説明

温水洗浄便座装置

【課題】 使用者からラックの汚れが見えず、従来に比べノズル周りが小型化でき、均一な洗浄効果が得られる温水洗浄便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の温水洗浄便座装置1は、長手方向に移動自在なビデ洗浄ノズル2と、長手方向に移動自在なお尻洗浄ノズル3と、ビデ洗浄ノズル2を駆動する第1モータ4と、お尻洗浄ノズル3を駆動する第2モータ5と、第1モータ4からビデ洗浄ノズル2に駆動力を伝達する第1ピニオンギア6と、第2モータ5からお尻洗浄ノズル3に駆動力を伝達する第2ピニオンギア7から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座装置で、特に人体局部を洗浄するノズルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、側壁にラックを形成した前後方向に移動自在な第1ノズルと、第1ノズルとを所定間隔を存して左右並行に配設し、第1ノズル側の対面する側壁にラックを形成した前後方向に移動自在な第2ノズルと、第1ノズルと第2ノズルとの間に介装し、第1ノズルと第2ノズルのラックに係合しモータと一体となった駆動ギア(モータ等)と、を備えた温水洗浄便座装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−11923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の温水洗浄便座装置では、ラックは、第1ノズル及び第2ノズルの側壁に設けられており、第1ノズル及び第2ノズルが前方に移動すると、使用者からラックが見えてしまうため、ラックが汚れると使用者に不快感を与える問題がある。また、この温水洗浄便座装置は、第1ノズルと第2ノズルとの間に駆動ギア等が設けられることで第1ノズルと第2ノズルとの間に使用されない未使用空間が生じるため、大型化する問題がある。また、第1ノズルと第2ノズルとが左右に並行に配置されているため、使用者の座る位置に対して温水噴射位置が左右方向にずれてしまうことで、温水を斜めから噴出し被洗浄局部に向けて斜めに当たる状態となる。このため、温水洗浄便座装置は、洗浄水があたる角度によって、被洗浄局部に対して洗浄範囲等にむらを生じるおそれがあり、均一な洗浄効果を得られない問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点を鑑みて成されたものであり、通常の使用では使用者からラックの汚れが見えず、従来に比べノズル周りが小型化でき、均一な洗浄効果が得られる温水洗浄便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、温水を噴出する第1ノズル及び第2ノズルを有し、前記第1ノズルと前記第2ノズルとを駆動するモータと、を備える温水洗浄便座装置であって、前記第1ノズルと前記第2ノズルとは、上下に重なる位置に配置され、前記第1ノズルは、前記第1ノズルの長手方向に延在し、前記第1ノズルの側面から隠れる位置で、前記モータからの駆動力が伝達されて前記第1ノズルを長手方向に移動する第1ラックが設けられ、前記第2ノズルは、前記第2ノズルの長手方向に延在し、前記第2ノズルの側面から隠れる位置で、前記モータからの駆動力が伝達されて前記第2ノズルを長手方向に移動する第2ラックが設けられる構成である。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記モータは、前記第1ノズルを駆動する第1モータと、前記第2ノズルを駆動する第2モータと、を有し、前記第1モータ及び前記第2モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の一方に設けられる構成である。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記モータは、前記第1ノズルを駆動する第1モータと、前記第2ノズルを駆動する第2モータと、を有し、前記第1モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の一方に設けられ、前記第2モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の他方に設けられる構成である。
【0009】
本発明の第4の課題解決手段は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、断面角形状を呈する構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の温水洗浄便座装置は、第1ラック及び第2ラックが、第1ノズル側面及び第2ノズル側面から隠れる位置に形成されるため、第1ノズル及び第2ノズルが前方に移動しても、通常の使用では使用者からラックの汚れが見えず、不快感を与えることがない。また、温水洗浄便座装置は、第1ノズルと第2ノズルとが上下に重なる位置に配置されるため、第1ノズルと第2ノズルとの間に駆動ギアが設けられた従来の温水洗浄便座装置に比べ、第1ノズルと第2ノズルとの間の未使用空間の形成を抑制することでノズル周りを小型化することができる。また、温水洗浄便座装置は、第1ノズルと第2ノズルとが上下に重なる位置に配置されるため、温水が被洗浄局部に対して真下または真下後方から温水噴出でき、均一な洗浄効果を得られる。
【0011】
また、温水洗浄便座装置は、第1ノズル及び第2ノズルを上下に重なる位置に配置し、第1モータ及び第2モータを第1ノズル及び第2ノズルの側方の一方に設けられるため、
第1ノズルと第2ノズルとの間に使用されない空間が形成されノズル周りが大型化してしまう従来の温水洗浄便座装置に比べ、ノズル周りをより小型化することができる。
【0012】
また、温水洗浄便座装置は、第1ノズル及び第2ノズルを上下に重なる位置に配置し、第1モータは、第1ノズル及び第2ノズルの側方の一方に設けられ、第2モータは、第1ノズル及び第2ノズルの側方の他方に設けられ、第1モータと第2モータが第1ノズル及び第2ノズルを挟持するように配置されるため、第1ノズルと第2ノズルとの周りに使用されない空間が形成されノズル周りが大型化してしまう従来の温水洗浄便座装置に比べ、ノズル周りを小型化すると同時に薄型化することができる。
【0013】
また、温水洗浄便座装置は、ノズルの断面を角形状とすることで、断面が円形状等のノズルよりも、第1ノズル側面及び第2ノズル側面から隠れる位置に形成するラックを大型化することができ、ラックに作用する面圧を軽減することで、ラックの耐久性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る温水洗浄便座装置の内部の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るお尻洗浄ノズルの(a)上面図及び(b)側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るビデ洗浄ノズルの(a)上面図及び(b)側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る温水洗浄便座装置の内部の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るお尻洗浄ノズルの(a)上面図及び(b)側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るビデ洗浄ノズルの(a)上面図及び(b)側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の第1変形例に係る温水洗浄便座装置の内部の構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の第2変形例に係るお尻洗浄ノズル及びビデ洗浄ノズルの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る温水洗浄便座装置1の内部の構造を示す斜視図である。本発明の温水洗浄便座装置1は、長手方向に移動自在な樹脂製のビデ洗浄ノズル2(第1ノズル)と、長手方向に移動自在な樹脂製のお尻洗浄ノズル3(第2ノズル)と、を備え、ビデ洗浄ノズル2と、お尻洗浄ノズル3とは互いが接触しない程度の所定間隔を開けて上下に重なる位置に配置される。また、ビデ洗浄ノズル2を駆動する第1モータ4(モータ)は、温水洗浄便座装置1に向かってビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図中右側に設けられ、お尻洗浄ノズル3を駆動する第2モータ5(モータ)は、温水洗浄便座装置1に向かってビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図中左側に設けられる。また、第1モータ4は、第1モータ4からビデ洗浄ノズル2に駆動力を伝達する樹脂製の第1ピニオンギア6を有し、第2モータ5は、第2モータ5からお尻洗浄ノズル3に駆動力を伝達する樹脂製の第2ピニオンギア7を有する。
【0017】
本発明の温水洗浄便座装置1は、ビデ洗浄ノズル2と、お尻洗浄ノズル3と、第1モータ4と、第2モータ5と、第1ピニオンギア6と、第2ピニオンギア7と、を内包するハウジング8と、ハウジング8の底部を構成するベースプレート9とを備える。なお、ビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3は、ベースプレート9に対して、例えば38度の角度をつけて設けられる。また、ビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3は、ベースプレート9に取り付けられた図示しないガイドによって摺動可能に支持されている。
図2は、本発明の第1実施形態に係るビデ洗浄ノズル2の(a)上面図及び(b)側面図である。ビデ洗浄ノズル2は、ビデ洗浄ノズル上面10に温水洗浄便座装置1を作動させる際に温水を噴出させる第1噴出口11が設けられる。また、ビデ洗浄ノズル2は、ビデ洗浄ノズル側面12の長手方向に延在するよう図中下側に、第1凹部13を有し、第1凹部13に第1ピニオンギア6と噛合する第1ラック14が設けられる。なお、第1凹部13は、ビデ洗浄ノズル側面12に対して低く、ビデ洗浄ノズル側面12から隠れる位置に設けられる。また、ビデ洗浄ノズル2のA−A断面は、四隅を面取りした四角形状である。
【0018】
図3は、本発明の第1実施形態に係るお尻洗浄ノズル3の(a)上面図及び(b)側面図である。お尻洗浄ノズル3は、お尻洗浄ノズル上面20に温水洗浄便座装置1を作動させる際に温水を噴出させる第2噴出口21が設けられる。また、お尻洗浄ノズル3は、お尻洗浄ノズル側面22の長手方向に延在するよう図中下側に第2凹部23を有し、第2凹部23に第2ピニオンギア7と噛合する第2ラック24が設けられる。なお、第2凹部23は、お尻洗浄ノズル側面22に対して低く、お尻洗浄ノズル側面22から隠れる位置に設けられる。なお、お尻洗浄ノズル3のB−B断面は、四隅を面取りした四角形状である。
【0019】
第1実施形態の動作について説明する。ビデ洗浄ノズル2を使用する際、ビデ洗浄ノズル2は、図1に示す第1モータ4が回転すると、第1ピニオンギア6が反時計回りに回転し、第1ピニオンギア6と噛み合う第1ラック14を介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0020】
次にビデ洗浄ノズル2を使用した後、ビデ洗浄ノズル2は、図1に示す第1モータ4が逆回転すると、第1ピニオンギア6は時計回りに回転し、第1ピニオンギア6と噛み合う第1ラック14を介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0021】
また、お尻洗浄ノズル3を使用する際、お尻洗浄ノズル3は、図1に示す第2モータ5が回転すると、第2ピニオンギア7が時計回りに回転し、第2ピニオンギア7と噛み合う第2ラック24を介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0022】
次に、お尻洗浄ノズル3を使用した後、お尻洗浄ノズル3は、図1に示す第2モータ5が逆回転すると、第2ピニオンギア7は反時計回りに回転し、第2ピニオンギア7と噛み合う第2ラック24を介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0023】
第1実施形態の効果について説明する。第1ラック14及び第2ラック24は、ビデ洗浄ノズル側面12及びお尻洗浄ノズル側面22から低い位置に形成されるため、ビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3が前方に移動しても、通常の使用では使用者から第1ラック14及び第2ラック24の汚れが見えず、不快感を与えることがない。
【0024】
また、温水洗浄便座装置1は、ビデ洗浄ノズル2とお尻洗浄ノズル3と上下に所定間隔を開けて重なる位置に配置されるため、第1モータ4は、ビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図1中右側に設けられ、第2モータ5は、ビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図1中左側に設けられ、第1モータ4と第2モータ5が分散して配置されるため、ビデ洗浄ノズルとお尻洗浄ノズルとの間に駆動ギアが設けられビデ洗浄ノズルとお尻洗浄ノズルとの間や周りに使用されない空間が形成されノズル周りが大型化してしまう従来の温水洗浄便座装置に比べ、ノズル周りを小型化すると同時に薄型化することができ、例えばビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図1中下側に図示しない配線、乾燥ユニット、脱臭ユニット温水タンク等を設けることができる。
【0025】
また、温水洗浄便座装置1は、ビデ洗浄ノズル2とお尻洗浄ノズル3とが上下に所定間隔を開けて重なる位置に配置されるため、温水が被洗浄局部に対して真下または真下後方から温水噴出でき、均一な洗浄効果を得られる。
【0026】
また、ビデ洗浄ノズル2のA−A断面及びお尻洗浄ノズル3のB−B断面の四隅を面取りされた四角形状とすることで、通常の使用では使用者からラックの汚れが見えずに第1ラック14及び第2ラック24を各ノズルの側面12、22の面上の幅方向に対して、断面が円形状のノズルよりも、各ノズルの側面12、22から隠れる位置に大きく形成することができる。このため、第1ラック14及び第2ラック24は、各ピニオンギア6、7と噛合する面に掛かる面圧を軽減することができ、各ラック14、24の耐久性を向上させることが可能となる。
【0027】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る温水洗浄便座装置1aの内部の構造を示す斜視図である。第1実施形態(図1)では、ビデ洗浄ノズル2を駆動する第1モータ4と第1ピニオンギア6とが温水洗浄便座装置1に向かってビデ洗浄ノズル2及びお尻洗浄ノズル3の図1中右側に設けられるのに対して、第2実施形態では、ビデ洗浄ノズル32a(第1ノズル)を駆動する第1モータ34a(モータ)と第1ピニオンギア36aとが温水洗浄便座装置1aに向かってビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33a(第2ノズル)の図中左側に設けられる。その他の構成は同様であり、第1実施形態と同一の部品、同一の構造については同一の符号を用いて説明する。
【0028】
本発明の温水洗浄便座装置1aは、長手方向に移動自在な樹脂製のビデ洗浄ノズル32aと、長手方向に移動自在な樹脂製のお尻洗浄ノズル33aと、を備え、ビデ洗浄ノズル32aと、お尻洗浄ノズル33aは上下に重なる位置に配置される。また、ビデ洗浄ノズル32aを駆動する第1モータ34a及びお尻洗浄ノズル33aを駆動する第2モータ35a(モータ)は、温水洗浄便座装置1aに向かってビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aの図中左側に設けられる。また、第1モータ34aは、第1モータ34aからビデ洗浄ノズル32aに駆動力を伝達する樹脂製の第1ピニオンギア36aを有し、第2モータ35aは、第2モータ35aからお尻洗浄ノズル33aに駆動力を伝達する樹脂製の第2ピニオンギア37aを有する。
【0029】
本発明の温水洗浄便座装置1aは、ビデ洗浄ノズル32aと、お尻洗浄ノズル33aと、第1モータ34aと、第2モータ35aと、第1ピニオンギア36aと、第2ピニオンギア37aと、を内包するハウジング8と、ハウジング8の底部を構成するベースプレート9とを備える。なお、ビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aは、ベースプレート9に対して38度の角度をつけて設けられる。
【0030】
図5は、本発明の第2実施形態に係るビデ洗浄ノズル32aの(a)上面図及び(b)側面図である。ビデ洗浄ノズル32aは、ビデ洗浄ノズル上面40aに温水洗浄便座装置1aを作動させる際に温水を噴出させる第1噴出口41aが設けられる。また、ビデ洗浄ノズル32aは、ビデ洗浄ノズル側面42aの長手方向に延在するよう図中下側に、第1凹部43aを有し、第1凹部43aに第1ピニオンギア36aと噛合する第1ラック44aが設けられる。なお、第1ラック44aは、ビデ洗浄ノズル側面42aに対して同一面若しくは低く、ビデ洗浄ノズル側面42aから隠れる位置に設けられる。なお、ビデ洗浄ノズル32aのC−C断面は、四隅を面取りした四角形状である。
【0031】
図6は、本発明の第2実施形態に係るお尻洗浄ノズル33aの(a)上面図及び(b)側面図である。お尻洗浄ノズル33aは、お尻洗浄ノズル上面50aに温水洗浄便座装置1aを作動させる際に温水を噴出させる第2噴出口51aが設けられる。また、お尻洗浄ノズル33aは、お尻洗浄ノズル側面52aの長手方向に延在するよう図中下側に、第2凹部53aを有し、第2凹部53aに第2ピニオンギア37aと噛合する第2ラック54aが設けられる。なお、第2凹部53aは、お尻洗浄ノズル側面52aに対して低く、お尻洗浄ノズル側面52aから隠れる位置に設けられる。なお、お尻洗浄ノズル33aのD−D断面は、四隅を面取りした四角形状である。
【0032】
第2実施形態の動作について説明する。ビデ洗浄ノズル32aを使用する際、ビデ洗浄ノズル32aは、図4に示す第1モータ34aが回転すると、第1ピニオンギア36aが時計回りに回転し、第1ピニオンギア36aと噛み合う第1ラック44aを介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0033】
次にビデ洗浄ノズル32aを使用した後、ビデ洗浄ノズル32aは、図4に示す第1モータ34aが逆回転すると、第1ピニオンギア36aは反時計回りに回転し、第1ピニオンギア36aと噛み合う第1ラック44aを介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0034】
また、お尻洗浄ノズル33aを使用する際、お尻洗浄ノズル33aは、図4に示す第2モータ35aが回転すると、第2ピニオンギア37aが時計回りに回転し、第2ピニオンギア37aと噛み合う第2ラック54aを介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0035】
次にお尻洗浄ノズル33aを使用した後、お尻洗浄ノズル33aは、図4に示す第2モータ35aが逆回転すると、第2ピニオンギア37aは反時計回りに回転し、第2ピニオンギア37aと噛み合う第2ラック54aを介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0036】
第2実施形態の効果について説明する。温水洗浄便座装置1aは、ビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aを上下に重なる位置に配置し、第1モータ34a及び第2モータ35aをビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aの図4中左側に設けられるため、ビデ洗浄ノズルとお尻洗浄ノズルとの間に駆動ギアが設けられビデ洗浄ノズルとお尻洗浄ノズルとの間や周りに使用されない空間が形成されノズル周りが大型化してしまう従来の温水洗浄便座装置に比べ、ノズル周りを小型化することができ、例えばビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aの図4中下側及び右側に図示しない配線、乾燥ユニット、脱臭ユニット、温水タンク等を設けることができる。
【0037】
また、ビデ洗浄ノズル32aのC−C断面及びお尻洗浄ノズル33aのD−D断面を四隅を面取りされた四角形状とすることで、第1ラック44a及び第2ラック54aを各ノズルの側面42a、52aの面上の幅方向に対して、断面が円形状のノズルよりも各ノズルの側面42a、52aから隠れる位置に大きく形成することができる。このため、第1ラック44a及び第2ラック54aは、各ピニオンギア36a、37aと噛合する面に掛かる面圧を低減することができ、各ラック44a、54aの耐久性を向上することが可能となる。
【0038】
図7は、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る温水洗浄便座装置1bの内部の構造を示す斜視図である。第2実施形態では、ビデ洗浄ノズル32aとお尻洗浄ノズル33aと第1モータ34aと第2モータ35aと第1ピニオンギア36aと第2ピニオンギア37aとのベースプレート9に対する傾きが38度であるのに対して、第2実施形態の第1変形例では、ビデ洗浄ノズル32b(第1ノズル)とお尻洗浄ノズル33b(第2ノズル)と第1モータ34bと第2モータ35bと第1ピニオンギア36bと第2ピニオンギア37bとのベースプレート9に対する傾きが例えば10度である。
【0039】
第2実施形態の第1変形例の効果について説明する。第2実施形態では、ビデ洗浄ノズル32a及びお尻洗浄ノズル33aの図7中下側に空間が形成されるのに対して、第2実施形態の第1変形例ではビデ洗浄ノズル32b及びお尻洗浄ノズル33bの図7中上側に空間が形成されるため、例えばビデ洗浄ノズル32b及びお尻洗浄ノズル33bの図7中上側に図示しない配線、乾燥ユニット、脱臭ユニット、温水タンク等を設けることができる。
【0040】
図8は、本発明の第2実施形態の第2変形例に係るお尻洗浄ノズル32c及びビデ洗浄ノズル33cの拡大斜視図である。第2実施形態では、第2ピニオンギア37aがラック54aと嵌合し、お尻洗浄ノズル33aを移動させるのに対して、第2実施形態の第2変形例では、第2ピニオンギア37cとラック54cとの間にアイドラギア38が介在しお尻洗浄ノズル33cを移動させる。
【0041】
第2実施形態の第2変形例の動作について説明する。ビデ洗浄ノズル32cを使用する際、ビデ洗浄ノズル32cは、第1モータ34cが回転すると、第1ピニオンギア36cが時計回りに回転して、第1ピニオンギア36cと噛み合う第1ラック44cを介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0042】
次にビデ洗浄ノズル32cを使用した後、ビデ洗浄ノズル32cは、第1モータ34cが逆回転すると、第1ピニオンギア36cは反時計回りに回転して、第1ピニオンギア36cと噛み合う第1ラック44cを介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0043】
また、お尻洗浄ノズル33cを使用する際、お尻洗浄ノズル33cは、第2モータ35cが回転すると、第2ピニオンギア37c及びアイドラギア38が時計回りに回転し、アイドラギア38と噛み合う第2ラック54cを介して、ハウジング8から突出する方向に移動する。
【0044】
次にお尻洗浄ノズル33cを使用した後、お尻洗浄ノズル33cは、第2モータ35cが逆回転すると、第2ピニオンギア37c及びアイドラギア38は反時計回りに回転し、アイドラギア38と噛み合う第2ラック54cを介して、ハウジング8に収納される方向に移動する。
【0045】
第2実施形態の第2変形例の効果について説明する。本変形例は、アイドラギア38を用いることで第2実施形態と比べてお尻洗浄ノズル33cのハウジング8から突出するストローク量を増やすことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に示す態様に変更しても良い。
【0047】
・実施形態1、2では、お尻洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルの側面の片側にしかラックを設けていないが、両側に設けても良い。
【0048】
・実施形態1、2では、強度を確保するためにノズル断面が四隅を面取りされた四角形状であるが、強度が確保できれば円形状等でも良い。
【0049】
・実施形態1、2では、ピニオンギアとラックが直結されているが、間にアイドラギアを介在させても良い。
【0050】
・実施形態1、2では、樹脂製のノズルやピニオンギアを用いているが、金属製のノズルやピニオンギアを用いても良い。
【0051】
・実施形態1、2では、ノズルの側面に形成された凹部にラックを設けたが、側面に対して同一面若しくは低くなるようにラックの山部を形成し、側面から隠れる位置にラックの谷部を形成しても良い。これにより、温水洗浄便座装置は、使用者からラックの汚れが見えず、不快感を与えることがないという効果を奏することができる。また、本実施形態の第1ラック14及び第2ラック24の山部となる部分についても各ノズルの側面12、22に対して同一面若しくは低く形成されていても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 温水洗浄便座装置
2 ビデ洗浄ノズル
3 お尻洗浄ノズル
4 第1モータ
5 第2モータ
12 ビデ洗浄ノズル側面
14 第1ラック
22 お尻洗浄ノズル側面
24 第2ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を噴出する第1ノズル及び第2ノズルを有し、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとを駆動するモータと、を備える温水洗浄便座装置であって、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとは、上下に重なる位置に配置され、
前記第1ノズルは、前記第1ノズルの長手方向に延在し、前記第1ノズルの側面から隠れる位置で、前記モータからの駆動力が伝達されて前記第1ノズルを長手方向に移動させる第1ラックが設けられ、
前記第2ノズルは、前記第2ノズルの長手方向に延在し、前記第2ノズルの側面から隠れる位置で、前記モータからの駆動力が伝達されて前記第2ノズルを長手方向に移動させる第2ラックが設けられる温水洗浄便座装置。
【請求項2】
前記モータは、前記第1ノズルを駆動する第1モータと、
前記第2ノズルを駆動する第2モータと、を有し、
前記第1モータ及び前記第2モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の一方に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の温水洗浄便座装置。
【請求項3】
前記モータは、前記第1ノズルを駆動する第1モータと、
前記第2ノズルを駆動する第2モータと、を有し、
前記第1モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の一方に設けられ、前記第2モータは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの側方の他方に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の温水洗浄便座装置。
【請求項4】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、断面角形状を呈することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211487(P2012−211487A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78221(P2011−78221)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】