説明

測定装置、測定方法、プログラム及び測定システム

【課題】非接触通信における通信状態を迅速かつ容易に測定することが可能な測定装置、測定方法、プログラム及び測定システムを提供すること。
【解決手段】無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器10に対して、データを送受信する第2の機器20の通信状態を測定する測定装置100において、第1の機器を把持して、複数配置された第2の機器のうち1つの第2の機器と対向するように第1の機器を3次元方向に移動させ、第1の機器を回転させる把持部142と、把持部の位置及び方向を検知し、第1の測定条件を満たすように把持部の位置及び方向を制御する把持部制御部124と、複数の第2の機器のうち1つの第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える切替部130と、切替部によって接続された第2の機器と、第1の機器との間の通信結果を第2の機器から取得する結果取得部128とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定方法、プログラム及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触通信機能を備えたカードや携帯電話などの機器が増加している。そのため、これらの機器の通信特性を評価するための測定装置についても需要が高まってきている。例えば、非接触通信機能を搭載する機器とリーダライタとの位置関係、機器の電源電圧条件、温度等の周辺環境条件を変化させ、測定装置を用いて、それぞれの条件下における通信の正答率が測定される。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、非接触通信機能を搭載する機器とリーダライタとの位置関係に応じて通信が可能であるかを判定する測定装置が開示されている。これらの技術によれば、非接触通信機能を搭載する機器とリーダライタとの位置関係が測定装置によって調整されるため、精度良く測定を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−339418号公報
【特許文献2】特開2005−157888号公報
【特許文献3】特開2005−182614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1〜3で開示されているような従来の測定装置は、非接触通信機能を搭載する機器とリーダライタを相互に対向し、かつ正対するように配置し、機器間の距離を変化させることで、通信の正答率を測定する。
【0006】
しかし、非接触通信機能を搭載する機器とリーダライタとの通信の正答率は、正対した機器間の通信の正答率だけでなく、機器間の対向角度、位置オフセット、電源電圧又は温度等の周辺環境条件を変化させた場合の通信の正答率が測定される必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の測定装置によれば、対向角度は取り付け(アタッチメント)角度を90°毎に変えることができる程度であった。そのため、機器間の位置関係や、電源電圧又は温度等の設定は、測定者が変える必要があった。また、測定毎に、設定条件や測定結果を測定者が記録する必要があり、多大な拘束時間を必要とするという問題があった。更に、複数台のリーダライタを測定する場合には、台数分だけ拘束時間が発生するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、非接触通信における通信状態を迅速かつ容易に測定することが可能な、新規かつ改良された測定装置、測定方法、プログラム及び測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する測定装置において、第1の機器を把持して、複数配置された第2の機器のうち1つの第2の機器と対向するように第1の機器を3次元方向に移動させ、第1の機器を回転させる把持部と、把持部の位置及び方向を検知し、第1の測定条件を満たすように把持部の位置及び方向を制御する把持部制御部と、複数の第2の機器のうち1つの第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える切替部と、切替部によって接続された第2の機器と、第1の機器との間の通信結果を第2の機器から取得する結果取得部とを備えることを特徴とする測定装置が提供される。
【0010】
複数の第1の測定条件を予め記憶する記憶部を備え、把持部制御部は、記憶部に記憶された複数の第1の測定条件に基づいて把持部の位置及び方向を制御し、結果取得部は、第1の測定条件毎に通信結果を取得してもよい。
【0011】
上記第1の機器と第2の機器の周辺温度を検知し、第2の測定条件を満たすように周辺温度を制御する周辺環境制御部を備え、結果取得部は、第2の測定条件毎に通信結果を取得してもよい。
【0012】
上記第1の機器に電源を供給し、第3の測定条件を満たすように電源電圧を制御する電源供給部を備え、結果取得部は、第3の測定条件毎に通信結果を取得してもよい。
【0013】
上記第2の機器に電源を供給し、第4の測定条件を満たすように電源電圧を制御する電源供給部を備え、結果取得部は、第4の測定条件毎に通信結果を取得してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する測定方法において、把持部が第1の機器を把持するステップと、把持部が、複数配置された第2の機器のうち1つの第2の機器と対向するように第1の機器を3次元方向に移動させるステップと、把持部が第1の機器を回転させるステップと、把持部の位置及び方向を検知するステップと、測定条件を満たすように把持部の位置及び方向を制御するステップと、複数の第2の機器のうち1つの第2の機器と接続するように電気的接続を切り替えるステップと、切り替えによって接続された第2の機器と、第1の機器との間の通信結果を第2の機器から取得するステップとを含むことを特徴とする測定方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、第1の機器を把持する把持部が、複数配置された第2の機器のうち1つの第2の機器と対向するように第1の機器を3次元方向に移動させる手段、把持部が第1の機器を回転させる手段、把持部の位置及び方向を検知する手段、測定条件を満たすように把持部の位置及び方向を制御する手段、複数の第2の機器のうち1つの第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える手段、切り替えによって接続された第2の機器と、第1の機器との間の通信結果を第2の機器から取得する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器と、第1の機器に対して、データを送受信する第2の機器と、第2の機器の通信状態を測定する測定装置とを備え、測定装置は、第1の機器を把持して、複数配置された第2の機器のうち1つの第2の機器と対向するように第1の機器を3次元方向に移動させ、第1の機器を回転させる把持部と、把持部の位置及び方向を検知し、第1の測定条件を満たすように把持部の位置及び方向を制御する把持部制御部と、複数の第2の機器のうち1つの第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える切替部と、切替部によって接続された第2の機器と、第1の機器との間の通信結果を第2の機器から取得する結果取得部とを有することを特徴とする測定システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、非接触通信における通信状態を迅速かつ容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
(第1の実施形態の構成)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る測定装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る測定装置100の構成を示すブロック図である。
【0020】
測定装置100は、非接触通信機能を搭載する機器(以下、非接触通信機能搭載機器10という。)とリーダライタ20を相互に対向するように配置し、測定条件を変化させることで、通信の正答率を測定する。
測定装置100は、制御部102と、入出力装置104と、モータドライバ106と、安定化電源108と、恒温槽110と、リーダライタI/F112と、測定本体部114などからなる。
【0021】
非接触通信機能搭載機器10は、第1の機器の一例であり、本実施形態の測定装置100の測定対象である。非接触通信機能搭載機器10は、例えば非接触通信ICチップを備えるいわゆるICカードや携帯電話機などの携帯機器であり、非接触通信をする。非接触通信機能搭載機器10は、例えば、アンテナ部や記憶部を有しており、通信が可能な場合は、リーダライタ20から送信されるデータの受信、データの記憶部への書き込み、リーダライタ20への応答が可能である。なお、非接触通信機能搭載機器10は、携帯電話機などの携帯機器の場合、安定化電源108と接続される。一方、非接触通信機能搭載機器10がICカードである場合、通常、電源供給は不要であるため、安定化電源108と接続されずに測定が行なわれる。
【0022】
リーダライタ20は、第2の機器の一例であり、非接触通信機能搭載機器10にデータを送信したり、非接触通信機能搭載機器10からデータを読み出したりする。リーダライタ20は、測定装置100のリーダライタI/F112と接続される。リーダライタ20は、測定装置100による測定時には、リーダライタI/F112を介して制御部102から制御信号を受ける。測定が開始されると、リーダライタ20は、制御部102からの制御によって、非接触通信機能搭載機器10との非接触通信を複数回行なう。非接触通信が可能であり非接触通信機能搭載機器10からの応答があった場合、リーダライタ20は、その正否を制御部102に送る。
なお、本実施形態の測定装置100には、複数のリーダライタ20が設置可能である。
【0023】
制御部102は、例えば、コンピュータ装置であり、CPU122やメモリ132などを備えてプログラムによって機能する。制御部102は、入出力装置104からの命令を受け取り、モータドライバ106、安定化電源108、恒温槽110を制御し、更にリーダライタI/F112を介してリーダライタ20を制御する。
【0024】
入出力装置104は、制御部102と接続され、ユーザの操作によって生じた信号を制御部102に送ったり、制御部102からの出力信号を受けたりする。入出力装置104は、ユーザが測定装置100を操作するためのインターフェースを有する。入出力装置104は、例えば、ディスプレイ、キーボードなどのヒューマンインターフェースを備え、ユーザは、入出力装置104を操作することによって、制御部102に測定装置100におけるその他の機能ブロックを制御することができる。
【0025】
モータドライバ106は、測定本体部114に内蔵されたモータ(図示せず。)を駆動する。モータドライバ106は、制御部102による制御信号を受けることによって測定本体部114の各可動部(図示せず。)を駆動することができる。モータドライバ106は、測定本体部114の各可動部の現在の状態を制御部102に伝える機能を有する。例えば、モータドライバ106は、位置検出部107を備えており、位置検出部107は、測定本体部114の自動エレベータ140や自動エレベータ140に設けられた把持部142の位置や方向を検出する。また、位置検出部107は、検出結果を制御部102に送る。
【0026】
安定化電源108は、電源供給部の一例であり、非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20に電源を供給する。安定化電源108は、制御部102からの制御によって電源電圧を変えることができる。
【0027】
恒温槽110は、内部に測定本体部114と非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20を収容する。恒温槽110は、制御部102からの制御によって、内部温度(測定本体部114と非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20の周辺環境温度)を任意に変えることができる。また、恒温槽110は、温度検知部111を備えており、温度検知部111は、恒温槽110の現在の内部温度を測定し、測定結果を制御部102に送る。
【0028】
リーダライタI/F112は、リーダライタ20と接続可能であり、制御部102からの制御信号をリーダライタ20に送ったり、リーダライタ20からの信号を制御部102に送ったりする。リーダライタI/F112は、測定装置100に設置可能なリーダライタ20の台数に応じた数の接続口を有する。
【0029】
測定本体部114は、測定対象の非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20が物理的に設置される。測定本体部114は、図3に示すように、自動エレベータ140と、把持部142と、台座部144とを有する。台座部144は、例えば平面上の台であり、複数のリーダライタ20が載置される。測定本体部114は、複数の可動部を備えており、可動部を駆動することによって、非接触通信機能搭載機器10の物理的位置を変えることができる。
【0030】
なお、測定装置100における一連の処理は、ハードウェアで処理してもよいし、コンピュータ上のプログラムによるソフトウェア処理で実現してもよい。また、図1に示す構成を1つの装置にまとめてもよいし、例えば制御部102と入出力装置104についてパーソナルコンピュータを使用し、その他の構成要素は別の装置としてもよい。
【0031】
次に、図2を参照して、本実施形態の測定装置100の制御部102について詳細に説明する。図2は、本実施形態の測定装置100の制御部102を示すブロック図である。
制御部102は、記憶部120と、CPU122と、メモリ132と、入出力I/F134と、電源接続部136を有する。
【0032】
記憶部120は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)、フラッシュメモリなどで構成されており、データを長期に亘って格納するための記録装置である。記憶部120は、測定項目データ、測定結果データ、プログラムなどのデータを記録することができる。
【0033】
CPU(Central Processing Unit)122は、プログラムによって演算処理装置及び制御装置として機能し、測定装置100内に設けられた各構成要素の処理を制御することができる。CPU122は、例えば、把持部制御部124と、温度制御部126と、リーダライタ制御部128と、リーダライタ切替部130とを有する。
【0034】
把持部制御部124は、モータドライバ106と接続され、位置検出部107から自動エレベータ140や把持部142の位置や方向に関する情報を受け、測定条件を満たすようにモータドライバ106を駆動するための駆動信号を生成する。
【0035】
温度制御部126は、周辺環境制御部の一例であり、恒温槽110と接続され、温度検知部111から恒温槽110内部の温度情報を受け、測定条件を満たすように恒温槽110内部の温度を制御するための制御信号を生成する。
【0036】
リーダライタ制御部128及びリーダライタ切替部130は、リーダライタI/F112と接続される。リーダライタ制御部128は、測定時における非接触通信の開始や終了、通信回数などを制御する。また、リーダライタ制御部128は、結果取得部の一例であり、非接触通信機能搭載機器10からの応答についてリーダライタ20から信号を受けて、応答の正否を判断する。
【0037】
リーダライタ切替部130は、切替部の一例であり、複数のリーダライタ20のうち選択された1つのリーダライタ20と、制御部102との電気的接続を切り替える。リーダライタ制御部128は、リーダライタ切替部130によって切り替えられて接続されたリーダライタ20に制御信号を送ったり、該リーダライタ20から測定結果に関する信号を受けたりする。
【0038】
メモリ132は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、キャッシュメモリなどの記憶部で構成されている。メモリ132は、CPU122の処理に関するデータ、CPU122の動作プログラムなどを一時的に記憶する機能を有する。
【0039】
入出力IF(インターフェース)134は、入出力装置104と接続され、CPU122に入出力装置104からの信号を送ったり、CPU122からの信号を入出力装置104に送ったりする。
【0040】
電源接続部136は、安定化電源108と接続される。制御部102のCPU122は、測定条件を満たすように安定化電源108の電源電圧を制御する。
【0041】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態の測定装置100の測定本体部114について詳細に説明する。図3は、本実施形態の測定装置100の測定本体部114を示す斜視図である。図4は、本実施形態の測定本体部114の台座部144を上部から見た平面図である。なお、図示した測定本体部114は本実施形態の一例であり、本発明はかかる例に限定されない。
【0042】
測定本体部114は、例えば、自動エレベータ140と、把持部142と、台座部144とを有する。
【0043】
自動エレベータ140には、把持部142が設けられる。自動エレベータ140は、図3に示すz軸の+方向及び−方向に把持部142を移動させることができる。把持部142は、非接触通信機能搭載機器10を把持し、図3及び図4に示すようなx軸、y軸の+方向及び−方向に非接触通信機能搭載機器10を移動させることができる。また、把持部142は、図3に示すθ軸を中心とした時計回り方向(+方向)及び反時計回り方向(−方向)に非接触通信機能搭載機器10を回転させることができる。台座部144には、複数のリーダライタ20が載置される。
【0044】
上記のように測定本体部114の各可動部が駆動することによって、非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20との位置関係を調節することができる。例えば、x軸、y軸の+方向及び−方向の移動によって位置オフセットを変えることができる。また、z軸の+方向及び−方向の移動によって非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20との距離を変えることができる。そして、θ軸を中心とした時計回り方向(+方向)及び反時計回り方向(−方向)の回転によって、非接触通信機能搭載機器10とリーダライタ20相互の対向角度を変えることができる。
【0045】
リーダライタ20は、例えば、図4に示すように、4台のリーダライタA〜Dが載置される。リーダライタ20の台数と、リーダライタ20毎の座標軸の原点からのオフセット座標と、リーダライタ20毎の制御IDを入出力装置104から入力することによって、本実施形態の測定装置100は、複数台の測定に対応することができる。なお、制御IDとは、制御部102が各リーダライタ20を識別するためのIDであり、例えば、COMポート番号、IPアドレス、USBデバイスIDなどを使用することができる。
【0046】
(第1の実施形態の動作)
次に、図5を参照して、本実施形態の測定装置100の動作について説明する。図5は、本実施形態の測定装置100の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、測定装置100では、初期設定が行なわれる(ステップS101)。初期設定は、例えば、制御部102によって制御されるモータドライバ106、安定化電源108、恒温槽110の初期化と、温度の測定ポイント(測定項目、測定条件)、電源電圧の測定ポイント、測定位置(対向角度、位置オフセット)の測定ポイント、測定距離の測定ポイント、リーダライタ20と接続されるポート(リーダライタI/F112)と、リーダライタ20の位置オフセット情報の読み込みが行われる。
【0048】
測定ポイントなどの情報は、入出力装置104を介してユーザによって入力される。例えば、ユーザインタフェースによって直接測定ポイントなどの数字を入力してもよい。または、例えば、図6に示すようなファイルを読み込んでもよい。図6は、測定項目が記載されたファイルの一例である。図6のファイルのように測定項目、測定条件等の測定情報が特定の書式で記述されていれば、様々な測定条件に応じたファイルを読み込むことで、多様な測定を行なうことが容易に可能となる。
【0049】
初期設定の後、温度設定シーケンスを行なう(ステップS102)。まず、例えば、制御部102が恒温槽110の内部温度を測定ポイントの初期値に設定する。そして、恒温槽110の内部温度が指定された温度になった後、恒温槽110は制御部102にその旨の情報を送る。その後、制御部102が初期値温度になった旨の情報を受け取った時点で、温度設定シーケンスが終了する。
【0050】
次に、リーダライタ選択シーケンスを行なう(ステップS103)。まず、最初に測定対象として指定された制御IDを有するリーダライタ20に接続が切り替えられ、位置オフセットをステップS101の初期設定シーケンスで読み込まれた値に設定する。
【0051】
次に、電源設定シーケンスを行なう(ステップS104)。ここでは、制御部102が安定化電源108を制御して、電源電圧を測定電圧に設定してシーケンスが終了となる。
【0052】
次に、位置設定シーケンスを行う(ステップS105)。ここでは、制御部102がモータドライバ106を制御して、把持部142を測定ポイントどおりの対向角度、位置オフセットに設定してシーケンスが終了となる。なお、このときの位置オフセット値は、ステップS103で選択されたリーダライタ20オフセット値を原点として設定される。
【0053】
そして、正答率測定シーケンスを行なう(ステップS106)。ここでは、制御部102がモータドライバ106を介して自動エレベータ140によって把持部142をz軸の+方向又は−方向に移動し、更に同時にリーダライタ20を制御して複数回の通信を行なって、通信の正答率の測定を行なう。
測定後、制御部102は、入出力装置104に測定条件(温度、電源電圧、位置等)や測定結果(正答率)をデータとして出力する。
【0054】
次に、位置設定の終了判定シーケンスを行なう(ステップS107)。ステップS101の初期設定シーケンスで読み込んだ位置設定が全ての測定ポイントについて終了していなければ、ステップS105の位置設定シーケンスに戻り、再度位置設定をして、ステップS106の正答率測定シーケンスを行なう。一方、位置設定が全て終了していれば、位置設定を初期化してから電源設定の終了判定シーケンス(ステップS108)に移行する。
【0055】
ステップS108の電源設定の終了判定シーケンスでも、ステップS107の位置設定の終了判定シーケンスと同様に、ステップS101の初期設定シーケンスで読み込んだ電源設定が全て終了しているかの判定を行なう。電源設定が全ての測定ポイントについて終了していれば、電源設定を初期化してから、次のリーダライタ選択の終了判定シーケンス(ステップS109)に移行する。一方、電源設定が全ての測定ポイントについて終了していなければ、全ての電源設定が終了するまで繰り返す。
【0056】
次に、ステップS109のリーダライタ選択の終了判定シーケンスでは、ステップS101の初期設定シーケンスで読み込んだリーダライタ20のオフセット位置の全てについて測定が終了しているかの判定を行なう。全てのリーダライタ20について測定が終わっていなければ、全ての設定が終了するまでステップS103のリーダライタ選択シーケンスに戻る。一方、全てのリーダライタ20の測定が終了していれば、リーダライタ選択について初期化してから、次のシーケンスに移行する。
【0057】
次のシーケンスでは、恒温槽110の内部温度を常温に戻す(ステップS110)。そして、温度設定の終了判定シーケンスを行なう(ステップS111)。全ての温度設定が終了していなければ、ステップS102の温度設定シーケンスに戻り、全ての設定が終了するまで繰り返す。そして、全ての温度設定が終了することで、本実施形態の測定装置100の一連の測定動作が終了する。これにより、初期設定で設定された温度、電源電圧位置、距離について全ての測定が完了する。
【0058】
上記の通り、本実施形態によれば、従来の測定装置では、手動で設定が必要であった対向する機器の位置関係、温度、電源電圧などの周辺環境条件について、測定前の条件指定を行なうだけで、迅速かつ容易に測定することができ、ユーザにとっては自動的に測定が完了する。また、複数のリーダライタ20について連続的に測定が可能となる。その結果、従来に比べて、同一条件で測定をする場合に、簡単かつ再現性のよい測定を行うことができる。更に、測定者の拘束時間も大幅に低減させることができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、上記実施形態では、周辺環境の制御例として、安定化電源108と恒温槽110を用いて、電源電圧や温度を制御する場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、湿度制御、妨害電波放射の有無の制御を行い、これらの測定条件のもとで測定を行ってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、測定本体部114の台座部144が固定になっている場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、台座部144が移動可能であって、更に多様な位置関係が設定可能になるとしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、非接触通信機能搭載機器10と制御部102とは接続されていない場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、非接触通信機能搭載機器10が外部から制御可能な機能を有している場合、その制御を本実施形態の制御部102が行なって、非接触通信機能搭載機器10の設定を変えるとしてもよい。これにより、非接触通信機能搭載機器10の設定条件毎に測定や記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態の測定装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】同実施形態の測定装置の測定本体部を示す斜視図である。
【図4】同実施形態の測定本体部の台座部を上部から見た平面図である。
【図5】同実施形態の測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】測定項目が記載されたファイルの一例である。
【符号の説明】
【0064】
10 非接触通信機能搭載機器
20 リーダライタ
100 測定装置
102 制御部
104 入出力装置
106 モータドライバ
108 安定化電源
110 恒温槽
112 リーダライタI/F
114 測定本体部
120 記憶部
122 CPU
124 把持部制御部
126 温度制御部
128 リーダライタ制御部
130 リーダライタ切替部
132 メモリ
134 入出力I/F
136 電源接続部
140 自動エレベータ
142 把持部
144 台座部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、前記データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する測定装置において、
前記第1の機器を把持して、複数配置された前記第2の機器のうち1つの前記第2の機器と対向するように前記第1の機器を3次元方向に移動させ、前記第1の機器を回転させる把持部と、
前記把持部の位置及び方向を検知し、第1の測定条件を満たすように前記把持部の位置及び方向を制御する把持部制御部と、
前記複数の第2の機器のうち1つの前記第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える切替部と、
前記切替部によって接続された前記第2の機器と、前記第1の機器との間の通信結果を前記第2の機器から取得する結果取得部と、
を備えることを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
複数の前記第1の測定条件を予め記憶する記憶部を備え、
前記把持部制御部は、前記記憶部に記憶された前記複数の第1の測定条件に基づいて前記把持部の位置及び方向を制御し、
前記結果取得部は、前記第1の測定条件毎に前記通信結果を取得することを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1の機器と前記第2の機器の周辺温度を検知し、第2の測定条件を満たすように前記周辺温度を制御する周辺環境制御部を備え、
前記結果取得部は、前記第2の測定条件毎に前記通信結果を取得することを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1の機器に電源を供給し、第3の測定条件を満たすように電源電圧を制御する電源供給部を備え、
前記結果取得部は、前記第3の測定条件毎に前記通信結果を取得することを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第2の機器に電源を供給し、第4の測定条件を満たすように電源電圧を制御する電源供給部を備え、
前記結果取得部は、前記第4の測定条件毎に前記通信結果を取得することを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、前記データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する測定方法において、
把持部が前記第1の機器を把持するステップと、
前記把持部が、複数配置された前記第2の機器のうち1つの前記第2の機器と対向するように前記第1の機器を3次元方向に移動させるステップと、
前記把持部が前記第1の機器を回転させるステップと、
前記把持部の位置及び方向を検知するステップと、
測定条件を満たすように前記把持部の位置及び方向を制御するステップと、
前記複数の第2の機器のうち1つの前記第2の機器と接続するように電気的接続を切り替えるステップと、
前記切り替えによって接続された前記第2の機器と、前記第1の機器との間の通信結果を前記第2の機器から取得するステップと、
を含むことを特徴とする、測定方法。
【請求項7】
無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器に対して、前記データを送受信する第2の機器の通信状態を測定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、
前記第1の機器を把持する把持部が、複数配置された前記第2の機器のうち1つの前記第2の機器と対向するように前記第1の機器を3次元方向に移動させる手段、
前記把持部が前記第1の機器を回転させる手段、
前記把持部の位置及び方向を検知する手段、
測定条件を満たすように前記把持部の位置及び方向を制御する手段、
前記複数の第2の機器のうち1つの前記第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える手段、
前記切り替えによって接続された前記第2の機器と、前記第1の機器との間の通信結果を前記第2の機器から取得する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
無線通信でデータを受信し該データを記憶する第1の機器と、
前記第1の機器に対して、前記データを送受信する第2の機器と、
前記第2の機器の通信状態を測定する測定装置と、
を備え、
前記測定装置は、
前記第1の機器を把持して、複数配置された前記第2の機器のうち1つの前記第2の機器と対向するように前記第1の機器を3次元方向に移動させ、前記第1の機器を回転させる把持部と、
前記把持部の位置及び方向を検知し、第1の測定条件を満たすように前記把持部の位置及び方向を制御する把持部制御部と、
前記複数の第2の機器のうち1つの前記第2の機器と接続するように電気的接続を切り替える切替部と、
前記切替部によって接続された前記第2の機器と、前記第1の機器との間の通信結果を前記第2の機器から取得する結果取得部と、
を有することを特徴とする、測定システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−187427(P2009−187427A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28613(P2008−28613)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(504134520)フェリカネットワークス株式会社 (129)
【Fターム(参考)】