測定装置
【課題】 感度を保ちながら高い分解能を場所依存なく得られる測定装置を提供する。
【解決手段】 光を照射された被検体から発生する音響波を受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、音響検出手段が第1および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて被検体の画像データを生成する処理装置を有し、第1および第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように音響検出手段が配置される測定装置を用いる。
【解決手段】 光を照射された被検体から発生する音響波を受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、音響検出手段が第1および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて被検体の画像データを生成する処理装置を有し、第1および第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように音響検出手段が配置される測定装置を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エックス線、超音波エコーを用いたイメージング装置は医療分野を中心に非破壊検査を必要とする多くの分野で使われている。医療分野におけるイメージング装置については、生体の生理的情報、つまり機能情報がガン等の疾患部位の発見に有効なことから、近年機能情報のイメージングの研究が行われてきた。機能情報を用いた診断方法の一つとして光イメージング技術の一つであるPhotoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案されている。エックス線診断や超音波エコーを用いた診断では生体内の形態情報しか得られないのに対し、光音響トモグラフィーでは非侵襲で形態、機能情報を得られることが特徴である。
【0003】
光音響トモグラフィーは、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝播・拡散した光のエネルギーを吸収した生体組織から発生した音響波を画像化する技術である。つまり受信された音響波の時間による変化を、被検体を取り囲む複数の個所で検出し、得られた信号を数学的に解析処理、すなわちバックプロジェクションすることで、被検体内部の光学特性値に関連した情報を三次元で可視化する。
【0004】
バックプロジェクションとは、被検体中の音響波の伝播速度を考慮し、各受信信号を逆に伝搬させ、重ね合わせることにより信号源を特定する計算手法である。本技術により被検体内の初期圧力発生分布より生体の光吸収係数分布などの光学特性値分布を得ることができ、被検体内部情報を得ることができる。特に近赤外光は生体の大部分を構成する水を透過しやすく、血液中のヘモグロビンで吸収されやすい性質を持つため、血管像をイメージングすることが可能である。
【0005】
光音響トモグラフィーには、音響検出器の位置の違いによって平面型、円周型と呼ばれるものがある。すなわち、音響検出器が、一平面上に位置しているものが平面型(非特許文献1)、被検体を取り囲むような円周上に位置しているものが円周型(特許文献1)である。それぞれ特徴を持つが、人体のような大型のものを測定する場合、平面型の方が装置を小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0238958号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Srirang Manohar,et al.“Region−of−interest breast studies using the Twente Photoacoustic Mammoscope (PAM)”Proc.of SPIE Vol.6437(2007)643702−9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分解能に関しては平面型、円周型それぞれに下記に述べるような課題がある。
【0009】
被検体中を音響波の伝播速度を用いてバックプロジェクションを行う場合、非特許文献1のような平面型は、横分解能と感度がトレードオフの関係になる。平面型では音響検出器面と平行な方向の分解能(横分解能)は主に音響検出器の素子幅で決まり、音響検出器面と垂直な方向の分解能(奥行分解能)は、素子の周波数で決まる。横分解能を向上させるために素子幅を小さくすると音響波の受信面積が減少して感度が低下してしまうというように、横分解能と感度にはトレードオフの関係がある。このように横分解能の向上に限界があるため、一般的に奥行分解能の方が横分解能より良い。
【0010】
一方、特許文献1のような円周型は被検体からの信号を全角度から受信することができるので平面型より分解能が良いが、分解能に場所依存性があり、円の中心から外側に行くに従って分解能は悪くなる。音響検出器は正面の受信感度が高く、円周型では全ての音響検出器は円の中心を向いているため、中心付近から発生した音響波は全ての音響検出器で検出される。バックプロジェクションによって各検出器の受信信号を重ね合わせる際、検出器は周りを囲むように配置してあり、全ての検出器の奥行き方向の情報を重ね合わせることになるので、横分解能も奥行分解能と同等になる。一方で、円の中心から外れた外側では一部の音響検出器にしか感度が無く、バックプロジェクションに一部の検出器の受信信号しか用いることができない。さらに、その検出器同士の角度は近いので、平面型に近くなってくる。したがって、円の外側に近づくにしたがって、横分解能が平面型の横分解能と近くなり、中心付近と比べて分解能が悪化する。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、感度を保ちながら高い分解能を場所依存なく得られる測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、被検体を保持する保持部材と、光を照射された被検体から発生する音響波を前記保持部材を介して受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、前記音響検出手段が、第1の測定位置および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて、被検体の画像データを生成する処理装置と、を有し、第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲と第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように、前記音響検出手段が配置される測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感度を保ちながら高い分解能を場所依存なく得られる測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図4】A、Bは本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図5】本発明の配置の説明に用いる定義を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図7】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図8】A、Bは本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図9】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図10】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図11】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図13】実施例を説明するための音圧分布の計算結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の基本的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態においては、測定装置として光音響トモグラフィーの技術を用いたイメージング装置について説明する。
【0016】
図1は、本発明のイメージング装置の第一の実施形態について示したものである。イメージング装置の測定対象は被検体3である。
【0017】
本実施形態におけるイメージング装置は、パルス光を発生する光源1と、光源1で発生させたパルス光を被検体3に導く光照射装置2と、パルス光に励起された音響波を電気信号に変換する複数の音響検出器4とを含む。イメージング装置はさらに、光照射装置2と複数の音響検出器4を対応させて移動させる走査制御装置5と、音響検出器からの電気信号を増幅しアナログデジタル変換して保存する電気信号処理装置7とを含む。イメージング装置はさらに、デジタル信号を用いてバックプロジェクションなどを行い被検体内部情報に関する画像データを生成するデータ処理装置8と、結果を表示する表示装置9から構成される。
【0018】
なお、音響検出器4は、音響波を検出する素子が平面内方向に複数並べてあり、一度に複数位置の信号を得ることができる。また、複数の音響検出器4は検出ユニット6を構成し、複数の音響検出器4の相対位置が固定されている。本実施形態の場合、複数の音響検出器4で音響検出手段を構成する。
【0019】
図1、図2を参照して実施方法について述べる。
【0020】
図2は本発明の実施方法を示したフロー図である。
【0021】
最初に、被検体3の測定対象領域が測定できるように走査制御装置5により光照射装置2と音響検出器4を移動させる(ステップS1)。音響検出器4の移動は、後に述べる各音響検出器の相対的配置を変えないように、検出ユニット6ごと移動する。このとき、光照射装置2も同期させて走査させることが望ましい。
【0022】
続いて、光照射装置2からパルス光を照射する(ステップS2)。光音響効果によって被検体から発生した音響波を複数の音響検出器4(平面アレイ型音響検出器)で受信し電気信号に変換する。電気信号処理装置7によって電気信号を増幅し、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータを音響信号とする。
【0023】
続いて、デジタルデータをメモリ等に保存する(ステップS3)。その際、測定した位置を同時に保存しておく。なお、一度に測定できる領域は平面アレイ型音響検出器4の大きさや後述する設置方法によって決定される。
【0024】
続いて、被検体3中で測定の済んだ測定領域が、所望の範囲に達しているかどうかを判定する(ステップS4)。測定領域が所望の範囲に達していなければ(S4=NO)、測定した領域が所望の範囲に達するまでS1からS3を繰り返す。
【0025】
測定した領域が所望の大きさに達した場合(S4=YES)、保存したデジタルデータとそれぞれの測定位置の情報をもとにバックプロジェクションを行い、音響波が発生したときの音圧分布(初期音圧分布)を作成する(ステップS5)。ここで、本発明において画像データとして作成される被検体内部の分布は、被検体内の初期音圧分布だけでなく、初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や、吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布でも良い。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
最後に、この分布を表示装置9に表示させる(ステップS6)。
【0026】
次に、本発明による平面アレイ型音響検出器の設置方法について図3から図7を参照して説明する。
【0027】
図3は音響検出器と被検体の配置を示した図である。音響検出器4は複数の素子14が一平面内に配置された平面アレイ型音響検出器であり、その受信面、つまり素子の並んだ面は音響波伝播媒体13を介して被検体保持板15と接触している。被検体保持板15は被検体3を保持する保持部材である。2つの音響検出器4は、それぞれ第1の測定位置に配置される第1の検出器、第2の測定位置に配置される第2の検出器と言える。
【0028】
音響波伝播媒体13、被検体保持板15は被検体3と音響検出器4との音響インピーダンスマッチングがとれ、光10に対して透明なものが望ましい。被検体3が生体の場合、音響波伝播媒体13としては水など、被検体保持板15としては樹脂材料などが考えられる。
【0029】
光照射装置2により出射された光10は測定領域に近い部位から照射するのが望ましい。ここでは、被検体界面で発生する音響波が、被検体内部で発生した音響波に重畳しないように、被検体を挟んで音響検出器の反対側から光を照射している。ただし、測定領域に十分な光が届くようであれば、光10はどこから照射してもよい。本発明の光照射装置2は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を分散・屈折・反射するプリズム、光を伝搬させる光ファイバ、拡散板等が挙げられる。光源が半導体レーザー等の小型の場合、光源自体を光照射装置とし、直接光源から被検体に光を照射してもよい。
【0030】
音響検出器4は指向性を持っており、正面方向(受信面に垂直な方向)から角度がつくに従い感度が低下する。ここでは、音響検出器4の有効受信範囲を、音響検出器正面の最大受信感度に対し、50%の感度がある角度内の領域であると定義する。指向性は音響検出器の中心周波数や大きさによって決定される。図中では、有効受信範囲11を、複数の素子14が並んだ受信面の両端から垂直に伸ばした点線の範囲内の領域であるものとする。ただし、測定によっては50%未満の感度であっても十分な感度である場合もある。その場合、有効受信範囲は測定に対して十分な感度を有する範囲とする。
【0031】
音響検出器4を走査させた場合、図4Aに示すように各走査位置(走査位置1、走査位置2)における有効受信範囲11を合計した領域が、その音響検出器の有効受信範囲となる。音響検出器4は、図3に示したように、2機設けられ、その有効受信範囲11が被検体3の内部で重なるように設置する。全ての音響検出器で測定された範囲、つまり全ての音響検出器の有効受信範囲が重なって形成された領域を重畳領域として定義する。
【0032】
図3において、重畳領域12は、有効受信範囲11のうち、太い一点鎖線で囲まれている部分である。さらに、分解能の場所依存性をなくすために、重畳領域は被検体の奥行き(図3における上下方向)より大きな奥行きを持つように形成される。重畳領域がそのような奥行きを持つように、音響検出器の角度、大きさ、走査幅、音響検出器の被検体からの距離、音響検出器間の距離を調整する。このとき、音響検出器は互いに交差する角度で設置する必要がある。
【0033】
このことを、図5を参照しつつ式で表す。図5にあるように、被検体と被検体保持板の界面を奥行き方向のゼロ点として、被検体厚さをt、被検体と被検体保持板の界面の法線に対する音響検出器1の角度をφ1、同じく音響検出器2の角度をφ2とする。また、被検体と被検体保持板の界面からの音響検出器1の受信面中心部の奥行き方向の距離をy1、同じく音響検出器1の受信面中心部の奥行き方向の距離をy2とする。また、音響検出器1と音響検出器2の受信面中心部の横方向距離をx、音響検出器1、音響検出器2の幅をaとする。このとき、音響検出器1、2は、以下の式(1)、式(2)を満たすように設置する。
【0034】
【数1】
【0035】
音響検出器(の検出ユニット)を走査した場合は、重畳領域は図4Bのようになる。このとき、走査によって音響検出器の幅aがa’になったと考えて、音響検出器1、2が式(1)、式(2)を満たすように設置する。
【0036】
音響検出器4は被検体保持板15の法線に対して、有効受信範囲の中心軸が線対称に設置されることが望ましいが、図6のように非対称であってもよい。音響検出器が素子を平面に配列した2次元アレイの場合、概ねその平面の法線方向が有効受信範囲の中心軸となる。
【0037】
さらに、図7のように被検体保持板15として2つの部材を被検体の両側に設け、両側に角度の異なる音響検出器4を設けてもよい。音響整合性を高めることを目的として、被検体保持板と被検体との間にジェル等の音響波伝播媒体を介在させてもよい。
【0038】
また、図8Aのように重畳領域が被検体の厚みに足りていない場合でも、図8Bのように音響検出器を走査させることによって重畳領域の大きさを被検体の厚みより大きくして測定できる。
【0039】
音響検出器の交差角度、つまりφ1−φ2が90度のとき、各素子の信号を各素子の位置から逆投影、つまりバックプロジェクションすると、重畳領域12では音響検出器の互いの奥行分解能で見ることになるので横分解能も奥行分解能と同等になる。同じ素子サイズの平面型と比べると、感度を保ったまま高分解能を実現できる。さらに、音響検出器の素子は平面に並んでいるので、素子の正面である有効受信範囲11における奥行分解能は場所依存性が無く均一であり、重畳領域12においても場所依存性のない奥行分解能が重なったものなので、同じく均一である。
【0040】
また、光音響トモグラフィーでは光吸収体の形状によって音波の進む方向が異なるため、一方向だけに設置された音響検出器だけでは、光吸収体の形状を再現できないことがある。しかし本発明では複数の音響検出器は互いに異なる方向を向いているので、相補的に光吸収体の形状を再現できるという副次的効果もある。
【0041】
加えて、平面型のバックプロジェクションで得られた分布には、情報不足によりアーチファクトやゴーストと呼ばれる虚像が現れることがある。しかし本発明では、この虚像についても、複数方向からの情報を得ることで低減することができる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2では、重畳領域の初期音圧を簡便に得る方法について述べる。本実施形態の装置の構成および配置は実施形態1と同様であり、方法のみが異なる。以下、図9のフローを参照しつつ、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0043】
ステップS1からS3では、実施形態1と同様に走査、光の照射、音響信号と位置の保存を行う。
【0044】
その後、データ処理装置8において、片方の音響検出器の信号と位置を用いてバックプロジェクションを行い、有効受信範囲の初期音圧分布を求め、結果を保存する(第1の画像データ)。その後、もう片方の音響検出器についても同様に、有効受信範囲の初期音圧分布を求め、結果を保存する(ステップS7、第2の画像データ)。
【0045】
次に、それぞれの音響検出器について得られた初期音圧分布が所望する範囲に達しているかどうかを判定する(ステップS4)。達していない場合(S4=NO)、所望の範囲に達するまでS1からS3及びS7を繰り返す。
【0046】
達している場合(S4=YES)、保存されている初期音圧分布を合成する(ステップS8)。初期音圧分布はそれぞれの音響検出器ごとに作成されているので、重畳領域を作成する際、重ね合わせ処理を行う。各初期音圧分布の重ね合わせ処理には、値が近い時に重ね合わせ効果が強調される積の平方根を取る方法が好ましいが、平均や二乗平均平方根を取る方法であってもよい。これにより被検体の画像データが生成される。
最後に、結果を表示装置9に表示させる(ステップS6)。
【0047】
本実施形態では、バックプロジェクションを簡便にすることで、計算時間や計算装置などのリソースを減らすことができる。
【0048】
<実施形態3>
実施形態1を三次元に拡張した例について図10を用いて述べる。
【0049】
装置の構成および測定の方法は実施形態1または実施形態2と同様であり、配置のみが異なるため、配置について説明する。
【0050】
図10は本実施形態における音響検出器4の配置を示した図である。平面17は被検体保持板界面を表しており、紙面の手前側が被検体保持板および被検体の存在する領域である。ここでは図面の都合上、平面17は音響検出器4の角を結ぶ範囲しか描いていないが、同じ平面上で範囲を広げることも可能である。音響検出器4は複数の素子が一平面内に配置された平面アレイ型音響検出器であり、その受信面は図示されていない音響波伝播媒体を通して被検体保持板界面17と接触している。
【0051】
光照射装置2(不図示)により輸送された光は、測定領域に測定に足る量が届くように照射される。音響検出器4は3機設けられ、それぞれが、点線で囲まれる直方体で示される、有効受信範囲11を持つ。そして、有効受信範囲11が被検体の内部で重なるように設置される。3機それぞれに対応する有効受信範囲11が重なった領域が、重畳領域12である。さらに、音響検出器は互いに交差するように設置され、互いに90度の交差角度になることが望ましい。交差角度が90度のとき、各素子の信号を各素子の位置からバックプロジェクションすると、重畳領域12では平面型の感度を保ったまま、場所依存性なく高分解能を実現できる。
【0052】
本実施形態では、三次元の全ての方向に対して、場所依存なく高分解能を実現できる。
【0053】
<実施形態4>
実施形態1において二つある音響検出器を一つの音響検出器で行う方法について述べる。
【0054】
本実施形態の装置の構成は実施形態1において二つある音響検出器のうちの一つを取り払ったものである。また、実施形態1における二つの音響検出器の配置をそれぞれ測定位置1、測定位置2とする。例えば図3における2機の音響検出器4のうち1機を取り除き、残った音響検出器が左側にあるとき測定位置1(第1の測定位置)とし、右側にあるとき測定位置2(第2の測定位置)とする。本実施形態の場合、一つの音響検出器4で音響検出手段を構成する。
【0055】
実施方法について図11のフローを用いて述べる。
本実施形態では、最初に測定位置1に音響検出器を移動させる(ステップS9)。
そしてパルス光を照射し(ステップS2)、音響信号を受信して測定位置とともに保存する(ステップS3)。
【0056】
次に、測定位置2に音響検出器を移動させる(ステップS10)。
そして同様にパルス光を照射し(ステップS11)、音響信号を受信して測定位置とともに保存する(ステップS12)。この際の音響検出器の移動は機械を用いて動かすことが望ましいが、手動であってもよい。
【0057】
次に、測定領域が所望する大きさに達しているかどうかを判断する(ステップS4)。達していない場合(S4=NO)、被検体の異なる領域を測定できるように測定位置1、測定位置2を設定し、測定領域が所望の大きさになるまでS9、S2、S3、S10、S11、S12を繰り返す。
測定領域が所望の大きさになったら(S4=YES)、保存している信号と測定位置の情報を用いてバックプロジェクションを行い(ステップS5)、結果を表示する(ステップS6)。
【0058】
本実施形態では、一つの音響検出器で本発明を実施することができ、コストを抑えることができる。
【0059】
<実施形態5>
ここでは、音響検出器の配置について、図12を用いて述べる。
【0060】
図12に示すように、通常、音響検出器4の有効受信範囲11は、音響検出器4の正面だけでなく、音響検出器4の正面の外側まで広がる。そして、音響検出器4の角度は、この広がり分を含めた有効受信領域からの音響波を全反射しないように配置することが望ましい。
【0061】
したがって、図14のように、音響検出器の検出面と被検体保持板のなす角度をθ1、音響検出器の指向角をθ2、被検体3の内部で発生した音響波が被検体3と被検体保持板15との界面で全反射する角度をθ3、音響検出器同士の交差角度θ4とすると式(3)を満たすことが望ましい。
【0062】
【数2】
【0063】
さらに、音響検出器同士の交差角度は90度に近い方が分解能が向上するので、式(4)のように音響検出器4の角度を決定することが、より望ましい。
θ1=θ3−θ2 ・・・(4)
さらに、音響検出器4は、被検体保持板15の法線に対して線対称に置くことが望ましく、そのとき式(5)の関係が成り立つ。
θ4=2θ1 ・・・(5)
したがって、式(6)のように音響検出器4の角度を決めることが望ましい。
θ4=2θ1=2(θ3−θ2) ・・・(6)
なお、本実施形態では、被検体3と音響検出器4との間に被検体保持板15が設けられた場合で説明したが、被検体3と音響検出器4との間に音響波伝播媒体を設けている場合にも、被検体と音響波伝播媒質との界面での音響波の全反射を考慮して音響検出器4を配置することが好ましい。また、被検体保持板15と音響波伝播媒体との界面での音響波の全反射についても考慮することが好ましい。
【0064】
<実施例>
二次元のシミュレーションを用いて、本発明を実施した結果を示す。まず比較例として一平面型の音響検出器で実施した結果について示し、次に本発明の実施結果を示す。ここでは円状の音源から検出器位置での信号をシミュレーションし、さらにその信号を用いてバックプロジェクションを行い、結果を得た。図13はバックプロジェクションによって得られた結果の上に、シミュレーション体系を重ね合わせて表示させたものである。
【0065】
比較例の平面型について図13(a)を参照して説明する。音響検出器は一平面であり、2mm幅の素子を30個並べ60mm幅とした。音響検出器と被検体の間には10mmの被検体保持板を音響検出器と平行に設置し、それより音響検出器から遠い側を被検体とした。音源は直径1mmの円であり、音響検出器からみて中央に20mm離れた場所、つまり被検体保持板と被検体の界面から10mm離れた場所に設置した。音波の伝播速度は被検体保持板中において2200(m/s)、被検体中において1500(m/s)とし、密度は被検体保持板を0.83(g/cm3)、被検体を1(g/cm3)とした。
【0066】
以上の体系においてシミュレーションを行い、得られた音圧分布を図13(a)に示す。音響波伝播媒質の中に音響の干渉による像が現れているが、実際には被検体のみに注目し、被検体の中だけを結果として得る。被検体中央に示された濃い部分が、バックプロジェクションによって得られた音源である。
【0067】
次に、本発明を実施した例について図13(b)を参照して説明する。音響検出器は2mm幅の素子を15個並べた30mm幅のものを二つ用意し、互いの中心部で57mm離し、交差角度φ1−φ2が60度になるように設置した。次に、比較例と同様に10mm厚の被検体保持板を設置し、さらに遠い側を被検体とする。被検体保持板の法線と音響検出器受信面の法線の交差角度、つまりφ1、φ2がφ1=30度、φ2=−30度となるように被検体保持板を設置した。
【0068】
分解能のことのみを考えると、音響検出器同士の交差角度は90度とすることが望ましい。しかし、そのときφ1、φ2の絶対値は45度となり、後に述べる被検体保持板と被検体の物性によって、音源からの音波が被検体保持板と被検体の間で全反射し、音響検出器まで伝播しない。そこで、音響検出器同士の交差角度φ1−φ2を60度とした。音響検出器と被検体保持板の間には音響波伝播媒質を設置する。音源は、音源は直径1mmの円であり、両方の音響検出器から等しい距離で被検体保持板と被検体の界面から10mm離れた場所に設置した。音波の伝播速度は音響波伝播媒質において1500(m/s)、被検体保持板中において2200(m/s)、被検体中において1500(m/s)とした。密度は音響波伝播媒質を1(g/cm3)、被検体保持板を0.83(g/cm3)、被検体を1(g/cm3)とした。
【0069】
以上の体系においてシミュレーションを行い、得られた音圧分布を図13(b)に示す。比較例と同様に音響波伝播媒質の中に音響の干渉による像が現れているが、実際には被検体のみに注目し、被検体の中だけを結果として得る。被検体中央に示された濃い部分が、バックプロジェクションによって得られた音源である。
【0070】
音源はどちらも直径1mmの円であるが、音源の像の横向きの大きさについて比較すると、平面型では約2mmあるのに対し、本発明では横分解能が向上し約1mmで見えていることが確認された。
【符号の説明】
【0071】
4 音響検出器
7 電気信号処理装置
8 データ処理装置
11 有効受信範囲
12 重畳領域
15 被検体保持板
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エックス線、超音波エコーを用いたイメージング装置は医療分野を中心に非破壊検査を必要とする多くの分野で使われている。医療分野におけるイメージング装置については、生体の生理的情報、つまり機能情報がガン等の疾患部位の発見に有効なことから、近年機能情報のイメージングの研究が行われてきた。機能情報を用いた診断方法の一つとして光イメージング技術の一つであるPhotoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案されている。エックス線診断や超音波エコーを用いた診断では生体内の形態情報しか得られないのに対し、光音響トモグラフィーでは非侵襲で形態、機能情報を得られることが特徴である。
【0003】
光音響トモグラフィーは、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝播・拡散した光のエネルギーを吸収した生体組織から発生した音響波を画像化する技術である。つまり受信された音響波の時間による変化を、被検体を取り囲む複数の個所で検出し、得られた信号を数学的に解析処理、すなわちバックプロジェクションすることで、被検体内部の光学特性値に関連した情報を三次元で可視化する。
【0004】
バックプロジェクションとは、被検体中の音響波の伝播速度を考慮し、各受信信号を逆に伝搬させ、重ね合わせることにより信号源を特定する計算手法である。本技術により被検体内の初期圧力発生分布より生体の光吸収係数分布などの光学特性値分布を得ることができ、被検体内部情報を得ることができる。特に近赤外光は生体の大部分を構成する水を透過しやすく、血液中のヘモグロビンで吸収されやすい性質を持つため、血管像をイメージングすることが可能である。
【0005】
光音響トモグラフィーには、音響検出器の位置の違いによって平面型、円周型と呼ばれるものがある。すなわち、音響検出器が、一平面上に位置しているものが平面型(非特許文献1)、被検体を取り囲むような円周上に位置しているものが円周型(特許文献1)である。それぞれ特徴を持つが、人体のような大型のものを測定する場合、平面型の方が装置を小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0238958号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Srirang Manohar,et al.“Region−of−interest breast studies using the Twente Photoacoustic Mammoscope (PAM)”Proc.of SPIE Vol.6437(2007)643702−9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分解能に関しては平面型、円周型それぞれに下記に述べるような課題がある。
【0009】
被検体中を音響波の伝播速度を用いてバックプロジェクションを行う場合、非特許文献1のような平面型は、横分解能と感度がトレードオフの関係になる。平面型では音響検出器面と平行な方向の分解能(横分解能)は主に音響検出器の素子幅で決まり、音響検出器面と垂直な方向の分解能(奥行分解能)は、素子の周波数で決まる。横分解能を向上させるために素子幅を小さくすると音響波の受信面積が減少して感度が低下してしまうというように、横分解能と感度にはトレードオフの関係がある。このように横分解能の向上に限界があるため、一般的に奥行分解能の方が横分解能より良い。
【0010】
一方、特許文献1のような円周型は被検体からの信号を全角度から受信することができるので平面型より分解能が良いが、分解能に場所依存性があり、円の中心から外側に行くに従って分解能は悪くなる。音響検出器は正面の受信感度が高く、円周型では全ての音響検出器は円の中心を向いているため、中心付近から発生した音響波は全ての音響検出器で検出される。バックプロジェクションによって各検出器の受信信号を重ね合わせる際、検出器は周りを囲むように配置してあり、全ての検出器の奥行き方向の情報を重ね合わせることになるので、横分解能も奥行分解能と同等になる。一方で、円の中心から外れた外側では一部の音響検出器にしか感度が無く、バックプロジェクションに一部の検出器の受信信号しか用いることができない。さらに、その検出器同士の角度は近いので、平面型に近くなってくる。したがって、円の外側に近づくにしたがって、横分解能が平面型の横分解能と近くなり、中心付近と比べて分解能が悪化する。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、感度を保ちながら高い分解能を場所依存なく得られる測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、被検体を保持する保持部材と、光を照射された被検体から発生する音響波を前記保持部材を介して受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、前記音響検出手段が、第1の測定位置および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて、被検体の画像データを生成する処理装置と、を有し、第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲と第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように、前記音響検出手段が配置される測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感度を保ちながら高い分解能を場所依存なく得られる測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図4】A、Bは本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図5】本発明の配置の説明に用いる定義を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図7】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図8】A、Bは本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図9】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図10】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図11】本発明の一実施形態の実施方法を表すフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態の配置を表す図である。
【図13】実施例を説明するための音圧分布の計算結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の基本的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態においては、測定装置として光音響トモグラフィーの技術を用いたイメージング装置について説明する。
【0016】
図1は、本発明のイメージング装置の第一の実施形態について示したものである。イメージング装置の測定対象は被検体3である。
【0017】
本実施形態におけるイメージング装置は、パルス光を発生する光源1と、光源1で発生させたパルス光を被検体3に導く光照射装置2と、パルス光に励起された音響波を電気信号に変換する複数の音響検出器4とを含む。イメージング装置はさらに、光照射装置2と複数の音響検出器4を対応させて移動させる走査制御装置5と、音響検出器からの電気信号を増幅しアナログデジタル変換して保存する電気信号処理装置7とを含む。イメージング装置はさらに、デジタル信号を用いてバックプロジェクションなどを行い被検体内部情報に関する画像データを生成するデータ処理装置8と、結果を表示する表示装置9から構成される。
【0018】
なお、音響検出器4は、音響波を検出する素子が平面内方向に複数並べてあり、一度に複数位置の信号を得ることができる。また、複数の音響検出器4は検出ユニット6を構成し、複数の音響検出器4の相対位置が固定されている。本実施形態の場合、複数の音響検出器4で音響検出手段を構成する。
【0019】
図1、図2を参照して実施方法について述べる。
【0020】
図2は本発明の実施方法を示したフロー図である。
【0021】
最初に、被検体3の測定対象領域が測定できるように走査制御装置5により光照射装置2と音響検出器4を移動させる(ステップS1)。音響検出器4の移動は、後に述べる各音響検出器の相対的配置を変えないように、検出ユニット6ごと移動する。このとき、光照射装置2も同期させて走査させることが望ましい。
【0022】
続いて、光照射装置2からパルス光を照射する(ステップS2)。光音響効果によって被検体から発生した音響波を複数の音響検出器4(平面アレイ型音響検出器)で受信し電気信号に変換する。電気信号処理装置7によって電気信号を増幅し、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータを音響信号とする。
【0023】
続いて、デジタルデータをメモリ等に保存する(ステップS3)。その際、測定した位置を同時に保存しておく。なお、一度に測定できる領域は平面アレイ型音響検出器4の大きさや後述する設置方法によって決定される。
【0024】
続いて、被検体3中で測定の済んだ測定領域が、所望の範囲に達しているかどうかを判定する(ステップS4)。測定領域が所望の範囲に達していなければ(S4=NO)、測定した領域が所望の範囲に達するまでS1からS3を繰り返す。
【0025】
測定した領域が所望の大きさに達した場合(S4=YES)、保存したデジタルデータとそれぞれの測定位置の情報をもとにバックプロジェクションを行い、音響波が発生したときの音圧分布(初期音圧分布)を作成する(ステップS5)。ここで、本発明において画像データとして作成される被検体内部の分布は、被検体内の初期音圧分布だけでなく、初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や、吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布でも良い。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
最後に、この分布を表示装置9に表示させる(ステップS6)。
【0026】
次に、本発明による平面アレイ型音響検出器の設置方法について図3から図7を参照して説明する。
【0027】
図3は音響検出器と被検体の配置を示した図である。音響検出器4は複数の素子14が一平面内に配置された平面アレイ型音響検出器であり、その受信面、つまり素子の並んだ面は音響波伝播媒体13を介して被検体保持板15と接触している。被検体保持板15は被検体3を保持する保持部材である。2つの音響検出器4は、それぞれ第1の測定位置に配置される第1の検出器、第2の測定位置に配置される第2の検出器と言える。
【0028】
音響波伝播媒体13、被検体保持板15は被検体3と音響検出器4との音響インピーダンスマッチングがとれ、光10に対して透明なものが望ましい。被検体3が生体の場合、音響波伝播媒体13としては水など、被検体保持板15としては樹脂材料などが考えられる。
【0029】
光照射装置2により出射された光10は測定領域に近い部位から照射するのが望ましい。ここでは、被検体界面で発生する音響波が、被検体内部で発生した音響波に重畳しないように、被検体を挟んで音響検出器の反対側から光を照射している。ただし、測定領域に十分な光が届くようであれば、光10はどこから照射してもよい。本発明の光照射装置2は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を分散・屈折・反射するプリズム、光を伝搬させる光ファイバ、拡散板等が挙げられる。光源が半導体レーザー等の小型の場合、光源自体を光照射装置とし、直接光源から被検体に光を照射してもよい。
【0030】
音響検出器4は指向性を持っており、正面方向(受信面に垂直な方向)から角度がつくに従い感度が低下する。ここでは、音響検出器4の有効受信範囲を、音響検出器正面の最大受信感度に対し、50%の感度がある角度内の領域であると定義する。指向性は音響検出器の中心周波数や大きさによって決定される。図中では、有効受信範囲11を、複数の素子14が並んだ受信面の両端から垂直に伸ばした点線の範囲内の領域であるものとする。ただし、測定によっては50%未満の感度であっても十分な感度である場合もある。その場合、有効受信範囲は測定に対して十分な感度を有する範囲とする。
【0031】
音響検出器4を走査させた場合、図4Aに示すように各走査位置(走査位置1、走査位置2)における有効受信範囲11を合計した領域が、その音響検出器の有効受信範囲となる。音響検出器4は、図3に示したように、2機設けられ、その有効受信範囲11が被検体3の内部で重なるように設置する。全ての音響検出器で測定された範囲、つまり全ての音響検出器の有効受信範囲が重なって形成された領域を重畳領域として定義する。
【0032】
図3において、重畳領域12は、有効受信範囲11のうち、太い一点鎖線で囲まれている部分である。さらに、分解能の場所依存性をなくすために、重畳領域は被検体の奥行き(図3における上下方向)より大きな奥行きを持つように形成される。重畳領域がそのような奥行きを持つように、音響検出器の角度、大きさ、走査幅、音響検出器の被検体からの距離、音響検出器間の距離を調整する。このとき、音響検出器は互いに交差する角度で設置する必要がある。
【0033】
このことを、図5を参照しつつ式で表す。図5にあるように、被検体と被検体保持板の界面を奥行き方向のゼロ点として、被検体厚さをt、被検体と被検体保持板の界面の法線に対する音響検出器1の角度をφ1、同じく音響検出器2の角度をφ2とする。また、被検体と被検体保持板の界面からの音響検出器1の受信面中心部の奥行き方向の距離をy1、同じく音響検出器1の受信面中心部の奥行き方向の距離をy2とする。また、音響検出器1と音響検出器2の受信面中心部の横方向距離をx、音響検出器1、音響検出器2の幅をaとする。このとき、音響検出器1、2は、以下の式(1)、式(2)を満たすように設置する。
【0034】
【数1】
【0035】
音響検出器(の検出ユニット)を走査した場合は、重畳領域は図4Bのようになる。このとき、走査によって音響検出器の幅aがa’になったと考えて、音響検出器1、2が式(1)、式(2)を満たすように設置する。
【0036】
音響検出器4は被検体保持板15の法線に対して、有効受信範囲の中心軸が線対称に設置されることが望ましいが、図6のように非対称であってもよい。音響検出器が素子を平面に配列した2次元アレイの場合、概ねその平面の法線方向が有効受信範囲の中心軸となる。
【0037】
さらに、図7のように被検体保持板15として2つの部材を被検体の両側に設け、両側に角度の異なる音響検出器4を設けてもよい。音響整合性を高めることを目的として、被検体保持板と被検体との間にジェル等の音響波伝播媒体を介在させてもよい。
【0038】
また、図8Aのように重畳領域が被検体の厚みに足りていない場合でも、図8Bのように音響検出器を走査させることによって重畳領域の大きさを被検体の厚みより大きくして測定できる。
【0039】
音響検出器の交差角度、つまりφ1−φ2が90度のとき、各素子の信号を各素子の位置から逆投影、つまりバックプロジェクションすると、重畳領域12では音響検出器の互いの奥行分解能で見ることになるので横分解能も奥行分解能と同等になる。同じ素子サイズの平面型と比べると、感度を保ったまま高分解能を実現できる。さらに、音響検出器の素子は平面に並んでいるので、素子の正面である有効受信範囲11における奥行分解能は場所依存性が無く均一であり、重畳領域12においても場所依存性のない奥行分解能が重なったものなので、同じく均一である。
【0040】
また、光音響トモグラフィーでは光吸収体の形状によって音波の進む方向が異なるため、一方向だけに設置された音響検出器だけでは、光吸収体の形状を再現できないことがある。しかし本発明では複数の音響検出器は互いに異なる方向を向いているので、相補的に光吸収体の形状を再現できるという副次的効果もある。
【0041】
加えて、平面型のバックプロジェクションで得られた分布には、情報不足によりアーチファクトやゴーストと呼ばれる虚像が現れることがある。しかし本発明では、この虚像についても、複数方向からの情報を得ることで低減することができる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2では、重畳領域の初期音圧を簡便に得る方法について述べる。本実施形態の装置の構成および配置は実施形態1と同様であり、方法のみが異なる。以下、図9のフローを参照しつつ、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0043】
ステップS1からS3では、実施形態1と同様に走査、光の照射、音響信号と位置の保存を行う。
【0044】
その後、データ処理装置8において、片方の音響検出器の信号と位置を用いてバックプロジェクションを行い、有効受信範囲の初期音圧分布を求め、結果を保存する(第1の画像データ)。その後、もう片方の音響検出器についても同様に、有効受信範囲の初期音圧分布を求め、結果を保存する(ステップS7、第2の画像データ)。
【0045】
次に、それぞれの音響検出器について得られた初期音圧分布が所望する範囲に達しているかどうかを判定する(ステップS4)。達していない場合(S4=NO)、所望の範囲に達するまでS1からS3及びS7を繰り返す。
【0046】
達している場合(S4=YES)、保存されている初期音圧分布を合成する(ステップS8)。初期音圧分布はそれぞれの音響検出器ごとに作成されているので、重畳領域を作成する際、重ね合わせ処理を行う。各初期音圧分布の重ね合わせ処理には、値が近い時に重ね合わせ効果が強調される積の平方根を取る方法が好ましいが、平均や二乗平均平方根を取る方法であってもよい。これにより被検体の画像データが生成される。
最後に、結果を表示装置9に表示させる(ステップS6)。
【0047】
本実施形態では、バックプロジェクションを簡便にすることで、計算時間や計算装置などのリソースを減らすことができる。
【0048】
<実施形態3>
実施形態1を三次元に拡張した例について図10を用いて述べる。
【0049】
装置の構成および測定の方法は実施形態1または実施形態2と同様であり、配置のみが異なるため、配置について説明する。
【0050】
図10は本実施形態における音響検出器4の配置を示した図である。平面17は被検体保持板界面を表しており、紙面の手前側が被検体保持板および被検体の存在する領域である。ここでは図面の都合上、平面17は音響検出器4の角を結ぶ範囲しか描いていないが、同じ平面上で範囲を広げることも可能である。音響検出器4は複数の素子が一平面内に配置された平面アレイ型音響検出器であり、その受信面は図示されていない音響波伝播媒体を通して被検体保持板界面17と接触している。
【0051】
光照射装置2(不図示)により輸送された光は、測定領域に測定に足る量が届くように照射される。音響検出器4は3機設けられ、それぞれが、点線で囲まれる直方体で示される、有効受信範囲11を持つ。そして、有効受信範囲11が被検体の内部で重なるように設置される。3機それぞれに対応する有効受信範囲11が重なった領域が、重畳領域12である。さらに、音響検出器は互いに交差するように設置され、互いに90度の交差角度になることが望ましい。交差角度が90度のとき、各素子の信号を各素子の位置からバックプロジェクションすると、重畳領域12では平面型の感度を保ったまま、場所依存性なく高分解能を実現できる。
【0052】
本実施形態では、三次元の全ての方向に対して、場所依存なく高分解能を実現できる。
【0053】
<実施形態4>
実施形態1において二つある音響検出器を一つの音響検出器で行う方法について述べる。
【0054】
本実施形態の装置の構成は実施形態1において二つある音響検出器のうちの一つを取り払ったものである。また、実施形態1における二つの音響検出器の配置をそれぞれ測定位置1、測定位置2とする。例えば図3における2機の音響検出器4のうち1機を取り除き、残った音響検出器が左側にあるとき測定位置1(第1の測定位置)とし、右側にあるとき測定位置2(第2の測定位置)とする。本実施形態の場合、一つの音響検出器4で音響検出手段を構成する。
【0055】
実施方法について図11のフローを用いて述べる。
本実施形態では、最初に測定位置1に音響検出器を移動させる(ステップS9)。
そしてパルス光を照射し(ステップS2)、音響信号を受信して測定位置とともに保存する(ステップS3)。
【0056】
次に、測定位置2に音響検出器を移動させる(ステップS10)。
そして同様にパルス光を照射し(ステップS11)、音響信号を受信して測定位置とともに保存する(ステップS12)。この際の音響検出器の移動は機械を用いて動かすことが望ましいが、手動であってもよい。
【0057】
次に、測定領域が所望する大きさに達しているかどうかを判断する(ステップS4)。達していない場合(S4=NO)、被検体の異なる領域を測定できるように測定位置1、測定位置2を設定し、測定領域が所望の大きさになるまでS9、S2、S3、S10、S11、S12を繰り返す。
測定領域が所望の大きさになったら(S4=YES)、保存している信号と測定位置の情報を用いてバックプロジェクションを行い(ステップS5)、結果を表示する(ステップS6)。
【0058】
本実施形態では、一つの音響検出器で本発明を実施することができ、コストを抑えることができる。
【0059】
<実施形態5>
ここでは、音響検出器の配置について、図12を用いて述べる。
【0060】
図12に示すように、通常、音響検出器4の有効受信範囲11は、音響検出器4の正面だけでなく、音響検出器4の正面の外側まで広がる。そして、音響検出器4の角度は、この広がり分を含めた有効受信領域からの音響波を全反射しないように配置することが望ましい。
【0061】
したがって、図14のように、音響検出器の検出面と被検体保持板のなす角度をθ1、音響検出器の指向角をθ2、被検体3の内部で発生した音響波が被検体3と被検体保持板15との界面で全反射する角度をθ3、音響検出器同士の交差角度θ4とすると式(3)を満たすことが望ましい。
【0062】
【数2】
【0063】
さらに、音響検出器同士の交差角度は90度に近い方が分解能が向上するので、式(4)のように音響検出器4の角度を決定することが、より望ましい。
θ1=θ3−θ2 ・・・(4)
さらに、音響検出器4は、被検体保持板15の法線に対して線対称に置くことが望ましく、そのとき式(5)の関係が成り立つ。
θ4=2θ1 ・・・(5)
したがって、式(6)のように音響検出器4の角度を決めることが望ましい。
θ4=2θ1=2(θ3−θ2) ・・・(6)
なお、本実施形態では、被検体3と音響検出器4との間に被検体保持板15が設けられた場合で説明したが、被検体3と音響検出器4との間に音響波伝播媒体を設けている場合にも、被検体と音響波伝播媒質との界面での音響波の全反射を考慮して音響検出器4を配置することが好ましい。また、被検体保持板15と音響波伝播媒体との界面での音響波の全反射についても考慮することが好ましい。
【0064】
<実施例>
二次元のシミュレーションを用いて、本発明を実施した結果を示す。まず比較例として一平面型の音響検出器で実施した結果について示し、次に本発明の実施結果を示す。ここでは円状の音源から検出器位置での信号をシミュレーションし、さらにその信号を用いてバックプロジェクションを行い、結果を得た。図13はバックプロジェクションによって得られた結果の上に、シミュレーション体系を重ね合わせて表示させたものである。
【0065】
比較例の平面型について図13(a)を参照して説明する。音響検出器は一平面であり、2mm幅の素子を30個並べ60mm幅とした。音響検出器と被検体の間には10mmの被検体保持板を音響検出器と平行に設置し、それより音響検出器から遠い側を被検体とした。音源は直径1mmの円であり、音響検出器からみて中央に20mm離れた場所、つまり被検体保持板と被検体の界面から10mm離れた場所に設置した。音波の伝播速度は被検体保持板中において2200(m/s)、被検体中において1500(m/s)とし、密度は被検体保持板を0.83(g/cm3)、被検体を1(g/cm3)とした。
【0066】
以上の体系においてシミュレーションを行い、得られた音圧分布を図13(a)に示す。音響波伝播媒質の中に音響の干渉による像が現れているが、実際には被検体のみに注目し、被検体の中だけを結果として得る。被検体中央に示された濃い部分が、バックプロジェクションによって得られた音源である。
【0067】
次に、本発明を実施した例について図13(b)を参照して説明する。音響検出器は2mm幅の素子を15個並べた30mm幅のものを二つ用意し、互いの中心部で57mm離し、交差角度φ1−φ2が60度になるように設置した。次に、比較例と同様に10mm厚の被検体保持板を設置し、さらに遠い側を被検体とする。被検体保持板の法線と音響検出器受信面の法線の交差角度、つまりφ1、φ2がφ1=30度、φ2=−30度となるように被検体保持板を設置した。
【0068】
分解能のことのみを考えると、音響検出器同士の交差角度は90度とすることが望ましい。しかし、そのときφ1、φ2の絶対値は45度となり、後に述べる被検体保持板と被検体の物性によって、音源からの音波が被検体保持板と被検体の間で全反射し、音響検出器まで伝播しない。そこで、音響検出器同士の交差角度φ1−φ2を60度とした。音響検出器と被検体保持板の間には音響波伝播媒質を設置する。音源は、音源は直径1mmの円であり、両方の音響検出器から等しい距離で被検体保持板と被検体の界面から10mm離れた場所に設置した。音波の伝播速度は音響波伝播媒質において1500(m/s)、被検体保持板中において2200(m/s)、被検体中において1500(m/s)とした。密度は音響波伝播媒質を1(g/cm3)、被検体保持板を0.83(g/cm3)、被検体を1(g/cm3)とした。
【0069】
以上の体系においてシミュレーションを行い、得られた音圧分布を図13(b)に示す。比較例と同様に音響波伝播媒質の中に音響の干渉による像が現れているが、実際には被検体のみに注目し、被検体の中だけを結果として得る。被検体中央に示された濃い部分が、バックプロジェクションによって得られた音源である。
【0070】
音源はどちらも直径1mmの円であるが、音源の像の横向きの大きさについて比較すると、平面型では約2mmあるのに対し、本発明では横分解能が向上し約1mmで見えていることが確認された。
【符号の説明】
【0071】
4 音響検出器
7 電気信号処理装置
8 データ処理装置
11 有効受信範囲
12 重畳領域
15 被検体保持板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射された被検体から発生する音響波を受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、
前記音響検出手段が、第1の測定位置および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて、被検体の画像データを生成する処理装置と、を有し、
第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲と第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように、前記音響検出手段が配置される測定装置。
【請求項2】
前記音響検出手段は、前記第1の測定位置に配置される第1の検出器および前記第2の測定位置に配置される第2の検出器を含んでいる
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記音響検出手段は検出器を1つ含んでおり、
前記検出器は、前記第1の測定位置および前記第2の測定位置において音響波を受信する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記被検体と前記音響波検出手段との間に部材を有し、
前記音響検出手段の検出面と前記部材のなす角度をθ1、前記音響検出手段の指向角をθ2、前記被検体の内部で発生した音響波が前記被検体と前記部材との界面で全反射する角度をθ3とした場合、次の式を満たす
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の測定装置。
【数1】
【請求項5】
前記被検体と前記音響波検出手段との間に、前記被検体を保持する保持部材を有する
請求項1ないし4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記被検体と前記音響検出手段との間に、音響整合を図るための音響波伝播媒体を有する
請求項1ないし5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1の測定位置および前記第2の測定位置は、前記被検体に対して前記部材を介して同じ側に配置される
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲の中心軸と、前記第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲の中心軸は、前記法線に対して線対称となる
請求項4ないし7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記音響検出手段は、前記重畳領域が前記部材と前記被検体との界面の法線の方向において前記被検体より厚い重畳領域となるように、配置される
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記被検体を両側から保持する2つの保持部材を有し、
第1の測定位置および第2の測定位置は、前記2つの部材のそれぞれに配置される
請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項11】
前記音響検出手段を走査する走査制御装置をさらに有する
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記音響検出手段を走査する走査制御装置をさらに有し、
前記音響検出手段は、前記第1の測定位置に配置される第1の検出器および前記第2の測定位置に配置される第2の検出器を含み、
前記走査制御装置は、前記第1の検出器と前記第2の検出器との相対的配置を変えないように、前記第1の検出器および前記第2の検出器を走査する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項13】
前記処理装置は、第1の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号、および、第2の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号の両方を用いて、被検体の画像データを生成する
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記処理装置は、第1の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号を用いて第1の画像データを生成し、かつ、第2の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号を用いて第2の画像データを生成し、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データを用いて被検体の画像データを生成する
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項1】
光を照射された被検体から発生する音響波を受信し電気信号に変換する検出器を少なくとも1つ含む音響検出手段と、
前記音響検出手段が、第1の測定位置および第2の測定位置にて受信した音響波に基づく電気信号を用いて、被検体の画像データを生成する処理装置と、を有し、
第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲と第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲が被検体内で重なる重畳領域を形成するように、前記音響検出手段が配置される測定装置。
【請求項2】
前記音響検出手段は、前記第1の測定位置に配置される第1の検出器および前記第2の測定位置に配置される第2の検出器を含んでいる
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記音響検出手段は検出器を1つ含んでおり、
前記検出器は、前記第1の測定位置および前記第2の測定位置において音響波を受信する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記被検体と前記音響波検出手段との間に部材を有し、
前記音響検出手段の検出面と前記部材のなす角度をθ1、前記音響検出手段の指向角をθ2、前記被検体の内部で発生した音響波が前記被検体と前記部材との界面で全反射する角度をθ3とした場合、次の式を満たす
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の測定装置。
【数1】
【請求項5】
前記被検体と前記音響波検出手段との間に、前記被検体を保持する保持部材を有する
請求項1ないし4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記被検体と前記音響検出手段との間に、音響整合を図るための音響波伝播媒体を有する
請求項1ないし5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1の測定位置および前記第2の測定位置は、前記被検体に対して前記部材を介して同じ側に配置される
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1の測定位置における前記検出器の有効受信範囲の中心軸と、前記第2の測定位置における前記検出器の有効受信範囲の中心軸は、前記法線に対して線対称となる
請求項4ないし7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記音響検出手段は、前記重畳領域が前記部材と前記被検体との界面の法線の方向において前記被検体より厚い重畳領域となるように、配置される
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記被検体を両側から保持する2つの保持部材を有し、
第1の測定位置および第2の測定位置は、前記2つの部材のそれぞれに配置される
請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項11】
前記音響検出手段を走査する走査制御装置をさらに有する
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記音響検出手段を走査する走査制御装置をさらに有し、
前記音響検出手段は、前記第1の測定位置に配置される第1の検出器および前記第2の測定位置に配置される第2の検出器を含み、
前記走査制御装置は、前記第1の検出器と前記第2の検出器との相対的配置を変えないように、前記第1の検出器および前記第2の検出器を走査する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項13】
前記処理装置は、第1の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号、および、第2の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号の両方を用いて、被検体の画像データを生成する
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記処理装置は、第1の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号を用いて第1の画像データを生成し、かつ、第2の測定位置で検出された音響波から変換された電気信号を用いて第2の画像データを生成し、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データを用いて被検体の画像データを生成する
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−223567(P2012−223567A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88667(P2012−88667)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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