説明

測定帯域幅を設定する方法

セルラ無線システムにおいて、セルラ無線システムに接続されたユーザ端末に測定帯域幅をシグナリングするよう基地局を構成することにより、セルラ無線システムに属する複数の基地局に対する帯域幅測定が実行される。ユーザ端末は、最初に1組の情報を受信することにより、このシグナリングされた測定帯域幅にわたってユーザ端末においてダウンリンクの近隣セル測定を実行する。受信したこの1組の情報を使用して測定帯域幅が設定され、設定された測定帯域幅は基地局にシグナリングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラ無線システムにおいて測定帯域幅を設定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発展版UMTS地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)システムにおいては、いくつかのセル伝送帯域幅が可能である。これらは例えば、1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、20MHz等である(3GPPTS36.104、「Evolved Universal Trrestrial Radio Access(E−UTRA);Base Station(BS) radio transmission and reception」(非特許文献1)を参照されたい)。また、近隣セルにおいては、同じ搬送波周波数の上で異なる伝送帯域幅を使用することができる。結果として、同じ中心周波数を持つセル(時には周波数内セル(intra−frequency cell)と呼ばれる)が異なる伝送帯域幅を有することができる。セル伝送帯域幅には関わりなく、ユーザ端末(UE)は、通常、近隣セルに関する測定を行うことが要求される。様々なセルからの測定報告が一貫していて、ネットワークがそれを使用して信頼できるハンドオーバ、すなわち正しいハンドオーバの決定を行うことができることが大切である。
【0003】
さらに、移動性のサポートは、いずれのセルラシステムにおいても基本的な特徴である。E−UTRANにおいては、アイドルモードと接続モードとの双方において移動性はサポートされるべきである。アイドルモードにおいては、E−UTRANの中のUEは、ネットワークによってシグナリングされたいずれかのパラメータに基づいて、自律セル再選定(autonomous cell reselection)を実行することを要求される。これにより、ネットワークは、サービスエリアの中でUEの移動行動をある程度制御することができる。また、UEは、同一の周波数層の中でのセル再選定(周波数内セル再選定)と、異なる周波数層の中でのセル再選定(周波数間セル再選定)と、E−UTRANとUTRAN等の他のシステムとの間のセル再選定(RAT間セル再選定)とを実行することができなければならない。
【0004】
接続モードにおいては、ネットワークはUEにある特定のセルへのハンドオーバを実行するよう命令をしなければならない。このセルは、同じサービス周波数(serving frequency)に属する(周波数内ハンドオーバ)かまたは別の周波数に属する(周波数間ハンドオーバ)ことができる。この決定はネットワークによって行われるが、それは主としてUEの測定報告に基づいている。セル再選定の場合と同様に、接続モードにあるUEはまた、同じ周波数層の中での移動性(すなわちハンドオーバ)、また周波数間ハンドオーバ、およびRAT間ハンドオーバをサポートしなければならない。
【0005】
セル再選定とハンドオーバとは、一般に、1つ以上のダウンリンク測定に基づいている。これらの測定は、いくつかの既知の参照シンボルかまたはパイロット系列の上で行われる。
【0006】
移動性について他の重要な視点は、ユーザの位置または地理上の場所を識別することである。これによって、UEは、例えば地図の読み取り等の、場所に基づいたサービスに対してアクセスすることができる。いくつかの異なるタイプの測位の方法が存在する。その内のいくつかの方法では、UEは自分の場所を、1つ以上の近隣セル測定に基づいて識別する。これはやはりいくつかの既知の参照シンボルまたはパイロット系列の上で行う、
近隣セル測定は、UEによって、例えば参照シンボルまたはパイロット系列の上で、サービングセルおよび近隣セルの中のダウンリンクチャネルの上で実行される。チャネル品質指標(CQI)等の他の測定と異なり、近隣セル測定は、より長い継続時間にわたって実行される。これは、典型的には200msないし300msの程度の長さである。CQI測定は、送信時間間隔(TTI)レベル(例えば、1ms)で行われる。近隣セル測定は、広い意味で、2つの主要なカテゴリーに分類することができる。これらは、
−無線に関連する測定
−タイミングに関連する測定
である。
【0007】
無線に関連する測定は、これを使用してハンドオーバの決定を行い、これにより、UEはアイドルモードにおいてセル再選定を行うことができる。特定の移動のシナリオによっては、堅牢な(robust)移動の決定を保証するために、2つ以上のダウンリンク測定が必要である場合がある。例えば、セルの中でのカバレッジ、干渉、および負荷は、セルの変更/ハンドオーバの決定に影響を与えるであろう。
【0008】
E−UTRANにおいては、主要な移動性の測定は参照シンボルの上で行われる。参照シンボルは、時間と周波数で定義された特定なパターンとして送信されるものである。さらに、パターンはスロット毎に(すなわち0.5ms)で繰り返される。合意されているダウンリンクチャネル測定は、3GPPTS36.214、「Evolved Universal Trrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical layer;Measurements」(非特許文献2)で以下のように記述されている。
−参照シンボル受信電力(RSRP:Reference symbol received power)
−E−UTRA搬送波受信シグナル強度指標(E−UTRA Carrier RSSI:E−UTRA Carrier received signal strength indicator)
−参照シンボル受信品質(RSRQ:Reference symbol received quality)、RSRQ=RSRP/RSSI。
【0009】
RSRPはダウンリンク参照シンボルにわたって測定されるが、搬送波RSSIは全ての副搬送波(すなわち、参照シンボルとデータとを含む副搬送波)にわたって測定される。
【0010】
E−UTRAにおいては、上記で述べたように、近隣セルは、同一の搬送波周波数の上で動作している(すなわち、周波数内セル)としても、異なる伝送帯域幅を使用することができる。それでもなお、少なくともサービスエリアの一部分においては、同一の搬送波周波数で動作している全てのセルから得られるダウンリンク測定は、同じ測定帯域幅でにわって実行し、一貫した測定報告が得られることを保証しなければならない。測定帯域幅はサービングセルがUEにシグナリングすることができるということは知られている。
【0011】
セルを変更している間のピンポンを回避するために、近隣セル測定の1つの重要な特性は、フェーディングの影響をフィルタで適切に取り除くことである。時間領域における平均化と周波数領域における平均化とのトレードオフが図られる。しかしながら、時間領域における長時間のフィルタリングは、測定報告を取得するのに不必要な遅延を引き起こし、移動の動作性能に対して不利な影響を与える可能性があり得る。
【0012】
接続モードまたは活性モードでは、周波数間のRSRP、RSRQ,およびRSSIはUEによってアイドルギャップの間に実行され、これは周期的に繰り返される。同様に、E−UTRA測定(例えば、E−UTRAFDD測定)は、マルチモード端末が別の技術(例えば、WCDMA、E−UTRATDD等)で動作しているときに、マルチモード端末によってギャップの間に実行される。WCDMAのUEはE−UTRA測定を圧縮されたモードギャップの間に実行するであろう。
【0013】
UEは、比較的短時間でIF測定とIRAT測定とを実行する。実際の時間は設定されたギャップに依存する。例えば、高密度のギャップ(すなわち、頻度の高いギャップ)は、UEは比較的短い時間の間に十分なサンプルを得ることができるので、総合的な測定周期はより短くなるであろう。従って、より狭い測定帯域幅にわたる測定で十分である可能性がある。これは、例えば、10MHz帯域幅でなくて5MHz帯域幅でよいということである。しかし、密度の高いパターンは、ユーザスループットに対して悪い影響を与えるので、常には使用されなくてもよい。
【0014】
従って、頻度が高くないギャップを使用する時には、測定帯域幅は調整される必要がある。すなわち、より広い測定帯域幅が望ましいであろう。測定帯域幅を増加させることにより、測定周期を低減することができ、それによりよい移動の動作性能を維持することができる。
【0015】
3つの主要な展開シナリオがある。
−均等帯域幅展開:全てのセルは同じ帯域幅を有する
−不均等帯域幅展開:セルは異なる帯域幅を有する
−均等帯域幅セルと不均等帯域幅セルの境界上にあるセル。
【0016】
上記で挙げた展開シナリオは非常にしばしば変更することは予定されていない。しかしながら、測定帯域幅をより高い頻度で変更する必要がある場合があり、それは以下のような場合である。
−測定ギャップパターンを変更(例えば、20msから140msへの周期の変更、またはその逆)する場合
−新しい基地局を追加する場合、または基地局を削除する場合
−セル計画を変更する場合:1つ以上のセルの伝送帯域幅を向上または低下させる場合
である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】3GPPTS36.104、「Evolved Universal Trrestrial Radio Access(E−UTRA);Base Station(BS) radio transmission and reception」
【非特許文献2】3GPPTS36.214、「Evolved Universal Trrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical layer;Measurements」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ネットワークは、ネットワーク構成の変更または変化、無線リソース管理ストラテジーの変化等の変化が生じた場合にも、測定帯域幅の一貫した、かつ最適な値を使用することのできることが重要である。
【0019】
従って、測定帯域幅をより高い頻度で変更することのできるセルラ無線システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の1つの目的は、改善されたセルラ無線システムを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、全てのセルの中で一貫した測定帯域幅を保証することができる方法とシステムとデバイスとを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、測定帯域幅をより高い頻度で変更することができるセルラ無線システムを提供することである。
【0023】
これらの目的および他の目的は、添付した特許請求の範囲の中に記載した方法と無線システムノードと無線システムによって得ることができる。従って、セルラ無線システムにおいて、セルラ無線システムに属する複数の基地局に対する測定帯域幅は、以下のように実行される。すなわち、セルラ無線システムに接続されたユーザ端末に測定帯域幅をシグナリングするよう基地局を構成し、ユーザ端末においては、最初に1組の情報を受信することにより、このシグナリングされた測定帯域幅にわたってダウンリンク近隣セル測定を実行する。そして、この受信した1組の情報を使用して測定帯域幅を設定し、設定した測定帯域幅は基地局にシグナリングされる。
【0024】
本発明はセルラ無線システムの中のノードに拡張され、セルラ無線システムは本方法を実行するよう構成される。
【0025】
本発明に従ったシステム、ノード、および方法を使用することにより、例えば、不均等なセル伝送帯域幅の展開シナリオ等の、周囲環境およびシナリオの種々の組み合わせにおける測定帯域幅の設定が可能になるであろう。また、測定帯域幅は、セル計画に変化が生じた場合、ネットワークの性能向上等があった場合にはいつでも、都合のよいように変更することができる。さらに、所与のカバーエリアの中にある全てのセルの中では一貫した測定帯域幅パラメータが使用されることが保証される。これは一貫した測定動作性能が得られることにつながり、これにより堅牢な移動動作性能が保証される。
【0026】
限定的でない例を使用し、また添付の図面を参照して、本発明は以下でより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】セルラ無線システムの外観図である。
【図2】第1の典型的な実施形態に従った無線システムを示す図である。
【図3】第2の典型的な実施形態に従った無線システムを示す図である。
【図4】本発明に従った集中化したノード(集中ノード)を示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に従ったシステム構成を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に従ったシステム構成を示す図である。
【図7】複数の基地局に対する測定帯域幅を設定するときに実行する手順ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1にセルラ無線システム100の外観図を示す。システム100は基地局(ノードB)101を備える。基地局101は、基地局101がカバーするエリアの中に位置する複数の移動端末(通常、ユーザ端末(UE)と名付けられる)103にサービスを提供する。基地局101と複数の隣接基地局(図示せず)は、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノード105にさらに接続される。
【0029】
UEが、同一の搬送波周波数で動作している異なったセルから一貫した測定結果を得て、UEがそれを報告することができるように、UEは、サービスエリアの中の少なくとも所与の部分における全てのセルの中で同じ測定帯域幅にわたって測定を実行するよう構成することができる。
【0030】
1つの実施形態に従えば、測定帯域幅は、サービスエリアの中の、または特定の搬送波周波数の上の、全てのセルにおいて使用される、最も狭い帯域幅に対応するように設定される。この最も狭いセル帯域幅は測定帯域幅の上限を与える。しかしながら、測定帯域幅を設定するときには、いくつかの追加的な要因もまた考慮に入れることができる。この追加的な要因は、以下に示す要因の内の少なくとも1つを備える。これらの要因は、伝搬環境、セル計画、現行の帯域幅と異なる帯域幅を持つ基地局の追加/削除、無線リソース管理(RRM)操作における変更等である。この件に関しては以下で詳しく述べる。
【0031】
さらに、等しくないセル帯域幅を持つセルを備える、2つのサービスエリアの境界領域では、測定帯域幅におけるさらなる変更が必要である可能性がある。この変更は最終的にはそのエリアに位置する基地局によって設定することができる。
【0032】
さらに、全てのセルは、同じで、かつより広い帯域幅にわたって動作することができる。例えば、全てのセルの帯域幅は20MHzの広さである。全帯域またはより広い帯域にわたる測定は、測定誤差を低減させるが、一方でUEにおける複雑さを増加させる。従って、全帯域またはより広い帯域にわたる測定を実行する必要がない場合もある。
【0033】
また、測定帯域幅と測定周期(すなわち、時間領域のフィルタリング)との間のトレードオフがある。従って、測定帯域幅は、所与の環境において許容可能なまたは処理可能な測定報告の遅延に従って調整することができる。
【0034】
表1は、測定帯域幅を設定する基地局によって考慮することができる、いくつかの主要な要因のリストを示す。
【0035】
【表1】

【0036】
測定帯域幅をどのように推定することができるかを示すいくつかの例を以下に挙げる。この例はまた、測定帯域幅の設定は、常には直接的ではないという事実を示している。
【0037】
図2には、同一の搬送波周波数の上で2つの異なるセル伝送帯域幅(5MHzと10MHz)が使用されている例を示す。図2の例においては、周波数内のセルの帯域幅は、5MHzまたは10MHzのいずれかである。さらに、図2に示すように5MHzセルと10MHzセルとは隣接していることを考慮する。この例では、測定帯域幅は5MHzでありこれは、全サービスエリアの中の全てのセルが使用する帯域幅の内で最小の帯域幅である。しかしながら、この例ではいくつかの隣接するセルは10MHzで動作しているので、いくつかのシナリオでは、サービスエリアの中の全てのセルに対して5MHzの測定帯域幅を設定することは最適ではない可能性がある。
【0038】
図3は、測定帯域幅を設定する別のストラテジーを示す別の典型的な実施形態を示す。図3は、サービスエリアの中の広い部分で5MHzの測定帯域幅が使用されていることを示している。このサービスエリアは、全ての5MHzセルといくつかの10MHzセル(5MHzで動作するセルにより近い側)を含んでいる。このことは、点線の左側に位置するセルにおいては、5MHzの測定帯域幅が全てのUEにシグナリングされ、UEはこのシグナリングされた帯域幅を使用して、N個の最良の近傍セルにわたって測定を実行するであろうということを意味する。しかしながら、点線の右側に位置する全ての10MHzセルは、実際に5MHzセルからずっと離れていて、これらの10MHzセルの中では測定帯域幅は10MHzである。測定と移動動作性能との観点からすると、このことは、少なくともいくつかの10MHzセルは、5MHzセルに接する端部エリアを有するであろうということを意味する。以下に記述するように、測定帯域幅の設定には、さらに追加的なシステムパラメータおよび要因が重要な役割を果たすことができる。
【0039】
さらに、図3で示されている構成では、UEは最も近い近傍セル(典型的には5つ〜6つのセル)の中で同じ10MHzにわたって測定を行うであろうから、いずれの測定の不一致も引き起こされることはないであろう。
【0040】
別の典型的な実施形態に従えば、追加的なシステムパラメータもまた考慮される。これは下記の表2に示されている。ある特定な搬送波周波数の上で推定または設定された測定帯域幅は、表の最後に挙げてあるように10MHzである。これは、遅いドップラ速度ではより広い測定帯域幅が有効であり得るからである。同様に、長いギャップ周期(すなわち、ダウンリンクの周波数間測定を実行するためのギャップが生ずる周期)によって、測定周期を低減できるので、極力広い帯域幅にわたって測定を行うことが有利である。サービスエリアの中で最も狭いセル帯域幅は、測定帯域幅の上限を設定するであろう。従ってこの例においては10MHzの測定帯域幅が選定されている。
【0041】
【表2】

【0042】
表3に示す別の典型的な実施形態に従えば、5MHzの測定帯域幅を有することで十分である場合もあることが示される。1つの理由は、この例では、測定ギャップはより頻度が高く(すなわち、40msごと)、これにより、以前の例(すなわち、例2)と比較して、比較的短い時間間隔の中で時間領域のフィルタリングを実行できる可能性が与えられることである。第2の理由は、速いドップラ速度によって特徴づけられる環境では、非常に広い測定帯域幅(例えば10MHz)は、何ら意味のある動作性能の改善には至らない可能性があることである。これらの理由によって、以前の例と比較して、比較的狭い測定帯域幅が使用される。
【0043】
全体としてみると、これらの例から、測定帯域幅はパラメータの視点とネットワーク構成の視点との広い組み合わせに影響されるという点が理解される。
【0044】
【表3】

【0045】
例として、以下の方法を測定帯域幅の設定のために使用することができる。
−集中化したノード(集中ノード)を介して集中化した方法
−ノードB間通信を介して分散化した方法。
【0046】
集中化した方法:
1つの実施形態に従えば、集中ノードまたは共通ノードが使用される。集中ノードは、サービスエリアの中のセルの全てに対して1つ以上の測定帯域幅パラメータを設定する。集中ノードは、基地局の内の1つ、または指定基地局101、または無線ネットワーク制御装置(RNC)105等の別々の専用ノードのいずれであってもよい。または、既存の操作および保守(O&M:operational and maintenance)によって行われてもよい。操作サブシステム(OSS:operational sub−system)という用語はO&Mと互換して使用することができる。そして、それらは、同様の機能と意義(connotation)を有する。1つの実施形態に従えば、現行のO&Mノードをこの目的のために使用することができる。これはO&Mが他の種々の設定操作を実行するからである。
【0047】
図4には集中ノード400を示す。典型的な集中ノード400は、ダウンリンク測定量の内の測定帯域幅を適切に設定することに関する必要な全ての情報を受信するための受信ユニット401を備える。ノード400は、計算モジュール403をさらに備える。計算モジュール403は、受信ユニット401に接続され、受信した情報に応答して測定帯域幅を生成する。ノード400はまた、シグナリングデバイス405を備える。シグナリングデバイス405は、計算モジュール403に接続され、所与のサービスエリアの中でまたは所与の搬送波周波数で動作している全ての基地局101に対して測定帯域幅パラメータをシグナリングする。
【0048】
測定帯域幅を設定することができるように、集中ノードは、例えば、セル伝送帯域幅や、ギャップパターン、搬送波周波数の数等の、自分の管轄下にある様々なセルの中で使用される、種々のタイプの入力を受信するよう構成される。受信する入力の一部は、セル帯域等の静的なまたは半静的な性質を持つものであってよい。
【0049】
しかしながら、新しい基地局または搬送波の追加、削除、性能低下、性能向上等の、セルラ無線システムの再構成を行うときには、対応する情報(例えばセル帯域幅等)は集中ノードに直ちに提供されるべきことが望ましい。システムの新しい構成に関する情報を提供することにより、ネットワークにおける関連したいずれの変化にも応じた測定帯域幅の再設定が可能になり、結果として、ダウンリンク測定が適切な帯域幅にわたって実行されることを保証することができる。また、ギャップパターン等の無線リソース管理に関連する他の情報は、半動的または動的なパラメータとして考慮することができる。
【0050】
サービスエリアの伝搬条件等の情報は、相当に静的であり、恐らくは集中ノードにおいて既に利用可能であろう。しかしながら、ある環境下では無線環境さえも変化し得る。これは、例えば、以前は専ら戸外の基地局でサービスが提供されていた屋内環境において、新しい基地局(正規の基地局またはホーム基地局)が配備される場合である。
【0051】
要求される情報は、現行のインタフェースを介して集中ノードに提供することができる。すなわちこの場合は、設定を実行するためにどの型の集中ノードを使用するかに依存して、O&MとeノードB(または基地局)との間のインタフェースを介して、または、X2インタフェース(eノードB同士のインタフェース)を介して行うことができる。別の可能性は、いずれかの妥当なインタフェースまたは接続を介して手動で情報の一部を提供することである。
【0052】
いずれの場合にも、集中ノードは、受信した情報に基づいて測定帯域幅パラメータを生成するであろう。測定帯域幅は、異なる搬送波周波数に対しては異なっていてよい。同様に、ネットワークは異なる搬送波の上では、同じ無線リソース管理(RRM:Radio Resource Managemwent)ストラテジーを使用しなくてもよい。さらに、ネットワークは、同じ搬送波周波数の上でも、異なるタイプの測定量に対しては異なる測定帯域幅を使用するよう決定することができる。結果として、集中ノードは、2つ以上の測定帯域幅パラメータを生成することができる。そして、集中ノードは、サービスエリアの中のそれぞれの基地局に対してその測定帯域幅パラメータを設定、またはシグナリングするであろう。好適なる実施形態においては、シグナリングされる測定帯域幅パラメータは、対応する搬送波周波数、または、必要に応じて、対応する測定量、またはその両方に関連している。
【0053】
図5は、独立した専用集中ノード400を示す。集中ノード400は、eノードB等の基地局全てから情報を受信するよう構成され、また、設定した測定帯域幅を全ての基地局に提供するよう構成される。
【0054】
図6は、集中ノードが測定帯域幅の設定のために使用される場合のシステム構成を示す。図6に示すシステム構成においては、既存の無線基地局の内の1つ(ここでは101aで示される)が集中ノード400として動作するよう構成される。
【0055】
本発明の別の実施形態に従えば、それぞれの基地局は、測定帯域幅の設定に要求される必要な情報を受信する。情報の内容は、例えば、上記で記述した内容と同じでよい。それぞれの基地局は、ある特定のサービスエリアの中の全ての基地局、またはそれらの基地局のサブセットから情報を受信するよう構成することができる。さらに、測定帯域幅を設定するための方法は、それぞれの基地局で事前に設定しておくこともできる。
【0056】
1つの実施形態に従えば、測定帯域幅は、所与のサービスエリアの中では、全ての基地局が所与の搬送波周波数に対しては同一の測定帯域幅を使用することを保証するよう設定される。測定帯域幅に影響する可能性があるいずれかの入力が変化した場合には、対応する基地局はその新しい測定帯域幅パラメータを再評価するよう構成することができる。従って、同様の再評価が他の基地局においても行われる可能性が高い。
【0057】
再評価の後には、1つの可能性は、それぞれの基地局はその新しい測定帯域幅パラメータを、他の基地局に通知することなしに使用し始めるということである。このシナリオのもとになる仮定は、全ての基地局が同様のパラメータ値を再評価するであろうということである。別の実施形態に従えば、測定帯域幅が再設定された基地局は、この再設定を、サービスエリアの中の全ての基地局または基地局のサブセットに知らせる。この場合は、基地局は、一貫した測定帯域幅が他の全ての基地局において使用されているという確認を受信した後に、初めてこのあたらしい測定帯域幅の使用を開始するよう構成することができる。
【0058】
集中化した方法と比較して、分散化した方法では、eノードB間のシグナリングの交換がより多くなるという結果になる可能性がある。しかしながら、1つの利点は、測定帯域幅の設定のために、独立したまたは専用のノードを必要としないという点である。
【0059】
図7は上記で記述した帯域幅の設定手順に従って実行されるステップのフローチャートを示す。最初に、ステップ701において、帯域幅測定に関する1組の情報を受信する。次に、ステップ703において、測定帯域幅が計算され、基地局に対して設定される。その後にステップ705において、ステップ703において計算されて設定された帯域幅は基地局にシグナリングされる。
【0060】
本発明に従ったノードと方法とを使用することにより、環境およびシナリオ(例えば、不均等なセル伝送帯域幅を展開するシナリオ)の種々の組み合わせにおける測定帯域幅の設定が可能になるであろう。また、セル計画の変更やネットワーク性能向上等があった場合にはいつでも、測定帯域幅を都合よく変更することができる。さらに、所与のサービスエリアの中の全てのセルにおいて一貫した測定帯域幅パラメータが使用されることが保証される。これは一貫した測定動作性が得られることにつながり、これにより、堅牢な移動動作性能が保証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ無線システム(100)に属する複数の基地局(101)に対して測定帯域幅を設定する方法であって、前記基地局は、ユーザ端末(103)においてシグナリングされた測定帯域幅にわたってダウンリンク近隣セル測定を実行するために、前記セルラ無線システムに接続された前記ユーザ端末に前記測定帯域幅をシグナリングするよう構成され、
1組の情報を受信するステップ(701)と、
受信した前記1組の情報を使用して前記測定帯域幅を設定するステップ(703)と、
設定した前記測定帯域幅を前記基地局に対してシグナリングするステップ(705)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記1組の情報は、それぞれの搬送波に対して搬送波の上にある全てのセルのセル帯域幅の最小値と、それぞれの搬送波に対して搬送波の上にある全てのセルのセル帯域幅の最大値と、無線環境と、測定ギャップパターンと、展開シナリオと、セル計画における変更に関わる情報と、測定または移動に特化した無線リソース管理情報との内の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれの搬送波周波数に対して少なくとも1つの測定帯域幅が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記設定された測定帯域幅は、全ての基地局に接続された専用ノードから前記基地局にシグナリングされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記専用ノードは、全ての基地局に接続された操作および保守ノードであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
受信した前記1組の情報またはその一部分は、前記専用ノードと前記基地局との間のインタフェースを介して前記専用ノードと通信されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記専用ノードは、1つ以上の測定帯域幅を、前記専用ノードと前記基地局との間のインタフェースを介して前記基地局にシグナリングすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記専用ノードは、マスタ基地局として動作する前記基地局の内の1つであることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記専用ノードは、E−UTRANシステムにおけるX2インタフェースを介して他の全ての基地局に接続され、X2インタフェースを介して、要求される1組の情報を受信することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記専用ノードは、1つ以上の測定帯域幅を、E−UTRANシステムにおけるX2インタフェースを介して前記基地局にシグナリングすることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
全ての基地局は専用ノードであることを特徴とする請求項4乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
全ての基地局は、ダウンリンク測定を実行するために、設定した1つ以上の測定帯域幅を、基地局に接続されたユーザ端末にシグナリングすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
セルラ無線システム(100)に属する複数の基地局(101)に対して測定帯域幅を設定するためのノード(400)であって、前記基地局は、ユーザ端末において(103)においてシグナリングされた測定帯域幅にわたってダウンリンク近隣セル測定をするために、前記セルラ無線システムに接続された前記ユーザ端末に前記測定帯域幅をシグナリングするよう構成され、
1組の情報を受信するための手段(401)と、
前記受信した1組の情報を使用して前記測定帯域幅を設定するための手段(403)と、
−前記設定した測定帯域幅を前記基地局にシグナリングする手段(405)と
を備えることを特徴とするノード。
【請求項14】
前記ノードは、それぞれの搬送波に対して搬送波の上にある全てのセルのセル帯域幅の最小値と、それぞれの搬送波に対して搬送波の上にある全てのセルのセル帯域幅の最大値と、無線環境と、測定ギャップパターンと、展開シナリオと、セル計画における変更に関わる情報と、測定または移動に特化した無線リソース管理情報との内の1つ以上の情報を受信することを特徴とする請求項13に記載のノード。
【請求項15】
前記ノードは、それぞれの搬送波周波数に対して、少なくとも1つの測定帯域幅を設定することを特徴とする請求項13または14に記載のノード。
【請求項16】
前記ノードは全ての基地局に接続された専用ノードであることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載のノード。
【請求項17】
前記専用ノードは全ての基地局に接続された操作および保守ノードであることを特徴とする請求項16に記載のノード。
【請求項18】
前記1組の情報またはその一部分を、前記専用ノードと前記基地局との間のインタフェースを介して受信するための手段を備えることを特徴とする請求項16または17に記載のノード。
【請求項19】
前記専用ノードは、1つ以上の測定帯域幅を、前記専用ノードと前記基地局との間のインタフェースを介して前記基地局にシグナリングすることを特徴とする請求項18に記載のノード。
【請求項20】
前記専用ノードは、マスタ基地局として動作する前記基地局の内の1つであることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載のノード。
【請求項21】
前記専用ノードは、E−UTRANシステムにおけるX2インタフェースを介して他の全ての基地局に接続され、前記X2インタフェースを介して、要求される1組の情報を受信することを特徴とする請求項20に記載のノード。
【請求項22】
前記専用ノードは、1つ以上の測定帯域幅を、前記E−UTRANシステムにおける前記X2インタフェースを介して前記基地局にシグナリングすることを特徴とする請求項21に記載のノード。
【請求項23】
請求項13乃至22のいずれか一項に記載したノード(400)を備えることを特徴とするセルラ無線システム(100)。
【請求項24】
前記セルラ無線システムの全ての基地局(101)は専用ノードであることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
全ての基地局は、ダウンリンク測定を実行するために、1つ以上の測定帯域幅を、基地局に接続されたユーザ端末にシグナリングすることを特徴とする請求項23または24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−511550(P2011−511550A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544909(P2010−544909)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050510
【国際公開番号】WO2009/096837
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】