説明

測定装置

【課題】機能設定の表示項目の選択を可能とするとともに、設定操作のセキュリティを強化した測定装置を実現する。
【解決手段】測定装置に関し、特に、機能設定の安全性を改善した測定装置に関するものである。測定中に設定項目の設定変更が可能な第1の設定群と、測定中に設定項目の設定変更が不可能な第2の設定群と、第1及び第2の設定群の設定項目の表示状態を制御する表示制御手段と、第2の設定群の設定項目のセキュリティ状態を制御するセキュリティ制御手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関し、特に、機能設定の安全性を改善した測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レコーダ等の測定装置においては、入力レンジ、アラーム等の機能設定を個別に行うことで、それぞれのユーザが測定装置を使い易い状態にして使用している。
【0003】
図5は従来の測定装置における機能設定の操作手順を示す図である。
測定装置には、運転モードM1、セットモードM2、セットアップモードM3の3つの機能設定のモードがある。運転モードM1は、運転操作を行うモードである。セットモードM2は、入力レンジ、アラーム、記録紙送り速度等を設定するモードであり、測定中に設定を変更する場合がある。セットアップモードM3は、熱電対のバーンアウト検知機能、アラーム出力リレーの動作等、測定装置の基本仕様を設定するモードであり、一度設定すると測定中は設定を変更しない。
【0004】
運転モードM1からセットモードM2に移動するには、「MENU」キーを3秒押すことで実現する。ここで、「MENU」キーのキーロック機能を有効にすることで、セットモードM2に入ることを防止することができる。
セットモードM2からセットアップモードM3に移動するには、「DISP」キーと「FUNC」キーを同時に3秒押すことで実現する。
【0005】
ユーザが必要とする表示画面だけをユーザが表示したい順序で表示する測定装置を示したものとして、例えば特許文献1に記載されたものがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−69797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セットアップモードにある設定項目は、測定装置の基本仕様を設定するモードであるので、設定変更によって測定装置の根本的な動きに影響が生じてしまう。セットモードからセットアップモードへは、「DISP」キーと「FUNC」キーを同時に3秒押すという操作が必要であるので、不用意な誤設定は防ぐことができるものの、このキー操作をすれば誰でも設定が可能となるため、セキュリティ上の問題があった。
【0008】
レコーダ等の測定装置が、セットメーカを通じてエンドユーザに納入される場合、セットメーカにとっては、セットアップモードの全設定項目に対してエンドユーザが自由に変えられるのは不都合な場合がある。また、エンドユーザにおいても、実際の操作者と設定者は異なることもあり、操作者に対してセットアップモードの設定項目を制限したい場合もある。このような場合に設定されたくない項目を項目ごとに設定できないようにしたり、あらかじめ表示しないようにすることはできなかった。
【0009】
また、キーロック機能を有効にすれば、「MENU」キーがロックされ、セットモードに入ることができなくなるが、同時に、セットアップモードにも入ることができなくなる。これにより、ある程度はセキュリティ性を確保することができるが、一切の設定変更ができなくなり不便であった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、機能設定の表示項目の選択を可能とするとともに、設定操作のセキュリティを強化した測定装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明は次のとおりの構成になっている。
(1)機能の設定項目を設定することで、設定内容に従って動作する測定装置において、
測定中に設定項目の設定変更が可能な第1の設定群と、
測定中に設定項目の設定変更が不可能な第2の設定群と、
該第2の設定群の設定項目のセキュリティ状態を制御するセキュリティ制御手段と、
前記第1及び第2の設定群の設定項目の表示状態を制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする測定装置。
【0012】
(2)前記第2の設定群は、セキュリティ機能の使用不使用情報、ユーザ情報及び各設定項目のセキュリティの有効無効情報を設定するセキュリティ設定部と、前記第1の設定群の設定項目を表示器に表示するか表示しないかを設定する表示設定部とを有し、前記セキュリティ制御部は、前記セキュリティ設定部の設定情報をもとに設定項目のセキュリティ状態を制御し、前記表示制御手段は、前記表示設定部の設定情報をもとに設定項目の表示状態を制御することを特徴とする(1)記載の測定装置。
【0013】
(3)前記セキュリティ制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティ機能の使用不使用情報で使用設定された場合、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報の設定を機能するようにすることを特徴とする(2)記載の測定装置。
【0014】
(4)前記セキュリティ制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティ機能の使用不使用情報が使用設定された場合において、前記第2の設定群の設定項目を設定するセキュリティのレベルを第1又は第2のセキュリティレベルから選択可能で、第1のセキュリティレベルを選択時には、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で無効設定された設定項目のみ設定可能とし、第2のセキュリティレベルを選択時には、前記セキュリティ設定部のユーザ情報との対比によるユーザ認証の後、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目についても設定可能とすることを特徴とする(2)又は(3)記載の測定装置。
【0015】
(5)前記ユーザ情報は、パスワードであることを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかに記載の測定装置。
【0016】
(6)前記ユーザ情報は、ハードウェアキーであることを特徴とする(2)乃至(4)のいずれかに記載の測定装置。
【0017】
(7)前記表示制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目は、無効設定された設定項目とは色を変えて表示することを特徴とする(2)乃至(6)のいずれかに記載の測定装置。
【0018】
(8)前記表示制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目のみ表示することを特徴とする(2)乃至(7)のいずれかに記載の測定装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば次のような効果がある。
機能設定の表示する項目を選択可能とし、設定項目を表示しないことにより不用意な設定変更を防ぐことができる。
また、機能設定の際に、操作者の認証を行うことにより、設定操作のセキュリティを強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示す構成図である。
測定装置1には、運転モードM1、セットモードM2、セットアップモードM3の3つの機能設定のモードがある。運転モードM1は、運転操作を行うモードである。セットモードM2は、入力レンジ、アラーム、記録紙送り速度等を設定するモードであり、測定中に設定を変更する場合がある。セットアップモードM3は、熱電対のバーンアウト検知機能、アラーム出力リレーの動作等、測定装置の基本仕様を設定するモードであり、一度設定すると測定中は設定を変更しない。
第1の設定群10は、セットモードM2において設定される設定項目群であり、第2の設定群20は、セットアップモードM3において設定される設定項目群である。測定装置1は、各設定項目を設定することで、設定内容に従って動作することができる。
【0021】
第2の設定群20には、第2の設定群20の設定項目を設定操作する際にセキュリティ機能を使用するか使用しないかの情報21aと、設定操作を行うパスワード等のユーザ情報21bと、第2の設定群20の各設定項目のセキュリティを有効にするか無効にするかの情報21cを設定するセキュリティ設定部21がある。セキュリティ制御手段30は、セキュリティ設定部21の情報をもとに、第2の設定群20の各設定項目のセキュリティ状態を制御する。
第2の設定群20には、第1の設定群の設定項目を表示器に表示するか表示しないかを設定する表示設定部22がある。表示制御手段40は、表示設定部22の情報をもとに、第1の設定群10の各設定項目をどのように表示器に表示するかを制御する。
【0022】
図2は本発明の測定装置における機能設定の操作手順を示す図である。
図1のセキュリティ設定部21のセキュリティ機能の使用不使用情報21aが不使用に設定された場合、従来と同様の動作となり、セットモードM2からセットアップモードM3へは、「DISP」キーと「FUNC」キーを同時に3秒押すことで移動し、セットアップモードM3の設定項目の全てを設定操作可能となる。
セットモードM2へ戻るには、「ESC」キーを押す。
一方、セキュリティ設定部21のセキュリティ機能の使用不使用情報21aが使用に設定された場合、セットモードM2からセットアップモードM3へ「DISP」キーと「FUNC」キーを同時に3秒押すことで移動すると、選択メニュー(A)が表示される。選択メニュー(A)により、セットアップモードM3の設定操作を第1のセキュリティレベル(セキュリティなし)で行うか、第2のセキュリティレベル(セキュリティあり)で行うかの選択を行う。
【0023】
選択メニュー(A)でセキュリティなしを選択した場合、セキュリティ設定部21のセキュリティ機能の有効無効情報21cで無効設定された設定項目のみが表示され、設定を変更することができる(B)。
別の構成としては、セキュリティ設定部21のセキュリティ機能の有効無効情報21cで有効設定された設定項目は、色を変えて表示はされるが、無効設定された設定項目のみ設定を変更することができるようにしてもよい。
【0024】
選択メニュー(A)でセキュリティありを選択した場合、ユーザ情報の確認(C)に入り、ユーザ認証を行う。ユーザ情報としては、例えば、ソフトウェア的なパスワード等によるものや、ハードウェア的なキー等によるものがある。
セキュリティ設定部21のユーザ情報21bとの対比によりユーザ認証が失敗すると、エラーメッセージが表示され、何かキーを押すとユーザ情報の確認(C)に戻る。
ユーザ認証から抜けるには、「ESC」キーを押す。
ユーザ認証に成功すると、セットアップモードM3の全設定項目が表示され、設定を変更することができる(D)。
【0025】
このように、選択メニュー(A)でセキュリティなしを選択した場合には、セットアップモードM3の設定項目のうち、設定できる項目を制限(B)することによりセキュリティを強化することができる。
また、選択メニュー(A)でセキュリティありを選択した場合には、セットアップモードM3の設定できる項目を制限する代わりに、ユーザ情報の確認(C)をすることにより、セキュリティを強化することができる。この場合、ユーザ情報の確認は、設定項目に対して一括して行ってもよく、設定項目ごとに行ってもよい。
【0026】
図3は本発明のセキュリティ制御の説明図である。
図1のセキュリティ設定部21の設定前の状態と設定後の状態を示しており、設定は測定装置1の内部RAMに保存される。
図2の選択メニュー(A)でセキュリティなしを選択した場合、セキュリティ設定部21のセキュリティ機能の有効無効情報21cで無効設定された設定項目(AD積分,演算機能)のみが表示され、有効設定された設定項目(測定周期)は表示されないので、不用意に設定内容が変更されることがなくなる。
【0027】
図4は本発明の表示制御の説明図である。図4(a)は第1の設定群の表示設定状態を示す図であり、図4(b)は図4(a)で設定状態を反映した表示例を示した図である。
図1の表示設定部22の設定前の状態と設定後の状態を示しており、設定は測定装置1の内部RAMに保存される。
セットモードM2においては、表示設定部22で表示設定された設定項目(アラーム)のみが表示されるので、非表示設定された設定項目(レンジ、単位、日付)については不用意に設定内容が変更されることがなくなる。また、この表示設定部22は、セットアップモードM3の設定項目であるので、このセットモードM2の表示非表示の設定項目自体のセキュリティ性も確保することができる。
【0028】
セキュリティ設定部21のセキュリティ機能の有効無効情報21cで有効設定された設定項目は、設定内容を印字する時には印字されないようにすれば、さらにセキュリティを強化することができる。
【0029】
実施例においては、セットモード及びセットアップモードを対象に説明をしたが、ファンクション操作などの操作モード等についても同じようにセキュリティ強化することができる。また、通信コマンドに同じようにセキュリティ性を持たせれば、ユーザ認証なしには通信コマンドを実行することができなくなり、セキュリティ強化となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の測定装置における機能設定の操作手順を示す図である。
【図3】本発明のセキュリティ制御の説明図である。
【図4】本発明の表示制御の説明図である。
【図5】従来の測定装置における機能設定の操作手順を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 測定装置
10 第1の設定群
20 第2の設定群
30 セキュリティ制御手段
31 セキュリティ機能設定部
32 ユーザ情報登録部
33 セキュリティ設定部
40 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能の設定項目を設定することで、設定内容に従って動作する測定装置において、
測定中に設定項目の設定変更が可能な第1の設定群と、
測定中に設定項目の設定変更が不可能な第2の設定群と、
該第2の設定群の設定項目のセキュリティ状態を制御するセキュリティ制御手段と、
前記第1及び第2の設定群の設定項目の表示状態を制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記第2の設定群は、セキュリティ機能の使用不使用情報、ユーザ情報及び各設定項目のセキュリティの有効無効情報を設定するセキュリティ設定部と、前記第1の設定群の設定項目を表示器に表示するか表示しないかを設定する表示設定部とを有し、前記セキュリティ制御部は、前記セキュリティ設定部の設定情報をもとに設定項目のセキュリティ状態を制御し、前記表示制御手段は、前記表示設定部の設定情報をもとに設定項目の表示状態を制御することを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記セキュリティ制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティ機能の使用不使用情報で使用設定された場合、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報の設定を機能するようにすることを特徴とする請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記セキュリティ制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティ機能の使用不使用情報が使用設定された場合において、前記第2の設定群の設定項目を設定するセキュリティのレベルを第1又は第2のセキュリティレベルから選択可能で、第1のセキュリティレベルを選択時には、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で無効設定された設定項目のみ設定可能とし、第2のセキュリティレベルを選択時には、前記セキュリティ設定部のユーザ情報との対比によるユーザ認証の後、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目についても設定可能とすることを特徴とする請求項2又は3記載の測定装置。
【請求項5】
前記ユーザ情報は、パスワードであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記ユーザ情報は、ハードウェアキーであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目は、無効設定された設定項目とは色を変えて表示することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記セキュリティ設定部のセキュリティの有効無効情報で有効設定された設定項目のみ表示することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−171116(P2007−171116A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372596(P2005−372596)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】