説明

温水洗浄便座装置

【課題】 ビタミンCの消費を抑えてビタミンC供給の寿命が長く、使用者がビタミンCの消費状況を容易に把握できる温水洗浄便座装置を提供すること。
【解決手段】 温水洗浄便座装置1は、洗浄水を噴出して人体局部を洗浄する肛門洗浄ノズル5、ビデ洗浄ノズル6と、洗浄水を供給する給水源21と給水源21と肛門洗浄ノズル5、ビデ洗浄ノズル6を連通する配管25と配管25に設けられ洗浄水を加熱して貯留する温水タンク23と温水タンク23の洗浄水の開閉制御する給水弁22とを有する給水回路20と、配管25と連通するバイパス配管27とバイパス配管27へ洗浄水の流れを切り換えるバイパス切換弁28とを有するパイパス回路26と、バイパス回路26に設けられバイパス配管27を流れる洗浄水にビタミンCを供給するビタミンCカートリッジ9と、操作パネル8と、操作パネルからの信号を受けて給水回路20とバイパス回路26を制御する制御装置31と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンCにより洗浄水に含まれる残留塩素を除去する温水洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビタミンCにより洗浄水に含まれる残留塩素を除去する温水洗浄便座装置は、洗浄水の配管途中にビタミンC(薬剤)を放出する機構を設けて、洗浄水に含まれる残留塩素を除去している。また、配管途中に水抜きのための機構を設けて、長期間使用しない場合の雑菌の繁殖、水垢、ビタミンCの固形化を防止している。また使用者にビタミンCの消費を知らせるために、薬剤を放出する機構に透明な材料を使用したり、薬剤を着色したりしている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−301031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の温水洗浄便座装置では、使用者が洗浄操作を行うと必ずビタミンCを放出する機構を洗浄水が流動するため、洗浄操作毎にビタミンCが洗浄水に溶出し、ビタミンCの消費を早める問題がある。また、温水洗浄便座装置の本体ケース内にビタミンCを収納すると、使用者はビタミンCの消費状況を把握できない問題がある。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来の温水洗浄便座装置と比べてビタミンCの消費を抑えてビタミンC供給の寿命が長く、また、使用者がビタミンCの消費状況を容易に知ることができる温水洗浄便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、洗浄水を噴出して人体局部を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄水を供給する給水源と、前記給水源と前記洗浄手段を連通する配管と、前記配管に設けられ前記洗浄水を加熱して貯留する温水タンクと、前記温水タンクの前記洗浄水の前記洗浄手段への供給を開閉制御する給水弁と、を有する給水手段と、前記給水手段と連通し、バイパス配管と、前記バイパス配管へ前記洗浄水を切り換えるバイパス切換弁と、を有するパイパス手段と、前記バイパス手段に設けられ、前記バイパス配管を流れる前記洗浄水にビタミンCを供給するビタミンC供給手段と、前記給水手段と前記バイパス手段を操作する操作手段と、前記操作手段からの信号を受けて前記給水手段と前記バイパス手段を制御する制御装置と、から構成される。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記ビタミンC供給手段から前記洗浄水を便器に排出する排出機構を備える。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、前記バイパス手段への前記洗浄水の通水が所定値を超えると、前記ビタミンC供給手段の交換を報知手段で報知する。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、ビタミンEを供給するビタミンE供給手段と、前記ビタミンEを人体局部に噴出する噴出手段と、前記ビタミンE供給手段から前記噴出手段へ前記ビタミンEを送給する送給手段と、から構成されるケア手段を備え、前記ケア手段は前記制御装置により制御される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明では、ビタミンC供給手段を給水手段に連通するパイパス手段に設けたため、洗浄水がバイパス手段を流動したときにのみ洗浄水にビタミンCが供給される。したがって、ビタミンCの洗浄水への溶出は、洗浄水がバイパス手段を流動するときに限定され、従来の使用者が洗浄操作を行う毎にビタミンCを溶出する場合と比べてビタミンCの消費が抑えられ、洗浄水に含まれる残留塩素を除去する寿命が長くなる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、ビタミンC供給手段は洗浄水を便器に排出する排出機構を備えるため、ビタミンCの洗浄水への溶出による消費を抑え、また長期間使用しない場合の雑菌の繁殖、水垢、ビタミンCの固形化を防止できる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、バイパス手段への洗浄水の通水が所定値を超えると、制御装置はビタミンC供給手段の交換を報知手段で報知するため、温水洗浄便座装置の本体ケース内にビタミンC供給手段を設けた場合でも使用者はビタミンCの消費状況を容易に把握できる。洗浄水の通水の所定値とはビタミンCの洗浄水への溶出による消費と相関関係があり定量的に把握できるものであればよく、具体的にはバイパス手段への洗浄水の通水時間又は通水量である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、給水手段からの洗浄水により人体局部を洗浄する給水手段とは別にケア手段を設けることで、使用者は人体局部の血行をよくして、痔の予防・改善、生理痛の軽減が可能になるとともに、洗浄水の残留塩素の除去が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する
図1は、本発明の温水洗浄便座装置1の全容を示す斜視図である。温水洗浄便座装置1は、便器2と、便器2に載置された本体ケーシング3と、本体ケーシング3によって便器2に対し傾立状態と重合状態とに変位自在に保持された便座4とから構成される。
【0014】
本体ケーシング3は、洗浄時に所定位置まで延出して洗浄水を噴出して肛門部を洗浄する肛門洗浄ノズル5(洗浄手段)と、洗浄時に所定位置まで延出して女性部を洗浄するビデ洗浄ノズル6(洗浄手段)と、使用時に所定位置まで延出して肛門部に向けてビタミンEを噴霧するケアノズル7(噴出手段)と、を備える。
【0015】
また、本体ケーシング3の便器2の一側方には、操作パネル8(操作手段)と、洗浄水にビタミンCを供給するためのビタミンCカートリッジ9(ビタミンC供給手段)を収容するビタミンCカートリッジ収容部10と、肛門部にビタミンEを噴霧するためのビタミンEカートリッジ11(ビタミンE供給手段)を収容するビタミンEカートリッジ収容部12と、を備える。ビタミンCカートリッジ9は、肛門洗浄ノズル5及びビデ洗浄ノズル6より高い位置に設けられる。操作パネル8は、肛門洗浄ボタン15と、ビデ洗浄ボタン16と、ビタミンC供給ボタン17と、ケアボタン18と、停止ボタン19とを備える。ビタミンCカートリッジ収容部10の横にはビタミンCカートリッジ9の交換を使用者に知らせるためのビタミンC交換ランプ13(報知手段)が設けられ、ビタミンEカートリッジ収容部12の横にはビタミンEカートリッジ11の交換を使用者に知らせるためのビタミンE交換ランプ14が設けられる。
【0016】
図2は、本発明の温水洗浄便座装置1の回路をブロック化して示す回路図である。給水回路20(給水手段)は、洗浄水を供給する給水源21と、給水源21からの洗浄水を開閉制御する給水弁22と、給水弁22からの洗浄水を加熱して貯留する温水タンク23と、温水タンク23からの洗浄水を肛門洗浄ノズル5又はビデ洗浄ノズル6のいずれかに切り換える三方切換弁24と、給水源21と肛門洗浄ノズル5又はビデ洗浄ノズル6と連通して洗浄水が流動する配管25と、から構成される。
【0017】
温水タンク23と三方切換弁の間にはバイパス回路26(バイパス手段)が設けられる。バイパス回路26は、配管25に連通するバイパス配管27と、ハイパス配管27へ洗浄水の流れを切り換えるバイパス切換弁28とから構成される。バイパス回路26には洗浄水にビタミンCを供給するためのビタミンCカートリッジ9が設けられる。
【0018】
ビタミンEカートリッジ11のビタミンEは、給水回路20とは別のケア回路29(ケア手段)に設けられ、ポンプ30(送給手段)により送給されて、ケアノズル7から肛門部に向けて噴霧(噴出)される。
【0019】
制御装置31は操作パネル8からの信号を受けて、給水回路20、バイパス回路26、ケア回路29、ビタミンC交換ランプ13、ビタミンE交換ランプ14を制御する。
【0020】
次に温水洗浄便座装置1の動作について詳述する。
【0021】
(洗浄動作)
操作パネル8の肛門洗浄ボタン15を使用者が押すと、制御装置31は給水弁22を開き、バイパス切換弁28を配管25に連通させ、三方切換弁24を肛門洗浄ノズル5に連通する。洗浄水は配管25の給水弁22、温水タンク23、バイパス切換弁28、三方切換弁24を経由して、肛門洗浄ノズル5から肛門部へ向けて噴射される。同様に、操作パネル8のビデ洗浄ボタン16を使用者が押すと、制御装置31は給水弁22を開き、バイパス切換弁28を配管25に連通させ、三方切換弁24をビデ洗浄ノズル6に連通する。洗浄水は配管25の給水弁22、温水タンク23、バイパス切換弁28、三方切換弁24を経由して、ビデ洗浄ノズル6から女性部へ向けて噴射される。
【0022】
(ビタミンCを含んだ洗浄動作)
操作パネル8のビタミンC供給ボタン17が押された状態で肛門洗浄ボタン15を使用者が押すと、制御装置31は給水弁22を開き、バイパス切換弁28をハイパス配管27に連通させ、三方切換弁24を肛門洗浄ノズル5に連通する。バイパス配管27に設けたビタミンCカートリッジ9でビタミンCが洗浄水に溶出して、洗浄水に含まれる残留塩素を除去しながら肛門洗浄ノズル5から肛門部へ向けて噴射される。同様に操作パネル8のビタミンC供給ボタン17が押された状態でビデ洗浄ボタン16を使用者が押すと、制御装置31は給水弁22を開き、バイパス切換弁28をハイパス配管27に連通させ、三方切換弁24をビデ洗浄ノズル6に連通する。バイパス配管27に設けたビタミンCカートリッジ9でビタミンCが洗浄水に溶出して、洗浄水に含まれる残留塩素を除去しながらビデ洗浄ノズル6から女性部へ向けて噴射される。
【0023】
(洗浄水の排出動作)
ビタミンCを含んだ洗浄動作の後、使用者が停止ボタン19を押すと、制御装置31は給水弁22を閉じ、バイパス切換弁28のバイパス配管27への連通を停止し、三方切換弁24を肛門洗浄ノズル5又はビデ洗浄ノズル6に連通する。ビタミンCカートリッジ9は肛門洗浄ノズル5及びビデ洗浄ノズル6より高い位置に設けられるため、ビタミンCカートリッジ9の洗浄水はバイパス配管27、三方切換弁24、配管25を経由して肛門洗浄ノズル5又はビデ洗浄ノズル6より便器2内に排出される(排出機構)。
【0024】
(報知動作)
制御装置31は、給水弁22が開で且つバイパス切換弁28をハイパス配管27に連通させた状態の累積時間を計測して、所定時間(所定値)経過(概ね100時間)するとビタミンC交換ランプ13を点灯して、使用者にビタミンCカートリッジ9の交換を報知する。また、制御装置31は、ポンプ30の稼働の累積時間を計測して、所定時間(所定値)経過するとビタミンE交換ランプ14を点灯して、使用者にビタミンEカートリッジ9の交換を報知する。
【0025】
(ケア動作)
操作パネル8のケアボタン18を使用者が押すと、制御装置31はケア回路29のポンプ30を稼働する。ビタミンEカートリッジ11のビタミンEは、ポンプ30を経由してケアノズル7より肛門部に向けて噴霧される。
【0026】
本発明の温水洗浄便座装置1では、ビタミンCカートリッジ9を給水回路20に連通するパイパス回路26に設けたため、使用者が操作パネル8でビタミンC供給ボタンを操作したときにのみ洗浄水はバイパス回路26を流動する。したがって、ビタミンCの洗浄水への溶出による消費は、洗浄水がバイパス回路26を流動するときに限定され、従来の使用者が洗浄操作を行う毎にビタミンCが溶出する場合と比較してビタミンCの消費が抑えられ、洗浄水に含まれる残留塩素を除去する寿命が長くなる。
【0027】
また、停止ボタン19が押されると、ビタミンCカートリッジ9の洗浄水は便器2内に排出されるため、ビタミンCの洗浄水への溶出による消費を抑え、また長期間使用しない場合の雑菌の繁殖、水垢、ビタミンCの固形化を防止できる。
【0028】
また、バイパス回路26への洗浄水の通水が所定時間を超えると、制御装置31はビタミンCカートリッジ9の交換をビタミンC交換ランプ13で報知するため、温水洗浄便座装置1の本体ケース2内にビタミンCカートリッジ9を収納しても使用者はビタミンCの消費状況を容易に把握できる
また、給水回路20とは別にケア回路29を備えるため、使用者は肛門部の血行をよくして、痔の予防・改善、生理痛の軽減が可能になる。また給水回路20とは別の回路であるため洗浄水の残留塩素の除去が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の温水洗浄便座装置の全容を示す斜視図である。
【図2】本発明の温水洗浄便座装置の回路をブロック化して示す回路図である。
【符号の説明】
【0030】
1 温水洗浄便座装置
5 肛門洗浄ノズル(洗浄手段)
6 ビデ洗浄ノズル(洗浄手段)
7 ケアノズル(噴出手段)
8 操作パネル(操作手段)
9 ビタミンCカートリッジ(ビタミンC供給手段)
11 ビタミンEカートリッジ(ビタミンE供給手段)
13 ビタミンC交換ランプ(報知手段)
20 給水回路(給水手段)
26 バイパス回路(バイパス手段)
29 ケア回路(ケア手段)
31 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴出して人体局部を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄水を供給する給水源と、前記給水源と前記洗浄手段を連通する配管と、前記配管に設けられ前記洗浄水を加熱して貯留する温水タンクと、前記温水タンクの前記洗浄水の前記洗浄手段への供給を開閉制御する給水弁と、を有する給水手段と、
前記給水手段と連通し、バイパス配管と、前記バイパス配管へ前記洗浄水を切り換えるバイパス切換弁と、を有するパイパス手段と、
前記バイパス手段に設けられ、前記バイパス配管を流れる前記洗浄水にビタミンCを供給するビタミンC供給手段と、
前記給水手段と前記バイパス手段を操作する操作手段と、
前記操作手段からの信号を受けて前記給水手段と前記バイパス手段を制御する制御装置と、を備えた温水洗浄便座装置。
【請求項2】
前記ビタミンC供給手段から前記洗浄水を便器に排出する排出機構を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄便座装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記バイパス手段への前記洗浄水の通水が所定値を超えると、前記ビタミンC供給手段の交換を報知手段で報知する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の温水洗浄便座装置。
【請求項4】
ビタミンEを供給するビタミンE供給手段と、前記ビタミンEを人体局部に噴出する噴出手段と、前記ビタミンE供給手段から前記噴出手段へ前記ビタミンEを送給する送給手段と、から構成されるケア手段を備え、
前記ケア手段は前記制御装置により制御される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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