの横力(y,t)を順次に受け得る。すべての力[F(x、t)、F(y、t)、F(z、t)]および波長が既知である場合、力−歪み転換行列Kは以下のように算出され得る。
【0084】
K=F(ε(t)−ε0)−1 方程式(13)
または、
【0085】
【数7】
次いで、力−歪み転換行列Kは、本願で開示したように、対応する変形体に関連付けられたデジタル記憶装置69に格納され得る。次いで、力−歪み転換行列の値は、変形体がコンソール67に接続されている場合には、バーコードリーダー、入力パッドまたは直接的な電気接続を用いて、送信/受信線路74を介して、コンソール67へ入力され得る。行列Kが所与の変形体に対して与えられると、垂直力、横方向力および横方向力の印加角度が、上述したように、表Iを用いて算出され得る。
【0086】
上述のように算出された垂直力、横方向力および横方向力の印加角度に対する値は、コンソール67の一部を形成する表示モニターに数値として出力され得る。さらに、様々な大きさまたは色の矢印を含む図形が、変形体の遠位端に印加された横方向力の大きさおよび方向を視覚化するために、円の周上のある位置を指して表示され得る。この表示装置の監視によって、操作者は、変形体の遠位端に印加される接触力に関するフィードバックを継続的に得ることができる。
【0087】
本発明は、特に外科的処置中に大きな局所的な温度勾配が生じる場合には、本願に開示されない他の実施形態で実施されてもよい。例えば、開示する実施形態の様々な態様は、前立腺癌または他の泌尿器疾患の治療のための冷凍アブレーションの情況において用いられてもよい。開示する実施形態の他の態様は、本発明の精神から逸脱することのなく、オースロスコピックorthroscopic外科手術、または喉、鼻または肛門のような開放した開口部を介した進入のような、内視鏡での応用に用途を見出してもよい。
【0088】
図13を参照すると、アブレーション解析200は、本発明の実施形態において、半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180について示されている。アブレーション解析200に用いられた光ファイバー歪みセンサー152は、FBG光センサーであった。用いた温度センサー154は銅コンスタンタン(T型)の熱電対であった。半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180内の光ファイバー歪みセンサー152は、接線座標θにおいて均等に離間(すなわち120°離間)されていた。温度センサー154および光ファイバー歪みセンサー152は、図9に示すように、変形体110上においてほぼ同一の軸線方向位置に中心を有する。温度センサー154の各々は、他の光ファイバー歪みセンサー154(例えば図12)によりも、光ファイバー歪みセンサー152の対応する1つにより近接して位置し、したがって、対応する最も近接した光ファイバー歪みセンサー154の温度を示した。
【0089】
アブレーション解析200は温度変化グラフ202、波長変動グラフ204および分解力成分グラフ206を含み、それらすべてのグラフは、アブレーション操作の間に拍動する心臓内に存在する半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180によって同時に得られた。3つのグラフ202,204,206は、約80秒にわたる共通時間横座標210を共有する。温度変化グラフ202は、温度変化縦座標212に、3つの温度センサー154の表示温度214,216,218の変化の表示を、摂氏度で示している。波長変動グラフ204は、波長変動縦座標222に、3つのFBG光センサーの各々からの反射信号224,226,228における中心波長変化の表示を、ナノメートルで示している。分解力成分グラフ206は、分解された軸線方向力成分234および分解された横方向力成分236における変化の表示のための力変化縦座標232を示している。補正反射信号224,226,228、分解力234,236は、方程式(1)〜(6)および方程式(9)〜(14)に記載された方法に従って補償された。
【0090】
アブレーション解析200を生成するために続けられる手順は、その周囲とほぼ熱平衡にあり、かつ分速2立方センチメートル(ccm)の灌注流(例えば図7の灌注流145)を有する半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180によって、様々な縦座標212,222,232についてヌル測定値を得ることであった。灌注流量は、灌注増大開始時間240において、17立方センチメートルに増大され、冷却増進期間242にわたって維持され、その後、灌注流は2立方センチメートルに戻された。冷却増進期間の効果は、温度低下の期間244を生じたことであった。
【0091】
アブレーションヘッド116は、アブレーション開始時間248から開始して、アブレーション操作期間246にわたって連続的にエネルギーを与えられた。温度変化グラフ202は、冷却増進期間242の間に、灌注流体の増大した流量の顕著な冷却効果によってもたらされる温度降下252を示す。アブレーション開始時間248直後、表示温度214,216,218は、アブレーション期間246の継続時間にわたってほぼ安定したままである。冷却増進期間242およびアブレーション期間248の終了時には、表示温度214,216,218は、ヌル測定値とほぼ同一のレベルに戻った。
【0092】
波長変動グラフ204は、温度低下の期間244の間の反射信号224,226,228の時間平均波長変動222の偏移254を示す。偏移254の大きさは約0.08nm
であり、これは試験中の特定の歪み感知アセンブリに対して約80gmの弾性力に変わる。
【0093】
一方、温度変化について補償された分解力234,236は、本質的に安定した時間平均レベルを維持する。すなわち、これらの信号は、印加のパルシングの性質により、それぞれの平均値のまわりで振動しているが、平均値自体は、表示温度214,216,218および反射信号224,226,228の変化にかかわらず、本質的に安定したままである。従って、上記に開示した装置および方法は、光ファイバー歪みセンサー152の熱誘発性変化を効果的に補償する。
【0094】
アブレーション操作期間246の終了後であるが、冷却増進期間242の終了前において、3つの表示温度214,216,218について、温度低下部258が観察される。温度低下部258は、アブレーション操作期間246の間に確立された温度レベルから、実質的な定常状態レベルに、約0.5℃降下している。
【0095】
温度低下部258は、半径方向に強化された温度補償力センサー180を介した半径方向および軸線方向の双方における熱伝達の低下の結果であると考えられる。従って、表示温度214,216,218のうちの1つについて、アブレーション操作期間246中の温度と、温度低下部258の定常状態の端との間の差は、アブレーション操作の効果を示している。温度降下252に比べて温度低下部258の小さな低下は、半径方向に強化された温度補償力センサー180が灌注流体145によって能動的に冷却されている場合には、温度センサー154および光ファイバー歪みセンサー152は灌注流体145の流れによって支配されており、アブレーションの効果は二次的なものであることを意味する。
【0096】
図14および図15を参照すると、本発明の温度補償歪み感知アセンブリを較正する方法またはその較正を確認する方法が、本発明の実施形態において記載されている。図14は、温度変化グラフ206および波長変動グラフ208の較正データプロット270を示し、表示温度214,216,218は、約6秒の時間周期274でゆっくり振動している。反射信号224,226,228もまた、表示温度214,216,218を緊密に追跡して振動している。温度振動の振幅は1°C未満である。
【0097】
図15は、3つの相関プロット280,282,284を示している。相関プロット280(縦軸はフィルタ1の波長),282(縦軸はフィルタ2の波長),284(縦軸はフィルタ3の波長)の各々は、ナノメートルの反射中心波長縦座標288と、摂氏度の温度横座標290とを備える。相関プロット280,282,284の各々は、反射信号224,226,228のうちの1つと、表示温度214,216,218のうちの対応する1つとからの相関データ281,283,285を含む。すなわち、相関プロット280は、表示温度214に対してプロットされた反射信号224の波長の相関データ281を示し、相関プロット282は、表示温度216に対してプロットされた反射信号226の波長の相関データ283を示し、相関プロット284は、表示温度218に対してプロットされた反射信号228の波長の相関データ285を示す。
【0098】
相関プロット280,282,284の各々はまた、各温度/波長データのラインフィット294,296,298を示している。前記ラインフィットは最小二乗適合法を用いて得られ得る。ラインフィット294,296,298の傾きは、中央反射波長における変化の較正を提供し、前記較正は、次いで、方程式(6)の熱膨張の等価係数α1,α2,α3を提供するために用いられ得る。
【0099】
振動する温度は、様々な方法でもたらされ得る。図14および図15の較正解析については、振動は、半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180を約36℃の温
度の温浴中に、先端が外力に接触したり、さもなければ外力を受けたりすることなく、浸漬することによりもたらされた。次いで、約31℃の灌注流体が、蠕動ポンプによって、低流量(約2立方センチメートル)で、歪み感知アセンブリ180を通って揚送された。前記蠕動ポンプは振動流を生成し、その振動流は、十分に遅い(十分に長い期間)場合には、歪み感知アセンブリ180の光ファイバー歪みセンサー152の振動冷却を引き起こし得る。前記流れが歪み感知アセンブリ180を通って増大および減少するに従って、較正のためのデータが集められ、相関が引き出され得る。
【0100】
この実施形態の手法は、独立型の較正として実行されてもよいし、またはインサイチュー較正または較正チェックとして実行されてもよい。単独型のシナリオでは、浴および灌注流体の高温と低温との間の差は、カーブフィットがアブレーションのような高エネルギー放散の用途において経験されるものを代表する温度範囲を上回るように、それぞれ大きな温度範囲を表わし得る。そのようなシナリオにおけるラインフィットは、データを高位多項式に適合させることなどによって、較正における非線形性を考慮するために用いられ得る。インサイチューシナリオにおいては、より狭い温度範囲に対するラインフィットが用いられてもよい。前記データは、較正を生じるか、または以前の較正の妥当性を確認するために用いられてもよい。
【0101】
上および下、前および後、左および右などのような相対語は、説明の便宜上のためのものであり、本発明またはその構成要素を任意の特定の向きに限定するように企図されない。図に示した寸法はすべて、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の可能な設計および特定の実施形態の用途に応じて変化し得る。
【0102】
本願に開示された付加的な図および方法の各々は、改善された装置およびシステム、並びにそれらの装置およびシスステムを製造する方法および使用する方法を提供するために、別々に用いられてもよいし、または他の特徴および方法と共に用いられてもよい、従って、本願に開示された特徴および方法の組み合わせは、その最も広い意味において本発明を実施するために必須ではないことがあり、むしろ、単に特に本発明の代表的な実施形態を記載するために開示されている。
【0103】
本発明の特許請求の範囲を解釈する目的のために、特定の用語「〜のための手段」または「〜のための工程」が対象請求項に挙げられていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定が行使されるべきではないことが明らかに意図される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、カテーテルの先端に加えられる力を判定する能力を備えた外科カテーテルに関する。より具体的には、本出願は、光ファイバー歪みセンサーを用いた温度補償歪み感知カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドエフェクタの遠位端上における接触力を判定するために光に基づいた光ファイバー歪みセンサーを用いたカテーテルシステムは、近年、カテーテルに基づいた診断および治療システムによる様々な器官または脈管の診査および治療のために支持されてきている。そのような光に基づいたシステムは、電磁放射環境に影響を与えず、かつ電磁放射環境によって影響されないように、構成され得る。
【0003】
1つのそのような光に基づいたカテーテルシステムは、ボッセルマン(Bosselman)に付
与された特許文献1に記載されている。前記特許文献は、関節継ぎ手によって連結された一連の剛直な連結子を備えた手術を行うためのロボットシステムを記載している。関節継ぎ手には複数のブラッググレーティングが配置されており、そのため、各継ぎ手の屈曲角度は、例えば、干渉計を用いて、ブラッググレーティングによって反射された光の波長の変化を測定することにより、光学的に判定され得る。
【0004】
非特許文献1は、ロボット外科手術システムにおける使用発生力フィードバックシステムのための三軸力センサーを記載している。該装置は、光を装置の先端チップに隣接して配置された鏡面上に指向させる複数の光ファイバーを備える。前記鏡面から反射された光の強度が測定され、その強度は先端チップに所定量の撓みを課するのに必要とされる力に関連付けられ得る。前記論文は、構造を変形させる接触力に応答して光の強度の変化を生じるために用いられ得る、可撓性で小型の構造を記載している。
【0005】
レオ(Leo)らに付与された特許文献2は、カテーテルの先端に印加された力ベクトル(
大きさおよび方向)を分解するための装置および方法を開示している。レオは、カテーテルの外形を増大することなく、かつ電磁干渉にほぼ影響されない、カテーテルにおける光ファイバー歪み要素の使用を開示している。
【0006】
一般に、光ファイバー歪みセンサーは温度の変化に敏感である。例えば、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサーは、その上部に形成またはエッチングされた均等に離間された回折格子(グレーティング)を備えた光ファイバーを備える。光ファイバーを通って伝播する光は、前記回折格子によって、狭い波長バンドパスにわたって反射される。反射光のバンドパスは、回折理論に従って、回折格子の間隔に関連する。前記間隔は、FBGによって経験された弾性歪みの影響だけでなく、基準状態に対するFBGの熱収縮および熱膨張の影響も受ける。温度変化はまた、FBGの屈折率も変化させ、回折格子によって反射される波長バンドパスにさらに影響を与える。
【0007】
一般に温度に敏感な光ファイバー歪みセンサーの別の例は、ファブリーペロー歪みセンサーである。ファブリーペロー歪みセンサーは、伝送ファイバーの端部と反射体との間に間隙を有する。伝送ファイバーは、多くの場合、部分反射するように設置される。前記間隙に進入する光は、反射体と部分反射伝送ファイバーとの間で相互反射される。ファブリーペロー歪みセンサーによって返される信号は、相互反射によって引き起こされる干渉理論(interference theory)に従って変調される。その変調は前記間隙の寸法に関連する。
前記間隙は、その間隙を形成する構造の弾性歪みの影響だけではなく、基準状態に対する
構造の熱収縮および熱膨張の影響も受ける。
【0008】
光ファイバー歪みセンサーは特定の種類のカテーテル処置に効果を提供することができるが、そのような歪みセンサーの使用は、カテーテルの先端に近接した温度変化を伴う状況では、悪影響を受ける可能性がある。光ファイバー歪みセンサーを用いた歪み感知カテーテルの熱状態の変化を十分に補償する装置および方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,470,205号
【特許文献2】国際特許公開第WO2007/015139号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ジェイ.ピアーズ(J. Peirs)ら、表題「Design of an Optical Force Sensor for Force Feedback during Minimally Invasive Robotic Surgery」、ルーヴァン・カソリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)発行、ベルギー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の様々な実施形態は、ポリマーに基づいた本体を用い、かつ光ファイバー歪みセンサーにおける温度変化を十分に軽減し、補償する熱管理法および/または温度測定法を実施する歪み感知アセンブリを備える。
【0012】
本発明の様々な態様による熱管理法は、エンドエフェクタ(例えばアブレーションヘッド)の高温部品と、光ファイバー歪みセンサーとの間における軸線方向の伝導を低減することを含み得る。本発明の他の態様による熱管理法は、光ファイバー歪みセンサーの灌注流ストリーム(irrigation flow stream)のような制御可能な温度シンクへのより緊密な結合を含み得る。さらに、本発明の一部の実施形態による別の熱管理法は、歪み感知アセンブリの壁を介した半径方向の加熱または冷却からの光ファイバー歪みセンサーの分離を伴い得る。
【0013】
様々な実施形態の温度測定法は、光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度の測定を含み得る。そのようなアプローチは、光ファイバー歪みセンサーの熱管理が、歪み感知アセンブリの本体上の所与の軸線方向位置において概して均一な温度を生じるような用途または構成に適当であり得る。他の実施形態では、多数の温度センサーの使用により、歪み感知アセンブリの熱プロファイルを適当に特徴付けて、各光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度を提供する。
【0014】
光ファイバー歪みセンサーの温度変化を補償するために以前の試みがなされてきた。例えば、レオ(Leo)らに付与され、本出願の譲受人に譲渡されたた米国特許出願公開公報第
2007/0060847号は、複数の光ファイバー歪みセンサーの代表的な温度を測定し、基準または較正状態に対して温度変化の効果を補償する補正を適用するための方法を記載している。レオはまた、光ファイバー歪みセンサーと灌注流ストリームとの間の熱抵抗の低減のために、光ファイバー歪みセンサーが取り付けられる金属流動導管の使用を開示している。
【0015】
しかしながら、金属流動導管には感度問題が存在することが判明した。屈曲力および圧縮力に対して必要な感度を提供するように設計された金属導管の壁厚は、信頼できる操作には脆弱すぎることが判明した。壁厚を機械的に信頼できる寸法に増大すると、剛性が大きくなり過ぎて、感度の喪失によりアセンブリを動作不能にしてしまうことが判明した。
【0016】
感度/信頼性の難題を解決する1つの可能な方法は、屈曲力および圧縮力に対する必要感度がより厚い壁によって実現されるように、金属よりも低い強度を有する材料を用いることである。ポリマーに基づいた本体に戻ると、既存の設計は、屈曲力および軸線方向の圧縮力に対する必要感度を提供する一方で、外周または外周近傍に取り付けられた光ファイバーセンサーを備えた、ほとんど全直径に位置する外壁を特徴とした。
【0017】
しかしながら、より厚い壁を有するポリマーに基づいた本体に温度補正を適用する際に、代表的な温度補償法は特定の状況において不十分であったことが発見された。ポリマーは金属よりも実質的に低い熱伝導率を有する。そのような低い熱伝導率は、より厚い壁の温度と結合されると、光ファイバー歪みセンサーと灌注流との間の熱的結合を低減する。したがって、アブレーションの用途のような、エンドエフェクタが実質的な熱エネルギーを生成し放散する場合には、歪み感知アセンブリの温度変化は、所与の軸線位置においてさえ、必ずしも均一だとは限らない。そのような場合において、1つの光ファイバー歪みセンサーの温度上昇は、別の光ファイバー歪みセンサーの温度上昇と実質的に異なることがある。従って、代表的な温度は、システム内のすべての光ファイバー歪みセンサーの温度を正確に表わさないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の様々な態様の1つ以上を用いることによって、従来技術の不都合は克服され得る。
構造的に、本発明の一実施形態は、医学的処置中に患者内に導入されるのに適合され、かつエンドエフェクタを有する可撓性長尺状本体を備え、前記エンドエフェクタは歪み感知アセンブリを備え、前記歪み感知アセンブリは、変形体と、前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える。一実施形態において、前記変形体は液晶ポリマー材料から製造されている。前記複数の温度センサーは、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと同数またはそれよりも多い個数だけあり得る。一実施形態において、前記複数の温度センサーの各々は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのうちの対応する1つに対して、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの他のものよりも、実質的により接近して配置される。
【0019】
前記変形体の一部をスリーブが包囲してもよく、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび複数の温度センサーは、そのスリーブ部分によって包囲された変形体の部分に作動可能に接続されており、前記スリーブおよび変形体は、該スリーブと変形体との間に環状間隙を形成する。前記環状間隙内には、固体絶縁材料(solid insulation material)を含
む断熱材(thermal insulator)が配置され得る。前記スリーブは、前記変形体の屈曲また
は軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗するらせんコイルのような構造部材を備え得る。前記光ファイバー歪みセンサーは、例えばファイバブラッググレーティングセンサーまたはファブリーペローセンサーであり得る。前記温度センサーは熱電対であり得る。
【0020】
特定の実施形態は、前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドを備え得る。前記アブレーションヘッドはベース面を有し、そのベース面は、該ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されている。前記変形体は、灌注流を収容するために前記軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え得る。前記灌注流はアブレーションヘッドのベース面を冷却する。
【0021】
別の実施形態では、カテーテル用のエンドエフェクタが開示される。前記エンドエフェクタは、変形体と、前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサー
と、複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度センサーとを備える。前記変形体の一部をスリーブが包囲してもよく、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび温度センサーは、そのスリーブによって包囲された変形体の部分に作動可能に接続されている。一実施形態において、前記スリーブおよび変形体は、それらのスリーブと変形体との間に、環状間隙を形成する。前記スリーブは、変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備え得る。前記環状間隙内には、固体材料を含む絶縁体が配置され得る。前記エンドエフェクタは、前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え得る。前記アブレーションヘッドはベース面を有し、そのベース面は、該ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように前記変形体から離間されている。前記変形体は、灌注流の収容のために軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え得る。前記灌注流はアブレーションヘッドのベース面を冷却する。
【0022】
本発明の別の実施形態では、カテーテルのエンドエフェクタ用の歪み感知アセンブリを備えた歪み感知システムが開示される。前記歪み感知アセンブリは、複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える。前記複数の光ファイバー歪みセンサーに電磁放射を伝達するために、電磁波源が前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続され得る。この実施形態において、少なくとも1つの受信器は、前記電磁放射の帰還部分を受信するために、複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続されており、その帰還部分は複数の光ファイバー歪みセンサーによって返される。また、少なくとも1つのシグナルコンディショナは、この実施形態では、複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度の測定のために、複数の温度センサーと作動可能に接続されている。前記受信器およびシグナルコンディショナには、マイクロプロセッサーが作動可能に接続されており、同様に、前記マイクロプロセッサーにはデジタル記憶装置が作動可能に接続され得る。前記デジタル記憶装置はマイクロプロセッサーによって実行するための命令を含んでいる。
【0023】
実行可能な命令は、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して1つずつ、複数の見掛け歪みを判定することと、前記複数の見掛け歪みは、電磁放射の帰還部分から推定されることと、複数の熱バイアス成分を、複数の見掛け歪みの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の熱バイアス成分は、複数の光ファイバー歪みセンサー近接した温度から推定されることと、見掛け歪みおよび複数の光ファイバーセンサーの各々の熱バイアス成分に基づいて、複数の光ファイバーセンサーの各々に対して弾性歪みを推定することとを含み得る。前記電磁波源としてレーザーが用いられ得る。
【0024】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法も開示される。概して、複数の光ファイバー歪みセンサーと、その複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備えた歪み感知アセンブリが提供される。複数の温度測定値が、前記複数の温度センサーのそれぞれから1つずつ、得られ得る。そこから複数の光ファイバー歪みセンサー温度が、複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定され得る。前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される。複数の見掛け歪み測定値もまた、複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得ることができる。複数の熱バイアス成分は、複数の光ファイバー歪みセンサーから各々1つずつ、推定され得る。前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサー温度から推定される。複数の弾性歪みは、複数の見掛け歪み測定値および複数の熱バイアス成分から、複数の光ファイバー歪みセンサーのそれぞれについて1つずつ、推定され得る。前記弾性歪みから、カテーテルの先端に作用する力の大きさおよび方向が推定され得る。複数の熱バイアス成分の推定は、暗黙的にまたは明示的に行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アブレーションヘッドに作動可能に接続された歪み感知アセンブリの斜視図。
【図1A】図1の歪み感知アセンブリの断面図。
【図1B】図1の歪み感知アセンブリの断面図。
【図2】アブレーション操作中の未補償歪み感知アセンブリの分解された力のバイアスのグラフ。
【図3】歪み感知アセンブリ本体上の温度センサーの出力のグラフであり、前記温度センサーは共通の軸線位置にあり、歪み感知アセンブリの本体の周のまわりに均等な間隔で分散されている。
【図4】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリを示す図。
【図5】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリの斜視図。
【図6】図5の温度補償歪み感知アセンブリの断面図。
【図7】図5の温度補償歪み感知アセンブリの断面図。
【図8】図6の断面図の拡大部分図。
【図9】図5の温度補償歪み感知アセンブリの、一部分のアセンブリにおける斜視図。
【図10】図9の一部分のアセンブリの拡大図。
【図11】本発明の実施形態における温度補償歪み感知アセンブリの一部分のアセンブリの斜視図。
【図12】図11の部分アセンブリの断面図。
【図13】本発明の実施形態におけるファイバブラッググレーティングを用いた温度補償歪み感知アセンブリの温度変化、波長変動および分解された力を表す多重グラフ。
【図14】本発明の実施形態において較正手法を表す多重グラフ。
【図15】本発明の実施形態において較正手法を表す多重グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、図1Aおよび図1Bを参照すると、中心軸線23を定義し、感知部24およびカラー部26を有する変形体22を備えた歪み感知アセンブリ20が表されている。歪み感知アセンブリ20の感知部24はさらに、スリーブ30によって覆われる外面29を有するステム28備えるものとして特徴付けられる。光ファイバー33によってそれぞれ供給される3本のファイバブラッググレーティング32は、ステム28に作動可能に接続されている。示した実施形態では、カラー部26は、アブレーションヘッド34に作動可能に接続されている。灌注通路36はステム28内およびアブレーションヘッド34内を通過して、複数の発散通路37を介してアブレーションヘッド34の外面で終了する。
【0027】
この実施形態では、歪み感知アセンブリ20は、灌注通路36の半径40の約3と1/2倍であるステム半径38を有するものと特徴付けられる。ファイバブラッググレーティング32は、ステム28の外面29上の3本の溝42内に取り付けられる。それにより、ファイバブラッググレーティング32は、スリーブ30の内部に隣接した中心軸線23からの感知半径44に位置する。
【0028】
図2を参照すると、代表的な、歪み感知アセンブリ20によって生成された未補正ゼロ歪み表示46のグラフが示されている。グラフ46は、秒単位の時間横座標49に対してプロットされた力のグラム当量(equivalent grams)単位の分解された力の縦座標48を示す。アブレーション操作52を包囲する時間枠中における分解軸線方向力50および分解横方向力51がグラフ46上に示されている。アブレーション操作52は、アブレーションヘッド34および変形体22が外部の物体(external body)との接触を有さない状態で
行われ、従って、アブレーション操作52の間に歪み感知アセンブリ20によって経験される実際の力は、ゼロであった。
【0029】
未補正ゼロ力表示46は、分解横方向力51はほぼ一定のままであるが、アブレーション操作52の間の分解軸線方向力50の表示において負のドリフト(すなわち黙示的引張荷重)を示す。分解軸線方向力50におけるドリフトは、アブレーション操作52の間におけるファイバブラッググレーティング32の温度の上昇の影響(例えば熱膨張および屈折率の変化)による。
【0030】
図2の分解横方向力51の実質的な一貫性は、ファイバブラッググレーティング32の3つがすべて均一量だけ増大した(すなわち、示された力はほとんど純粋な引張力である)ことを示す。これは、ファイバブラッググレーティング32の加熱がほぼ均一だったことを示唆する。しかしながら、ファイバブラッググレーティング32の均一な加熱が常に実現されるとは限らない。
【0031】
図3を参照すると、均一な加熱を受けなかった歪み感知アセンブリ/アブレーションヘッドエンドエフェクターについて、時間対温度トレース53が示されている。時間対温度トレース53は、アブレーション期間59を包囲し含む時間枠中において第1温度トレース56、第2温度トレース57および第3温度トレース58のトレースを有する、温度縦座標54対時間横座標55を示している。
【0032】
時間対温度トレース53を生成した特定の歪み感知アセンブリ(図示せず)は、該アセンブリに作動可能に接続された、3つの温度トレース56,57,58を生成した3つの温度センサーを備える。前記温度センサーの各々は、同一の軸線方向位置に中心を有し、互いから回転方向に等距離に離間されている(すなわち、120°離間されている)。
【0033】
この場合、第2温度トレース57は、歪み感知アセンブリの一部が温度トレース56または58よりも、約1.5℃冷たかったことを示しており、時間対温度トレース53は、歪み感知アセンブリが、アブレーション期間59の間に均一に加熱されていなかったことを示している。温度不確実性によって広がった誤差は、特定の歪み感知アセンブリについて、約10グラム/Kのオーダーである。従って、第2温度トレース57の温度差は、分解された力の15グラム当量のオーダーの誤差に変わり得る。
【0034】
歪み感知アセンブリの不均一な加熱は、灌注媒体の流量、アブレーションヘッドのような高温源からの伝導経路の均一性、および一様でない半径方向の熱伝導を生じ得る外的影響を含むいくつかの因子によって引き起こされ得る。従って、歪み感知アセンブリの特定の構成については、光ファイバー歪みセンサーの均一な加熱という仮定に依存することはできないことが分かった。
【0035】
図4を参照すると、本発明の実施形態における歪み感知システム60の実施形態が示されている。歪み感知システム60は、電磁波源62と、カプラー64と、受信器66と、マイクロプロセッサー68およびデジタル記憶装置69と作動可能に接続されたオペレータコンソール67とを備え得る。レーザー源または広帯域光源のような電磁波源62は、電磁放射の透過成分(transmitted component)70を生成し得る。
【0036】
光ファイバーケーブルのような伝送線路72は、カプラー64に透過成分70を伝える。カプラー64は、透過放射70を送信/受信線路74を介して光ファイバー歪みセンサー76に指向する。透過成分70は、エンドエフェクタ77内にある光ファイバー歪みセンサー76に伝送され得る。光ファイバー歪みセンサー76に進入する透過放射70の帰還部分78は、送信/受信線路74を通って受信器66に戻される。
【0037】
歪み感知システム60はまた、エンドエフェクタ77において、光ファイバー歪みセン
サー76に近接して配置された温度センサー80も備え得る。温度センサー80は、信号ケーブル84によってシグナルコンディショナ82と作動可能に接続され得る。シグナルコンディショナ82は、マイクロプロセッサー68と作動可能に接続され得る。
【0038】
送信/受信線路74および信号ケーブル84は、図4に示すようなコネクター88によって連結されてもよい。
1つの光ファイバー歪みセンサー76のみが示されているが、複数の光ファイバー歪みセンサーおよび温度センサー(図示せず)を、例えば並行処理経路または多重化配置などによって用いてもよい。
【0039】
送信/受信線路74は、可撓性の長尺状カテーテルアセンブリ90を通って、光ファイバー歪みセンサー76と作動可能に接続され得る。一実施形態において、カテーテルアセンブリ90は、基端側部分90a、中間部分90bおよび先端側部分90cを備える。先端側部分90cは、光ファイバー歪みセンサー76を含むエンドエフェクタ77を備え得る。カテーテルアセンブリ90は、用途に応じて、中空構造(すなわち、1つ以上の管腔を有する)ものであってもよいし、または非中空構造(すなわち、管腔を有さない)ものであってもよい。
【0040】
歪み感知システム60は、1kHz〜10Hzの範囲にある例示的かつ非限定的な割合で、光ファイバー歪みセンサー76に問い合わせを行う(interrogate)。受信器66は、
入来する帰還部分78を、マイクロプロセッサー68によって処理するために、デジタル信号に処理および/または変換する。受信器66は市販の様々な受信装置から選択され得る。例えば、ファブリ−ペロー光ファイバー歪みセンサーに適当な受信器は、カナダのケベック州ケベックのFISOテクノロジーズ(FISO Technologies)製のFPI−HR信号
処理モジュールである。ファイバブラッググレーティング歪みセンサーに適当な受信器は、米国ジョージア州アトランタのミクロン オプティクス(Micron Optics)製のモデルS
M125光学感知インタローゲータ(Optical Sensing Interrogator)である。
【0041】
一実施形態において、光ファイバー歪みセンサー76はファイバブラッググレーティング(FBG)であり、帰還部分78は前記グレーディングから反射される狭波長帯域の放射である。温度センサー80は、サーミスター、抵抗温度計または熱電対のような、適当な大きさおよび関心のある温度範囲の感度を有する任意のセンサーを備え得る。
【0042】
図5〜図10を参照すると、温度補償歪み感知アセンブリ100は、図4のエンドエフェクタ77として用いられ得る本発明の実施形態で示されている。温度補償歪み感知アセンブリ100は、全径102を有してもよく、操作環境106中に浸漬されるものとして示されている。温度補償歪み感知アセンブリ100は、外面112を有し、かつ中心軸線114を画定する変形体110を備える。示された実施形態において、温度補償歪み感知アセンブリ100は、変形体110に作動可能に接続されたアブレーションヘッド116、並びに外部スリーブ電極118a,118b,118cを備える。外力ベクトルFは、アブレーションヘッド116に印加されるものとして示されている。二重の座標系(すなわちデカルト座標(Cartesian)x−y−z、および円柱座標(cylindrical)r−θ−z)が、変形体110の基部に示されている。
【0043】
変形体110は、カラー部122と、首半径126を有する首部分124と、ラジアルスタンドオフ構造128と、首部分124を包囲する外スリーブ130とを備え得る。外スリーブ130は、ラジアルスタンドオフ構造128とカラー部122との間を橋架けし、首部分124と協働して環状間隙132を形成し得る。環状間隙132は断熱材134を備えてもよい。
【0044】
灌注通路140は、変形体110およびアブレーションヘッド116内を通過するものとして定義され、アブレーションヘッド116に形成された灌注出口142において終了し得る。灌注チューブ144は、灌注通路140に灌注流体145を供給するために、灌注通路140と作動可能に接続され得る。変形体110とアブレーションヘッド116のベース面148との間には、軸線方向間隙146が形成され得る。
【0045】
図1Aの歪み感知アセンブリ20に比べて、首半径126はより小さく、灌注通路140は、変形体110の局所的な壁厚150を決定する、より小さな直径のものであることに留意されたい。この実施形態において、代表的な壁厚150は、約200〜から300〜マイクロメートルであるが、この壁厚はすべての実施形態を代表または限定しなくてもよい。
【0046】
複数の光ファイバー歪みセンサー152は、変形体110と作動可能に接続され得る。1つ以上の温度センサー154もまた、変形体110に作動可能に接続され得る。一実施形態(図示)において、温度センサー154の数は、光ファイバー歪みセンサー152の数に等しく、対応する光ファイバー歪みセンサー152に対して1つの温度センサー154が対応し、温度センサー154の感知部分は、対応する光ファイバー歪みセンサー152にごく近接して取り付けられている。チャンネル156は、変形体110の外面112およびそれに接続されたセンサー152,152の上に形成され得る。光ファイバー歪みセンサー152および温度センサー154の感知部分は、変形体110の基端162に対して、ほぼ同一の軸線方向位置160に中心を有する。
【0047】
図11および図12を参照すると、半径方向において補強された温度補償歪み感知アセンブリ180が本発明の実施形態で示されている。示した実施形態において、らせんコイル182は外スリーブ130の内側に配置されている。これに代わって、らせんコイル182は外スリーブ130内に埋め込まれていてもよい。環状間隙183は、外スリーブ130またはらせんコイル182と、変形体110との間に形成され得る。前記環状間隙183内には、固体材料を含む絶縁材料184が配置され得る。
【0048】
外スリーブ130は、ポリエーテルブロックアミド(フランス国コロンブのアルケマ フランス コーポレーションArkema France Corp.の登録商標であるPEBAXという商
品名で販売されている)のような熱可塑性エラストマーからなってもよい。絶縁材料184は、環状間隙183内において変形体110のまわりに巻かれたポリイミドマイラーシート材料を含み得る。
【0049】
機能的に、らせんコイル182は、エンドエフェクタの先端側部分に印加される軸線方向力及び側方力に対してコンプライアントでありながら、半径方向の剛性を提供することができる。エンドエフェクタが、身体または器官に挿入される際に、さらなる外圧を経験するとき、らせんコイル182の半径方向の剛性は、環状間隙183の寸法を維持することができる。環状間隙183の寸法の維持により、環状間隙183およびその内部に配置され得る任意の絶縁材料は、その断熱特性を実質的に維持する。一方では、軸線方向力および屈曲力に対するらせんコイル182のコンプライアンスによって、有意な干渉なしで、変形体118を曲げたり、圧縮したりすることが可能になる。
【0050】
示した実施形態はまた、電力リード188およびアブレーションヘッド温度センサー190の通過に対応するために変形体110(図10)に形成されたV字溝186を備える。電力リード188およびアブレーションヘッド温度センサー190は、それぞれカラー部122内の通路194,196を通って、アブレーションヘッド116に作動可能に接続され得る。通路194,196は、例えば、軸線方向間隙146内に存在する灌注流体145が環状間隙132に進入するのを防止するために、適当なポッティングで充填され
てもよい。
【0051】
一般に、変形体110は、レオ(Leo)ら付与された米国特許出願公開第2006/02
00049号および同第2007/0060847号に開示されているような、液晶ポリマー(LCP)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなポリマー材料を含み得る。前記特許文献は双方とも、本願の譲受人に譲渡されており、それらの開示は、そこに含まれ得る特別な定義を除いて、参照することにより本願に援用される。チャネル156は、センサー152,154の感知部分の正確な配置を支援する。光ファイバー歪みセンサー152は、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサーまたはファブリーペローセンサーを備え得る。
【0052】
光ファイバー歪みセンサー152および/または温度センサー154の作動可能な接続は、一実施形態では、接着剤162を用いて行われ得る。接着剤162は、チャネル156内に配置されてもよいし、または光ファイバー歪みセンサー152上に配置されて、その光ファイバー歪みセンサー152がチャネル156内に配置されてもよい。過剰な接着剤は配置後に除去され得る。いくらかの接着剤がチャネル156内における光ファイバー歪みセンサー152の配置を可能にし得、それに続いて、光ファイバー歪みセンサー152をチャネル156に固定するために、光ファイバー歪みセンサー152上に接着剤をコーティングまたは塗布する。
【0053】
別の接着法は、光ファイバー歪みセンサー152の材料に影響を与えることなく、変形体110の材料を溶解または流動させるように設計された溶媒の使用を伴い得る。前記溶媒は、光ファイバー歪みセンサー152が取り付けられることになっているチャネル156の少なくとも一部を含む変形体110の領域または区域に塗布され、そこに光ファイバー歪みセンサー152が配置される。これに代わって、光ファイバー歪みセンサー152は、変形体110のチャネル156内の適所に一時的に保持され、前記溶媒は双方の上にコーティングとして施され得る。チャネル156内およびその周囲における材料の流展は、変形体110と光ファイバー歪みセンサー152との間の接着を引き起こし得る。前記溶媒は、溶解過程を止めるために、洗浄または気化のようなプロセスによって除去され得る。
【0054】
上記の取り付け法および接着法はチャネル156を備えた実施形態に関するものであるが、チャネル156を有さない場合に同一の処置が用いられてもよいことが認識される。
寸法的に、様々なパラメーターについての代表的な限定されない範囲は、約2.3〜mmの全径102と、約0.4〜から0.8〜mmの直径の灌注通路140と、200〜から300〜マイクロメートルのオーダーの代表壁厚150とを有する。
【0055】
機能的に、図1に示したような構成に比べて、首部分124の縮小された首半径126および/または灌注通路140の低減された直径は、いくつかの利点を提供する。灌注流体145の所与の流量について、灌注通路140の直径が小さい程、流体流のレイノルズ数を増大させ、これは灌注流体145と灌注通路140の境界との間の対流熱伝達係数(convection heat transfer coefficient)を増大させることができ、それにより灌注流体145と光ファイバー歪みセンサー152との間の全体的な熱伝達(overall heat transfer)を高める。縮小された半径126はまた、材料の断面の縮小をもたらすことにより、首
部分124を軸線方向Zに通る熱伝導、およびアブレーションヘッド116と光ファイバー歪みセンサー152との間の熱的結合を低減する。首部分124の壁厚150はまた、力ベクトルFに応じて、温度補償歪み感知アセンブリ100の所望の感度(変位)に調整され得る。首部分124の縮小された首半径126はまた、既存の設計に比べて、増大した環状間隙の厚み132を提供し、それにより操作環境106と光ファイバー歪みセンサー152との間の熱的分離を強化する。
【0056】
チャネル156は、存在する場合には、灌注流体145と光ファイバー歪みセンサー154との間の熱伝導経路をさらに低減し得る。
灌注流体145によって満たされる軸線方向間隙146は、アブレーションヘッド116のベース面148を能動的に冷却し、ベース面148と変形体110との間の軸線方向の熱伝導を軽減し得る。
【0057】
これらの様々な熱管理態様により、本発明の様々な実施形態は、アブレーションヘッド116および環境の影響はあまり重要でなく、光ファイバー歪みセンサー152を灌注流体145の温度によって支配されるようにし得る。灌注流体145に光ファイバー歪みセンサー152の熱状態を支配させることの利点は、灌注流体145の温度、並びに灌注流体145と灌注通路140との間の対流結合(convective coupling)は、操作中のアブレ
ーションヘッド116の温度、並びに操作環境106と外スリーブ130との間の温度および対流結合よりも安定している傾向にあることである。
【0058】
操作において、温度センサー154は、光ファイバー歪みセンサー152の熱膨張/熱収縮を、較正またはヌリング(nulling)状態に対して補償するために用いられ得る。灌注
流体145が首部分124の温度を支配する構成について、首部分124の温度プロフィルは、所与の軸線方向位置(例えば160)における変形体110の温度において実質的な変化を脱線的に有することなく、ほぼ一定であるか、または少なくとも軸座標Zに関して実質的に直線であり得る。そのような状態において、特に光ファイバー歪みセンサー152および温度センサー154が、感知部分が同一の軸線方向位置160に中心を有するように配置される場合には、単一の温度センサー154は、温度補償を行うのに十分であり得る。
【0059】
図3に関して上記で検討したように、様々な構成は、操作の間に、所与の軸線方向位置Z(例えば軸線方向位置160)において接線座標θに関して不均一な温度を生じ得る。そのような条件は、例えば、構造的要件および/または外形寸法要件が温度補償歪み感知アセンブリ100の全径102と比べて実質的に縮小された首半径126を許容しない場合に存在し得る。不均一な熱プロファイルはまた、部分的には、アブレーションヘッド116と変形体110との間の非一様の、または不均一な接触熱抵抗によって存在し得る。そのような状況では、複数の温度センサー154が望ましいことがある。温度センサー154は、光ファイバー歪みセンサー152と同じ個数に達してもよく、温度センサー154の各々は、光ファイバー歪みセンサー152の対応する1つに対して、他の光ファイバー歪みセンサー152のうちのいずれよりもより近い位置に位置し得る。このように、光ファイバー歪みセンサー152の各々の温度は、対応する温度センサー154によって生成される測定量により、より厳密に近似され得る。
【0060】
一実施形態において、光ファイバー歪みセンサー152は、その上にエッチングされたグレーディングを有する長さLのファイバブラッググレーティング(FBG)部分を有する。FBG部分が、基準(ヌル)測定が行なわれる基準時間rにおいて基準温度Trにあるとき、FBG部分は基準波長λrを反射し得る。操作中、FBG部分は基準時間rに対する時間tにおいて波長λtを反射し得る。波長λtは、時間rにおける長さLに対するFBG部分の長さの変化ΔLにより、基準波長λrと異なり得る。長さの変化ΔLは、FBG部分における歪み、FBG部分の熱膨張を誘発する温度変化またはそれらの組み合わせによってもたらされ得る。従って、見掛け歪みΔL/Lは、
ΔL/L=C・(λt−λr)=ε+α・ΔT 方程式(1)
として表され、
前記式中、ΔT=Tt−Tr 方程式(2)
であり、CはFBG反射波長と歪みと間の線形性の係数であり、εはFBG部分に課され
た弾性歪みであり、αはFBG部分に対する熱膨張の等価係数であり、ΔTは時間tにおけるFBG部分の温度Ttと基準温度Trとの間の差である。見掛け歪みΔL/Lは、光ファイバーセンサーの温度および熱挙動についての知識がなければ、比率ΔL/Lは弾性歪みの結果であるように見えるので、そう呼ばれる。
【0061】
一般に、弾性歪みεは主としてFBG部分に課された軸線方向力によるので、弾性歪みεを数学的に分離することは望ましい。弾性歪みの分離は以下を与える。
ε=ΔL/L−α・ΔT=C・(λt−λr)−α・ΔT 方程式(3)
複数のFBG部分については、方程式(3)は、
εi=(ΔL/L)i−αi・ΔTi=C・(λt−λr)−αi・ΔTi 方程式(4)
によって表され得る。前記式中、添字iは、複数のFBG部分のうちの1つを示す。
【0062】
光ファイバーセンサーに対する温度変化の効果がなければ、見掛け歪みΔL/Liは弾性歪みεiに等しい。従って、積αi・ΔTiは、それぞれの見掛け歪みΔL/Liの熱バイアス成分と見なされ得る。
【0063】
熱膨張の等価係数αは、多くの因子によって影響されるパラメーターである。一部の実施形態において、αは、主として変形体110の熱膨張率(CTE)によって影響を受ける。光ファイバー歪みセンサー152のCTEもまた、接着剤162のCTEと同様に、要因であり得る。これらの構成要素のCTEの範囲は実質的に変化し得る。例えば、光ファイバー歪みセンサーのCTEは、1ケルビン当たり約0.3マイクロメートル(μ/K)のオーダーであるが、LCPから構成された変形体のCTEは、1〜から4〜μ/KのCTEを有し得る。用いられるとき、接着剤162は、60μ/KのオーダーのCTEを有し得る。
【0064】
更に、光ファイバー歪みセンサー152の屈折率は、温度の変化に敏感であり得る。一部の光ファイバーの屈折率の感度は、ケルビン当たり約10ピコメートル(pm/K)である。温度補償歪み感知アセンブリ100,180の構成(例えば幾何学的形状、様々な材料のCTE、温度に対する屈折率の感度)に応じて、屈折率変化の影響は支配的になり得る。例えば、屈折率変化によって生じた変化は、CTE変化の影響よりも一桁大きいことが知られている。
【0065】
熱膨張αの真の等価係数は、一般に、アセンブリの欠陥および/または非再現性によって影響される。例えば、光ファイバーセンサーのαは、接着に影響を与える使用された接着剤162の量のわずかな差によって実質的に影響され得る。従って、所与の歪み感知アセンブリ中の各光ファイバー歪みセンサー152は、一般に、固有の熱膨張の等価係数αによって特徴づけられる。
【0066】
これらの熱的影響はすべて熱膨張の等価係数αに入ってくる。さらに、パラメーターの複雑さはαを非線形にさせ得る。従って、多くの場合において、熱膨張の等価係数αを較正などによって実験的に、アセンブリ内の各光ファイバー歪みセンサーについて決定することが望ましい。
【0067】
方程式(4)は行列形式に示され得る。例えば、3つのFBGセンサー(i=1、2、3)を実装する温度補償歪み感知アセンブリ100について検討する。対応する行列表現は下記の通りであり、
【0068】
【数1】
または
【0069】
【数2】
前記式中、ε(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの弾性歪みであり、
ΔL/L(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの見掛け歪みであり、
ΔT(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの温度の変化であり、
αi=FBG部分iの熱膨張の等価係数であり、
λ(i,r)=時間rにおいてFBG部分iによって反射される波長(基準波長)であり、
λ(i,t)=時間tにおいてFBG部分iによって反射される波長であり、
T(i,r)=時間rにおけるFBG部分iの温度(基準温度)であり、
T(i,t)=時間tにおけるFBG部分iの温度である。
【0070】
方程式(5)または(6)が実行されるとき、積αi・ΔT(i,t)またはαi・(T(i,t)−T(i,r))は、FBG部分iに対する推定バイアス成分である。推定バイアス成分αi・ΔT(i,t)またはαi・(T(i,t)−T(i,r))は、方程式(5)および(6)に示すように非明示的に決定されてもよいし、または、それらの推定バイアス成分は見掛け歪みΔL/L(i,t)からの減算について明示的に決定されてもよい。
【0071】
上記で検討したように、一部の温度補償歪み感知アセンブリは、光ファイバーセンサー間において、些少の、さもなければ許容できる半径方向の温度勾配を有するように構成され得、そのため温度補正には単一の温度センサーが適当である。単一の温度測定値補正に対する対応する行列は以下の通りである。
【0072】
【数3】
前記式中、T(r)およびT(t)は、それぞれ、単一の温度センサーによって判定される、時間tおよびrにおけるFBG部分の温度である。
【0073】
弾性歪みε(i,t)は、変形体の物理的寸法および材料特性の双方の関数として、光ファイバー歪みセンサーが受ける力に関連する。温度補正を行うために用いられる温度センサーの数にかかわらず、歪み/力の関係は、以下によって示され得る。
【0074】
【数4】
前記式中、xiおよびyi=カテーテル断面の重心に関するFBG部分iの座標であり、
ET=変形体110の等価張力(equivalent tension)/圧縮ヤング係数であり、
EF=変形体110の等価曲げヤング係数(equivalent flexural Young modulus)であ
り、
Ix=X軸に関する慣性モーメントであり、
Iy=Y軸に関する慣性モーメントであり、
N(z,t)=時間tにおけるZ軸の方向の垂直力であり、
M(x,t)=時間tにおけるX軸に関する曲げモーメントであり、
M(y,t)=時間tにおけるY軸に関する曲げモーメントである。
【0075】
方程式(9)は、弾性歪みε(i,t)の関数として、垂直力N(z,t)および曲げモーメントM(x,t)およびM(y,t)を解くために再整理され得る。
【0076】
【数5】
変形体110はほぼ非圧縮性であると仮定して、時間tにおける外力ベクトルFの成分F(x,t)、F(y,t)およびF(z,t)は、変形体110の中心軸線112に関するFBG部分の位置に基づいて解かれ得る。
【0077】
【数6】
前記式中、rNは首半径126である。
【0078】
方程式(9)から(11)の解は、時間tにおいて変形体の外表面に印加される垂直力F(norm,t)および横方向力F(trans,t)、すなわち、F(norm,t)=F(z,t)およびF(trans,t)=(F(x,t)2+F(y,t)2)1/2を提供することができる。横方向力の印加角度γtは表Iから計算され得る。
【0079】
【表1】
方程式(9)〜(11)は、変形体の弾性係数のような変形体または光ファイバー歪みセンサーの材料特性に関連する。光ファイバー歪みセンサー間の座標距離、干渉間隙と変形体の外表面との間の作用長のような他の値は、製造公差の結果としてのばらつきに支配される。
【0080】
算出された力ベクトルの分解された方向および大きさの精度を改善するために、各変形体に特異的な情報がデジタル記憶装置69に格納されてもよい。一般に、情報の形は、温度補償歪み感知アセンブリ100の使用前に、コンソール67に入力されるデータファイ
ルの形態をとる。例えば、デジタル記憶装置69は、そのような情報が格納される、送信/受信線路74に関連付けられたメモリーチップ、またはバーコード、または歪みセンサーアセンブリ20の本体上または包装材上に位置するRFIDタグを備えてもよい。これに代わって、個々の変形体に特有のデータは、取り外し可能な記憶装置(例えばCD、ROMまたは不揮発性RAM)の品目から、または製造業者のウェブサイトからの安全なダウンロードによって、コンソール67にアップロードされてもよい。
【0081】
各変形体に特異的な情報は、変形体を製造する間に行われる較正工程の間に、変形体に一連の既知の力ベクトルを受けさせることによって得られ得る。この場合、前述の方程式は壊されてもよく、よって垂直力および横方向力は、下記の歪み−力転換行列(strain-to-force conversion matrix)から直接算出されてもよい。
【0082】
F(t)=K(ε(t)−ε0) 方程式(12)
前記式中、F(t)は力のベクトル[F(x,t)、F(y,t)、F(z,t)](例えば図5の力ベクトルFに対応する)であり、ε(t)は個々の光ファイバー歪みセンサー152によって測定された歪みのベクトル[ε1,t,ε2,t,ε3,t]であり、ε0は個々の光ファイバー歪みセンサー152によってゼロ作用力で測定された歪みのベクトル[ε01,ε02,ε03]であり、Kは変形体が一連の既知の力を受けたときに算出される行列である。
【0083】
製造の較正工程の間、一定温度状態において、変形体は以下の力、すなわち(1)既知の大きさの純粋な軸線方向力F(z,t)と、(2)既知の大きさの横力F(x,t)と、(3)力F(x,t)の向きに対して90度に加えられる既知の大きさFの横力(y,t)を順次に受け得る。すべての力[F(x、t)、F(y、t)、F(z、t)]および波長が既知である場合、力−歪み転換行列Kは以下のように算出され得る。
【0084】
K=F(ε(t)−ε0)−1 方程式(13)
または、
【0085】
【数7】
次いで、力−歪み転換行列Kは、本願で開示したように、対応する変形体に関連付けられたデジタル記憶装置69に格納され得る。次いで、力−歪み転換行列の値は、変形体がコンソール67に接続されている場合には、バーコードリーダー、入力パッドまたは直接的な電気接続を用いて、送信/受信線路74を介して、コンソール67へ入力され得る。行列Kが所与の変形体に対して与えられると、垂直力、横方向力および横方向力の印加角度が、上述したように、表Iを用いて算出され得る。
【0086】
上述のように算出された垂直力、横方向力および横方向力の印加角度に対する値は、コンソール67の一部を形成する表示モニターに数値として出力され得る。さらに、様々な大きさまたは色の矢印を含む図形が、変形体の遠位端に印加された横方向力の大きさおよび方向を視覚化するために、円の周上のある位置を指して表示され得る。この表示装置の監視によって、操作者は、変形体の遠位端に印加される接触力に関するフィードバックを継続的に得ることができる。
【0087】
本発明は、特に外科的処置中に大きな局所的な温度勾配が生じる場合には、本願に開示されない他の実施形態で実施されてもよい。例えば、開示する実施形態の様々な態様は、前立腺癌または他の泌尿器疾患の治療のための冷凍アブレーションの情況において用いられてもよい。開示する実施形態の他の態様は、本発明の精神から逸脱することのなく、オースロスコピックorthroscopic外科手術、または喉、鼻または肛門のような開放した開口部を介した進入のような、内視鏡での応用に用途を見出してもよい。
【0088】
図13を参照すると、アブレーション解析200は、本発明の実施形態において、半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180について示されている。アブレーション解析200に用いられた光ファイバー歪みセンサー152は、FBG光センサーであった。用いた温度センサー154は銅コンスタンタン(T型)の熱電対であった。半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180内の光ファイバー歪みセンサー152は、接線座標θにおいて均等に離間(すなわち120°離間)されていた。温度センサー154および光ファイバー歪みセンサー152は、図9に示すように、変形体110上においてほぼ同一の軸線方向位置に中心を有する。温度センサー154の各々は、他の光ファイバー歪みセンサー154(例えば図12)によりも、光ファイバー歪みセンサー152の対応する1つにより近接して位置し、したがって、対応する最も近接した光ファイバー歪みセンサー154の温度を示した。
【0089】
アブレーション解析200は温度変化グラフ202、波長変動グラフ204および分解力成分グラフ206を含み、それらすべてのグラフは、アブレーション操作の間に拍動する心臓内に存在する半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180によって同時に得られた。3つのグラフ202,204,206は、約80秒にわたる共通時間横座標210を共有する。温度変化グラフ202は、温度変化縦座標212に、3つの温度センサー154の表示温度214,216,218の変化の表示を、摂氏度で示している。波長変動グラフ204は、波長変動縦座標222に、3つのFBG光センサーの各々からの反射信号224,226,228における中心波長変化の表示を、ナノメートルで示している。分解力成分グラフ206は、分解された軸線方向力成分234および分解された横方向力成分236における変化の表示のための力変化縦座標232を示している。補正反射信号224,226,228、分解力234,236は、方程式(1)〜(6)および方程式(9)〜(14)に記載された方法に従って補償された。
【0090】
アブレーション解析200を生成するために続けられる手順は、その周囲とほぼ熱平衡にあり、かつ分速2立方センチメートル(ccm)の灌注流(例えば図7の灌注流145)を有する半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180によって、様々な縦座標212,222,232についてヌル測定値を得ることであった。灌注流量は、灌注増大開始時間240において、17立方センチメートルに増大され、冷却増進期間242にわたって維持され、その後、灌注流は2立方センチメートルに戻された。冷却増進期間の効果は、温度低下の期間244を生じたことであった。
【0091】
アブレーションヘッド116は、アブレーション開始時間248から開始して、アブレーション操作期間246にわたって連続的にエネルギーを与えられた。温度変化グラフ202は、冷却増進期間242の間に、灌注流体の増大した流量の顕著な冷却効果によってもたらされる温度降下252を示す。アブレーション開始時間248直後、表示温度214,216,218は、アブレーション期間246の継続時間にわたってほぼ安定したままである。冷却増進期間242およびアブレーション期間248の終了時には、表示温度214,216,218は、ヌル測定値とほぼ同一のレベルに戻った。
【0092】
波長変動グラフ204は、温度低下の期間244の間の反射信号224,226,228の時間平均波長変動222の偏移254を示す。偏移254の大きさは約0.08nm
であり、これは試験中の特定の歪み感知アセンブリに対して約80gmの弾性力に変わる。
【0093】
一方、温度変化について補償された分解力234,236は、本質的に安定した時間平均レベルを維持する。すなわち、これらの信号は、印加のパルシングの性質により、それぞれの平均値のまわりで振動しているが、平均値自体は、表示温度214,216,218および反射信号224,226,228の変化にかかわらず、本質的に安定したままである。従って、上記に開示した装置および方法は、光ファイバー歪みセンサー152の熱誘発性変化を効果的に補償する。
【0094】
アブレーション操作期間246の終了後であるが、冷却増進期間242の終了前において、3つの表示温度214,216,218について、温度低下部258が観察される。温度低下部258は、アブレーション操作期間246の間に確立された温度レベルから、実質的な定常状態レベルに、約0.5℃降下している。
【0095】
温度低下部258は、半径方向に強化された温度補償力センサー180を介した半径方向および軸線方向の双方における熱伝達の低下の結果であると考えられる。従って、表示温度214,216,218のうちの1つについて、アブレーション操作期間246中の温度と、温度低下部258の定常状態の端との間の差は、アブレーション操作の効果を示している。温度降下252に比べて温度低下部258の小さな低下は、半径方向に強化された温度補償力センサー180が灌注流体145によって能動的に冷却されている場合には、温度センサー154および光ファイバー歪みセンサー152は灌注流体145の流れによって支配されており、アブレーションの効果は二次的なものであることを意味する。
【0096】
図14および図15を参照すると、本発明の温度補償歪み感知アセンブリを較正する方法またはその較正を確認する方法が、本発明の実施形態において記載されている。図14は、温度変化グラフ206および波長変動グラフ208の較正データプロット270を示し、表示温度214,216,218は、約6秒の時間周期274でゆっくり振動している。反射信号224,226,228もまた、表示温度214,216,218を緊密に追跡して振動している。温度振動の振幅は1°C未満である。
【0097】
図15は、3つの相関プロット280,282,284を示している。相関プロット280(縦軸はフィルタ1の波長),282(縦軸はフィルタ2の波長),284(縦軸はフィルタ3の波長)の各々は、ナノメートルの反射中心波長縦座標288と、摂氏度の温度横座標290とを備える。相関プロット280,282,284の各々は、反射信号224,226,228のうちの1つと、表示温度214,216,218のうちの対応する1つとからの相関データ281,283,285を含む。すなわち、相関プロット280は、表示温度214に対してプロットされた反射信号224の波長の相関データ281を示し、相関プロット282は、表示温度216に対してプロットされた反射信号226の波長の相関データ283を示し、相関プロット284は、表示温度218に対してプロットされた反射信号228の波長の相関データ285を示す。
【0098】
相関プロット280,282,284の各々はまた、各温度/波長データのラインフィット294,296,298を示している。前記ラインフィットは最小二乗適合法を用いて得られ得る。ラインフィット294,296,298の傾きは、中央反射波長における変化の較正を提供し、前記較正は、次いで、方程式(6)の熱膨張の等価係数α1,α2,α3を提供するために用いられ得る。
【0099】
振動する温度は、様々な方法でもたらされ得る。図14および図15の較正解析については、振動は、半径方向に補強された温度補償歪み感知アセンブリ180を約36℃の温
度の温浴中に、先端が外力に接触したり、さもなければ外力を受けたりすることなく、浸漬することによりもたらされた。次いで、約31℃の灌注流体が、蠕動ポンプによって、低流量(約2立方センチメートル)で、歪み感知アセンブリ180を通って揚送された。前記蠕動ポンプは振動流を生成し、その振動流は、十分に遅い(十分に長い期間)場合には、歪み感知アセンブリ180の光ファイバー歪みセンサー152の振動冷却を引き起こし得る。前記流れが歪み感知アセンブリ180を通って増大および減少するに従って、較正のためのデータが集められ、相関が引き出され得る。
【0100】
この実施形態の手法は、独立型の較正として実行されてもよいし、またはインサイチュー較正または較正チェックとして実行されてもよい。単独型のシナリオでは、浴および灌注流体の高温と低温との間の差は、カーブフィットがアブレーションのような高エネルギー放散の用途において経験されるものを代表する温度範囲を上回るように、それぞれ大きな温度範囲を表わし得る。そのようなシナリオにおけるラインフィットは、データを高位多項式に適合させることなどによって、較正における非線形性を考慮するために用いられ得る。インサイチューシナリオにおいては、より狭い温度範囲に対するラインフィットが用いられてもよい。前記データは、較正を生じるか、または以前の較正の妥当性を確認するために用いられてもよい。
【0101】
上および下、前および後、左および右などのような相対語は、説明の便宜上のためのものであり、本発明またはその構成要素を任意の特定の向きに限定するように企図されない。図に示した寸法はすべて、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の可能な設計および特定の実施形態の用途に応じて変化し得る。
【0102】
本願に開示された付加的な図および方法の各々は、改善された装置およびシステム、並びにそれらの装置およびシスステムを製造する方法および使用する方法を提供するために、別々に用いられてもよいし、または他の特徴および方法と共に用いられてもよい、従って、本願に開示された特徴および方法の組み合わせは、その最も広い意味において本発明を実施するために必須ではないことがあり、むしろ、単に特に本発明の代表的な実施形態を記載するために開示されている。
【0103】
本発明の特許請求の範囲を解釈する目的のために、特定の用語「〜のための手段」または「〜のための工程」が対象請求項に挙げられていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定が行使されるべきではないことが明らかに意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的処置に使用するためのカテーテルであって、該カテーテルは、
医学的処置の間に患者内に導入されるように適合され、かつエンドエフェクタを有する可撓性長尺状本体を備え、前記エンドエフェクタは歪み感知アセンブリを備え、前記歪み感知アセンブリは、
変形体と、
前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、
前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える、カテーテル。
【請求項2】
前記複数の温度センサーは、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと同数またはそれよりも多い個数だけある、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記複数の温度センサーの各々は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのうちの対応する1つに対して、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの他のものよりも、実質的により接近して配置されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記変形体の一部分を包囲するスリーブをさらに備え、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび前記複数の温度センサーは前記変形体の前記部分に作動可能に接続されており、前記スリーブおよび前記変形体は、それらのスリーブと変形体と間に、環状間隙を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記環状間隙内に配置された固体材料をさらに備える請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記スリーブは、前記変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備える、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記構造部材がらせんコイルを備える、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングセンサーである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記温度センサーは熱電対である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記変形体は液晶ポリマー材料を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え、前記アブレーションヘッドはベース面を有し、前記ベース面は、前記ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されており、前記変形体は、灌注流を収容するための、前記軸線方向間隙で終了する灌注通路を備え、前記灌注流は前記アブレーションヘッドの前記ベース面を冷却する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
変形体と、
前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、
前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度センサーと、
前記変形体の一部分を包囲するスリーブであって、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび前記温度センサーは、前記スリーブによって包囲された前記変形体の前記部分に
作動可能に接続されており、前記スリーブおよび前記変形体は、前記スリーブと前記変形体との間に環状間隙を形成し、前記スリーブは、前記変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備える、スリーブと、
前記環状間隙内に配置された固体材料を含む断熱材とを備える、カテーテル用エンドエフェクタ。
【請求項13】
前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え、前記アブレーションヘッドはベース面を有し、前記ベース面は、前記ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されており、前記変形体は、灌注流を収容するための、前記軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え、前記灌注流は前記アブレーションヘッドの前記ベース面を冷却する、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
カテーテルのエンドエフェクタ用の歪み感知アセンブリであって、前記歪み感知アセンブリは、複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える、歪み感知アセンブリと、
前記複数の光ファイバー歪みセンサーに電磁放射を伝達するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続された電磁波源と、
前記電磁放射の帰還部分を受信するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続された少なくとも1つの受信器であって、前記帰還部分は前記複数の光ファイバー歪みセンサーによって返される、受信器と、
前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度を測定するための、複数の温度センサーと作動可能に接続された少なくとも1つのシグナルコンディショナと、
前記受信器および前記シグナルコンディショナと作動可能に接続されたマイクロプロセッサーと、
前記マイクロプロセッサーと作動可能に接続されたデジタル記憶装置とを備え、前記デジタル記憶装置はマイクロプロセッサーによって実行するための命令を含んでおり、前記命令は、
複数の見掛け歪みを、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の見掛け歪みは、前記電磁放射の帰還部分から推定されることと、
複数の熱バイアス成分を、前記複数の見掛け歪みの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した前記温度から推定されることと、
前記複数の光ファイバーセンサーの各々の前記見掛け歪みおよび前記熱バイアス成分に基づいて、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して弾性歪みを推定することとを含む、歪み感知システム。
【請求項15】
前記複数の光ファイバーセンサーの各々はファイバブラッググレーティングである、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項16】
前記電磁波源はレーザーである、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項17】
前記複数の温度センサーの各々は熱電対である、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項18】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法であって、
複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える歪み感知アセンブリを提供する工程と、
複数の温度測定値を、前記複数の温度センサーから各々1つずつ、得る工程と、
複数の光ファイバー歪みセンサー温度を、前記光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定する工程であって、前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される、工程と、
複数の見掛け歪み測定値を、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得る工程と、
複数の熱バイアス成分を、前記複数の光ファイバー歪みセンサーから各々1つずつ、推定する工程であって、前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサー温度から推定される、工程と、
複数の弾性歪みを、前記複数の見掛け歪み測定値および前記複数の熱バイアス成分から、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのそれぞれについて1つずつ、推定する工程と、
前記複数の弾性歪みから、前記カテーテルの前記先端に作用された前記力の大きさおよび方向を判定する工程とを有する、方法。
【請求項19】
前記複数の熱バイアス成分を推測する前記工程は非明示的に行なわれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記複数の光ファイバー歪みセンサーは、3つの光ファイバー歪みセンサーを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法であって、
3つの光ファイバー歪みセンサーと、前記3つの光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える歪み感知アセンブリを提供する工程と、
複数の温度測定値を、前記複数の温度センサーから各々1つずつ、得る工程と、
3つの光ファイバー歪みセンサー温度を、前記3つの光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定する工程であって、前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される、工程と、
3つの見掛け歪み測定値を、前記3つの光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得る工程と、
前記3つの光ファイバー歪みセンサー温度および前記3つの見掛け歪み測定値から、3つの光ファイバー歪みセンサーの各々に対して1つずつの弾性歪みで、3つの弾性歪みを判定するための工程と、
前記3つの弾性歪みから前記カテーテルの前記先端に作用された前記力の大きさおよび方向を判定する工程とを有する、方法。
【請求項23】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
医学的処置に使用するためのカテーテルであって、該カテーテルは、
医学的処置の間に患者内に導入されるように適合され、かつエンドエフェクタを有する可撓性長尺状本体を備え、前記エンドエフェクタは歪み感知アセンブリを備え、前記歪み感知アセンブリは、
変形体と、
前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、
前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える、カテーテル。
【請求項2】
前記複数の温度センサーは、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと同数またはそれよりも多い個数だけある、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記複数の温度センサーの各々は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのうちの対応する1つに対して、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの他のものよりも、実質的により接近して配置されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記変形体の一部分を包囲するスリーブをさらに備え、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび前記複数の温度センサーは前記変形体の前記部分に作動可能に接続されており、前記スリーブおよび前記変形体は、それらのスリーブと変形体と間に、環状間隙を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記環状間隙内に配置された固体材料をさらに備える請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記スリーブは、前記変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備える、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記構造部材がらせんコイルを備える、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングセンサーである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記温度センサーは熱電対である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記変形体は液晶ポリマー材料を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え、前記アブレーションヘッドはベース面を有し、前記ベース面は、前記ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されており、前記変形体は、灌注流を収容するための、前記軸線方向間隙で終了する灌注通路を備え、前記灌注流は前記アブレーションヘッドの前記ベース面を冷却する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
変形体と、
前記変形体と作動可能に接続された複数の光ファイバー歪みセンサーと、
前記複数のファイバー歪センサーの温度を判定するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度センサーと、
前記変形体の一部分を包囲するスリーブであって、前記複数の光ファイバー歪みセンサーおよび前記温度センサーは、前記スリーブによって包囲された前記変形体の前記部分に
作動可能に接続されており、前記スリーブおよび前記変形体は、前記スリーブと前記変形体との間に環状間隙を形成し、前記スリーブは、前記変形体の屈曲または軸線方向の圧縮を実質的に制限することなく、外圧増大による半径方向の圧縮に抵抗する構造部材を備える、スリーブと、
前記環状間隙内に配置された固体材料を含む断熱材とを備える、カテーテル用エンドエフェクタ。
【請求項13】
前記変形体の遠位端に作動可能に接続されたアブレーションヘッドをさらに備え、前記アブレーションヘッドはベース面を有し、前記ベース面は、前記ベース面と前記変形体との間に軸線方向の間隙を形成するように、前記変形体から離間されており、前記変形体は、灌注流を収容するための、前記軸線方向間隙で終了する灌注通路をさらに備え、前記灌注流は前記アブレーションヘッドの前記ベース面を冷却する、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
カテーテルのエンドエフェクタ用の歪み感知アセンブリであって、前記歪み感知アセンブリは、複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える、歪み感知アセンブリと、
前記複数の光ファイバー歪みセンサーに電磁放射を伝達するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続された電磁波源と、
前記電磁放射の帰還部分を受信するための、前記複数の光ファイバー歪みセンサーと作動可能に接続された少なくとも1つの受信器であって、前記帰還部分は前記複数の光ファイバー歪みセンサーによって返される、受信器と、
前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した温度を測定するための、複数の温度センサーと作動可能に接続された少なくとも1つのシグナルコンディショナと、
前記受信器および前記シグナルコンディショナと作動可能に接続されたマイクロプロセッサーと、
前記マイクロプロセッサーと作動可能に接続されたデジタル記憶装置とを備え、前記デジタル記憶装置はマイクロプロセッサーによって実行するための命令を含んでおり、前記命令は、
複数の見掛け歪みを、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の見掛け歪みは、前記電磁放射の帰還部分から推定されることと、
複数の熱バイアス成分を、前記複数の見掛け歪みの各々に対して1つずつ、判定することと、前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した前記温度から推定されることと、
前記複数の光ファイバーセンサーの各々の前記見掛け歪みおよび前記熱バイアス成分に基づいて、前記複数の光ファイバーセンサーの各々に対して弾性歪みを推定することとを含む、歪み感知システム。
【請求項15】
前記複数の光ファイバーセンサーの各々はファイバブラッググレーティングである、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項16】
前記電磁波源はレーザーである、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項17】
前記複数の温度センサーの各々は熱電対である、請求項14に記載の歪み感知システム。
【請求項18】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法であって、
複数の光ファイバー歪みセンサーと、前記複数の光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える歪み感知アセンブリを提供する工程と、
複数の温度測定値を、前記複数の温度センサーから各々1つずつ、得る工程と、
複数の光ファイバー歪みセンサー温度を、前記光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定する工程であって、前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される、工程と、
複数の見掛け歪み測定値を、前記複数の光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得る工程と、
複数の熱バイアス成分を、前記複数の光ファイバー歪みセンサーから各々1つずつ、推定する工程であって、前記複数の熱バイアス成分は、前記複数の光ファイバー歪みセンサー温度から推定される、工程と、
複数の弾性歪みを、前記複数の見掛け歪み測定値および前記複数の熱バイアス成分から、前記複数の光ファイバー歪みセンサーのそれぞれについて1つずつ、推定する工程と、
前記複数の弾性歪みから、前記カテーテルの前記先端に作用された前記力の大きさおよび方向を判定する工程とを有する、方法。
【請求項19】
前記複数の熱バイアス成分を推測する前記工程は非明示的に行なわれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記複数の光ファイバー歪みセンサーは、3つの光ファイバー歪みセンサーを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
カテーテルの先端に作用する力を判定する方法であって、
3つの光ファイバー歪みセンサーと、前記3つの光ファイバー歪みセンサーに近接した複数の温度センサーとを備える歪み感知アセンブリを提供する工程と、
複数の温度測定値を、前記複数の温度センサーから各々1つずつ、得る工程と、
3つの光ファイバー歪みセンサー温度を、前記3つの光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、推定する工程であって、前記複数の温度は前記複数の温度測定値から推定される、工程と、
3つの見掛け歪み測定値を、前記3つの光ファイバー歪みセンサーの各々について1つずつ、得る工程と、
前記3つの光ファイバー歪みセンサー温度および前記3つの見掛け歪み測定値から、3つの光ファイバー歪みセンサーの各々に対して1つずつの弾性歪みで、3つの弾性歪みを判定するための工程と、
前記3つの弾性歪みから前記カテーテルの前記先端に作用された前記力の大きさおよび方向を判定する工程とを有する、方法。
【請求項23】
前記歪み感知アセンブリを提供する工程において提供される前記光ファイバー歪みセンサーはファイバブラッググレーティングを備える、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2011−520499(P2011−520499A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509074(P2011−509074)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051967
【国際公開番号】WO2009/138957
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510126508)
【氏名又は名称原語表記】ENDOSENSE SA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051967
【国際公開番号】WO2009/138957
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510126508)
【氏名又は名称原語表記】ENDOSENSE SA
【Fターム(参考)】
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