説明

温風供給装置

【課題】着脱可能なトレーが傾斜した異常配置状態で動作が実行されることを防止し、本体の変形を防止する。
【解決手段】収容空間23を有する本体10と、収容空間23の底壁部(上面部16)より上方に形成した吹出口45から空気を供給する送風手段(送風ファン48)と、供給する空気を加熱する加熱手段(加熱ヒータ49)と、収容空間23内に配置されるカゴ50と、カゴ50の下部に位置するように配置されるトレー55と、を備えた温風供給装置において、トレー55を本体10の収容空間23内に傾斜して配置した異常配置状態で、カゴ50を本体10の収容空間23に配置すると、互いに干渉してトレー55を正常配置位置へ移動させる干渉部(脚部54a,54bおよび突出部58a,58b)を、カゴ50およびトレー55にそれぞれ設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器類を温風により乾燥させる食器洗い乾燥機を含む食器乾燥機や、器具を温風により滅菌する滅菌機などの温風供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の温風供給装置は、蓋体によって開閉可能な収容空間を形成した本体を備えている。本体には、収容空間を臨むように開口した吹出口が設けられ、この吹出口から収容空間内へ送風ファンによって空気が供給される。また、収容空間内に供給される空気は、加熱ヒータによって所定温度に加熱した温風とされる。なお、収容空間の内部には、乾燥させる食器類や滅菌する器具を配置するためのカゴが着脱可能に配設されるとともに、このカゴの下部にはトレーが着脱可能に配設されている。
【0003】
特許文献1には、収容空間を構成する本体の一方側部に吹出口を設けた食器乾燥機が記載されている。この食器乾燥機は、吹出口が収容空間内に張り出すように形成した凸部からなる案内部に形成されている。この案内部は、トレーを配置する際に凹部の所定位置に案内する。
【0004】
しかしながら、特許文献1の食器乾燥機は、吹出口を形成した案内部が収容空間内に突出した形状をなすため、この案内部の上端にトレーの外周部が引っ掛かり、傾斜した状態で配置される可能性がある。この場合、吹出口から供給される温風がトレーで妨げられ、トレーと収容空間の底壁部との間の狭い空間に噴射される。その結果、収容空間を構成する樹脂製の底壁部が昇温により変形する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−245680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、着脱可能なトレーが傾斜した異常配置状態で動作が実行されることを防止し、本体の変形を防止可能な温風供給装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の温風供給装置は、蓋体によって開閉可能とした収容空間を有する本体と、この本体の収容空間の底壁部より上方に形成した吹出口から前記収容空間内へ空気を供給する送風手段と、この送風手段により供給する空気を加熱する加熱手段と、前記収容空間内に配置されるカゴと、このカゴの下部に位置するように前記収容空間の底壁部上に略水平に配置されるトレーと、を備えた温風供給装置において、前記トレーを前記収容空間内に傾斜して配置した異常配置状態で、前記カゴを前記収容空間に配置すると、互いに干渉して前記トレーを正常配置位置へ移動させる干渉部を、前記カゴおよび前記トレーにそれぞれ設けた構成としている。
【0008】
この温風供給装置は、トレーを傾斜した異常配置状態で配置しても、カゴを配置することにより、互いの干渉部が干渉することによりトレーを正常配置位置へ移動させることができる。そのため、ユーザが異常配置状態に気付かずに動作を開始し、トレーで塞がれた狭い空間に温風が供給されることを防止できる。よって、収容空間の底壁部などの樹脂成形部品が過熱により変形することを防止できる。
【0009】
この温風供給装置では、前記カゴは、前記収容空間内への正常配置位置を除く異常配置位置に配置すると、この本体または前記蓋体に干渉するとともに前記カゴの干渉部が前記トレーの干渉部に干渉することにより、前記トレーを正常配置位置へ移動させることが好ましい。このようにすれば、カゴの異常配置を防止しつつ、異常配置状態になったトレーを確実に正常配置位置へ移動させることができる。
【0010】
また、前記トレーは、前記カゴを前記収容空間の底壁部上に正常配置した状態で、前記蓋体によって開放した前記収容空間の開口部から取り出しおよび差し込み可能であることが好ましい。このようにすれば、ユーザによる使用上の利便性を向上しつつ、トレーの異常配置を確実に防止できる。
【0011】
さらに、前記カゴの干渉部は、前記収容空間の底壁部に当接する脚部であり、前記トレーの干渉部は、前記カゴを前記収容空間の底壁部の正常配置位置に配置した状態で、前記カゴの脚部のトレー差込方向後側に位置する突出部であるように構成することが好ましい。このようにすれば、トレーが傾斜した状態で配置されると、カゴを配置する際に脚部が突出部に干渉する。そして、カゴを正常配置位置に配置することにより、連動してトレーも確実に正常配置位置に配置できる。
【0012】
そして、前記吹出口は、前記収容空間内に突出した形状をなし、その上部または上部周辺に、前記トレーの外周部を引っ掛けて傾斜した異常配置状態でトレーを配置すると、滑動により引っ掛かりを解除して略水平な正常配置位置へ移動させるガイド部を設けることが好ましい。このようにすれば、トレーを吹出口上に引っ掛けて傾斜した異常配置状態で配置しても、トレーがガイド部に対して滑動することにより引っ掛かりを解除し、トレーを正常配置位置へ配置できる。よって、トレーで塞がれた狭い空間に温風が供給されることを防止できるため、収容空間の底壁部などの樹脂成形部品が過熱により変形することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温風供給装置では、トレーを傾斜した異常配置状態で配置しても、カゴの配置により互いの干渉部を干渉させ、トレーを正常配置位置へ移動させることができる。また、収容空間内に突出した吹出口の上部または上部周辺に、滑動によりトレーを正常配置位置へ移動させるガイド部を設けているため、トレーの異常配置を抑制できる。よって、トレーで塞がれた狭い空間に温風が供給されることによる収容空間の底壁部などの樹脂成形部品の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る食器乾燥機を示す分解斜視図である。
【図2】トレーとカゴを配置した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】蓋体を閉塞した状態を示す断面斜視図である。
【図5】図3の要部拡大断面図である。
【図6】カゴを配置した状態でのトレーの着脱状態を示す斜視図である。
【図7】トレーを異常配置した状態を示す斜視図である。
【図8】トレーを異常配置した状態を示す断面図である。
【図9】食器乾燥機の変形例を示す分解斜視図である。
【図10】カゴの脚部とトレーの突出部の関係を示し、(A)は図1の実施形態の概略図、(B)は図9の変形例の概略図、(C),(D)は他の変形例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係る温風供給装置である食器乾燥機を示す。この食器乾燥機は、収容空間23内に温風を供給することにより、内部に収容した食器類を乾燥させるものである。食器乾燥機は、収容空間23を開閉する蓋体22を有する乾燥機本体10を備えている。この乾燥機本体10の内部には、ダクト部材37が配設され、このダクト部材37内の送風通路38に、送風手段である送風ファン48と加熱手段である加熱ヒータ49とが配設されている。また、乾燥機本体10の収容空間23には、食器類を配置するカゴ50と、食器類から滴下する水を受けるトレー55とが、着脱可能に配置される。
【0017】
本実施形態の食器乾燥機は、カゴ50とトレー55に互いに干渉する干渉部として、カゴ50に脚部54a,54bを設けるとともにトレー55に突出部58a,58bを設け、トレー55が収容空間23内で傾斜した異常配置状態で配置されることを防止する構成としている。また、収容空間23内に突出する吹出口45の上部周辺に、トレー55を滑動により略水平な所定の正常配置位置へ移動させるガイド部14を設け、トレー55の異常配置を抑制できるように構成している。なお、トレー55の異常配置状態(位置)とは、傾斜した状態だけに限られず、略水平な所定の正常配置位置を除く全ての位置に配置された状態を意味する。
【0018】
具体的には、乾燥機本体10は、受皿状をなす下ケース11と、下ケース11の上端開口を閉塞する上ケース12とを備えた平面視矩形状のものである。これらケース11,12は、耐熱温度がTr1の樹脂(例えば耐熱温度が130℃のPP(ポリプロピレン))によって形成した樹脂成形部品である。
【0019】
上ケース12の背面側中央には、上向きに突出した吹出口配設部13が設けられている。この吹出口配設部13には、後述するダクト部材37の先端である吹出口45が正面側(収容空間23内)へ突出するように配設される。吹出口配設部13の両側には、正面側に向けて突出するガイド部14が設けられている。このガイド部14は、その正面側がダクト部材37の先端と略同一面上に位置するように膨出されている。また、ガイド部14の上部は、側面視円弧状に湾曲した曲面部15とされている。この曲面部15により、ガイド部14上にトレー55の外周部を引っ掛けて傾斜した異常配置状態でトレー55を配置すると、滑動により引っ掛かりを解除して略水平な正常配置位置へ移動させる構成としている。
【0020】
上ケース12の上面部16は、正面左側に向けて下向きに傾斜した形状をなし、その最も下方に位置する部分に排水孔17が設けられている。乾燥機本体10には、この排水孔17の下部に位置するように排水容器18が配設されている。この排水容器18は、乾燥機本体10の正面から水平方向に着脱可能である。
【0021】
上ケース12の上面部16には、収容空間23内へ向けて上向きに突出する5個の凸部19a〜19eが設けられている。これら凸部19a〜19eは、トレー55を位置決めする役割をなし、背面側中央と、4隅の近傍に設けられている。そのうち、背面側中央に位置する凸部19aは、吹出口45の側に位置するカゴ50の下枠部51の下部に位置し、フキンがカゴ50に掛けられた場合に吹出口45を完全に覆うことを防止する役割をなす。この凸部19aは、吹出口45より横幅が小さく、吹出口45の下部に位置する収容空間23の後壁部である吹出口配設部13の下部13aにかけた隅部に設けられている。
【0022】
上ケース12の上面部16には、凸部19b〜19eの横方向外側に、カゴ50の脚部54a〜54dを位置決めする下向きに窪んだカゴ位置決め部20a〜20dが設けられている。そのうち、正面側に位置するカゴ位置決め部20a,20bは、その正面側がトレー55の突出部58a,58bが位置する連続したトレー位置決め部21a,21bとされている。なお、図1中背面右側に位置するカゴ位置決め部20dは図示していない。
【0023】
この乾燥機本体10の上ケース12の上面部16には、背面側に固着した第1蓋部材24と、この第1蓋部材24に対して回動可能に配設した第2および第3蓋部材29,33とからなる蓋体22が配設されている。この蓋体22は、乾燥機本体10の上部をドーム状に囲繞することにより、乾燥機本体10の上面部16とで収容空間23を形成する。即ち、乾燥機本体10の上面部16は、収容空間23の底壁部を構成する。なお、蓋体22は、透明度が高く耐熱温度がケース11,12の耐熱温度Tr1より低いTr2の樹脂(例えば耐熱温度が89℃のPS(ポリスチレン))によって形成した樹脂成形部品である(Tr1>Tr2)。
【0024】
第1蓋部材24は、乾燥機本体10の両側面部から背面部にかけて延びる平面視略U字形状をなす。この第1蓋部材24の側面には、乾燥機本体10の側面中央に位置するように第1ヒンジ接続部25が設けられている。また、第1蓋部材24の背面下端には、吹出口配設部13と両側のガイド部14にかけて嵌る嵌合凹部26が設けられるとともに、その上方に横方向に所定間隔をもって位置するスリットからなる排気孔27が設けられている。さらに、第1蓋部材24の背面上端には、図3に示すように、外向きに突出する第1遮蔽部28が外向きに突設されている。
【0025】
第2蓋部材29は、第1蓋部材24の外側に回動可能に配設されるもので、側面視略扇型形状をなす側面と、側面視円弧状に湾曲された外面とを有する平面視略U字形状をなす。この第2蓋部材29の側面先端には、第1ヒンジ接続部25に回動可能に接続する第2ヒンジ接続部30が設けられている。また、第2蓋部材29の外面には、図3に示す開放状態での下端に、閉塞状態で第1遮蔽部28と所定間隔をもって位置する第1遮蔽対向部31が設けられている。さらに、第2蓋部材29の外面には、開放状態での上端に外向きに突出する第2遮蔽部32が設けられている。
【0026】
第3蓋部材33は、第2蓋部材29の外側に回動可能に配設されるもので、第2蓋部材29と同様の平面視略U字形状をなす。この第3蓋部材33の側面先端には、第1ヒンジ接続部25に回動可能に接続する第3ヒンジ接続部34が設けられている。また、第3蓋部材33の外面には、開放状態での下端に、閉塞状態で第2遮蔽部32と所定間隔をもって位置する第2遮蔽対向部35が設けられている。さらに、第3蓋部材33の外面には、開放状態での上方に開閉するための操作部36が外向きに突設されている。
【0027】
この蓋体22は、第3蓋部材33の操作部36を操作して閉塞すると、図4に示すように、第3蓋部材33の側面および外面の閉塞回動方向先端の縁が、乾燥機本体10の上面部16に当接した状態をなす。そして、この閉塞状態では、各遮蔽部28,32と遮蔽対向部31,35が所定間隔をもって位置し、収容空間23内と機外との断熱を図る。また、第3蓋部材33を開閉操作すると、各ヒンジ接続部25,30,34内に形成した周知の連動構造により、第2蓋部材31を連動して開方向および閉方向に回動させる。
【0028】
ダクト部材37は、図4に示すように、乾燥機本体10の内部の略中央から背面側上部の吹出口配設部13にかけて延びる略横J字形状のものである。このダクト部材37は、ダクト本体39と、このダクト本体39の下部を覆う下カバー40と、ダクト本体39の上部を覆う上カバー41とを備え、これらで筒状に囲まれた内部が送風通路38を構成する。ダクト本体39は、耐熱温度がケース11,12の耐熱温度Tr1より高いTr3の樹脂(例えば耐熱温度が235℃のSPS(シンジオタクチックポリスチレン))によって形成した樹脂成形部品である(Tr1<Tr3)。下カバー40は、ダクト本体39より耐熱温度が高い金属成形部品である。上カバー41は、ダクト本体39と同一材料で形成した樹脂成形部品である。
【0029】
ダクト部材37は、乾燥機本体10の上面部16に沿って水平方向に延びる第1通路部42を備えている。この第1通路部42は、ダクト本体39と下カバー40によって四角筒状に形成されている。また、ダクト部材37は、吹出口配設部13の背部で垂直上向きに延びる第2通路部43を備えている。この第2通路部43は、ダクト本体39と上カバー41により、第1通路部42より横幅が広い四角筒状に形成されている。さらに、ダクト部材37は、吹出口配設部13に向けて水平方向に延びる第3通路部44を備えている。この第3通路部44は、ダクト本体39と上カバー41により、第2通路部43と同一幅の四角筒状に形成されている。そして、本実施形態では、第3通路部44の先端を、上面部16より上方で収容空間23を臨む吹出口45としている。
【0030】
図5に示すように、吹出口45は、その先端が上ケース12のガイド部14の正面側端面より背面側へ没入した状態をなす。この吹出口45には、横方向に所定間隔をもってルーバー46が形成されている。また、吹出口45の上部には、ガイド部14の正面側端面と略面一に位置するように突出する保護部47が設けられている。この保護部47は、上カバー41を略横U字形状に湾曲成形したもので、その先端面が吹出口45より正面側へ突出している。また、保護部47の上端は、ガイド部14の曲面部15より下側に位置するように構成されている。この保護部47により、吹出口45(ルーバー46)にカゴ50、トレー55および食器類が干渉することを防止している。また、トレー55の表面に付着した水が吹出口45から送風通路38へ浸入することを抑制している。
【0031】
図4に示すように、送風ファン48は、送風通路38を通して収容空間23内へ空気を供給するもので、軸方向から吸い込んだ空気を径方向に送出するシロッコファンからなる。この送風ファン48は、送風通路38の第1通路部42の端部に位置するように、下カバー40上に配設されている。
【0032】
加熱ヒータ49は、送風ファン48の送風方向下流側に位置するように第1通路部42内に配設され、収容空間23に供給する空気を所定温度に加熱するものである。この加熱ヒータ49は、線条のヒータ線を螺旋状に巻回したものである。
【0033】
カゴ50は、金属(SUS304)製の線条部材を屈曲および接合することにより形成したものである。このカゴ50は、平面視で乾燥機本体10の上面部16より小さい下枠部51と、平面視で上面部16より大きい上枠部52とを備えている。これら下枠部51および上枠部52は、略U字形状に屈曲した複数の仕切枠部53により一体的に接合されている。また、カゴ50には、下枠部51が上面部16より所定間隔をもって上方に位置するように、下向きに突出して上面部16に当接する脚部54a〜54dが4隅に設けられている。これら脚部54a〜54dは、上面部16のカゴ位置決め部20a〜20d内に配置されることにより、カゴ50を収容空間23内の所定位置に位置決めして配置できる。
【0034】
カゴ50の脚部54a〜54dを乾燥機本体10のカゴ位置決め部20a〜20dに配置した正常配置状態では、カゴ50の上枠部52は、正面側が上面部16上に位置し、背面側が吹出口45より上部背面側に位置する。その結果、この正常配置位置より背面側にカゴ50を配置しようとした場合、上枠部52が蓋体22に干渉、または、背面側の仕切枠部53がガイド部14または保護部47に干渉する。また、正常配置位置より正面側または側面側にカゴ50を配置しようとした場合、脚部54a〜54dが上面部16に干渉する。これにより、カゴ50は、正常配置位置を除く異常配置位置には配置できないように構成している。
【0035】
トレー55は、収容空間23の底壁部である乾燥機本体10の上面部16上に略水平に配設されるものである。このトレー55は、正常配置状態で上面部16の排水孔17に向けて下向きに傾斜した形状をなし、その部分に排水部56が形成されている。また、トレー55には、上面部16の凸部19a〜19eに嵌合する上向きに窪んだ位置決め凸部57a〜57eが設けられている。さらに、本実施形態のトレー55は、図6に示すように、収容空間23にカゴ50を配設した状態で、蓋体22によって開放した収容空間23の開口部から略水平に取り出しおよび差し込み可能な構成としている。具体的には、トレー55は、その横幅がカゴ50の脚部54a,54bおよび脚部54c,54d間より小さく形成され、カゴ50の下部へ着脱可能としている。このトレー55には、差込方向後側に横方向に突出する突出部58a,58bが設けられている。これら突出部58a,58bは、横方向の先端間の幅がカゴ50の脚部54a,54b間の幅より大きく形成され、正常配置状態で上面部16のトレー位置決め部21a,21bに配置されることにより、カゴ50の脚部54a,54bの正面側に位置する。
【0036】
この食器乾燥機を使用するユーザがトレー55を洗浄する場合には、図6に示すように、カゴ50を乾燥機本体10の収容空間23に配置したまま取り出して洗浄できる。また、カゴ50を収容空間23から取り出した状態で、トレー55を取り出して洗浄できる。よって、ユーザは、希望に応じた使用方法を選択できるため、利便性を向上できる。
【0037】
一方、洗浄したトレー55を収容空間23に配置する場合には、カゴ50を乾燥機本体10の収容空間23に配置したまま、カゴ50の下部に差し込んで配置できる。この際、トレー55を突出部58a,58bの側から差し込もうとしても、突出部58a,58b間の幅は、カゴ50の脚部54a,54b間の幅より大きいため、差し込むことはできない。また、トレー55を突出部58a,58bの側を持って差し込むと、位置決め凸部57a,57d,57eを設けた差込方向前側をカゴ50の脚部54a,54b間に差し込むことができる。そして、トレー55の突出部58a,58bがカゴ50の脚部54a,54bに当接することにより、それ以上の差し込みはできなくなる。この状態で、上面部16上に配置することにより、トレー55の突出部58a,58bをトレー位置決め部21a,21bに配置した正常配置位置に配置できる。よって、収容空間23にカゴ50を配置した状態でトレー55を配置する場合には、トレー55の異常配置を防止できる。
【0038】
また、洗浄したトレー55は、収容空間23からカゴ50を取り出した状態で配置されることがある。この場合、図7および図8に示すように、収容空間23内に吹出口45が突出した形状をなすため、その上部にトレー55が引っ掛かり、トレー55が傾斜した異常配置状態で配置される可能性がある。しかし、本実施形態では、吹出口45の両側にガイド部14を設け、その上部を曲面部15としているため、トレー55が滑動することにより引っ掛かりが解除される。その結果、トレー55を滑り落とすように正常配置位置へ配置できる。よって、吹出口45をトレー55で塞ぐことにより、トレー55と上ケース12の上面部16との間の狭い空間に温風が供給され、樹脂成形部品である上面部16が過熱により変形することを防止できる。
【0039】
但し、ガイド部14の曲面部15によっても、トレー55が異常配置状態となる場合がある。しかし、本実施形態では、この異常配置状態でカゴ50を配置することにより、トレー55の異常配置を解除して正常配置位置に移動(配置)させることができる。
【0040】
具体的には、カゴ50は、脚部54a〜54dが乾燥機本体10のカゴ位置決め部20a〜20d上を除く異常配置位置に配置しようとすると、乾燥機本体10や蓋体22に干渉することにより、正常配置位置近傍に誘導される。このとき、トレー55が傾斜した異常配置状態になっている場合、カゴ位置決め部20a,20bより上方に浮いたトレー55の突出部58a,58bの背面側に、カゴ50の脚部54a,54bの正面側円弧部が干渉し、トレー55を正面側に押圧する。その結果、トレー55が正常配置位置へ向けて移動することにより、傾斜した異常配置状態を解除し、トレー55を正常配置位置に配置できる。よって、吹出口45をトレー55で塞ぐことにより、トレー55と上ケース12の上面部16との間の狭い空間に温風が供給され、樹脂成形部品である上面部16が過熱により変形することを確実に防止できる。
【0041】
なお、本発明の温風供給装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、前記実施形態では、収容空間23にカゴ50を配置した状態でトレー55を着脱可能に構成したが、カゴ50を配置した状態ではトレー55を着脱不可能に構成してもよい。具体的には、図9に示すように、トレー55をカゴ50を上部に配置するように構成する。この場合、トレー55の枠縁部55aが干渉部を構成する。即ち、トレー55を収容空間23に傾斜させた異常配置状態でカゴ50を配置すると、カゴ50の上枠部52が蓋体22に干渉し、カゴ50が正常配置位置へ誘導される。その際、カゴ50の脚部54a,54bがトレー55の枠縁部55aまたは位置決め凸部57b,57cに干渉し、その結果、トレー55を正面側へ押圧することにより、前記と同様に、トレー55を正常配置位置へ移動させることができる。
【0043】
また、前記実施形態では、図10(A)に示すように、カゴ50の全ての脚部54a〜54dがトレー55上には位置しないようにし、図9に示す変形例では、図10(B)に示すように、カゴ50の全ての脚部54a〜54dがトレー55上に位置するようにしたが、図10(C),(D)に示すように、カゴ50の脚部54a〜54dの一部がトレー55上に位置し残りがトレー55上に位置しないように構成してもよい。具体的には、図10(C)に示すように、実施形態と同様に突出部58a,58bを設けたトレー55に対して、カゴ50は、正面側の脚部54a,54bがトレー55の外方でかつ突出部58a,58bの差込方向前側に位置し、背面側の脚部54c,54dがトレー55上に位置するように構成してもよい。または、図10(D)に示すように、トレー55の突出部58a,58bを背面側に延びるように形成し、正面側の脚部54a,54bがトレー55上に位置し、背面側の脚部54c,54dがトレー55の外方でかつ突出部58a,58bの差込方向前側に位置するように構成してもよい。
【0044】
さらに、前記実施形態では、トレー55の突出部58a,58bを差込方向後側端に設けたが、中間に位置するように設けてもよい。但し、トレー55は、平面視状態で180度回転させたときに形状が一致しない非対称形状とし、収容空間23の上面部16上に逆向きで配置できないように構成することが好ましい。
【0045】
さらにまた、前記実施形態では、吹出口45の両側にガイド部14を設けたが、吹出口45の上部に形成する保護部47をガイド部とし、その正面側上部を曲率が大きい曲面により構成することにより、トレー55を滑動により正常配置位置へ移動させる構成としてもよい。
【0046】
また、ガイド部14は、吹出口配設部13の両側に位置するように、乾燥機本体10の上ケース12に設けたが、蓋体22の第1蓋部材24に設けてもよい。
【0047】
そして、前記実施形態では、本発明の温風供給装置として、食器類を乾燥させる食器乾燥機を適用して説明したが、収容空間23内に所定の器具を収容させて温風により滅菌する滅菌機であっても同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…乾燥機本体
14…ガイド部
15…曲面部
16…上面部(底壁部)
20a〜20d…カゴ位置決め部
21a,21b…トレー位置決め部
22…蓋体
23…収容空間
24…第1蓋部材
29…第2蓋部材
33…第3蓋部材
37…ダクト部材
38…送風通路
45…吹出口
48…送風ファン(送風手段)
49…加熱ヒータ(加熱手段)
50…カゴ
54a〜54d…脚部(干渉部)
55…トレー
55a…枠縁部(干渉部)
58a,58b…突出部(干渉部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体によって開閉可能とした収容空間を有する本体と、この本体の収容空間の底壁部より上方に形成した吹出口から前記収容空間内へ空気を供給する送風手段と、この送風手段により供給する空気を加熱する加熱手段と、前記収容空間内に配置されるカゴと、このカゴの下部に位置するように前記収容空間の底壁部上に略水平に配置されるトレーと、を備えた温風供給装置において、
前記トレーを前記収容空間内に傾斜して配置した異常配置状態で、前記カゴを前記収容空間に配置すると、互いに干渉して前記トレーを正常配置位置へ移動させる干渉部を、前記カゴおよび前記トレーにそれぞれ設けたことを特徴とする温風供給装置。
【請求項2】
前記カゴは、前記収容空間内への正常配置位置を除く異常配置位置に配置すると、この本体または前記蓋体に干渉するとともに前記カゴの干渉部が前記トレーの干渉部に干渉することにより、前記トレーを正常配置位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の温風供給装置。
【請求項3】
前記トレーは、前記カゴを前記収容空間の底壁部上に正常配置した状態で、前記蓋体によって開放した前記収容空間の開口部から取り出しおよび差し込み可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の温風供給装置。
【請求項4】
前記カゴの干渉部は、前記収容空間の底壁部に当接する脚部であり、
前記トレーの干渉部は、前記カゴを前記収容空間の底壁部の正常配置位置に配置した状態で、前記カゴの脚部のトレー差込方向後側に位置する突出部である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の温風供給装置。
【請求項5】
前記吹出口は、前記収容空間内に突出した形状をなし、その上部または上部周辺に、前記トレーの外周部を引っ掛けて傾斜した異常配置状態でトレーを配置すると、滑動により引っ掛かりを解除して略水平な正常配置位置へ移動させるガイド部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の温風供給装置。
【請求項6】
蓋体によって開閉可能とした収容空間を有する本体と、この本体の収容空間の底壁部より上方に形成した吹出口から前記収容空間内へ空気を供給する送風手段と、この送風手段により供給す空気を加熱する加熱手段と、前記収容空間の底壁部上に略水平に配置されるトレーと、を備えた温風供給装置において、
前記吹出口は、前記収容空間内に突出した形状をなし、その上部または上部周辺に、前記トレーの外周部を引っ掛けて傾斜した異常配置状態でトレーを配置すると、滑動により引っ掛かりを解除して略水平な正常配置位置へ移動させるガイド部を設けたことを特徴とする温風供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−217881(P2011−217881A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88547(P2010−88547)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】