説明

温水洗浄式便座装置

【課題】円筒形状パイプのおしり洗浄ノズルの先端上面に、ノズル口が穿孔形成されたも
のでは、ノズル口から噴出する洗浄水が、おしりに到達する前に飛散して、使用者が不快
感を味わうことがある。本発明はこの課題を解決するために、ノズル口からおしりに向け
て飛散せずに到達できるようにするためのノズル先端部の構成を提供するものである。
【解決手段】洗浄ノズル先端部の上壁は、前方に行くに従って前記上壁内面が前記内部通
路方向へ進出する傾斜面と、前記洗浄ノズル先端部の下壁と並行するよう前記傾斜面から
前方へ延びた肉厚部とを備え、前記ノズル口が前記肉厚部に貫通形成され、前記上壁の上
面が前記ノズル口の出口周囲に向かって突出した水切り部を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルから噴出する洗浄水によって、便座に着座した人の部位を洗浄す
る温水洗浄式便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便座用の温水を溜めるためにヒータを内蔵した温水タンクを備え、この温水タ
ンクは、水道水が電磁弁と減圧弁を通って供給され、温水タンク内の温水を洗浄ノズルか
ら噴射して、肛門やビデ等の局部洗浄用として使用することは周知である。(例えば、特
許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−98615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1の形態では、おしり洗浄時またはビデ洗浄時には、電磁弁を開いて温水
タンク内に水道水圧が掛かる状態とすることによって、水道水が温水タンク内へ供給され
つつ温水タンクから洗浄水としての温水が送出され、この温水によっておしり洗浄ノズル
またはビデ洗浄ノズルを進出させ、先端のノズル口から温水を噴出する。
【0005】
この場合、通常、おしり洗浄ノズルには比較的大きな一つのノズル口が形成されて、多
くの洗浄水が勢いよく噴出する構成であるが、ビデ洗浄ノズルのノズル口は、複数の小さ
な直径のノズル口でもって比較的柔らかく比較的広い範囲での洗浄水の噴出が得られる構
成である。この場合、おしり洗浄ノズルについて見れば、図12に示すように、筒状のお
しり洗浄ノズルNZの先端上面に、ノズル口NZKが穿孔形成されたものでは、ノズル口
NZKから噴出する洗浄水が、おしりに到達する前に飛散して、使用者が不快感を味わう
ことがある。本発明はこの課題を解決するために、ノズル口からおしりに向けて飛散せず
に到達できるようにするためのノズル先端部の構成を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、筒状洗浄ノズルの内部通路に供給される洗浄水の水圧によって、前記洗浄
ノズル先端部の上壁に形成したノズル口から洗浄水が噴出する温水洗浄式便座装置におい
て、前記洗浄ノズル先端部の上壁には、前記ノズル口が貫通する形成された肉厚部と、前
記上壁の上面が前記ノズル口の出口周囲に向かって突出した水切り部を有することを特徴
とする。
【0007】
第2発明は、筒状洗浄ノズルの内部通路に供給される洗浄水の水圧によって、前記洗浄
ノズル先端部の上壁に形成したノズル口から洗浄水が噴出する温水洗浄式便座装置におい
て、前記洗浄ノズル先端部の上壁は、前方に行くに従って前記上壁内面が前記内部通路を
狭める方向へ進出する傾斜面と、前記洗浄ノズル先端部の下壁と並行するよう前記傾斜面
から前方へ延びた肉厚部とを備え、前記ノズル口が前記肉厚部に貫通形成され、前記上壁
の上面が前記ノズル口の出口周囲に向かって突出した水切り部を形成したことを特徴とす
る。
【0008】
第3発明の温水洗浄式便座装置は、第2発明において、前記筒状の洗浄ノズルの先端に
は、前記ノズル口及び前記水切り部を形成した前記肉厚部と、前記傾斜面とを一体形成し
た合成樹脂製のノズル先端部材が、着脱自在に嵌合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、ノズル口が肉厚部に貫通形成されるため、ノズル口が長くなり、噴出
する洗浄水の水柱形成ができるため、洗浄水の噴出方向を定め易くなる。そして、突出し
た水切り部によって、ノズル口から噴出する洗浄水の出口周囲への付着力が減少し、水切
りがよくなってノズル口周辺への飛散を防止でき、安定した洗浄を行なうことができるも
のとなる。
【0010】
また、本発明では、傾斜面によって筒状洗浄ノズルの内部通路の断面積が縮小されるた
め、洗浄ノズルの内部通路に供給された洗浄水は、傾斜面によって内部通路の断面積が縮
小された肉厚部に到達し、この部分の水圧が高くなり、その状態でノズル口から勢いよく
上方へ噴出する。この場合、肉厚部によってノズル口が長くなり、噴出する洗浄水の水柱
形成ができるため、洗浄水の噴出方向が安定する。そして、ノズル口の出口周囲の水切り
部によって、ノズル口から噴出する洗浄水の出口周囲への付着力が減少し、水切りがよく
なってノズル口周辺への飛散を防止でき、安定した洗浄を行なうことができるものとなる

【0011】
更に、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルを備える場合には、ノズル先端部を除いて共
通の筒状洗浄ノズルを採用し、その先端に、夫々に適した形状のノズル口及び水切り部を
形成した肉厚部と、傾斜面とを一体形成した合成樹脂製のノズル先端部を取り付ければよ
く、全体として部品の共通化と、組み立ての容易さ、更にコストダウン化を図ることがで
きるものとなる。また、ノズル先端部は着脱自在であるため、ノズル口が詰まった場合な
どの修理や交換に適するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る温水洗浄式便座装置を便器に取り付けた斜視図である。
【図2】図1の温水洗浄式便座装置の本体ケース及び操作部の内部構成を一部破断により示す平面図である。
【図3】本発明に係る温水洗浄式便座装置の制御回路図である。
【図4】本発明に係る温水洗浄式便座装置のノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の側面斜視図である。
【図5】本発明に係るノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の後方斜視図である。
【図6】本発明に係る洗浄水切り替えユニットを温水タンクの下面に取り付けた状態を上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図7】本発明に係るノズルユニットNUを上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図8】本発明に係る洗浄水切り替えユニットSUの分解斜視図である。
【図9】本発明に係るおしり洗浄ノズルのノズル先端部の断面拡大図である。
【図10】本発明に係るおしり洗浄ノズルのノズル先端部の他の形態を示す断面拡大図である。
【図11】本発明に係るビデ洗浄ノズルのノズル先端部の断面拡大図である。
【図12】従来技術の係るおしり洗浄ノズルのノズル先端部の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施例1]
本発明に係る温水洗浄式便座装置の実施例を図に基づき説明する。図示の洗浄水式便座
装置は、洗浄水として温水を用いる温水洗浄式便座装置である。1は洋式便器2の上に着
脱可能に設置された温水洗浄式便座装置であり、本体ケース3に便座4の後部とこの便座
4の上面を覆う便蓋5の後部が軸支持され、便座4と便蓋5を上下方向に開閉自在に枢支
している。本体ケース3の一方の側面には給水管6を突設し、この給水管6にフレキシブ
ルな配管ホース7を接続していると共に、この配管ホース7は、分岐水栓8を介して上水
を供給する市水等の上水道管9に接続している。
【0014】
本体ケース3は、その一方の側面に、前方が上記便座4の側面に沿って延設された操作
部10を一体的に突設しており、操作部10は本体ケース3の一部分を構成する。操作部
10は、この操作部10の上面から操作される後述の複数のスイッチやこのスイッチによ
る動作状態を表示する表示部となるLEDを収納している。図示のものは操作部10が便
座4の側部に配置された構成であるが、操作をリモートコントロール方式とする場合は、
操作部10の部分がリモートコントローラとなる。
【0015】
図示の構成において、本体ケース3内には、図2に示す様に、主とした機能部品として
、便座4に着座した人の肛門やビデ等の被洗浄局部を洗浄するための温水をつくるための
温水タンク13と、この温水タンク13と給水管6とを接続する給水配管14と、給水配
管14に接続した電磁弁11と、給水配管14に接続した減圧弁12、温水洗浄ユニット
60と、脱臭機構16と、電気制御回路を取り付けた基板17とを収納配置している。な
お、本体ケース3内には、便座4と便蓋5を上下方向に開閉する電動機19、20が収容
されている。温水タンク13には、電磁弁11が開くことにより、配管ホース7及び給水
配管14を通って上水道管9の上水が、温水タンク13内の底部に供給される。温水タン
ク13に供給された水は、温水タンク13内に配置した温水ヒータ42で温水となる。
【0016】
脱臭機構16は、脱臭用触媒24と、脱臭ファン25と、ファンケース26にて主に構
成し、このファンケース26は、上記洋式便器2のボウル2Aに対向して開口した第1吸
気孔27と、本体ケース3内に開口した第2吸気孔28と、これらの吸気孔から吸引した
空気が上記脱臭用触媒24を通過した後、本体ケース3の外に排出する排気孔29とを設
けている。
【0017】
便座4は、図1に一部断面で示すように、便座4の裏側にアルミニウム箔4Aを介して
絶縁被覆された便座ヒータ41が取り付けられており、便座ヒータ41の発熱によって便
座4が加温される。
【0018】
操作部10は、図2に一部拡大で示すように、その中に絶縁性の操作基板18を水平状
態に収納し、この操作基板18には、各種の操作スイッチと、LED表示部が取り付けら
れている。この操作スイッチとして、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45、ビデ洗浄開
始スイッチ46、洗浄停止スイッチ44、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Q、温
水タンク13の温水温度調節スイッチ48、便座ヒータ41による便座2の温度を可変す
る便座温度調節スイッチ49等が設けられ、また、LED表示部として、水勢増減スイッ
チ47Pと47Qに対応して水勢の強中弱の状態を3段階で表示するLED47L、温水
温度調節スイッチ48に対応して温水温度を低中高の3段階で表示するLED48L、便
座温度調節スイッチ49に対応して便座温度を低中高の3段階で表示するLED49Lが
設けられている。なお、便座4と便蓋5を上下方向に開閉する電動機19、20をON・
OFFするスイッチ23、43とその押圧部分を前記操作スイッチ同様に操作部10に設
けている。
【0019】
操作部10の上面開口は、前記の各スイッチ及びLEDの対応部分に貫通孔を形成した
カバー板で覆われており、このカバー板の上面は、前記貫通孔を塞ぐようにこれらスイッ
チに対応する部分が可撓性を有し、且つ前記LEDに対応する部分が透光性を有するフィ
ルム10Fで覆われている。このため、これらスイッチ44、45、46、47Pと47
Q、48、49に対応するフィルム10Fの押圧部分44A、45A、46A、47Aと
47B、48A、49Aを押すことによって、対応するスイッチが作動する。電動機19
、20をON・OFFするスイッチ23、43の部分も同様である。
【0020】
温水タンク13内の水を加熱するための温水ヒータ42として、通電にて発熱するシー
ズヒータ42が温水タンク13内の底部に配設されている。温水タンク13の上壁には、
温水タンク13内の異常温度を検知してシーズヒータ42への通電回路を遮断する温度検
知部50と、温水タンク13内の洗浄水レベル(温水レベル)を検知して電磁弁11を開
閉制御して、温水タンク13内の洗浄水レベルを所定レベルに制御するフロートスイッチ
51と、温水タンク13内の圧力が外気圧よりも低くなったとき温水タンク13内と外気
を連通する負圧弁52を備えた気圧調整用パイプ53の取り付け部54が設けられている
。温水タンク13内は、負圧弁52の作用によって外気と連通する以外は、外気と連通し
ないように気密構造である。また、温水タンク13内の温水温度は、温水モードにおいて
温水温度調節スイッチ48によって使用者が任意の設定温度に設定できる。温水モードに
おいてシーズヒータ42への通電を制御して、温水タンク13内の温水温度を前記設定温
度に維持するため、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55が設けられて
いる。
【0021】
温水洗浄ユニット60は、円筒形等所定形状の筒状のおしり洗浄ノズル61と、円筒形
等所定形状の筒状のビデ洗浄ノズル62と、おしり洗浄ノズル61を進出・退避動作を行
なうように収容したおしり洗浄ノズル用ノズルケース63と、ビデ洗浄ノズル62を進出
・退避動作を行なうように収容したビデ洗浄ノズル用ノズルケース64とを備えたノズル
ユニットNUと、温水タンク13から供給される温水をおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄
ノズル62のいずれに供給するかを切り替える切り替え弁66を備えた洗浄水切り替えユ
ニットSUとによって構成されている。
【0022】
図7及び図11に示すように、ビデ洗浄ノズル62のノズル口62Aは、複数の小さな
直径のノズル口62Aでもって、比較的柔らかく且つ比較的広い範囲での洗浄水の噴出が
得られる構成である。一方、おしり洗浄ノズル61には、図7及び図9に示すように、お
しりの洗浄に適するように、ノズル口62Aよりも比較的大きな一つの円筒形状のノズル
口61Aが形成されており、多くの洗浄水が勢いよく噴出する構成である。このノズル口
61Aから噴出する洗浄水が、おしりに到達する前に飛散して、使用者が不快感を味わう
ことがあるため、本発明はこの課題を解決するために、おしり洗浄ノズル61の先端部の
上壁61Uには、ノズル口61Aが貫通形成された肉厚部61Nと、上壁61Uの上面が
ノズル口61Aの出口周囲に向かって突出した水切り部61Yを設けている。
【0023】
ここで、おしり洗浄ノズル61の先端部の一つの具体的な構成について説明する。おし
り洗浄ノズル61は、合成樹脂製で円筒形等所定形状の筒状をなし、洗浄水である温水が
通るそれぞれの内部通路61Tは、先端部のノズル口61Aへ向けて次第に洗浄水の圧力
が高くなるように、それぞれ先端に行くにしたがって次第に断面積S1が小さくなるよう
に形成されている。おしり洗浄ノズル61の先端には、内部通路61Tに連通する状態で
、ノズル先端部材61Sが嵌合にて着脱自在に取り付けられている。ノズル先端部材61
Sは、図9に示すように、その上壁61Uは、前方に行くに従って上壁61Uの内面が内
部通路61Tを狭める方向へ進出する傾斜面61Kと、ノズル先端部61Sの下壁61D
と並行するよう傾斜面61Kから前方へ延びた肉厚部61Nとを備え、先端に向かって徐
々に直径が縮小される形態をなす円筒形状のノズル口61Aが肉厚部61Nに貫通形成さ
れている。そして、上壁61Uの上面がノズル口61Aの出口周囲に向かって突出した水
切り部61Yを形成している。図9に示す形態では、ノズル口61Aの出口周縁に環状の
溝61Mを形成することによって、実質的に、ノズル口61Aの出口周囲に向かって鋭角
の範囲で突出した水切り部61Yが形成されるものである。図示のものは、水切り部61
Yの先端に、幅が狭い環状の平坦面または上方に突出した曲面を形成して、水切り部61
Yの先端が鋭く尖った状態になるのを緩和している。
【0024】
ノズル先端部材61Sは、ノズル口61A及び水切り部61Yを形成した肉厚部61N
と、傾斜面61Kとを一体形成した合成樹脂製であり、ノズル先端部材61Sは、おしり
洗浄ノズル61の先端部の下側に形成した係止突起61Hに、下壁61Dの弾性嵌合部6
1Jが嵌合することにより、おしり洗浄ノズル61の先端部にパッキン61Gを介して着
脱自在である。
【0025】
ノズル先端部材61Sの他の形態を図10に示している。この場合、水切り部61Yは
、ノズル口61Aの出口周縁に向かって鋭角の範囲で山状に盛り上がった膨出部61Qに
よって形成されている。その他の部分の構成は、図9に示す形態と同様である。
【0026】
この様な構成によって、ノズル口61Aが肉厚部61Nに貫通形成されるため、円筒形
状のノズル口61Aが長く形成され、噴出する洗浄水の水柱形成が良好となるため、洗浄
水の噴出方向を定め易くなる。そして、突出した水切り部61Yによって、ノズル口61
Aから噴出する洗浄水の出口周囲への付着力が減少し、水切りがよくなってノズル口61
A周辺への飛散を防止でき、安定した洗浄を行なうことができるものとなる。
【0027】
また、傾斜面61Kによって筒状洗浄ノズル61の内部通路61Tの断面積S1が縮小
されるため、洗浄ノズル61の内部通路61Tに供給された洗浄水は、傾斜面61Kによ
って内部通路61Tの断面積S1が縮小された肉厚部61Nに到達し、この部分の水圧が
高くなり、その状態でノズル口61Aから勢いよく上方へ噴出し、水切り部61Yによっ
て、ノズル口61Aから噴出する洗浄水の出口周囲への付着力が減少し、水切りがよくな
ってノズル口周辺への飛散を防止でき、安定した洗浄を行なうことができるものとなる。
更に、ノズル先端部61Sは着脱自在であるため、ノズル口61Aが詰まった場合などの
修理や交換に適するものとなる。
【0028】
ビデ洗浄ノズル62は、おしり洗浄ノズル61と同様に、合成樹脂製で円筒形等所定形
状の筒状をなし、洗浄水である温水が通る内部通路62Tは、先端部のノズル口62Aへ
向けて次第に洗浄水の圧力が高くなるように、先端に行くにしたがって次第に断面積S2
が小さくなるように形成されている。ビデ洗浄ノズル62の先端には、内部通路62Tに
連通する状態で、ノズル先端部材62Sが嵌合にて着脱自在に取り付けられている。ノズ
ル先端部材62Sは、ノズル口62Aを形成した肉厚部62N、及び傾斜面62Kとを一
体形成した合成樹脂製であり、おしり洗浄ノズル61の場合と同様に、ノズル先端部材6
2Sは、ビデ洗浄ノズル62の先端部の下側に形成した係止突起62Hに、下壁62Dの
弾性嵌合部62Jが嵌合することにより、ビデ洗浄ノズル62の先端部にパッキン62G
を介して着脱自在である。このため、ノズル口62Aが詰まった場合などにおいて、ノズ
ル先端部材62Sの修理や交換に適するものとなる。
【0029】
おしり洗浄ノズル61と、ビデ洗浄ノズル62と、おしり洗浄ノズル用ノズルケース6
3と、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64とを共通形態にすることによって、ノズル先端
部を除いて共通の筒状ノズル形態を採用できるため、全体として部品の共通化と、組み立
ての容易さ、更にコストダウン化を図ることができるものとなる。
【0030】
ノズルユニットNUは、具体的には、おしり洗浄ノズル61の真下にビデ洗浄ノズル6
2が略平行線上に位置するように、それぞれ上下の平行配置のおしり洗浄ノズル用ノズル
ケース63とビデ洗浄ノズル用ノズルケース64に収容され、後述のように、温水タンク
13に掛かる水道水圧によって進出動作し、先端部のノズル口61A、62Aから洗浄水
としての温水を噴出する構成である。おしり洗浄ノズル用ノズルケース63とビデ洗浄ノ
ズル用ノズルケース64は、合成樹脂で一体形成されてノズルケース体NCを構成してい
る。
【0031】
ノズルユニットNUの後端部には、洗浄水切り替えユニットSUから供給される洗浄水
としての温水が、それぞれおしり洗浄ノズル用ノズルケース63へ導入される温水導入部
63Bと、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64へ導入される温水導入部64Bを形成して
いる。具体的には、温水導入部63Bと温水導入部64Bとを形成した導入部カバー86
と、この導入部カバー86を覆うように取り付け部材87が、ネジ88にてノズルケース
体NCの後端に取り付けられている。これによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース6
3の後端の入口開口が、温水導入部63Bと連通状態となり、また、ビデ洗浄ノズル用ノ
ズルケース64の後端の入口開口が、温水導入部64Bと連通状態となる。
【0032】
取り付け部材87は、ノズルユニットNUを本体ケース3内の固定基板(図示せず)に
ネジ89によって固定するために、取り付け部87Aを形成したものであるが、ノズルユ
ニットNUを本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定する部分を導入部カバー
86に形成できれば、取り付け部材87は不要である。
【0033】
上下配置のおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、洋式便器2のボウル2A内
において、共に前方斜め下方に向けて進出し退避する向きの配置であり、本体ケース3に
便座4と便蓋5を取り付けた状態で、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、便
座4の左右間の中心線となる前後方向中心線上の配置となる。このため、便座4と便蓋5
を取り付けた本体ケース3を洋式便器2の上の所定位置にセットした状態では、便座4に
着座した人の肛門やビデ等の被洗浄局部に対して、真下または真下後方部からの温水噴出
が得られる。
【0034】
このため、上記水道水圧が掛からない状態においては、おしり洗浄ノズル61はコイル
バネ65Aによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63内に退避した状態に保たれ、
上記水道水圧が掛かったときは、上記水道水圧をおしり洗浄ノズル61の後端の水圧受け
部61Bが受けて、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノズル61が進出し、おし
り洗浄ノズル61の後端に取り付けたパッキン61Pが洗浄ノズル用ノズルケース63内
の停止部63Aに当接して、その進出が停止し、この位置が所定の進出位置となる。この
進出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部61Bの中心孔を通過しておしり洗浄ノズ
ル61の内部通路61Tに流入する。
【0035】
この場合、洗浄ノズル61の内部通路61Tに供給された洗浄水は、傾斜面61Kによ
って内部通路61Tの断面積S1が縮小された肉厚部61Nの下側に対応する内部通路6
1Tに到達し、この部分の水圧が高くなり、その状態でノズル口61Aから勢いよく上方
へ噴出する。このとき、水切り部61Yによって、ノズル口61Aから噴出する洗浄水の
出口周囲への付着力が減少し、水切りがよくなってノズル口周辺への飛散を防止でき、安
定した洗浄を行なうことができるものとなる。
【0036】
一方、ビデ洗浄ノズル62については、上記水道水圧が掛からない状態においては、ビ
デ洗浄ノズル62はコイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル用ノズルケース64内に退
避した状態に保たれ、上記水道水圧が掛かったときは、上記水道水圧をビデ洗浄ノズル6
2の後端の水圧受け部62Bが受けて、コイルバネ65Bを圧縮しつつビデ洗浄ノズル6
2が進出し、ビデ洗浄ノズル62の後端に取り付けたパッキン62Pがビデ洗浄ノズル用
ノズルケース64内の停止部64Aに当接して、その進出が停止し、この位置が所定の進
出位置となる。この進出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部62Bの中心孔を通過
してビデ洗浄ノズル62の内部通路62Tに流入する。
【0037】
この場合、洗浄ノズル62の内部通路62Tに供給された洗浄水は、傾斜面62Kによ
って内部通路62Tの断面積S2が縮小された肉厚部62Nの下側に対応する内部通路6
2Tに到達し、この部分の水圧が高くなり、その状態でノズル口62Aから勢いよく上方
へ噴出する。
【0038】
洗浄水切り替えユニットSUは、切り替え弁66を回動駆動する電動機67と、切り替
え弁66を収容する弁室69を形成した合成樹脂製の弁室部材70と、切り替え弁66に
よって切り替えられるおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72を形成した合成樹脂製
の切り替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。こ
れによって、弁室69が水密状態に保たれる。
【0039】
温水タンク13内の温水を導出するために、温水タンク13内に略垂直に立設した温水
導出パイプ15を設けている。温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の
温水流出口)は、温水タンク13内の上壁との間に若干の間隔を存して位置している。図
示のものは、温水タンク13内の上壁が若干上方へ膨らんだ部分で、この上壁に近接する
位置に上端開口15Aが位置している。温水タンク13には、電磁弁11が開くことによ
り、配管ホース7及び給水配管14を通って上水道管9の上水が、温水タンク13内の底
部に供給され、温水ヒータ42で加熱されて温水となる。温水タンク13内の温水レベル
(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51によって電磁弁11を開閉制御して、温水タ
ンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベルは、
温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干低いレ
ベルである。
【0040】
後述のように、洗浄モードになると、温水タンク13内に上水道管9の上水を供給しつ
つ温水タンク13内の温水をおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62から噴出す
る。この場合、温水になっていない上水がおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル6
2から噴出しないようにするために、温水導出パイプ15が立設されている。
【0041】
切り替え弁66は、水平軸上で正転・逆転の回動動作を行うように、電動機67の駆動
軸68に支持されて弁室69に収容されている。弁室部材70は、その上壁に形成した温
水導入口69Bに、温水導出パイプ15の下端の温水導出口が接続され、温水導出パイプ
15にて流下する温水が、温水導入口69Bから弁室69へ流入する。
【0042】
電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から延びた軸68Aのみで形成しても
よいが、電動機67の汎用性から、電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から
延びた軸68Aと、これに嵌め合わせて一体化した合成樹脂製の補助軸68Bとで構成し
ている。図6に示すように、電動機67の駆動軸68は、温水が漏れないようにシールパ
ッキン76によってシール状態で切り替え通路部材73を貫通し、その先端に切り替え弁
66を取り付けている。電動機67は、後述の制御回路30のパルス出力によってステッ
ピング動作をするものであり、ステッピングモータとも称する。
【0043】
組み立て及び修理交換の容易さを考慮して、切り替え弁66は、電動機67の駆動軸6
8の先端に、図6において左側から(図8においては右側から)嵌め合わせで取り付けら
れている。切り替え弁66によって切り替えられる温水の流れが、切り替え弁66に貫通
形成した弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通した状態と、弁通路66Aがビデ洗
浄水通路72と連通した状態へ切り替えられるため、切り替え弁66が切り替え通路部材
73へ押し圧保持される必要がある。このため、切り替え弁66が回動可能であってその
支持が安定化するために、切り替え弁66を駆動軸68側に向けてコイルバネ79の押し
圧にて保持する構成を採用している。具体的には、切り替え弁66の駆動軸68とは反対
側は、弁室69の側壁(図6において左壁)から駆動軸68方向に突出する支持軸77と
、切り替え弁66から突出する支持軸78とに緩く嵌められたコイルバネ79によって、
切り替え弁66を駆動軸68側に向けて押し圧にて保持しており、電動機67による正転
・逆転の回動動作が円滑に行なわれる構成である。
【0044】
洗浄水切り替えユニットSUは、上記のように、電動機67と、弁室部材70と、切り
替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。この一体
化された状態で、洗浄水切り替えユニットSUは、温水タンク13の底面部にネジ80に
よって固定し、この状態で、温水導出パイプ15の下端が弁室69の温水導入口69Bに
連通接続される。この連通接続部からの温水防止のために、パッキン81が設けられてい
る。
【0045】
また、この一体化によって、弁室部材70と切り替え通路部材73との接合部から温水
が漏洩しないようにするために、この接合部がゴム製のシールパッキン82によってシー
ルされている。また、切り替え弁66によって温水の流れが、おしり洗浄水通路71へ切
り替えられた状態で、ビデ洗浄水通路72へ温水が入り込まないようにし、また、温水の
流れが、ビデ洗浄水通路72へ切り替えられた状態で、おしり洗浄水通路71へ温水が入
り込まないようにするために、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁に
、ゴム製のシールパッキン83A、83Bが取り付けられている。これによって、切り替
え弁66は、コイルバネ79によって切り替え通路部材73へ向けて押されるとき、切り
替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接され、この圧接状態におい
て、切り替え弁66は、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切
り替え回動する。
【0046】
なお、切り替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接状態において
、切り替え弁66が、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切り
替え回動する動作を安定化のために、シールパッキン83A、83Bと同一平面をなすよ
うに、切り替え通路部材73の凹部84A、84Bにそれぞれゴム製の当接部材85A、
85Bを嵌め込んでいる。
【0047】
温水洗浄ユニット60は、ノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUの温水通
路の接続のために、おしり洗浄水通路71は、その出口部71Aが可撓性パイプ75Aに
よって温水導入部63Bへ連通接続されている。また、ビデ洗浄水通路72は、その出口
部72Aが可撓性パイプ75Bによって温水導入部64Bへ連通接続されている。洗浄水
切り替えユニットSUは、上記のように、ネジ80によって温水タンク13の底面部に固
定され、温水タンク13は本体ケース3内の固定基板にネジ等によって固定される。また
、ノズルユニットNUは、本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定され、おし
り洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が、便座4の左右間の中心線となる前後方向中心
線上の所定位置に保たれる。このようにして、温水洗浄ユニット60が所定位置にセット
される。
【0048】
図3は、制御手段となる制御回路30の構成を示すもので、商用電源31にマイクロコ
ンピュータを中心に構成した制御部32を接続し、かつこの制御部32の入力回路には上
記操作基板18を接続し、更に制御部32の入力回路には、上記便座4への着座を検出す
る着座スイッチ33と、便座4の温度を検出する便座用温度センサ35と、フロートスイ
ッチ51と、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55が接続されている。
着座スイッチ33は、便座4に人が着座したときの重量で便座4が下降することにより作
動するスイッチや、便座4に着座した人を赤外線で検出する赤外線スイッチなどがある。
【0049】
制御部32は、タイマ、メモリ等を含み、所定のプログラムに従って、所定の動作を行
なうマイクロコンピュータ制御方式である。商用電源31には、上記制御部32の出力に
て各々動作するスイッチング素子21、22、36、37、38、39、40を介して、
それぞれ便座4の開閉電動機19、便蓋5の開閉電動機20、便座ヒータ41、温水タン
ク13内の水を加熱する温水ヒータ42、切り替え弁66を駆動する電動機67(洗浄モ
ータ67ともいう)、脱臭ファン25、及び電磁弁11を接続している。
【0050】
待機状態において、通常、接点が閉じている温度検知部50は、温水タンク13内の異
常温度を検知したとき開いて、温水ヒータ42の通電を遮断する。また、温水タンク13
内の水は、サーミスタ55の温度感知によって、制御部32が動作し、スイッチング素子
37が温水ヒータ42の通電のON・OFF動作を行い、温水温度が所定温度範囲に維持
される。温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51の検
出によってスイッチング素子40が電磁弁11を開閉制御して、温水タンク13内の温水
レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベルは、温水導出パイプ1
5の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干低いレベルである。
【0051】
また、待機状態において、切り替え弁66は、切り替え弁66の弁通路66A以外の面
が、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁のシールパッキン83A、8
3Bに当接しており、これによって、切り替え弁66は、温水タンク13内がおしり洗浄
水通路71とビデ洗浄水通路72のいずれとも連通しないように、おしり洗浄水通路71
とビデ洗浄水通路72の入口を塞ぎ、弁通路66Aがおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水
通路72のいずれとも連通せず遮断状態である。
【0052】
このような待機状態において、制御部32は、スイッチ43のONにて電動機20にて
便蓋5が上方向に開く。そして、着座スイッチ33により便座4への人体の着座を検出す
ると、スイッチング素子39を通電して脱臭ファン25を回転する。この着座状態におい
て、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されておしり(肛門)洗浄指令が発せられ
、またはビデ洗浄開始スイッチ46が押されてビデ洗浄指令が発せられると、制御部32
はスイッチング素子38、40を適宜作動して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁6
6を回動駆動すると共に電磁弁11が開く。電磁弁11が開くことにより、水道管9から
給水配管14を通って、上水の水圧が温水タンク13内に掛かり、温水タンク13内底部
に上水が供給されつつ、温水タンク13内の温水が温水導出パイプ15の上端開口15A
(温水タンク13からの温水流出口)から温水導出パイプ15へ流出し、弁室69へ供給
される。
【0053】
このおしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されている場合は、洗浄モータ67の作
動にて切り替え弁66がシールパッキン83A、83Bと当接部材85A、85Bに当接
した状態で回動し、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通した状
態で洗浄モータ67が停止する。これによって、上水の圧力によって弁室69へ供給され
た温水は、弁通路66Aとおしり洗浄水通路71を通り、その出口部71Aから可撓性パ
イプ75Aを通って温水導入部63Bへ流入する。温水導入部63Bへ流入した温水の水
圧は、コイルバネ65Aによって退避位置(図7に示す位置)にあるおしり洗浄ノズル6
1の水圧受け部61Bに作用する。
【0054】
水圧受け部61Bへ掛かる水圧によって、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノ
ズル61を進出させ、パッキン61Pが停止部63Aに当接して、その進出が停止し、こ
の位置で先端のノズル口61Aから噴出する洗浄水としての温水によって、おしり(肛門
)が洗浄される。そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、制御部
32が動作し、スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動にて切り
替え弁66を待機位置へ戻すと共に、電磁弁11を閉じる。電磁弁11が閉じることによ
り、上水の水圧が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口61Aからの温水の噴出
が停止すると共に、コイルバネ65Aによっておしり洗浄ノズル61がおしり洗浄ノズル
用ノズルケース63内に退避した状態(図7に示す位置)に復帰する。
【0055】
また、上記において、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45ではなく、ビデ洗浄開始ス
イッチ46が押されている場合は、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66がシールパ
ッキン83A、83Bと当接部材85A、85Bに当接した状態で回動し、切り替え弁6
6の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通した状態で洗浄モータ67が停止する。こ
れによって、上水の圧力によって弁室69へ供給された温水は、弁通路66Aとビデ洗浄
水通路72を通り、その出口部72Aから可撓性パイプ75Bを通って温水導入部64B
へ流入する。温水導入部64Bへ流入した温水の水圧は、コイルバネ65Bによって退避
位置にあるビデ洗浄ノズル62の水圧受け部62Bに作用する。
【0056】
水圧受け部62Bへ掛かる水圧によって、コイルバネ65Bを圧縮しつつビデ洗浄ノズ
ル62を進出させ、パッキン62Pが停止部64Aに当接して、その進出が停止し(図7
に示す位置)、この位置で先端のノズル口62Aから噴出する洗浄水としての温水によっ
て、ビデが洗浄される。そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、
制御部32が動作し、スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動に
て切り替え弁66を待機位置へ戻すと共に、電磁弁11を閉じる。電磁弁11が閉じるこ
とにより、上水の水圧が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口62Aからの温水
の噴出が停止すると共に、コイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル62がビデ洗浄ノズ
ル用ノズルケース64内に退避した状態(上記おしり洗浄ノズル61の退避した状態と同
様の状態)に復帰する。
【0057】
上記のように、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、それぞれ進出・退避動
作を行なうように別個のノズルケース63、64内に収容されて上下配置され、温水タン
ク13に掛かる水道水圧によって進出動作し、それぞれ先端部のノズル口61A、62A
から温水を噴出する構成であるため、肛門やビデ等の被洗浄局部に対して、真下または真
下後方部からの温水噴出が得られるようになり、従来のように左右配置での温水飛散問題
や、おしり洗浄時におしりを洗浄した温水が、ビデ洗浄ノズル62の先端のノズル口62
Aに掛かる問題も解決され、ビデ洗浄ノズルを衛生的に保てる好ましい噴出形態が達成で
きる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る温水洗浄式便座装置の上記実施例は、温水タンク内に供給される水道水圧
によって、おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズルから前記温水タンク内の温水を噴出す
る温水洗浄式便座装置であるが、温水タンクの替わりに水道水が通過する加熱器を設け、
この加熱器を通過する間に温水となるものでもよい。このため、上記実施例に示した構成
に限定されず、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が、それぞれのモータによっ
て進出・退避動作を行なうモータ式の場合も含めて、種々の形態のものに適用できるもの
であり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0059】
1・・・・・温水洗浄式便座装置
2・・・・・洋式便器
3・・・・・本体ケース
4・・・・・便座
5・・・・・便蓋
6・・・・・給水管
7・・・・・配管ホース
8・・・・・分岐水栓
9・・・・・上水道管
10・・・・操作部
11・・・・電磁弁
12・・・・減圧弁
13・・・・温水タンク
14・・・・給水配管
15・・・・温水導出パイプ
16・・・・脱臭機構
17・・・・基板
18・・・・操作基板
19・・・・電動機
20・・・・電動機
21・・・・スイッチング素子
22・・・・スイッチング素子
23・・・・電動機19のON・OFFスイッチ
30・・・・制御回路
31・・・・商用電源
32・・・・制御部
33・・・・着座スイッチ
35・・・・便座用温度センサ
36・・・・スイッチング素子
37・・・・スイッチング素子
38・・・・スイッチング素子
39・・・・スイッチング素子
40・・・・スイッチング素子
41・・・・便座ヒータ
42・・・・温水ヒータ
43・・・・電動機20のON・OFFスイッチ
44・・・・洗浄停止スイッチ
45・・・・おしり(肛門)洗浄開始スイッチ
46・・・・ビデ洗浄開始スイッチ
47P、47Q・・・・洗浄水の水勢増減スイッチ
48・・・・温水温度調節スイッチ
49・・・・便座温度調節スイッチ
50・・・・温度検知部
51・・・・フロートスイッチ
52・・・・負圧弁
53・・・・明るさ検知センサ
54・・・・温水検知センサ
55・・・・温水温度検知用サーミスタ
60・・・・温水洗浄ユニット
61・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル
61A・・・おしり(肛門)洗浄ノズルのノズル口
61B・・・おしり(肛門)洗浄ノズルの水圧受け
61D・・・下壁
61G・・・パッキン
61H・・・係止突起
61J・・・弾性嵌合部
61K・・・傾斜面
61M・・・環状の溝
61N・・・肉厚部
61P・・・パッキン
61S・・・ノズル先端部材
61T・・・内部通路
61U・・・上壁
61Y・・・水切り部
62・・・・ビデ洗浄ノズル
62A・・・ビデ洗浄ノズルのノズル口
62B・・・ビデ洗浄ノズルの水圧受け部
62G・・・パッキン
62H・・・係止突起
62K・・・傾斜面
62N・・・肉厚部
62P・・・パッキン
62S・・・ノズル先端部材
62T・・・内部通路
63・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル用ケース
63A・・・停止部
63B・・・温水導入部
64・・・・ビデ洗浄ノズル用ケース
64A・・・停止部
64B・・・温水導入部
65A・・・コイルバネ
65B・・・コイルバネ
66・・・・切り替え弁
67・・・・電動機
68・・・・電動機67の駆動軸
69・・・・弁室
69B・・・温水導入口
70・・・・弁室部材
71・・・・おしり洗浄水通路
71A・・・おしり洗浄水通路の出口部
72・・・・ビデ洗浄水通路
72A・・・ビデ洗浄水通路の出口部
73・・・・切り替え通路部材
74・・・・ネジ
75A・・・可撓性パイプ
75B・・・可撓性パイプ
77・・・・支持軸
78・・・・支持軸
79・・・・コイルバネ
82・・・・シールパッキン
83A・・・シールパッキン
83B・・・シールパッキン
85A・・・当接部材
85B・・・当接部材
87・・・・取り付け部材
NC・・・・ノズルケース体
NU・・・・ノズルユニット
SU・・・・洗浄水切り替えユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状洗浄ノズルの内部通路に供給される洗浄水の水圧によって、前記洗浄ノズル先端部
の上壁に形成したノズル口から洗浄水が噴出する温水洗浄式便座装置において、前記洗浄
ノズル先端部の上壁には、前記ノズル口が貫通する形成された肉厚部と、前記上壁の上面
が前記ノズル口の出口周囲に向かって突出した水切り部を有することを特徴とする温水洗
浄式便座装置。
【請求項2】
筒状洗浄ノズルの内部通路に供給される洗浄水の水圧によって、前記洗浄ノズル先端部
の上壁に形成したノズル口から洗浄水が噴出する温水洗浄式便座装置において、前記洗浄
ノズル先端部の上壁は、前方に行くに従って前記上壁内面が前記内部通路方向へ進出する
傾斜面と、前記洗浄ノズル先端部の下壁と並行するよう前記傾斜面から前方へ延びた肉厚
部とを備え、前記ノズル口が前記肉厚部に貫通形成され、前記上壁の上面が前記ノズル口
の出口周囲に向かって突出した水切り部を形成したことを特徴とする温水洗浄式便座装置

【請求項3】
前記筒状の洗浄ノズルの先端には、前記ノズル口及び前記水切り部を形成した前記肉厚
部と、前記傾斜面とを一体形成した合成樹脂製のノズル先端部材が、着脱自在に嵌合され
たことを特徴とする請求項2に記載の温水洗浄式便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−196388(P2010−196388A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43614(P2009−43614)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】