説明

温度計測装置

【課題】小型で正確な精度の高い外気温を測定できる温度計測装置を提供する。
【解決手段】温度計測装置は、外気の第1温度を測定する第1温度測定手段66Aと、第1温度の測定位置との間に所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に第1熱抵抗値を有する位置の温度を第1参照温度として測定する第1参照温度測定手段70Aと、第1温度の測定位置とは異なる外気位置の第2温度を測定する第2温度測定手段66Bと、第2温度の測定位置との間に所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に第1熱抵抗値とは異なる第2熱抵抗値を有する位置の温度を第2参照温度として測定する第2参照温度測定手段70Bと、第1温度、第1参照温度、第2温度、及び第2参照温度を用いて外気の温度を演算する温度演算手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯用の温度計測装置、特に腕時計型の温度計測装置では、ケース内部あるいはケース外周部に設けた温度センサーによって外気温度を検出し、その検出結果をケース表面部に構成した表示部で表示するようになっている。しかし、これまでの温度計測装置では、携帯時あるいは装着時にケースを通して温度センサーが体温の影響を受け、外気温度を正確に測定することができない。そのため、例えば、特許文献1には、感熱部がケースから突き出し、ケースと所定の隙間を設けることで、ケースを通した体温の影響を排除させる手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−254579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手段による場合は、温度センサーの位置を工夫することで、体温の影響を少なくすることを目的としている。しかし、腕時計として身につける以上、ケースやセンサー支持部の熱伝導による体温の影響をなくすことはできない虞がある。また、ケースと温度センサーの隙間を用いたり、腕時計から離れた位置に温度センサーを設置したりすることは、小型化の面からも問題となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]外気の第1温度を測定する第1温度測定手段と、前記第1温度の測定位置との間に所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に第1熱抵抗値を有する位置の温度を第1参照温度として測定する第1参照温度測定手段と、前記第1温度の測定位置とは異なる外気位置の第2温度を測定する第2温度測定手段と、前記第2温度の測定位置との間に前記所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に前記第1熱抵抗値とは異なる第2熱抵抗値を有する位置の温度を第2参照温度として測定する第2参照温度測定手段と、前記第1温度、前記第1参照温度、前記第2温度、及び前記第2参照温度を用いて前記外気の温度を演算する温度演算手段と、を含むことを特徴とする温度計測装置。
【0007】
これによれば、腕時計などで、気温の測定を行う際に、体温の影響を受けないように、断熱材などを用いる方法があるが、本発明では、熱抵抗の異なるセンサーを用いることで、小型で正確な精度の高い外気温を測定できる温度計測装置を提供できる。
【0008】
[適用例2]上記温度計測装置であって、前記第1温度の測定位置と前記第1参照温度の測定位置との間、及び前記第2温度の測定位置と前記第2参照温度の測定位置との間には、共通の前記所定の熱抵抗値を有する断熱部が設けられ、前記第1参照温度の測定位置と基材との間には、前記第1熱抵抗値を有する第1放熱制御部が設けられ、前記第2参照温度の測定位置と基材との間には、前記第2熱抵抗値を有する第2放熱制御部が設けられていることを特徴とする温度計測装置。
【0009】
これによれば、第1温度測定手段と第2温度測定手段とは、共通の熱抵抗値を有する断熱部に覆われている。ここで、それぞれの断熱部は、温度の測定位置と参照温度の測定位置との間に位置している。そして、それぞれの参照温度の測定位置と基材との間にそれぞれ互いに異なる熱抵抗値を有する第1、第2放熱制御部が設けられている。したがって、第1温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱流束値と第2温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱流束値が異なる。つまり、第1温度、第1参照温度、第2温度、及び第2参照温度も互いに異なる値が測定される。
【0010】
[適用例3]上記温度計測装置であって、前記温度演算手段で演算された前記外気の温度を表示する表示部を有する表示装置と、前記第1温度測定手段及び前記第2温度測定手段を有する温度計本体と、を含み、前記表示装置と前記温度計本体とは、別体で構成されていることを特徴とする温度計測装置。
【0011】
これによれば、表示装置と温度計本体とが別体で構成されているので、外気に接触する必要がある第1及び第2温度測定手段を有する温度計本体の軽量化が促進される。したがって、外気に温度計本体を長時間接触させても負担とはならず、長時間にわたって連続的な温度のモニタリングが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記温度計測装置であって、前記温度演算手段は、前記表示装置に設けられていることを特徴とする温度計測装置。
【0013】
これによれば、外気温度演算手段が表示装置に設けられているので、温度計本体の構成部品が最小限に抑制される。したがって、温度計本体の軽量化、小型化が促進され、外気に接触させる際にも、長時間の測定であっても負担がより一層低減される。
【0014】
[適用例5]上記温度計測装置であって、前記表示装置及び前記温度計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ含んでいることを特徴とする温度計測装置。
【0015】
これによれば、表示装置及び温度計本体がそれぞれ送受信手段を備え、互いに無線通信が可能に構成されているので、表示装置を温度計本体に対してある程度離して設置することが可能となる。表示装置が温度計本体と配線されないため、温度計本体を表示装置から完全に分離できるので、温度計本体の軽量化がより一層促進され、温度計本体の取扱い性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る腕装着型温度計測装置(温度計測装置)の要部を拡大して示す平面図。
【図2】図1のA−A′線における断面図。
【図3】第1の実施形態に係る温度計本体を示す断面図。
【図4】本実施形態に係る腕装着型温度計測装置の温度分布モデルを示す図。
【図5】本例の腕装着型温度計測装置において、温度及び日時などを表示するための表示制御部周辺のブロック図。
【図6】第2の実施形態に係る温度計本体を示す断面図。
【図7】変形例1に係る腕装着型温度計測装置(温度計測装置)の要部を拡大して示す断面図。
【図8】変形例2に係る外気温センサーを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本実施形態に係る温度計測装置としての腕装着型温度計測装置について、図を参照しながら説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る腕装着型温度計測装置の要部を拡大して示す平面図、図2は、図1のA−A′線における断面図である。
【0019】
図1において、本例の腕装着型温度計測装置2は、31.5mm×29.0mmの略四角形の平面形状を有する表示装置としての装置本体10と、その両側に連結された腕装着用バンド12とから構成されている。装置本体10は、プラスチックや金属などといった各種の材料からなるケース14を有し、このケース14には、腕時計における9時の方向にやや偏った領域に表示部16を形成するための矩形の窓が形成されている。ケース14では、腕装着用バンド12が連結される縦方向の寸法(腕時計における12時−6時方向の寸法)が横方向の寸法(腕時計における3時−9時方向の寸法)よりも短くなっている。このため、腕装着型温度計測装置2は、腕への装着感が改善されている。
【0020】
表示部16は、そこでの表示内容については詳しく後述するが、全体として3段の表示領域18,20,22を備える液晶表示パネル24で構成されている。ケース14が横長であることから、液晶表示パネル24には、広角パネルを用いてある。また、液晶表示パネル24には、ELバックライト機能を付与してある。
【0021】
腕装着型温度計測装置2は、通常の時計やストップウオッチと同様に、時計機能も有しており、図1に示す状態では、表示部16では、上段の表示領域18に8月25日である旨と月曜日である旨が表示されている。下段の表示領域22には、現在時刻が午前10時08分59秒である旨が表示されている。ここで、下段の表示領域22での表示は、縦寸法が約4.7mmといった通常のストップウオッチ並の大型のセグメントによって行われている。中段の表示領域20は、さらに、上下二段に区分され、そのうちの下段の表示領域26には、温度が24.8℃である旨が表示されている。また、中段の表示領域20のうち、上段の表示領域28には、温度に基づいて今の環境がランニングしやすいか否かをAランクからEランクまでのランクで表示するようになっている。
【0022】
(温度センサーの配置構造)
本実施形態の腕装着型温度計測装置2では、ケース14が横長であるため、腕時計における3時方向側に、感温キャップ30で覆われた温度計本体32が配置されている。このように、横長のケース14を用い、その3時方向の側に温度計本体32を配置すると、その3時方向の側には、腕装着型温度計測装置2を腕に装着したときでも、使用者の服の袖が覆うことがない。したがって、精度の高い計測を行えるという利点がある。
【0023】
なお、温度計本体32の計測範囲は、−10℃〜50℃であり、その計測単位は、0.1℃である。
【0024】
図2に示すように、ケース14は、その本体部分に相当する胴部分34、その裏面側に取り付けられた裏蓋36とから構成されており、ケース14の裏蓋36側が温度計本体配置空間38になっている。ここで、温度計本体配置空間38は、ケース14の内部に形成されている。なお、ケース14に対しては、その表面側に感温キャップ30が被せられている。この感温キャップ30のうち、温度計本体配置空間38に相当する領域には、外気が出入りするための孔42が形成されている。このため、温度計本体配置空間38には、感温キャップ30の孔42を通って外気が出入り可能である。それ故、温度計本体32は、常に新しい外気と接するので、外気の温度変化にすばやく応答する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る温度計本体32を示す図である。先ず、図3に示すように、温度計本体32は、一対の温度測定部58A,58Bを備えている。温度測定部58Aは、外気に接触する接触面60Aを有している断熱部62と、断熱部62と裏蓋36との間に設けられた第1放熱制御部64Aとを備えている。一方、温度測定部58Bは、温度測定部58Aの接触位置とは異なる位置の外気に接触する接触面60Bを有している断熱部62と、断熱部62と裏蓋36との間に第2放熱制御部64Bを備えている。すなわち、断熱部62は、温度測定部58Aと温度測定部58Bとで共通しており、共通の熱抵抗値を有している。温度計本体32は、断熱部62の半分の下部に、熱伝導率が異なる別の放熱制御部64A,64Bを貼り付けて第1系統78Aと第2系統78Bとで温度分布が異なるように構成されている。
【0026】
温度測定部58Aは、外気の温度を第1温度として測定する第1温度測定手段としての温度センサー66Aと、断熱部62と第1放熱制御部64Aとの界面68Aの温度を第1参照温度としての第1中間温度として測定する第1参照温度測定手段(中間温度測定手段)としての中間温度センサー70Aとを備えている。
【0027】
また、温度測定部58Bは、外気の温度を第2温度として測定する第2温度測定手段としての温度センサー66Bと、断熱部62と第2放熱制御部64Bとの界面68Bの温度を第2参照温度としての第2中間温度として測定する第2参照温度測定手段(中間温度測定手段)としての中間温度センサー70Bとを備えている。
【0028】
温度測定部58Aの第1放熱制御部64Aと、温度測定部58Bの第2放熱制御部64Bとは異なる材料で構成され、これにより、第1放熱制御部64Aの熱抵抗値と第2放熱制御部64Bの熱抵抗値とは異なる値に設定されている。
【0029】
温度センサー66A,66B及び中間温度センサー70A,70Bは、外気の温度及び界面68A,68Bの温度値を抵抗値に変換するものや、温度値を電圧値に変換するものなどが採用できる。なお、温度値を抵抗値に変換するものとしては、チップサーミスターや、サーミスターパターンがプリントされたフレキシブル基板、白金測温抵抗体などが採用できる。また、温度値を電圧値に変換するものとしては、熱電対素子や、PN接合素子、ダイオードなどが採用できる。
【0030】
各部の熱伝導率は、第1温度T1と第1中間温度T2との間及び第2温度T3と第2中間温度T4との間の温度差が、精度(ここでは0.1度)以上とれる材料であればよく、例えば、断熱部62の熱伝導率は、0.2〜0.02W/m・K程度であり、第1放熱制御部64Aの熱伝導率は、0.2〜0.02W/m・Kである。
【0031】
図4は、本実施形態に係る腕装着型温度計測装置2の温度分布モデルを示す図である。これは、外気から温度計本体32を通って裏蓋36までの温度分布のモデルを示している。温度測定部58Aと温度測定部58Bとの温度分布モデルについて、実線(温度測定部58A側)と一点鎖線(温度測定部58B側)とで示している。縦軸は温度(T)を、横軸は熱抵抗(R)を示している。ここで、温度(T)と熱抵抗(R)との関係が直線であれば、その傾きは熱流束Qを表す。温度測定部58Aと温度測定部58Bとの温度分布モデルは、同様の振る舞いをするので、以下には、実線で示された温度測定部58A側を中心に説明する。
【0032】
この図4に示すように、外気から裏蓋36までの温度の伝達モデルにおいては、外気の温度Toutは略一定となっている。
【0033】
また、温度測定部58A自体には断熱部62による熱抵抗(熱抵抗値R)が存在するため、温度測定部58A内でも温度の降下が生じ、温度測定部58Aの界面68Aでは第1中間温度T2となる。中間温度センサー70Aでは、この第1中間温度T2が測定されることとなる。さらに、温度測定部58Aの界面68Aと基材との間には熱抵抗値Ru1を有する第1放熱制御部64Aが存在しているために温度が低下して裏蓋36の温度Tambとなる。
【0034】
定常状態では、各部における熱流束Qは一定となるため、図4ではグラフの傾きが一定となっている。このとき、温度測定部58Aの第1温度T1及び第1中間温度T2がわかれば、熱抵抗値Rを使って、次の式(1)により温度測定部58Aの温度センサー66A側の表面から界面68Aまでの熱流束Qu1が算出できる。
【0035】
【数1】

【0036】
一方、温度センサー66Aと外気との熱伝達係数hを使って、次の式(2)により外気から温度測定部58Aの温度センサー66Aまでの熱流束Qu2が算出できる。
【0037】
【数2】

【0038】
熱流束Qは各部において一定であるから、温度計本体32内部における熱流束Qu1と、外気から温度測定部58Aの温度センサー66Aまでの部分における熱流束Qu2は等しくなる(Qu1=Qu2)。したがって、式(1)及び式(2)は、次の式(3)のように整理され、温度Toutはこの式(3)により求められる。
【0039】
【数3】

【0040】
第1放熱制御部64Aの熱抵抗値Ru1と第2放熱制御部64Bの熱抵抗値Ru2とは異なる値に設定されているため、温度測定部58Aと温度測定部58Bとの熱抵抗(R)に対する温度(T)の傾きが変わる(図4参照)。つまり、熱抵抗と温度に関する異なる二つの関係式が得られる。なお、熱伝達係数hが等しくなるように、温度センサーの外気と接触する部分の構造、表面積、及び粗さなどが構成されている。
【0041】
【数4】

【0042】
式(3)及び式(4)より、温度Toutは次の式(5)によって求められる。
【0043】
【数5】

【0044】
したがって、温度演算手段としての外気温度演算手段には、この式(5)が、温度Toutの演算式として記憶されている。
【0045】
RAM74(図5参照)には、温度計本体32から送信された第1温度T1、第2温度T3、第1中間温度T2、第2中間温度T4が記憶される。また、外気温度演算手段で演算された外気の温度Toutも記憶される。
【0046】
ここで、RAM74は、複数の温度センサーに関する温度情報を記憶可能に構成されており、温度Toutなどが記憶されている。また、RAM74は、温度Toutを算出する際に測定した第1温度T1及び第2温度T3などの測定位置を記憶可能となっている。なお、RAM74には、前述の温度情報以外にも、例えば外気の場所、測定日時などの測定情報を記憶させてもよい。この場合に、これらの測定情報は、ボタン96,98,100,102,104から入力されてもよい。
【0047】
(表示制御部の構成)
図5を参照して、表示制御部の構成を説明する。図5は、本例の腕装着型温度計測装置において、温度及び日時などを表示するための表示制御部周辺のブロック図である。
【0048】
図において、表示制御部80は、CPU82を中心に構成され、その他の回路部がこれに接続する構成になっている。また、表示制御部80は、1チップマイクロコンピューターとして構成してもよい。CPU82は、各回路部に制御信号を送ってそれらを制御するとともに、送られてきたデータを処理している。まず、発振回路84は、一定周波数のクロック信号を送出し続けており、分周回路86は、発振回路84からの信号を所定の周波数にまで分周している。計時回路88は、分周回路86からの信号を計数して現在時刻を得て、それをCPU82に出力している。RAM74は、CPU82に制御されながらそれから出力されてくるデータなどを順次記憶していくとともに、CPU82からの指令に基づいて、記憶しているデータなどをCPU82に出力する。液晶表示パネル24は、表示駆動回路92によって駆動され、CPU82から出力されたデータを表示する。なお、報知音発生装置94は、外部から操作が行われたときや所定のタイミングなどにおいて報知音を発生する。
【0049】
したがって、腕装着型温度計測装置2では、図1に示すように、液晶表示パネル24で構成された表示部16において、上段の表示領域18に日付を表示できるとともに、下段の表示領域22に時刻を表示できる。
【0050】
さらに、本例では、図1に示すように、装置本体10の側面部にボタン96が付されており、このボタン96を押すと、腕装着型温度計測装置2は、ストップウオッチモードに切り替わるようになっている。また、腕装着型温度計測装置2の装置本体10の側面部には、ボタン98,100,102も付されている。また、装置本体10の表面部には、ボタン104も付されている。ここで、ボタン96を押すと、ストップウオッチが待機状態になり、それ以降、ボタン104を押すと、時間の経過が計測され始める。その結果、表示部16では、上段の表示領域18にスプリットタイムが表示され、下段の表示領域22にラップタイムが大きく表示される。また、ボタン102を押すと、上段の表示領域18と下段の表示領域22との間で表示内容が入れ代わり、上段の表示領域18にラップタイムが表示され、下段の表示領域22にスプリットタイムが大きく表示される。したがって、利用者は、スプリットタイムとラップタイムのいずれを大きく表示したいかを自由に選択できるので、ランニング中でも、スプリットタイムとラップタイムとを明確に確認できる。また、腕装着型温度計測装置2をこのモードで用いたときには、各スプリットタイムやラップタイム、及び外気温度をRAM74に記憶させておくので、競技が終了した後に、それらを改めて表示させることが可能である。なお、本例におけるスプリットタイムとは、通常のマラソンなどで用いる意味とは異なり、スタート時から所定の地点を通過するまでの時間のことをいう。また、本例におけるラップタイムとは、通常のマラソンなどで用いる意味とは異なり、各区間を通過するのに要した時間のことをいう。
【0051】
再び、図5において、CPU82は、温度計本体32に対して起動信号を出力しており、この起動信号に基づいて、温度計本体32は、1分毎に温度によって変化する抵抗値や電圧値を計測し、その結果をアナログ信号としてA/D変換回路106に出力している。A/D変換回路106は、温度計本体32から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU82に出力している。CPU82は、前記抵抗値や電圧値から計算される第1温度T1及び第2温度T3と、第1中間温度T2及び第2中間温度T4とに基づいて、外気の温度Toutを演算する外気温度演算手段を備えている。外気温度演算手段は、第1温度T1、第1中間温度T2、第2温度T3、及び第2中間温度T4を用いて外気の温度Toutを演算する。したがって、CPU82は、温度計本体32の検出結果に所定の演算を行って液晶表示パネル24で表示する温度を求めることができ、求めた温度を液晶表示パネル24で表示することが可能である。
【0052】
本実施形態によれば、熱抵抗の異なるセンサーを用いることで、小型で正確な精度の高い外気温を測定できる温度計測装置を提供できる。
【0053】
(第2の実施形態)
図6は、本実施形態に係る温度計本体44を示す図である。先ず、図6に示すように、温度計本体44は、一対の温度測定部58A,58Bを備えている。温度測定部58Aは、外気に接触する接触面60Aを有している断熱部62を備えている。一方、温度測定部58Bは、温度測定部58Aの接触位置とは異なる位置の外気に接触する接触面60Bを有している断熱部62と、断熱部62と裏蓋36との間に第2放熱制御部64Bを備えている。すなわち、断熱部62は、温度測定部58Aと温度測定部58Bとで共通しており、共通の熱抵抗値を有している。温度計本体44は、温度測定部58Bの断熱部62の半分の下部に、熱伝導率が異なる別の第2放熱制御部64Bを貼り付けて第1系統78Aと第2系統78Bとで温度分布が異なるように構成されている。
【0054】
(変形例1)
図7は、本変形例に係る腕装着型温度計測装置4の要部を拡大して示す断面図である。温度計本体32とケース14との配置関係については、温度計本体32周辺部分(温度測定部58A,58B)が外気と接する状態に配置されている。例えば図7に示すように、温度計本体32がケース14の表面部に露出する構造であってもよい。
【0055】
(変形例2)
図8は、本変形例に係る外気温センサーを示す図である。上記実施形態では、腕時計型を例として書いているが、熱を産出する物体に設置して、かつ、正確に外気温を測りたい用途に使用することができる。例えば、自動車の外気温計として使用することで、エンジンの影響で外気温が正確に測れない虞を排除することができる。また、図8に示すように、温度計本体32(44)を備える装置本体46を配管48に貼り付けてボイラーの外気温計として使用することで、ボイラーそのものの熱で外気温が正確に測れない虞を排除することができる。
【0056】
(変形例3)
温度計本体32と表示制御部80とを別体に構成し、送受信手段によって通信可能に構成してもよい。携帯あるいは常設される温度計本体に搭載する部品数を最小限に抑制でき、温度計本体の軽量化、小型化を促進できる。よって、温度計本体を長時間装着していても負担にはならないため、温度計本体の携帯性を向上させることができる。
【0057】
また、送受信手段がアンテナコイルによって無線通信を行う構成となるので、配線などが邪魔にならず、腕装着型温度計測装置の取扱い性を向上させることができる。
【0058】
さらに、表示制御部のアンテナコイルから電波を送信することで、電磁誘導により温度計本体のアンテナコイルに起電力を生じさせることができる。この起電力により温度計本体を駆動できるので、温度計本体には電池などの電源が不要となり、温度計本体の軽量化、小型化をより一層促進できる。
【0059】
またさらに、記憶部が、複数の外気について温度Toutなどの情報を記憶できるので、温度計本体を複数個所に交互に使用することもでき、温度計本体の利便性を向上させることができる。これにより、温度計本体を複数個所で使用する場合でも、記憶部から対象となる被測定箇所の以前の温度Toutを読み出すことができるので、長期間にわたる温度のモニタリングにも適している。
【0060】
また、表示制御部80が複数の温度計本体32の情報を管理するように構成されていてもよい。この場合には、各温度計本体32を識別できるIDコードなどを設け、表示制御部80で温度計本体32を認識、管理できるように構成すればよい。
【0061】
また、電子温度計の情報を端末などに送って複数個の電子温度計の情報を管理してもよい。この場合には、端末に時間ごとの温度データなどを蓄積、管理できるので、操作性が向上する。また、このような構成では、使用する電子温度計を変更した場合でも以前に算出した温度データなどを端末から取得できるので、電子温度計の利便性を向上させることができる。
【0062】
測定手段及び参照温度測定手段は、2つずつ設けられるものに限らず、3つ以上の複数個設けられていてもよい。
【0063】
表示体の形状は、腕時計に限らず、例えば据置きであってもよいし、その他ペンダント式などにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2,4…腕装着型温度計測装置(温度計測装置) 10…装置本体 12…腕装着用バンド 14…ケース 16…表示部 18,20,22…表示領域 24…液晶表示パネル 26,28…表示領域 30…感温キャップ 32…温度計本体 34…胴部分 36…裏蓋 38…温度計本体配置空間 42…孔 44…温度計本体 46…装置本体 48…配管 58A,58B…温度測定部 60A,60B…接触面 62…断熱部 64A…第1放熱制御部 64B…第2放熱制御部 66A…温度センサー(第1温度測定手段) 66B…温度センサー(第2温度測定手段) 68A,68B…界面 70A…中間温度センサー(中間温度測定手段、第1参照温度測定手段) 70B…中間温度センサー(中間温度測定手段、第2参照温度測定手段) 74…RAM 78A…第1系統 78B…第2系統 80…表示制御部 82…CPU 84…発振回路 86…分周回路 88…計時回路 92…表示駆動回路 94…報知音発生装置 96,98,100,102,104…ボタン 106…A/D変換回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気の第1温度を測定する第1温度測定手段と、
前記第1温度の測定位置との間に所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に第1熱抵抗値を有する位置の温度を第1参照温度として測定する第1参照温度測定手段と、
前記第1温度の測定位置とは異なる外気位置の第2温度を測定する第2温度測定手段と、
前記第2温度の測定位置との間に前記所定の熱抵抗値を有し、かつ基材との間に前記第1熱抵抗値とは異なる第2熱抵抗値を有する位置の温度を第2参照温度として測定する第2参照温度測定手段と、
前記第1温度、前記第1参照温度、前記第2温度、及び前記第2参照温度を用いて前記外気の温度を演算する温度演算手段と、
を含むことを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度計測装置において、
前記第1温度の測定位置と前記第1参照温度の測定位置との間、及び前記第2温度の測定位置と前記第2参照温度の測定位置との間には、共通の前記所定の熱抵抗値を有する断熱部が設けられ、
前記第1参照温度の測定位置と基材との間には、前記第1熱抵抗値を有する第1放熱制御部が設けられ、
前記第2参照温度の測定位置と基材との間には、前記第2熱抵抗値を有する第2放熱制御部が設けられていることを特徴とする温度計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度計測装置において、
前記温度演算手段で演算された前記外気の温度を表示する表示部を有する表示装置と、
前記第1温度測定手段及び前記第2温度測定手段を有する温度計本体と、
を含み、
前記表示装置と前記温度計本体とは、別体で構成されていることを特徴とする温度計測装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温度計測装置において、
前記温度演算手段は、前記表示装置に設けられていることを特徴とする温度計測装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の温度計測装置において、
前記表示装置及び前記温度計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ含んでいることを特徴とする温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191163(P2011−191163A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57135(P2010−57135)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】