説明

温熱健康増進デスク

【課題】デスクであると共に温熱健康増進器具とすること。
【解決手段】デスク部10は、デスク用平面部11と側面部12と底面部13とから成り、手前側に開口部を有する閉鎖空間が形成される。デスク部10の内表面に面状電熱ヒータを設ける。開口部には細長帯状の帯状片21, 25を多数列設した複数列の仕切部材20, 24を設け、仕切部材の内少なくとも一つの仕切部材24に設けられた帯状片25の長さをデスク使用者の膝上程度の高さとし、他の列の仕切部材20に設けられた帯状片21の長さをデスク使用者の膝下乃至デスク部底面部13までの長さとする。開口部の下側縁部又は開口部の右側又は左側の側縁部の何れかにシート部材が巻回されたシート部材巻取部を設ける。これによりシート部材を引き出すことによりデスク使用者の膝下下肢部裏側を被覆できる。デスク部10の底面部13下面に複数のキャスターを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータが設備されたデスクの改良に関するものであるが、単なる保温用のためでなく、使用者の下肢部を暖めて、全身にその効果を波及させることができる温熱健康増進効果を有するデスク兼用健康器具として使用できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デスクの内面側に各種のヒータが内設されたものが存在している。
下記特許文献1に記載のものは、デスクの内部空間に収納できる折り畳み自在の面状発熱シートから成る「パーソナル暖房装置」に関するものである。
また下記特許文献2に記載の「足温器、手温器及び体温器」に関しても、机部のレッグホール部を取り囲む側面の何れかの少なくとも1面に温熱体を設けたものである。
特許文献3に記載の「机用面状暖房装置」についても、遠赤外線放射パネルから成る折り畳み自在の複数面パネルから成る面状暖房装置を机の内部空間内に配置したものである。
【0003】
更に、健康器具として、足湯形式のもので、上面が開口した略箱体形状の本体部の内面に面状ヒータを設備したり、その底面に岩盤を利用したヒータを配備したもの等が市販されている。
この健康器具においては、使用者が椅子に座って、両方の膝から下の下肢部分を上面開口から本体部内部に入れて加温し、その温熱効果と共に、当該装置からの加温による遠赤外線の効果或いはマイナスイオン効果を体全体に波及させ、使用者の健康増進に寄与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−165434号公報
【特許文献2】実用新案登録第3121702号公報
【特許文献3】実開平3−115324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明においては、デスクの形態を採用しているが、単なる保温効果のみでなく、それ以上に使用者の健康増進を図るための効果を発揮する健康器具を提供することをその第一の課題としている。
そこで、上記従来のタイプのものを見ると、上記特許文献に記載のものは何れも机にヒータを組み合わせて単に保温を目的とするものに過ぎない。これを健康増進器具として使用できるものではない。
また、上記足湯形式のものにおいても、その上面が開口していて、その加温効率の点で問題を残している。
【0006】
そこで、本発明においては、デスク形態を採用して、しかも尚、温熱健康増進効果を発揮する健康器具として機能するものを提供することをその課題としている。
デスク形式を採用した理由は、従来の例えば足湯形式の温熱健康器具においては、ボックス形式の本体部の傍らの椅子に着席して、本体部上面開口から足を入れて利用するのであるが、この形で長時間、他の作業を何もすることができず、非常に退屈なままの状態に置かれるという問題もあり、デスク形式を採用することによって、この問題が解消されるからである。
【0007】
更に、本発明では、従来の足湯形式の温熱健康器具と比較しても、より熱効率の高いもの、より温熱効果の高いものを提供することをその課題としている。
前記従来のデスクとヒータを結合したタイプのものが健康器具と呼べないのは、その温熱効率又は保温効果が低いためである。
というのも、通常のデスクでは、前方部又は座席側の手前部が開放されていて、デスクの内部空間が閉鎖されておらず、各部分で外部空間と連通されていて、デスクの内部空間の温熱効率を高く維持することが出来ないからである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の第1のものは、デスク用平面部と、この平面部の下方前方及び下方左右の両側を囲繞する前方側面部と両側側面部とを連続的に設け、これら前方側面部と両側側面部の下端には足載せ部としての底面部を設け、これらデスク用平面部、前方側面部、両側側面部及び底面部により、手前側が開放された開口部を有する閉鎖空間が形成されて成るデスク部から成り、デスク部の内表面の一部又は全部に面状電熱ヒータを設け、これによりデスク使用者が座席に着席して前記面状電熱ヒータに通電することによって温熱健康増進器具として使用することができ、更に、前記開口部には、細長帯状の帯状片を多数列設した複数列の仕切部材を設け、この複数列の仕切部材の内少なくとも一つの仕切部材に設けられた帯状片の長さをデスク使用者の膝上程度の高さとし、他の列の仕切部材に設けられた帯状片の長さをデスク使用者の膝下乃至デスク部底面部までの長さとしたことを特徴とする温熱健康増進デスクである。
【0009】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、開口部の下辺となる底面部側縁部又は開口部の右側又は左側の側縁部の何れかにシート部材が巻回された引き出し及び巻き取り自在のシート部材巻取部を設け、これにより前記シート部材を上方に、又は横方向に引き出すことができるように構成し、これによりこのシート部材巻取部のシート部材を引き出すことによりデスク使用者の膝下下肢部裏側を被覆できることを特徴とする温熱健康増進デスクである。
【0010】
本発明の第3のものは、上記それぞれの発明において、デスク部の底面部下面の適宜位置に複数のキャスターを設け、その内の少なくとも2つのものにロック手段を付加したことを特徴とする温熱健康増進デスクである。
【0011】
本発明の第4のものは、上記それぞれの発明において、デスク部の底面部の上面に陶製又は石材製の板状体を加温してなる板状足温器を載置し、前記板状体は、その表面にシルクスクリーン印刷技法を用いてゲルマニウム粉体を含む印刷インキを点状、線状及び/又は格子状等の種々のパターンにプリントされたものであることを特徴とする温熱健康増進デスクである。
【0012】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第3の発明において、デスク部の内表面の全部に面状電熱ヒータを設け、デスク部の底面部の上面には陶製又は石材製の足載せ可能な板状体を載置し、この板状体は、その表面にシルクスクリーン印刷技法を用いてゲルマニウム粉体を含む印刷インキを点状、線状及び/又は格子状等の種々のパターンにプリントされたものであることを特徴とする温熱健康増進デスクである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、そのデスク部がデスク用平面部と、前方側面部及び両側側面部と、底面部により、手前側(座席側)が開口した閉鎖空間が形成され、且つ、その開口部に仕切部材が設けられて、そのデスク部の内部空間がほぼ良好な閉鎖空間に形成されているために、デスク部の内表面に設けられた面状電熱ヒータによる加温が極めて効率よく、デスク部の内部空間内のエアーの温度を一様に高め、デスク部内部空間内に挿入された利用者の下肢部、即ち腿から下の両下肢部の全体を加温するために、単なる保温効果に止まらずに、体全体にその温熱効果を波及させることができ、温熱健康増進器具としての効果を発揮できる。
また、本発明においては、その健康増進器具がデスク形態を有しているために、その温熱健康増進効果に浴するとともに、そのデスク上で他の作業をも行うことができ、退屈さを紛らすことが可能となる。
【0014】
更に、本発明においては、そのデスク部の手前側開口部に設けられている仕切部材は、細長帯状の帯状片を多数列設した複数列のものからなり、しかも、その内の一つの仕切部材に設けられた帯状片の長さをデスク使用者の膝上程度までの長さとし、他の列の仕切部材に設けられた帯状片の長さをデスク使用者の膝下乃至デスク部底面部までの長さとしたために、この仕切部に利用者の足を挿入した場合に、太腿部がこの仕切部に位置するのであるが、その際その太腿部の上方にできる隙間を前記長さの短い仕切部材の帯状片が塞ぐことが可能となるのである。
それ故、デスク部内部空間内に利用者の足を挿入しても、デスク部手前側の開口部の閉鎖がより完全に近いものとなるため、その加温効率及び温熱効率が極めて向上することとなるのである。
尚、本発明においては、デスクという概念にはテーブルの意味も含むものである。
【0015】
本発明の第2のものにおていは、デスク部手前側の開口部下辺の底面部側縁部又は開口部の右又は左側の側縁部の何れかにシート部材巻取部を設けたために、このシート部材巻取部から上方に又は横方向にシート部材を引き出してデスク使用者の膝下下肢部裏側を被覆できるようにしたものである。
上記第1の発明におていは、この膝下下肢部裏側を覆う仕切り部は無かったのであるが、即ち、大腿部によって上記仕切部材の長さの長い帯状片が左右に振り分けられて、その膝下下肢部裏側を覆うことが出来なかったのであるが、上記シート部材を引き出すことによりこの膝下下肢部裏側をも被覆することができることと成るのである。
【0016】
これにより、デスク部の開口部は、利用者が下肢部をデスク部の内部空間内に挿入した後、ほぼ完全に閉鎖された状態となるのである。
それ故、本発明においては、デスク部の内部空間がほぼ完全な閉鎖空間となり、その加温効率及び温熱効率が向上して、単なる保温デスクでなく、デスク機能を備えた温熱健康増進装置としての機能を発揮することと成るのである。
【0017】
本発明の第3のものにおいては、デスク部底面部の下面に複数のキャスターを設けたために、そのデスク部の移動に手間の掛からないものとして実施することができ、またその内の少なくとも2つのキャスターにはロック手段を設けたために、そのロック手段をロックすることにより、デスクの位置を固定することができるものと成る。
【0018】
本発明の第4のものにおいては、上記効果に加えて、デスク部底面部の上面に陶製又は石材製の板状体を加温してなる板状足温器を載置し、更にこの板状体の表面にはゲルマニウム粉体を含む印刷陰気を種々のパターンにプリントおり、この板状足温器の付加によりいわば岩盤浴の効果を享受することができる。
この岩盤浴の効果により、上記板状体から遠赤外線が放射され、またマイナスイオンの放散、更にはゲルマニウムから生じる温熱効果を享受することができるのである。
【0019】
上記第4の発明と同様の効果を本発明の第5のものが発揮するのであるが、この第5の発明では、陶製及び石材製の板状体を直接にデスク部の底面部に載置したものであり、この板状体をデスク部の底面部が直接加温できるようにしたものである。
これにより、この板状体の上にデスク使用者の足裏を載置して上記効果を享受することができるものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るデスク部の一実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係るデスク部の開口部に設ける仕切部材の一実施形態を図示したもので、その(A)が分解説明図、その(B)が横断面図である。
【図3】図2に示した仕切部材を図1に示したデスク部の開口部に接合した状態を示す斜視説明図である。
【図4】本発明に係る仕切部材の詳細を示しており、デスク使用者が下肢部をデスク部閉鎖空間内に挿入した状態の説明図である。
【図5】本発明に係るシート部材の一実施形態を図示する斜視説明図であって、シート部材を引き出す前の状態を示している。
【図6】本発明に係るシート部材の一実施形態を図示する斜視説明図であって、シート部材を引き出した状態を示している。
【図7】上記実施形態に係るシート部材を上方に引き出すためのガイドレール部分を拡大して図示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るデスク部の一実施形態に係る斜視説明図である。
本発明に係る温熱健康増進デスクのデスク部10は、その平面形状が略半楕円形状を有し、その上面に位置するデスク用平面部11と、側面部12と、底面部13とから形成されている。
従って、これら平面部11と側面部12と底面部13とにより座席部が位置する手前側が開口された閉鎖空間を形成する。
次の図2により説明するが、この開口部15に仕切部材20、24が設けられることと成るのである。
【0022】
この側面部12は、デスク用平面部11の下方前方側面を被覆する前方側面部12fと、左右両側を被覆する左及び右側面部12s、12sとから成り、前方側面部12fと左右側面部12s、12sとは連続的に形成されている。
また、この実施形態においては、側面部12の下端には底面部13を設けている。
更に、底面部13の下面には、適宜数のキャスター14を設けており、その内の少なくとも2個のものにロック手段を設けている。
【0023】
デスク部10のデスク用平面部11、側面部12及び底面部13の内表面には、そのほぼ全面に面状電熱シートを接合している。
側面部12の構造は、より詳細には、以下の通りとなる。
この側面部12は、図示はしていないが、多層構造を有し、外側に位置する比較的厚い断熱層と、その内側の面状電熱フィルムヒータからなる発熱層とから形成される。断熱層は、厚さ10mm程度のポリプロピレン発泡体から形成される。発熱層の内側表面に保護層を設けるのも自由である。
【0024】
発熱層は、略矩形形状のカーボンブラックを含有する面状フィルムヒータを側面部12の内表面に適宜並べて接合し、形成する。面状フィルムヒータは、微粉末のカーボンブラックを含有しており、通電することによって発熱し、遠赤外線を放出する。
断熱層の外表面全体に、さらにプラスチック外面層を積層し、該外面層は適宜に着色し且つ図形や商標を印刷する。例えば、外面層は、厚さ1〜5mmのアクリル樹脂から形成できる。一方、内表面に保護層を設けた場合には、その面状フィルムヒータ側の全体に、黒色の備長炭含有シートを貼り付けて遠赤外線発生層を更に形成することもできる。遠赤外線発生層は、加熱によって遠赤外線更にはマイナスイオンを放出する。
【0025】
側面部12において、面状フィルムヒータの両端部には、電気コードを接続する(図示しない)。電気コードは、側面部12の適宜部位からそれぞれ引き出し、各電気コードの先端にはコントローラを接続し、コントローラから更に電気コードを接続して、この電気コードの先端に電源コンセントに接続するプラグを設ける。
上記コントローラには、電源ボタンを設け、更に各面状フィルムヒータに対して温度設定と時間設定が可能なものである。本発明においては、その温度設定は約35度乃至60度程度をその最高温度として設定している。
尚、デスク用平面部11及び底面部13は、適宜厚みの木材製合板を使用し、その内表面に上記面状フィルムヒータを接合する。勿論通電用の導電線は側面部に設けた電気コードと接続する。
【0026】
更に、この実施形態においては、図示はしていないが、デスク部10の底面部13の上に、岩盤浴の機能を発揮する陶板製又は石材製の板状体を使用した板状足温器又は足部加温器を設置してもよい。
より詳しくは、この板状足温器は、平面状の陶製板状体又は石材製板状体と、これらの板状体を載置・保持する本体部と、本体部の前記板状体を載置する面に設けられた面状電熱ヒータとから形成されたものであって、前記面状電熱ヒータに通電することにより前記板状体を加温して足を暖めることができるものである。
【0027】
そして更に、前記板状体の表面にはシルクスクリーン印刷等の印刷技法を用いて、ゲルマニウム粉体を含む印刷インキを点状、線状、及び/又は格子状等の種々のパターンにプリントしたものを使用している。
この板状足温器を使用する場合には、この底面部13の上面に面状フィルムヒータを接合せずに実施することができる。
或いは、上記岩盤製又は石材製板状体を面状電熱ヒータが設けられた底面部の上に直接載置するように構成することも可能で、この板状体の上にデスク使用者の足裏を乗せることにより同様の効果を発揮させることができる。
このような板状足温器又は岩盤製等の板状体を利用すると、いわば岩盤浴或いはサウナに入ったような効能を得ることができるのである。
【0028】
図2は、本発明に係る前記デスク部の実施形態の開口部に設ける仕切部材を図示したもので、その(A)が分解説明図、その(B)が仕切部材の横断面図である。
仕切部材20は、細長い帯状の多数の帯状片21、21、…を列設したものからなり、それぞれの帯状片21は、(B)図の断面図にある通り、互い違いに配列したものである。これにより隣り合う帯状片21同士の隙間を無くしている。
この仕切部材20の帯状片21の長さは、図1に図示したデスク部10の開口部15の上下の長さとほぼ等しい長さを有しており、その開口部15の全体を被覆できる長さを有している。
【0029】
他方、仕切部材24の方は、その細長帯状の多数の帯状片25、25、…が多数互い違いに列設されている点は前記仕切部材20と同じであるが、その長さが前記仕切部材20の帯状片21よりも短いものを使用している。
即ち、仕切部材24の帯状片25の長さは、本発明に係るデスクを使用する者の膝上の高さまでの長さしか有していない。
これにより、後に詳述するが、前記仕切部材20の帯状片21がデスク使用者の太腿部の上方に形成される隙間部を塞ぐことができることとなるのである。
【0030】
図中、26は、これら仕切部材20、24の上端縁部を固定するためのフレームを示しており、金属製の断面略コ字形状のものから成り、下方に開口が設けられ、この開口内に前記仕切部材20、24の上端縁部を嵌入、固定できるように構成している。
このフレーム26の裏面側(紙面裏側)には、適宜数のマグネットが設けられており、図示はしていないが、図1に示したデスク部10の開口部15の上側縁部に磁着されるのである。
【0031】
図3は、図2に示した仕切部材を図1に示したデスク部の開口部に接合した状態を示す斜視説明図である。
長い帯状片21を有する仕切部材20と短い帯状片25を有する仕切部材24をその上端縁で重ね合わせてフレーム26で固定したものを、デスク部10の開口部の上側縁部に磁着させる。
【0032】
これにより、デスク使用者が、手前側の椅子(図示省略)に着席した状態で、その下肢部をデスク部10の内部空間内に挿入すると、丁度図3に示した状態に仕切部材20の帯状片21が振り分けられる(図2では片方の足部を示している。)。
しかし、図からも解る通り、仕切部材24の短い帯状片25は、その長さがデスク使用者の膝上までの長さのために、その帯状片25が振り分けられることなく、仕切部材20の長い帯状片21が振り分けられて膝上にできた隙間部分を閉鎖することができることとなるのである。
尚、この図3において、短い長さの仕切片25を有する仕切部材24は、仕切部材20の内側に配置させたが、この仕切部材24を仕切部材20の手前側に配置してもよいことは勿論のことである。
【0033】
図4は、本発明に係る仕切部材の詳細を示しており、デスク使用者が下肢部をデスク部閉鎖空間内に挿入した状態の説明図である。
この図において、Lはデスク使用者の太腿部の横断面を示している。
デスク使用者が、デスク部10の内部空間内にその下肢部を挿入すると、丁度デスク使用者の太腿部L、Lが仕切部材20の帯状片21、21、…を左右に振り分けるような状態で挿入される。
【0034】
このように、帯状部材20の帯状片21、21、…が左右に振り分けられると、太腿部Lの上方に略三角形の隙間が形成されるのである。
この隙間部分をもう一方の短い帯状片25、25、…を有する仕切部材24が閉鎖することができるのである。
そして、この図4に示した通り、本発明の実施形態では、デスク使用者の太腿部L、Lの下方の隙間部分を閉鎖するために、後に説明するシート部材30が設けられるのである。
【0035】
このシート部材30は、次図以降で説明するが、いわば窓等の内側に設置して日除け等に使用されているブラインド形式のものを採用しており、デスク部10の開口部の下側縁部若しくは右側又は左側側縁部から上方に或いは横方向にそのシート部材30を引き出して固定して使用できるものである。
このように、シート部材30を付加することにより、デスク部10の手前側の開口部は、デスク使用者がその下肢部をデスク部10の内部空間内に挿入した状態でも、ほぼ完全に閉鎖され得るのである。
【0036】
図5は、本発明に係る前記シート部材に関する一実施形態を図示する斜視説明図であって、シート部材を引き出す前の状態を示しており、図6は、前記シート部材を引き出した状態を示したものである。
シート部材30は、筒体形状のシート部材巻取部32の内部に巻回されて、収納されている。このシート部材30は、このシート部材巻取部32の内部で、ゼンマイバネによって常に巻き取られる方向に負荷が掛けられており、通常の状態でこのバネの力により巻回された状態でシート部材巻取部32内部に収納されている。
【0037】
このシート部材巻取部32は、デスク部10の開口部15の下側縁部に固定されており、内部に巻回収納されているシート部材30は、上方に引き出すことができる。
開口部15の右側縁部15mと左側縁部15nの外側には、ガイドレール35がそれぞれ設けられている。
このガイドレール35、35のそれぞれには、その手前側側面に案内溝36がその下端部から略中央部にかけて設けられ、その外側側面には案内溝37がその略中央部から上方端部にかけて形成されている。
【0038】
そして、シート部材30の上縁部の両端部のそれぞれは、前記ガイドレール35内部に設備されたロッド又はワイヤーの下端部に連結され、そのロッド又はワイヤーの上端部は、ガイドレール35の案内溝37の下端部から外部に導出されて摘み部38が形成されている。
従って、この摘み部38を矢印Dの上方向に引き上げることによって、シート部材30が上方に引き上げられるのである。
【0039】
シート部材30が上方に引き上げられると、摘み部38を案内溝37の上方に形成され横溝39の部位に回動させてロックすることができ、シート部材30が上方に引き出された状態を維持できるのである。図6がこの状態を図示している。
このように、本実施形態に係るシート部材30は、デスク部10の開口部15の下側縁部から上方に引き出して、開口部15の下側部分、つまりデスク使用者の膝下下肢部裏側を被覆することができるのである。
【0040】
尚、このシート部材は、この実施形態のように下から上に引き出すのではなく、同じ構造を有するシート部材巻取部を開口部15の右側縁部15m又は左側縁部15nに固定して、横方向にシート部材を引き出すように構成することも容易に可能である。
その際は、シート部材の引き出し側の側縁部にフック等を設け、対向する側縁部にそのフック等を係止できる係止部を設けておけばよい。
【0041】
図7は、上記実施形態に係るシート部材を上方に引き出すためのガイドレール部分を拡大して図示する説明図である。
この図に示した通り、本発明に係るガイドレール35は、横断面略矩形形状を有しており、その手前側の側面部には、案内溝36がその下端部から略中央部分にまで形成され、その横方向側(図中右側)の側面部には、案内溝37がその略中央部分から上端部分にまで形成されている。
【0042】
そして、摘み部38とシート部材30の上端縁部30uとは、ガイドレール35内でロッド又はワイヤーによって連結されており、摘み部38を上方に引き上げることにより、シート部材30も上方に引き出されることとなるのである。
図7では、シート部材30が少し上方に引き出された状態を図示している。
この状態から更に摘み部38を上方に引き上げて、摘み部38を時計回りに回動させ、横溝39内に移行させ、シート部材30の巻き戻しが阻止されてロックされた状態となるのである。
【0043】
横溝39は、複数設けており、この実施形態では3つ設けており、それぞれの横溝39には、図には明瞭に表れていないが、下方に向かう溝部も形成されている。この下方に向かう溝部に摘み部38の根元部軸部が係合すると、シート部材30の巻き戻し力によってロックされた状態となるのである。
横溝39を複数設けたのは、シート部材30の引き上げ高さを調整するためである。
尚、上記の構成は、左右両側のガイドレールにおいて同一且つ対称である。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を各種変更することができる。
本発明においては、その平面視形状は、上記実施形態の場合、略半楕円形状としたが、この形状はこれに限定されることなく、例えば略長方形形状など種々変更が可能であり、その平面視形状を自由に変更して設計することができる。
デスク部の平面部は必ずしも完全な平面でなくともよく、少し前方が高くなった傾斜のあるものでもよい。
勿論、デスク用平面部の前方外周部に枠体を設けて実施することもできる。
【0045】
面状電熱シートは、上記実施形態では、面状フィルムヒータを利用したが、このヒータも電熱式の面状のヒータであれば、現在開発されているものを利用することができ、とりわけ遠赤外線を効率よく放出するもの、或いはマイナスイオンを放出できるものを採用することが好ましい。
コントローラで設定できる温度やタイマーの設定時間等は、適宜必要に応じて設定することができる。
【0046】
仕切部材をデスク部開口部の上側縁部に固定する手段としては、マグネットを利用したが、この固定手段もマグネット以外の各種のものを利用することができる。
例えば、開口部の上側縁部に横断面略コ字形状のフレーム(上記実施形態におけるフレーム26)を予め固定して設けておき、このフレームに仕切部材を重ね合わせて固定するように構成することもできる。
仕切部材の帯状片の列設の仕方も自由に設計変更可能であり、隣り合う帯状片が相互に少しずつ重なり合うように形成すれば好ましい。また、仕切部材は、3枚以上重ね合わせることもでき、その内の少なくとも1枚をデスク使用者の膝上高さの長さの短いものにすればよい。
【0047】
シート部材を引き出し、そして固定する手段も自由に設計変更することができ、上記実施形態のようなガイドレールを設けずに、シート部材の上端縁部の両側に単にフックを設け、デスク部開口部の両側縁部にこのフックと係合できる係止部を適宜高さ位置に設けて実施することも出来る。
デスク部底面部に載置する板状足温器又は岩盤製等の板状体の大きさや形状も自由に設計することができ、少なくとも足裏が載置できる大きさを有していればよい。勿論、この板状体を底面部の全体に設けるのも自由である。
【0048】
以上、本発明は、デスクの形式を採用しつつ、そのデスク部の内部空間をほぼ完全な閉鎖空間とすることにより、その閉鎖空間内の雰囲気全体を所定の温度高さまで効率よく一様に高めることができるために、いわば太腿部まで足湯に浸かっているような状態となり、両足の太腿部までの全体をその全表面から加温して、その温熱効果を全身にまで波及させることが可能な温熱健康増進器具としての効果を併せ持つものとしての温熱健康増進デスクを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0049】
10 デスク部
11 デスク用平面部
12、12f、12s 側面部
13 底面部
14 キャスター
15 開口部
20、24 仕切部材
21、25 帯状片
26 フレーム
30 シート部材
32 シート部材巻取部
35 ガイドレール
36、37 案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスク用平面部(11)と、この平面部(11)の下方前方及び下方左右の両側を囲繞する前方側面部(12f) と両側側面部(12s, 12s)とを連続的に設け、これら前方側面部(12f) と両側側面部(12s, 12s)の下端には足載せ部としての底面部(13)を設け、これらデスク用平面部(11)、前方側面部(12f)、両側側面部(12s, 12s)及び底面部(13)により、手前側が開放された開口部(15)を有する閉鎖空間が形成されて成るデスク部(10)から成り、
デスク部(10)の内表面の一部又は全部に面状電熱ヒータを設け、これによりデスク使用者が座席に着席して前記面状電熱ヒータに通電することによって温熱健康増進器具として使用することができ、
更に、前記開口部(15)には、細長帯状の帯状片(21, 25))を多数列設した複数列の仕切部材(20, 24)を設け、
この複数列の仕切部材(20, 24)の内少なくとも一つの仕切部材(24)に設けられた帯状片(25)の長さをデスク使用者の膝上程度の高さとし、他の列の仕切部材(20)に設けられた帯状片(21)の長さをデスク使用者の膝下乃至デスク部底面部までの長さとしたことを特徴とする温熱健康増進デスク。
【請求項2】
開口部(15)の下辺となる底面部側縁部又は開口部(15)の右側又は左側の側縁部(15m, 15n)の何れかにシート部材(30)が巻回された引き出し及び巻き取り自在のシート部材巻取部(32)を設け、これにより前記シート部材(30)を上方に、又は横方向に引き出すことができるように構成し、
これによりこのシート部材巻取部(32)のシート部材(30)を引き出すことによりデスク使用者の膝下下肢部裏側を被覆できることを特徴とする請求項1に記載の温熱健康増進デスク。
【請求項3】
デスク部(10)の底面部(13)下面の適宜位置に複数のキャスター(14)を設け、その内の少なくとも2つのものにロック手段を付加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の温熱健康増進デスク。
【請求項4】
デスク部(10)の底面部(13)の上面に陶製又は石材製の板状体を加温してなる板状足温器を載置し、前記板状体は、その表面にシルクスクリーン印刷技法を用いてゲルマニウム粉体を含む印刷インキを点状、線状及び/又は格子状等の種々のパターンにプリントされたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の温熱健康増進デスク。
【請求項5】
デスク部(10)の内表面の全部に面状電熱ヒータを設け、デスク部(10)の底面部(13)の上面には陶製又は石材製の足載せ可能な板状体を載置し、この板状体は、その表面にシルクスクリーン印刷技法を用いてゲルマニウム粉体を含む印刷インキを点状、線状及び/又は格子状等の種々のパターンにプリントされたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の温熱健康増進デスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19838(P2011−19838A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169401(P2009−169401)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(592181543)株式会社西淀マーク製作所 (5)