説明

温度調整装置

【課題】温調対象流体を温調することに加えて、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能とする温度調整装置の提供。
【解決手段】温調対象流体Pを冷却させる冷却用熱交換器7と、その冷却用熱交換器7に
て冷却された温調対象流体Pを加熱する加熱手段12とを備え、加熱手段12を通過した温調対象流体Pを空調対象空間Kに供給し、冷却用熱交換器7にて冷却された温調対象流体Pを、加熱手段12に供給する第1分岐温調対象流体P1と冷却用熱交換器7にて冷却された温調対象流体Pが有する熱を利用する熱利用部11に供給する第2分岐温調対象流体P2とに分岐させる分岐手段21と、熱利用部11を通過した第2分岐温調対象流体P2を加熱手段12に供給される前の第1分岐温調対象流体P1に合流させる合流手段22とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調対象流体を冷却させる冷却用熱交換器と、その冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段を通過した温調対象流体を空調対象空間に供給する温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温度調整装置は、例えば、圧縮機、凝縮器、膨張部、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷凍サイクルを備え、蒸発器を冷却用熱交換器として用いている。そして、蒸発器にて冷媒と温調対象流体とを熱交換させて温調対象流体を冷却し、その冷却された温調対象流体を加熱手段にて加熱することにより、温調対象流体の温度を目標温度範囲(例えば、目標温度(20℃)±0.1℃の範囲)内に調整している。そして、温調対象流体は、例えば、空調対象空間に供給する温調対象空気としており、このように温調された目標温度範囲の温調対象空気を空調対象空間に供給するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−39345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、工場等では温調対象流体を温調することに加えて、圧縮空気等の温調対象流体とは別の流体を温調したり、各種機器を冷却する等、別の用途でも熱を利用することが求められている場合がある。
そこで、例えば、温度調整装置とは別に熱を発生させる熱源装置を設け、その熱源装置にて発生した熱を別の用途に利用することが考えられる。しかしながら、この場合には、あらたに熱源装置を設けなければならず、コストアップを招くことになる。
【0005】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、温調対象流体を温調することに加えて、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能とする温度調整装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る温度調整装置の特徴構成は、温調対象流体を冷却させる冷却用熱交換器と、その冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段を通過した温調対象流体を空調対象空間に供給する温度調整装置において、
前記冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を、前記加熱手段に供給する第1分岐温調対象流体と前記冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体が有する熱を利用する熱利用部に供給する第2分岐温調対象流体とに分岐させる分岐手段と、
前記熱利用部を通過した前記第2分岐温調対象流体を前記加熱手段に供給される前の前記第1分岐温調対象流体に合流させる合流手段とが備えられている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、分岐手段が、第1分岐温調対象流体を加熱手段に供給するだけでなく、冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体の一部である第2分岐温調対象流体を熱利用部に供給するので、熱利用部では、第2分岐温調対象流体と熱媒体等を熱交換させる等により第2分岐温調対象流体が有する冷熱を取得できる。よって、その取得した冷熱を用いて、温調対象流体とは別の流体を温調したり、各種機器を冷却することができ、別の用途でも熱を利用可能となる。したがって、温調対象流体を温調することに加えて、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能となる。
【0008】
しかも、単に、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能とするだけでなく、温調対象流体を温調するための熱交換器と熱利用部に供給する熱を取得するための熱交換器とを冷却用熱交換器にて兼用して、構成の簡素化を図ることができる。
また、合流手段は、熱利用部を通過した第2分岐温調対象流体を、装置外に排気させるのではなく、加熱手段に供給される前の第1分岐温調対象流体に合流させるので、熱利用部を通過した第2分岐温調対象流体を装置外に排気するための排気路等を別途設けなくてもよく、それら温調対象流体の全てを空調対象空間へ供給することができ、この点でも構成の簡素化を図ることができる。そして、第1分岐温調対象流体は、第2分岐温調対象流体の合流により温度が変化することになるが、合流後の第1分岐温調対象流体及び第2分岐温調対象流体は加熱手段にて加熱されて温調される。これにより、第1分岐温調対象流体よりも多くの温調対象流体を精密に温調して、それを空調対象空間の温調用に利用できながら、構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
以上のことから、温調対象流体を温調することに加えて、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能としながら、空調対象空間を精密に温調された多くの温調対象流体にて精密に温調するという元々の機能を損なうことなく、構成の簡素化を図ることができる温度調整装置を実現できる。
【0010】
本発明に係る温度調整装置の更なる特徴構成は、前記熱利用部は、前記温調対象流体とは別の別温調対象流体と前記第2分岐温調対象流体とを熱交換させて前記別温調対象流体を冷却させる熱利用熱交換器にて構成されている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、熱利用部では、熱利用熱交換器にて例えば圧縮空気等の別温調対象流体を冷却させることができる。よって、例えば圧縮空気等の別温調対象流体を温調させるという別の用途に装置が発生する熱を利用することができる。
【0012】
本発明に係る温度調整装置の更なる特徴構成は、圧縮機、凝縮器、膨張部、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷凍サイクルと、前記蒸発器において前記冷媒にて冷却された熱伝達用液体を前記冷却用熱交換器に供給して、前記熱伝達用液体と前記温調対象流体とを熱交換させる熱伝達用液体供給手段とを備えている点にある。
【0013】
蒸発器における冷媒を熱源として温調対象流体を冷却させるに当たり、蒸発器において冷媒と温調対象流体とを熱交換させると、温調対象流体を均一に冷却することが難しい。すなわち、例えば、冷媒の状態変化の度合い等によって蒸発器における入口側を通流する冷媒の温度と出口側を通流する冷媒の温度とが異なる等、蒸発器の全体に亘って冷媒の温度を均一にすることが難しい。よって、蒸発器において冷媒にて温調対象流体を冷却すると、温調対象流体を均一に冷却することが難しく、温調対象流体に温度むらが生じる場合がある。
【0014】
そこで、本特徴構成によれば、蒸発器において、冷媒にて温調対象流体を冷却させるのではなく、冷媒にて熱伝達用液体を冷却させている。そして、熱伝達用液体供給手段が、蒸発器にて冷却された熱伝達用液体を冷却用熱交換器に供給して、熱伝達用液体と温調対象流体との熱交換により温調対象流体を冷却させるようにしている。熱伝達用液体は、冷媒と比べて比重が大きいので、熱伝達用液体と温調対象流体とを熱交換させる際に、熱伝達用液体の温度を均一にすることができる。よって、温調対象流体を温度むらがなく均一な温度に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る温度調整装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この温度調整装置Dは、図1に示すように、温調対象流体Pを冷却したのち加熱して目標温度範囲に温調するとともに、装置が発生する熱を熱利用部11にて利用して別温調対象流体Qを冷却するように構成されている。ここで、例えば、温調対象流体Pは、空調対象空間Kを温調するために空調対象空間Kに供給する温調対象空気が用いられ、別温調対象流体Qは、圧縮空気が用いられている。
また、この温度調整装置Dは、温調した温調対象流体Pを空調対象空間Kに供給して空調対象空間Kを温調するとともに、空調対象空間Kの温調対象流体Pの少なくとも一部を温度調整装置Dに戻して温調するように構成されている。つまり、温度調整装置Dと空調対象空間Kとの間で温調対象流体Pを循環して空調対象空間Kを温調するように構成されている。
【0016】
温度調整装置Dは、圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3(膨張部に相当する)、蒸発器4の順に冷媒A(図中点線矢印参照)を循環させる冷媒回路5を備えた冷凍サイクルCと、蒸発器4において冷媒Aにて冷却された熱伝達用液体B(図中実線矢印参照)を循環させる液体回路6(熱伝達用液体供給手段に相当する)とを備えて構成されている。ここで、熱伝達用液体Bとして、例えば水が用いられている。
【0017】
液体回路6には、熱伝達用液体Bの流れ方向において、膨張された冷媒Aと熱伝達用液体Bとを熱交換させて熱伝達用液体Bを冷却する蒸発器4と、蒸発器4にて冷却された熱伝達用液体Bと温調対象流体Pとを熱交換させる冷却用熱交換器7と、熱伝達用液体Bを循環させる液体ポンプ8と、熱伝達用液体Bと圧縮機1から吐出された冷媒Aの一部とを熱交換させる第1再熱器9とが備えられている。熱伝達用液体Bは、蒸発器4において冷媒Aにて冷却され、その冷却により取得した冷熱を用いて冷却用熱交換器7にて温調対象流体Pを冷却させるように構成されている。
【0018】
そして、温度調整装置Dには、温調対象流体Pを送風させる送風ファン10が備えられている。また、温度調整装置Dには、冷却用熱交換器7において熱伝達用液体Bにて冷却された温調対象流体Pを、第2再熱器12に供給する第1分岐温調対象流体P1と熱利用部11に供給する第2分岐温調対象流体P2とに分岐させる分岐手段21と、熱利用部11を通過した第2分岐温調対象流体P2を第2再熱器12に供給される前の第1分岐温調対象流体P1に合流させる合流手段22とが備えられている。
【0019】
分岐手段21は、詳細な図示は省略するが、冷却用熱交換器7を通過した温調対象流体Pの流路を分岐させる分岐流路にて構成されている。そして、分岐手段21は、冷却用熱交換器7を通過した第1分岐温調対象流体P1を第2再熱器12に導く第1分岐流路23と、冷却用熱交換器7を通過した第2温調対象流体P2を熱利用部11に導く第2分岐流路24とから構成されている。第1分岐流路23及び第2分岐流路24は、第1分岐流路23での第1分岐温調対象流体P1の流量と第2分岐流路24での第2分岐温調対象流体P2の流量との関係が予め設定された関係(例えば1対1)となるように流路面積等が調整されている。また、例えば、各流路にダンバー等を設けて各流路における温調対象流体Pの流量を調整可能に構成することもできる。
合流手段22は、熱利用部11を通過した第2分岐温調対象流体P2を第1分岐流路23の途中部分に供給する流路にて構成されている。
【0020】
第2再熱器12は、第1分岐温調対象流体P1及びこれに合流させた第2分岐温調対象流体P2と圧縮機1から吐出された冷媒Aの一部を熱交換させて温調対象流体Pを加熱するように構成されており、この第2再熱器12が加熱手段に相当する。熱利用部11は、別温調対象流体Qと第2分岐温調対象流体P2とを熱交換させて別温調対象流体Qを冷却させる熱利用熱交換器にて構成されている。
【0021】
温調対象流体Pは、冷却用熱交換器7において熱伝達用液体Bにて所望温度に冷却され、分岐手段21により第1分岐温調対象流体P1と第2分岐温調対象流体P2とに分岐される。そして、熱利用部11では、第2分岐温調対象流体P2と別温調対象流体Qとが熱交換されて、別温調対象流体Qを所望温度に冷却する。これにより、温調対象流体Pを温調することに加えて、冷却用熱交換器7にて取得した冷熱を熱利用部11にて別温調対象流体Qを温調するという別の用途に用いることができる。また、温調対象流体Pを温調するための熱交換器と熱利用部11に供給する熱を取得するための熱交換器とを冷却用熱交換器7にて兼用しており、構成の簡素化を図っている。
そして、第1分岐温調対象流体P1は、第2分岐温調対象流体P2の合流によりその温度が変化するが、合流後の第1分岐温調対象流体P1及び第2分岐温調対象流体P2が第2再熱器12にて所望温度に加熱される。これにより、第2分岐温調対象流体P2を装置外に排気させる排気路を設けずに、第1分岐温調対象流体P1と第2分岐温調対象流体P2との温調対象流体Pの全てを空調対象空間Kへ供給することができ、精密に温調された多くの温調対象流体Pにて空調対象空間Kを精密に温調するという元々の機能を損なうことがない。
【0022】
この温度調整装置Dは、空調対象空間Kとの間で温調対象流体Pを循環して空調対象空間Kを温調するように構成されている。例えば、空調対象空間Kから温度調整装置Dに戻された温調対象流体Pの一部を装置外に排気させると、循環させる温調対象流体Pの流量を確保するために外気を取り入れる必要がある。この場合には、全く温調されていない外気を取り入れることになり、温調対象流体Pを精密に温調し難くなり、空調対象空間Kの温調を精密に行い難くなる可能性がある。また、外気には、塵埃等が含まれている場合があり、外気の取り入れにより空調対象空間Kのクリーン度が低下する可能性がある。
本発明に係る温度調整装置Dでは、空調対象空間Kから温度調整装置Dに戻された温調対象流体Pを第1分岐温調対象流体P1と第2分岐温調対象流体P2とに分岐させるが、第1分岐温調対象流体P1と第2分岐温調対象流体P2と合流させてその合流後の第1分岐温調対象流体P1及び第2分岐温調対象流体P2を精密に温調して空調対象空間Kに供給するようにしている。これにより、空調対象空間Kから温度調整装置Dに戻された温調対象流体Pの全てを精密に温調して空調対象空間Kに供給することができるので、温調対象流体Pの流れとしては、温度調整装置Dと空調対象空間Kとの間で循環する閉回路とすることができる。よって、外気を取り入れる必要がない又はほとんどなくなり、空調対象空間Kの温調を精密に行い難くなる、或いは、空調対象空間Kのクリーン度が低下するという問題の発生を防止することができる。
【0023】
温度調整装置Dには、熱利用部11にて冷却された別温調対象流体Qと圧縮機1から吐出された冷媒Aの一部と熱交換させる第3再熱器13が設けられている。これにより、別温調対象流体Qは、熱利用部11において第2分岐温調対象流体P2にて冷却されたのち、第3再熱器13において冷媒Aにて所望温度に加熱されて、目的の供給箇所に供給される。
【0024】
冷媒回路5において、圧縮機1と凝縮器2との間から分岐されて凝縮器2と膨張弁3との間に合流される分岐合流路14が設けられている。そして、分岐合流路14は、互いに並列状態で接続された第1分岐合流路15と第2分岐合流路16と第3分岐合流路17とを備えている。
第1分岐合流路15には、冷媒Aの流れ方向の上流側から順に、冷媒Aの断続及び冷媒Aの流量を調整自在な第1冷媒調整弁18、第1再熱器9が設けられている。第2分岐合流路16には、冷媒Aの流れ方向の上流側から順に、冷媒Aの断続及び冷媒Aの流量を調整自在な第2冷媒調整弁19、第2再熱器12が設けられている。第3分岐合流路17には、冷媒Aの流れ方向の上流側から順に、冷媒Aの断続及び冷媒Aの流量を調整自在な第3冷媒調整弁20、第3再熱器13が設けられている。
【0025】
温調対象流体P及び別温調対象流体Qを温調させるときの動作について説明する。
まず、蒸発器4を流れる冷媒Aの冷熱を熱伝達用液体Bが取得するために、蒸発器4において冷媒Aと熱伝達用液体Bとを熱交換させて冷媒Aにて熱伝達用液体Bを所望温度に冷却する。例えば、蒸発器4を通流させる冷媒Aの通流量や熱伝達用液体Bの通流量等を調整することにより、熱伝達用液体Bを所望温度に冷却させる。そして、例えば、蒸発器4に供給される熱伝達用液体Bの温度を20℃とし、蒸発器4を通過した熱伝達用液体Bの温度を15℃としている。
【0026】
このように熱伝達用液体Bが取得した冷熱を用いて、冷却用熱交換器7において熱伝達用液体Bにて温調対象流体Pを所望温度に冷却する。例えば、冷却用熱交換器7を通過した温調対象流体Pの温度を検出する図外の温度センサの検出情報に基づいて熱伝達用液体Bの通流量等を調整することにより、温調対象流体Pを例えば17±1.0℃の所望温度に冷却させる。このとき、例えば、冷却用熱交換器7に供給される熱伝達用液体Bの温度を15℃とし、冷却用熱交換器7を通過した熱伝達用液体Bの温度を17℃としている。一方、冷却用熱交換器7に供給される温調対象流体Pの温度を22℃としている。
【0027】
そして、冷却用熱交換器7にて冷却されたのち分岐された第2分岐温調対象流体P2が、取得した冷熱を用いて熱利用部11において別温調対象流体Qを所望温度に冷却させる。このとき、例えば、熱利用部11に供給される別温調対象流体Qの温度を22℃とし、熱利用部11を通過した別温調対象流体Qの温度を18℃とし、熱利用部11を通過した第2分岐温調対象流体P2の温度を19℃としている。
【0028】
第1分岐温調対象流体P1は、第2分岐温調対象流体P2が合流され、合流後の第1分岐温調対象流体P1及び第2分岐温調対象流体P2が、第2再熱器12にて所望温度に加熱されて空調対象空間Kに供給される。例えば、第2再熱器12を通過した温調対象流体Pの温度を検出する図外の温度センサの検出情報に基づいて第2冷媒調整弁19の開度等を調整することにより、温調対象流体Pを例えば20±0.1℃の所望温度に精密に温調させる。
【0029】
熱利用部11にて冷却された別温調対象流体Qは、第3再熱器13にて所望温度に加熱されて、別温調対象流体Qを使用する目的の箇所に供給される。例えば、第3再熱器13を通過した別温調対象流体Qの温度を検出する図外の温度センサの検出情報に基づいて第3冷媒調整弁20の開度等を調整することにより、別温調対象流体Qを20℃の所望温度に温調させる。
【0030】
ちなみに、液体回路6に第1再熱器9を設けているので、温調対象流体Pや別温調対象流体Qを温調させる必要がない無負荷状態であるときに、第1冷媒調整弁18を開弁することにより第1再熱器9において冷媒Aにて熱伝達用液体Bを加熱させる。そして、第1再熱器9にて加熱された熱伝達用液体Bを蒸発器4に供給することにより、蒸発器4における凍結等を防止するようにしている。
【0031】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、第1再熱器9、第2再熱器12、第3再熱器13の夫々について、例えば、電気ヒータ等の加熱手段に代えて実施することもできる。また、第1再熱器9及び第3再熱器13については省略することもできる。
【0032】
(2)上記実施形態において、別温調対象流体Qを圧縮空気としているが、温調対象流体と別温調対象流体とは別の流体であればよく、例えば、各種機器を冷却するために用いる冷却水を別温調対象流体Qとすることも可能である。これにより、熱利用部11にて取得した冷熱を各種機器を冷却する用途に用いることができる。
【0033】
(3)上記実施形態では、液体回路6を設け、蒸発器4において冷媒Aにて冷却された熱伝達用液体Bを冷却用熱交換器7に供給することにより、温調対象流体Pを冷却させるようにしているが、例えば、蒸発器4をそのまま冷却用熱交換器7として用いて、冷媒Aにて温調対象流体Pを直接冷却させるようにしてもよい。
【0034】
(4)上記実施形態では、本発明に係る温度調整装置Dとして、空調対象空間Kとの間で温調対象流体Pを循環して空調対象空間Kを温調するものを例示したが、例えば、温度調整装置は、空調対象空間との間で循環される温調対象流体に外気を取り入れて、その外気を取り入れた温調対象流体を温調して空調対象空間に供給するように構成することもでき、温度調整装置がどのような流体を温調対象流体とするかについては適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、温調対象流体を冷却させる冷却用熱交換器と、その冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を加熱する加熱手段とを備え、加熱手段を通過した温調対象流体を空調対象空間に供給し、温調対象流体を温調することに加えて、装置が発生する熱を別の用途でも利用可能とする各種の温度調整装置に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】温度調整装置の構成図
【符号の説明】
【0037】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 膨張部(膨張弁)
4 蒸発器
6 熱伝達用液体供給手段(液体回路)
7 冷却用熱交換器
11 熱利用部(熱利用熱交換器)
12 加熱手段(第2再熱器)
21 分岐手段
22 合流手段
A 冷媒
B 熱伝達用液体
C 冷凍サイクル
D 温度調整装置
K 空調対象空間
P 温調対象流体
P1 第1分岐温調対象流体
P2 第2分岐温調対象流体
Q 別温調対象流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調対象流体を冷却させる冷却用熱交換器と、その冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段を通過した温調対象流体を空調対象空間に供給する温度調整装置であって、
前記冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体を、前記加熱手段に供給する第1分岐温調対象流体と前記冷却用熱交換器にて冷却された温調対象流体が有する熱を利用する熱利用部に供給する第2分岐温調対象流体とに分岐させる分岐手段と、
前記熱利用部を通過した前記第2分岐温調対象流体を前記加熱手段に供給される前の前記第1分岐温調対象流体に合流させる合流手段とが備えられている温度調整装置。
【請求項2】
前記熱利用部は、前記温調対象流体とは別の別温調対象流体と前記第2分岐温調対象流体とを熱交換させて前記別温調対象流体を冷却させる熱利用熱交換器にて構成されている請求項1に記載の温度調整装置。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、膨張部、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
前記蒸発器において前記冷媒にて冷却された熱伝達用液体を前記冷却用熱交換器に供給して、前記熱伝達用液体と前記温調対象流体とを熱交換させる熱伝達用液体供給手段とを備えている請求項1又は2に記載の温度調整装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−156475(P2010−156475A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333543(P2008−333543)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】