説明

測定器

回転可能な第1及び第2測定ユニットと、第1及び第2測定ユニットからのデータを処理し、2つのポイント間の距離を算出するプロセッサとからなる測定器において、第1及び第2測定ユニットが、測定器から第1及び第2のポイントまでの距離をそれぞれ測定するための距離計と、前記各ポイントまでの距離を測定するために距離計が回転する角度を測定するためのアングル測定器とを個別に備えている、2つのポイント間の距離や角度またはその両方を測定するための測定器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのポイント間の距離を測定するための測定器に関し、例えば、貨物を積載した低荷台トラックなどにおいて、地面から積載物のもっとも高い部分までの全体の高さを測定するのに用いられる。
【背景技術】
【0002】
貨物積載車においては正確な車両の高さを求められることが多い。EC規制では、全体の高さが2.895m(英国では9フィート6インチ)を超える商用車は、常に運転室に高さ表示をするよう義務付けられている。積載物が長方体のコンテナのように整った形状のものであれば、既存のメジャーなどを使って比較的容易にほぼ正確な測定ができるが、トラックなどの貨物車の場合、測定の難しい不規則な形状の荷物を積載することもよくある。例えば、けん引車を積載した低荷台トラックの場合、路面からけん引車の煙突の先端までの高さを正確に測定するのは難しい。
【0003】
そのような場合、運転手がトラックと積載物の全体の高さを推計するか、大まかに計測するのが一般的であるが、それでは不正確なだけでなく、場合によっては運転手やほかの道路使用者に極めて危険な状態を引き起こしかねない。例えば、トラックとその積載物の全体の高さが正確に測定されていないと、低い橋梁などのような障害物に積載物がぶつかってしまう危険性がある。
【0004】
そのような危険性は、トラックとその積載物の全体の高さをすばやく正確に測定できる測定器があれば簡単に回避することができる。積載物が不規則な形状の場合は特に有用である。
【0005】
本発明では、先行技術の問題を解決すること、または、少なくとも代替の測定器を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、回転可能な第1及び第2測定ユニットと、第1及び第2測定ユニットからのデータを処理し、2つのポイント間の距離を算出するプロセッサとを有し、第1及び第2測定ユニットが、測定器から第1及び第2のポイントまでの距離をそれぞれ測定するための距離計と、前記各ポイントまでの距離を測定するために距離計が回転する角度を測定するためのアングル測定器とを個別に備えている、2つのポイント間の距離や角度またはその両方を測定するための測定器、を提供する。
【0007】
アングル測定器による距離計の回転角度は、両ポイントに垂直をなす線に対して算出するのが望ましい。そのためには測定器を正しく設置する必要がある。例えば、計測する距離が高さである場合、測定器を三脚などに設置し、水準器を用いて水平をとるようにすればよい。
【0008】
または、測定器に両ポイントに垂直をなす線を検出する手段を設けてもよい。2つのポイント間の距離が垂直方向の高さである場合、人工水平器が両ポイントに対する垂直線を確定する手段として適当である。人工水平器は測定器に内蔵することもでき、水平線に対する測定器の姿勢に関する情報を提供する。プロセッサは、この情報を用いて水平線の上下に各距離計が傾斜しているアングルを算出する。
【0009】
距離計には光学距離計を用いるのが適当であるが、レーザ距離計でもよい。レーザ距離計の場合、赤外線レーザが適している。
【0010】
2つの回転可能な測定ユニットにはそれぞれにカメラを備えるとよい。カメラはそれぞれ対応する距離計と合わせて配置し、光学距離計の向けられたポイントの画像を記録させる。距離計が光学距離計の場合は、カメラの向きを距離計からのレーザに対して平行となるようにするか、距離計からのレーザに対して調整した距離とオフセットさせるとよい。
【0011】
第1および第2の回転可能な測定ユニットには、少なくともいずれか一方、望ましくは両方に端部検知手段を備えるとよい。端部検知手段を設ければ、測定器を用いて測定物の端部を検知できるようになる。例えば、測定器を用いて車両の高さを測定する際に車両の上端を検知することができる。
【0012】
また、測定器は少なくとも1つの表示画面を備える。表示画面は、使用時において、第1測定ユニット内に設置されたカメラが捉えた画像を表示する第1表示部と、第2測定ユニット内に設置されたカメラが捉えた画像を表示する第2表示部と、プロセッサからのデータを表示する第3表示部とからなるように構成する。
【0013】
プロセッサには、望ましくは、測定された2つのポイント間の距離とアングル、及び、測定結果が記録された日時を出力させる。プロセッサからの出力結果は、各カメラから提供される画像を含んでいる。測定器を印刷機器に接続して、この出力結果を印刷すれば、測定データを紙媒体で得ることができ、これを規制に従いトラックの運転室に貼り出すことができる。もしくは、測定器をトラックの運転室に設けたドックに連結して、表示画面に画像や数値またはその両方を表示させてもよい。
【0014】
プロセッサは、設定ポイントに対して複数の測定値を記録できるのが望ましい。また、測定器にはGPSユニットを備えてプロセッサに接続させるとよい。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、本発明は、第1距離計により第1のポイントまでの距離を測定し、対応するアングル測定器により、第1距離計を開始ポジションから第1のポイントまで移動させるのに必要な回転アングルを測定し、第1のポイントに関するデータを記録し、第2距離計により第2のポイントまでの距離を測定し、対応するアングル測定器により、第2距離計を開始ポジションから第2のポイントまで移動させるのに必要な回転アングルを測定し、第2のポイントに関するデータを記録し、かつ、第1および第2のポイントに関するデータをプロセッサに送信して、2つのポイント間の距離を算出する、2つのポイント間の距離や角度またはその両方を計測する方法、を提供する。
【0016】
好ましい構成では、第1の距離計と第1のアングル測定器からなる第1の回転可能な測定ユニットが第1のポイントについてのデータを測定し、第2の距離計と第2のアングル測定器からなる第2の回転可能な測定ユニットが第2のポイントについてのデータを測定する。また、前記第1および第2アングル測定器の回転のアングル、両ポイントに垂直をなす線に対して測定する。距離計には光学距離計が適しているが、レーザ距離計を用いることもできる。
【0017】
本発明をよりわかりやすくするため、下記の通り添付の図面を参照しながら、本発明の実施の形態を、例を挙げて説明する。
【0018】
図1は、各構成要素を図示した測定器の概略図である。図2は、測定器を用いてトラックとその積載物の全体の高さを算出している様子を側面図にしたものである。
【0019】
図1は各構成要素を図示した測定器2の概略図である。測定器2は第1の測定ユニット4と第2の測定ユニット6からなる。第1測定ユニット4と第2測定ユニット6は本体(図示せず)に回転可能に搭載する。本体には、プロセッサ8、及び、測定器を構成するその他の部品が含まれている。
【0020】
第1測定ユニット4と第2測定ユニット6はどちらもハウジング内(図示せず)に光学測定器を備えている。それぞれのハウジングはその中心軸を通る回転軸により本体に搭載し、自由に軸回転できるようにする。あるいは、回転軸をハウジングの中心からずらして設置し、ハウジングを回転軸中心に回転させると本体に収納されていた光学測定器が使用のため露出する場所まで移動するようにしてもよい。第1測定ユニット4と第2測定ユニット6はどちらもへこみ部にバネ式キャッチ(図示せず)を備えており、不使用時にはそれぞれの定位置に収納することができるようになっている。このキャッチは力を加えて回転させれば簡単に外すことができる。
【0021】
第1測定ユニット4と第2測定ユニット6は、本体の中心軸に対して対称になるよう配置する。第1(左側)の測定ユニット4は測定器2から第1のポイントまでの距離を測定する。この第1ポイントは、通常、測定物の下端か、トラックが停止している路面上にくる。第2(右側)の測定ユニット6は測定器2から第2ポイントまでの距離を測定する。この第2ポイントは、通常、測定物の上端か、トラック上に積載された貨物の最も高い箇所にくる。この2つのポイントは互いの縦位置がずれることもあるが、その場合は、第2ポイントから測定物の下端までの垂直距離を計算する。
【0022】
第1測定ユニット4と第2測定ユニット6はどちらも同じ構成のため、第1測定ユニット4を参照して説明する。第2測定ユニット6についても同じ説明が当てはまるだけでなく、2つのユニットは測定器2のどちら側に設置してもよい代替可能な部品である。第1測定ユニット4と第2測定ユニット6とで共通の部品には共通の参照番号を付すが、第1測定ユニット4の部品には(L)を、第2測定ユニット6には(R)を表示する。このように汎用性をもたせれば、1種類の測定ユニットを製造するだけでよいため、製造コストを抑えることができる。
【0023】
第1測定ユニット4は、レーザユニット12Lと平行に配置された光学的被写界深度距離計10Lを有している。別の実施例においては、レーザユニット12Lを光学的被写界深度距離計10Lに対して少しずらして配置し、この2つの向きが特定の距離において交差するようにしてもよい。レーザユニット12Lには赤外線を発する赤外線レーザを用いる。レーザユニット12の赤外線を第1ポイントに合わせ、光学的被写界深度距離計10Lを用いて測定器2から第1ポイントまでの距離を測定する。この光学的被写界深度距離計10の操作については、この分野について一般的知識を有する当業者であれば容易に理解可能であるので詳しい説明は省略する。光学的被写界深度距離計10とレーザユニット12はプロセッサ8に接続する。プロセッサ8は両測定ユニットから距離データを受信し、このデータを用いて2つのポイント間の距離を算出する。詳しくは後述する。
【0024】
また別の実施例では、光学的被写界深度距離計10L、10Rに代えてレーザ距離計を用いてもよい。
【0025】
測定ユニット4は、光学距離計10Lとレーザユニット12Lの他にもカメラ14Lとアングル測定器16Lを備えており、これらも同じくプロセッサ8に接続する。カメラ14Lは、距離データの取得時にレーザユニット12Lが向けられている設定ポイントの画像を記録するように設置する。カメラ14Lによる画像には、レーザスポットと測定ユニット4が向けられている測定物の一部分が表示される。この画像は、後述するように、プロセッサ8が算出する距離データの裏づけとして用いることができる。
【0026】
測定ユニット4を回転させることによりレーザユニット12Lの向きを目的のポイントに合わせるが、アングル測定器16Lは、この回転の角度を基準となる位置から測定する。測定器2で測定物の高さを測定する場合は、水平線を基準にして角度測定を行う。このとき、第1測定ユニット4はレーザユニット12Lが測定物の下端を指す場所まで水平線から下に向かって回転するが、この回転の角度をアングル測定器16Lによって測定する。第2測定ユニット6については、レーザユニット12Rが測定物の上端を指す場所まで水平面から上に向かって回転し、その回転の角度をアングル測定器16Rが測定する。
【0027】
測定器2には人工水平器18を備えて、正確な高さの測定ができるようにする。このような仕組みは飛行機で使用されるもので、ジャイロホライゾンとも呼ばれ、水平線に対する測定器2の姿勢を示す基準となるものである。この人工水平器18をプロセッサ8に接続すれば、プロセッサがアングル測定器16からのデータと照合して、第1測定ユニット4の水平線下の深さと、第2測定ユニット6の水平線上の高さとを計算できるようになる。人工水平器18を備えていれば、測定器2が水平に維持されていなくても正確な測定をすることができる。本発明の別の実施例において人工水平器18を備えていない場合は、三脚やスタンドを用いて測定器2の水平を保つようにすればよい。水準器のような簡単な装置を用いて距離データの測定を行う間、測定器2を水平に維持できるようにしてもよい。水準器は本体に内蔵することができる。
【0028】
本体には表示画面20を備え、プロセッサ8を介して両カメラ14に接続する。表示画面20は左側に第1表示部(図示しない)を有し、第1測定ユニット4内のカメラ14Lが捉えた画像を表示する。右側には第2表示部(図示しない)を有し、第2測定ユニット6内のカメラ14Rが捉えた画像を表示する。さらに第3表示部(図示しない)には、測定器が取得したデータや日時などのその他の情報を表示する。両カメラ14にはプレビュー機能のあるデジタルカメラを用い、記録した画像はメモリユニット22に保存する。メモリユニット22には取り外し可能な記憶媒体を用いるが、内蔵メモリユニットを測定器2内に設置することもでき、また、取り外し可能なメモリと内蔵メモリを併用することもできる。測定器には表示画面20のほかに一般的な光学式ファインダ(図示しない)も備え、測定物を見るのに表示画面20か光学ファインダのいずれかを選択できるようにする。このような特徴は既存のデジタルカメラにおいて一般的なものである。
【0029】
測定器2は充電バッテリーパックからなる内蔵電源24を備えているが、コンセントや通常の電池によって測定器2を作動させることもできる。測定器2の電源のオンオフにはスイッチ26を用いる。プロセッサ8に備えられたクロックには、バックアップ電源28から電力を供給し、測定器2の電源が長時間オフになっていても、正しい日時を表示できるようにする。また、表示画像の選択や、プロセッサ8へのマニュアルデータ入力が簡単に行えるよう、キーパッド30を備える。
【0030】
測定器2には、さらに、端部検知手段(図示しない)を備えることもできる。端部検知手段は回転可能な測定ユニット4、6の少なくともいずれか一方に備えるのが望ましい。端部検知手段は測定器2を貨物積載車の高さの測定に使用する場合に特に有用なものである。つまり、測定器を作動しデータを取得する前に、あらかじめ第1および第2測定ユニット4、6の両方をそれぞれ測定物の上端と下端の目標ポイントに合わせておく必要がなく、第1測定ユニット4だけを下端の目標ポイントに合わせておけばよい。そして、第2測定ユニット6を上端の目標ポイントよりもさらに上に向け、端部検知手段が上端を検知するまで下方に回転させればよい。上端が検知されるとデータ取得のプロセスが開始され、必要なデータを記録する。第2測定ユニット6は上端より上に向けられた際に無限遠の距離を記録することになるため、端部検知手段を容易に作動させることができる。ユニット6が上端を検知すると同時にデータ取得を開始するように装置2をプログラムすれば、別途、作動ボタンを設ける必要がない。
【0031】
また、本装置は内蔵GPSユニットとコンパス32も備えているが、この部品は省略可能であり、標準モデルの測定器2には搭載しない。標準モデルの測定器2は測定物の高さを測定するためのものであり、GPSユニット32から得られる位置データを必要としないためである。しかし、後述するように別用途でユニットを使用する場合においては、位置データを活用できるため、GPSユニット32をプロセッサ8に接続させている。
【0032】
また、さらなる改良としては、測定器にリモートコントロール装置を備えて、遠隔操作により測定器を作動させたり、測定結果の記録を行えるようにすることもできる。
【0033】
次に、測定器の使用方法について図2を参照しながら説明する。図2は、図1の測定器2を用いて、不規則な形状の貨物38を積載した平床トラック36の高さを計測している様子を側面図にしたものである。このようなトラック36と貨物38の全体の高さ(C)を測定するのは一般的に考えて難しい。
【0034】
まず、スイッチ26を押して測定器2の電源を入れ、測定物(この場合トラック36と貨物38)が表示画面20に映るように測定器2を保持する。人工水平器18が、水平線に対する測定器2の姿勢に関するデータをプロセッサ8に提供する。
【0035】
第1測定ユニット4を、レーザユニット12Lから照射されるレーザスポットが測定物下端の第1ポイントに位置するまで下方に向かって回転させる。レーザ照射位置の確認は、測定物との接近具合によって、視認するか、表示画面20の第1表示部または光学式ファインダを用いて行う。次に、第2測定ユニット6を、レーザユニット12Rから照射されるレーザスポットが測定物上端の第2ポイントに位置するまで上方に向かって回転させる。ここでもレーザ照射位置の確認は、視認するか、表示画面20の第2表示部または光学式ファインダを用いて行う。
【0036】
両レーザスポットを正確に位置設定したところで、シャッターボタン34を押して測定器を作動させる。これによりデータ取得プロセスが開始され、光学的被写界深度距離計10L、10Rが測定器2から各ポイントまでの距離(D1)および(D2)についてのデータをプロセッサに送信する。プロセッサ8は人工水平器18と各アングル測定器16L、16Rから読み取りを行い、第1測定ユニット4が水平線から下へ傾斜しているアングル(a)と、第2測定ユニット6が水平線から上へ傾斜しているアングル(b)を測定する。
【0037】
また、シャッターボタン34を起動させると、第1測定ユニット4、6内の各カメラ14L、14Rがレーザユニット12L、12Rから照射されるレーザスポットの位置を写した静止画像を記録する。GPSユニット32からのデータなど、プロセッサが要するその他のデータもここで合わせて取得される。
【0038】
端部検知手段を備える実施例においては、測定器2にシャッターボタン34を別に設ける必要はない。第2測定ユニット6が測定物の上端を認知すると同時にデータ取得を開始するように設定しておけばよい。
【0039】
そして、以下に図2を参照して説明するように、プロセッサ8が簡単な計算を行い、測定物の全体の高さ(C)を算出する。全体の高さ(C)は必ずしも2つのポイント間の距離ではなく、地面から第2ポイントまでの距離となることが多い。
【0040】
計算例
計算は2回に分けて行う。まず、測定器から第1ポイントまでの距離(D1)と、人工水平線から下のアングル(a)とを用いて、人工水平線から第1ポイントまでの深さ(A)を計算する。
次に、測定器と第2設定ポイントの距離(D2)と、人工水平線から上のアングルを用いて、人工水平線から第2設定ポイントまでの高さ(B)を計算する。
そして、2つの数値を合算して、全体の高さを求める。
【0041】
深さA =sin a×距離(D1)
=sin 42°×2320
=1552.312mm
高さB =sin b×距離(D2)
=sin 62°×3600
=3178.44mm
測定物の全体の高さ(C) =1552.312+3178.44
=4730.752mm
【0042】
上の例では簡単な三角法を用いて測定物の全体の高さ(C)を算出しているが、プロセッサ8は、光学的被写界深度距離計10L、10Rやアングル測定器16L、16Rからのデータ、さらに、必要に応じて人工水平器18やGPSユニット32からのデータを基にして他の計算法で計算を行うこともできる。
【0043】
上記のように、本測定器はトラックとその積載物の全体の高さを測定し、その記録を常時保存することができる。EC規制においてはトラックの運転室に全体の高さを表示する必要があるため、本測定器は特に有用である。プロセッサ8は、カメラ14による複数の画像と、取得したデータを基に行った計算とを合成し、その結果と記録時間を画面に出力する。プロセッサ8からの出力結果は紙に印刷してトラック運転室に貼り出すことができる。その画像には測定物の上端と下端に合わせたレーザスポットが写し出されているため、測定結果が特定の積載物に関するものであることの証拠として利用することができる。また、プロセッサ8の内部クロックが提供する日付と時間を一緒に印刷することもできるため、計測値が最近のものであるという証明としても使える。
【0044】
また、トラックの運転室内など適当な場所に測定作業を終えた測定器2を連結することのできるドックを設けてもよい。ドックには、画像データや数値データ、またはその両方を表示することのできる表示画面を備えるのが望ましい。測定器2を用いて車両と積載物の全体の高さを測定した後に測定器2をドックに連結すれば、ドックを不使用時の測定器の収納場所とすることもでき、また、プロセッサ8からのデータ出力を表示させることもできる。
【0045】
上記の例では、測定器を用いてトラックとその積載物などの測定物の高さを計測する方法を示したが、測定器2は、その他各種の測定に用いることもできる。
【0046】
測定器は、垂直距離だけでなく、水平距離や角度を測定することもできる。また、洞窟やカテドラルなどのような内部空間の容積を計算する場合などのように、2つ以上の測定値を得るのに使用することもできる。
【0047】
本測定器は、交通事故現場のように、安全な場所からさまざまな角度を測定する必要がある場合に活用することもできる。その場合、測定器は、現場がよく見える場所に三脚を用いて水平になるよう固定する。測定器を事故現場の中心点の延長線上に設置し、そこから広がっている突出部分を撮影する。この測定方法により事故現場をより完全に観察することができ、事故の綿密な状況を把握することができる。また、GPSユニット3を用いて情報を追加してもよい。測定器2を用いて取得したデータはAutoCADなどのCADソフトと互換性があり、測定値による3Dマッピングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】各構成要素を図示した測定器の概略図である。
【図2】測定器を用いてトラックとその積載物の全体の高さを算出している様子を示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な第1及び第2測定ユニットと、第1及び第2測定ユニットからのデータを処理し、2つのポイント間の距離を算出するプロセッサとを有し、
第1及び第2測定ユニットがそれぞれ、測定器から第1及び第2のポイントまでの距離をそれぞれ測定するための距離計と、前記各ポイントまでの距離を測定するために距離計が回転する角度を測定するためのアングル測定器とを備えている、2つのポイント間の距離や角度またはその両方を測定するための測定器。
【請求項2】
前記アングル測定器は、前記距離計の回転する角度を両ポイントに垂直をなす線に対して計算する、請求項1に記載の測定器。
【請求項3】
両ポイントに垂直をなす線を確定する手段を備えている、請求項2に記載の測定器。
【請求項4】
両ポイント間の距離とは垂直方向の高さであり、基準の位置を確定する手段として人工水平器を備えている、請求項3に記載の測定器。
【請求項5】
前記距離計が光学距離計である、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項6】
前記距離計がレーザ距離計である、請求項1乃至4に記載の測定器。
【請求項7】
レーザに赤外線レーザを用いた、請求項9に記載の測定器。
【請求項8】
各測定ユニットがカメラを備えている、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項9】
各カメラは、それぞれ対応する距離計に合う向きに配置し、前記光学距離計の向けられたポイントの画像を記録するようにした、請求項8に記載の測定器。
【請求項10】
各カメラの向きを、それぞれ対応する距離計からのレーザと平行にさせた、請求項5に従属する請求項9に記載の測定器。
【請求項11】
各カメラの向きを、それぞれ対応する距離計からのレーザと、ある調整距離でオフセットさせた、請求項5に従属する請求項9に記載の測定器。
【請求項12】
前記の回転可能な測定ユニットのうち少なくとも1つに端部検知手段を備えている、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項13】
前記の第1の回転可能な測定ユニットと第2の回転可能な測定ユニットの両方に端部検知手段を備えている、請求項12に記載の測定器。
【請求項14】
少なくとも1つの表示画面を備えている、請求項8〜13のいずれにも記載の測定器。
【請求項15】
前記表示画面は、使用時において、前記第1測定ユニット内に設置された前記カメラが捉えた画像を表示する第1表示部と、前記第2測定ユニット内に設置された前記カメラが捉えた画像を表示する第2表示部と、前記プロセッサからのデータを表示する第3表示部とからなる、請求項14に記載の測定器。
【請求項16】
前記プロセッサは、測定された2つのポイント間の距離とアングル、及び、測定結果が記録された日時を出力するようにした、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項17】
前記出力には、各カメラから提供される画像を含む、請求項8〜11のいずれにも従属する、請求項16に記載の測定器。
【請求項18】
前記プロセッサが、設定参照ポイントに対して複数の測定値を得ることのできる、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項19】
GPSユニットをさらに備える、先行のいずれの請求項にも記載の測定器。
【請求項20】
第1距離計により第1のポイントまでの距離を測定し、
対応するアングル測定器により、第1距離計を開始ポジションから第1の設定ポイントまで移動させるのに必要な回転アングルを測定し、
第1の設定ポイントに関するデータを記録し、
第2距離計により第2の設定ポイントまでの距離を測定し、
対応するアングル測定器により、第2距離計を開始ポジションから第2の設定ポイントまで移動させるのに必要な回転アングルを測定し、
第2の設定ポイントに関するデータを記録し、かつ、第1および第2の設定ポイントに関するデータをプロセッサに送信して、2つの設定ポイント間の距離を算出する、2つのポイント間の距離や角度またはその両方を計測する方法。
【請求項21】
第1の距離計と第1のアングル測定器からなる第1の回転可能な測定ユニットが、第1のポイントについてのデータを測定し、第2の距離計と第2のアングル測定器からなる第2の回転可能な測定ユニットが、第2のポイントについてのデータを測定する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2アングル測定器の回転のアングルを、両ポイントに垂直をなす線を基準に測定する、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記距離計が光学距離計である、請求項20〜22のいずれにも記載の方法。
【請求項24】
前記距離計がレーザ距離計である、請求項20〜22のいずれにも記載の方法。
【請求項25】
本明細書において添付の図面を参照して十分に解説した測定器。
【請求項26】
本明細書において添付の図面を参照して十分に解説した方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519915(P2007−519915A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550276(P2006−550276)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000199
【国際公開番号】WO2005/071358
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506258095)