説明

温度調節可能な冷菓調理台

【課題】本発明は、冷却効率が良好で、多段階に温度の調節が可能な冷菓調理台を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る温度調節可能な冷菓調理台Aは、上面が調理面をなす平板状の調理板の下面に複数の冷却管21,22が配され、該冷却管はそれぞれ対応する冷媒液化装置31,32に接続され、各冷媒液化装置は各冷却管を含めて冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成し、冷却管に冷媒が通過することにより調理板が冷却され、各冷却管21,22は調理板の下面において交互に並列するように配管され、各冷媒液化装置の一方のみを稼働又は停止させるスイッチ41,42を設け、調理板に温度センサーを設置し、該温度センサーが検知した温度が所定温度以上になるとスイッチが入り、所定温度以下になるとスイッチが切れるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリームやシャーベットなどの冷菓を調理製造する冷菓調理台に関し、特に温度の調節が可能な冷菓調理台に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、アイスクリームやシャーベットなどの冷菓は、冷菓メーカにより製造され、調理済みの冷菓が小売店等で販売されるのが一般的である。また、冷菓をたこ焼きのように店頭において調理の実演を行いながら販売ができるようにするために種々の冷菓調理台の開発が試みられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来より開発が試みられた冷菓調理台は、冷却効率が悪いために、満足が得られる冷菓が調理できず、また、冷却効率を上げようとすれば、冷菓調理台の製造コストが高くつくため、未だ、実用に耐えうる冷菓調理台が開発できなかった。
【0004】
そこで、本発明者は、冷却効率が良好で、多段階に温度の調節が可能な冷菓調理台を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る温度調節可能な冷菓調理台は、上面が調理面をなす平板状の調理板の下面に複数の冷却管が配され、該冷却管はそれぞれ対応する冷媒液化装置に接続され、各冷媒液化装置は各冷却管を含めて冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成し、冷却管に冷媒が通過することにより調理板が冷却され、各冷却管は調理板の下面において交互に並列するように配管され、各冷媒液化装置の一方のみを稼働又は停止させるスイッチを設けたことを特徴とするものである。なお、調理板に温度センサーを設置し、該温度センサーが検知した温度が所定温度以上になるとスイッチが入り、所定温度以下になるとスイッチが切れるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
以上の構成よりなる本発明に係る温度調節可能な冷菓調理台は、多段階に温度の調節が可能であるため、設置環境の気温が高くて、また、操業率が高くて調理面が所定温度まで下がらない場合に、調理面を急速に又は強く冷却したり、逆に設置環境の気温が低くて、また、操業率が低くて液化冷媒装置をそんなに稼働される必要がない場合は、液化冷媒装置のいくつかを停止することにより合理的に節電することができ、実用性の極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の好適な実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は冷菓調理台の正面図であり、図2は本実施例に係る冷菓調理台の平面図であり、図3は調理板を取り除いて各冷却管の配管状態を示した平面図であり、図4は図3において一方の冷却管を取り除いた状態を示す平面図である。
【0009】
図1においてAは本実施例に係る冷菓調理台であって、該冷菓調理台Aは、その全体は4本の支持脚と天板とからなるテーブルタイプの形状をなしている。その天板面である頂面には、図2に示すように、上面が調理面をなす調理板10が頂面の大部分を蓋するような状態で配置されている。該調理板10は、5mm〜15mmの厚みの平板な鉄製よりなるものであり、これより薄いと熱による変形が大きく表面が反ってしまい、これより厚いとコストが高くなり、かつ、かなりの重量物なって取り扱いが困難となる。望ましくは8mm〜12mmの範囲の鉄板を使用することが好都合である。本発明に係るアイスクリームは冷却した鉄板に液状のアイスクリームを流して冷却固化させ、鉄板にこびりついたアイスクリームをへらで剥がして形成する調理法であるため、鉄板の表面が反りのない平滑面であることが必要である。鉄板が薄いと、鉄板の下面と上面との温度差により容易に反り返ってしまって、鉄板にこびりついたアイスクリームがきれいに剥がすることができなくなって、アイスクリームの製造が困難となる。
【0010】
上記調理板10の下面には、図3に示すように、第1冷却管21及び第2冷却管22が配されており、図1と図3とで示されるように、該第1冷却管21は第1冷媒液化装置31に接続され、該第2冷却管22は第2冷媒液化装置32に接続され、各冷媒液化装置31,32は各冷却管21,22を含めて冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成する。21aは第1冷却管21の冷媒入口であり、21bは第1冷却管21の冷媒出口であり、22aは第2冷却管22の冷媒入口であり、22bは第2冷却管22の冷媒出口である。また、31aは第1冷媒液化装置31の冷媒入口であり、31bは第1冷媒液化装置31の冷媒出口であり、32aは第2冷媒液化装置32の冷媒入口であり、32bは第2冷媒液化装置32の冷媒出口である。そして、第1冷却管21の冷媒入口21aと第1冷媒液化装置31の冷媒出口31bとが管接続され、第1冷却管21の冷媒出口21bと第1冷媒液化装置31の冷媒入口31aとが管接続されることにより、第1冷却管21に冷媒が循環する。また、第2冷却管22の冷媒入口22aと第2冷媒液化装置32の冷媒出口32bとが管接続され、第2冷却管22の冷媒出口22bと第2冷媒液化装置32の冷媒入口32aとが管接続されることにより、第2冷却管22に冷媒が循環する構造になっている。なお、各冷媒液化装置は、各冷却管冷媒出口から送出される気体状冷媒をコンプレッサーにより高温高圧の冷媒に圧縮した後、コンデンサにより放熱凝縮して液化し、この液状冷媒を各冷却管入口に送出する構造を備えており、各冷却管内を流れる液状冷媒が調理板10の下面を通過する際に気化することにより調理板10を冷却するしくみになっている。
【0011】
この第1冷却管21と第2冷却管22は、図3に示すように、調理板10の下面において交互に並列するように配管されている。この状態をさらに明確に確認できるように、第2冷却管22を取り除いて第1冷却管21のみを配した状態を図4に示す。図4に示すように、第1冷却管21は、1本の細管を蛇行状に折り曲げることによって直線部と湾曲部とから構成されるものであり、第2冷却管22は、前記第1冷却管21と左右対称であって、これら第1冷却管21及び第2冷却管22は、両冷却管の直線部を同一平面上に並列するように配置し、両冷却管の湾曲部における交差部は段違いになるようにさらに湾曲して配置することにより、調理板10の下面に両冷却管の直線部が密接するように構成したものである。そして、第1冷却管21及び第2冷却管22に冷媒が通過することにより調理板10の下面が冷却され、熱伝導作用により調理板10の上面である調理面が冷却されるようになっている。
【0012】
上記本実施例1における冷菓調理台Aには、さらに各冷媒液化装置31,32を稼働又は停止させるスイッチ41,42が設けられており、スイッチ41により冷媒液化装置31を停止させると、第1冷却管21への冷媒の流入が停止して、第1冷却管21からの冷却作用が停止する。また、スイッチ42により冷媒液化装置32を停止させると、第2冷却管22への冷媒の流入が停止して、第2冷却管22からの冷却作用が停止する。51は、調理板10の温度を表示する温度計である。このように構成することにより、冷媒液化装置2基を稼働させる場合、冷媒液化装置1基を稼働させる場合、冷媒液化装置2基とも停止させる場合のように、3段階に温度調節が可能であり、設置環境の気温が高くて、また、操業率が高くて調理面が所定温度まで下がらない場合に、調理面を急速に又は強く冷却したり、逆に設置環境の気温が低くて、また、操業率が低くて液化冷媒装置をそんなに稼働される必要がない場合は、液化冷媒装置のいくつかを停止することにより合理的に節電することができる。なお、一方の冷媒液化装置に対して、その装置だけを稼働又は停止させるスイッチを設け、これとは別個に、両冷媒液化装置を同時に停止させるスイッチを設けてもよい。
【0013】
また、本実施例1における冷菓調理台Aには、調理板10に温度センサーが設けられており、該温度センサーが検知した温度が所定温度以上になるとスイッチ41が入り、所定温度以下になるとスイッチ41が切れるように構成されている。このように構成すると、調理板10を一定の温度の範囲内で自動的に維持することが可能となり、高温になりすぎたり、低温になりすぎたりすることがなく、常に調理面が適切な調理温度で維持されることにより調理しやすい利点があると共に、より一層合理的に節電することができる。なお、このような温度センサーを設けず、前記の温度計51に表示される温度を目安にして、手動でスイッチの入り切りを操作するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る冷菓調理台の正面図である。
【図2】本発明の実施例に係る冷菓調理台の平面図である。
【図3】本発明の実施例に係る冷菓調理台において、調理板を取り除いて各冷却管の配管状態を示した平面図である。
【図4】本発明の実施例に係る冷菓調理台において、一方の冷却管を取り除いた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0015】
A・・・・冷菓調理台
10・・・調理板
21・・・第1冷却管
22・・・第2冷却管
31・・・第1冷媒液化装置
32・・・第2冷媒液化装置
21a・・第1冷却管の冷媒入口
21b・・第1冷却管の冷媒出口
22a・・第2冷却管の冷媒入口
22b・・第2冷却管の冷媒出口
31a・・第1冷媒液化装置の冷媒入口
31b・・第1冷媒液化装置の冷媒出口
32a・・第2冷媒液化装置の冷媒入口
32b・・第2冷媒液化装置の冷媒出口
41・・・スイッチ
42・・・スイッチ
51・・・温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が調理面をなす平板状の調理板の下面に複数の冷却管が配され、該冷却管はそれぞれ対応する冷媒液化装置に接続され、各冷媒液化装置は各冷却管を含めて冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成し、冷却管に冷媒が通過することにより調理板が冷却され、各冷却管は調理板の下面において交互に並列するように配管され、各冷媒液化装置の一方のみを稼働又は停止させるスイッチを設けたことを特徴とする温度調節可能な冷菓調理台。
【請求項2】
調理板に温度センサーを設置し、該温度センサーが検知した温度が所定温度以上になるとスイッチが入り、所定温度以下になるとスイッチが切れるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の温度調節可能な冷菓調理台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−282926(P2007−282926A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115020(P2006−115020)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(305038692)株式会社京阪ベンチャービジネス (3)
【Fターム(参考)】