説明

温度調節器

【課題】パソコンと接続した際に、ユーザにとって利便性を向上した温度調節器を提供することである。
【解決手段】温度調節器11は、コンピュータ23から電源を供給されて動作すると共に、一般電源を供給されて動作するものである。そして、一般電源の供給を受け付ける電源部13を含み、電源部13は、アナログ信号を処理する12Vの電圧を出力する12V系と、デジタル信号を処理する5Vの電圧を出力する5V系とを含み、コンピュータから供給される電源は、5V系に接続されており、表示部16は、5V系に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度調節器に関し、特に、パソコンと接続可能な温度調節器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のUSB(Universal Serial Bus)デバイスは、パソコン(コンピュータ)に接続する際に、パソコンから電源供給を受けて動作するものがある。すなわち、USBデバイスは、バスパワーにより動作するものがある。このようなUSBデバイスは、例えば、特開2000−105638号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示のUSBデバイスは、データの入出力に用いる2本の信号線と、5V電源線と、グランド(GND)線とを備える構成である。そして、5V電源線の接続および切断を切り替えるスイッチを設けることにより、USBデバイスに供給される電源をON/OFFする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−105638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示のように、パソコンに接続する際に、パソコンから電源供給を受けて動作するデバイスとして、温度調節器がある。温度調節器は、温度調節器を使用するために必要となる情報を事前に設定するために、パソコンに接続される。
【0006】
ここで、従来の温度調節器においては、パソコンから電源供給を受けて動作するものの、温度調節器の全ての機能は動作せず、パソコンと通信する際に使用する機能のみが動作する。したがって、例えば、ユーザとのインターフェースとなる操作ボタンや、温度を表示する表示部においては動作しない。これらの機能を動作させるには、温度調節器に電源ケーブルを接続して、コンセントから一般電源の供給を受ける必要がある。
【0007】
しかしながら、例えば、ユーザの中には、温度調節器に目標温度を設定後、確認のために設定した目標温度を表示部に表示させたい場合がある。このような場合、パソコンからバスパワーで設定した後に、電源ケーブルをコンセントにわざわざ接続して、表示部を動作させて確認することとなる。このような作業は煩雑であり、複数の温度調節器を利用するユーザにとって、特に顕著である。
【0008】
この発明の目的は、パソコンと接続した際に、ユーザにとって利便性を向上した温度調節器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る温度調節器は、コンピュータと接続可能である。温度調節器は、温度を表示する表示部を備え、表示部は、コンピュータに接続した際に、コンピュータから供給される電源によって動作する。
【0010】
具体的には、温度調節器は、コンピュータから電源を供給されて動作すると共に、一般電源を供給されて動作するものである。そして、一般電源の供給を受け付ける電源部を含み、電源部は、アナログ信号を処理する12Vの電圧を出力する12V系と、デジタル信号を処理する5Vの電圧を出力する5V系とを含み、コンピュータから供給される電源は、5V系に接続されており、表示部は、5V系に接続されている。
【0011】
こうすることにより、温度調節器は、コンピュータに接続した際に、表示部をコンピュータから供給される電源によって動作させることができる。したがって、温度調節器において、コンピュータからバスパワーで設定した後に、電源ケーブルをコンセントにわざわざ接続して、表示部を動作させる必要はない。その結果、利便性を向上することができる。
【0012】
好ましくは、温度の入力を受け付ける入力回路を備え、入力回路は、コンピュータに接続した際に、コンピュータから供給される電源によって動作する。こうすることにより、入力回路においても、コンピュータから供給される電源によって動作可能となり、さらに利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る温度調節器は、温度調節器は、コンピュータに接続した際に、表示部をコンピュータから供給される電源によって動作させることができる。したがって、温度調節器において、コンピュータからバスパワーで設定した後に、電源ケーブルをコンセントにわざわざ接続して、表示部を動作させる必要はない。その結果、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態に係る温度調節器を示す斜視図である。
【図2】温度調節器の構成を示すブロック図である。
【図3】動作する電圧の範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る温度調節器について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る温度調節器11を示す斜視図である。図1を参照して、温度調節器11は、例えば、図示しない熱電対や、ヒータの加熱を操作する操作盤に接続されており、熱電対から入力された測定温度に基づいて、ヒータの電源のON/OFFを制御することにより、対象物が目標温度となるように、温度を調節するものである。
【0016】
温度調節器11は、USBケーブルを介してパソコンに接続可能である。温度調節器11は、温度調節器11を使用するために必要となる目標温度等の情報を事前に設定するために、パソコンに接続される。温度調節器11は、パソコンに接続する際に、パソコンから電源を供給されて動作する。すなわち、温度調節器11は、バスパワーにより動作する。
【0017】
一方で、温度調節器11は、通常、現場等で使用する際には、パソコンに接続されることなく、電源ケーブルを介して、コンセントに接続される。そして、温度調節器11は、一般電源の100Vの電圧を供給されて動作する。
【0018】
図2は、温度調節器11の構成を示すブロック図である。図1および図2を参照して、温度調節器11は、USBケーブルを差し込むUSBインターフェース部12と、電源ケーブルを介して、一般電源(100V)を出力するコンセントに接続された際に、絶縁トランス13cを介して、一般電源の100Vの電圧を一次側電源13aから二次側電源13bへ、5Vおよび12Vの電圧に降圧する電源部13と、一般電源の電圧をフィードバックするフィードバック回路14と、熱電対やUSBインターフェース部12から温度等の入力を受け付ける入力回路15と、入力回路15から入力された温度等を表示する表示部16と、温度調節器11全体を制御する制御部17と、ヒータの電源のON/OFFを制御する信号をリレー出力する出力回路18とを備える。
【0019】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)を含み、温度調節器11全体を制御する。また、制御部17は、USBインターフェース部12を介して行われるパソコン23等の外部への通信を制御する通信部19を含む。
【0020】
電源部13は、二次側電源13bにおいて、デジタル信号を処理する第一の電圧である5Vを出力する5V系と、アナログ信号を処理する第二の電圧である12Vを出力する12V系とを含む。フィードバック回路14、入力回路15、表示部16、および制御部17は、5V系に接続されている。なお、出力回路18は、12V系に接続されている。
【0021】
USBインターフェース部12は、USBケーブルを差し込まれて、温度調節器11とパソコン23とを接続する。USBインターフェース部12は、データの入出力を行う2本の信号線20a,20bと、バスパワーによりパソコン23から供給され、デジタル信号を処理する5Vの電圧を受ける5V電源線21と、グランド(GND)線22とを含む。2本の信号線20a,20bは、通信部19に接続されており、通信部19から受信したデータをパソコン23へ出力し、パソコン23から入力されたデータを通信部19へ送信する。5V電源線21は、5V系に接続されている。
【0022】
フィードバック回路14は、5V系に接続されて、5Vの電圧の変動を監視する。そして、5Vの電圧が、所定の値以下であれば、一般電源による電源供給を促進し、所定の値より大きければ、一般電源による電源供給を休止することにより、5Vの電圧を調整する。このようにして、フィードバック回路14は、一般電源の電圧をフィードバックする。そして、所定の値とは、具体的には4.9Vであり、フィードバック回路14が一般電源の供給を休止させる際の基準となる値である。
【0023】
ここで、入力回路15、表示部16、および制御部17は、上記したように、5V系に接続されている。したがって、入力回路15、表示部16、および制御部17は、コンセントに接続されて、一般電源から電源部13により5Vの電圧を供給されて動作すると共に、パソコン23に接続されて、5V電源線21により、パソコン23から5Vの電圧を供給されて動作する。
【0024】
具体的には、パソコン23から供給される5Vの電圧とは、図3中の範囲bで示すように、4.5V以上4.9V以下の範囲である。そして、一般電源から電源部13により供給される5Vの電圧とは、図3中の範囲cで示すように、4.75V以上5.25V以下の範囲である。すなわち、入力回路15、表示部16、および制御部17が動作する際の電源の電圧は、パソコン23から供給された場合と、一般電源から供給された場合とで、異なる範囲になっており、パソコン23から供給される電圧が、フィードバック回路14により一般電源の供給を休止させる際の基準となる所定の値(4.9V)より小さい。すなわち、パソコン23から供給される電圧は、フィードバック回路14によりフィードバックがかかるのを避けた範囲である。図3は、温度調節器11において、5V系(入力回路15、表示部16、および制御部17)が動作する電圧の範囲を示す図である。範囲aは、デジタル信号を処理する第一の電圧の範囲、すなわち、5Vの電圧の範囲であって、パソコン23から供給される範囲bの電圧と、一般電源から電源部13により供給される範囲cの電圧とを合わせた、4.5V以上5.25V以下となる。なお、範囲aは、実際の動作において、上限値は、+0.25となり、下限値は、−0.25となるため、図もそれを考慮して示している。
【0025】
こうすることにより、温度調節器11において、パソコン23から供給される電源の電圧は、フィードバック回路14により一般電源の供給を休止させる際の基準となる所定の値より小さいため、温度調節器11がパソコン23に接続された際に、一般電源から電源を供給された場合であっても、フィードバック回路14が、パソコン23から供給される電源の電圧が所定の値を超えたと検出することはない。したがって、パソコン23に接続された際に、フィードバック回路14が、一般電源の供給を低下させることはない。その結果、温度調節器11は、パソコン23に接続した際に、安定して動作することができる。
【0026】
また、このように、パソコン23から供給される電源の電圧と、一般電源により供給される電源の電圧とを区別する構成としたため、温度調節器11が、一般電源による電源供給を受けながら、パソコン23と通信する際には、一般電源から供給される電源の電圧で動作させることができる。そして、例えば、誤って電源ケーブルを抜いてしまった場合であれば、一般電源からパソコン23の供給電源へ切り替えることができ、パソコン23との通信が停止することもない。
【0027】
また、温度調節器11は、パソコン23に接続した際に、表示部16をパソコン23から供給される電源によって動作させる。したがって、温度調節器11において、パソコン23からバスパワーで設定した後に、電源ケーブルをコンセントにわざわざ接続して、表示部16を動作させる必要はない。その結果、利便性を向上することができる。
【0028】
なお、出力回路18は、12V系に接続されているため、一般電源から12Vの電圧を供給された場合に動作し、パソコン23にのみ接続されても動作しない。
【0029】
また、上記の実施の形態においては、フィードバック回路14は、5Vの電圧が、所定の値より大きければ、一般電源による電源供給を休止する例について説明したが、これに限ることなく、一般電源による電源供給を低下させることとしてもよい。
【0030】
また、上記の実施の形態においては、温度調節器11は、熱電対や、ヒータの加熱を操作する操作盤に接続されて、温度を調節する例について説明したが、これに限ることなく、流量計や圧力計に接続されて、流量や圧力を調節するものであってもよい。
【0031】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、バスパワーによる電源供給とコンセントからの電源供給とが可能な温度調節器において、有効に利用される。
【符号の説明】
【0033】
11 温度調節器、12 USBインターフェース部、13 電源部、13a 一次側電源、13b 二次側電源、13c 絶縁トランス、14 フィードバック回路、15 入力回路、16 表示部、17 制御部、18 出力回路、19 通信部、20a,20b 信号線、21 5V電源線、22 グランド線、23 パソコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータと接続可能な温度調節器であって、
前記温度調節器は、温度を表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記コンピュータに接続した際に、前記コンピュータから供給される電源によって動作する、温度調節器。
【請求項2】
前記温度調節器は、前記コンピュータから電源を供給されて動作すると共に、一般電源を供給されて動作するものであり、
一般電源の供給を受け付ける電源部を含み、
前記電源部は、アナログ信号を処理する12Vの電圧を出力する12V系と、デジタル信号を処理する5Vの電圧を出力する5V系とを含み、
前記コンピュータから供給される電源は、前記5V系に接続されており、
前記表示部は、前記5V系に接続されている、請求項1に記載の温度調節器。
【請求項3】
温度の入力を受け付ける入力回路を備え、
前記入力回路は、前記コンピュータに接続した際に、前記コンピュータから供給される電源によって動作する、請求項1または2に記載の温度調節器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−118593(P2012−118593A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265058(P2010−265058)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】