説明

温水ユニット

【課題】排ガスが上下高さ方向に大きな広がり角度で排出されることや、排気口からかなり高い位置に向けて進行するといったことを回避し、集合住宅のベランダなどへの設置使用にも適する温水ユニットを提供する。
【解決手段】水平方向に開口する排気口41を形成している排気トップEを備えた温水ユニットUであって、排気口41の内側に設けられ、かつ排気口41を通過する排ガスの進行方向が斜め上方となるように排ガスをガイドする第1の排気ガイド7と、排気口41の上縁部および下縁部から排気口41の前方に突出し、かつ排ガス流通用の隙間83を形成する上部突出片81および下部突出片82を有する第2の排気ガイド8と、を備え、上部突出片81は、少なくとも先端寄り部分が前下がり状に傾斜した傾斜部81bとされ、排気口41から隙間83に斜め上向きに進入した排ガスは傾斜部81bに衝突可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用気体を利用して湯水加熱を行なう温水関連機器を備え、湯水加熱に利用された加熱用気体を排気トップを介して外部に排ガスとして排出するように構成された型式の温水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
温水ユニットとしては、たとえばバーナにより発生された燃焼ガスを利用して湯水加熱を行なう装置を有し、かつこの装置を外装ケース内に収容したものがある。このような温水ユニットにおいては、湯水加熱に利用された後の燃焼ガスを、外装ケースの外部に排出させる必要がある。このため、従来においては、外装ケースの天面部や前面部などに排気トップを設け、この排気トップの排気口から燃焼ガスを排出する手段が採用されている(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
しかしながら、従来においては、次に述べるような不具合を生じる場合があった。
【0004】
すなわち、マンションなどの集合住宅では、温水ユニットをベランダに設置する場合がある。この場合、温水ユニットから排出される排ガスがベランダの外まで円滑に送り出され、ベランダ内に排ガスが籠らないように配慮する必要がある。
温水ユニットをベランダに設置する場合に、特許文献1に記載された温水ユニットのように、排ガスを温水ユニットの直上に向けて排出させたのでは、ベランダの天井部に大量の排ガスが当たり、ベランダ内に多くの排ガスが籠る。
一方、特許文献2には、図9に示すように、外装ケース3aの前面部に、水平方向を向く排気口41aを設けた温水ユニットU’が記載されている。このような温水ユニットU’をベランダ90に設置して使用する場合、排気口41aからベランダ90の開放部91に向けて排ガスを略水平方向に排出させることとなる。ところが、排ガスが排気口41aから実際に排出される場合、この排ガスは左右方向のみならず、上下高さ方向に比較的大きな角度θ2で広がっていき、斜め下方に進行する排ガスも発生する。これでは、排気口41aが、ベランダ90の手すり壁92よりも高い位置に設定されていたとしても、一部の排ガスが手すり壁92に当たる虞がある。また、ベランダ90には、日用品や不使用の家具などの様々な物品94が置かれる場合が多いが、この物品94が排気口41aよりも低い高さに置かれていたとしても、この物品94に排ガスが当たる虞がある。
このような不具合を解消する手段としては、排ガスを排気口41aから斜め上方に排出させることが考えられる。ただし、単に、排ガスを斜め上方に排出させるだけでは、排気口41aから排出された排ガスが上下方向に広がることに起因して、排ガスの一部は相当に高い位置に向けて進行する。これでは、排ガスがベランダの上側に位置する天井部93に当たり、この部分が汚染するといった虞を生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−121814号公報
【特許文献2】特開2001−221510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、排ガスが上下高さ方向に大きな広がり角度で排出されたり、排気口からかなり高い位置に向けて進行するといったことを適切に回避し、集合住宅のベランダなどに設置して好適に使用することが可
能な温水ユニットを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される温水ユニットは、加熱用気体を利用して湯水加熱を行なう湯水加熱手段を内部に収容している外装ケースと、水平方向に開口する排気口を形成しており、かつ前記湯水加熱手段において湯水加熱に利用された加熱用気体を前記排気口に導いてから前記外装ケースの外部に排ガスとして排出するための排気トップと、を備えている、温水ユニットであって、前記排気口の内側に設けられ、かつ前記排気口を通過する排ガスの進行方向が斜め上方となるように排ガスをガイドする第1の排気ガイドと、前記排気口の上縁部および下縁部から前記排気口の前方に突出した上部突出片および下部突出片を有し、かつこれら上部突出片と下部突出片との間は、前記排気口を通過してきた排ガスを流通させるための隙間とされている第2の排気ガイドと、を備えており、前記上部突出片は、少なくとも先端寄り部分が前下がり状に傾斜した傾斜部とされ、前記排気口から前記隙間に斜め上向きに進入した排ガスが前記傾斜部に衝突可能な構成とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、まず、第1の排気ガイドの作用により、排気口および第2の排気ガイドを通過して外部に排出される排ガスの基本的な進行方向を斜め上向きに設定することができる。したがって、排気口を通過して外部に排出される排ガスが、仮に上下方向に多少の広がり角度をもって進行するとしても、この排ガスの多くが排気口から斜め下方に進行することは適切に抑制される。その結果、温水ユニットをたとえば集合住宅のベランダに設置した場合に、排気口よりも高さが低い位置に存在する手すり壁や物品類などに排ガスが当たらないようにすることができる。次に、第2の排気ガイドは、排気口を斜め上向きに通過した排ガスの上下方向における広がり角度を狭める役割を果たす。本発明では、上部突出片の全体または先端寄り部分が前下がり状に傾斜した傾斜部とされているが、このような傾斜部は、排気口を斜め上向きに通過してくる排ガスがそのまま外部に直進することを効率良く、かつ的確に阻止する役割を果たし、排ガスが大きな角度で上下方向に広がらないようにすることを防止する上で実効性が高いものとなる。したがって、温水ユニットを集合住宅のベランダに設置した場合に、排気口よりも高位置に存在するベランダの天井部などに排ガスが当たらないようにすることも可能となる。加えて、第2の排気ガイドには、排気口を通過した排ガスの流速を速める作用を生じさせることも可能である。このようなことから、温水ユニットをたとえば集合住宅のベランダに設置した場合に、排ガスが手すり壁や天井部などに当たり難くし、ベランダ内に排ガスが籠る現象を適切に防止または抑制することが可能である。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記上部突出片は、基端寄り部分が略水平状または前上がり傾斜状であって、先端寄り部分が前下がり状に傾斜した前記傾斜部であり、前記下部突出片は、基端寄り部分が略水平状または前上がり傾斜状であって、先端寄り部分は基端寄り部分の傾斜角度と同一またはそれよりも大きな傾斜角度で前上がり状に傾斜した形態である。
【0011】
このような構成によれば、第1の排気ガイドの作用によって排ガスが斜め上向きに進行するという基本的な作用が、上部突出片や下部突出片の存在によって大きく損なわれないようにしつつ、上部突出片の先端寄りの前下がり状の傾斜部によって、排ガスの一部を適切に遮ることができる。したがって、排ガスが斜め上方に排出される際に、上方に向けて大きな角度で広がることを防止する上で、より好ましい。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記上部突出片は、前記下部突出片よりも前記排気口の
前方側への突出寸法が大きくされている。
【0013】
このような構成によれば、上部突出片の先端部は、下部突出片の先端部よりも前方に存在するために、下部突出片の先端部近傍から上向き、あるいは斜め上向きに進行しようとする排ガスの一部を、上部突出片の先端部によって適切に遮ることができる。したがって、排ガスが上方に向けて大きな角度で広がりながら排出されることを、より的確に防止することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記上部突出片と前記下部突出片との間に形成された前記隙間の上下高さ方向の幅は、これら上部突出片および下部突出片の先端側に進むほど小さくなるように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、上部突出片と下部突出片との間に形成された隙間から外部に排出される排ガスの流速を高速化することができる。したがって、温水ユニットが集合住宅のベランダに設置された場合には、排ガスをベランダの外部に速やかに排出し、排ガスがベランダ内に籠らないようにする上でより好ましいものとなる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記排気トップは、前記外装ケースの天面部上に設けられている。
【0017】
本発明では、排気トップの排気口から斜め上方に排ガスを進行させることができるために、外装ケースの天面部に排ガスが当たらないようにすることができる。その結果、排ガスに起因して、天面部が汚染されたり、あるいは比較的高温に加熱されるといったことを防止することができる。なお、排気トップが外装ケースの天面部上に設けられていれば、排気トップを外装ケース内に組み込む場合と比較して、外装ケースの小型化を図りつつ、排気トップを高い位置に設けることが可能である。また、排気トップをたとえば水平方向に回転自在として、排気口の向きを所望の向きに設定するといった構造も容易に適用することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明に係る温水ユニットの全体構成の一例を示す概略正面説明図であり、(b)は、(a)の一部破断側面図である。
【図2】図1に示す温水ユニットの要部斜視図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】図2の分解斜視図である。
【図5】(a)は、図1および図2に示す温水ユニットが具備する排気トップに設けられた第2の排気ガイドを示す一部省略正面図であり、(b)は、(a)のVb−Vb断面図であり、(c)は、その分解断面図である。
【図6】(a)は、図5に示す第2の排気ガイドの作用を示す断面図であり、(b)は、対比例を示す断面図である。
【図7】図1および図2に示す温水ユニットの使用状態の一例を示す説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の他の例を示す要部断面図である。
【図9】背景技術の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜図5は、本発明に係る排気トップを備えた温水ユニットおよびこれに関連する構成の一例を示している。
図1に示すように、本実施形態の温水ユニットUは、貯湯タンク10、膨張タンク11、熱交換器12、補助熱源機としての湯水加熱装置2、制御基板を有するコントローラユニット13、およびこれらを収容する外装ケース3を備えている。外装ケース3の天面部30上には、排気トップEが設けられている。
【0022】
この温水ユニットUは、湯水加熱用の主熱源として、たとえばこの温水ユニットUとは別個に設置されるソーラ集熱器(図示略)を利用するものであり、このソーラ集熱器と温水ユニットUとの間で熱媒を循環させる熱媒循環回路(図示略)が設けられる。膨張タンク11は、前記熱媒の膨張を吸収して熱媒循環回路の圧力を安定させるためのものであり、熱交換器12は、前記熱媒を利用して湯水加熱を行なうためのものである。熱交換器12を利用して加熱生成された湯水は、貯湯タンク10に貯留される。
【0023】
湯水加熱装置2は、本発明でいう湯水加熱手段の一例に相当し、貯湯タンク10内の湯水温度が目標給湯温度に満たない場合に湯水を加熱するためのものである。この湯水加熱装置2は、たとえば一般のガス給湯器と同様な構成であり、バーナ20、このバーナ20に燃焼用空気を供給するファン24、バーナ20によって発生された燃焼ガスから熱を回収して湯水を加熱する熱交換器21を備えている。
【0024】
排気トップEは、湯水加熱装置2において利用された燃焼ガスの排気ガイドを行なうためのものである。この排気トップEは、排気トップ本体4に、後述する第1および第2の排気ガイド7,8が組み付けられた構成である。
【0025】
図3によく表われているように、排気トップ本体4は、前面開口部41’を有する内部空洞状であり、この排気トップ本体4の底部には、排気導入口40が設けられている。排気トップ本体4の前面部には、第2の排気ガイド8が取り付けられ、排気トップ本体4の前面開口部41’の一部分のうち、第2の排気ガイド8に設けられた開口部分が、水平方向を向いて開口した排気口41である。排気トップ本体4の底部には、内部が排気導入口40と連通する円筒部42が下向きに突設されているが、この円筒部42は、熱交換器21のケースに起立して設けられている排気筒23に回転可能に嵌合している。このことにより、排気トップEは、円筒部42を中心として略水平方向に回転可能であり、排気口41の向きを所望の向きに設定することができる。
【0026】
熱交換器21を通過した燃焼ガスは、円筒部42内および排気導入口40を上向きに通過して排気トップ本体4内に流入する。すると、この燃焼ガスは、排気トップ本体4の上部内面44に当たってから、排気口41に向けて進行し、排気口41から排ガスとして外部に排出される。排気導入口40の直上領域およびその周辺領域は、前上がりの傾斜面44aとされている。このような構成は、上部内面44に衝突した排ガスを排気口41側に向けて進行することを促進するのに好ましい。本実施形態では、排気トップ本体4の上部に吸音材45およびその押さえ部材45aが設けられており、このように吸音材45が設けられた部分が、前記した前上がりの傾斜面44aとなっている。
【0027】
第1の排気ガイド7は、排気口41から外部に排出される排ガスの進行方向が斜め上方となるように排ガスを上向きに偏向させるためのものであり、排気トップE内のうち、排気口41よりも奥側に設けられている。この第1の排気ガイド7は、前上がり状の板状部70が通気用の隙間を介して上下複数段に並んだルーバ構造である。第1の排気ガイド7と排気口41との間には、排気トップE内へのゴミなどの進入を防止するためのネット状部材62が設けられている。
【0028】
第2の排気ガイド8は、排気トップ本体4の前面開口部41’よりも小サイズの排気口41を形成しつつ、この排気口41から外部に排出される排ガスの流れを最終的に制御するための部材である。図4に示すように、この第2の排気ガイド8は、排気トップ本体4とは別体に形成されており、ネジ体63、ネジ体挿通用の孔部89、およびネジ孔48を利用して、図2および図3に示すように、排気トップ本体4の前面部に取り付けられている。なお、この温水ユニットUは、第2の排気ガイド8が取り付けられていない状態で使用することも可能であり、この場合には前面開口部41’がそのまま排気口となる。もちろん、第2の排気ガイド8が取り付けられていない状態では、本発明が意図する作用は得られない。
【0029】
第2の排気ガイド8には、排気口41の上縁部および下縁部から排気口41の前方に突出する上部突出片81および下部突出片82が設けられている。排気口41を通過した排ガスは、上部突出片81と下部突出片82との間に形成された隙間83を通過することとなる。なお、排気口41の左右両側縁部には、上部突出片81や下部突出片82に類する突出片は設けられておらず、構成の簡素化が図られている。ただし、本実施形態とは異なり、そのような突出片を設けてもよい。図5(c)によく表われているように、第2の排気ガイド8は、排気口41および上部突出片81を形成した主板部80Aに、下部突出片82を形成した補助板部80Bを接合することにより構成されている。主板部80Aおよび補助板部80Bは、ともに金属板にプレス加工を施すことにより形成されたものである。上部突出片81は、主板部80Aに排気口41を形成するための切り込みを形成してから、この切り込み形成箇所を折り曲げて起立させる加工(切り起こし加工)により形成されている。排気口41は、たとえば正面視横長矩形状であり、排気トップ本体4の前面開口部41’と比較するとかなり小面積である。ただし、排気抵抗が不当に大きくならないサイズに形成されている。
【0030】
図5(b)によく表われているように、上部突出片81は、基端寄り部分が前上がりの傾斜部81aであるのに対し、先端寄り部分は、水平に対して適当な角度αで前下がり状に傾斜した傾斜部81bとして形成されている。下部突出片82は、基端寄り部分が前上がりの傾斜部82aであるのに対し、先端寄り部分は、傾斜部82aよりもさらに上向きに傾斜した傾斜部82bとされている。傾斜部81b,82bが形成されている箇所においては、隙間83の上下幅H1は、先端側に進むほど徐々に小さくなっており、その最小幅は、排気口41の上下幅H2よりも小さくなっている。上部突出片81の前方への突出寸法L1は、下部突出片82の突出寸法L2よりも大きくされている。
【0031】
次に、前記した温水ユニットUの作用について説明する。
【0032】
まず、湯水加熱装置2において湯水加熱に用いられた燃焼ガス(排ガス)は、排気導入口40から排気トップE内に流入した後に、第1の排気ガイド7の取付け箇所を通過して排気口41に到達する。前記排ガスは、第1の排気ガイド7の取付け箇所を通過することにより、その進行方向が斜め上方となって排気口41を通過する。排気口41を通過した排気ガスは、図6(a)に示すように、第2の排気ガイド8の上部突出片81と下部突出片82との間に形成された隙間83に進入するが、この排気ガスの一部は、上部突出片81の下面に衝突することとなり、そのまま斜め上方に向けて進行することは妨げられる。このことにより、排気口41を通過した排ガスが斜め上方の高い位置に向けて大きな広がり角度で外部に進行することは抑制される。
【0033】
上部突出片81の先端寄り部分は、前下がりの傾斜部81bであるために、斜め上方に進行してくる排ガスの傾斜部81bに対する衝突角度β1(傾斜部81bの法線と排ガス進行方向との間の角度)は小さい。このことにより、傾斜部81bのサイズ(前後方向の長さ)を比較的小さくしつつ、この傾斜部81bによって多くの排ガスを効率良く遮るこ
とが可能となる。また、傾斜部81bに衝突して下向きに反射される排ガスの勢いも大きく低下することとなる。このため、隙間83から前方に進行する排ガスの流れは、傾斜部81bに衝突して下向きに反射された排ガスの流れによって大きく乱されないようにする作用も得られる。本実施形態とは異なり、たとえば図6(b)の対比例のように、上部突出片81の先端寄り部分を水平部81b'とした場合には、水平部81b'に対する排ガスの衝突角度β2が大きくなるため、水平部81b'によって遮られる排ガスの量は少なくなる。また、水平部81b'に衝突して斜め下方に反射された排ガスの勢いは余り低下しないために、この排ガスの存在に起因して、隙間83から前方に進行する排ガスの流れが大きく乱される不具合を生じ易い。本実施形態によれば、そのような不具合を適切に抑制することが可能である。
【0034】
また、本実施形態によれば、図5(b)を参照して説明したように、上部突出片81は下部突出片82よりも前方に突出しているために、下部突出片82の先端部上方においても斜め上方に進行する排ガスの一部を上部突出片81によって適切に遮ることができる。より具体的には、下部突出片82の先端部上面によってかなり上向きにガイドされる排ガス流れが生じたとしても、この排ガスがそのまま上向きに進行しないように遮ることが可能である。したがって、隙間83からは比較的狭い広がり角度θ1で排ガスを斜め上方に向けて進行させることが可能である。加えて、隙間83の上下方向の幅H1は、先端側ほど徐々に小さくなっているために、隙間83から外部に進行する排ガスの流速を速める効果も得られることとなる。
【0035】
温水ユニットUは、たとえば図7に示すように、集合住宅のベランダ90に設置して使用される場合がある。既述したように、排気口41および第2の排気ガイド8の隙間83から斜め上方に排出される排ガスの広がり角度θ1は小さく絞られるために、排ガスをベランダ90の開放部91に向けて適切に進行させることが可能である。本実施形態とは異なり、排気トップEに第2の排気ガイド8が設けられていない場合には、排ガスの広がり角度θ1が大きくなって、同図の仮想線Laで示すように、排ガスがベランダ90の天井部93に当たる虞が大きくなる。これに対し、本実施形態では、そのような虞を好適に回避することが可能である。また、本実施形態では、第2の排気ガイド8の隙間83を通過した排ガスの流速が高速化されるために、排ガスをベランダ90の外部へ迅速かつ確実に送り出し、ベランダ90内に排ガスが籠ることを、より的確に防止することができる。
【0036】
排気口41から下向きに進行する排ガスが発生した場合には、仮想線Lb,Lcで示すように、排ガスが外装ケース3の天面部30や、ベランダ90の手すり壁92に当たる虞がある。これに対し、本実施形態では、下向きに進行する排ガスは殆ど発生しないようにすることができるために、前記したような虞を適切に回避することが可能である。したがって、天面部30や手すり壁92が、排ガスによって不当に加熱されたり、あるいは排ガス中のドレインやその他の成分によって汚れるといった不具合を生じないようにすることもできる。
【0037】
図8は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0038】
図8(a)では、第2の排気ガイド8の上部突出片81の基端寄り部分81cが略水平状である。同図(b)では、上部突出片81の基端寄り部分81cに加えて、下部突出片82の基端寄り部分82cも略水平状である。同図(c)では、上部突出片81と下部突出片82との突出寸法L1,L2が略同一とされている。同図(d)では、上部突出片81の全体が前下がり状の傾斜部81dとして形成されている。また、下部突出片82の全体は、前上がり状の傾斜部82dとして形成されている。
これら図8(a)〜(d)のいずれの構成においても、排ガスの広がり角度を小さく絞
りつつ、排ガスを斜め上方に向け、かつ流速を速めた状態で進行させることが可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水ユニットの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0040】
本発明でいう第2の排気ガイドは、排気口の上縁部および下縁部からその前方に突出する上部突出片および下部突出片を具備し、上部突出片が前下がり状の傾斜部を有する構造であればよい。必ずしも、第2の排気ガイド自体に排気口が形成されていなくてもよい。たとえば、排気トップ本体の前面部に排気口を設けて、この排気口の上縁部および下縁部に、排気口の形成部材とは別部材を用いて構成された上部突出片および下部突出片を接合するといった手段を採用してもよい。上部突出片と下部突出片とは一体形成されている必要もなく、別部材を用いてそれらを構成してもよい。上部突出片や下部突出片の各部の具体的な寸法や傾斜角度などは、温水ユニットの実際の使用条件などを考慮して適宜選択すればよい。第1の排気ガイドは、排気口を通過する排ガスの進行方向が斜め上方となるように排ガスをガイドする機能を有すればよい。第1および第2の排気ガイドは、互いに分離して設けられていなくてもよく、たとえばこれらを接合するなどして、一体的に組み合わせた構成とすることもできる。
【0041】
本発明に係る温水ユニットは、集合住宅のベランダに設置して使用するのに好適であるが、ベランダとは異なる箇所に設置する場合であっても、排ガスが斜め下方に進行すること、およびかなり高い位置に向けて進行することが余り好ましくない場合がある。このような場合にも本発明に係る温水ユニットを好適に用いることが可能である。したがって、温水ユニットの具体的な設置場所も限定されない。
【0042】
排気トップは、外装ケースの天面部上に取り付けられたものに限らず、たとえば特許文献2のように、外装ケース内に組み込まれた構成とすることもできる。本発明でいう湯水加熱手段は、加熱用気体を利用して湯水加熱を行なうものであり、加熱用気体としては、バーナを用いて発生させた燃焼ガスに限らず、たとえば燃料電池やガスエンジンなどから排出される高温の排ガスを利用することもできる。本発明は、湯水加熱手段が外装ケース内に収容されている種々の温水ユニットに適用することが可能である。したがって、本発明に係る温水ユニットは、ソーラシステム用のものに限らず、たとえばヒートポンプを用いた温水システム、ガスエンジンや燃料電池を利用したコージェネレーションシステムなどの構成要素として構成することもできる。また、貯湯タンクを有しないたとえば瞬間式給湯器として構成することもできる。
【符号の説明】
【0043】
E 排気トップ
U 温水ユニット
2 湯水加熱装置(湯水加熱手段)
3 外装ケース
7 第1の排気ガイド
8 第2の排気ガイド
30 天面部(外装ケースの)
41 排気口
81 上部突出片
81b 傾斜部(上部突出片の)
82 下部突出片
83 隙間(上部突出片と下部突出片との間の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用気体を利用して湯水加熱を行なう湯水加熱手段を内部に収容している外装ケースと、
水平方向に開口する排気口を形成しており、かつ前記湯水加熱手段において湯水加熱に利用された加熱用気体を前記排気口に導いてから前記外装ケースの外部に排ガスとして排出するための排気トップと、
を備えている、温水ユニットであって、
前記排気口の内側に設けられ、かつ前記排気口を通過する排ガスの進行方向が斜め上方となるように排ガスをガイドする第1の排気ガイドと、
前記排気口の上縁部および下縁部から前記排気口の前方に突出した上部突出片および下部突出片を有し、かつこれら上部突出片と下部突出片との間は、前記排気口を通過してきた排ガスを流通させるための隙間とされている第2の排気ガイドと、
を備えており、
前記上部突出片は、少なくとも先端寄り部分が前下がり状に傾斜した傾斜部とされ、前記排気口から前記隙間に斜め上向きに進入した排ガスが前記傾斜部に衝突可能な構成とされていることを特徴とする、温水ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の温水ユニットであって、
前記上部突出片は、基端寄り部分が略水平状または前上がり傾斜状であって、先端寄り部分が前下がり傾斜状の前記傾斜部であり、
前記下部突出片は、基端寄り部分が略水平状または前上がり傾斜状であって、先端寄り部分は基端寄り部分の傾斜角度と同一またはそれよりも大きな傾斜角度で前上がり状に傾斜した形態である、温水ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水ユニットであって、
前記上部突出片は、前記下部突出片よりも前記排気口の前方側への突出寸法が大きくされている、温水ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記上部突出片と前記下部突出片との間に形成された前記隙間の上下高さ方向の幅は、これら上部突出片および下部突出片の先端側に進むほど小さくなるように構成されている、温水ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記排気トップは、前記外装ケースの天面部上に設けられている、温水ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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