説明

温水洗浄便座装置

【課題】 ケース内に配設される温水タンクを有効に利用してケース上面部に人が乗るといった大きな荷重がかかった場合にケースが損傷しないように確実に効果的支持することができ。
【解決手段】 ケース1内に温水タンク2を設置すると共に洗浄ノズル3を備えた装置本体4と、装置本体4のケース1に回転可能に取付けた便座5とを備えた温水洗浄便座装置である。重力方向の荷重がケース1上面部に作用した際に該ケース1に作用する荷重を支持するための支持部6を温水タンク2に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座において、ケースに人が乗ったりした場合にケースが損傷するのを防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からケース内に温水タンクを設置すると共に洗浄ノズルを備えた装置本体と、装置本体のケースに回転可能に取付けた便座とを備えた温水洗浄便座装置が知られている。
【0003】
この温水洗浄便座装置において、本来は温水洗浄便座装置のケースの上面部に誤って人が乗ったりすることがある。この場合、ケースが所定量以上変形して白化したり、あるいは変形、破損したりする恐れがある。これを防止するにはケースの肉厚を厚くしたり、ケースの上面部の背面に補強リブを設けたりする必要があるが、使用樹脂量が増大して製品コストが高くなり、また、ケースの上面部の背面に補強リブを設けるとケースの成形時に不完全な製品が発生しやすく、しかも表面に部分的にヒケなどのスジが発生しやくて外観が低下してしまって商品価値が低下してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、従来から、回路基板を収納した回路基板収納枠に支持部材を上方に向けて突設し、この回路基板収納枠をケースの底板部に突設した支柱にねじで固着し、回路基板収納枠に突設した支持部材をケースの上面部の背面に当接させ、ケースの上面部にかかる荷重を回路基板収納枠に設けた支持部材で支持するようにしたものが特許文献1により提案されている。
【0005】
ところが、この従来例にあっては、ケースの上面部にかかる荷重を回路基板収納枠により支持するものであるから、大きな荷重、例えば、成人がケースの上面部に乗った場合など、回路基板収納枠が変形する恐れがあり、回路基板収納枠が少しでも変形すると、回路基板が変形して回路基板が損傷して正常な制御ができない恐れがある。
【0006】
また、上記従来例にあっては、ケースの上面部に荷重が作用しない状態においても支持部材をケースの上面部の背面に当接させるものであるから、底板部に対して上ケース部を取付けてケースを組み立て構成するに当たって、各部材の成形誤差や組み立て誤差等により取付けることができなかったり、あるいは無理して取付けることで、上ケース部の上記支持部材が当接する部分が上方に変形したりするおそれがある。
【特許文献1】特開平9−4016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ケース内に配設される温水タンクを有効に利用してケース上面部に人が乗るといった大きな荷重がかかった場合にケースが損傷しないように確実且つ効果的に支持することができ、また、各部材の成形誤差や組み立て誤差等があっても、確実に組み立てることができると共にケース上面部に大きな荷重がかかった場合にケースが損傷しないように支持でき、また、ケース上面部に大きな荷重がかかった場合にケースを支持すると同時に電源をオフにして万一の場合における電気的トラブルが無いようにでき、更に、ケースの横方向のずれも防止して、ケースの変形や損傷を確実に防止でき、更に、上方からの荷重を温水タンクの側壁で安定して支持して下方にスムーズに伝達できて温水タンクの変形を抑制できる温水洗浄便座装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る温水洗浄便座装置は、ケース1内に温水タンク2を設置すると共に洗浄ノズル3を備えた装置本体4と、装置本体4のケース1に回転可能に取付けた便座5とを備えた温水洗浄便座装置14において、重力方向の荷重がケース1上面部に作用した際に該ケース1に作用する荷重を支持するための支持部6を温水タンク2に設けて成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、装置本体4のケース1の上面部に誤って人が乗ったりしてもケース1にかかる荷重を温水タンク2に設けた支持部6で支持して、ケース1の変形を抑制し、ケース1が過剰に撓んで変形することにより白化したり、あるいは損傷したりしないようにでき、このようにケース1の変形を抑制するに当たり、ケース1内に備わっている温水タンク2を利用してケース1に作用する荷重を支持できるので、別途特別な支持部材を必要としないのみならず、温水タンク2は水を保管するため厚肉に形成されており、しかも、タンク構造であるため、支持強度も強いものであり、これにより、剛性を上げるためにケース1を厚肉に形成したり、リブを設けるといった必要がなく、装置本体4の小型化が可能となる。また、上記のように厚肉で且つ構造的に強度の強いタンク構造の温水タンク2でケース1に作用する重力方向の荷重を支持するので、従来のように回路基板収納枠に突設した支持部材でケースに作用する荷重を支持するもののようにケースに大きな荷重が作用しても回路基板に悪影響を与えることがない。
【0010】
また、ケース1上面部の略中央部に対応した位置に支持部6を配置することが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、ケース1上面部に作用した重力方向の荷重を効果的に支持部6で支持できる。
【0012】
また、温水タンク2の上部に上方に向けてリブ7を突設し、該リブ7をケース1に作用する荷重を支持するための支持部6とすることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、温水タンク2で確実にケース1上面部に作用した重力方向の荷重を受けることができて、品質の安定化を図ることができる。
【0014】
また、ケース1の上面部の背面と支持部6との間に隙間t1を形成し、重力方向の荷重400〜700Nがケース1上面部に作用してケース1の上面部が下方に撓んだ際にケース1上面部の背面が支持部6に当接するように設定してあることが好ましい。
【0015】
このようにケース1の上面部の背面と支持部6との間に隙間t1が形成してあるので、通常は温水タンク2の支持部6がケース1の上面部に直接接触せず、温水タンク2内で温められた水の熱が温水タンク2の支持部6を通してケース1、外気に逃げることを防止できるものであり、また、温水タンク2、ケース1といった各部材の製造誤差や組み立て誤差等があっても、上記隙間t1によりこれらの製造誤差や組み立て誤差を吸収できるものであり、しかも、重力方向の荷重400〜700Nがケース1上面部に作用してケース1の上面部が下方に撓んだ際にケース1上面部の背面が支持部6に当接するように設定してあるので、大人(平均的な大人の体重は約40〜約70kgである)が誤ってケース1上面部に乗ってケース1上面部に重力方向の荷重400〜700Nが作用した場合に、ケース1が下方に撓むが支持部6により支持されるので、それ以上ケース1が過剰に撓んで変形するのが防止され、白化が生じたり、損傷したりするのが確実に防止できる。
【0016】
また、ケース1上面部に温水洗浄便座装置14の表示部8又は人体検知センサを設けると共に該ケース1上面部の背面側に上記表示部8又は人体検知センサの制御回路板9を取付け、制御回路板9の取付け部分の両側方の部位に対応する位置に温水タンク2の支持部6を配置し、ケース1上面部の背面に取付けた制御回路板9と温水タンク2との間の隙間t2の寸法を、ケース1上面部の背面の制御回路板9の取付け部分の両側方の部位と上記支持部6との間の隙間t1の寸法よりも大きくすることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、ケース1上面部に作用した重力方向の荷重でケース1の上面部が下方に撓んで温水タンク2に設けた支持部6に当たって支持されるのであるが、この場合、ケース1の上面部の背面側に設けた制御回路板9が温水タンク2や支持部6に衝突せず、制御回路板9が破損することがない。
【0018】
また、ケース1上面部の背面よりも下方位置で且つ支持部6と同じレベルか又は支持部6よりも上方位置に、ケース1の下方への撓み変形によりケース1が接触することで温水洗浄便座装置14の電源をオフにするための接触センサ10を設けることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、ケース1上面部に重力方向の荷重が作用した時、ケース1が撓んで接触センサ10によりこれを検知して温水洗浄便座装置14の電源をオフにして使用者の安全を図ることができる。
【0020】
また、温水タンク2の上面部に弾性部材11を設け、該弾性部材11の上端を支持部6よりも上方に位置させることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、ケース1上面部に重力方向の荷重が作用した場合、弾性部材11により衝撃を緩衝することができると共に、上方から作用する荷重を支持部6で支持するだけでなく弾性部材11により分散して温水タンク2上面部に伝えて支持でき、温水タンク2の一部に集中荷重がかかるのを防止し、温水タンク2が破壊されるのを防止できる。
【0022】
また、ケース1上面部の背面側に横ずれ防止部12を設け、温水タンク2の上面部に上記横ずれ防止部12と横方向に対向してケース1の横方向のずれの際に横ずれ防止部12が当接する横ずれ防止用当たり部13を設けることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることで、ケース1上面部に重力方向の荷重が作用した場合にケース1の上面部が横方向にずれるのを防止することができる。
【0024】
また、温水タンク2の側壁2aの直上に支持部6を設けることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることで、ケース1上面部に重力方向の荷重が作用した場合、荷重を支持部6から温水タンク2の側壁2aに直接伝えることができ、温水タンク2の上面部に荷重が集中してかかることによって温水タンク2が破壊するのを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上記のように構成したので、装置本体のケースの上面部に誤って人が乗ったりしてもこのケースにかかる荷重を温水タンクで支持して、ケースの変形を最小限として、ケースが限度以上に過剰に撓んで白化したり、あるいは損傷したりするのを防止し、温水タンクを利用してケースに作用する荷重を支持するので、別途特別な支持部材を必要としないのみならず、温水タンクは水を保管するため厚肉に形成されており、しかも、タンク構造であるため、支持強度が強く、これにより、ケースを厚肉に形成したり、リブを設けるといった必要がなくて、装置本体の小型化が可能となるという利点があり、また、従来のように回路基板収納枠に突設した支持部材でケースに作用する荷重を支持するもののようにケースに大きな荷重が作用しても回路基板に悪影響を与えることがなく、安定して確実にケースにかかる荷重を支持できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0028】
温水洗浄便座装置14は装置本体4に便座5、便蓋16をそれぞれ軸部40、41で回動可能に取付けて構成してあり、図4に示すように、便器15の後部上面に装置本体4を取付けることで温水洗浄便座装置14を便器15に取付けるようになっている。図4(a)は便座5、便蓋16を倒した状態を示し、使用に当たっては、例えば図4(b)のように便蓋16を起立させて、便座5は倒した状態にして使用したり、あるいは図示を省略しているが便蓋16、便座5の両方を起立させた状態で使用したりする。
【0029】
装置本体4はケース1内に温水タンク2を設置すると共に温水タンク2内の温水を洗浄水として吐出する洗浄ノズル3を備えたもので、ケース1内には更に乾燥装置27、温水洗浄便座装置14の各電気部品を制御するための制御部29、電動開閉機構30、脱臭装置35、給水弁36、その他の配管ボックス37、配線等が組み込んである。
【0030】
装置本体4の外殻を構成するケース1は下ケース部17と上ケース部18とを組み合わせて構成してあり、下ケース部17は底板部19の周囲部に立ち上がり部20を設け、この立ち上がり部20に下連結部21が設けてある。
【0031】
この下ケース部17に図1、図2(a)のように上記した温水タンク2を設置し、洗浄ノズル3、乾燥装置27、温水洗浄便座装置14の各電気部品を制御するための制御部29、電動開閉機構30、脱臭装置35、給水弁36、その他の配管ボックス37、配線等が組み込んである。
【0032】
下ケース部17に温水タンク2を設置するに当たって、添付図面に示す実施形態では、底板部19から一体に複数の支柱24を立設し、該複数の支柱24に温水タンク2の側壁2aに設けた載置部39を載置し、ねじ具38により載置部39と支柱24を固着することで温水タンク2を下ケース部17に取付けてある。
【0033】
上ケース部18は上面部18aの周囲から側壁部18bを一体に垂設して下方が開口した略容器状に構成してあり、側壁部18bの下端部に上連結部22が設けてある。
【0034】
下ケース部17に上ケース部18を被せ、下連結部21に上連結部22に連結することでケース1を組み立て構成してある。
【0035】
下連結部21、上連結部22は例えば、図6(a)、(b)のようなものであり、下連結部21の支持段部21aに上連結部22の嵌合段部22aを嵌合させて上連結部22の荷重を下連結部21により支持できるようにしてあり、上連結部22の一部に図6(a)(b)に示すように挟持用リブ22bを設けて上連結部22と挟持用リブ22bとで下連結部21を横方向において挟持し、更に、図6(b)に示すように上連結部22の一部に設けた係止爪22cを下連結部21の係止溝21cに係止し、更に、必要に応じて図6(a)のように下連結部21と上連結部22の任意の箇所をねじ具37により連結する。もちろん、下連結部21、上連結部22は上記の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0036】
下ケース部17に設置した温水タンク2には、重力方向の荷重がケース1上面部に作用した際に該ケース1に作用する荷重を支持するための支持部6が設けてあり、添付図面に示す実施形態では、温水タンク2の上面部2bに該上面部2bと一体にリブ7を設けて、このリブ7を支持部6としてある。
【0037】
ケース1の上面部の背面と支持部6を構成するリブ7の上端との間には隙間t1が形成してあり、この隙間t1の寸法は、上ケース部18の上面部18aに大人が誤って乗った場合、(つまり、平均体重略40kg〜70kgの大人が上ケース部18の上面部18aに誤って乗った場合)、上ケース部18の上面部18aに重力方向の荷重400〜700Nが作用して上ケース部18の上面部18aが下方に撓んだ際に上ケース部18の上面部18aの背面が支持部6に当接するような隙間寸法に設定してある。
【0038】
例えば、上ケース部18をPP(ポリプロピレン)により形成し、厚みが2.0〜3.5mmとした場合、上記隙間t1の寸法を1mm〜5mm、好ましくは約3mmに設定するものである。なお、実施形態では図5において上ケース部18の寸法が、L=340mm、B=320mm、H=120mmで厚みが3mmであり、上記隙間t1は3mmである。
【0039】
ここで、隙間寸法が1mm未満の場合、各部材の製造誤差、組み立て誤差、反り等を吸収できず、ケース1の組み立てができないような事態が生じるので好ましくない。また、隙間寸法が5mmを越えると、ポリプロピレン製の上ケース部18の上面部18aが限度以上に過剰に撓んで変形して白化が生じるので好ましくない。
【0040】
しかして、装置本体4のケース1の上面部、つまり、上ケース部18の上面部18aに誤って人が乗ったりすると、上ケース部18の上面部18aに重力方向の荷重400〜700Nが作用して上ケース部18の上面部18aが下方に撓むが、上面部18aが限度を越えて過剰に撓んで変形する手前(つまり白化が生じる手前)の段階で温水タンク2に設けた支持部6であるリブ7により上記重力方向の荷重を支持し、ケース1の変形を最小限に制限し、ケース1が過剰に撓んで変形することで白化したり、あるいは損傷したりしないようにするものである。
【0041】
本発明は、上記のように上ケース部18の上面部18aに誤って人が乗ったりして重力方向に大きな荷重が作用した際に該荷重を支持して上面部18aの変形を抑制するに当たり、ケース1内に備わっている温水タンク2を有効に利用してケース1に作用する荷重を支持することに特徴があり、これにより別途特別な支持部材を必要としないものであり、また、温水タンク2は水を保管するため元々厚肉に形成されており、しかも、タンク構造であるため、支持強度も強いものであり、上ケース部18を厚肉に形成したり、上ケース部18の上面部18aの背面にリブを設けて補強するといった必要がなく、装置本体4の小型化が可能となるものである。また、図5に示すように上ケース部18がドーム形状をせずに上面部18aが平坦な形状とすると、ドーム形状のものに比べて剛性が低いが、このように剛性が低いものであっても、上記のように温水タンク2の上面部に設けた支持部6により上ケース部18の上面部18aに作用した荷重を支持できるので、上ケース部18の肉厚を厚くしたり、背面にリブを設けたりすることなく、上ケース部18を構成でき、これにより上ケース部18の形状の自由度が増すものである。
【0042】
また、上記のように厚肉で且つ構造的に強度の強いタンク構造の温水タンク2でケース1に作用する重力方向の荷重を支持するので、制御部29を構成する回路基板に荷重が作用して悪影響を与えるといったことがないものである。
【0043】
温水タンク2に設ける支持部6はケース1の上面部(つまり上ケース部18の上面部18a)の略中央部に対応した位置に配置することが好ましく、このように上ケース部18の上面部18aの略中央部に対応した位置に支持部6を配置することで上ケース部18の上面部18aに作用した重力方向の荷重を上面部18aの略中央部において支持部6により効果的に安定して支持できるものである。
【0044】
図1乃至図3に示す実施形態では、温水タンク2の上面部2bに支持部6となるリブ7を環状に突設し、この環状のリブ7が上ケース部18の上面部18aの略中央部に対応した位置に位置するように構成してある。ここで、添付図面に示す実施形態では下ケース部17の略中央部に温水タンク2を設置し、上ケース部18の上面部18aの略中央部に対応する位置に温水タンク2の支持部6が位置するように配置した例を示しているが、温水タンク2の上面部2bの端部側に偏った位置に支持部6を設けておくと、温水タンク2全体としては下ケース部17の略中央部からずれて設置しても温水タンク2の一端部の支持部6を設けた部位を上ケース部18の上面部18aの略中央部に対応して位置させることが可能となる。
【0045】
図1に示す実施形態においては、上ケース部18の上面部18aに温水洗浄便座装置14の電源のオン、オフ、脱臭装置35等のオン、オフ等を点灯により表示するためのLEDのような表示部8又は人体検知センサが設けてあり、上ケース部18の上面部18aの背面側に上記表示部8又は人体検知センサの制御回路板9を取付けてある。
【0046】
ここで、ケース1上面部の背面に取付けた制御回路板9と温水タンク2との間の隙間t2の寸法を、ケース1上面部の背面の制御回路板9の取付け部分の両側方の部位と上記支持部6との間の隙間t1の寸法よりも大きくしてあり、ケース1上面部に作用した重力方向の荷重でケース1の上面部が下方に撓んで温水タンク2に設けた支持部6に当たって支持する際に、ケース1の上面部の背面側に設けた上記制御回路板9が温水タンク2や支持部6に衝突しないようになっていて、制御回路板9の破損を防止するようになっている。
【0047】
ケース1上面部の背面に取付けた制御回路板9と温水タンク2との間の隙間t2の寸法を、ケース1上面部の背面の制御回路板9の取付け部分の両側方の部位と上記支持部6との間の隙間t1の寸法よりも大きくするに当たっては、添付図面に示す実施形態では上ケース部18の一部に表面側が上方に凸曲し且つ裏面側が凹んだ凸曲部31を形成し、この凸曲部31の表面側に表示部8又は人体検知センサを位置させ、凸曲部31の背面側の収納凹所32内に表示部8又は人体検知センサの制御回路板9を配置して取付けてあり、また、リブ7の上記制御回路板9に対応する部位を図2のように凹ませて凹部33としてあって、リブ7の凹部33の部分は支持部6となっておらず、リブ7の凹部33の両側方の部位が支持部6となって上ケース部18の上面部18aに作用した重力方向の荷重で上ケース部18の上面部18aが下方に撓んだ際に上記リブ7の凹部33の両側方の支持部6となった部分に当たって支持されるようになっており、この時、凸曲部31の背面の収納凹所32内に配置して取付けた制御回路板9と凹部33の底部との間の隙間t2の寸法が、リブ7の凹部33の両側方の支持部6と上ケース部18の上面部18aの背面との間の隙間t1の寸法よりも大きいので、上ケース部18の上面部18aに作用した重力方向の荷重で上ケース部18の上面部18aが下方に撓んで記リブ7の凹部33の両側方の支持部6となった部分に当たって支持された時に、制御回路板9が温水タンク2(つまり実施形態では温水タンク2の上面部2bに設けたリブ7)に衝突することがなく、制御回路板9が損傷しないようになっている。
【0048】
この場合、リブ7に凹部33を設けることなく、上ケース部18に上記のように収納凹所32を設けて収納凹所32に制御回路板9を配設して取付けることで、上記隙間t1の寸法よりも大きい寸法の隙間t2を形成してもよく、また、上ケース部18に収納凹所32を設けることなく、リブ7に凹部33を設けることで、上記隙間t1の寸法よりも大きい寸法の隙間t2を形成してもよい。
【0049】
また、図1、図2に示すように、上ケース部18の上面部18aの背面よりも下方位置で且つ支持部6と同じレベルか又は支持部6よりも上方位置に、ケース1の下方への撓み変形によりケース1が接触することで温水洗浄便座装置14の電源をオフにするためのリミットスイッチのような接触センサ10を設けてもよい。このように接触センサ10を設けると、上ケース部18の上面部18aに重力方向の荷重が作用した時、上ケース部18の上面部18aが下方に向けて撓んで上面部18aが支持部6に支持されるのと同時に又は支持部6により支持される直前に接触センサ10に上面部18aが当たって、上面部18aが撓んだこと(つまり、人が誤って上面部18aに乗ったこと)を検知して温水洗浄便座装置14の電源をオフにして使用者の安全を図るようになっている。
【0050】
温水タンク2の上面部2bには図1乃至図3に示す実施形態や図7に示す実施形態のように弾性部材11を設けるようにしてもよい。弾性部材11としては例えば、図1乃至図3に示す実施形態ではコイルばね11aであり、図7の実施形態ではゴムあるいは合成樹脂発泡体よりなるクッション材であり、いずれの実施形態でも弾性部材11の上端が支持部6よりも上方に位置している。添付図面に示す実施形態では温水タンク2の上面部2bに下端部を取付けた弾性部材11の上端部が上ケース部18の上面部18aの背面に当接している。
【0051】
このように、温水タンク2の上面部に弾性部材11を設け、該弾性部材11の上端を支持部6よりも上方に位置させることで、人が乗ったりして上ケース部18の上面部18aに重力方向の荷重が作用した場合、弾性部材11により衝撃を緩衝することができると共に、上方から作用する荷重を支持部6で支持するだけでなく弾性部材11により分散して温水タンク2上面部に伝えて支持でき、温水タンク2の一部に集中荷重がかかるのを防止し、温水タンク2が破壊されるのを防止できることになる。
【0052】
ところで、上ケース部18の上面部18aに人が乗ったりして荷重が作用した場合、上面部18aが下方に撓むだけでなく、横方向にもずれる場合がある。このような横方向のずれを防止するために、本発明においては、上ケース部18の上面部18aの背面側に横ずれ防止部12を設け、温水タンク2の上面部2bに上記横ずれ防止部と横方向に対向してケース1の横方向のずれの際に横ずれ防止部12が当接するための横ずれ防止用当たり部13を設けてある。上面部18aの背面側に横ずれ防止部12を設けるに当たっては、例えば、図2(b)に示すように上記凸曲部31の背面の収納凹所32の両内側面を横ずれ防止部12とし、リブ7の収納凹所32の両内側面横ずれ防止部12に対して横方向に対向する位置に図8示すような横ずれ防止用当たり部13を突設することで、上ケース部18の横ずれも防止することができる。横ずれ防止部12、横ずれ防止用当たり部13は上記例にのみ限定されず、収納凹所32以外の箇所に横ずれ防止部12を設け、温水タンク2に上記横ずれ防止部12に対して横方向に対向する位置に横ずれ防止用当たり部13を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、上記図8に示す実施形態や、図9に示す実施形態のように、温水タンク2の側壁2aの直上に支持部6を設けてもよい。このように温水タンク2の側壁2aの直上に支持部6を設けると、上ケース部18の上面部18aに重力方向の荷重が作用した場合、荷重を支持部6から温水タンク2の側壁2aに直接伝えることができ、これにより温水タンク2の上面部2bに荷重が集中してかかることによって温水タンク2が破壊するのを防止するようになっている。
【0054】
なお、上記各実施形態では、温水タンク2の上面部2aにリブ7を一体に突設して該リブ7を支持部6とした例を示したが、リブ7を設けることなく、温水タンク2の上面部2aをそのまま支持部6としてもよい。
【0055】
また、上記各実施形態では、上ケース部18の上面部18aに荷重が作用しない通常使用状態で上ケース部18の上面部18aの背面と支持部6との間に隙間を形成しているが、通常の状態で支持部6が上ケース部18の上面部18aの背面に当接していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の上ケース部を取付ける前の状態の平面図である。
【図2】(a)は同上の上ケース部を取付けた状態の図1のA−A線の断面図であり、(b)は要部拡大断面図である。
【図3】同上の上ケース部を取付けた状態の図1のB−B線の断面図である。
【図4】同上の温水洗浄便座装置を便器に取付けた状態を示し、(a)は便座、便蓋を倒した状態を示す斜視図であり、(b)は便蓋のみを起立させた使用状態を示す斜視図である。
【図5】同上に用いる装置本体の斜視図である。
【図6】(a)(b)はそれぞれ同上の下ケース部の下連結部と上ケース部の上連結部との連結部分の断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の断面図である。
【図8】本発明の温水タンクに設けたリブに更に横ずれ防止用当たり部を設けた例を示す斜視図である。
【図9】同上の温水タンクの側壁の直上に支持部を設けた例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ケース
2 温水タンク
3 洗浄ノズル
4 装置本体
5 便座
6 支持部
7 リブ
8 表示部
9 制御回路板
10 接触センサ
11 弾性部材
12 横ずれ防止部
13 横ずれ防止用当たり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に温水タンクを設置すると共に洗浄ノズルを備えた装置本体と、装置本体のケースに回転可能に取付けた便座とを備えた温水洗浄便座装置において、重力方向の荷重がケース上面部に作用した際に該ケースに作用する荷重を支持するための支持部を温水タンクに設けて成ることを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項2】
ケース上面部の略中央部に対応した位置に支持部を配置して成ることを特徴とする請求項1記載の温水洗浄便座装置。
【請求項3】
温水タンクの上部に上方に向けてリブを突設し、該リブをケースに作用する荷重を支持するための支持部として成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の温水洗浄便座装置。
【請求項4】
ケースの上面部の背面と支持部との間に隙間を形成し、重力方向の荷重400〜700Nがケース上面部に作用してケースの上面部が下方に撓んだ際にケース上面部の背面が支持部に当接するように設定して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の温水洗浄便座装置。
【請求項5】
ケース上面部に温水洗浄便座の表示部又は人体検知センサを設けると共に該ケース上面部の背面側に上記表示部又は人体検知センサの制御回路板を取付け、制御回路板の取付け部分の両側方の部位に対応する位置に温水タンクの支持部を配置し、ケース上面部の背面に取付けた制御回路板と温水タンクとの間の隙間の寸法を、ケース上面部の背面の制御回路板の取付け部分の両側方の部位と上記支持部との間の隙間の寸法よりも大きくして成ることを特徴とする請求項4記載の温水洗浄便座装置。
【請求項6】
ケース上面部の背面よりも下方位置で且つ支持部と同じレベルか又は支持部よりも上方位置に、ケースの下方への撓み変形によりケースが接触することで温水洗浄便座装置の電源をオフにするための接触センサを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の温水洗浄便座装置。
【請求項7】
温水タンクの上面部に弾性部材を設け、該弾性部材の上端を支持部よりも上方に位置させて成ることを特徴とする請求項4記載の温水洗浄便座装置。
【請求項8】
ケース上面部の背面側に横ずれ防止部を設け、温水タンクの上面部に上記横ずれ防止部と横方向に対向してケースの横方向のずれの際に横ずれ防止部が当接する横ずれ防止用当たり部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の温水洗浄便座装置。
【請求項9】
温水タンクの側壁の直上に支持部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−16823(P2006−16823A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194482(P2004−194482)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】