説明

測定方法及び測定装置

【課題】複数の測定点のモニタリング測定の測定時間を短縮する。
【解決手段】初期値が既知の測定点を視準する望遠鏡と、測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部29と、測定方向を撮像しデジタル画像を取得する画像センサ23と、望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部31,32と、望遠鏡を測定点に自動視準させ、デジタル画像上の測定点の視準軸からの偏差及び角度検出部31,32からの検出結果に基づき測定点の方向角を演算する演算部27とを有する測定装置1の複数の測定点をモニタリング測定する方法に於いて、測定方向のデジタル画像から測定点の測角を行う粗モニタリング測定と、測定点を視準し、距離測定部29による測距、角度検出部31,32による測角を行う精密モニタリング測定からなり、各測定点について粗モニタリング測定を実行し、粗測定結果が第1の閾値を超えた測定点について精密モニタリング測定を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数点を定期的、或は経時的に連続して測定する測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤の沈下を監視する為、地滑りを監視する為、ダム等の構築物の堤体、壁体の変位を監視する為、或はトンネルの壁面の変位を監視する為に、測定範囲に多数設定した測定点を測定装置により、定期的に、或は経時的に連続して測定している。
【0003】
例えば、地下鉄を建設する為のトンネルを掘削する場合等、掘削したトンネルの天井、壁面が変位しないかどうかを監視する為、天井、壁面にターゲットとしてのプリズムを多数設置し、全てのプリズムの位置変位を測定装置により無人で順番に測定(以下モニタリング測定とする)している。
【0004】
測定点の測距、測角の為にその都度、自動視準と測距を行う為、測定点が多点の場合は、1回のモニタリング測定に多くの時間を必要とし、モニタリング測定に要する時間が長くなる。この為、測定点に変化があった場合の発見が遅れてしまう虞れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2879578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、複数の測定点をモニタリング測定する場合の測定時間を短縮し、モニタリング測定のサイクルタイムを短縮し、測定点に変化があった場合の早期発見を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、測定方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させ、又前記デジタル画像上の測定点の視準軸からの偏差及び前記角度検出部からの検出結果に基づき測定点の方向角を演算する演算部とを有する測定装置に於ける複数の測定点をモニタリング測定する方法に於いて、該モニタリング測定は、測定方向のデジタル画像を取得し、該デジタル画像から測定点の測角を行う粗モニタリング測定と、前記望遠鏡で測定点を視準し、距離測定部による測距、角度検出部による測角を行う精密モニタリング測定からなり、各測定点について前記粗モニタリング測定を実行し、粗モニタリング測定による粗測定結果が第1の閾値を超えた測定点について精密モニタリング測定を実行する測定方法に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記粗モニタリング測定は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、デジタル画像を取得する工程と、前記望遠鏡の視準軸の方向角を測定する工程と、前記デジタル画像中の測定点の視準軸に対する偏差を演算する工程と、鉛直角、水平角及び前記偏差に基づき測定点の方向角を測定する工程とを有する測定方法に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記精密モニタリング測定の測定結果が、第2の閾値を超えた場合にアラームが発せられる測定方法に係るものである。
【0010】
又本発明は、粗モニタリング測定の実行、精密モニタリング測定の実行と並行して測定方向の背景画像を取得し、粗モニタリング測定又は精密モニタリング測定が不能な場合に、背景画像に基づき測定不能状態が判断される測定方法に係るものである。
【0011】
本発明は、初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、視準方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させる自動視準部と、デジタル画像中の測定点を検出すると共に望遠鏡の視準軸に対する画角を演算する画像処理部と、演算部とを具備する測定装置に於いて、該演算部は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、前記角度検出部が検出した方向角及び前記画角に基づき測定点の方向角を演算し、演算した方向角を粗モニタリング測定結果として取得し、前記粗モニタリング測定結果が第1の閾値を超えた場合に、第1の閾値を超えた測定点に前記望遠鏡を向け、自動視準させ、前記距離測定部、前記角度検出部により測距、測角を実行し、精密モニタリング測定結果として取得する測定装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、視準光学系が、測定方向の背景画像を撮像する撮像部を有し、前記演算部は、粗モニタリング測定結果又は精密モニタリング測定結果が得られない場合に、前記撮像部より測定結果が得られない測定点方向の背景画像を取得する測定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、測定方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させ、又前記デジタル画像上の測定点の視準軸からの偏差及び前記角度検出部からの検出結果に基づき測定点の方向角を演算する演算部とを有する測定装置に於ける複数の測定点をモニタリング測定する方法に於いて、該モニタリング測定は、測定方向のデジタル画像を取得し、該デジタル画像から測定点の測角を行う粗モニタリング測定と、前記望遠鏡で測定点を視準し、距離測定部による測距、角度検出部による測角を行う精密モニタリング測定からなり、各測定点について前記粗モニタリング測定を実行し、粗モニタリング測定による粗測定結果が第1の閾値を超えた測定点について精密モニタリング測定を実行するので、変化のない測定点については精密モニタリング測定が省略されるので、モニタリング測定に要する時間が短縮される。
【0014】
又本発明によれば、前記粗モニタリング測定は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、デジタル画像を取得する工程と、前記望遠鏡の視準軸の方向角を測定する工程と、前記デジタル画像中の測定点の視準軸に対する偏差を演算する工程と、鉛直角、水平角及び前記偏差に基づき測定点の方向角を測定する工程とを有するので、測定は画像処理により実行可能であり、精密に視準する必要がないので、測定時間が大幅に短縮される。
【0015】
又本発明によれば、前記精密モニタリング測定の測定結果が、第2の閾値を超えた場合にアラームが発せられるので、変化のあった測定点だけ、精密モニタリング測定されるので、時間を要することなく而も正確なアラームを発することができる。
【0016】
又本発明によれば、粗モニタリング測定の実行、精密モニタリング測定の実行と並行して測定方向の背景画像を取得し、粗モニタリング測定又は精密モニタリング測定が不能な場合に、背景画像に基づき測定不能状態が判断されるので、測定結果だけでは判断できない測定不能状態が背景画像により判断でき、測定不能状態を判断する為の現場処理が軽減される。
【0017】
本発明によれば、初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、視準方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させる自動視準部と、デジタル画像中の測定点を検出すると共に望遠鏡の視準軸に対する画角を演算する画像処理部と、演算部とを具備する測定装置に於いて、該演算部は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、前記角度検出部が検出した方向角及び前記画角に基づき測定点の方向角を演算し、演算した方向角を粗モニタリング測定結果として取得し、前記粗モニタリング測定結果が第1の閾値を超えた場合に、第1の閾値を超えた測定点に前記望遠鏡を向け、自動視準させ、前記距離測定部、前記角度検出部により測距、測角を実行し、精密モニタリング測定結果として取得するので、モニタリング測定に要する時間が短縮される。
【0018】
又本発明によれば、視準光学系が、測定方向の背景画像を撮像する撮像部を有し、前記演算部は、粗モニタリング測定結果又は精密モニタリング測定結果が得られない場合に、前記撮像部より測定結果が得られない測定点方向の背景画像を取得するので、測定結果だけでは判断できない測定不能状態が背景画像により判断でき、測定不能状態を判断する為の現場処理が軽減される等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係る測定装置を含むシステム構成図である。
【図2】前記測定装置に具備される光学系統図である。
【図3】前記測定装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施例に於けるティーチングのフローチャートである。
【図5】本実施例に於ける走査軌跡と望遠鏡の視野と反射ターゲットの関係を示す説明図である。
【図6】本実施例に於ける望遠鏡の視野と反射ターゲットの関係を示す説明図であり、(A)は望遠鏡の視野内に反射ターゲットが1つ、(B)は望遠鏡の視野内に反射ターゲットが2つ含まれる場合を示す。
【図7】本実施例に係るモニタリング測定のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例に於ける測定装置に具備される光学系統図である。
【図9】本発明の第2の実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
先ず、図1に於いて、本発明に係る測定装置を具備する測定システムを説明する。
【0022】
図1中、1は計測小屋9に設置される測定装置であり、該測定装置1は望遠鏡部2を備え、該望遠鏡部2を水平方向、鉛直方向に回転可能であり、自動視準機能を有する。3は測定装置PCであり、該測定装置PC3は前記測定装置1に電気的に接続され、或は該測定装置1と一体化され、前記測定装置1に対して測定に関する指令を発し、又前記測定装置1で取得した測定データを蓄積、或は測定データを基地PC6に送信する。4は電源であり、該電源4は前記測定装置1、前記測定装置PC3に電力を供給する。尚、図示していないが、前記測定装置1は、前記望遠鏡部2の視準方向を検出する水平測角部、鉛直測角部(図3参照)を有している。又、5−1,5−2,5−3,…,5−nは測定点に設置された反射ターゲットを示している。
【0023】
前記基地PC6は、トンネル、ダム等を管理する管理事務所10等に設置され、前記測定装置PC3から送信されたモニタリングデータを蓄積し、又受信したモニタリングデータを過去のモニタリングデータと比較し、トンネル、ダム等の現状を判断する。
【0024】
尚、前記測定装置PC3と前記基地PC6とはLAN、電話回線、無線等所要の通信手段7により、相互にデータ通信が可能となっている。
【0025】
図2は、前記測定装置1の光学系11を示しており、図2中、12は該光学系11の光軸(視軸)、13は測距用光源、14は視準用光源、15は前記測距用光源13からの測距光を前記光軸12に導く第1投光光学系、16は前記視準用光源14からの視準光を前記光軸12に導く第2投光光学系、17は前記光軸12上に配置された対物レンズ、18は前記光軸12上に配置されたフォーカスレンズ、又19は接眼レンズを示している。
【0026】
前記測距用光源13は測距光として可視光、前記視準用光源14は視準光として赤外光等の不可視光を発する様になっており、前記測距用光源13から発せられた測距光、前記視準用光源14から発せられた視準光はそれぞれ前記光軸12上に射出される。測距光の反射光(以下反射測距光)及び視準光の反射光(以下反射視準光)は前記対物レンズ17に入射し、集光される。
【0027】
前記光軸12上には、ダイクロイックプリズム21が設けられる。該ダイクロイックプリズム21は反射視準光22を反射し、該ダイクロイックプリズム21によって反射視準光22が分離され、反射により分離された一部の反射視準光22は画像センサ23に入射する。又前記ダイクロイックプリズム21により反射測距光24が反射分離され、分離された反射測距光24は測距用受光素子25に入射する。前記ダイクロイックプリズム21を透過した自然光22′は、前記フォーカスレンズ18を通って前記接眼レンズ19に入射する。
【0028】
前記画像センサ23は、例えば画素の集合体であるCCD、CMOSセンサ等であり、デジタル画像信号を出力し、又受光する画素の受光面(撮像面)上での位置が特定できる様になっており、更に前記画像センサ23の中心が前記光軸12と合致する様になっており、前記画像センサ23上の画素の位置を求めることで、前記光軸12に対する画角(画素の位置から求められる光軸に対する角度)が求められる様になっている。
【0029】
本実施例では、前記画像センサ23で取得したデジタル画像から前記反射ターゲット5を検出し、該反射ターゲット5の画像上の位置と、前記光軸12の鉛直角、水平角より前記反射ターゲット5の位置(鉛直角、水平角)を検出する様になっている。
【0030】
図3は、前記測定装置1の概略の構成を示すブロック図であり、図3中、27はCPUで代表される演算部、28は記憶部、29は測距部、30は画像処理部、31は鉛直測角部、32は水平測角部、33は通信部、34は表示部、35は自動視準部、36は前記望遠鏡部2を鉛直方向に回転する鉛直モータ、37は前記望遠鏡部2を水平方向に回転する水平モータ、38は前記鉛直モータ36に設けられた鉛直モータエンコーダ、39は前記水平モータ37に設けられた水平モータエンコーダ、40は操作部を示す。
【0031】
前記記憶部28は、プログラム格納領域、データ格納領域を有し、前記プログラム格納領域には前記測定装置1に測定作動を行わせ、測定点(前記反射ターゲット5)の3次元データを取得する為の測定プログラム、或は測定点を順次サーチし、前記画像センサ23で画像取得する等の作動を実行するシーケンスプログラム、前記画像センサ23で取得した画像から反射ターゲットを検出する画像処理プログラム、或は反射ターゲットの検出結果に基づき前記望遠鏡部2を反射ターゲットに視準させる為の自動視準プログラム、或は該自動視準プログラム、前記測定プログラムを実行させ反射ターゲット個々について測定したデータに基づきティーチングを実行するティーチングプログラム、或はティーチング結果に基づき所定時間間隔で前記自動視準プログラム、前記測定プログラムを実行させ、各測定点の位置を検出し、検出結果を時系列で前記記憶部28に格納するモニタリングプログラム等の各種プログラムが格納されている。
【0032】
又、前記記憶部28のデータ格納領域には、ティーチングを実行して得られた、各反射ターゲット5のティーチングデータ(初期値)が格納され、又後述する粗測定結果、精密測定結果が各反射ターゲット5に関連付けられ、時系列で格納される。
【0033】
前記測距部29は、前記測距用光源13、前記測距用受光素子25、前記演算部27、前記記憶部28等から構成され、前記測距部29は前記測距用受光素子25で受光された反射測距光に基づき距離測定を行う。
【0034】
前記自動視準部35は、前記視準用光源14、前記画像センサ23、前記演算部27、前記記憶部28、自動視準プログラム等から構成され、前記反射ターゲット5からの反射視準光が前記画像センサ23で受光され、受光結果に基づき視準光軸を前記反射ターゲット5に合致させる自動視準を行う。
【0035】
前記画像処理部30は画像処理プログラムによって駆動制御され、前記画像センサ23からの画像信号に基づき前記反射ターゲット5を検出し、更に該反射ターゲット5の前記画像センサ23上の位置から前記反射ターゲット5の画角を演算する。
【0036】
前記鉛直測角部31は、前記望遠鏡部2の視準光軸の鉛直角を測定し、測定結果を電気信号として前記演算部27に送出する。前記水平測角部32は基準点を有し、基準点に対する前記視準光軸の水平角を測定し、測定結果を前記演算部27に送出する。
【0037】
前記鉛直モータ36及び前記水平モータ37は、前記演算部27によって駆動制御され、前記鉛直モータ36の回転量、回転速度は該鉛直モータ36に設けられた鉛直モータエンコーダ38によって検出され、前記水平モータ37の回転量、回転速度は該水平モータ37に設けられた水平モータエンコーダ39によって検出される。
【0038】
前記演算部27は、前記記憶部28に格納されたシーケンスプログラム、画像処理プログラム等のプログラムに基づき、設定された測定範囲を走査し、走査の過程で、前記画像処理部30を制御し、前記画像センサ23の画像信号に基づき前記各反射ターゲット5を検出し、各反射ターゲット5の画角を求め、更に前記鉛直測角部31、前記水平測角部32からの検出結果に基づき各反射ターゲット5の鉛直角、水平角を画像上から測定(粗測定)する。
【0039】
更に前記演算部27は、粗測定で得られた鉛直角、水平角と前記初期値とを比較し、比較して得られた偏差が設定した閾値内である場合は、測定点に変化が無いと判断し、粗測定によるモニタリング測定を継続する。又、粗測定で得られた鉛直角、水平角と前記初期値との比較で得られた偏差が設定した閾値を超えた場合は、自動視準プログラム、前記測定プログラムを実行し、閾値を超えた反射ターゲット5に対して自動視準し、前記測距部29による測距、前記鉛直測角部31、前記水平測角部32による測角を実行して3次元測定(精密測定)を行う。得られた精密測定結果と初期値とを比較し、得られた偏差が前記閾値を超えている場合は、異常と判断し前記通信手段7を介して前記基地PC6に警告信号、及びモニタリングデータを送信する。
【0040】
尚、後述する様に、前記測定装置PC3は測定点データを前記基地PC6に送信するのみとし、粗測定結果、精密測定結果と初期値との比較を行うこと、比較の結果に基づく異常の判断は前記基地PC6で行ってもよい。
【0041】
次に、前記測定装置PC3について説明する。
【0042】
前記測定装置1により、ティーチング或はモニタリングが実行され得られた初期値、粗測定データ、精密測定データ等の測定点データは、前記測定装置PC3に送出され、該測定装置PC3は前記測定点データを時系列に、又各反射ターゲット5に対応付けて保存格納する。尚、前記測定装置1にティーチング作動を行わせる為の、ティーチングプログラムは、前記測定装置PC3が保有し、該測定装置PC3の指令により前記測定装置1にティーチングを行わせてもよい。
【0043】
更に、前記測定装置PC3は、前記測定装置1にティーチング、或はモニタリングを実行させる為の制御プログラム、又測定データに基づき、各反射ターゲット(測定点)毎に変位の有無、変位の程度を演算し、異常であるか否かを判断する異常判断プログラム等のプログラムを有している。
【0044】
尚、前記測定装置PC3で測定点の異常を判断する場合は、前記基地PC6では前記測定装置PC3からの異常判断の情報に基づき、警告を発する等の処理を実行する様にしてもよい。
【0045】
以下、本実施例のモニタリング測定について説明する。尚、モニタリング測定を実行する準備として、初期値を得る為のティーチングが必要である。先ず、図4、図5を参照してティーチング作用について説明する。
【0046】
STEP:01 基準点及び測定点が存在する範囲(サーチ範囲)を指定する。範囲の指定方法としては、一例として、表示部をタッチパネルとし、タッチパネルに表示された画像からサーチ範囲を指定してもよい。
【0047】
STEP:02 サーチ範囲の指定が完了すると、サーチが実行され、サーチ範囲内の測定対象物に対して画像処理と、画像処理で得られた画角と前記望遠鏡部2の視準方向の測角とにより、粗測定が実行される。サーチの実行、粗測定の実行は、前記測定装置PC3より指令される。
【0048】
図5は、サーチの状態を示しており、サーチ範囲が指定されると、前記測定装置1のサーチ機能を利用して、前記鉛直モータ36、前記水平モータ37が駆動され、前記望遠鏡部2が水平方向に往復走査され、又水平走査端で鉛直方向に所定角度回転され、水平方向の往復走査と水平走査端での鉛直方向への回転により、サーチ範囲がもれなく走査される。この時、鉛直方向の所定回転角度は、前記望遠鏡部2の視野42の鉛直方向の視野角より小さく設定し、上の走査での視野と下の走査での視野が所要の範囲でオーバラップする様にする。
【0049】
STEP:03 所定速度で走査し、走査過程中所定時間間隔で、前記画像センサ23により画像データが取得される。画像データ上から前記画像センサ23の視野内に前記反射ターゲット5が有るかどうかが検出される。走査のパターンは特に指定はないが、前記望遠鏡部2の視野42は円形である為、例えば水平方向に走査していた場合、前記望遠鏡部2の視野42の上下端付近に反射ターゲット5がある場合、該反射ターゲット5は一瞬しか視野42内に入らない。この為、反射ターゲット5を発見できない可能性もあるので、水平方向に走査する場合は視野42の上下方向に少し重なりを持って走査させる(図5参照)。同様に、鉛直方向に走査する場合は視野42の左右方向に少し重なりを持って画像が取得できる様に、画像を取得する時間間隔、走査速度は設定される。
【0050】
STEP:04 走査過程で得られた画像中に、前記反射ターゲット5を発見した場合、その時の前記測定装置1の測角値(H1,V1)と、前記画像センサ23上での前記光軸12からのズレ量(X1,Y1)がピクセル位置として測定される。
【0051】
STEP:05 STEP:05は粗測定の工程であり、光軸(視軸)12からのズレ量(X1,Y1)は、角度値(画角)(δH1,δV1)に変換され、ズレ量が求められた時の前記望遠鏡部2の前記光軸12の角度が前記鉛直測角部31、前記水平測角部32とから求められ、前記鉛直測角部31、前記水平測角部32が検出した前記光軸12の鉛直角、水平角及び前記画像センサ23上の角度値に基づき、下記の式で反射ターゲット5の方向角(TH,TV)が測角(算出)される。
【0052】
TH1=H1+δH1,TV1=V1+δV1
【0053】
STEP:06 算出された反射ターゲット5の方向角(TH,TV)は、対応する反射ターゲット5と関連付けられ、前記測定装置PC3に送出され、該測定装置PC3では前記反射ターゲット5に対して識別番号を付し、測角結果は粗測定結果として、識別番号に関連付けられ、時系列で記録される。記録された測角結果は、後述する自動視準を実行する場合の目標値となる。
【0054】
STEP:07 全ての反射ターゲット5について測角が実行されたかどうかが判断され、範囲全てが走査され、全ての反射ターゲット5について測角が実行される。粗測定の結果は、前記反射ターゲット5に関連付けられて格納される。
【0055】
全ての反射ターゲット5について方向角の測定(粗測定)が完了すると、反射ターゲット5の粗測定(角度測定)の結果に基づき、個々の反射ターゲット5について3次元測定(精密測定)が開始される。
【0056】
STEP:08 測角した結果を目標値とし、所定の順番で、例えば識別番号順に該識別番号に対応する目標値に前記望遠鏡部2が向けられる。
【0057】
STEP:09 目標値の方向に対象とする反射ターゲット5が存在し、対象とする反射ターゲット5が前記望遠鏡部2の視野42に入ると、前記画像センサ23の画像中の前記反射ターゲット5が検出され、該反射ターゲット5の前記光軸12に対する偏差が求められ、該偏差が0になる様に前記鉛直モータ36、前記水平モータ37が更に駆動制御され、自動視準が実行される。
【0058】
STEP:10 視準が完了すると、前記測距部29による測距が行われ、同時に前記鉛直測角部31、前記水平測角部32により、鉛直角、水平角の測角が行われる。測距結果、測角結果は、ティーチングデータとして反射ターゲットに関連付けられて及び測定時間に関連付けられて、前記記憶部28に記録、格納される。尚、ティーチングデータは前記通信部33を介して前記測定装置PC3に送出され、該測定装置PC3に記録、格納されてもよい。
【0059】
STEP:11 全ての反射ターゲット5に対して測距、測角(精密測定)が実行されると、ティーチング作動が完了し、ティーチングデータは初期値として前記記憶部28、又は前記測定装置PC3に格納される。ティーチングが完了し、ティーチングデータが取得されることで、自動でのモニタリング測定が可能となる。
【0060】
尚、予め測定等により基準点、測定点の初期値を求めておけば、上述したティーチングは省略できる。
【0061】
モニタリング測定について簡単に説明すると、本実施例によれば、粗モニタリング測定、精密モニタリング測定、或は粗モニタリング測定と精密モニタリング測定とを組合わせた3態様のモニタリング測定が可能である。又、粗モニタリング測定として走査を行わず、望遠鏡部2が静止した状態で行う第1の粗モニタリング測定、走査しつつ行う第2の粗モニタリング測定がある。
【0062】
第1の粗モニタリング測定では、静止した望遠鏡部2を介して得られるデジタル画像に基づき、デジタル画像中の測定点が視準軸に対する変位を検出する。変位の検出は画像より測定した測定点の位置と初期値と比較してもよいし、又は前回の撮像画像と今回の撮像画像とを比較し、画像上から視準軸と直交する平面方向の変位を検出してもよい。第1の粗モニタリング測定では、沈下方向の変位等、視準軸に対して直交する方向の変位が精密な視準を行うことなく、容易に測定できる。
【0063】
次に、第2の粗モニタリング測定について、図6を参照して説明する。
【0064】
前記測定装置PC3からのモニタリング測定開始指令により、前記望遠鏡部2が反射ターゲット5が存在する方向に回転される。尚、各ターゲットの方向角は初期値により分っており、ターゲット間を移動する場合の回転速度は大きくしてもよい。前記望遠鏡部2が目標とする反射ターゲット5の初期値として設定された方向を概略向くと前記望遠鏡部2の回転速度が減速され、所定の速度で回転しつつ画像がサンプリングされる。尚、所定時間間隔毎に、或は所定角度間隔毎に(図示では所定水平回転角毎に)前記画像センサ23で得られる画像をサンプリングする。尚、測定精度を向上させる為、1つの反射ターゲット5に対して複数のサンプリング画像が得られる様にする。
【0065】
前記画像センサ23で得られる最大の画像は、前記望遠鏡部2の視野と同等となる。サンプリングした画像中から前記反射ターゲット5を検出し、画像中での角度値(画角)(δH,δV)を求め、画角とサンプリングした時の前記望遠鏡部2の視準方向、即ち水平角、鉛直角(H,V)とから反射ターゲット5の方向角(TH,TV)が求められる。測定点が変位した場合でも前記測定装置1から測定点迄の水平距離は殆ど変らないので、この方向角(TH,TV)をモニタリングデータとして取得する。
【0066】
図6(A)は粗モニタリング測定中、前記望遠鏡部2の視野に、1つの反射ターゲット5が検出される場合を示し、又粗モニタリング測定で1つの反射ターゲット5−1が時間的に隣接する3つの画像中に含まれる場合を示している。前記望遠鏡部2の回転により光軸が移動することで、画像内での前記反射ターゲット5の位置、即ち光軸12に対する反射ターゲット5の位置が変化する。従って、該反射ターゲット5−1について3つの測定値(測角)が得られ、3つの測定値を平均化する。平均化することで、前記反射ターゲット5−1の測定精度は向上する。尚、図中、X,Yは視準軸の方向を示しており、Xは水平角、Yは鉛直角を示す。
【0067】
従って、サンプリングする間隔は、前記望遠鏡部2の視野が反射ターゲット5を通過する時間内に、同一の反射ターゲット5について少なくとも2つの画像が得られる間隔とするのが好ましい。同一の反射ターゲット5について、それぞれ該反射ターゲット5を含む2以上のサンプリング画像を取得し、得られる反射ターゲット5の2以上の方向角を平均化することで、モニタリングデータの精度が向上する。
【0068】
視準軸の方向角(X,Y)は、前記水平測角部32、前記鉛直測角部31によってリアルタイムで検出されており、前記画像処理部30により画像中の画角(δH,δV)が測定され、前記方向角(X,Y)及び前記画角(δH,δV)に基づき、前記測定装置1を原点とした前記反射ターゲット5の方向角が演算される。ティーチング時の測定装置1の設置位置とモニタリング測定時の測定装置1の設置位置とが変更無いとすると、初期値に対して粗モニタリング測定で得られた方向角が同一、又は所定の閾値内であり、前記反射ターゲット5は変化がない。
【0069】
図6(B)は、粗モニタリング測定中の前記望遠鏡部2の視野に、2つの反射ターゲット5−1,5−2が検出される場合を示しており、画像中に複数の反射ターゲット5−1,5−2が含まれる場合は、視準軸を基準として各反射ターゲット5毎に画像中での画角(δH,δV)を求め、該画角(δH,δV)と視準軸の方向角(X,Y)からそれぞれ反射ターゲット5−1,5−2の方向角(TH,TV)を求める。
【0070】
而して、サーチ範囲内の全ての反射ターゲット5について、方向角が粗モニタリング測定され、粗モニタリングデータは前記測定装置PC3に送出される。該測定装置PC3では、粗モニタリングデータと初期値とを比較して、測定点の方向角に変化があるかどうか、或は変化量が予め設定した閾値を超えるかどうかが判断される。測定点に変化がある場合、或は閾値より超える場合は、前記測定装置PC3からアラーム信号が前記通信手段7を介して前記基地PC6に送信される。測定点に変化がない場合は、精密モニタリング測定は省略され、粗モニタリング測定が繰返し実行される。
【0071】
尚、粗モニタリングデータに於ける閾値は、ターゲットの方向角が前記画像センサ23で検出した画像データの画像処理により測定されるので、測定結果には画像の解像度、画像処理上の誤差等を考慮して決定される。
【0072】
第2の粗モニタリング測定では、前記反射ターゲット5毎に前記望遠鏡部2の動きを停止させないので、1周期のモニタリング測定は、サーチ範囲を走査する時間と同じであり、モニタリング測定周期は大幅に短くなり、作業性が向上する。又、変位の大きい部分、急激な変化がある場合でのモニタリング測定では、モニタリング測定周期を短くし、早期に、又確実に測定点の変位を検出する。
【0073】
次に、精密モニタリング測定について説明する。
【0074】
全ての反射ターゲット5の初期状態での位置、即ち、反射ターゲット5の方向角(TH,TV)が分っているので、該方向角に基づいて、前記望遠鏡部2は全ての反射ターゲット5に識別番号順に、順次向けられる。
【0075】
前記望遠鏡部2が前記反射ターゲット5に向けられ、前記反射ターゲット5が画像センサ23で検出されると、自動視準が実行され、視準軸即ち前記光軸12が前記反射ターゲット5に合致される。視準が完了すると、測距、測角が行われ、精密モニタリングデータが取得される。精密モニタリングデータは前記測定装置PC3に送出され、モニタリングデータと初期値とが比較され、測定点に変化があるかどうか、或は変化量が予め設定した閾値を超えるかどうかが判断される。測定点に変化がある場合、或は閾値より超える場合は、前記測定装置PC3からアラーム信号が前記通信手段7を介して前記基地PC6に送信される。尚、精密モニタリングデータに於ける閾値は、前記測定装置1が有する測定精度を考慮して決定される。
【0076】
本実施例では、上記粗モニタリング測定と精密モニタリング測定とを組合わせて、モニタリング測定が行われる。以下、図7を参照して本実施例に係るモニタリング測定を説明する。
【0077】
前記測定装置PC3より前記測定装置1にモニタリング測定開始の指令が発せられ、モニタリング測定が開始される。先ず、粗モニタリング測定が行われる。
【0078】
STEP:21 前記測定装置1及び望遠鏡部2が反射ターゲット5に向けられ、粗モニタリング測定が実行される。
【0079】
STEP:22,STEP:23 前記反射ターゲット5が前記画像センサ23で検出されると、該画像センサ23で取得したサンプリング画像中での視準軸(光軸12)と反射ターゲット5と偏差が求められ、反射ターゲット5の方向角(TH,TV)が演算される。
【0080】
STEP:24 演算された前記反射ターゲット5の方向角とティーチングデータとが比較され、偏差が求められる。偏差が検出されると、この偏差が粗モニタリングデータの閾値の範囲内であるかどうかが判断される。閾値の範囲内であると判断されると、精密モニタリング測定が省略され、次の測定点に移動する。
【0081】
STEP:24,STEP:25,STEP:26 前記偏差が粗モニタリングデータの閾値を超えた場合は、自動視準が実行される。視準が完了すると、精密モニタリング測定が実行され、測距、測角が実行され、精密モニタリングデータが取得される。
【0082】
STEP:27 取得された精密モニタリングデータが閾値の範囲内であるかどうかが判断される。
【0083】
STEP:28 精密モニタリングデータが閾値の範囲を超えた場合は、アラームを発し、次の測定点に移動する。アラーム信号は、前記測定装置PC3から前記通信手段7を介して前記基地PC6に送信される。
【0084】
又、精密モニタリングデータが閾値の範囲内であれば、次の測定点に移動し、粗モニタリング測定に移行し、モニタリング測定が継続される。
【0085】
本実施例では、粗モニタリング測定、及び精密モニタリング測定が組合わせされて実行され、変位、或は閾値より超えて変位したと見られる反射ターゲット5のみを精密測定するので、モニタリング測定精度を高く維持したままモニタリング測定作動が早くなり、モニタリング測定の周期が短くなる。
【0086】
モニタリング測定を行っていると、まれにターゲットの検出、自動視準、測距ができない場合がある。
【0087】
原因としては、測定点が変位して望遠鏡視野内に反射ターゲット5が入ってこなくなった場合、或は反射ターゲット5と測定装置1の間に障害物(木の枝や葉が風で揺れる、鳥等が止まっている等)がある場合、反射ターゲット5が何らかの理由で測定装置1に正対しなくなった場合、測定装置1自体の姿勢が何らかの理由により変わった場合、測定装置1が故障した場合等、種々考えられる。
【0088】
モニタリング測定は、無人で行われるので、ターゲットの検出、自動視準、測距ができない場合が生じた場合に、原因を究明する手段が無い。この為、従来では、原因を究明する為、管理人が現場に確認しに行っている。
【0089】
以下に述べる第2の実施例では、ターゲットの検出、自動視準、測距ができない場合に遠隔で原因を究明できる様にする。
【0090】
図8は、第2の実施例に於ける光学系を示している。尚、図8中、図2中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0091】
第2の実施例では、受光部に撮像部41が設けられている。該撮像部41は、視準光軸上に設けられたハーフミラー42、該ハーフミラー42の反射光軸上に配設された撮像素子43を有しており、前記ハーフミラー42は自然光22′の一部を更に分割し、分割した一部の自然光22′を前記撮像素子43に入射させる。
【0092】
該撮像素子43は、測定範囲を走査した場合の背景、反射ターゲット5近傍の背景を撮像し、デジタル画像を取得するものであり、背景が識別できる程度の解像度を有していればよく、例えば、30万画素程度の、CCD、CMOSセンサが用いられる。該撮像素子43での撮像の際に焦点合わせが前記フォーカスレンズ18によって行われるが、焦点合わせは前記望遠鏡部2が反射ターゲット5,5の間を移動している間に実行され、測定時間、撮像動作の短縮化が図られる。
【0093】
ターゲットの背景を撮像する様にしたことで、ターゲットの検出、自動視準、測距ができない場合は、ターゲットの背景画像を取得する。尚、この場合、画像上から反射ターゲット5の識別を容易とする為、反射ターゲット5の形状を変える、或は色を変える、或はターゲットの傍に番号、或は記号、シンボルマーク等を記した札を置く等が考えられる。
【0094】
背景画像を取得することで、例えば木の葉が前記反射ターゲット5の反射面を覆っている、或は木が倒れて光路を遮断した、或は光路に鳥が止っていた等が背景画像から直ちに判断できる。
【0095】
更に、実際にターゲットが変位し、初期値の位置から大きくずれていた場合も、背景画像から容易に確認することができる。
【0096】
図9に於いて、第2の実施例の作用を説明する。尚、図9では、説明を簡単にする為、粗モニタリング測定を省略して示している。
【0097】
STEP:31 前記測定装置PC3より前記測定装置1にモニタリング測定開始の指令が発せられ、最初の測定対象の反射ターゲット5に関する情報、即ち測定点の角度、距離情報等が前記測定装置1に送信される。
【0098】
STEP:32 前記測定装置1及び望遠鏡部2が回転され、該望遠鏡部2が反射ターゲット5に向けられる。
【0099】
STEP:33 前記望遠鏡部2が前記反射ターゲット5に向けられている動作途中に、前記望遠鏡部2のフォーカスが行われる。これは、次の測定点の距離が初期値より事前に分っていることから、前記望遠鏡部2を移動途中でフォーカスすることで、測定時間を短縮できる。
【0100】
STEP:34 初期値に基づいて前記望遠鏡部2が測定点に向けられ、更に測定装置1の自動視準機能により、自動視準が行われる。
【0101】
STEP:35,STEP:36 自動視準が完了すると、測距、測角が行われる。
【0102】
STEP:36,STEP:37,STEP:38 測距、測角が支障なく完了し、又測定結果が閾値以内であると、前記測定装置1、前記望遠鏡部2が回転され、次の測定点に移動する(STEP:39)。
【0103】
STEP:35に於いて、自動視準ができなかった場合、例えば、前記光軸12が障害物で遮断されているような場合は、自動視準ができない。自動視準できない場合は、前記撮像部41により前記測定点方向の背景画像が取得される(STEP:40)。
【0104】
又、STEP:36に於いて、測定ができなかった場合、或はSTEP:38で測定結果が閾値を超えていた場合、前記撮像部41により背景画像が取得される(STEP:40)。
【0105】
STEP:40で取得された画像は、前記測定装置PC3から前記通信手段7を介して前記基地PC6に送信され、該基地PC6では背景画像が送られてきた場合に、アラームを発し(STEP:41)、背景画像が確実に管理人に注視される様にする。背景画像が確認され、一過性のものであれば、モニタリング測定を継続させ、現地での処理が必要な場合は、現地に出向く等の対策が講じられる。
【0106】
更に、測定点が大きく変位して、測定が不能となった場合も、画像により容易に判断が可能であり、迅速な対応が可能となる。
【0107】
尚、背景画像による測定不能な場合の状況判断について、精密モニタリング測定に限らず粗モニタリング測定についても同様に実施できることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0108】
1 測定装置
2 望遠鏡部
3 測定装置PC
5 反射ターゲット
9 計測小屋
10 管理事務所
11 光学系
12 光軸
13 測距用光源
14 視準用光源
15 第1投光光学系
16 第2投光光学系
17 対物レンズ
18 フォーカスレンズ
21 ダイクロイックプリズム
22 反射視準光
23 画像センサ
24 反射測距光
25 測距用受光素子
27 演算部
28 記憶部
29 測距部
30 画像処理部
31 鉛直測角部
32 水平測角部
33 通信部
34 表示部
35 自動視準部
41 撮像部
42 ハーフミラー
43 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、測定方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させ、又前記デジタル画像上の測定点の視準軸からの偏差及び前記角度検出部からの検出結果に基づき測定点の方向角を演算する演算部とを有する測定装置に於ける複数の測定点をモニタリング測定する方法に於いて、該モニタリング測定は、測定方向のデジタル画像を取得し、該デジタル画像から測定点の測角を行う粗モニタリング測定と、前記望遠鏡で測定点を視準し、距離測定部による測距、角度検出部による測角を行う精密モニタリング測定からなり、各測定点について前記粗モニタリング測定を実行し、粗モニタリング測定による粗測定結果が第1の閾値を超えた測定点について精密モニタリング測定を実行することを特徴とする測定方法。
【請求項2】
前記粗モニタリング測定は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、デジタル画像を取得する工程と、前記望遠鏡の視準軸の方向角を測定する工程と、前記デジタル画像中の測定点の視準軸に対する偏差を演算する工程と、鉛直角、水平角及び前記偏差に基づき測定点の方向角を測定する工程とを有する請求項1の測定方法。
【請求項3】
前記精密モニタリング測定の測定結果が、第2の閾値を超えた場合にアラームが発せられる請求項1の測定方法。
【請求項4】
粗モニタリング測定の実行、精密モニタリング測定の実行と並行して測定方向の背景画像を取得し、粗モニタリング測定又は精密モニタリング測定が不能な場合に、背景画像に基づき測定不能状態が判断される請求項1の測定方法。
【請求項5】
初期値が既知となっている測定点を視準する望遠鏡と、該望遠鏡を介して測距光を照射し測定点迄の距離を測定する距離測定部と、視準方向を撮像し、デジタル画像を取得する画像センサと、前記望遠鏡の視準方向の方向角を検出する角度検出部と、前記望遠鏡を測定点に自動視準させる自動視準部と、デジタル画像中の測定点を検出すると共に望遠鏡の視準軸に対する画角を演算する画像処理部と、演算部とを具備する測定装置に於いて、該演算部は、前記初期値に基づき前記望遠鏡を測定点に向け、前記角度検出部が検出した方向角及び前記画角に基づき測定点の方向角を演算し、演算した方向角を粗モニタリング測定結果として取得し、前記粗モニタリング測定結果が第1の閾値を超えた場合に、第1の閾値を超えた測定点に前記望遠鏡を向け、自動視準させ、前記距離測定部、前記角度検出部により測距、測角を実行し、精密モニタリング測定結果として取得することを特徴とする測定装置。
【請求項6】
視準光学系が、測定方向の背景画像を撮像する撮像部を有し、前記演算部は、粗モニタリング測定結果又は精密モニタリング測定結果が得られない場合に、前記撮像部より測定結果が得られない測定点方向の背景画像を取得する請求項5の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−73202(P2012−73202A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220186(P2010−220186)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)