説明

温水洗浄便座装置

【課題】 ノズル本体を引き出す際に引き出すための道具を用いることのない温水洗浄便座装置を提供すること。
【解決手段】
温水洗浄便座装置は、ノズル2と、ノズル2と異なる軌跡を動く可動軸30と、を備え、ノズル2は、ノズル2の外面を形成する筒状のノズルホルダ10と、ノズルホルダ10の内側に設けられ洗浄水の水圧を受けてノズルホルダ10から突出するノズル本体20と、ノズル本体20に設けられた金属部材21と、ノズル本体20をノズルホルダ10内に収納する方向に付勢するリターンスプリング22と、を有し、可動軸30は、ノズル本体20に近づくことで磁力により金属部材21と非接触でノズルホルダ10からノズル本体20を突出させる永久磁石31をノズル2側の面32に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座装置で、特に人体局部を洗浄するノズルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、筒状のノズルホルダと、ノズルホルダの内側に形成され、水圧を受けてノズルホルダの先端から突出可能なノズル本体と、ノズル本体をノズル本体内に収納する方向に付勢する付勢部材と、を有する温水洗浄便座装置のノズルにおいて、ノズル本体の先端に磁石を設けたことで、ノズル本体を掃除する際に磁性物質からなる磁石と吸着する材質よりなる部材(例えば、鉄製のドライバ、ベンチ、金具等)といった道具をノズル本体の先端の磁石に接近させて、ノズル本体を磁力により吸着させて突出させるようにした温水洗浄便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−26086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の温水洗浄便座装置では、ノズル本体を掃除する際にノズル本体を突出させるのに、磁性物質からなる道具(金属部材)を磁石が設けられたノズル先端に当接させる必要がある。
【0005】
本発明は上記問題点を鑑みて成されたものであり、ノズル洗浄用の道具を用いることなくノズル本体を突出させることができる温水洗浄便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、洗浄水が供給され、便器内に突出して先端部から洗浄水を人体局部に向かって噴射する非磁性体からなるノズルと、前記ノズルと異なる方向を動く可動軸と、を備える温水洗浄便座装置であって、前記ノズルは、前記ノズルの外面を形成する筒状のノズルホルダと、前記ノズルホルダの内側に設けられ、洗浄水の水圧を受けて前記ノズルホルダから突出するノズル本体と、前記ノズル本体を前記ノズルホルダ内に収納する方向に付勢する付勢部材と、前記ノズル本体に設けられた第1の磁性体と、を有し、前記可動軸は、前記第1の磁性体に対向する第2の磁性体を有し、前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体は、少なくともいずれか一方が磁石であり、前記ノズル本体に近づくことで磁力により、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体とが非接触で前記ノズルホルダから前記ノズル本体を突出させることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体との何れか一方は磁石で、他方は金属部材であることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記付勢部材は非磁性のコイルスプリングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の課題解決手段では、第1の磁性体及び第2の磁性体の少なくともいずれか一方が磁石である場合は、ノズル本体を掃除する際に第1の磁性体と第2の磁性体とで磁力を働かせ、非接触でノズル本体を相対移動させることでノズル本体をノズルホルダから引き出すことができるため、ノズル本体と接触して引き出すための道具が不要となり、ノズル先端の汚れが道具に付着する問題がない。また、第1の磁性体及び第2の磁性体の両方が磁石の場合は、第1の磁性体と第2の磁性体との間で引き合う、もしくは反発し合う磁力が働く。第1の磁性体及び第2の磁性体が共に磁石であるため、より強力な磁力が得られることで、温水洗浄便座装置はノズル本体のノズルホルダからの引き出し動作を円滑にすることや、ストローク量を増やすことが可能となる。
【0010】
また、本発明の第2の課題解決手段では、第1の磁性体と第2の磁性体との間には引き合う磁力が働くため、一方のみ磁石を用いてもノズル本体をノズルホルダから引き出す(突出させる)ことができるので、両方に磁石を用いるときよりもコストを抑制できる。
【0011】
また、本発明の第3の課題解決手段で付勢部材は、非磁性のコイルスプリングを用いることで、磁力の影響を受けることがなく、ノズル本体のノズルホルダからの引き出し動作を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るノズル本体格納時の温水洗浄便座装置の上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るノズル本体格納時の温水洗浄便座装置のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るノズル本体突出時の温水洗浄便座装置の上面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るノズル本体突出時の温水洗浄便座装置のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るノズル本体格納時の温水洗浄便座装置の上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るノズル本体格納時の温水洗浄便座装置のC−C断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るノズル本体突出時の温水洗浄便座装置の上面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るノズル本体突出時の温水洗浄便座装置のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る温水洗浄便座装置1の上面図である。本発明の温水洗浄便座装置1は、図示しない便座及び/又は便蓋が回動可能に支持され、便器上に配設されたハウジング内に設けられ、樹脂製のビデ洗浄用ノズル2(以下ノズル2と称す)と、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3と、ハウジングを構成するベースプレート4と、各ノズル2及び3の軸と立体交差し所謂ねじれの位置関係を構成するようベースプレート4上に設けられ、先端に永久磁石31(第2の磁性体)を設けた可動軸30と、を有する。なお、本実施形態では、上面から見て可動軸30はノズル2と垂直に立体交差して、ノズル2と異なる方向へ動き、逆S字形状のクランク部を介してベースプレート4上を通ってハウジング外部まで延在し、ハウジング外部に設けられた操作部(図示しない)等から可動軸30を操作することでスライド移動できる。温水洗浄便座装置1は、便器内に向けて各ノズル2及び3を動作させる。
【0015】
図2は、本発明の第1実施形態に係るノズル本体20格納時の温水洗浄便座装置1のA−A断面図である。ノズル2は、ノズル2の外面を形成する筒状のノズルホルダ10と、ノズルホルダ10の内側に形成され水圧を受けてノズルホルダ10から突出可能なノズル本体20と、ノズル本体20の可動軸30に対向する面に設けられた金属部材21(第1の磁性体)と、ノズル本体20をノズルホルダ10内に収納する方向に付勢する非磁性のリターンスプリング22(付勢部材)と、から構成される。ノズルホルダ10は、一端に洗浄水を供給する給水口11と、他端にノズル本体20を突出させるための開口12と、ノズル本体20を係止するノズル本体係止面13と、を有する。ノズル本体20は、筒状であり、一端にノズルホルダ10と係止するための拡大部23と、ノズル本体20に洗浄水を供給する給水口24と、この給水口24に着座可能な弁25と、が設けられる。また、ノズル本体20は、内部でバルブスプリング26の一端を弁25に取り付けて弁25を給水口24に着座させ、バルブスプリング26の他端を固定されたバルブスプリング取り付け部27に取り付ける。なお、ノズル本体20の先端の上面側に温水洗浄便座装置1を作動させる際に水を噴出させる噴出口28が設けられる。また、リターンスプリング22とバルブスプリング26の付勢力は、洗浄水に起因して発生するノズル本体20に加わる圧力により、リターンスプリング22が圧縮されてから、バルブスプリング26が圧縮されるように設定されている。また、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3は、ノズル2と同様の構造である。また、可動軸30の永久磁石31は、ノズルホルダ10及び金属部材21と対向するノズル2側の面32に設けられている。
【0016】
図3は、本発明の第1実施形態に係るノズル本体20突出時の温水洗浄便座装置1の上面図である。図3は、図1から永久磁石31を有する可動軸30が動いた後の温水洗浄便座装置1であり、可動軸30がノズル2に近づくことで、ノズルホルダ10からノズル本体20を例えば10mm〜15mm突出させる。
【0017】
図4は、本発明の第1実施形態に係るノズル本体20突出時の温水洗浄便座装置1のB−B断面図である。図4は、図2から永久磁石31を有する可動軸30が動いた後の温水洗浄便座装置1であり、可動軸30がノズル2に近づくことで、金属部材21と、永久磁石31と、が引き合い、リターンスプリング22を圧縮し、ノズルホルダ10からノズル本体20を突出させる。なお、金属部材21と永久磁石31との距離は、リターンスプリング22のバネ定数、永久磁石31の磁力、との関係で適宜定まるものであり、金属部材21と永久磁石31との間で引き合う力はリターンスプリング22の付勢力より強く、リターンスプリング22を圧縮できるものとする。
【0018】
第1実施形態の動作について説明する。洗浄水が給水口11からノズルホルダ10に給水されると、洗浄水の水圧は、ノズル本体20の拡大部23の後端面に作用し、リターンスプリング22を圧縮しながら拡大部23がノズル本体係止面13で係止されるまでノズル本体20を前進させる。そして、洗浄水の水圧は、バルブスプリング26を圧縮しながら弁25を押し下げて給水口24を開放させて洗浄水がノズル本体20内に流入し、噴出口28から噴出する。
【0019】
洗浄水の供給が停止すると、バルブスプリング26の付勢力により弁25が給水口24を閉鎖し、またリターンスプリング22の付勢力によりノズル本体20をノズルホルダ10内に収納するように後退する。
【0020】
ノズル本体20が後退した状態から、ノズルホルダ10よりノズル本体20を突出させてノズル本体20を掃除する際には永久磁石51を有する可動軸50をノズル2に近づく方向に移動させる。可動軸30がノズル2に接近すると、ノズル本体20が有する金属部材21と、永久磁石31との間の磁力の働きによって、金属部材21が永久磁石31に引き寄せられることで、リターンスプリング22を圧縮し、ノズル本体20をノズルホルダ10から引き出される。また、ノズル本体20をノズルホルダ10に戻すには、永久磁石31を有する可動軸30をノズル2から離れる方向に移動させる。可動軸30がノズル2から離間すると、ノズル本体20が有する金属部材21と、永久磁石31との間の磁力の働きが弱まり、金属部材21が永久磁石31に引き寄せられなくなることで、リターンスプリング22の付勢力で、ノズル本体20をノズルホルダ10内に収納するように後退する。また、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3の動作は、ノズル2と同様の動作である。
【0021】
第1実施形態の効果について説明する。ノズル本体20を掃除する際に金属部材21と永久磁石31とで磁力を働かせ、非接触でノズル本体20を例えば10mm〜15mm突出させるため、ノズル本体20と接触して引き出すための道具が不要となり、ノズル先端の汚れが道具に付着する問題がなく、ノズル本体20を引き出して噴出口28周囲を掃除できる。
【0022】
また、第1の磁性体である永久磁石31のみに永久磁石を用いてもノズル本体20をノズルホルダ10から引き出す(突出させる)ことができるので、第2の磁性体に永久磁石ではなく金属部材21を用いることで、第2の磁性体に永久磁石を用いるよりもコストを抑制できる。
【0023】
また、付勢部材は、非磁性のリターンスプリング22を用いることで、磁力の影響を受けることがなく、ノズル本体20のノズルホルダ10からの引き出し動作を円滑に行うことが可能となる。
【0024】
また、温水洗浄便座装置1は、可動軸30をベースプレート4に対して平行にスライド移動が可能であるため、ノズル2とベースプレート4との間の限られた空間の中でも動作可能である。更に、温水洗浄便座装置1は、ノズル2のスライド移動方向に対して、可動軸30がねじれ方向に移動する(本実施形態では、可動軸30が立体交差するようにノズル2に対してスライド移動する)ことで、各ノズル2及び3の引き出し動作の不具合を抑制する。例えば、可動軸30が各ノズル2及び3の突出方向の前方からスライド移動させる際は、ノズル本体20及び可動軸30に設けられた各磁性体21、31の位置関係により、ノズル本体20が引き出されないおそれがある。
【0025】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る温水洗浄便座装置1の上面図である。第1実施形態では、金属部材21と永久磁石31との組み合わせであったのに対して、第2実施形態では、2つの永久磁石41、51を用いたことである。その他の構成は同様であり、第1実施形態と同一の部品、同一の構造については同一の符号を用いて説明する。本発明の温水洗浄便座装置1は、図示しない便座及び/又は便蓋が回動可能に支持され、便器上に配設されたハウジング内に設けられ、樹脂製のビデ洗浄用ノズル2と、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3と、ハウジングを構成するベースプレート4と、各ノズル2及び3の軸と立体交差し所謂ねじれの位置関係を構成するようベースプレート4上に設けられ先端に永久磁石51(第2の磁性体)を設けた可動軸50と、を有する。なお、本実施形態では、上面から見て可動軸50はノズル2と垂直に立体交差して、ノズル2と異なる方向へ動き、逆S字形状のクランク部を介してベースプレート4上を通って図示しないハウジング外部まで延在し、ハウジング外部に設けられた操作部(図示しない)等から可動軸50を操作することでスライド移動できる。温水洗浄便座装置1は、便器内に向けて各ノズル2及び3を動作させる。
【0026】
図6は、本発明の第2実施形態に係るノズル本体40格納時の温水洗浄便座装置1のC−C断面図である。ノズル2は、ノズル2の外面を形成する筒状のノズルホルダ10と、ノズルホルダ10の内側に形成され水圧を受けてノズルホルダ10から突出可能なノズル本体40と、ノズル本体40の可動軸50に対向する面に設けられた永久磁石41(第1の磁性体)と、ノズル本体40をノズルホルダ10内に収納する方向に付勢する非磁性のリターンスプリング42(付勢部材)と、から構成される。ノズルホルダ10は、一端に洗浄水を供給する給水口11と、他端にノズル本体40を突出させるための開口12と、ノズル本体40を係止するノズル本体係止面13と、を有する。ノズル本体40は、筒状であり、一端にノズルホルダ10と係止するための拡大部43と、ノズル本体40に洗浄水を供給する給水口44と、この給水口44に着座可能な弁45と、が設けられる。また、ノズル本体40は、内部でバルブスプリング46の一端を弁45に取り付けて弁45を給水口44に着座させ、バルブスプリング46の他端を固定されたバルブスプリング取り付け部47に取り付ける。なお、ノズル本体40の先端の上面側に温水洗浄便座装置1を作動させる際に水を噴出させる噴出口48が設けられる。また、リターンスプリング42とバルブスプリング46の付勢力は、洗浄水に起因して発生するノズル本体40に加わる圧力により、リターンスプリング42が圧縮されてから、バルブスプリング46が圧縮されるように設定される。また、永久磁石41と永久磁石51との向きは、可動軸50をノズル2の下部に動かした際、同じ極が向き合い、磁場がぶつかりあって反発する向きで設けられるものとする。また、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3は、ノズル2と同様の構造である。また、可動軸50の永久磁石51は、ノズルホルダ10及び永久磁石41と対向するノズル2側の面52に設けられている。
【0027】
図7は、本発明の第2実施形態に係るノズル本体40突出時の温水洗浄便座装置1の上面図である。図7は、図5から永久磁石51を有する可動軸50が動いた後の温水洗浄便座装置1であり、可動軸50がノズル2に近づくことで、ノズルホルダ10からノズル本体40を例えば10mm〜15mm突出させる。
【0028】
図8は、本発明の第2実施形態に係るノズル本体40突出時の温水洗浄便座装置1のD−D断面図である。図8は、図6からノズル本体40側の面52に永久磁石51を有する可動軸50が動いた後の温水洗浄便座装置1であり、可動軸50がノズル2に近づくことで、永久磁石41と、永久磁石51と、が反発し合い、リターンスプリング42を圧縮し、ノズルホルダ10からノズル本体40を突出させる。なお、永久磁石41と永久磁石51との距離は、リターンスプリング42のバネ定数、永久磁石41の磁力、永久磁石51の磁力、との関係で適宜定まるものであり、永久磁石41と永久磁石51との間で反発し合う力はリターンスプリング42の付勢力より強く、リターンスプリング42を圧縮できるものとする。
【0029】
第2実施形態の動作について説明する。洗浄水が給水口11からノズルホルダ10に給水されると、洗浄水の水圧は、ノズル本体40の拡大部43の後端面に作用し、リターンスプリング42を圧縮しながら拡大部43がノズル本体係止面13で係止されるまでノズル本体40を前進させる。そして、洗浄水の水圧は、バルブスプリング46を圧縮しながら弁45を押し下げて給水口44を開放させて洗浄水がノズル本体40内に流入し、噴出口48から噴出する。
【0030】
洗浄水の供給が停止されると、バルブスプリング46の付勢力により弁45が給水口44を閉鎖し、またリターンスプリング42の付勢力によりノズル本体40をノズルホルダ10内に収納するように後退する。
【0031】
ノズル本体40が後退した状態から、ノズルホルダ10よりノズル本体40を突出させてノズル本体40を掃除する際には永久磁石51を有する可動軸50をノズル2に近づく方向に移動させる。可動軸50がノズル2に接近すると、ノズル本体40が有する永久磁石41と、永久磁石51と、で磁力が働き、反発し合うことで、リターンスプリング42を圧縮し、ノズル本体40をノズルホルダ10から引き出される。また、ノズル本体40をノズルホルダ10に戻すには、永久磁石51を有する可動軸50をノズル2から離れる方向に移動させる。可動軸50がノズル2から離間すると、ノズル本体40が有する永久磁石41と、永久磁石51と、で磁力が弱まり、反発し合わなくなることで、リターンスプリング42の付勢力で、ノズル本体40をノズルホルダ10内に収納するように後退する。また、樹脂製のおしり洗浄用ノズル3の動作は、ノズル2と同様の構造である。
【0032】
第2実施形態の効果について説明する。ノズル本体40を掃除する際に永久磁石41と永久磁石51とで磁力を働かせ、非接触でノズル本体40を例えば10mm〜15mm突出させるため、ノズル本体40と接触して引き出すための道具が不要となり、ノズル先端の汚れが道具に付着する問題がなく、ノズル本体40を引き出して噴出口48周囲を掃除できる。
【0033】
また、永久磁石41及び永久磁石51は、共に磁石であるため、より強力な磁力を得られることで、温水洗浄便座装置1はノズル本体40のノズルホルダ10からの引き出し動作を円滑にすることやストローク量を増やすことが可能となる。
【0034】
また、付勢部材は、非磁性のリターンスプリング42を用いることで、ノズル本体40のノズルホルダ10からの引き出し動作を円滑に行うことが可能となる。
【0035】
また、温水洗浄便座装置1は、可動軸50をベースプレート4に対して平行にスライド移動が可能であるため、ノズル2とベースプレート4との間の限られた空間の中でも動作可能である。更に、温水洗浄便座装置1は、ノズル2のスライド移動方向に対して、可動軸50がねじれ方向に移動する(本実施形態では、可動軸50が立体交差するようにノズル2に対してスライド移動する)することで、各ノズル2及び3の引き出し動作の不具合を抑制する。例えば、可動軸50が各ノズル2及び3の突出方向の前方からスライド移動させる際は、ノズル本体40及び可動軸50に設けられた各磁性体41、51の位置関係により、ノズル本体40が引き出されないおそれがある。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に示す態様に変更しても良い。
【0037】
・実施形態1では、金属部材21と、永久磁石31と、で磁力が働くが、金属部材21の代わりに永久磁石を用いても、より強力に吸着させても良い。
【0038】
・実施形態1、2では、ノズル本体20、40がノズルホルダ10から引き出されるストローク量は10mm〜15mmで、ノズル本体20、40の先端を保持して引き出すことができるストローク量となっているが、磁力の強い磁石を用いることで噴出口28、48を外部に露出させられるストローク量でも良い。
【0039】
・実施形態1、2では、永久磁石にフェライト磁石、ネオジム磁石等を用いる。
【0040】
・実施形態1、2では、永久磁石31、第1の永久磁石41、第2の永久磁石51の代わりに電磁石を用いても良い。
【0041】
・実施形態1、2では、可動軸30、可動軸50は、手動で動かしてスライド移動させるが、モーター等の駆動源を用いて動かしても良い。
【0042】
・実施形態1、2では、ノズル2、3と可動軸30、50とが直線的な軸上を動くようにねじれの位置関係にあるが、可動軸30、50が回動するような軌跡上を動くようにしてノズル2、3とねじれの位置関係となっていても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 温水洗浄便座装置
2、3 ノズル
10 ノズルホルダ
20 ノズル本体
21 金属部材(第1の磁性体)
22 リターンスプリング(付勢部材)
30 可動軸
31 永久磁石(第2の磁性体)
40 ノズル本体
41 永久磁石(第1の磁性体)
42 リターンスプリング(付勢部材)
50 可動軸
51 永久磁石(第2の磁性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水が供給され、便器内に突出して先端部から洗浄水を人体局部に向かって噴射するノズルと、前記ノズルと異なる方向を動く可動軸と、を備える温水洗浄便座装置であって、
前記ノズルは、
前記ノズルの外面を形成する筒状のノズルホルダと、
前記ノズルホルダの内側に設けられ、洗浄水の水圧を受けて前記ノズルホルダから突出するノズル本体と、
前記ノズル本体を前記ノズルホルダ内に収納する方向に付勢する付勢部材と、
前記ノズル本体に設けられた第1の磁性体と、
を有し、
前記可動軸は、前記第1の磁性体に対向する第2の磁性体を有し、
前記第1の磁性体及び前記第2の磁性体は、少なくともいずれか一方が磁石であり、前記ノズル本体に近づくことで磁力により、前記第1の磁性体と前記第2の磁性体とが非接触で前記ノズルホルダから前記ノズル本体を突出させる、温水洗浄便座装置。
【請求項2】
前記第1の磁性体と前記第2の磁性体とのいずれか一方は磁石で、他方は金属部材である、請求項1に記載の温水便座装置。
【請求項3】
前記付勢部材は非磁性のコイルスプリングである、請求項1又は請求項2に記載の温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−172453(P2012−172453A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36979(P2011−36979)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】